このページのまとめ
- 飲食店をM&Aで譲渡する方法は、主に「造作譲渡」「事業譲渡」「株式譲渡」の3種類
- 飲食店M&Aで譲渡するメリットは「譲渡益の獲得」「個人保証や担保からの解放」など
- 飲食店M&Aで譲受するメリットは「新規参入のしやすさ」「スケールメリットの獲得」など
飲食業界において、M&A(エムアンドエー)は活性化している傾向がみられ、売り手市場です。しかし、M&Aとはどのようなものなのか、目的や意味などについて詳しくは分からない方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、飲食店のM&A買収の流れやメリット・デメリット、注意点など、飲食店のM&Aについて詳しく紹介します。
目次
M&Aとは
M&Aは「エムアンドエー」と読み、「Mergers(マージャーズ)and(アンド)Acquisitions(アクイジションズ)」の略語です。
M&Aを日本語に訳すと「企業の合併と買収」となり、別企業との合併、株式や事業、会社の買収を指します。
M&Aは、企業や事業の移転を伴う取引で、成長戦略の手段としての意味合いが強く、飲食業界のM&Aは同業種間での買収が中心です。
飲食業界を取り巻く現状
現在、飲食業界では人手不足や原材料調達にかかる費用の高騰が深刻化しています。
人手不足問題の原因として、少子高齢化に起因する労働人口の減少が挙げられるでしょう。
店舗あたりの従業員数が減少傾向にあるため、需要の多い飲食店では、従業員1人にかかる負担が上昇します。
飲食業界の労働環境は、他の業種と比べて過酷といわれており、今後も労働人口は減少すると予想されています。
そのため、従業員1人あたりにかかる負担を減少させるために人材の採用に力を入れ、離職率を下げるための対策が必要です。
飲食店のM&Aを行う目的
活性化している飲食店のM&Aですが、M&Aを行う目的としては、どのようなことがあるのでしょうか。
M&Aの目的は、譲渡企業(売り手)と、譲受企業(買い手)でそれぞれ異なります。
この章では、譲渡企業の目的と、譲受企業の目的をそれぞれ3つずつ紹介します。
飲食店のM&Aを行う譲渡企業(売り手)側の目的
飲食店を売却する目的は、主に次の3つです。
- 後継者問題の解決
- 従業員雇用の安定
- 事業の整理
それぞれの目的について解説します。
後継者問題の解決
多くの中小企業では後継者がいない、または見つからないという問題が深刻化しています。
特に、家族経営(同族経営)では、少子高齢化による後継者の不在や、後継者候補がいたとしても企業を継ぐ意志や能力を持たないことがあります。
飲食店においても同じく、後継者がいなくなれば廃業になってしまうため、M&Aの活用は有効な手段といえるでしょう。
同業の大手企業や上場企業などの第三者に事業や店舗などを売却することで、廃業せずに事業承継ができるためです。
従業員雇用の安定
後継者が見付からないと、企業は廃業になってしまい、従業員の雇用が失われます。
経営者の中には、長年働いている従業員に対し、家族のような親しみと愛情を持っている方もいるでしょう。
M&Aを活用し、信頼できる企業に事業や店舗を承継すると、従業員の雇用が守られることにもつながります。
従業員の譲り受けに関しては譲受企業にも、これまでの業務で培ったノウハウを受け継げるというメリットをもたらすでしょう。
事業の整理
M&Aを活用した事業承継では、企業全体の譲渡だけではなく一部事業のみの譲渡も可能です。
多角的にさまざまな事業を展開していると、業績が伸びずに利益が出にくい事業部も存在するでしょう。
業績が伸び悩むと、経営資源の分配がスムーズにいかないことがあります。
そのため、利益の出にくい事業をM&Aで売却すれば、軌道に乗っている事業のみに注力できます。
飲食店のM&Aを行う譲受企業(買い手)側の目的
飲食店を買収する目的としては、次の3つが挙げられます。
