産業廃棄物処理業界のM&A動向や事例を紹介!メリットや注意点も解説
2024年7月29日
このページのまとめ
- 産業廃棄物処理業界の市場規模は不況の際に縮小したが、現在は不況前の水準に戻った
- 産業廃棄物処理は生活に密接した分野であるため、今後も需要はなくならないと予想される
- 産業廃棄物処理業界でのM&Aのメリットは、新規参入できることやエリア拡大など
- 産業廃棄物処理業界でM&Aを行うときは、特に地域住民からの理解を得ることが大切
「産業廃棄物処理業界でM&Aをするにはどうしたらよい?」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
産業廃棄物処理業を営むには許認可が必要であるため、M&Aによって事業拡大およびエリア拡大を狙う会社もあるでしょう。
本コラムでは、産業廃棄物処理業界の現状やM&A動向などを紹介します。
また、産業廃棄物処理業界でM&Aを行うメリットや実施するときの注意点なども解説。
そのほか、M&A事例も紹介するのでぜひ参考にしてください。
目次
産業廃棄物処理業界とは
産業廃棄物処理業界とは、産業廃棄物の収集・運搬・処分を主に営む業界です。
都道府県からの許認可を受けて、産業廃棄物処理の事業に従事します。
産業廃棄物の種類
産業廃棄物処理業者が対応を行う「産業廃棄物」とは、企業が事業活動をとおして排出した廃棄物のことです。
産業廃棄物の種類は、下記の表のとおりです。
区分 | 種類 | 産業廃棄物の具体例 |
あらゆる事業活動から 排出されるもの | 燃え殻 | 石炭がら、灰かす、廃棄物焼却灰、すす、重油燃焼灰、焼却灰など |
汚泥 | 製紙スラッジ、糊かす、下水汚泥、めっき汚泥、石炭かす、砕石スラッジ、不養生セメントなど | |
廃油 | 潤滑油系廃油、洗浄油系廃油、シンナー、ベンゼン、トリクロロエチレン、タンカー洗浄廃水、印刷インキかす、硫酸ピッチなど | |
廃酸 | 硫酸、塩酸、ホウ酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、染色廃液、炭酸飲料水、ビールなど | |
廃アルカリ | 廃灰汁、アルカリ性めっき廃液、写真現像廃液、金属せっけん廃液、石炭廃液、アンモニア廃液、黒液、硫化ソーダ廃液など | |
廃プラスチック類 | 廃ポリウレタン、廃スチロール、合成紙くず、タイル、断熱材、ナイロン、ポリエステル、廃ポリ容器類、廃タイヤ、合成ゴムくずなど | |
ゴムくず | 切断くず、裁断くず、エボナイトくず、ゴムくず、ゴム引布くずなど | |
金属くず | 鉄くず、空かん、銅線くず、古鉄・スクラップ、ブリキ、鉄粉、溶接かすなど | |
ガラスコンクリート陶磁器くず | 板ガラスくず、アンプルロス、破損ガラス、インターロッキングくず、石膏ボードくず、土器くず、陶器くず、レンガくず、タイルくずなど | |
鉱さい | 高炉・平炉・転炉・電気炉からの残さい、粉炭かす、鉱じん、鋳物廃砂など | |
がれき類 | コンクリート破片、石類、レンガ破片、ブロック破片、瓦破片など | |
ばいじん | 電気集じん機捕集ダスト、サイクロン捕集ダスト、バグフィルター捕集ダストなど | |
排出する業種が限定されるもの | 紙くず | 印刷くず、旧ノーカーボン紙、製本くず、裁断くず、建材の包装紙など |
木くず | 梱包材くず、建設業関係の建物、橋、木材、おがくず、板きれ、廃チップなど | |
繊維くず | 木綿くず、麻くず、糸くず、みじん、レーヨンくず、落ち毛、建設現場から排出される繊維くず、ロープなど | |
動物系固形不要物 | 食鳥処理場において処理した食鳥、と蓄場において処分した獣蓄 | |
動植物性残さ | 魚・獣の骨、ボイルかす、卵から、貝がら、こうじかす、ソースかす、酒かす、果実の皮・種子、野菜くず、油かすなど | |
動物のふん尿 | 牛、馬、豚、にわとり、兎および毛皮獣などのふん尿 | |
