IT業界のM&A動向は?M&Aの事例や実施方法を解説
このページのまとめ
- IT業界のM&Aは、増加傾向にある
- 大手企業のM&Aや、WebサービスのM&Aも盛ん
- IT業界でM&Aを成功させるためには、仲介会社のサポートが大事
IT業界のM&Aは、活発な傾向を見せています。Webサービスの利用者が増加し、IT業界の仕事が増えているからです。事業拡大を目的にしたM&Aや、人員確保を目的にしたM&Aが増加しています。M&Aを成功させるためには、M&Aの知識を入手し、信頼できるM&A仲介会社を選ぶことが大切です。本記事では、IT業界のM&A動向や事例、仲介会社の選び方などを解説します。
IT業界でのM&A動向
IT業界でM&Aを行うためには、M&Aの動向を知っておくことが大切です。まず、IT業界のM&Aは、年々増加傾向にあります。人材不足に悩む企業や、経営改善を図る企業が増えているからです。その一方で、事業拡大を目指す企業も増えており、買い手側の需要も増加しています。また、IT業界でM&Aを行うためには、業種ごとの特徴を知ることも欠かせません。業種ごとに、どのようなM&Aが行われているのか見てみましょう。
Web業界の場合
Web業界は、インターネットはもちろん、スマートフォンのような端末が普及したこともあり、活発に動いている業界です。Web業界のM&Aでは、広告代理店が絡む傾向にあります。現代では、Web広告も一般的になり、広告業界もアナログからデジタルに力を入れ始めました。その結果、広告代理店がWeb業界に参入するために、M&Aを活用するケースが増加しています。
通信インフラ業界の場合
通信インフラ業界も、拡大が続いている業界です。インターネットなどの利用者が増加していることから、拡大が続いています。通信インフラ業界の場合、新規参入のM&Aが増えている傾向にあります。市場が拡大していることから、通信インフラ業界以外の企業が、利益拡大を目指して参入を続けている状況です。
ハードウェア業界の場合
ハードウェア業界では、同業はもちろん、ソフトウェア業界とのM&Aが増加しています。ハードウェアとソフトウェア両方の事業を行うことで、経営が安定しやすくなるからです。また、IOTの技術拡大を目指し、M&Aを行うケースも増加しています。
ソフトウェア業界の場合
ソフトウェア業界の市場も、増加傾向にあります。ソフトウェア業界に新しく参入する企業も増えているからです。その一方で、最新技術の獲得を目指したり、人員確保を目的とするM&Aが増加しています。たとえば、ソフトウェア業界の企業がハードウェア業界の企業をM&Aし、経営基盤の安定や拡大を目論むケースです。
情報処理サービス業界の場合
情報処理サービス業界の場合は、人員増加を目的にしたM&Aが増えています。案件に対して、人材の少ない状況が続いているからです。IT業界全体で人材不足は問題になっていますが、情報処理サービスは特に人材不足です。そのため、M&Aを実施し、優秀な人材を獲得するケースが増加しています。
IT業界でM&Aが増加する理由
IT業界でM&Aが増加する背景には、どのような理由があるのでしょうか。現在のIT業界では、次のような傾向があることを知っておきましょう。
- 人材不足に悩む企業が多い
- 経営改善に効果がある
- 事業拡大を進めやすい
人材不足に悩む企業が多い
IT業界でM&Aが進む背景には、人材不足で悩む企業の多さが挙げられます。M&Aは、人材を獲得する際に、効率良く獲得できるため、利用されている状況です。現代は、インターネットの普及や技術革新もあり、ITサービスが急速に伸びています。利用者も多く、ITが身近にある状態です。その一方で、ITサービスを担う人材が不足しており、社会の状況に追いついていません。その結果、IT業界では人材不足が発生しています。
このような背景から、人材不足に悩む企業が多く、人材確保が行いやすいM&Aが実施されています。M&Aであれば、企業や事業全体を獲得できるため、人材を個別に採用するよりも効率的に人員を集められるでしょう。
経営改善に効果がある
IT業界のM&Aは、経営改善にも効果があります。IT業界は伸び続けている業界であり、利益を上げやすいからです。経営者のなかには、新規参入を行い、利益拡大を目指すケースもあります。その際、活発に動いているIT業界は手を出しやすい業界です。また、新規参入を一から行うよりも、M&Aで買収したほうがスムーズに新規参入ができます。このように、IT業界でM&Aが増加する背景には、経営改善に効果がある点も挙げられます。