- 事業の強化
- 会社の規模拡大
- 事業成長にかかる時間を買う
それぞれの目的について見ていきましょう。
事業の強化
多くの譲受企業は、成長戦略の手段としてM&Aを取り入れています。
自社に足りない技術や人材などの弱みを補える企業を譲受し、強みを最大化するシナジー効果の獲得は、M&Aを活用して得られるメリットの1つです。
シナジー効果とは、2つ以上の企業が協力することで得られる相乗効果です。
会社の規模拡大
スケールメリットとは「規模のメリット」とも呼ばれ、企業の規模や事業が拡大することで得る、収益面や競争面でのメリットを意味します。
スケールメリットは、同じ種類のものを集めて大きな成果が得られることを指す和製英語です。
飲食店のM&Aにおいては、事業や店舗、従業員などを譲渡企業から譲り受けることで、自社の事業や会社の規模を拡大して、スケールメリットを得られます。
認知度が高い会社を買収すればブランド力を獲得できて、経営にプラスの効果をもたらすでしょう。また、会社の規模が大きくなれば交渉の際に有利になる効果が見込めます。
事業成長にかかる時間・費用削減
譲受企業は、譲渡企業から事業や店舗だけではなく、従業員やノウハウを譲り受けられます。
そのため、自社では手掛けたことのない新規事業であっても、従業員やノウハウを受け継いだ状態での参入が可能です。
通常であれば新規事業へ参入するには、ノウハウが全くない状態から事業や人材を成長させなければなりません。
しかし、M&Aを活用することで譲渡企業が保有する技術や人材、取引先まで継承できるため、事業成長にかかる時間や費用を抑えられます。
飲食店を譲渡する3つの方法
M&Aの譲渡方法にはいくつかの種類があり、飲食店の店舗を譲渡する際に選ばれる方法は、「造作譲渡」「事業譲渡」「株式譲渡」の3つです。
この章では、3つの方法について詳しく紹介します。
1.造作譲渡
造作譲渡とは、店内内装をそのまま次の事業者に譲渡する方法です。店舗売却や居抜き売却とも呼ばれ、店舗を譲渡しますが、経営権は譲渡しません。
造作(ぞうさく)とは、建物内の内装だけではなく、家具も含めた意味の建築用語です。
造作譲渡では、建築用語での造作よりも広い範囲を示すことがあり、その際には厨房機器やレジ、テーブルや椅子なども承継する対象に含みます。
造作譲渡を成功させるポイントには、
- 造作譲渡金額が適切であること
- 店舗の立地条件がよいこと
- 店舗の設備が整備されていること
などが挙げられます。
2.事業譲渡
事業譲渡とは、企業全体ではなく事業を譲渡する方法です。
事業譲渡には、事業の全てを譲渡する「全部譲渡」と、一部門単位で譲渡する「一部譲渡」があります。
譲渡企業は譲渡する事業を指定できるため、利益のある事業は残し、赤字や簿外債務などの理由から譲渡したい事業のみを売却することが可能です。
一方、譲受企業は、譲受したい事業の範囲を指定でき、負債や債務までを引き継ぐ必要はありません。
3.株式譲渡
株式譲渡とは、譲渡企業の株主が保有する対象企業の株式の全て、または一部を譲受企業に売却し、経営権を移転させて譲渡する方法です。
譲渡企業の株主が保有している株式の割合が過半数であるときの譲渡は、「会社譲渡」とも呼ばれます。
株式譲渡でのM&Aは、手続きが簡単であることや、取引上の契約を引き継げることなどの理由から、国内の中小企業でよく使われている形式です。
なお、譲渡企業の債権や債務は、譲受企業に引き継がれます。
飲食店M&Aにおける譲渡側の流れ
飲食店M&Aにおける譲渡側の流れは、大きく「準備期間」「交渉期間」「最終契約」の3つの段階に分けられます。
1.準備期間
M&Aは、譲渡することの目的や譲れない条件について考えるところから始まります。
準備期間では他にも決算書や損益計算書(P/L)、貸借対照表(B/S)、キャッシュフロー計算書(C/F)を揃えておきましょう。
その際に、過去三期分があれば交渉をスムーズに進められます。
