老人ホーム業界のM&Aとは?市場規模やM&A成功のポイント、事例を解説
2024年3月1日
このページのまとめ
- 老人ホーム業界は、高齢者が健康で安心して暮らせるようサポートする業界
- 老人ホーム業界の市場規模は、高齢化社会により大きくなっている
- 老人ホーム業界では、後継者問題の解決などを目的にM&Aが活用されている
- 老人ホーム業界では、他業界からの参入がシナジー効果を生みやすい
- 老人ホーム業界でM&Aを成功するためには、対象事業の調査が不可欠
老人ホーム業界のM&Aを検討している経営者の方も多いのではないでしょうか。老人ホーム業界では、事業拡大や新規参入を目的としたM&Aが増加しています。適切な手段を選べば、有意義なM&Aを実施できるでしょう。
このコラムでは、老人ホーム業界の基礎知識からM&Aの動向、成功させるポイントまで幅広く解説します。そのほか、老人ホームの事例も紹介するのでぜひお役立てください。
目次
老人ホーム業界とは
老人ホーム業界は、高齢者が健康で安心して生活できる環境を提供するために事業を行っている業界です。具体的には、高齢者が自立した生活を送るための支援を行う老人ホームの運営や、日常生活で必要となる各種の介護サービスを提供する業務が主な内容となります。
老人ホームには、その提供するサービスや介護のレベルにより、下記のような形態があります。
施設名 | 概要 |
介護付き有料老人ホーム | ・身の回りの生活支援や介護サービスを提供する老人ホーム ・自立した生活が困難な高齢者や介護が必要な人が利用する ・一部または全額自己負担となるため、利用者の経済的な負担が比較的大きい |
住宅型有料老人ホーム | ・主に自立した生活を送る高齢者を対象とし、必要に応じて介護や医療サービスを提供する老人ホーム ・賃貸住宅の一部を借り上げて運営することが多く、ユニット型やシェアハウス型など、さまざまな形態がある |
サービス付き高齢者向け住宅 | ・一定の介護サービスを提供しながら、住居としての機能も持つ施設 ・入居者が自分のライフスタイルを維持しながら、必要な時に介護や医療サービスを受けられるようになっている |
グループホーム | ・認知症の高齢者が少人数で共同生活を送る施設 ・一般の住宅と変わらない環境で、家庭的な雰囲気を保つことが特徴 ・生活支援や介護はスタッフが24時間体制で実施 |
ケアハウス | ・入居者に対し24時間体制で介護や生活支援を行う施設 ・介護保険制度を活用し、自立支援の観点からサービスを提供する ・比較的重度の介護が必要な方がの利用が多い |
特別養護老人ホーム | ・介護が必要な高齢者が居住し、全日または日中の介護や生活支援を行う ・介護保険の対象施設であり、介護や医療のプロフェッショナルが24時間体制でサービスを提供する |
介護老人保健施設 | ・通常は自宅で生活しているが、一時的に介護やリハビリが必要な高齢者を対象とした施設 ・入所や通所により医療と介護を一体的に提供 |
介護医療院 (介護療養型医療施設) | ・医療が必要な長期入院患者を対象とした施設 ・病院と介護施設の中間的な役割を果たし、医療スタッフと介護スタッフが協力してサービスを提供する |
それぞれの施設は、高齢者の健康状態や生活状況、経済状況などによって選ばれます。利用者やその家族は、各施設が提供するサービスや費用、その他の条件を鑑みて、自分のニーズに合った施設を選ぶことになります。
また、このうち民間施設は、介護付き有料老人ホーム・住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・グループホームとなっており、M&Aが行われるのはこれらの施設形態のものになります。
老人ホーム業界の動向
ここからは、老人ホーム業界の現況と課題について解説します。
老人ホーム業界の現況
老人ホーム業界は、日本の高齢化社会を背景に拡大傾向にあります。厚生労働省によって行われた令和3年社会福祉施設等調査では、有料老人ホーム(サービス付き高齢者向け住宅以外)」の数は16,724施設。前年に比べ768施設、約4.8%増加していることが示されています。
