健康食品・サプリメント業界のM&A動向や事例を解説

2024年4月4日

健康食品・サプリメント業界のM&A動向や事例を解説

このページのまとめ

  • 健康食品・サプリメント業界は参入障壁が低いため他業界からの参入も多い
  • 健康食品・サプリメント業界のM&Aは同業他社、海外企業、PEファンドと行う
  • 健康食品・サプリメント業界のM&Aのメリットは後継者問題の解決や企業価値向上など
  • 健康食品・サプリメント業界のM&Aのデメリットは経営権の喪失や人材の流出など
  • 健康食品・サプリメント業界のM&Aの成功には目的の明確化や仲介会社の利用が必要

「健康食品・サプリメント業界のM&Aを検討しているけれど、実際の成功は難しそう」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。健康食品・サプリメント業界のM&Aは、業界知識やノウハウをよく知ることが大切です。

本コラムでは、健康食品・サプリメント業界のM&Aの実態や業界の現状などを紹介。さらに、健康食品・サプリメント業界のM&Aの種類や具体的な事例についても詳しく解説するので、参考にしてください。

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健康食品・サプリメント業界の現状

健康食品・サプリメント業界とは、消費者の健康維持・増進に役立つことを目的に販売される医薬品以外の「健康食品」や「サプリメント(栄養補助食品)」の研究開発・製造・販売を主な事業とする業界です。健康食品・サプリメント業界のM&Aを検討する際は、現状の把握が必要です。健康食品・サプリメント業界には、以下の3つの特徴があります。

  • リピーターを増やしやすい
  • マーケティングによって売り上げが大きく変わる
  • 参入障壁が低く競合が多い

それぞれ詳しく見ていきましょう。

リピーターを増やしやすい

健康食品やサプリメントは、効果を維持するために継続的に摂取する必要があります。そのため、定期購入プログラムや会員制度を設けている健康食品・サプリメントが多くみられます。

効果・効能、魅力などを適切に伝えるとともに、ターゲットの求めるメリットを提供することでリピーターを確保できるでしょう。
また、効果を実感するためには数ヶ月は使用が必要とされていることから、結果的に定期購入を中止したとしても初回購入から数ヶ月はリピートする顧客が多いと考えることができます。

リピーターが増えれば増えるほど売上が安定するため、いかに定期購入者を増やしつつ退会者を減らすかが重要な要素といえます。

マーケティングによって売上が大きく変わる

健康食品・サプリメントは、マーケティングの精度や手法によって売上が大きく変動する分野です。商品特性とターゲット客に応じて、販路も訴求方法も大きく変わります。広告の訴求力やブランド認知度はもちろんのこと、SNSを活用した情報発信、専門家の推奨を取り入れたプロモーション活動も、売上に大きく影響します。さらに、Eコマースの活用により、幅広いターゲットに対して告知し、効率的に販売することも重要です。

健康食品・サプリメントのように体に作用する商品の場合、景品表示法だけでなく、薬機法や健康増進法などのさまざまな法律の遵守が求められます。

売上を向上させるためには、健康食品・サプリメントの効果・効能、安全性への配慮だけではなく、関連する法律の知識やマーケティングの技術、そして企画力が大切です。

参入障壁が低く競合が多い

健康食品・サプリメントは参入障壁が低いため競合が多いことが特徴です。

矢野経済研究所の調査によると、健康食品の市場規模はメーカー出荷金額ベースで2020年度に8,659億9,000万円に達し、2024年度は引き続き9,128億7,000万円まで伸長する見込みです。

健康食品・サプリメントは、自社工場を持たずとも、商品企画から製造、販売サポートまで委託できるOEM製造事業者が多いため、十分な知識を持たない業者でも資金さえあれば参入が可能です。
そのため、健康食品・サプリメントとは無関係の業界の企業が参入するケースも少なくありません。

また、健康食品・サプリメントは付加価値の高い商品特性から、原価率は一般食品より低いことが多く、失敗したときの影響が少ないことも参入障壁が低いと言える理由の1つです。

競合が多い状況で売上を堅調に伸ばすためには、ターゲットニーズに適した健康食品・サプリメントの開発とマーケティングが必要です。

引用元:株式会社矢野経済研究所「健康食品市場に関する調査を実施(2024年)

