このページのまとめ
- サイト売却価格は数十万円から数千万円までと幅が広い
- 個人間で交渉して売却することもあるが、オークションサイトやマッチングサイトもある
- 良質なコンテンツが多い場合や希少性が高いサイトである場合は高額売却を期待できる
- サイト売却のメリットは、利益獲得やリソースの確保、ビジネスの幅が広げられることなど
- ECモール内のサイトや無料ブログサイトは売却できないこともあるため、注意が必要
「Webサイトを売却したいが、どのように売ればよい?」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
Webサイトを売る方法には、直接交渉するほか、オークションサイトの利用や仲介サービスへの依頼などがあります。
本記事では、Webサイト売却の価格相場や方法、メリット・デメリットをまとめました。サイト売却を成功させるコツも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
サイト売却とは
サイト売却とは、企業や個人が所有するWebサイトを他の企業・個人に売買することです。
インターネット利用が一般にも広まった2000年代に入ってからは、日本でもサイト売買専門のマッチングサイトが登場し、サイト売却・買収が活発化したとされています。
Webサイトの数が増えるにつれ、サイト売買の市場も拡大してきました。個人や小規模企業が作成したWebサイトを大手企業が買い取るケースもあり、「Webサイトを作成してある程度成長させてから売却する」というビジネスも成り立っています。
Webサイト売却の価格相場
Webサイトの売却価格は、コンテンツのボリュームやアクセス数、期待できる収益などによって異なります。そのため、売却相場も数十万円~数千万円までと幅広いです。
一般的に、Webサイトによって生じる利益の1.5~2年分が売却価格の相場です。しかし、商品・サービスの宣伝に活用できるときや、競合が少なく希少性が高いWebサイト、コンテンツのクオリティが高いWebサイトはより高く評価される傾向にあります。
個人のWebサイトも数万円程度で売却されることがあり、副業でWebサイトを制作して売却する人や、Webサイトを購入して運営して収益を上げる人も増えています。アクセスが多く見込めるWebサイトなら億単位になることもあります。
サイト売却を行う5つの方法
Webサイトの売却は、主に次の5つの方法で実施されます。
- サイト所有者と買収希望者による直接交渉
- オークションサイトの利用
- マッチングサービスの利用
- 仲介サービスの利用
- M&A仲介会社の活用
それぞれの方法の特徴について見ていきましょう。
サイト所有者と買収希望者による直接交渉
Webサイトを売却したい人と購入したい人が個人間で交渉するケースもあります。また、個人だけでなく法人も、購入したいWebサイトを見つけて個別に所有者と交渉することがあります。
個人間あるいは個人・法人、法人間などで直接交渉して売買する方法は、仲介者がいないため手数料がかからない点がメリットです。
しかし、Webサイトの売却経験が浅い場合には、相場よりも安すぎる価格で売却してしまうおそれがあります。事前に相場を調べ、妥当性がある取引ができるようにしましょう。
オークションサイトの利用
Webサイト専用のオークションサイト、もしくはWebサイトも取り扱うオークションサイトを活用して売却するケースもあります。入札が多ければ高値での売却ができる可能性があります。
ただし、オークションサイトの利用には手数料が発生することがあるため注意しましょう。手数料が高めのオークションサイトを利用すると、高値で売却したつもりでも手元に残る金額は相場以下になる可能性があります。
また、オークションサイトによって得意・不得意の分野があります。いくつかのオークションサイトを比較し、売却したいWebサイトと類似するWebサイトを取り扱っているか確認しておきましょう。
マッチングサービスの利用
Webサイトを取り扱うマッチングサービスもあります。価格や権利・義務の条件、売却したい時期などを登録しておくと、条件に合う購入希望者を紹介してもらえます。
手数料無料で利用できるマッチングサービスも多いため、費用を抑えて売却したいときにも検討できるでしょう。
ただし、マッチングまでは無料で利用できても、交渉や契約は無料とは限りません。マッチングサービスによっては交渉や契約の代行に対応していますが、有料オプションとなっていることが一般的です。
仲介サービスの利用