特に、自立した生活を送ることが難しい高齢者を対象にしたサービスの需要が増えており、それらのサービスを提供する事業者も増加しています。
参照元:厚生労働省「令和3年社会福祉施設等調査の概況 結果の概要」
老人ホーム業界の課題
老人ホーム業界における大きな課題の1つは、人手不足です。介護職員の労働環境改善や待遇改善が進まないことで、人材の確保が困難となり、介護サービスの品質や供給量に影響が出ています。
また、コロナウイルスの影響で感染防止対策が求められる中、対応のためのコスト増や運営難易度の上昇を招いています。感染防止対策を徹底することでサービスの提供方法も変更させざるを得なくなり、一部のサービスが制限されることもあります。
さらに、介護報酬の改定や社会保障制度の変化も大きな課題となっています。介護報酬の改定によって収益性が下がる場合や、新たな社会保障制度に対応するためのコストが発生する可能性があります。
老人ホーム業界のM&A動向
老人ホーム業界では、近年M&Aを実施する企業が増えています。ここでは、老人ホームにおいてM&Aが増えている理由について解説していきます。
後継者問題の解決
老人ホームや介護サービス業者は、家族経営や地域密着型の小規模企業も多く、経営者が高齢になった場合や病気になった場合、経営継承をめぐる問題が生じることがよくあります。
M&Aを実施することで事業を継続し、利用者へのサービス提供を保証することが可能となります。
介護報酬の改定による影響
老人ホームでは、国や地方自治体が定める介護報酬の改定が事業運営に大きな影響を及ぼします。
近年では、介護報酬の引き下げにより一部の事業者が経営難に陥るケースが増えており、他の企業が経営難の法人を買収するケースが増えています。
別事業への注力
介護事業が不採算である場合、別の事業へ注力することを目的に、介護サービス業をM&Aで切り離すケースが存在します。介護サービス事業の切り離しは、企業が主力事業への投資を強化し、成長のチャンスを追求するための戦略となり得ます。
人材の確保
老人ホーム業界は人材不足が深刻な課題となっています。特に、専門性を持ったスタッフを確保することは難しく、これに対応するためにM&Aを活用する事例が増えています。
他の企業を買収することで、即戦力となる人材を獲得し、サービス品質を維持、向上させることが可能となります。
老人ホーム業界のM&Aにおけるシナジー効果
老人ホーム業界におけるM&Aは、業界の課題解決に寄与し事業成長を促進する可能性を秘めています。
以下では、老人ホーム業界におけるシナジー効果を解説します。
他業界とのシナジーの発揮
異業界からのM&Aにより、新たな知識や技術が老人ホーム業界にもたらされることで、サービスの質の向上や業務の効率化が見込めます。
たとえば、IT企業が老人ホーム業界に参入すると、IT技術を活用した業務改善や新しい介護サービスの開発が可能になります。ほかにも、ホテル業界から老人ホーム業界への参入では、ホテル業界の運営ノウハウを導入することで、介護施設のサービス品質を向上させるシナジー効果が得られます。
他業界からの参入は、老人ホーム業界を進展させ、よりよいサービスを提供することが期待されています。
関連業種とのシナジーの発揮
介護と密接に関わる業種、例えば医療業界やリハビリ業界などからのM&Aも増えています。これにより、それぞれの業種の専門知識や経験を生かして、より質の高い、あるいは特化した介護サービスを提供することが可能になります。
例えば、医療機関が老人ホームを運営する場合、医療と介護が一体化したサービスを提供することが可能となります。これにより、病院と老人ホームを行き来することなく、医療的なニーズに対応した生活支援を受けることができます。
それぞれの専門分野からの知見や技術を共有することで、スタッフのスキル向上を促進し、結果としてサービスの質を高めることができます。
老人ホーム業界でM&Aを成功させるためのポイント
M&Aは、老人ホームや介護サービス業界においても企業成長や事業拡大の重要な手段となっています。しかし、その成功は適切な準備と戦略に大きく依存しています。以下に、成功に向けた主要なポイントについて詳述します。
