リフォーム業界のM&A動向とは?抱える課題や最新の事例についても紹介
2024年7月29日
このページのまとめ
- リフォーム業界は、住宅やオフィスなどの改修・改装を行う業界を指す
- リフォーム業界の需要は、新築住宅の建設需要に奪われて抑制されている
- リフォーム業界は、職人の数の減少と建材の値上げが深刻な課題となっている
- リフォーム業界のM&Aでは、地域に根ざす中小事業者を大手が買収する案件が増加傾向
- リフォーム業界のM&Aは、新規参入や他業界からの参入が増えている傾向がある
リフォーム業界でM&Aを行うにあたって、どのようなM&Aが行われているのか、詳しく知りたい方もいらっしゃることでしょう。リフォーム業界ではM&Aが盛んに行われており、業界再編が進んでいます。
本記事では、リフォーム業界の市場動向やM&Aの動向について解説したうえで、近年リフォーム業界で行われたM&A事例を紹介します。事例を通じて、リフォーム業界においてM&Aがどのように行われているのか確認し、自社の戦略策定に役立ててください。
目次
リフォーム業界とは
リフォーム業界とは、住宅およびオフィスやショッピングモールなどの非住宅系の建物に対して、改修や改装を行う業態を指します。リフォームは、物理的な建物の老朽化対策や間取りの変更、デザインの更新、エネルギー効率向上などさまざまな目的で行われます。リフォーム会社の主な事業内容は、設計・施工だけでなく、リフォーム計画の提案、予算の策定、施工後のアフターフォローなど、顧客のニーズに応じた包括的なサービスを提供することです。
リフォーム業界は、一般的には建設業の一部と考えられることが多いですが、新築の建設とは異なり、既存の建物の構造や設備、歴史などを理解し対応する技術が求められます。
リフォーム業界の動向と課題
本章では、リフォーム業界の市場規模や課題について解説します。
リフォーム受注高の推移
政府統計「建築物リフォーム・リニューアル調査」によると、リフォーム受注高は、以下の通り推移しています。
年度 | 受注高 全体(億円) | 受注高 住宅(億円) | 受注高 非住宅建築物(億円) |
2015 | 119,456 | 40,566 | 78,890 |
2016 | 128,055 | 41,537 | 86,518 |
2017 | 124,873 | 38,295 | 86,578 |
2018 | 120,749 | 39,150 | 81,600 |
2019 | 127,394 | 34,943 | 92,451 |
2020 | 106,355 | 31,898 | 74,457 |
2021 | 116,979 | 37,477 | 79,501 |
2022 | 115,545 | 39,200 | 76,344 |
2023 | 132,739 | 42,710 | 90,029 |
「建築物リフォーム・リニューアル調査報告(概要)」では、四半期ベースのデータが開示されています。
※引用元:国土交通省「建築物リフォーム・リニューアル調査報告(概要)」
令和5年度(2023年度)第4四半期の総受注高は3兆1,155億円で、前年同期比6.1%増加しました。その内訳は、住宅関連工事の受注高は1兆668億円で1.1%増加、非住宅建築物関連工事の受注高は2兆487億円で9.0%増加でした。
令和5年度全体の総受注高は13兆2,739億円で、前年度比14.9%増加しました。その内訳は、住宅関連工事の受注高は4兆2,710億円で9.0%増加、非住宅建築物関連工事の受注高は9兆29億円で17.9%増加でした。
参照元:
国土交通省「建築物リフォーム・リニューアル調査報告(概要)」
NIKKEI COMPASS「リフォーム・内装工事・修理業界 市場規模・動向や企業情報」
リフォーム市場の拡大
また、NIKKEI COMPASSによると、リフォーム業界は以前は成長分野として注目されてきました。
近年、日本政府は住宅政策の対象を新築から既存住宅(ストック)へとシフトさせており、リフォーム市場の拡大を積極的に推進しています。補助金や税制優遇を通じて、中古住宅の購入とリフォーム費用をカバーする長期固定型住宅ローン「フラット35リノベ」制度や、既存住宅の長寿命化を目的とした「長期優良住宅化リフォーム推進事業」なども導入されました。
また、大手住宅メーカーは優良ストック住宅推進協議会を設立し、耐震性能や長期点検制度など一定の基準を満たす中古住宅を優良と認定し、適切な市場形成を目指しています。空き家リフォーム市場にも注目が集まっており、鉄道会社や家電メーカーなどのさまざまな企業が新たに参入し、リフォーム事業を展開しています。