Webサイトの売買を取り扱っている仲介サービスに依頼する方法もあります。相手探しから交渉・契約までまとめてサポートしてもらえるため、Webサイトの売買が初めての場合でも不安なく契約まで進めます。
仲介サービスでは法律関係の専門家も在籍しているため、法的拘束力のある契約書の作成・締結を実施してくれる点もメリットです。権利・義務関連で後でトラブルが生じにくく、万が一、トラブルが生じたときでも適切なサポートを受けられます。
ただし、仲介手数料がかかる点には注意が必要です。
相手候補の紹介までは無料のケースや、着手金が発生するケースなどもあり、仲介サービスによって無料で利用できる範囲が異なります。利用料を支払うタイミングも仲介サービスによって異なるため、事前に確認しておきましょう。
M&A仲介会社の活用
次のいずれかに当てはまるときは、M&A仲介会社に依頼できます。
- Webサイトを運営している事業を売却する
- Webサイトを運営している会社ごと売却する
事業や資産を選択して売却するときは「事業譲渡」、会社ごと売却するときは「株式譲渡」を検討できます。買収相手となる企業の紹介から契約締結まで、専門家のサポートを受けて売却を進められる点が特徴です。
サイト売却を行う3つのメリット
保有しているWebサイトを売却することには、次の3つのメリットがあります。
- まとまった売却益を得られる
- 運営メンバーのリソースを別業務に割ける
- ビジネスの幅が広がる
それぞれのメリットについて解説します。
まとまった売却益を得られる
Webサイトを売却することで、数十万円~数千万円の利益が得られることもあります。非常に高い収益性が見込めるWebサイトなら、億単位で売却できる可能性もあります。
まとまった利益を得たい場合には、保有しているWebサイトの売却を検討してみましょう。
保有はしているもののほぼ利用していないWebサイトや、運営しているものの期待するほどの収益を上げられていないWebサイトも、他者にとっては魅力あるWebサイトの可能性があります。
保有しているだけでもサーバー代などのコストはかかるため、不要であれば売却して現金化しましょう。
運営メンバーのリソースを別業務に割ける
Webサイトの運用には、一人ないしは複数人の運営担当者が必要です。十分に収益が上がっていない場合や、他の事業との相互作用が得られていない場合は、人的リソースの無駄になっていると考えられます。
Webサイトを売却し、運営メンバーのリソースを別業務に振り分けて、事業効率を高めるのも一つの方法です。
ビジネスの幅が広がる
Webサイトの購入を検討する法人・個人は、そのWebサイトと関連のある商品やサービスを扱っていることが多いため、同業種である可能性が高いと考えられます。サイト売買をきっかけとして、買い手とのコネクションが生まれ、事業拡大や新規事業につながることもあるでしょう。
また、同業種ではない場合でも、売買したWebサイトを通してシナジー効果が期待できる可能性もあります。業種を越えたビジネスアイデアが生まれ、既存の商品・サービスにはない付加価値を消費者に提供できるようになるかもしれません。
サイト売却を行う3つのデメリット
サイト売却により多くのメリットを期待できる一方で、いくつかデメリットも想定されます。
よくあるデメリットとしては、次の3つが挙げられます。
- 売却に時間がかかると本業に支障が生じる
- 利益獲得の機会を逃す可能性がある
- 当事者のみで行うとトラブルが起こる可能性がある
それぞれのデメリットと、デメリットを回避する対策について見ていきましょう。
売却に時間がかかると本業に支障が生じる
Webサイトがすぐに売却できるとは限りません。予想以上に時間がかかり、本業に支障が生じる可能性もあります。
たとえば、個人間の交渉により売却を進める場合なら、相手探しだけでも時間がかかります。また、信用できる相手なのか見極める時間、お互いの意思確認をする時間、交渉・契約の時間などが長引くかもしれません。
マッチングサービスやオークションサイトを利用すれば相手探しの時間は節約できますが、相手の信頼性を見極める作業や交渉については自力で行う必要があります。売却の条件や相手を見極めるポイントなどを事前に決めておき、契約までの時間を短縮できるようにしておきましょう。
自力での手続きや交渉を減らしたいときは、仲介サービスやM&A仲介会社の利用を検討できます。いずれも相手企業探しから契約まで専門家に任せられるため、本業に専念できます。
利益獲得の機会を逃す可能性がある
これまで収益性が低かったサイトでも「記事や掲載商品が話題になった」「競合商品・サービスがヒットした」などのきっかけで、閲覧数やCV達成率が増えて利益増につながることがあります。