事業拡大を進めやすい
事業拡大が進みやすい点も、IT業界でM&Aが進む理由です。自社を拡大するために、企業をM&Aで買収した方が効率も良くなるでしょう。M&Aの場合、すでにある設備や従業員も含めて買収可能です。また、すでに利益を上げている企業を買収でき、事業拡大で起こるリスクを減らすこともできます。このように、事業拡大を進めやすいことも、IT業界でM&Aが増加する理由です。
IT業界のM&Aを行う方法
IT業界でM&Aを行うには、どのように進めると良いのでしょうか。ここでは、IT業界でM&Aを行うために、まず行いたいことを紹介します。何から始めて良いか分からない場合、次のような行動を起こしてみましょう。
- マッチングサービスを使う
- 金融機関に相談する
- M&A仲介会社に相談する
マッチングサービスを使う
M&Aの案件を探す場合、マッチングサービスを使いましょう。M&Aの買い手と売り手をマッチングするサービスが運営されています。マッチングサービスの特徴は、マッチング成立まで、無料で使用できるサービスが多い点です。そのため、案件を探す際に、コストを抑えることができます。注意点は、案件を探したあとのフォローが少ない点です。交渉や手続きなどのアドバイスはもらえないため、注意しましょう。
金融機関に相談する
銀行などの金融機関も、M&Aの相談にのってくれます。また、資金調達のサポートもしてもらえるでしょう。金融機関の場合は、人脈が多く、M&Aの専門家紹介に力を発揮します。たとえば、M&Aに欠かせない弁護士や税理士などです。また、民間のM&A仲介会社と連携しているケースも多く、M&Aに関する専門家を紹介してもらえるでしょう。
M&A仲介会社に相談する
M&A全体のアドバイスがほしい場合は、M&A仲介会社に相談しましょう。M&A全般のアドバイスがもらえるため、M&Aの知識がない経営者も安心です。M&A仲介会社であれば、これまでの実績から、契約や手続きなども含め、契約成立までサポートがもらえます。また、案件情報も集まるため、案件の探し方が分からない場合も安心です。M&Aを実施したい場合は、まずはM&A仲介会社に相談すると良いでしょう。
IT業界でのM&Aには仲介会社が不可欠
IT業界でM&Aを行うためには、仲介会社が不可欠です。自社だけでM&Aを行うと、大変なことを知っておきましょう。ここでは、IT業界でM&Aを行う際に、なぜ仲介会社が必要なのかを解説します。
- M&Aに関する情報収集が難しいから
- M&A案件を探すことが難しいから
- M&A成功には専門家のアドバイスが欠かせないから
M&Aに関する情報収集が難しいから
IT業界でM&Aを行うために仲介会社が欠かせない理由は、M&Aに関する情報収集が難しいからです。M&Aの情報は少なく、自社だけで情報収集を進めることは大変です。また、M&Aを成功させるためには、案件や相場のような、最新情報も欠かせません。このようなM&Aの情報を持っているのが、M&A仲介会社です。M&A仲介会社を活用し、M&Aに必要な情報を得ることが必要になります。
M&A案件を探すことが難しいから
M&Aの案件探しが難しいことも、M&A仲介会社の活用が不可欠な理由です。自社の人脈でM&Aの案件を探すことは難しいでしょう。一般的に、自社の周りでM&Aを行いたい企業を探しても、なかなか見つかりません。また、候補も少なく、自社のニーズに合わないケースも多いでしょう。そのため、M&Aを成功させるためには、M&Aの案件を数多く持つ、M&A仲介会社の活用が欠かせません。より多くの案件からM&Aを実施できるように、仲介会社を活用しましょう。
M&A成功には専門家のアドバイスが欠かせないから
M&Aを成功させるためには、専門家のアドバイスは欠かせません。自社だけでM&Aを進めることは難しいでしょう。M&Aが難しい理由に、法律に関わる部分が多いことが挙げられます。たとえば、M&A自体が会社法に基づいているため、法律に詳しいことが求められます。また、契約書の作成、登記なども行う必要があり、経営者や自社の担当者だけでは難しいでしょう。このような理由から、M&Aを成功させるためには専門家のアドバイスが欠かせません。M&Aを専門にしている、M&A仲介会社のサポートを受けるようにしましょう。
IT業界のM&Aで仲介会社を選ぶポイント