また、M&A仲介業者との契約も準備段階で済ませておきます。
2.交渉期間
準備が終わった後は、買い手を探します。
その際、譲渡企業は特定されない範囲のノンネームシートを作成し、譲受企業からの打診を受けてトップ面談した後、基本合意書を締結します。
3.最終契約
基本合意締結後は、譲受企業からのデューデリジェンス(実態調査)が実施されます。
デューデリジェンスの結果を踏まえて最終契約交渉、最終契約を経由し、クロージングへ移行します。
飲食店M&Aにおける譲受側の流れ
飲食店M&Aにおける譲受側の流れは、飲食店買収譲渡側と同様に「準備期間」「交渉期間」「最終契約」の3つの段階に分けられます。
1.準備期間
M&Aで飲食店を譲受しようと思う動機や目的、戦略はもちろん、どのような店舗を購入したいか、経営方針はどのようにするかを明確にする所から始めます。
2.交渉期間
秘密保持契約締結後、譲受側はM&Aの効果を判断するため、譲渡側からさまざまな情報を開示してもらい、基礎的な分析を実施した後にM&A仲介業者と契約をします。
3.最終契約
基本合意締結後は、譲渡企業に対してデューデリジェンス(実態調査)を実施します。
デューデリジェンスの結果に問題がなければ、契約に進みましょう。最終契約交渉・最終契約を経由し、クロージングへ移行します。
【買い手側】飲食店がM&Aを行うメリット・デメリット
飲食店がM&Aを行うことには、メリットだけでなくデメリットもあります。買い手側に想定されるメリットとデメリットについて見ていきましょう。
買い手側のメリット
買い手側のメリットとしては、次の4点が挙げられます。
- 飲食業界への参入
- スケールメリットが期待できる
- シナジー効果が期待できる
- 盤石なコンセプトを得られる
それぞれのメリットについて解説します。
飲食業界への参入
M&Aで運営中の飲食店を買収すれば、飲食店経営の知識がなくても新規参入のハードルが下げられるでしょう。
店舗だけではなく、従業員の獲得も同時にでき、事業や人材の成長にかかる時間と費用が抑えられるためです。経営ノウハウがある状態で飲食業界で事業をスタートできます。
スケールメリットが期待できる
譲受側がすでに飲食店を経営している場合、飲食店を譲受すると店舗数が増え、仕入れや加工の合理化、ブランド力の向上などのスケールメリットが期待できます。
また、弱みをお互いに補える企業を譲受すると、強みを伸ばすなどのシナジー効果を得られることもメリットの1つです。
例えば、仕入れや加工技術に優れている企業と、ブランド力や販売力に優れている企業がM&Aでひとつになれば、大きな利益につながるでしょう。
シナジー効果が期待できる
M&Aで飲食店を譲受すると、多角的な事業展開が可能です。
飲食店と関係性のある観光や農業、宿泊などを既に自社で展開している際には、シナジー効果を期待できます。
そのため、ただ事業を譲受するのではなく、自社が展開している事業と譲受した事業の双方で成果の見込める相手を選んでM&Aを行いましょう。
盤石なコンセプトを得られる
コンセプトとは経営方針のことを指し、事業を展開する際には必ずなくてはなりません。
M&Aを活用して飲食店を譲受すると、店舗はもちろん既に完成された店舗コンセプトも含めて譲受できます。
買い手側のデメリット
買い手側が被る可能性のある主なデメリットは、次の2点です。
- 収益やシナジー効果が出ない可能性がある
- 人材が流出する可能性がある
それぞれのデメリットについて説明します。
収益やシナジー効果が出ない可能性がある
予定よりも収益が出ず、期待したほどのシナジー効果やスケールメリットが得られない可能性があります。
また、シナジー効果は発揮されるまでに時間を要し、譲渡企業と譲受企業のすり合わせが不十分だとシナジー効果を得られないこともあります。
企業間での文化の違いやシステムの差をできる限りなくすため、すり合わせは事前にしっかりと済ませておきましょう。