現在の収益性が低いからといってすぐに売却してしまうと、利益獲得の機会を逃すことにもなりかねません。
また、SEOを実施したり定期的に新しい情報を追加したりなどの少しの手間をかけることで、近い将来、人気サイトになる可能性もあります。
サイトを売却すると今までかけた労力やコストがすべて失われることになるため、慎重に売却するべきか判断することが大切です。
当事者のみで行うとトラブルが起こる可能性がある
当事者のみで売買を行うと、相場よりも安値で売却することになる可能性があります。また、売り手・買い手の一方のみに有利な条件で交渉が進むかもしれません。
契約後にトラブルが発生するケースもあります。契約書に規定した約束が守られなかったり、契約書の内容に不備があったために損害賠償を請求できなかったりするリスクもあります。
トラブルを回避するためにも、サイト売買の実績が豊富な専門家のサポートを受けるようにしましょう。マッチングサービスの交渉代行や契約代行、M&A仲介会社のサポートを検討できます。
また、相手探しから交渉・契約まで同じサービスに依頼することも大切です。
相手探し・交渉・契約においてそれぞれ異なるサービスを利用すると、トラブルが生じた場合に責任がどこにあるのか追求しにくくなることもあるため注意が必要です。
サイト売却手続きの流れ
本業に支障を出さずにWebサイトを売却するためにも、流れを把握しておくことが大切です。
個人がサイト売却するケースと企業がサイト売却するケースに分けて、サイト売却の流れを紹介します。
個人がWebサイトを売却する場合の流れ
個人サイトの売却は、マッチングサービスやオークションサイトなどの外部サービスを活用することが一般的です。次の流れで売却を進めていきましょう。
- Webサイトの出品、査定
- 買い手候補の検討
- 売買交渉
- 売買取引契約
- 売却代金の受取
外部サービスを利用するときは、各サービスの規定を満たしているか査定を受けることがあります。査定により規定を満たしていないと判断されると、サービスを利用できません。他のサービスの利用を検討しましょう。
企業がWebサイトを売却する場合の流れ
企業サイトを事業譲渡によってWebサイトを売却する場合、個人サイトよりも権利・義務の取り扱いが複雑になることが多いです。そのため、M&A仲介会社に依頼して相手探しから契約まで任せることが一般的です。
Webサイトの運営事業を売却(事業譲渡)する場合は、次の流れで進めていきます。
- M&A仲介会社に売却を依頼する
- M&A仲介会社から条件に合う相手候補を紹介してもらう
- 相手候補が提示する条件を確認し、問題なければ交渉に進む
- 相手候補がデューデリジェンスを行うため、協力する
- 事業譲渡契約を締結する
- 売却代金の受取
デューデリジェンスとは、譲渡対象事業や売り手側の法務・財務・税務などについて精査することです。譲渡対象事業の価値を見極め、想定されるリスクを把握するために実施されます。
社内の機密情報に関わることもあるため、秘密保持契約を締結したうえでデューデリジェンスに協力しましょう。調査の結果、問題がなければ契約に進みます。
サイト売却を成功させる4つのポイント
Webサイトを好条件で、円滑に売却するために、次の4つのポイントを押さえておきましょう。
- 収益性を高めて売却を有利にする
- 品質の高いコンテンツを量産する
- サイト売却の経験者や専門家に話を聞く
- 支援サービスは信頼できるものを選定する
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
収益性を高めて売却を有利にする
Webサイトの価格は「どの程度の収益性が見込めるか」によって左右されます。すでに収益性が高いWebサイトであれば数千万円~数億円の価格がつき、売却によって多大な利益を得られます。
収益性を高める方法としては、次のものが挙げられます。
- 適切な場面に広告を組み込む
- フォロワーの多いSNSと連携する
- 検索ボリュームの多いキーワードや検索ボリューム上昇中のキーワードをWebサイト内に組み込む
売却時点では収益性が高くなくとも、今後の成長が期待される場合なら高額売却が可能です。収益性を高めて、有利な売却を実現できるようにしておきましょう。
品質の高いコンテンツを量産する
Webサイトに高い収益性がなくても、品質の高いコンテンツが豊富にある場合は、将来的に収益性が高まると判断され、高値での売却を期待できます。
品質を高める方法としては、次の方法が挙げられます。
- ターゲットのニーズを丁寧に分析してテーマを決める