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健康食品・サプリメント業界のM&Aの種類

健康食品・サプリメント業界のM&Aのパターンは次の3つです。

  • 同業他社とのM&A
  • 海外企業とのM&A
  • PEファンドとのM&A

それぞれの特徴について詳しく解説します。

同業他社とのM&A

健康食品・サプリメント業界には、多くの企業が続々と参入しており、そのため競争が激化しています。このような市場環境の中で勝ち抜くためには、競争力の向上が欠かせません。その手段の1つとして、同業他社とのM&Aが注目されています。

同業他社とのM&Aの目的は、買収した企業の技術やノウハウを自社の健康食品・サプリメント開発に活かすほか、ブランド力や知名度を利用して売上を増加させることです。

同じターゲット層の健康食品・サプリメント事業者をM&Aすることで、効率的に売上を伸ばせます。また、集中と選択を通じて特定の事業に注力し、他の健康食品事業を他社へ譲渡する場合もあります。

M&Aが成功すれば、シナジー効果(相乗効果)を得て、短期間で競争力を大きく向上させることが可能です。

海外企業とのM&A

健康食品・サプリメント業界では、海外企業とのM&Aが活発に行われています。海外に販路がある企業を買収することで、日本国内で販売している健康食品・サプリメントを世界中で販売するチャンスが拡がります。

海外企業のM&A増加の背景としては、コロナ禍によりインバウンドの来日が制限されたため、需要が大きく減少しました。しかし、日本の健康食品・サプリメントが高い人気を持つことから、アジア圏を中心とした海外での販売が増えている状況です。

また、M&Aにより、企業が持つ販売ノウハウを取得することで、海外での販売開始をよりスムーズに開始できます。

一方、技術の種類や分野によっては、日本よりも海外の研究が進んでいることもあります。海外で先進的な健康食品・サプリメントの開発企業をM&Aすることで、商品開発と販路拡大の両方を実現することが可能です。

PEファンドとのM&A

PEファンドは、プライベート・エクイティ・ファンドの略称で、複数の機関投資家や個人投資家から集めた資金を未上場企業に投資するファンドです。将来的に株式売却やIPO(新規公開株式)での利益を目的に、企業価値を向上させるためのアドバイスやサポートを行います。

そのため、PEファンドからの投資を受けることによって、経営改善や新規販路開拓・商品開発を行い、売上が増加し企業の成長につながることが期待できます。ただし、PEファンドの知識やノウハウには差があり、すべての分野に精通しているわけではありません。

そのため、PEファンドとのM&Aを検討する場合は、健康食品・サプリメント業界に精通しているかどうかの確認が必要です。

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健康食品・サプリメント業界のM&Aのメリット・デメリット

健康食品・サプリメント業界のM&Aを検討する際は、買い手・売り手のメリット・デメリットについて確認が必要です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

売却側のメリット・デメリット

売却側のメリットとデメリットについて紹介します。

メリット

  • 企業価値を高められる
  • 資金調達ができる
  • 個人保証の責任を解消できる
  • 後継者問題が解決する

M&Aによる売却は、企業価値を高める手段の1つです。企業価値が高まれば経営が安定し、雇用を守ることができます。また、買い手のブランド力によって自社の知名度が高まり、健康食品・サプリメントの売上アップにもつながるでしょう。

M&Aは会社ごと売却する株式譲渡だけでなく、一部の事業のみを売却する事業売却の方法もあります。事業売却によって得た資金を健康食品・サプリメント事業に投入し、さらなる成長を図ることも可能です。

会社ごと売却する場合は、個人保証の責任を解消できることもメリットです。
個人保証とは、社長が会社の借金の保証人になる方法のことであり、倒産によって返済できなくなれば社長個人が借金を弁済しなければなりません。

株式譲渡では、包括的に経営権が他社に移るため、資産も負債もすべて譲渡することになります。個人保証が買い手に引き継がれるため、借金を負うリスクを解消できます。

また、会社の後継者不在によって廃業を検討していた場合は、M&Aによって後継者問題が解決します。後継者問題が解決すれば社員の雇用を守ることができるうえに、企業を後世に残せます。

デメリット

  • 経営方針や戦略の変更が必要になる場合がある
  • 優秀な人材が買い手企業に転籍する可能性がある
  • 経営権を失う

買い手の経営方針や戦略の変更、合併や再編の影響などにより、M&Aを行った当時とは異なる展開になる可能性があります。このような不確実性は売り手にとってデメリットと言えるでしょう。