参照元:
NIKKEI COMPASS「リフォーム・内装工事・修理業界 市場規模・動向や企業情報」
独立行政法人住宅金融支援機構「フラット35リノベ」
国立研究開発法人建築研究所「長期優良住宅化リフォーム推進事業」
リフォーム業界の課題
リフォーム業界にはいくつかの課題も存在します。
課題1:新設住宅着工数の低迷と空き家率の増加
持ち家の新設着工数は減少し続けており、低迷が続いています。今後も人口減少が進むと予想されているため、新設住宅着工数はさらに減少する可能性が高いでしょう。
一方で、特に地方での空き家が増加しており、環境衛生、防犯、防災などの面で問題となっています。このような状況の中で、空き家を含む既存(中古)住宅をいかに有効に活用し、産業振興や住環境の整備を図るかが重要な課題となっています。リフォームやリノベーション(建築物の用途・機能の変更を伴う大規模な改修)がその解決策として期待されています。
課題2:消費者の嗜好の変化
消費者の中には新築指向がなく既存住宅を希望する層や、新築・既存にこだわらない層も一定以上いるとされています。そのような状況でも消費者が既存住宅を選ばない理由としては以下が考えられます。
- 内見では良さそうに見えても、見えない箇所(現時点では把握できない箇所)に問題がある可能性がある
- 耐震性や断熱性などの性能が新築に比べて劣っていると感じられる
- 給排水管などの設備の老朽化が懸念される
リフォーム業界の活性化により既存住宅の品質が向上すれば、消費者の認識も変わり、既存住宅取引市場の成長につながると考えられます。
課題3:人手不足と次世代の後継者不在
建設業全体で高齢化が進行し、人手不足が深刻な課題となっています。技術や資格を持つ人材が引退していく中、専門知識を持つ人材が大幅に不足すると考えられます。リフォーム業界においても、環境に配慮した建材や工法を用いたリフォーム工事、最新の耐震基準に対応した工事、有害物質の拡散を防ぐ対策など、新たな技術動向に追随できる人材の確保と育成が重要な課題です。
マンションの大規模修繕工事や個人住宅のリノベーションなど建築一式工事を請け負うリフォーム会社、内装・塗装・木工など特定の工事を行うリフォーム会社のいずれも経営者の高齢化と後継者不在の問題に直面しています。
企業の継続と成長、そしてリフォーム産業全体の活性化にとって、事業承継の問題は避けて通れない課題です。
課題4:コンプライアンスに基づく運営
近年、大手建設会社の不祥事そしてリフォーム契約・施工内容についてのトラブルが発生しており、リフォーム会社のコンプライアンスに厳しい目が向けられています。
コンプライアンスに違反すると行政処分などを受けるリスクがありますが、そのようなリフォーム会社を買収したい企業はないと考えられます。
M&Aを行う前に、売り手は自社がコンプライアンス体制を確立して事業運営を行っているか、改めて確認することが重要といえます。
リフォーム業界におけるM&Aの特徴
上記で説明した動向や課題を受けて、既存のリフォーム事業者同士のM&Aだけでなく、新規参入の事業者がリフォーム事業者を買収するというケースも増えています。
ここからは、リフォーム業界におけるM&Aの特徴について詳しく説明していきます。
M&Aを用いた業界再編が活発化している
リフォーム業界では、新規参入や他業界からの参入が増え、M&Aを活用した業界再編が積極的に行われています。そのため、既存のリフォーム業者にとっては、他の企業と組むことで事業規模を拡大し、業績の安定化や市場シェアの拡大を図ることが重要となっています。
リフォーム業界が属する建設業界全体が抱える問題として、働き手不足があります。特に技術や経験が必要となるリフォーム業界では、人材を確保するのが困難であるため、人材を持つ企業を買収することで、この問題を解決しようとする動きが見られます。加えて、特定の技術やノウハウを持つ企業を買収することで、それらを自社のものとすることが可能となります。これにより、新たなサービスを提供することで差別化を図り、競争優位を確保することができます。
さらに、日本の高齢化が進むなか、高齢者向けのリフォーム需要が増えています。そのため、高齢者向けリフォームに特化した企業を買収し、市場ニーズに対応するという動きも見られます。
地域で活躍するリフォーム業を営む会社の買収も多い
また、地域で活躍するリフォーム業を営む会社の買収も増えています。地域密着型のリフォーム業は、地域の文化や住民のニーズを深く理解しており、その地域での信頼と顧客基盤があります。これらの企業を買収することで、大手企業は新たな地域市場へ迅速に参入することができます。また、地域に根ざしたノウハウや人脈を獲得し、地域に適したサービスの提供が可能となります。
