運送会社のM&A相場は?M&Aのメリットや成功ポイントを解説
このページのまとめ
- 運送会社のM&A需要が増加している
- 運送会社のM&Aを行うメリットは「業界への新規参入が行いやすい」「設備やトラックが引き継げる」など
- 運送会社のM&Aを行う場合は、運送業許可の引継ぎに注意する
- 運送会社のM&Aスムーズに進めるためにM&A仲介会社が欠かせない
- 運送業界に詳しいM&A仲介会社を選ぶことが大切
「運送会社のM&Aを行いたいけど、どこから手を付けたら良いか分からない」と悩んでいる企業も多いことでしょう。運送業への新規参入や、事業拡大に向けてM&Aを希望する企業も増加しています。
運送会社のM&Aを成功させるためには、運送会社ならではの特徴を知り、手続きを進めることが大切です。本コラムでは、運送会社のM&Aを成功させるポイントや買収メリット、価格相場の算出方法などを解説します。
運送業界・運送会社とは
運送会社とは、法人や個人から依頼を受け、目的地まで人や物を運ぶ仕事のことです。トラックなどで輸送を行うことに特化している特徴があります。鉄道や船、飛行機などを使う場合は、運輸業と呼ばれるようになります。
運送業界の特徴
運送業界の特徴は、中小企業の多さです。「日本のトラック輸送産業-現状と課題-2022」によると、2018年時点でのトラック運送事業者数は62,461件でした。そのうち、約99%が中小企業に該当するとされています。
運送業界に中小企業が多い理由は、運転手が1人とトラック1台があれば事業が始められるからです。簡単に、新規参入を行うことができます。
ただし、他社との差別化を図ることが難しい業種でもあります。そのため、収益性の確保や、価格競争に陥りやすい点に注意が必要です。
参照元:公共財団法人 全日本トラック協会「日本のトラック輸送産業-現状と課題-2022」
運送会社・業界のM&A事情
運送会社や運送業界のM&Aは、次のような事情を抱えています。
- 経営に苦しむ企業が多い
- 業界の競争が激しい
- 燃料費の高騰に苦しんでいる
- 2024年問題への懸念がある
- 高齢の経営者が引退し始めている
- ドライバーの人員不足が苦しい
- 業界再編が進んでいる
- ベンチャーへの投資が増えた
- M&Aの需要が増加している
それぞれに関して、詳しく解説します。
経営に苦しむ企業が増加している
運送業界は、経営に苦しむ企業が増加しています。2021年「道路貨物運送業の業績動向」調査によると、運送業における、過去3年の赤字企業の割合は次のとおりです。
- 最新期(2021年):21.71%
- 前期(2020年):19.04%
- 前々期(2019年):15.70%
最新期では、損益が判明した企業の15,525社中、赤字企業が3,370社ありました。50億円以上の赤字を計上した企業も発生しています。
参照元:東京商工リサーチ「2021年「道路貨物運送業の業績動向」調査」
業界の競争が激しい
運送業界では、業界内の競争が激しくなっています。ネットショッピングの急成長があったからです。
競争が激しくなることで、運送単価の低下が発生します。その結果、運送費や人件費の確保が難しくなっている状況も抱えています。
燃料費の高騰に苦しんでいる
燃料費の高騰も、運送業の経営に影響を及ぼしています。海外の貿易摩擦の影響もあり、燃料費は高止まりになっている状況です。燃料費の改善が進まなれば、経営悪化に苦しむ企業は増加していくでしょう。
2024年問題への懸念がある
2024年問題とは、働き方改革関連法の試行によって、運送業界に影響を及ぼすと考えられている問題のことです。2024年問題の例には、時間外労働の上限規制があります。
2024年の4月1日からは、自動車運転業務での時間外労働が、「年に960時間まで」と上限の設定が実施されます。この上限が決められることで、運転手1人あたりに走行できる距離が短くなり、遠方まで荷物を運べなくなる事態が懸念されるでしょう。
そのほかにも、「勤務間インターバル制度」「時間外労働への割増賃金の値上げ」などが、運送業界に影響すると考えられています。
高齢の経営者が引退し始めている
高齢の経営者が引退し始めている点も、運送業の特徴です。運送業は荷物を運ぶため身体的な負担が多く、高齢になると業務が難しくなります。