動物の死体 | 牛、馬、豚、にわとり、兎および毛皮獣などの死体 | |
その他 | 法施行令第2条第13号に規定される、産業廃棄物を処理するために処理したものであって、上記の産業廃棄物に該当しないもの | 焼却灰の溶融固形化物、有害汚泥のコンクリート固形物 |
国が法律や政令によって定められた、以上の合計20種類の廃棄物が産業廃棄物にあたります。
参照元:
環境局『産業廃棄物の種類』
環境局『産業廃棄物の具体例』
産業廃棄物処理業の3つの区分
産業廃棄物処理業は、そのプロセスによって区分が主に3つに分けられています。
- 収集運搬業
- 中間処理業
- 最終処分業
主な3つの区分について、それぞれ詳しく解説します。
収集運搬業
収集運搬業では、ごみ収集車などを使用して、産業廃棄物の収集・運搬を行います。
ごみの排出先から産業廃棄物を集めたり、産業廃棄物を中間処理場および最終処分場へ運んだりします。
中間処理業
中間処理業では、最終処分に向けた前段階の処理を行います。
中間処理施設に運ばれてきた産業廃棄物を、まずはリサイクルできるかどうかで選別を行います。
選別の結果、再生利用できない産業廃棄物については、焼却や破砕、溶解などの処理を施します。
最終処分業
最終処分業では、産業廃棄物の最終的な処分の作業を行います。
中間処理施設から運搬された産業廃棄物を適切な方法で処理したうえで、埋め立てや海への投棄、専用設備への保管などの最終処分を実施します。
産業廃棄物処理業界の現状
2023年に環境省は、環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書を公表しました。
報告書によると、産業廃棄物処理業が属する分野の市場規模の推移は以下のグラフのとおりです。
引用元:環境省『令和4年度環境産業の市場規模推計等委託業務 環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書』図表 2-II-14 廃棄物処理・資源有効利用分野の市場規模推移
廃棄物処理・資源有効利用分野の市場規模は、不況の煽りを受けて2009年に約43.6兆円まで落ち込みました。
前年の2008年は約51.8兆円だったため、2009年の市場規模は前年比約16%減という結果です。
2009年以降、市場規模は緩やかに上昇していきます。
2017年には廃棄物処理・資源有効利用分野の市場規模が約51.9兆円となり、不況前の2008年の水準に戻りました。
調査時点の最新の情報である2021年の市場規模は、約53.3兆円です。
2009年はリーマンショックの影響を受けて市場規模が大きく減少しましたが、基本的に安定した業界だといえます。
産業廃棄物の処理は人間の生活に大きく関わる分野であるため、需要はほぼ永久的に続くことになるでしょう。
参照元:
環境省『令和4年度環境産業の市場規模推計等委託業務 環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書』令和5年3月
産業廃棄物処理業界における7つの課題
産業廃棄物処理業界には、課題として主に下記の7つのことが挙げられます。
- 地域が限定される
- 産業廃棄物処理場が不足している
- 参入障壁がある
- 固定費がかかる
- 労働環境が過酷
- 価格競争が激しい
- 法改正が多い
産業廃棄物処理業界のこれらの課題のなかには、M&Aを実施することによって解決可能なものもあります。
7つの課題の詳細について、以下でそれぞれ解説します。
地域が限定される
産業廃棄物処理業界の課題の一つは、地域が限定的であることです。
産業廃棄物処理業は、いわゆるローカルビジネスです。
広いエリアではなく、特定の地域に限定し、ごみ収集車などを用いて事業を営んでいます。
産業廃棄物処理業者が地域に根付いていることが多く、新規参入して信頼を勝ち取ることが難しい傾向にあります。
そのため、その地域に根ざした産業廃棄物処理業者を取得してエリアを拡大することを目的にM&Aが実施されることがあります。