このような地域での密着性を強みとするリフォーム業を営む企業の買収は、大手企業が市場をさらに広げ、ビジネスの多角化を図るうえで効果的な戦略といえるでしょう。
リフォーム会社においてもCSR(企業の社会的責任)が重視されるようになってきました。継続的に地域貢献を行っているリフォーム会社は、買い手企業に対して良い印象を与える可能性が高いです。
またリフォーム業界には、国土交通省による「住宅リフォーム事業者団体登録制度」があります。この制度は、消費者が安心してリフォームを依頼できることを目的としており、要件を満たせば団体への登録が可能である点も押さえておきましょう。
リフォーム業界におけるM&Aの相場
リフォーム業界におけるM&Aの費用は一概にはいえません。日本のM&Aでは海外と違い、取引価格や取引内容をすべて公開する事例が少なく、企業の状況などによって費用や相場が異なるためです。
大まかな目安として、リフォーム業界の売却相場は、以下の計算式で求められます。
リフォーム業界の売却相場=時価純資産 + 営業利益 × 2〜5年
他社と違う強みを持つ企業であれば、他業界と比べても高い相場での売却・譲渡が可能であると考えられます。ただし、多額の借入金がある企業の場合、売買が成立しないか、成立してもかなり安い金額で売却・譲渡される可能性が高くなります。
M&Aを行う際には、リフォーム業界の売却相場を事前に知っておくことが重要です。相場を把握することで、安く買い叩かれたり、高値で打診してM&Aが成立しなかったりすることを避けられます。
リフォーム業界におけるM&Aのメリット
本章では、リフォーム業界におけるM&Aのメリットを売り手と買い手の立場からそれぞれ説明します。
売り手側のメリット
売り手側の主なメリットは以下の通りです。
メリット1:買い手企業の資本力による経営の安定化
M&Aでは、買い手が中堅または大手企業であることが多いため、買い手企業の資本力を活用することで経営の安定が期待できます。
特に中小企業の場合、自社の資金力だけでは事業の成長が難しいことがあります。しかし、M&Aにより売り手と買い手のリソースを相互に活用することで、企業や事業の成長と発展が見込めます。
メリット2:従業員の雇用継続
もし現経営者が何らかの理由で廃業を選択した場合、従業員を解雇せざるを得ません。従業員の雇用喪失は経営者にとって心苦しい決断ですが、M&Aを選択すれば従業員の雇用を継続することができます。
株式譲渡のように権利や義務が包括的に引き継がれる手法を用いる場合、売り手企業の従業員は買い手企業へと引き継がれます。売り手が複数の事業を展開しており、そのうちの一部事業のみを売却する場合(事業譲渡)でも、買い手企業と従業員との間で新たに契約を締結することで雇用を維持することが可能です。
ただし、事業譲渡において何を引き継ぐかは売り手と買い手の交渉によって決定されるため、従業員の雇用を維持したい場合は、買い手企業との十分な協議が必要です。
メリット3:後継者問題の解決
経営者が引退の段階にあっても、後継者候補が不在であるために経営を続けるケースや、やむを得ず事業を廃止するケースはリフォーム業界でも見受けられます。
後継者が見つからず事業を継続できない場合、M&Aによる自社の売却が効果的です。M&Aによって事業を買い取る第三者(買い手企業)が後継者となるため、経営者の引退後も自社は存続し続けることができます。
メリット4:売却益の獲得
M&Aの重要なメリットの一つは、売却や譲渡による収益の獲得です。
事業を廃止する場合には、通常「廃業コスト」として費用がかかります。しかしM&Aによって事業を売却すれば、廃業コストを負担する必要がなくなります。代わりに株式を売却した利益を得ることができるため、引退後の生活費に充てることも可能です。
メリット5:個人負債や担保の解消
中小企業が金融機関から融資を受ける際、リフォーム業界に限らずほとんどの場合、経営者が個人保証を行ったり担保を提供したりしなければなりません。このような個人保証や債務、担保は、事業を廃止しても残り続けます。そのため、個人の財産を返済に充てる必要が生じる可能性もあります。
しかしM&Aの場合、株式譲渡を通じて買い手企業が負債や個人保証、担保などを引き継ぐことになります。金融機関との交渉が必要ですが、ほとんどの場合、個人保証や担保は解除される可能性が高いです。
買い手側のメリット
買い手側の主なメリットは以下の通りです。
