事業承継対策で生命保険を活用するメリットは?活用方法や注意点を解説

2024年1月11日

事業承継対策で生命保険を活用するメリットは?活用方法や注意点を解説

このページのまとめ

  • 事業承継で生命保険を活用するケースが増えている
  • 事業承継で生命保険を活用するメリットは後継者に資金を残せる
  • 事業承継で使用する生命保険には、定期保険や長期平準定期保険がある

将来の事業承継に向けて、生命保険を活用するケースが増加しています。急な事業承継が行われることで、経済的負担に苦しむ経営者が多くいるからです。中小企業庁の調査でも、事業承継時に「経営者保証付き融資」があることで、事業承継が拒否されるケースが約6割と示されています。本記事では、事業承継で生命保険の活用を検討する方に向けて、メリットや活用できる保険を解説します。

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事業承継に生命保険を活用するケースが増加している 

近年では、事業承継に生命保険を活用するケースが増加しています。事業承継に掛かる費用を、生命保険で対策できるからです。生命保険を利用した場合、後継者に対して、事業継承に掛かる資金を残すことができます。また、生命保険を活用し、自社株式の評価額を下げることで、対応するケースも増加しています。

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事業承継で発生しやすい問題 

事業承継実施に向けて、発生しやすい問題を知っておくことも大切です。事業承継は予期せぬトラブルも起こるため、事前に対策を行いましょう。よくある問題に関しては、次のような内容があります。

  • 経済的な負担が発生する
  • 突然事業承継が発生する
  • 相続トラブルが起こる
  • 経営者保証付き融資の存在がある

経済的な負担が発生する

事業承継の実施には、経済的な負担が発生すると知っておきましょう。対策しなければ、予想外の出費に悩まされることになります。たとえば、株式を相続、または贈与した場合、相続税や贈与税などの税金が必要です。また、株式を譲渡した際には、株式取得の対価が必要になるため、ここでも資金が必要です。このように、事業継承の実施には、経済的な負担が発生します。資金がないと事業継承が実施できなくなるため、生命保険を活用して対策を行いましょう。

突然事業承継が発生する

事業承継は、突然発生するケースもあります。現経営者が体調を崩し、事業が継続できなくなったり、突然亡くなったりするケースがあるからです。突然事業承継が発生した場合、予想される問題が資金面です。事業承継で必要な資金はもちろん、引き継いだ後の事業がうまくいかず、収益が下がる可能性もあります。このように、事業承継が突然発生し、資金が苦しくなる可能性に注意しましょう。

相続トラブルが起こる

事業承継では、相続トラブルも発生します。自社株の分散や代償分割が実施できないケースがあるからです。たとえば、後継者以外の相続人に代償金を支払いたくても、資金が足りずに代償分割ができないケースがあります。また、後継者以外の相続人に、財産分割で自社株を分割した結果、経営に参入されるトラブルもあります。このように、事業承継では、相続トラブルにも注意が必要です。資金がないことで、代償分割ができずに悩む企業も増加しています。

経営者保証付き融資の存在がある

事業承継で注意したい問題が、経営者保証付き融資です。事業承継で経営者保証付き融資を承継した結果、資金に苦しむケースもあります。中小企業庁によると、経営者保証付き融資を利用している企業は、86.7%でした。また、経営者保証付き融資を理由に事業承継を拒否したケースが、59.8%あるとも示されています。このように、経営者保証付き融資の存在は、事業承継に向けた大きな壁になっています。スムーズな事業承継を行うために、対策を行うことも必要です。

参照元:中小企業庁「事業承継時の経営者保証解除に向けた総合的な対策について

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事業承継で生命保険を活用するメリット 

事業承継での問題を解決するためには、生命保険が効果的です。事業承継で生命保険を活用する場合、次のようなメリットがあることを知っておきましょう。

  • 事業資金を確保できる
  • 後継者に資金を残せる
  • 相続税や贈与税に充てられる
  • 自社株の評価額を下げられる

1.事業資金を確保できる

事業承継で生命保険を活用するメリットは、事業資金を確保できる点です。生命保険で受け取った保険金を、事業資金に使用できます。たとえば、経営者が突然亡くなってしまうケースもあるでしょう。その場合、生命保険を活用して事業を進めたり、債務を支払ったりできます。このように、事業継承の場面でも、生命保険が役立ちます。