また、経営者が引退する際に、廃業してしまうケースもあります。後継者不足で事業承継できない企業も多く、廃業を選択するしかなくなるからです。
ドライバーの人員不足が苦しい
運送業界は、ドライバー不足にも悩まされています。
「一般貨物自動車運送事業に係る標準的な運賃の告示について」によると、トラック運送業では、ほかの産業に比べて、長時間労働や低賃金にあると指摘されています。その結果、ドライバー不足が発生し、公共工事の資材調達不足などにも影響が発生している状況です。
参照元:国土交通省:「一般貨物自動車運送事業に係る標準的な運賃の告示事案に関する答申について」
業界再編が進んでいる
運送業界では、業界再編が進んでいる状況です。
特に、小規模の運送会社が集約される傾向があります。
業界再編を行う際には、M&Aや吸収合併が用いられています。
ベンチャーへの投資が増えた
ベンチャー企業やIT企業への投資が増加しています。システム投資に対応できれば、消費者のニーズに合い、新規顧客の獲得や売り上げ増加につながるからです。
ただし、投資への効果が期待しにくい中小企業は、投資をためらう傾向にあり、企業間の格差が生まれています。
運送業の中小企業では、他社との差別化をどのようにして進めるかがポイントです。ベンチャー企業やIT企業に投資し、IT化の促進を進めることが大切になるでしょう。
M&Aの需要が増加している
運送業界では、M&Aの需要が増加しています。
インターネットショッピングの急成長のように、運送業に対するニーズが増加しているからです。また、経営に苦しむ企業も多く、経営改善や事業存続のために、対応が求められています。
これらの要因もあり、事業拡大や人員確保を目的にした、M&Aの需要が増しています。
運送会社の価格相場
運送会社のM&Aを行うためには、価格相場を知っておくことが大切です。価格相場が分かれば、買い手企業でも、売り手企業でも、損をする事態を避けることができます。
運送会社の価格相場は、次のように計算されるケースが一般的です。
時価純資産+営業利益の2年〜5年分=価格相場
たとえば、時価純資産が5,000万円、営業利益の5年平均が1,000万円の企業で計算をしてみましょう。この場合、次のような計算で価格相場を算出します。
5,000万円+1,000万円×5=1億円
事業譲渡の場合
事業譲渡の場合は、事業資産に事業利益の2年〜5年分を足して、相場を算出します。事業利益とは、目に見えない資産である、「のれん代」のことです。たとえば、企業が持つブランド力がのれん代に該当します。
事業譲渡で価格相場を算出する場合には、次のような計算で求めましょう。
事業資産+事業利益の2年〜5年分=価格相場
株式譲渡の場合
株式譲渡の場合は、次のような計算式で価格相場を算出します。
時価純資産+(営業利益+役員報酬)×2年から5年分=相場
大体の相場を知りたいときは、「時価純資産+営業利益の2年〜5年分」の計算式で算出すると良いでしょう。
ただし、最終的な取引価格を決める際は、企業価値をもとに決定します。企業価値を算出するための方法には、
- コストアプローチ
- マーケットアプローチ
- インカムアプローチ
などがあります。
コストアプローチ
コストアプローチとは、賃借対照表に記載された純資産をもとに、企業価値を算出する応報です。コストアプローチには、「簿価純資産法」と「時価純資産法」などがあります。
- 簿価純資産法:賃借対照表に記載された純資産をそのまま使用する
- 時価純資産法:評価時の時価純資産を使用する
コストアプローチのメリットは、客観的な企業価値を算出できる点です。
ただし、将来に発生する収益を考慮していない点には注意しましょう。
マーケットアプローチ
マーケットアプローチとは、株式市場や、過去に行われたM&A事例を参考に算出を行う方法です。マーケットアプローチには、「類似会社比較法」「類似取引比較法」などがあります。
- 類似会社比較法:対象企業と事業が似ている上場企業の株価倍率を使用する
- 類似取引比較法:過去に行われた、似ているM&A事例の価格を参考にする
マーケットアプローチのメリットは、対象企業と似ている企業や取引を参考にできることから、客観的な企業価値を算出しやすい点です。
ただし、似ている事例が見つからなかった場合には使用できなかったり、一時的に市場価値の変動の影響を受け、評価がゆがめられる点には注意しましょう。