メリット1:従業員の確保
ここまで述べたように、リフォーム業界では人手不足の解消が大きな課題の一つです。必要な従業員を確保できなければ、安定した売上を見込むのは難しいでしょう。
M&Aによって売り手企業を取得することで従業員を一度に確保できる点は、買い手にとって非常に大きなメリットです。
新規採用ではなかなかスキルの高い従業員を獲得するのは難しいですが、M&Aによってその手間や時間を削減でき、即戦力として活躍してもらうことが可能です。さらに、若い従業員が多ければ、自社で育成していくこともできます。
メリット2:顧客や取引先の獲得
M&Aを通じて、売り手企業が持つ顧客や取引先との関係をそのまま引き継ぐことができるため、売上の拡大が期待できます。
さらに、M&A後には、両社のノウハウなどのリソースを相互に活用できるため、互いの強みを融合させて新たな事業展開を実現することも可能です。
メリット3:地域に適した営業力の獲得
リフォーム会社は地域に適したサービスを提供する必要が多々あります。事業エリアの拡大を狙って地域性を無視してM&Aを行っても、新しいエリアで自社のノウハウが通用しないことがあります。その場合、買収にかけた費用が無駄になり、撤退を余儀なくされることもあるでしょう。エリア拡大を目指す場合でも、地元のリフォーム会社を買収すれば、地域へのスムーズな参入が可能です。
リフォーム業界におけるM&A事例10選
ここからは、近年のリフォーム業界におけるM&A事例を10件紹介します。
ニッソウによるヤナ・コーポレーションの買収
2023年3月、株式会社ニッソウは、株式会社ヤナ・コーポレーション全株式を取得し、子会社化することに成功しました。
取得対象となった株式会社ヤナ・コーポレーションは、塗装工事を基盤に事業をスタートさせ、その売上を拡大させたことで、現在では主に総合リフォーム工事を手掛ける企業へと成長しています。「安心・安全・快適な住まい造り」をモットーに、長年にわたり鍛え上げられた技術力に裏打ちされ、地域における強固な地位を築いている企業です。
今回の子会社化によって、ニッソウとのシナジー効果を創出し、リフォーム事業の拡大が期待されています。株式会社ヤナ・コーポレーションを子会社として迎え入れることで、首都圏でのリフォーム事業の拡大と、グループ全体のシナジー効果の追求を図るとともに、持続的な成長を実現するための取り組みを進めていくとしています。
参照元:株式会社ニッソウ「株式会社ヤナ・コーポレーションの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
東リ子会社の東リオフロケによる東洋インテリアサービスの吸収合併
2023年2月、カーペットなどの住宅資材を販売する東リの子会社、東リオフロケが東洋インテリアサービスを吸収合併しています。この吸収合併によって、東リオフロケは、「東リインテリアサービス株式会社」という名前に変更となりました。東洋インテリアサービスも、吸収合併の直前に東リの子会社となった企業で、東リの子会社同士が合併した形になります。
東リオフロケは、オフィス空間の美観性を維持することを目的としたタイルカーペットオフロケーションシステムに特化した事業を推進しています。一方、東洋インテリアサービスは、大型店舗関連の内装仕上げ工事を主軸に事業展開しており、大手総合スーパーのリニューアル工事などを手掛けることで、店舗工事に関する専門知識を持った企業です。
今回の吸収合併の狙いは、事業効率化、顧客基盤の強化、そしてオフロケーション事業の拡大にあり、合併後はこれらを推し進めることが予定されています。
参照元:東リ株式会社「完全子会社間の吸収合併及び存続会社の商号変更に関するお知らせ」
アール・エス・シーによる友和商工の子会社化
株式会社アール・エス・シーは、2023年1月、友和商工株式会社の全株式を取得し子会社化しました。
アール・エス・シーのビルメンテナンス事業は、建物の維持管理を担当し、顧客からのさまざまな要望に対応できることが強みです。一方で、友和商工は内装仕上げ工事を主力とし、オフィスのレイアウト変更から大規模ビルのフロア工事までを手掛け、その専門知識をもとに長年にわたり高品質なサービスで顧客からの信頼を得てきました。
今回の子会社化で、友和商工をアール・エス・シーグループに加えることで、建物の維持管理に関する工事部門で共同作業を行うことで、事業領域の拡大が期待できるとしています。
さらに、技術者を中心とした人材交流を通じて技術力と品質を向上させ、当社グループ全体の競争力強化と企業価値の向上を目指すとしています。