産業廃棄物処理場が不足している
産業廃棄物処理場が不足していることも、産業廃棄物処理業界が抱える課題の一つです。
環境省の資料の『b)産業廃棄物の許可施設数の推移』によると、2018年の中間処理施設の許可施設数は19,090件です。
また、最終処分場の許可施設数は1,631件です。
同資料に載っている2004年の中間処理施設数は20,613件、最終処分場数は2,478件であり、どちらも大幅に減少していることがわかります。
産業廃棄物処理業の需要は高い一方で、地域住民からの反対や環境保護の観点などを要因として産業廃棄物処理場の新規設置がスムーズに進まず、処理場が不足しています。
参考:環境省『産業廃棄物処理施設の設置、産業廃棄物処理業の許可等に関する状況(平成30年度実績)』
参入障壁がある
産業廃棄物処理業の課題の一つに、参入障壁があることが挙げられます。
産業廃棄物処理業を行うためには、都道府県から許認可を受けることが必要です。
産業廃棄物の処理は廃棄物処理法において厳しく定められているため、許認可を受けることも簡単ではありません。
必要性や安全性などが認められないと許可が下りないため参入障壁が高く、新しく産業廃棄物処理業を始めるのは難しいです。
そのため、新規参入や事業拡大の手段として、M&Aが活用されることがあります。
固定費がかかる
固定費がかかることも、産業廃棄物処理業が抱える課題です。
収集運搬業に携わる業者の場合、産業廃棄物を運ぶための収集車が必要です。
使用する収集車は悪臭や飛散を防ぐために、特殊な装置を備えている必要があります。
また、中間処理業・最終処分業の業者についても、産業廃棄物を保管する設備や処分および処理するための設備が必要です。
それらの備品・設備を維持するために、固定費が高くなりがちです。
労働環境が過酷
産業廃棄物処理業の大きな課題の一つが、労働環境が過酷であることです。
産業廃棄物処理業の勤務時間は深夜や早朝が含まれることがあります。
人通りが少ない時間帯に収集・運搬を行うことが多いため、必然的に一般的な生活リズムとは異なる生活を強いられることになるでしょう。
また、処理する産業廃棄物のなかには有害物質を含むものもあります。
危険を伴う業務があり、労働環境は比較的過酷だといえます。
価格競争が激しい
産業廃棄物処理業界の課題の一つに、価格競争が激しいことが挙げられます。
産業廃棄物処理業の仕事は新たなサービス形態を生み出すことが難しいです。
許認可制であることから、品質はすべての業者においてもともと担保されており、サービス品質で差を付けることも難しいでしょう。
提供サービスの差別化ができない状況において自社を選んでもらうためには、価格を下げることが有効な手段になります。
価格競争に陥った結果、利益の減少に悩まされることがあります。
法改正が多い
産業廃棄物業を営むにあたって課題となるのは、法改正が多いことです。
産業廃棄物処理業に関する規定が定められている「廃棄物処理法」は、1970年に公布されました。
その後、時勢や環境保護、技術の進歩などにともない、改正が重ねられてきました。
今後も状況に合わせて改正が行われることが予想されます。
産業廃棄物業を営む場合、法改正に柔軟に対応していくことが求められます。
参照元:環境省『廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)』
産業廃棄物処理業界のM&A動向
産業廃棄物処理業界のM&A動向には、下記の4つの特徴があります。
- 大手企業が積極的にM&Aを実施している
- ファンドが買収企業となるM&Aも行われている
- エリア拡大を目的とするM&Aが増加している
- 技術・ノウハウを獲得を目的にM&Aが実施されている
産業廃棄物処理業界では、大企業が買い手となって中小企業および小規模事業者を買収するM&Aが数多く実施されています。