人材が流出する可能性がある
M&Aを通じて、ノウハウや既存の人材を確保することも目的の1つです。
しかし、経営陣が入れ替わったことに起因する経営方針の変更や労働条件の悪化から、従業員が離職する可能性もあります。
新しい経営者とのコミュニケーションが円滑に進まず、信頼関係を築けないケースでも同様のことが起こりうる可能性があります。
主要人物の離職が原因で、統合後の企業が円滑に回らない可能性もあります。
関連記事:事業買収とは?買い取る手法や目的、メリット・デメリットを解説
【売り手側】飲食店がM&Aを行うメリット・デメリット
飲食店を売却することにも、メリットとデメリットがあります。売り手側の立場から想定されるメリットとデメリットを紹介します。
売り手側のメリット
一方、売り手側のメリットとしては、次の4点が挙げられます。
- 創業者利益の獲得
- 個人保証や担保の解除
- 会社の商号を使い続けられる
- 工事費用がかからない
それぞれのメリットを説明します。
創業者利益の獲得
創業者利益とは、譲渡企業の創業者が所有する自社株式を、譲受企業に売却して得る譲渡益のことです。
譲渡益とは、取得時の株式や不動産の価格と、売却時の価格の差から得られる利益のことです。また、売却対価の一部を退職金として受領可能です。
個人保証や担保の解除
経営者がM&Aに乗り出せない理由のひとつに、経営者自身が債務の連帯保証人になっていることがあげられます。
M&Aの事業承継を行う際にいくつかの要件を満たすと、一括返済や整理もなく経営者の個人保証の解除が可能です。
会社の商号を使い続けられる
M&Aで店舗や事業を譲渡すると、事業の内容や店舗の設備だけではなく、従業員やノウハウも譲渡されます。
そのため、これまで培われてきたブランド力や歴史が失われず、次世代につながられることもメリットの1つといえるでしょう。
また、取引先もそのまま引き継がれるため、一部譲渡の場合に取引先や顧客の信頼を損なわないことにつながります。
工事費用がかからない
飲食店が廃業して撤退する際には、解約予告家賃と原状回復費がかかります。
解約予告家賃とは、解約予告をした後、実際に物件を明け渡すまで毎月支払う家賃です。
解約予告をする時期は、店舗の明け渡しよりも3か月から6か月前と義務付けられていますが、物件次第では10か月前や1年前にも及ぶことがあります。
M&Aの造作譲渡では、内装がそのまま譲渡されるため、工事費がかからないだけでなく、譲渡までの期間を短縮できます。
売り手側のデメリット
売り手側もデメリットを被る可能性があります。主なデメリットは次の2点です。
- 売却先が見つからないことがある
- 従業員の離職が発生する場合がある
それぞれのデメリットを説明します。
売却先が見つからないことがある
M&Aを成功させるには、譲受企業を見つけることがその第一歩となります。
実績があるからといって高い条件をつけていると、譲受企業の買収対象から外される可能性があります。
多くの場合、M&Aでは実績よりも将来性が重要視されるためです。
譲受企業を見つけるためには、士業専門家や金融機関、仲介業者などのサービスを利用して適性な評価を受けるとよいでしょう。
従業員の離職が発生する場合がある
M&Aでは従業員も含めて譲受されますが、経営者や担当者が変更し、契約条件が変更になった際、従業員の雇用条件が悪くなることがあります。そうなってしまった場合、従業員が離職してしまうこともあるでしょう。
譲渡企業側に在籍していた組織の中心となる人材が抜けてしまうと、取引先との関係がうまくいかなくなったり、顧客離れが起きたりする可能性があります。
飲食店M&Aの相場
飲食店のM&Aでは、店舗ごとに条件や状況が違うため、はっきりとした相場を出しにくく、目安額として示すことはできません。
ただし、新規で飲食店を開業するよりM&Aを利用した方が安く済むケースが多くあります。