IT業界のM&Aを成功させるためには、仲介会社の選び方もポイントになります。どのような点に注目して、仲介会社を選ぶと良いか知っておきましょう。具体的には、次の4つに注目すると、良い仲介会社を選ぶことができます。
- IT業界のM&A実績がある
- 紹介してもらえる案件数が多い
- 自社と同じ規模のM&A実績がある
- 料金体系が明確
IT業界のM&A実績がある
M&A仲介会社を選ぶ際には、IT業界のM&A実績で選びましょう。M&Aを行う業界の実績があることは、M&Aを成功させるために大切です。M&Aは、業界ごとに違った特徴があります。たとえば、IT業界の場合、ソフトウェア業界とハードウェア業界のシナジーを目指してM&Aを行う企業が多い状況です。また、人材獲得に向けたM&Aを行う企業も多く、人材に焦点を当てて進めることも求められます。このように、M&Aは業界ごとに傾向が変わります。そのため、IT業界のM&A実績があり、IT業界に強い仲介会社を選ぶようにしましょう。
紹介してもらえる案件数が多い
紹介してもらえる案件数が多いことも、M&A仲介会社選びでは大切です。案件数が多いほど、M&Aの成功確率が上がります。たとえば、案件数が多い場合、自社のニーズやシナジーに合った案件を選びやすくなります。M&Aの目的を達成しやすくなるでしょう。一方で、選べる案件数が少ない場合、無理にM&Aを進めてしまう可能性があります。すると、シナジーも発生せず、M&Aの成果が実感できなくなるでしょう。このように、紹介してもらえる案件数が多いことも、M&A仲介会社選びでは大切です。
自社と同じ規模のM&A実績がある
自社と同規模のM&A実績があるM&A仲介会社か確認しましょう。会社の規模によっても、M&Aの特徴や傾向が変わるためです。たとえば、大企業の場合、多くの施設や従業員がいるため、調査する量や契約も増える可能性があります。そのため、中小企業で実績を持っているM&A仲介会社が、大企業の案件を担当した場合、勝手が違うために苦労するケースも出てくるでしょう。このように、会社の規模によっても、M&Aの傾向やポイントは変わります。できるだけ、自社と同規模のM&A実績を持つ仲介会社を選びましょう。
料金体系が明確
料金体系が分かりやすいことも、仲介会社選びでは大切です。余計な料金を払わないように注意しましょう。料金体系が明確な仲介会社の場合、対応内容ごとに料金が決まっていたり、月額で対応してくれたりします。一方で、料金体系が曖昧な仲介会社は、追加料金が次々に発生するケースもあります。M&Aを行う際は、予算の関係もあるでしょう。料金体系が明確で、曖昧な追加料金が発生しない仲介会社を選びましょう。
IT業界でM&Aを行うメリット
IT業界でM&Aを行うことで、発生するメリットも知っておきましょう。IT業界でM&Aを行う場合、次のようなメリットが期待できるため、参考にしてください。
- 人材不足を解消できる
- 経験者を獲得しやすい
- 異業種からも参入できる
人材不足を解消できる
人材不足を解消できる点は、IT業界でM&Aを行うメリットです。IT業界では、人手不足に悩む企業が多くあります。IT業界は、サービスが広まる半面、技術者が少ない業界です。そのため、案件が増えた結果、対応する人員が足りない企業も増加しています。M&Aを実施すれば、多くの人員を一度に獲得可能です。新しく採用活動を行うことなく、人材不足を解消できるでしょう。
経験者を獲得しやすい
経験者を獲得しやすい点も、M&Aのメリットです。新しく獲得する従業員は、相手企業ですでに業務を行っている従業員だからです。M&Aの場合、相手企業の既存従業員を獲得できます。そのため、すでに業務に従事している経験者なことがほとんどでしょう。自社で採用する場合、経験者を探すことは大変です。M&Aであれば、経験者をまとめて採用できるため、大きなメリットになります。
異業種からも参入できる
異業種から参入しやすい点も、M&Aのメリットです。M&Aの場合、設備や従業員をまとめて獲得できます。一から事業を始めようとすると、設備や人員の確保が大変です。事業を始めた結果、軌道に乗らないケースも出てくるでしょう。一方で、M&Aはすでに利益を上げている企業を獲得できます。失敗のリスクを軽減できるため、異業種からも新規参入しやすい点が、ポイントです。
IT業界でM&Aを行うデメリット
IT業界でM&Aを行う場合、デメリットも知っておくことが大切です。次のようなデメリットが発生する可能性に注意しましょう。
- 簿外債務のリスクが生じる
- 従業員が離職する可能性がある
簿外債務のリスクが生じる