2.後継者に資金を残せる

後継者に資金を残せる点も、事業承継で生命保険を活用するメリットです。後継者に残す資金を用意できていない場合でも、安心できます。たとえば、すぐに事業承継を行うと考えておらず、後継者に資金を残していないケースもあります。突然事業承継が行われた後継者が、資金もなく悩むこともあるでしょう。生命保険を活用すれば、経営者が亡くなってしまった場合でも、資金を残すことができます。このように、後継者が苦労しないようにするためにも、生命保険が効果的です。

3.相続税や贈与税に充てられる

生命保険で得た資金は、相続税や贈与税にも充てられます。事業承継で発生する税金対策になるでしょう。事業承継では、株式を譲渡するケースもあります。その場合、相続税と贈与税の支払いを行わなければなりません。このとき、生命保険を活用すれば、税金の支払いが問題なくできるでしょう。株式の売却は、相続税や贈与税の支払いのために実施できません。税金対策のためにも、生命保険が重要です。

4.自社株の評価額を下げられる

自社株の評価を下げられる点も、事業承継で生命保険を活用するメリットです。保険料を会社が支払うことで資産が減り、自社株の評価額に影響するからです。自社株の評価額が高いと、株式を取得する際の費用も増えてしまいます。後継者の経済的負担になるでしょう。このように、生命保険を活用して自社株の評価を下げておけば、事業承継で発生する負担を軽減できます。

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事業承継で生命保険を活用するデメリット 

事業承継で生命保険を活用する場合、デメリットに注意が必要です。次のようなデメリットが想定されるため、注意しましょう。

  • 保険料の支払いが必要
  • 解約時期によっては損をする
  • 保険金や解約返戻金には納税が必要

1.保険料の支払いが必要

生命保険に加入するためには、保険料の支払いが必要です。会社の資金が必要になることは覚えておきましょう。保険料が高いと負担になり、安いと保証が少なくなります。そのため、あらかじめ事業承継を見越して、加入を行うことが大切です。どのような保険が良いか、複数を比較し、加入するようにしましょう。

2.解約時期によっては損をする

生命保険の解約時期によっては、損をするため注意しましょう。想定よりも少ない金額しか受け取れないケースもあるため、注意が必要です。返戻金のタイミングも意識して、生命保険を活用しましょう。

3.保険金や解約返戻金には納税が必要

保険金や解約返戻金を受け取る際、納税が発生するケースがあります。税金の額は契約者・受取人の関係により異なり、契約者と受取人が別の場合は贈与税の課税対象になります。

契約形態契約者被保険者保険金の受取人税金の種類
契約者と受取人が同一AA(あるいは他者)A所得税・住民税
契約者と受取人が異なるAA(あるいは他者)A以外の者贈与税

課税対象額は、以下の計算式で求めます。

契約者と受取人が同一の場合:課税一時所得=「(満期保険金・解約払戻金-正味払込保険料)-特別控除額(50万円)×1/2

契約者と受取人が異なる場合:課税対象額=満期保険金・解約払戻金-基礎控除(110万円)

他にも贈与がある場合は合算します。110万円を超える場合は差し引いた額に課税されるため、金額によっては高額な納税額になる可能性があるでしょう。

納税のことも考え、加入する保険商品や加入期間・解約時期などを考えるようにしてください。

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事業承継に活用できる保険の種類 

事業承継で生命保険を活用する場合に備えて、どのような保険が活用できるか知っておきましょう。事業承継では、次の4つの保険を活用できます。

  • 定期保険
  • 終身保険
  • 逓増定期保険
  • 長期平準定期保険

1.定期保険

定期保険とは、利用できる期間が定められた保険のことです。契約期間内に条件を満たさなかった場合は、そのまま契約終了となります。定期保険のメリットは、保険料が安くなる点です。しかし、保険料が掛け捨てになるケースが多いため、注意しましょう。解約しても、返戻金がないケースもあるため、確認が必要です。