参照元:株式会社アール・エス・シー「友和商工株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
中小企業ホールディングスによる邦徳建設新設子会社の株式取得
リフォーム企業を傘下に置く中小企業ホールディングスは、業務提携先の邦徳建設株式会社が2023年1月に設立予定であった子会社への資本参加を決定しました。この結果、中小企業ホールディングスは、新子会社の株式を引き受けています。
中小企業ホールディングスは、もともと2021年9月9日に邦徳建設株式会社と業務提携を結んでおり、基幹事業である建設分野の拡大を進めてきました。さらなる建設事業の強化を目指し、邦徳建設株式会社がビジネスの主要部分である足場工事の技術を強化し、受注能力を増大させるために、新会社を設立する計画に参加したとその狙いを説明しています。
参照元:中小企業ホールディングス株式会社「邦徳建設(株)が設立予定の同社子会社への資本参加に関する合意のお知らせ」
スターティアによるアーバンプランの株式譲渡
2022年9月、スターティアホールディングス株式会社は、連結子会社であるスターティア株式会社の関連会社、株式会社アーバンプランの一部株式の譲渡を決定しました。一部株式譲渡が行われましたが、アーバンプランとの業務関係については今後も継続し、変更は行われていません。
もともと、アーバンプランが展開するオフィスの移転や改築に関わる事業は、スターティアホールディングスが手掛けるITインフラ事業の要となる事業でした。アーバンプランから獲得した顧客に対して、OA機器などのIT関連サービスを提供する機会を得ており、アーバンプランも着実に業績を向上させてきました。
しかし、アーバンプランから資本体制の見直しを行い、持続的な成長と中長期的な経営安定を目指すための株式譲渡の提案を受けたことから、株式譲渡を決定しています。スターティアホールディングスは、この株式譲渡により得た資金を財務体制の強化に役立て、持続的な成長と企業価値の更なる向上に努めることを目指すとしています。
参照元:スターティアホールディングス株式会社「持分法適用関連会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ」
インターネットインフィニティーによる正光技建の買収
2022年9月、株式会社インターネットインフィニティーは、株式会社正光技建を新たな子会社として迎え入れました。
インターネットインフィニティーは、介護業界においてIT技術を駆使したソリューションサービスを展開する企業です。高齢者に対するさまざまなサービスを提供し、健康寿命の延長を目指す狙いがあります。
一方、正光技建社は、広島県を中心に住宅リフォーム事業を展開し、顧客の70%以上がシニア層という強固な顧客基盤を持った企業です。また、インターネットインフィニティーのグループ企業である株式会社フルケアは、同地域で20年以上にわたり住宅リフォーム事業を運営している企業です。
今回の子会社化で、正光技建社と株式会社フルケアの営業知識の共有、顧客基盤の統合、そして人材の交流を通じて、サービスの品質向上と経営効率化が図られ、グループ全体の長期的な収益性を強化するとしています。正光技建社は主に介護保険外の住宅リフォームを手掛けていることから、介護保険事業を中心とするさまざまな事業展開が可能となり、グループ全体の安定した業績と企業価値向上に寄与すると説明しています。
今後は、正光技建社とフルケア社の協力体制を強化して、住宅リフォーム事業の新展開、さらには介護保険外サービスや生活支援サービスの開発を積極的に進めていくことを目指すとしています。
参照元:株式会社インターネットインフィニティー「株式会社正光技建の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
あなぶき建設工業による日装の完全子会社化
2022年3月、香川県高松市を拠点に活動する株式会社あなぶき建設工業が、東京都新宿区に本社を置く株式会社日装の全株式を取得して、完全子会社化しました。
あなぶき建設工業の主力事業は、西日本地域における建設や大規模修繕工事の実施です。あなぶき建設工業のグループ企業であるあなぶきハウジンググループでは、分譲・賃貸マンションの管理業務をはじめ、大規模修繕工事、リフォーム、清掃など、生活全般にわたる多様なサービスを展開しています。東日本地域でも、大規模なリソースを最大限に活用したサービスの提供と、受注業務の基盤強化を積極的に進めていることが特徴です。