インカムアプローチ
インカムアプローチとは、対象企業の収益性を基準に、企業価値を算出する方法です。インカムアプローチには、「DCF法」「配当還元法」などがあります。
- DCF法:将来にわたって生みだす収益を現在価値に割引いて算出する手法
- 配当還元法:予想配当金を資本還元し、算出する方法
インカムアプローチのメリットは、対象企業が持つ個別の事情を反映できる点です。そのため、企業規模を問わず、使用されています。
注意点は、売り手側が作成した事業計画書を使用する点です。インカムアプローチでは、事業計画書に記載された利益や配当金をもとに算出します。売り手側の主観が含まれていると、客観的な価値が算出しにくい点には注意しましょう。
M&Aで運送会社を買収する5つのメリット
M&Aで運送会社を買収するメリットは、次の5つです。
- 業界への新規参入が行いやすい
- 事業拡大ができる
- 設備やトラックなどを引き継げる
- 売り手企業の従業員を雇用できる
- シナジー効果が発揮される
それぞれのメリットに関して、詳しく解説します。
業界への新規参入が行いやすい
M&Aで運送会社を買収するメリットは、業界への新規参入が行いやすい点です。ゼロから事業を立ち上げるより、低いリスクで新規参入が行えます。
通常、新規事業を立ち上げるためには、「新規顧客の獲得」「従業員の採用や育成」「ノウハウ習得」など、さまざまなコストと時間が必要になります。そのため、収益が低くなることもあるでしょう。
M&Aで新規参入を行えば、すでに事業を行っている企業の従業員や顧客を引き継ぐことができます。新規参入で失敗するリスクを抑えることもできるでしょう。
事業拡大ができる
事業規模を拡大できる点も、M&Aで運送会社を買収するメリットです。
たとえば、地域のシェアを確保しやすい点があります。地域密着型の運送会社を買収できれば、自社が対応できていなかった地域のシェアを獲得できるでしょう。
設備やトラックを引き継げる
設備やトラックを引き継げる点も、運送会社の買収メリットです。運送業を行うために必要な設備を引き継ぐことで、スムーズに事業を進められます。
また、設備などを中古価格で取得できるケースもあります。M&Aを行う方が、低コストで事業拡大を行える可能性もあるでしょう。
売り手企業の従業員を雇用できる
売り手の従業員を獲得できることも、M&Aを行うメリットです。特に、トラック運転手不足の解消はポイントになるでしょう。
運送会社のニーズは、今後も増加が予想されています。M&Aを実施すれば、トラック運転手を大量に、短期間で獲得できるメリットがあります。
シナジー効果が発揮される
シナジー効果が発揮される点も、M&Aで買収を行うメリットです。シナジー効果とは、複数企業がまとまることで、大きな成果を生みだすことを指します。
たとえば、取り扱いが大変な商品を運送できる人材を獲得したことで、新しい領域に参入できるケースがあります。
また、買収の結果部門が重複し、コストが削減できるケースもあるでしょう。
企業同士が持つ得意分野を集めることで、売り上げ増加やコストカットなどが期待できます。
M&Aで運送会社を売却する5つのメリット
M&Aで運送会社を売却するメリットは、次の5つです。
- 売却で利益が得られる
- 後継者問題を解決できる
- 従業員の雇用を維持できる
- 経営基盤が安定する
- 債務を解消できる
それぞれ解説します。
売却で利益が得られる
M&Aで運送会社を売却することで、利益を得られます。経営引退後の資金を獲得でき、生活を楽にできるでしょう。
株式譲渡を行った場合は、経営者が株式を売却した利益を獲得できます。事業譲渡を行った場合は、会社が事業を売却した際の利益を獲得できます。
企業を売却した場合、営業利益数年分の利益を得られるケースが一般的です。もし、廃業を選んでしまうと、資金を得られず、手続きに費用が掛かってしまいます。廃業を選ぶのであれば、会社売却の方が良いケースも多くなります。
後継者問題を解決できる
後継者問題を解決できる点も、M&Aで運送会社を売却するメリットです。経営が安定していても、後継者がいない企業は、廃業を選ばざるを得なくなります。
M&Aで第三者に事業承継を行えば、後継者問題を解決できます。事業はもちろん、育ててきたノウハウや技術を残せる点も、メリットになるでしょう。
従業員の雇用を維持できる