対象事業の正確な把握
まず、対象の企業の現状を正確に把握することが求められます。経営状況や財務体質はもちろん、提供しているサービスの質やスタッフの能力と状況など、取得予定の事業について徹底的に理解することが不可欠です。
特に、入居者の属性を考慮することが重要です。老人ホームや介護サービスの利用者は、高齢者やその家族であり、そのニーズや期待は地域や個々の状況によって大きく異なります。
そのため、M&Aを通じて新たに事業を手に入れる場合でも、これら利用者のニーズを理解し、それに対応したサービスを提供できるかが大切です。
不動産の状況把握
不動産の状況把握も欠かせません。老人ホームや介護施設の場合、不動産は事業運営の重要な要素となります。
たとえば、施設が駅やバス停から遠く公共交通機関のアクセスが悪い場合、利用者や家族が訪れるのが困難になり、利用の選択肢から外れてしまう可能性があります。また、建物の状態も重要な要素です。老朽化した建物では、設備の不具合が発生したり改築費用が増大したりと、経営の負担となります。
施設の立地条件、建物の状態、周辺環境等を詳細に調査し、これが事業運営にどのように影響を及ぼすかを把握することが必要です。
相談先の確保
早期の段階で相談先を見つけることも重要です。M&Aは複雑で専門的な知識を必要とするため、専門家やアドバイザーに相談することで、適切な評価や交渉、リスクの軽減を図ることができます。
以上の点を十分に考慮し、準備と計画を行うことで、老人ホームや介護サービス業界におけるM&Aの成功につながります。
老人ホーム業界における近年のM&A事例15選
ここからは、老人ホーム・介護介護サービス業界におけるM&A事例を10個紹介していきます。
ソラスト社によるポシブル医科学社とメディカルライフケア社の買収
2023年5月、株式会社ソラストは、ポシブル医科学株式会社を子会社化しました。また、2023年4月、ソラスト社は株式会社メディカルライフケアも子会社化しています。
ソラスト社の介護事業は、高齢化社会の増大する要求に対応することを目指して、介護事業所の運営事業やITを活用したスマートホスピタル事業などを運営しています。2030年までの長期的なビジョンでは、売上高を1,500億円まで伸ばすことを掲げ、多くのエリアで訪問介護・通所介護・居宅介護支援・グループホーム・有料老人ホーム等の各サービスを1つ以上提供することを目指しています。
子会社化したポシブル医科社は、JR西日本グループの一部として関西地方で主に57のリハビリ型通所介護事業所を運営し、「積極的自立支援」の理念のもと、要介護度が低い高齢者向けに科学的根拠に基づくサービスを提供している企業です。
また、メディカルライフケア社は、神奈川県を拠点にデイサービスやグループホームなど18の施設を運営する企業です。
ソラスト社にポシブル医科学社とメディカルライフケア社が加わることで、提供する介護サービスの幅が広がり、地域トータルケアの拡充につながると判断したため、今回のM&Aが実施されました。
参照元:株式会社ソラスト「『株式会社メディカルライフケア』と『ポシブル医科学株式会社』」
揚工舎社によるトータルケア陽だまり社の子会社化
2023年5月、株式会社揚工舎は、有限会社トータルケア陽だまりを子会社化しました。
揚工舎社は、有料老人ホーム・デイサービス・訪問介護といった介護サービスの提供をはじめ、介護職資格の取得支援を目的とした教育事業や、介護人材の紹介・派遣といった事業の強化と展開に積極的に取り組んでいます。
一方、トータルケア陽だまり社は、神奈川県で住宅型有料老人ホーム事業とサービス付き高齢者向け住宅事業を運営し、高品質な介護サービスを提供しています。
揚工舎社は、都心圏を中心に事業を拡大する方針のもと、トータルケア陽だまり社の全株式を取得し、子会社化を実施しました。
参照元:株式会社揚工舎「有限会社トータルケア陽だまりの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」