IT業界でM&Aを行う場合、簿外債務に注意しましょう。想定外のリスクを背負う可能性があります。簿外債務とは、帳簿上では分からない債務や借金のことです。簿外債務に気づかないままM&Aを行うと、大きな損失が生まれる可能性もあるため注意しましょう。簿外債務を見つけるためには、売り手企業の調査を行うことが大変です。M&A仲介会社のような専門家に相談し、企業調査を実施するようにしましょう。
従業員が離職する可能性がある
M&Aを行う際に、従業員が離職する可能性がある点に注意しましょう。従業員を必ず再雇用できるとは限りません。M&Aを行う場合、従業員と個別に契約を結びなおすパターンがあります。この際、従業員から信頼されていなければ、再雇用を断られるかもしれません。離職を防ぐためには、M&Aを行うことを説明し、理解をもらうことが大切です。従業員が離職する可能性もあるため、コミュニケーションをとり、再雇用できるようにしておきましょう。
IT業界×大手企業のM&A事例
IT業界でM&Aを行うために、これまでに行われたM&Aの事例を見てみましょう。ここでは、大手企業がIT業界のM&Aを行った事例を紹介します。
2012年、FacebookはInstagramを12億ドルで買収しました。Facebook、Instagramともに、世界を代表する大手のSNSです。Facebookはサービス向上のために、Instagramが持つ写真サービスの良さを取り入れることが必要と考えました。そのため、今回のM&Aに至っています。Instagram買収後も、Instagramのサービスはそのまま維持されます。このように、大手SNS同士のM&Aも、実施されました。
参照元:meta社「Instagram買収のお知らせ」
KDDI株式会社
2017年、KDDI株式会社は、株式会社ソラコムのM&Aを行ったと発表しました。株式会社ソラコムは、通信プラットフォームを提供しており、IOT領域のリーディングカンパニーです。一方、KDDI株式会社もIOT事業を進めている企業です。このM&Aによって、IOT事業の基盤を強固にし、日本だけではなくグローバルに展開していくと表明しています。
参照元:KDDI株式会社「株式会社ソラコムの子会社化について」
NEC
NECは、ブラジルのITセキュリティ企業、Arcon Informatica S.A.を買収したと発表しました。ブラジル国内で、ITサービス事業を強化するためとしています。NECは1968年にブラジルに現地法人を設立し、ブラジルでのインフラ整備に貢献しています。このM&Aにより、セキュリティ技術の獲得と、両社の既存顧客へのクロスセルによるシナジーが期待できるでしょう。このように、大手企業が海外企業のM&Aを行い、事業拡大を目指すケースもあります。
参照元:日本電気株式会社「NEC、ブラジルのITセキュリティ企業Arcon社を買収」
株式会社野村総合研究所
株式会社野村総合研究所は、SMS Management & Technology Limitedの子会社化を行うと発表しました。このM&Aは、オーストラリアでのM&Aになります。株式会社野村総合研究所は、以前からオーストラリア国内でのシェア拡大を目指し、現地企業の運営も行っていました。このM&Aは、オーストラリア国内でのITサービス市場シェア拡大を目的にしていると発表しています。
参照元:株式会社野村総合研究所「SMS Management & Technology Limited の株式取得(子会社化)に向けた契約締結のお知らせ」
株式会社メルカリ
株式会社メルカリは、マイケル株式会社のM&Aを発表しました。株式交換にて、子会社化するとしています。株式会社メルカリは、フリーマーケットアプリを運営する企業です。一方で、マイケル株式会社は車好きユーザーが集まるコミュニティサイトを運営しています。このM&Aにより、両社の連携が進み、ユーザー層のシナジーが期待されています。
参照元:株式会社メルカリ「簡易株式交換によるマイケル株式会社の完全子会社化に関するお知らせ」
IT業界×WebサービスのM&A事例
IT業界では、WebサービスのM&Aを行うケースも多くあります。ここでは、Webサービスに関するM&A事例を紹介するため、参考にしてください。
LINE Digital Frontier株式会社