また、事業の一部だけを譲渡する事業譲渡では、社員は包括的に譲渡されないので、個別に契約交渉をする必要があります。

経営におけるキーパーソンや専門知識を持つ従業員が流出する場合、売り手企業のビジネス継続に影響を及ぼす可能性も否定できません。この点も考慮して、株式譲渡にするのか事業譲渡にするのか検討する必要があります。

会社を売却した場合は、売り手企業の経営権は買い手企業に移行します。会社の建物や在庫、従業員や取引先との契約関係もすべて買い手企業に移行します。

買収側のメリット・デメリット

続いて、買収側のメリットとデメリットを解説します。

メリット

  • シナジー効果を得られる
  • 成長が加速する
  • 経営を多角化できる

売り手企業の技術やノウハウなどを習得できるだけではなく、自社の特性や技術、ノウハウなどと組み合わせることによるシナジー効果が期待できます。例えば、買収によって業務や生産ラインの統合が可能になり、生産効率の向上やコスト削減を実現できます。

また、市場や販売地域の拡大、顧客の増加、製品やサービスの開発力の強化なども実現可能です。

買収には、市場におけるシェア率を瞬時に高める効果があります。市場や業界での地位を強化するとともに競争力が高まることで、成長が大きく加速するでしょう。

また、他の業界の買い手が健康食品・サプリメント関連の企業を買収した場合は、一から事業を始めるよりもローコストで新事業への参入と経営の多角化を実現できます。

デメリット

  • 統合には労力がかかる
  • 設備投資の維持・運営コスト
  • 買収資金が必要になる

買収による企業の統合は、文化や組織の違い、人材の適合性、システムの統合などさまざまな課題を伴います。統合プロセスの適切な計画や実施が行われない場合、組織内の混乱やコミュニケーションの問題、業績の悪化などが生じる可能性があります。

また、買収によって新たな設備や施設を獲得する場合、維持コスト、運営コストがかかります。

そして、買収には売り手企業が持つ技術やノウハウ、ブランド力などに応じて買収金の用意も必要です。買収対象企業の評価額や仲介企業に支払う手数料などに加え、資金が足りない場合は借入金の増加も考慮しなければなりません。

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健康食品・サプリメント業界のM&A事例

健康食品・サプリメント業界では、M&Aが活発に行われています。主な代表事例は以下の3つです。

  • キリンホールディングスと協和発酵バイオ
  • 小林製薬と梅丹本舗
  • ユーグレナとフック

M&Aの目的や手法などについて詳しく見ていきましょう。

キリンホールディングスによる協和発酵バイオの買収

キリンホールディングス株式会社は、連結子会社の協和発酵キリン株式会社から、完全子会社である発酵バイオの株式を取得価額約1,280億円で取得し、子会社化しました。

両社はこれまで共同で健康食品の開発に取り組んできました。今回のM&Aにより、両社の連携を一層強化することで、健康食品・サプリメント業界での企業価値の向上が期待されています。

キリンHDは、健康食品・サプリメント業界の市場の成長性を捉え、協和発酵バイオの買収を通じて、成長を加速させる戦略を採用しました。

一方、協和発酵キリンは新薬開発などの医薬事業に経営資源を集中し、事業の特化と効率化を追求しています。

参照元:キリンホールディングス「協和発酵バイオ

小林製薬による梅丹本舗の買収

小林製薬株式会社は、株式会社梅めい丹たん本舗(以下「梅丹本舗」)の全株式を取得し、梅丹本舗を子会社化しました。

今回のM&Aの目的は、小林製薬が多様化する顧客のニーズに対応し、さらなる製品開発を推進するためです。特にヘルスケア領域は小林製薬の重点領域としており、食品分野では栄養補助食品や健康茶などを展開しています。

梅丹本舗は、90年以上の業歴を誇る老舗の梅専門メーカーで、主力ブランドとして「梅丹」「古式梅肉エキス」を販売してきました。

今回の子会社化によって、小林製薬は梅丹本舗のブランド力を取り入れることにより健康食品のラインアップを充実させ、健康食品事業でのシェア拡大を目指し、新しい価値の提供を計画しています。

小林製薬のマーケティング力、販売力、研究開発力と梅丹本舗のブランド力を結びつけることで、食品分野において更なる価値を顧客に提供できるとの判断に至ったとしています。