ヨウコーフォレスト西台社による介護事業の買収
2023年5月、揚工舎社の子会社である株式会社ヨウコーフォレスト西台は、株式会社ケアネット・トキから事業譲受を行いました。
子会社であるフォレスト西台は、東京都板橋区において、有料老人ホームと通所介護、訪問介護のビジネスを運営している企業です。揚工舎グループは、介護サービス事業の展開をさらに拡大し、業務運用の効率性を高めるために、ケアネット・トキから東京都北区のサービス付き高齢者向け住宅および訪問介護事業を引き継ぐことになりました。
それぞれの名称は、「ヨウコーフォレスト北赤羽」と「ヨウコーフォレスト北赤羽・訪問介護」になることを予定しています。
参照元:株式会社揚工舎「当社子会社による事業譲受に関するお知らせ」
ソラスト社による総合ケアネットワーク社の買収
2023年4月、ソラスト社は総合ケアネットワーク株式会社を子会社化しました。
総合ケアネットワーク社は、福岡県で有料老人ホームや訪問介護サービスを9か所で提供している企業です。ソラストグループに総合ケアネットワークが加わることで、福岡県でのサービスの多様性が増し、「地域全体のケア」の実現に寄与すると見込んでいます。
この子会社化により、総合ケアネットワーク社はソラストケアネットワーク株式会社と名称を変え、ソラストグループの一員として関係性が強固なものになりました。
参照元:株式会社ソラスト「『株式会社ソラストケア』と『ソラストケアネットワーク株式会社』」
ファミリー・ホスピス社によるノーザリーライフケア社の吸収合併
2023年4月、ファミリー・ホスピス株式会社が、ノーザリーライフケア株式会社を吸収合併することを決定しました。
ファミリー・ホスピス社は、日本ホスピスホールディングス株式会社の子会社。もともと関東・関西・東海エリアにて、末期がんやALSなどの難病を抱える患者向けにホスピス住宅を33カ所展開しています。一方、ノーザリーライフケア社は、北海道の札幌市内でALSやその他の難病患者、人工呼吸器を使用する方々をサポートする施設を運営し、両社はそれぞれ地域医療に貢献してきました。
2022年4月に、ファミリー・ホスピス社は、ノーザリーライフ社の株式70%を取得し、その後の2023年1月に残りの30%を取得し、完全子会社化することに成功しています。
そして今回、2つの会社が統合することで、人材の交流を通じた難病ケアの質の向上と間接業務の効率化を図るとともに、北海道エリアにおける新たな施設の設立が実現できるとしています。
参照元:日本ホスピスホールディングス株式会社「連結子会社間の合併に関するお知らせ」
リネットジャパングループ社によるアニスピホールディングス社の子会社化
2023年3月、リネットジャパングループ株式会社は、障がい者向けグループホーム運営企業の株式会社アニスピホールディングスを完全子会社化しました。
リネットジャパングループは、ネット中古書店「ネットオフ」によるリユース事業や、小型家電リサイクル事業を行う企業です。一方子会社化したアニスピホールディングス社は、約1,200のグループホームを展開する業界のリーダーで、ペット共生型グループホームや訪問看護など多岐にわたる障がい福祉関連事業を展開しています。
今回の子会社化により、リネットジャパングループ社は、「環福連携モデル(環境と福祉を連携させるビジネスモデル)」を推進し、小型家電リサイクル事業と障がい福祉事業のシナジー効果を追求するとしています。
参照元:リネットジャパングループ「アニスピ社の買収による成長戦略とES(Environment/Social)モデルについて」
ソラスト社による三井住友海上ケアネット社の子会社化
2023年2月、ソラスト社は、三井住友海上ケアネット株式会社を子会社化しました。
三井住友海上ケアネット社は、創業から30年以上にわたり優れた介護サービスを提供し、顧客満足度を高めることに注力してきた企業です。子会社化した当時、東京都及び名古屋市に存在する7つの事業所で有料老人ホームの運営や在宅介護支援、訪問介護サービスを行っていました。