2.終身保険

終身保険とは、契約者が亡くなるまで効果を発揮する保険のことです。契約者が亡くなることで、保険金の支払いが行われます。そのため、資金が必要になる事業承継で活用する際に、向いている保険です。注意点は、定期保険よりも保険料が高くなる点です。企業の資金と相談して選びましょう。

3.逓増定期保険

逓増定期保険とは、経営者向けに用意された、生命保険の1つです。死亡時の保証金額が徐々に上がり、最大5倍まで上昇する特徴を持ちます。特徴は、解約時の返戻金のピークが早く、途中解約を行うと損になりやすい点です。5年から10年で返戻金のピークを迎えるため、近い将来に事業承継を行う場合は、効果的な生命保険です。

4.長期平準定期保険

長期平準定期保険も、経営者向けに用意された生命保険です。定期保険よりも、保証期間が長い特徴を持ちます。基本的には、契約期間が決められており、必要な保険料も一定です。また、定期保険とは違い、解約時に返戻金が戻ってくるケースが多い点も特徴です。

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事業承継における保険の活用方法

上記で紹介した4種類の保険についてどのように活用するかは、事業承継の時期が決まっている場合と決まっていない場合で異なります。

それぞれの場合について、詳しくみていきましょう。

事業承継時期が決まっている場合

事業承継時期が決まっている場合は、契約期間が定められている定期保険を事業承継時まで利用することで保険料を安く抑えられます。

時期が決まっていても、比較的長期間の事業承継対策をする場合は解約返戻率のピークが20〜30年程度の期間に設定されている長期平準定期保険が向いています。10年程度を予定している場合は、解約返戻率のピークが10年前後に設定されていることの多い逓増定期保険がおすすめです。

事業承継時期が決まっていない場合

事業承継が決まっておらず、生涯経営者でいたいという場合、解約をしない限り保障期間が続く終身保険がおすすめです。一生涯保障が続く保険のため、経営者がいくつで亡くなっても必ず死亡保険金が支払われます。

また、事業承継が決まっていない場合、長期平準定期保険がおすすめです。保険料の変動がなく、定期保険のように保険料負担を抑えながら、終身保険のような長期間の保障が得られます。

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事業承継に保険を活用する注意点 

事業承継で保険を活用するために、注意点も知っておきましょう。効果的に生命保険を活用するためにも、次のような点に関して事前に意識してください。

  • 将来の資金も考えて利用する
  • 納税のタイミングに注意する
  • 節税対策には利用できない
  • 事業承継の時期を決めておく

将来の資金も考えて利用する

生命保険を活用する場合は、将来の資金も考えて実施しましょう。保険料が高額になることで、資金が苦しくなる可能性があるからです。保険料が原因で事業が行えなくなれば、本末転倒でしょう。また、資金が苦しくなると、保険を解約するケースも出てきます。契約によっては、返戻金のピーク前に解約し、損をする可能性もあります。このように、生命保険を活用する場合は、将来の資金も考えておきましょう。資金が苦しくならないように、計算が必要です。

節税対策には利用できない

生命保険は節税対策に利用できないため、注意しましょう。2019年に法改正が行われ、節税目的の生命保険が利用できなくなっています。以前は保険料を損金扱いで使用できていたことから、現在も勘違いしているケースがあります。法改正により、生命保険を利用した節税対策はできなくなっていることを知っておきましょう。

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まとめ

事業承継で後継者を不安にさせないために、生命保険を活用する経営者が増加しています。生命保険を活用しておくことで、後継者に資金を残すことができ、事業承継も行いやすくなるでしょう。注意点は、生命保険の種類やタイミングを間違えると、損をしてしまう点です。あらかじめ将来の資金も考えて、準備するようにしましょう。事業承継をスムーズに行うためにも、生命保険を活用してください。

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