また、なかにはファンドが買い手となり資本参加している案件もあります。産業廃棄物処理業が「投資する価値がある」と認められている証だといえるでしょう。
そのほか、産業廃棄物処理業界におけるM&Aの動向として、エリア拡大を目的とした案件が多いことが挙げられます。
産業廃棄物処理業界はローカルビジネスであったり許認可が必要であったりすることから、新規で事業を始めることが難しい業界です。
そのため、M&Aによって買収を行い、エリア拡大を図る企業も増えています。
また、希少な技術・ノウハウを獲得することを目的としたM&Aも増加中です。
サービスの差別化が難しい産業廃棄物処理業界では、新技術や希少な技術は重宝されます。
M&Aによってそれらを獲得することができれば、産業廃棄物処理業者にとって大きな強みとなるでしょう。
産業廃棄物処理業界M&Aの4つのメリット
産業廃棄物処理業界でM&Aを行う主なメリットは、下記の4つです。
- 新規参入できる
- エリアを拡大できる
- 技術・ノウハウを獲得できる
- 人材を確保できる
それぞれのメリットについて、解説します。
新規参入できる
産業廃棄物処理業界における課題のなかで「参入障壁がある」ということを挙げましたが、この問題はM&Aによって解決することが可能です。
M&Aで産業廃棄物処理業者を買収すれば、比較的簡単に新規参入を果たせます。
エリアを拡大できる
すでに産業廃棄物処理業界で事業を営む企業にとってもM&Aは有効な手段です。
対象地域で産業廃棄物処理業を行っている業者を買収することによって、エリア拡大をかなえられます。
先述した「地域が限定される」という課題を解決できるでしょう。
技術・ノウハウを獲得できる
技術・ノウハウを獲得できることも、産業廃棄物処理業界でM&Aを行うメリットです。
ほかの企業が持ち得ていない技術・ノウハウを獲得できれば、他社との差別化を図ることができます。
その結果、価格競争で疲弊することを避けられるでしょう。
人材を確保できる
人材を確保できることも、M&Aを実施するメリットの一つです。
産業廃棄物処理業界は労働環境が過酷であることから、人材不足に悩まされることも多々あります。
M&Aで買収を行い、従業員を承継すれば、人材不足の悩みを解決できます。
【買収側】産業廃棄物処理業界M&Aにおける3つの注意点
産業廃棄物処理業界でM&Aを行うにあたって、買い手側が注意するべきことは下記の3点です。
- 地域住民からの理解を得る
- 許認可を確認する
- 設備を確認する
それぞれの注意点について解説します。
地域住民からの理解を得る
産業廃棄物処理業では業務のプロセスにおいて悪臭や騒音、振動などが発生するため、近隣の住民への配慮が強く求められます。
十分に配慮し、地域住民の生活に悪影響を及ぼさないように努めましょう。
また、買収対象の企業において、過去に近隣住民とのトラブルがなかったかどうかを確認することも大切です。
もし和解できておらず問題が続いている場合、M&Aの中止も検討してください。
許認可を確認する
産業廃棄物処理業界M&Aの実施にあたっては、対象企業が持つ許認可や設備を確認することも重要です。
許認可は更新が必要です。もし基準や規定を満たさなくなっていた場合、許認可が取り消されるおそれがあります。
現状、買収対象の企業が判定基準を満たして運営を行っているかを確認しましょう。
設備を確認する
産業廃棄物処理業界M&Aでは、買収対象が保有する設備について確認を行ってください。
確認を怠った場合、思わぬ出費がかさみ、経営を圧迫するおそれがあります。
ごみ収集車や処理施設などの設備の状況や耐久年数をチェックしましょう。
維持やメンテナンスに要する費用も加味したうえで、M&Aの実施を検討してください。
【売却側】産業廃棄物処理業界M&Aにおける3つの注意点
産業廃棄物処理業界でM&Aを行うにあたって、売り手側が注意するべきことは下記の3点です。
- 地域住民とのトラブルがないようにする
- 法令を遵守する
- 許認可や財務諸表を整理しておく
それぞれの注意点について解説します。