今回、三井住友海上ケアネットにソラストの専門知識を取り入れることで、競争力を更に向上させることを目指しています。
参照元:三井住友海上火災保険株式会社「三井住友海上ケアネット株式会社の株式譲渡について」
ケアパートナー社による絆ケア社の子会社化
2023年2月、ケアパートナー株式会社は、株式会社絆ケアを子会社化しました。
ケアパートナー社は、大東建託グループの一員として介護および保育事業を手掛けている企業です。全国に176の事業所(介護146箇所、保育30箇所)を運営する一方で、「すべての人々が元気に生活し、幸せな社会を創造する」ことを目指しています。一方、絆ケア社は、千葉県船橋市にて2つの訪問看護事業所を展開している企業です。
今回の株式取得を通じて、地域における包括的なケアシステムを推進し、ケアパートナーの「訪問看護事業」を拡充することを目指しています。絆ケア社の訪問看護と、ケアパートナーの介護サービスを組み合わせることで、双方の強みを活かし、相乗効果を生むことが期待されています。
参照元:「株式会社絆ケアの全株式取得に関するお知らせ 」
リビングプラットフォームケア社による高齢者グループホームの事業承継
2023年1月、株式会社リビングプラットフォームケアは、株式会社エコが運営する介護事業のうち、高齢者グループホームの一部を承継する吸収分割を行うことに成功しました。
エコ社は、2003年に初の施設を開設以来、郡山市を中心に福島県で多数の介護施設を運営してきた企業です。また、リビングプラットフォームケア社は、ほかの2社のグループ企業とともに65の介護施設を運営しており、エリアの拡大と地域に根ざしたサービスの提供の強化を進めています。
福島県はリビングプラットフォームグループが初めて進出する地域で、東北地方では宮城県に次いで人口が多い地域です。今回の吸収分割を通じて事業を継承することで、東北地方におけるビジネスシェアを拡大する基盤を構築することが目的とされています。
参照元:株式会社リビングプラットフォーム「連結子会社における会社分割(吸収分割)による事業の承継に関するお知らせ」
ケア21社によるソフトケア宮城社の訪問介護事業を譲り受け
2023年1月、株式会社ケア21はソフトケア宮城株式会社から訪問介護事業を譲り受ける契約を結びました。
ケア21は、訪問介護・居宅介護支援・グループホーム・介護付有料老人ホームなどの事業を、首都圏・近畿圏・名古屋・仙台・広島・福岡で展開しています。ソフトケア宮城から譲り受ける事業の拠点である仙台市・宮城県は、ケア21社の事業展開地域では孤立したエリアとなっており、子会社化によってエリア拡大を見込まれます。
また、営業活動や人材確保の面でも統合的な運営が可能となり、シナジー効果が期待できるとして、今回の事業譲受に至っているようです。
参照元:株式会社ケア21「ソフトケア宮城株式会社からの事業譲受に関するお知らせ」
リビングプラットフォームケア社によるトゥルース社の子会社化
2022年12月、リビングプラットフォームケア社は、株式会社トゥルースを子会社化しました。
トゥルース社は、2003年に神戸市で設立され、高齢者グループホーム「グループホーム六甲」を運営している企業です。神戸市は、特定施設や高齢者グループホームの許認可を得るにあたり、神戸市での事業実績を要求していることから、参入障壁が高いとされていました。そのため、リビングプラットフォームケア社は、すでに神戸市で事業を展開している事業者をM&Aで獲得することを決定したようです。
グループホーム六甲は、定員9名という小規模な高齢者グループホームですが、施設を拡大移転できる余地があり投資効果が高いと見込んでいます。今後は、管理体制を整備したうえで、神戸市での事業拡大の基盤とし、トゥルース社のスタッフと競争力を高めていく予定です。
参照元: リビングプラットフォームケア「連結子会社における株式譲渡契約締結(完全子会社化)に関するお知らせ」
ファミリー・ホスピス社によるトリニティ・ケア社からの事業承継
2022年10月、日本ホスピスホールディングス社は、その子会社であるファミリー・ホスピスを通じて、東京新宿に拠点を置くトリニティ・ケア株式会社から介護付有料老人ホームの運営を引き継ぐことを明らかとしました。