LINE Digital Frontier株式会社は、株式会社イーブックイニシアティブジャパンのM&Aを行ったと発表しました。株式会社イーブックイニシアティブジャパンは、電子書籍サービスを運営している会社です。そのなかでも、漫画コンテンツの取引が95%を占めていました。一方で、LINE Digital Frontier株式会社は、電子コミックサービスを運営している企業です。漫画コンテンツに強い株式会社イーブックイニシアティブジャパンのM&Aを行うことで、自社コンテンツのさらなる拡大が期待できるとしています。
参照元:LINE Digital Frontier株式会社「株式会社イーブックイニシアティブジャパンの100%子会社化を完了」
ヤフー株式会社
ヤフー株式会社は、dely株式会社のM&Aを行ったと発表しました。dely株式会社は、レシピ動画サービスを運営している企業です。ヤフー株式会社は、多数のメディア展開を行っており、IT業界でのシェア拡大を目指しています。そこで、料理やレシピ動画に強いdely株式会社のM&Aを行うことで、Web業界でのシナジーが期待できると考えられました。このように、IT業界の企業がWebサービスを買収し、シェア拡大を目指す事例も発生しています。
参照元:ヤフー株式会社「dely株式会社への資本参加および戦略的パートナーシップの構築について」
コインチェック株式会社
2022年、コインチェック株式会社は、Thunder Bridge Capital Partners Ⅳ, Inc.のM&Aを行うと発表しました。コインチェック株式会社は、暗号資産交換業を行っている企業です。事業領域が拡大傾向にあることから、M&Aで経営基盤を拡大し、国内でのシェア確率を目指すと発表しています。
参照元:コインチェック株式会社「Thunder Bridge Capital Partners Ⅳ, Inc.との統合によるNASDAQ上場子会社への移行について」
株式会社エイチーム
株式会社エイチームは、Increments株式会社の子会社化を行ったと発表しました。このM&Aに関して、「自社で容易に参入できない、あるいは参入に時間のかかる事業を持つ企業に該当するから」としています。株式会社エイチームは、ゲームやECサイトの比較サイトを運営しています。一方で、Increments株式会社はソフトウェア開発を行っており、株式会社エイチームが自社で実施するには難しいポイントでした。このように、自社では難しい事業を補うために、M&Aを実施するケースもあります。
参照元:株式会社エイチーム「Increments 株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ 」
合同会社DMM.com
合同会社DMM.comは、株式会社バンクの譲渡を行ったと発表しました。今回のM&Aは、合同会社DMM.comが、スタートアップ支援やベンチャー投資を行っていたことが理由です。このM&A実施後は、サービスが新体制に移行され、運営が続けられると発表しています。このように、ベンチャー企業やスタートアップ企業の参入が続くIT業界では、ベンチャー企業などを支援する動きも起こっています。
参照元:合同会社DMM.com「子会社「バンク」 全株式の譲渡に関するお知らせ」
IT業界×システム開発のM&A事例
IT業界では、システム開発のM&Aも増加しています。ここでは、システム開発のM&A事例を紹介するため、参考にしてください。
株式会社ビーイング
2019年、株式会社ビーイングは、株式会社ラグザイアのM&Aを実施しました。完全子会社化にしたと発表しています。このM&Aの目的は、Webアプリケーションの開発を加速し、クラウド環境を取り入れたサービス提供を行うことです。そのために、Webアプリケーションのシステム開発に実績を持つ、株式会社ラグザイアのM&Aを実施しました。
参照元:「株式会社ラグザイアの株式取得及び簡易株式交換(完全子会社化)に関するお知らせ」
SBテクノロジー株式会社
SBテクノロジー株式会社は、株式会社電縁のM&Aを実施しました。M&Aの目的を、「クラウドやIOT技術の開発強化」「収益基盤の強化と企業価値向上」と発表しています。株式会社電縁は、自治体などのシステム開発を事業にしている企業です。そのため、SBテクノロジー株式会社の行う、自治体向けプロジェクトとのシナジーが期待されています。
参照元:SBテクノロジー株式会社「株式会社電縁の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」
株式会社アクシス