地域住民とのトラブルがないようにする
産業廃棄物処理業を行うときは、地域住民とのトラブルがないように気を付けましょう。
地域住民との衝突の有無は、M&A実施時にも重要なポイントとなります。
地域住民とのトラブルが発生しており、解決・和解に至っていない場合、売却先が見つからない要因になるおそれがあります。
法令を遵守する
産業廃棄物処理法をはじめとする法令を遵守しましょう。
重大なコンプライアンス違反があった場合、買い手が見つからないリスクが高まります。
また、コンプライアンス違反を隠してM&Aを行った場合、後々トラブルになったり、最悪の場合、賠償責任を負うことになったりすることもあります。
許認可や財務諸表を整理しておく
産業廃棄物処理業界M&Aの実施を検討する売り手は、あらかじめ許認可や財務諸表などを整理してください。
M&Aを行う場合、会社に関するこれらの書類は必ず必要となります。
提出が求められた際にすぐに出せるように準備しましょう。
もし内容に誤りがあり、M&A実施後に発覚した場合、故意でなかったとしても賠償金を求められるおそれがあります。
情報を正しく整理し、提出書類に漏れや誤りがないようにしましょう。
産業廃棄物処理業界M&Aの3つの事例
最後に、産業廃棄物処理業界のM&Aの事例を3つ紹介します。
- ヤマダHDと三久のM&A
- TOKAIとウッドリサイクルのM&A
- 鈴木商会と木村工務店のM&A
産業廃棄物処理業界で実際に行われたM&Aの事例について知り、今後M&Aを検討する際の参考にしてください。
ヤマダHDと三久のM&A事例
譲受企業 | 譲渡企業 | |
会社名 | 株式会社ヤマダホールディングス | 株式会社三久 |
所在地 | 群馬県高崎市 | 茨城県小美玉市 |
上場区分 | 東京証券取引所プライム市場 | 非上場 |
事業内容 | グループの経営戦略やグループ会社の管理など (ヤマダHDの傘下に、環境事業に取り組む子会社がある) | 産業廃棄物処分業 産業廃棄物収集運搬業 一般廃棄物処分業 |
2021年3月、株式会社ヤマダホールディングス(以下「ヤマダHD」)は、株式会社三久(以下「三久」)の全株式を取得し、完全子会社化しました。
譲受企業側のヤマダHDは群馬県高崎市にある上場企業です。
傘下に株式会社ヤマダ環境資源開発ホールディングス(以下「ヤマダ環境資源開発HD」)があります。
一方、譲渡企業である三久は、茨城県で産業廃棄物の中間処理業を行っている会社です。
建設工事現場から排出される建築系の産業廃棄物のリサイクルおよび再資源化を中心とした中間処理業を営んでいます。
本M&Aの主な目的は、ヤマダ環境資源開発HDにおいて取り組んでいる環境関連の事業をさらに強化することです。
また、今回のM&Aによって三久を子会社化することで資源循環体制の拡充がかない、SDGsにおける「循環型社会の構築」と「地球環境の保全」に貢献できるとしています。
参照元:株式会社ヤマダホールディングス 『株式会社三久の株式取得(子会社化)に関するお知らせ』
TOKAIとウッドリサイクルのM&A事例
譲受企業 | 譲渡企業 | |
会社名 | 株式会社TOKAI | 株式会社ウッドリサイクル |
所在地 | 静岡県静岡市 | 岐阜県下呂市 |
上場区分 | 非上場 (親会社の株式会社TOKAIホールディングスは東京証券取引所プライム市場) | 非上場 |
事業内容 | LPガスをはじめとする、社会環境およびニーズに応じた住生活関連の事業 | 産業廃棄物(木くず・繊維くず)および一般廃棄物(木くず)の処理や、木材チップの製造 |
2022年5月、株式会社TOKAI(以下「TOKAI」)は、株式会社ウッドリサイクル(以下「ウッドリサイクル」)の株式を取得し、子会社化することを発表しました。
譲受企業側のTOKAIは、上場企業である株式会社TOKAIホールディングス(以下「TOKAI HD」)の100%子会社です。