今回子会社となった日装は、1959年の創業以来、マンションやビルの大規模修繕工事、耐震工事、設備工事などを首都圏で手がけてきた信頼性の高い企業です。あなぶき建設が日装の全株式を取得してグループ会社とすることで、東日本地域の顧客に対しても、グループ全体の力を発揮した高品質な大規模修繕工事の提供を可能にする狙いがあるようです。
参照元:株式会社穴吹ハウジングサービス「株式会社日装の株式取得に関するお知らせ」
サンネクスタグループによる全日総管理の株式譲渡
2022年1月、社宅やマンションの管理業務を行うサンネクスタグループ株式会社は、子会社の株式会社全日総管理のすべての株式を創業者へ譲渡しました。
全日総管理は不動産の原状回復工事、リフォーム工事、クリーニングといった業務における長年の実績のある企業です。2017年に、サンネクスタグループ株式会社との間で簡易株式交換を実施して、全日総管理は子会社となっていました。
しかし、現在に至るまで、グループ全体でのシナジー効果の創出を目指して活動していたものの、期待通りの成果を達成することができなかったのが、今回の株式譲渡に至った原因です。この株式譲渡によりサンネクスタグループ株式会社が得た資金は、企業価値の向上を図る事業拡大等の取り組みに活用されるとしています。
参照元:日本経済新聞「連結子会社の異動を伴う株式譲渡に関するお知らせ」
コーナン商事がパナソニックプロイエサービスからリフォーム事業の一部を譲受
2021年9月、パナソニックプロイエサービス株式会社から、コーナン商事株式会社がリフォーム事業を譲り受けることになりました。パナソニックプロイエサービスは首都圏を中心にリフォーム事業を行っており、多くのリフォーム資格者を擁している企業です。
コーナン商事にとって、リフォーム有資格者は貴重な人材であり、その存在によって強化したいリフォーム事業を首都圏で推進する狙いがあります。今回の事業譲り受けによって、コーナン商事の既存事業の営業力と施工力の向上を目指すとしています。
参照元:コーナン商事株式会社「リフォーム関連事業の一部事業譲受に関するお知らせ」
イーグランドによるシマックスからのリフォーム工事業の承継
2021年4月、民事再生中の株式会社シマックスから、株式会社イーグランドがリフォーム工事業を承継する契約を結んでいます。
今回承継対象となった株式会社シマックスは、2004年の設立以来、住宅リフォーム素材や家庭用設備の販売を行い、リフォーム業務も営んできた企業です。自身で開発した流通ルートを活用し、中間マージンを大きく削減。国内トップクラスのメーカーからの住宅設備や建材を低価格で提供することで、その分野で一定の地位を築いてきました。
主なビジネスモデルは、首都圏の一般消費者を対象としたものですが、最近では大手チェーンストアや不動産企業と提携して、個人顧客や企業向けの販売・施工も増加していました。しかし2020年3月、資金繰りが悪化したことで民事再生の申請を行い、事実上倒産します。
一方、株式会社イーグランドは、中古住宅のリフォームによる価値向上を目指す事業を展開している企業です。中古住宅市場等から入手した物件にリフォームを施し、付加価値を加えた再生住宅を販売しています。主に首都圏および関西地区で事業を行っており、初回購入者を主なターゲットとした個人向けの住宅を中心に取り扱っています。
今回、株式会社イーグランドが株式会社シマックスの再生支援のスポンサーとなるために、株式交換を通じて事業を承継することになりました。株式会社イーグランドのリフォーム業務における収益の改善を図るとともに、社外からの信頼の向上と販売ルートの拡大が期待できると考えたことから、今回の支援に至ったとされています。さらに、リフォームの提案力や施工ノウハウを共有・強化することで、安定したリフォーム施工体制の確立を目指すようです。
参照元:株式会社イーグランド「株式会社シマックスとの民事再生支援に関するスポンサー契約締結のお知らせ」
まとめ
リフォーム業界は、住宅やオフィスなどの改修・改装を行う業界です。
リフォーム業界は、新築建設需要に押されて需要が抑制されてはいるものの、一定の需要があることから、今後も成長が見込まれめる分野です。原材料費の高騰が続く昨今では、コスト構造の見直しも迫られています。
既存のリフォーム事業者同士のM&Aも盛んに行われている一方で、新規参入の事業者がリフォーム事業者を買収するというケースも目立っています。リフォーム業界におけるM&Aには売り手・買い手ともにメリットがあります。
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