従業員の雇用を維持できる点も、M&Aで売却するメリットです。M&Aであれば、従業員の雇用が買い手企業に引き継がれ、仕事を失わずに済みます。
もし、廃業を選択してしまえば、雇用していた従業員は職を失ってしまいます。従業員のことを考えると、雇用が引き継がれるM&Aを選択することも大切です。
経営基盤が安定する
経営基盤が安定するのも、売り手側のメリットです。
大手企業のグループに入ることで、安心して事業を継続できるでしょう。
また、大手企業のグループに入った場合、グループが持つブランドイメージやネットワークを活用できるようになります。自社だけで事業を行うよりも、成長速度や売上にプラスの影響が出るでしょう。
債務を解消できる
M&Aを行うことで、債務を解消できるメリットがあります。
株式譲渡で会社ごと譲渡する場合、自社が抱えている債務も合わせて承継されるからです。
また、経営者保証ガイドラインの条件を満たせば、個人保証の解消も可能になります。
抱えていた債務がなくなれば、経営者は安心して今後の生活を送れるようになります。ストレスや不安から解消される点もメリットでしょう。
参照元:中小企業庁「経営者保証」
M&Aで運送会社を買収する3つのデメリット
M&Aで運送会社を買収するデメリットは、次の3つです。
- 簿外債務が見つかる
- 従業員が流出してしまう
- のれんの減損で業績が悪化する
それぞれのデメリットに関して解説します。
簿外債務が見つかる可能性がある
M&Aで買収を行う場合、簿外債務に注意しましょう。簿外債務とは、賃借対照表に記載されていない債務のことです。たとえば、従業員に対する未払いの賃金や、債務保証が該当します。
企業買収で株式譲渡を採用する場合、負債もまとめて引き継がれます。簿外債務を見落としてしまうと、将来的に損をしてしまうでしょう。
簿外債務を見落とさないためにも、デューデリジェンスの実施が重要です。もし、簿外債務のリスクを発見した場合には、事業譲渡に切り替えてM&Aを進めることもできます。
従業員が流出してしまう
M&Aで買収する場合、従業員が流出してしまわないように注意しましょう。特に、優秀な人材を獲得するのは、M&Aを行ううえで重要です。
従業員が流出してしまうケースには、「労働条件が合わなかった」「買い手企業の従業員と対立してしまう」などのケースがあります。
M&Aで運送会社を買収する際には、従業員が流出してしまうリスクを想定して計画を立てましょう。売り手企業から引き継ぐ従業員が勤務しやすいように、自社の環境を整えることも必要です。
のれんの減損で業績が悪化する
のれんの減損を行うことで、業績が悪化するデメリットもあります。
のれんとは、ブランド力や顧客リストのような、目には見えない資産のことです。M&Aで買収価格を決める際には、のれんの価値も合わせて算出を行います。
M&A後の事業が予定通り進めば、買収時に掛かったのれん代の回収が可能です。しかし、経営がうまくいかず、想定していた利益がでない場合もあるでしょう。
のれん代が回収できない場合、株式評価損、または減損損失で計上を行います。多額の損失計上に該当し、業績悪化につながる点は注意しましょう。
M&Aで運送会社を売却する3つのデメリット
M&Aで運送会社を売却するデメリットは、次の3つです。
- 希望条件を満たせない
- 従業員や取引先から反発を受ける
- 競業避止義務が課される
それぞれ解説します。
希望条件を満たせない
M&Aで売却したいと考えても、希望条件を満たせない場合があります。条件が合わないことで、M&Aを止めてしまったり、事業承継が実施できなくなる企業も発生するでしょう。
また、買い手との交渉が始まっても、希望条件を必ず満たすとは限りません。買い手企業は、売り手企業の経営状況や、M&A後のシナジー効果などを判断しながら条件を決めます。提示された条件が希望とは合わず、納得できないこともあるでしょう。
希望条件で売却を進めるためには、企業価値の向上に力を入れたり、余裕をもって交渉相手を探すことが大切です。
取引先から反発を受ける
M&Aを行うことで、取引先から反発を受ける可能性があります。支配権が買い手企業に移行した結果、契約や料金設定などが変更されてしまう場合があるからです。十分な説明がないまま変更が行われると、反発を受けてしまうでしょう。