2021年、株式会社アクシスは、株式会社ヒューマンソフトの子会社化を行ったと発表しました。M&Aの目的には、「開発人員の確保」「取引先の拡大」「利益率向上」などが挙げられています。両社はともにシステムインテグレーション事業を手掛けることから、人材や取引面でシナジーが期待され、M&A実施に至っています。
参照元:「株式会社ヒューマンソフトの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」
マーベリック株式会社
マーベリック株式会社は、株式会社駅探とM&Aを行うと発表しました。自社の持つスマートフォン向けインフィード広告事業を譲渡するとしています。株式会社駅探は、駅を起点としたマーケティングを提供する企業です。スマートフォン向け広告がマーケティングにも活用できることから、M&Aが実施されています。
参照元:マーベリック株式会社「株式譲渡契約締結に関するお知らせ」
株式会社ミックウェア
株式会社ミックウェアは、株式会社エイチアイの完全子会社化を行いました。M&Aの目的は、「車載ソフトウェア開発事業のさらなる強化・発展」と発表されています。株式会社エイチアイは、組み込みシステムの開発を事業にしている企業です。株式会社ミックウェアの持つ車載ソフトウェア事業とノウハウを共有し、さらなるサービス強化ができると期待されています。
参照元:株式会社ミックウェア「ミックウェアが株式会社エイチアイを買収・完全子会社化」
IT業界×他業界のM&A事例
他業界がM&Aを行い、IT業界に参入する事例もあります。ここでは、他業界とIT業界のM&A事例を紹介するため、参考にしてください。
エスエイティーティー株式会社
2018年、エスエイティーティー株式会社は、株式会社マナボのM&Aを行いました。エスエイティーティー株式会社は教育事業を行っている企業です。一方で、株式会社マナボは、スマートフォン用家庭教師サービスを運営しています。エスエイティーティー株式会社は、株式会社マナボの買収により、Web業界でも教育事業が行えるようになりました。このように、他業界の企業がM&Aを行い、IT業界に参入するケースもあります。
参照元:株式会社マナボ「株式会社マナボは5月31日付で、駿台グループの一員になりました。」
飛鳥建設株式会社
2021年、飛鳥建設株式会社は、株式会社アクシスウェアのM&Aを行いました。飛鳥建設株式会社は、建設業を営む企業です。このM&Aにより、建設業界の技術革新を進め、新しいソリューションを提供するとしています。
参照元:飛鳥建設株式会社「株式会社アクシスウェアの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
毎日新聞
2018年、毎日新聞は、株式会社PoliPoliのM&Aを実施しました。このM&Aにより、SNS事業への参入を果たしています。毎日新聞では、俳句事業を行っていたところ、俳句SNSアプリを運営する株式会社PoliPoliを発見しました。現在の俳句事業にSNSを交えて、さらなる事業展開ができないかを考え、今回のM&Aに発展しています。
参照元:毎日新聞「毎日新聞社が俳句のSNSアプリ『俳句てふてふ』をPoliPoliから事業譲渡」
株式会社Z会
2017年、株式会社Z会は、株式会社葵のM&Aを実施しました。このM&Aにより、Webを活用した教育事業の強化を実現しています。株式会社Z会は、教室運営や書籍など、アナログな教育事業に強い企業です。そこに、株式会社葵が強みとする、オンライン学習塾サービスが参入する形となりました。このように、IT業界のM&Aを行うことで、自社の事業を強化するケースもあります。
参照元:株式会社Z会「Z会グループによるアオイゼミ(株式会社葵)の 株式取得による完全子会社化に関するお知らせ」
株式会社ZOZO
株式会社ZOZOは、株式会社VASILYのM&Aを行いました。株式会社ZOZOは、ファッションサイトを運営しています。一方で、株式会社VASILYは、ファッションアイテムから自由にコーディネートできるシステムサービスを提供しています。このM&Aにより、株式会社ZOZOはIT業界へと参入し、ITを活かしたサービス向上を果たしています。
参照元:株式会社ZOZO「スタートトゥデイ、ファッションメディア「IQON」などを手がけるVASILY社を完全子会社化」
IT業界でM&Aを成功させるポイント
IT業界でM&Aを成功させるために、意識したいポイントがあります。次の2つを意識して、M&Aを実行するようにしましょう。