日本ホスピスホールディングスグループによるホスピス住宅の機能と専門知識が引き継いだ介護付有料老人ホームに追加され、地域の医療・介護への貢献度がこれまで以上に増すことが期待されます。
参照元:日本ホスピスホールディングス株式会社「サービス付き高齢者向け住宅の運営引継ぎに向けた基本合意書の締結に関するお知らせ」
AHCグループ社による福祉事業所運営のCONFEL社とRAISE社の買収
2022年8月、AHCグループ株式会社は、福祉事業所を運営する株式会社CONFELと株式会社RAISEを買収しました。
AHCグループ社は、福祉事業・介護事業・飲食事業を行っている企業です。特に福祉事業は、子どもの発達支援・放課後デイサービス・就労支援・共同生活援助・生活介護・相談支援など、さまざまなサービスを展開してきています。
CONFEL社は愛知県豊橋市に事業所を持ち、RAISE社は愛知県名古屋市に事業所を有する企業です。
今回の買収は、AHCグループ社の新事業所開設に向け、既存事業を強化する狙いがあります。未開拓の地域で福祉事業所の運営実績がある2社を子会社化することで、事業拡大と競争力強化を目指しています。
参照元:AHCグループ株式会社「株式会社CONFEL、株式会社RAISEの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ 」
日本ホスピスホールディングス社によるノーザリーライフケア社の子会社化
2022年4月、日本ホスピスホールディングス社は、住宅型の有料老人ホームを運営しているノーザリーライフケア株式会社を子会社化しました。
ノーザリーライフケア社は札幌市において、住宅型の有料老人ホームを中心に、重度訪問介護・看護小規模多機能・訪問介護・訪問看護・障害福祉関連サービスなどを提供している企業です。特にALS等の難病や気管切開、人工呼吸器を使用する患者への対応が可能な施設として、地域の医療に貢献してきました。
今回の子会社化は、日本ホスピスホールディングス社のホスピス住宅事業を北海道で展開する第一歩となっており、事業拡大のための子会社化事例といえます。
参照元:日本ホスピスホールディングス株式会社「ノーザリーライフケア株式会社の株式取得に関するお知らせ」
テノ. ホールディングス社によるフォルテ社の子会社化
2022年1月、テノ. ホールディングス株式会社株式会社フォルテを子会社化しました。
テノ. ホールディングス社は、保育事業などの女性向けのサービスを展開しており、2019年12月からはデイサービスを中心とした介護事業に新規参入しています。
一方、フォルテ社は、大阪で4つの介護施設を運営しており、それぞれの利用者のニーズに応えた選ばれる施設を実現している企業です。
今回の子会社化は、テノ. ホールディングス社の介護事業を拡大させることを目的としたもので、同社の介護事業のサービスラインを充実させることが達成されています。
参照元:テノ. ホールディングス株式会社「株式会社フォルテの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
まとめ
老人ホーム業界は高齢者の健康と安心な生活を支えるために、施設運営を行う業界です。高齢化社会の進行に伴い老人ホーム業界の市場規模は増大していますが、急激なニーズの増加に伴うサービスの提供や質の向上、人材の確保といった課題に直面しています。
そこで注目されるのがM&A(合併・買収)です。M&Aを通じて事業者間で資源を共有したり、業務の効率化を図ったりすることでこれらの課題に対処しようとする動きが見られます。また、M&Aを成功させるためには、取得予定の事業の入居者の属性を的確に把握し、ニーズに応じたサービスを提供することが不可欠です。また、老人ホーム業界のM&Aの一つの狙いは地域の売上規模の拡大であり、これにより企業は競争力を維持しさらなる成長を目指しています。
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