参照元:日本経済新聞「小林製薬、梅丹本舗を買収 健康食品を強化

ユーグレナによるフックの買収

株式会社ユーグレナは、株式取得と株式交換を通じて、株式会社フックを合計買収額18億円で子会社化することを発表しました。

ユーグレナはミドリムシ原料を使用した健康食品や化粧品の通販事業を展開している企業です。一方、フックは葉酸サプリのECサイトを運営しています。フックは「美的タウン」というECサイトを運営しており、妊活世代向けのサプリ「美的ヌーボプレミアム」を販売しています。

このM&Aの目的は、フックの子会社化により20代から30代の女性層を新たな顧客ターゲットとして追加し、全年代向けの通販モデルの構築を加速させることです。

参照元:日本経済新聞「ユーグレナ、健康食品会社を買収

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健康食品・サプリメント業界のM&Aのポイント

健康食品・サプリメント業界のM&Aを成功させるためには、以下のポイントを押さえる必要があります。

  • M&Aの目的の明確化
  • デューデリジェンスを徹底する
  • 業界知識のあるM&A仲介会社に相談する

各ポイントについて詳しく見ていきましょう。

M&Aの目的の明確化

M&Aを実施する際は、明確な目的を持つことが重要です。
新たな市場に進出したい、事業を多角化したい、技術や専門知識を獲得したいなど、M&Aの目的を明確にしましょう。

目的が明確になれば、買収すべき企業の特徴や取扱商品、シェア率など、細かな条件を適切に定めることができます。

例えば、健康食品市場に参入したい場合は、健康食品やサプリメントの開発・製造・販売に豊富な経験や専門知識がある企業を前提条件とします。
そのうえで、技術力やブランド力、販路など追加条件を満たした企業を探すと良いでしょう。

デューデリジェンスを徹底する

M&Aでは、基本合意書を締結した後で、買い手企業が売り手企業に対してデューデリジェンスを行います。特に規模が大きいM&Aでは、デューデリジェンスを徹底して行うことが重要です。

デューデリジェンスとは買収対象企業の財務状況や業績、法的なリスク、知的財産権などを詳細に調査し、隠れた問題や潜在的なリスクと新たなビジネスの機会を明確に把握することです。この調査は、税理士、弁護士、社会保険労務士などの専門家の協力を得て行われます。

健康食品・サプリメント業界では、商品の安全性や効果の確認、法規制の遵守なども確認が必要です。デューデリジェンスによって、買収のリスクを抑えられます。

業界知識のあるM&A仲介会社に相談する

健康食品・サプリメント業界のM&Aに関して、業界知識や広いネットワークを持つM&A仲介会社に相談することをおすすめします。業界特有の法規制やトレンド、市場のニーズなどに詳しい専門家のアドバイスを受けながら、適切な買収先の選定や交渉を進められます。

M&A仲介会社は市場の情報収集や適切な評価の提供、交渉のサポートなどを行ってくれるため、時間的コストやリスクの軽減が可能です。

健康食品・サプリメント業界におけるM&Aの実績が豊富な仲介会社を選び、健康食品市場の現状やトレンドを理解し、買い手企業の状況や目的などを踏まえて売り手企業を探せる仲介会社を選びましょう。

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まとめ

健康食品・サプリメント業界は参入障壁が低いことから、他業界から参入する企業も少なくありません。業界内で高い売上とシェア率を目指すには、ターゲットのニーズを満たした商品の開発と、的確なマーケティング活動が必要です。同業他社や海外企業などを買収することにより、健康食品・サプリメントの開発力やノウハウ、などを獲得しシナジー効果を得ることで企業の成長を加速できます。

健康食品・サプリメント業界のM&Aを実施する際には、業界特有の知識や経験が重要です。そのため、健康食品・サプリメント業界やM&Aに精通している専門家に相談することをおすすめします。

レバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社は、健康食品・サプリメント業界をはじめとするさまざまな業界で、売り手・買い手企業の調査・選定・交渉・各種手続きなど、トータル的にサポートするM&A仲介会社です。経験豊富なコンサルタントが、お客様の企業の状況や希望条件を詳細にヒアリングし、適切な戦略立案や交渉、契約書作成など、M&Aのあらゆるプロセスをサポートします。

料金体系は完全成功報酬型で、M&Aが成約した際のみ料金が発生します(譲受会社のみ中間金が発生)。ご相談自体は無料ですので、M&Aを検討されている際は、どうぞお気軽にご連絡ください。