TOKAIは、全国各地に顧客基盤を有するLPガス・宅配水事業のほか、東海エリアや神奈川県などにおいて建築・設備工事・不動産売買の事業を営んでいます。
一方、譲渡企業側であるウッドリサイクルは、岐阜県下呂市で産業廃棄物の処理や木材チップの製造などを行う非上場企業です。
建築物の解体や道路の維持工事を行うときに生じる木くずや繊維くず等の産業廃棄物・一般廃棄物の受け入れおよび中間処理をし、さらに廃材をリサイクルして木材チップを製造しています。
今回の株式譲渡によるM&Aは、グループが策定した「カーボンニュートラル ビジョン」を実現する取り組みの一環として実施されました。
今後、ウッドリサイクルが廃材をリサイクルすることによって製造した木材チップを活用した発電事業も推進する予定です。
ウッドリサイクルにとっても、TOKAI HDにグループインすることでスケールメリットが得られたり、木材チップの増産・拡大販売がかなったりすることが期待できるでしょう。
参照元:
株式会社TOKAI『株式会社ウッドリサイクルの株式取得に係る契約締結のお知らせ』
株式会社TOKAIホールディングス『株式会社ウッドリサイクルの株式取得(連結子会社化)に関するお知らせ』
鈴木商会と木村工務店のM&A事例
譲受企業 | 譲渡企業 | |
会社名 | 株式会社鈴木商会 | 株式会社木村工務店 (現:MEGURU株式会社) |
所在地 | 北海道札幌市 | 北海道釧路市 |
上場区分 | 非上場 | 非上場 |
事業内容 | 資源リサイクル事業 家電リサイクル事業 アルミ精錬事業 ELV(自動車リサイクル)事業 漁網リサイクル事業 | 建造物解体業 産業廃棄物処理業 |
2021年7月、株式会社鈴木商会(以下「鈴木商会」)が株式会社木村工務店(以下「木村工務店」)の全株式を取得し、完全子会社化したことを公表しました。
譲受企業の鈴木商会は、多岐にわたる資源のリサイクル事業に取り組む会社です。
北海道の各地に拠点を構えており、道内において資源循環型製造業を目指して事業を行っています。
一方、譲渡企業の木村工務店は、北海道釧路市で建造物解体業や産業廃棄物処理業を営む会社です。
釧路市で長年にわたって地域密着型の解体業に従事しており、屈指の規模で事業展開しています。
今回のM&Aの主な目的は、解体から産業廃棄物の処理までの一気通貫した事業をかなえることです。
木村工務店が鈴木商会にグループインすることにより、道東エリアにおける解体業界とのつながりを拡げることができました。
今後はさらに北海道において資源循環を強めていくとのことです。
なお2023年3月には、札幌市を中心に解体業を営む株式会社ホリイの事業を承継したのち、木村工務店と経営統合を行いました。
経営統合後は「MEGURU株式会社」に社名変更を行い、総合解体循環企業として事業運営しています。
参照元:
株式会社鈴木商会『【プレスリリース】株式会社木村工務店の全株式取得による完全子会社化のお知らせ』
株式会社鈴木商会『株式会社ホリイの事業承継と株式会社木村工務店との経営統合のお知らせ』
株式会社鈴木商会『株式会社木村工務店と株式会社ホリイを経営統合し、MEGURU株式会社を発足いたしました』
まとめ
産業廃棄物処理業界とは、産業廃棄物の収集・運搬・処分を行う業界です。
産業廃棄物処理業界の市場規模はリーマンショックがあった頃には落ち込みましたが、その後は少しずつ上昇していき、2021年の市場規模は約53.3兆円になりました。
産業廃棄物処理業界においても、M&Aが積極的に行われています。
環境保護やサステナビリティが叫ばれる昨今、産業廃棄物処理の必要性の高まりとともにM&Aの件数も増えていくでしょう。
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料金体系はM&Aご成約時に料金が発生する完全成功報酬型です(譲受会社のみ中間金あり)。
ご相談も無料です。産業廃棄物処理業界でのM&Aをご検討の際には、ぜひお気軽にお問い合わせください。