- 実績のあるライターに執筆を依頼する
- 表やリスト表示などで読みやすくすること
- 専門家の監修などで権威性を持たせる
高品質のコンテンツを量産し、Webサイトの価値を高めておきましょう。
サイト売却の経験者や専門家に話を聞く
実際にWebサイトを売却したことがある経験者に話を聞くことも大切です。身近にWebサイトを売却したサイト運営者がいる場合は相談してみましょう。
交渉の際に注意すべきポイントやおすすめの売却方法、また、信頼できる外部サービスについても具体的に教えてもらえます。
また、Webサイトの売却サポートを担当したことがある専門家に相談するのも一つの方法です。
サイト売却の専門家として、売り手目線だけでなく買い手目線からのアドバイスも得られます。Webサイトの評価を高めるポイントや改善点、相手候補との交渉のコツなども、具体的に教えてもらえるでしょう。
支援サービスは信頼できるものを選定する
Webサイトの売却を支援するサービスを選ぶときは、信頼できるかどうかに注目して選びましょう。正式に依頼する前に、Webサイトの売却実績や得意とする分野を確認しておくと安心です。
また、問い合わせた際のやり取りの丁寧さも判断材料になります。
サイト売却を行うときの3つの注意点
Webサイトを売却するときは、次の3つのポイントに注意が必要です。
- 売却が禁止されているWebサイトがある
- 正確なデータを申告する
- 個人と法人でサイト売却にかかる税金に違いがある
それぞれの注意点を解説します。
売却が禁止されているWebサイトがある
多くのECサイトが集まるECモール(オンラインショッピングモール)では、独自規定でECサイトの譲渡を禁じていることがあります。また、無料のブログサービスで運営しているブログサイトも、Webサイトの所有権は運営元にあるため、自由に売却できないことが一般的です。
Webサイトを売却するときは、各サイトの規定を確認し、売買を禁じていないか調べておきましょう。
サイト運営者自身が所有しているWebサイトなら、自由に売却できます。トラブルを回避するためにも、将来的に売却を考えている場合はECモールや無料ブログサービスを利用しないほうがよいでしょう。
正確なデータを申告する
少しでも高値で売却したいからといって、収益やアクセス数を過大申告してはいけません。
数字や内容について正確なデータを提示しないで売却した場合、あとで契約が解消されるだけではなく、損害賠償を請求されることもあります。
トラブルにならないよう、サービス利用前・契約前の時点で、正確なデータを開示するようにしてください。誠実に対応しましょう。
個人と法人でサイト売却にかかる税金に違いがある
Webサイトの売却により利益が生じたときは、課税対象となることがあります。個人と法人では税金の種類や税率が異なるため注意が必要です。
個人がWebサイトを売却する場合 | 法人がWebサイトを売却する場合 | |
税金の種類 | 所得税 | 法人税 |
課税対象額 | 売却額-特別控除額(最大50万円) | 売却額-必要経費 |
適用税率 | 他の所得と合算した課税所得額に応じた税率(5~45%) | 15~23.2% |
個人がWebサイトを売却するときは、売却額から特別控除額(最大50万円)を差し引いた譲渡所得に対して課税されます。給与所得などの他の所得と合算して、課税所得額に応じた税率(5~45%)が適用されます。
ただし、個人であっても事業としてサイト売買を行っている場合は事業所得となるため、収入から必要経費を控除することが可能です。
一方、法人がWebサイトを売却するときは、売却額から必要経費を差し引いた利益に対して法人税が課せられます。資本金額や課税対象額によって15~23.2%の税率が適用されます。
参照元:
国税庁「No.3152 譲渡所得の計算のしかた(総合課税)」
国税庁「No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)」
国税庁「No.5759 法人税の税率」
まとめ
Webサイトを売却する方法には、売却相手との直接交渉以外にも、オークションサイトやマッチングサービスなどの外部サービスを利用することも挙げられます。
Webサイトを運営する事業や会社ごと売却したいと考えている場合は、M&A仲介会社に相談することがおすすめです。事業譲渡や株式譲渡の方法を検討できます。
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Webサイト事業や会社全体の売却を検討している際には、お気軽にお問い合わせください。