運送会社の売却を行う際には、取引先から反発を受けるような変更を実施しないよう、決めておくと良いでしょう。また、顧客に対して、M&Aを行うことを伝え、説明しておくことも大切です。
競業避止義務が課される
M&Aで売却した結果、競業避止義務が課せられる場合があります。会社法第21条にて、「譲渡企業は、譲受企業と競業避止義務に関しての取り決めがなくても、同一の市町村と隣接する市町村の区域内では、20年間同一事業を行ってはならない」と定められているからです。
会社を売却したのち、新規事業を始めようと考える経営者もいます。契約内容や法律を確認し、競業避止義務が課されているか確認しましょう。
参照元:e-Gov法令検索「会社法第21条」
運送会社のM&Aは運送業許可に注意する
運送会社のM&Aを行う場合、運送業許可に注意しましょう。
貨物自動車運送事業法第30条で、「般貨物自動車運送事業の譲渡しおよび譲受けは、国土交通大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない」と定められているからです。
また、事業譲渡の認可申請を行う場合は、譲渡譲受認可申請が必要です。譲渡譲受認可申請では、次のような内容を記載します。
- 譲渡渡および譲受人の氏名・名称・住所(法人の場合は代表者の氏名)
- 事業の種別
- 譲渡および譲受しようとする事業の種別・営業区域
- 譲渡価格
- 譲渡・譲受を予定する時期
- 譲渡・譲受を必要とする理由
また、申請時には、次の書類を添付しましょう。
- 譲渡譲受契約書の写し
- 事業譲渡価格の明細書
- 定款・資産目録・貸借対照表などの資料(譲受側が一般貨物自動車運送事業を経営していない場合)
運送会社のM&Aでは、運送業許可は自動的に引き継がれません。許可取得の手続きを実施しましょう。
参照元:e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業法第30条」
参照元:関東運輸局「一般貸切旅客自動車運送事業の譲渡譲受認可申請について」
参照元:関東運輸局「譲渡譲受認可申請書様式」
参照元:e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業法施行規則第17条」
運送業許可を引き継ぐ要件
運送業許可を引き継ぐためには、定められた要件を満たしている必要があります。
貨物自動車運送事業法の第30条3項で、「第5条および第6条の規定は、前2項の認可について準用する」と定められているからです。
許可を引き継ぐ要件に関しては、次のようなものがあります。
- 運送事業の運営に必要な資源が確保されている
- 運行管理者・整備管理者・運転者の確保ができている
- 運転事業に必要な資金を確保している
運送業許可を引き継ぐ要件は、複雑です。専門家に相談をしながら進めるようにしましょう。
参照元:参照元:e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業法第30条」
参照元:関東運輸局「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可申請の処理方針について」
M&A仲介会社を選ぶ4つのコツ
M&A仲介会社を選ぶコツには、次の4つが挙げられます。
- 業界特化型で選ぶ
- 自社と同じ規模や業種でのM&A実績があるか確認する
- 専門家との連携があるM&A仲介会社にする
- 料金体系の種類で選ぶ
それぞれの選び方に関して、解説します。
業界特化型で選ぶ
M&A仲介会社は、業界特化型か、特化していないかで選ぶことができます。業界特化型の場合、特定の業界に詳しいメリットがあります。運送業界に特化したM&A仲介会社であれば、運送業界ならではのポイントまで気づいてもらえるでしょう。
非特化型の場合は、異業種も含めて幅広い範囲でM&Aが行えるメリットがあります。同業では考え付かない効果が発生するケースもあるでしょう。
自社と同じ規模や業種でのM&A実績があるか確認する
M&A仲介会社を選ぶ際には、自社と同じ規模や業種での実績があるか確認しましょう。自社と同規模などで実績を持つM&A仲介会社であれば、安心して相談ができます。
また、実績が多いM&A仲介会社ほど、「交渉のスムーズな進め方」「企業価値を高めるポイント」なども把握しています。