- 業界に詳しい専門家に相談する
- 売り手企業の従業員に注目する
業界に詳しい専門家に相談する
IT業界でM&Aを行う場合、業界に詳しい専門家に相談しましょう。業界に詳しい専門家がいることで、交渉を有利に進められるからです。IT業界でのM&Aでは、M&Aを始めて行う経営者も多いことでしょう。そのため、専門家のアドバイスを受けることが一般的です。アドバイスを受ける際、専門家がIT業界に詳しくなければ、良いアドバイスを受けることができません。業界の特徴を踏まえたアドバイスがもらえれば、M&Aも成功しやすくなるでしょう。M&Aを行う場合には、M&A仲介会社のような、業界に詳しい専門家への相談が大切です。
売り手企業の従業員に注目する
買い手企業でM&Aを行う場合、売り手企業の従業員に注目しましょう。従業員の質が、M&Aの成功に影響するからです。IT業界でM&Aを行う場合、人材確保を目的にするケースが多い状況です。そのため、従業員の質が高い企業ほど、M&A後の効果が高まるでしょう。優秀な従業員を獲得できると、自社の今後の事業に対する成果も期待できます。IT業界でM&Aを行う場合は特に、売り手企業の従業員に注目しましょう。
IT業界でM&Aを行う際の注意点
IT業界でM&Aを行う場合、注意したいポイントもあります。M&Aを成功させるために、次のようなポイントを意識しましょう。
- M&Aの実施目的を明確にする
- 売り手企業の調査を十分に行う
- PMIが発揮されるようにする
M&Aの実施目的を明確にする
なぜM&Aを行うか、実施目的を明確にしましょう。目的が曖昧になってしまうと、M&Aを行う軸がぶれてしまうからです。たとえば、人材不足解消が目的だとしましょう。この場合、「従業員の数」「従業員の質」「従業員の再雇用」などを意識して進めることが大切です。もし、目的が決まっていない場合、人材不足解消に効果がない企業を買収してしまう可能性もあります。このように、M&Aを成功させるためには、実施目的を明確にしましょう。目的があれば、案件探しや交渉もスムーズに進みます。
売り手企業の調査を十分に行う
売り手企業の調査を、十分に行うようにしましょう。調査不足の場合、買収リスクが増えるからです。M&Aを行う場合、デューデリジェンスと呼ばれる、売り手企業の調査を実施します。デューデリジェンスでは、企業価値を算出したり、簿外債務などのリスクを調べることが目的です。もし、デューデリジェンスを怠ってしまうと、本来の価値よりも高く買収してしまったり、簿外債務に気づかない可能性があります。このように、M&Aを行う場合は、売り手企業の調査を十分に行いましょう。デューデリジェンスを行う際は、M&A仲介会社に相談すると安心です。
PMIが発揮されるようにする
M&A成立後は、PMIに注力しましょう。PMIとは、M&A後に行う、企業同士の統合プロセスのことです。PMIが発揮されることで、企業同士のシナジーが生まれ、事業拡大につながります。たとえば、組織の仕組みを変えて、合併の効果が出るように体制を変えることも大切です。また、もとは違う企業の従業員ですから、協力し合えるようにコミュニケーションをとることも求められます。このように、M&A成立後のPMI実施が重要です。交渉成立で安心せず、PMIに取り組みましょう。
まとめ
IT業界はサービス需要が高く、動きが活発な業界です。そのため、M&Aの動きも活発になっています。事業拡大や人材確保を目的にする、M&Aが今後も増えていくでしょう。M&Aを成功させるためには、最新情報を入手したり、必要な手続きや契約の知識を持っておくことが欠かせません。そのためにも、M&A仲介会社のような専門家を活用しましょう。M&Aを自社だけで行うと、法律や税金も絡むため大変です。信頼できるM&A仲介会社を見つけて、M&Aが成功するようにしましょう。
レバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社は、IT業界のM&Aにも対応したM&Aサービスを提供する仲介会社です。
IT業界をはじめとした各領域で実績を積み重ねたコンサルタントが、相談から成約まで一貫してサポートを行います。
料金に関しては、M&Aの成約時に料金が発生する、完全成功報酬型です。 M&A成約まで、無料でご利用いただけます(譲受側のみ中間金あり)。 相談に関しては、無料で実施しています。 M&Aを検討している際には、お気軽にお問い合わせください。