M&Aの金額を決定する要素
M&Aの金額を決定する要素は、主に以下のとおりです。
- 売上
- 立地
- 店舗数
- ブランド力
- 飲食ジャンル
- 店舗の広さ
- 設備
飲食店M&A価格の3つの算出方法
M&A価格の算出方法には、「コストアプローチ」「マーケットアプローチ」「インカムアプローチ」の3種類があります。
コストアプローチ
資産や負債の時価などを基準に譲渡額を算定します。
比較的簡単に企業価値を算出できることが特徴です。
M&A価格=資産-負債+のれん
マーケットアプローチ
株式市場の価値と照らし合わせて譲渡額を算定します。
株式市場や株価を基準にしているため、評価額を客観視しやすいことが特徴です。
M&A価格=類似企業の事業価値における対象企業価値×(時価総額-有利子負債+現預金)
インカムアプローチ
事業の収益力を基準に期待収益を考慮し、譲渡額を算定します。
事業の将来性を考慮されることが特徴です。
M&A価格(DCF法)=フリーキャッシュフロ÷(1+割引率)
フリーキャッシュフロー=税引後営業利益+減価償却費−運転資本増価額−設備投資額
飲食店M&Aにおける5つの注意点
買収後にシナジー効果を得られるなら、飲食店のM&Aは成功したと判断できるでしょう。ここからは、飲食店M&Aを成功させるための注意点を5つ紹介します。
1.ビジネスモデルを確認し相性のよい相手を探す
買収したい飲食店が魅力的でも、相手のビジネスモデルが合っていないと、買収後のビジネス展開がうまくいかない可能性があります。
場合によっては、会社全体の業績が悪化することにもなりかねません。
ビジネスモデルを確認するのはもちろんのこと、既存の事業や店舗と相性がよく、協力することで相乗効果が得られるかについても確認しておきましょう。
2.コストシナジーが得られる相手を選ぶ
コストシナジーとは、買収によって時間や手間を削減することです。たとえば、次のような例が挙げられます。
- 相手企業に店舗が多く、物件を探す時間やフランチャイズ加盟店を探す時間を削減できる
- 仕入れや食材加工をまとめて行い、コストダウンを図る
- 従業員をまとめて採用し、採用コストを削減する
買い手が「ファミリー向け焼肉店」なら相手企業も「ファミリー向け焼肉店」のように、ジャンルが同じ企業を選べばコストシナジーを得やすいと考えられます。
3.売上シナジーが得られる相手を選ぶ
売上シナジーとは、規模拡大あるいは多角化によりシナジー効果を得ることです。
規模拡大による売上シナジーとは、同じ業態の企業を買収して規模拡大を図り、仕入れや食材加工のコストダウンを図ることです。コストシナジーともいうことがありますが、売上シナジーと呼ぶこともあります。
多角化による売上シナジーとは、異なる業態の企業を買収することで集客力や販売力を補完することです。たとえば鍋料理は冬に好まれるため、夏は売上を落とす傾向にあります。焼肉やウナギ料理のように夏に人気の高まる飲食店を買収し、一年を通して安定した利益を見込みます。
4.交渉は早めに進める
立地がよい、固定客が多いなどの魅力的な飲食店は、ほかの企業にとっても魅力的です。
買収しようかと迷っているうちに、他社に先に買収されてしまう可能性があるため注意が必要です。
他の人よりも早く交渉を進めて、独占交渉ができる状態を作り、M&Aを成功させましょう。
5.M&Aの知識が豊富な専門家に依頼する
飲食店のM&Aには、専門知識が必要な場面が多数存在します。また、M&Aには事業譲渡や株式譲渡などのさまざまな手法があり、手続きだけでなく、期待できる効果やメリットなども異なります。
飲食店のM&A経験が豊富な専門家に相談し、慎重に交渉を進めていきましょう。
飲食店のM&A事例5つ
飲食店のM&Aを理解するには、過去の事例が役立ちます。手法や得られる効果などが異なる5つの事例を紹介します。ぜひ参考にしてください。