実績から、自社が安心して依頼できるM&A仲介会社を探しましょう。
専門家との連携があるM&A仲介会社にする
専門家との連携がある、M&A仲介会社を選ぶこともポイントです。M&Aでは、法務や会計など、専門的な知識が求められます。弁護士のような専門家との連携ができていると、スムーズにM&Aを進められるでしょう。
もし、専門家との連携がない場合、自社で手続きを進めたり、外部に依頼をしたりしなければなりません。M&Aを進めやすくするためにも、専門家との連携や人脈があるか確認しましょう。
料金体系の種類で選ぶ
料金体系で選ぶことも、M&A仲介会社を選ぶコツです。料金体系は、分かりやすく、無理のないものを選びましょう。
資金に不安がある場合は、完全成功報酬型のM&A仲介会社を選ぶと良いでしょう。M&Aが成立してから、料金の支払いを行えます。また、着手金や中間報酬が不要のM&A仲介会社もあります。M&A前の資金で不安があっても、相談できるでしょう。
運送会社のM&Aを成功させる4つのポイント
運送会社のM&Aを成功させるポイントは、次の4つです。
- シナジーが発揮できる案件を探す
- 適正な相場を調べる
- 税金対策を行う
- 運送業に詳しいM&A仲介会社を選ぶ
シナジーが発揮できる案件を探す
運送会社のM&Aでは、シナジーが発揮できる案件を探しましょう。
シナジー効果を発揮させるためには、次のようなポイントが重要です。
- 事業内容
- トラック運転手
- 車両などの設備
- 営業エリア
事前に調査を行ってから、M&A相手を選ぶことが大切です。
適正な相場を調べる
M&A実施に向け、適正な相場を調べるようにしましょう。相場を調べないことで、損をしてしまう場合もあります。条件面だけに注目しないよう、気を付けましょう。
適正な相場を知るためには、専門家の力が欠かせません。M&A仲介会社に相談し、価格で損をしないようにしましょう。
税金対策を行う
運送会社のM&Aを行う場合、税金対策を実施しましょう。M&Aでは、高額の税金が発生するからです。
また、事業承継を目的にするM&Aでは、贈与税の考慮がしてもらえる制度があります。活用できる制度は有効活用し、M&Aを進めましょう。
運送会社に詳しいM&A仲介会社を選ぶ
運送会社のM&Aを行うためには、運送会社に詳しいM&A仲介会社を選びましょう。運送業許可の引継ぎや、トラック運転手との雇用契約など、業界ならではの知識や経験が必要になるからです。
M&A仲介会社ごとに、得意とする業界や会社規模は異なります。自社のニーズに合ったM&A仲介会社を選びましょう。
運送会社のM&A事例
ここでは、運送会社のM&A事例を紹介します。
譲渡企業
所在地:大阪府摂津市
事業内容:物流業・倉庫業
資本金:1,800百万円
売上高:73,031百万円
M&Aのスキーム
株式譲渡
M&Aの目的
譲受企業は、物流事業を手掛ける大手企業です。今回のM&Aは、今後の成長に向け、電機業界の物流プラットフォーム構築の目的で実施されました。譲渡企業側にも、総合物流企業のノウハウを活用し、競争力向上が期待できるメリットがあります。また、M&A実施後も、譲渡企業のサービスレベルは維持すると表明されています。
まとめ
運送会社では、事業拡大や人員確保を目的にするM&Aが増加しています。その背景には、経営に苦しむ企業や、トラック運転手の確保が難しくなった企業が増えていることも影響しています。
運送会社のM&Aを行うためには、運送業界ならではのポイントを知っておくことが大切です。たとえば、運送業許可に関しては、専門家に相談しながら進めることが必要でしょう。調べずにM&Aを進めた結果、許可の引継ぎができず、事業が行えなくなる可能性もあります。
運送会社のM&Aを成功させるためには、M&A仲介会社の協力が欠かせません。
レバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社は、各領域に特化したM&Aサービスを提供する仲介会社です。運送会社のM&Aでも、実績を積み重ねたコンサルタントが、相談から成約まで一貫してサポートを行います。
料金に関しては、M&Aの成約時に料金が発生する、完全成功報酬型です。
M&A成約まで、無料でご利用いただけます(譲受側のみ中間金あり)。
相談に関しては、無料で実施しています。
運送会社のM&Aを検討している際には、お気軽にお問い合わせください。