サンマルクホールディングスの事例
ベーカリーレストランやカフェをチェーン展開するサンマルクホールディングスは、2022年12月に喫茶マドラグを運営するLa Madragueの株式を取得し、子会社化しました。
喫茶マドラグは店舗数は少ないもののブランド力があり、同業種企業として子会社化することで、さらなる事業拡大を目指しています。
参照元:株式会社サンマルクホールディングス「株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
ゼンショーホールディングス(SnowFox Topco)の事例
ゼンショーホールディングスは、2023年9月にアメリカやイギリスで持ち帰りすし店などをチェーン展開するSnowFox Topcoの全株式を取得し、子会社化しました。
約3,000店舗あるSnowFox Topcoを子会社とすることで、メニュー開発や物流などの相乗効果を期待し、海外での食品事業の拡大を目指しています。
参照元:ゼンショーホールディングス「SnowFox Topco Limitedの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」
ヨシムラ・フード・ホールディングスの事例
ヨシムラ・フード・ホールディングスは、2018年3月に長野県の乾燥食品メーカー・おむすびころりん本舗の全株式取得と第三者割当増資の引き受けを実施しました。
おむすびころりん本舗が自社開発したフリーズドライの技術を、ヨシムラ・フード・ホールディングスが持つプラットフォームに活かすことで相乗効果を狙った戦略です。
参照元:ヨシムラ・フード・ホールディングス「株式会社おむすびころりん本舗」
株式会社プレナスの事例
株式会社プレナスは、2016年12月に宮島醤油フレーバーの株式を過半数取得し、子会社化しました。調味料についての豊富な情報と高度な開発技術を有する宮島醤油フレーバーを傘下に納めることで、より完成度の高い食品の開発をより短時間で実現することを目指しました。
また、自社調味料を現地でつくれるようになることで、海外事業にも優位に働くと期待しています。
参照元:プレナス「沿革」
ゼンショーホールディングス(ロッテリア)の事例
ゼンショーホールディングスは、2023年4月にロッテホールディングスの完全子会社であったロッテリアを買収し、子会社化しました。
ロッテリアは韓国や台湾などのアジアでもチェーン展開しているハンバーガーショップです。食材調達や流通をゼンショーホールディングスと共有することでコストを削減し、日本だけでなくアジアでも幅広く効率性の高い事業展開を進めていくことを見込んでいます。
参照元:ゼンショーホールディングス「株式会社ロッテリアの株式取得に関するお知らせ」
まとめ
ここまで飲食店のM&Aについて詳しく解説してきました。
譲渡側は、後継者問題や従業員の雇用問題を解決できるというメリットがあります。
一方、譲受側は、新規参入する事業であっても従業員やノウハウを引き継ぐことができるため、事業を育てる時間を大幅に削減できるというメリットがあります。
飲食店のM&Aには、「造作譲渡」「事業譲渡」「株式譲渡」の、3つの種類があります。
それぞれの方法ごとに異なる特徴があるため、どの譲渡方法が自社に合っているのかを検討してから始めましょう。
レバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社は、飲食店のM&AをはじめとするM&A全般を支援しています。
お客さまのお困りごとに寄り添い、適切なサポートを提供する仲介会社です。
料金体系はご成約時に料金が発生する完全成功報酬型です。ご相談も無料でお受けしています。
M&Aのご成約まで無料で利用できます(譲受側のみ中間金あり)。
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