このページのまとめ
- 後継者が不在で廃業せざるを得ない経営者が増えている
- 後継者不在は事業承継の準備ができていないことが原因になりやすい
- 後継者が親族や従業員にいない場合、M&Aで第三者に引き継いでもらう選択肢もある
- 後継者に関する相談は「事業承継・引継ぎ支援センター」や「M&A仲介会社」が最適
- 後継者への事業承継は余裕をもって準備しておくことが大切
「後継者がいなくて事業を今後どうしたら良いのか分からない」と悩む経営者も多いことでしょう。従業員や取引先のことを考えると、後継者を見つけ、事業を存続できれば安心です。しかし、親族や従業員に候補がいない場合、対応に困ってしまいます。
本コラムでは、後継者が不在の場合の対策方法や、活用できる支援を解説します。適任者に引き継ぎ、事業を存続させたい方は参考にしてください。
目次
後継者問題とは
後継者問題とは、後継者が不在の影響で、廃業せざるを得ない経営者が増えている問題のことです。事業の継続性や成長性に問題がない状態にも関わらず、後継者が見つからないことで事業をやめざるを得ない企業があります。
後継者不在で廃業が進むことは、日本経済にとっても大きな問題です。そのため、国や自治体なども後継者不足に対する対策を進めています。
後継者不在で廃業する企業が増えている
後継者不在で廃業する企業は、年々増加しています。中小企業庁の「財務サポート 「事業承継」」によると、2020年度の休廃業・解散件数は、49,698件でした。
また、黒字にもかかわらず、廃業する企業も半数を超えています。同調査では、休廃業・解散を行った企業のうち、61.5%が黒字の状態で事業をやめています。
廃業理由では、「後継者難による廃業」が29%に達しました。内訳は、
- 子どもがいない:12.5%
- 子どもに継ぐ意思がない:12.2%
- 適当な後継者が見つからない:4.3%
となっています。
参照元:中小企業庁「財務サポート 「事業承継」」
経営者の平均年齢増加も進んでいる
経営者の平均年齢増加も進んでいます。東京商工リサーチの「2021年「全国社長の年齢」調査」によると、2021年度の社長の平均年齢は62.77歳でした。前年度は62.49歳であり、平均年齢は上昇しています。
また、2021年度の社長の平均年齢は、調査開始の2009年以降、最高齢でした。社長の高齢化に伴い、業績悪化の傾向も出ていることから、対策が求められます。
参照元:東京商工リサーチ「2021年「全国社長の年齢」調査」
後継者不足が発生する原因
高齢者不足が発生する原因には、次の5つが挙げられます。
- 少子化が進んでいる
- 事業の将来性に不安を持つ人が多い
- 事業承継の準備ができていない
- 従業員に事業承継ができない
- 負債を抱えている
それぞれの原因に関して、詳しく解説します。
1.少子化が進んでいる
少子化の影響が後継者不足にも関わっています。これまでの事業承継では、子どもに後を継がせる企業が多くありました。
しかし、少子化が進んだことで、後継者を任せる子どもが少なくなっています。また、後継者候補になる子どもも、事業を継ぎたくないと考えるケースが増加しています。
さらに、子どもがいた場合でも、経営者の素質を持っているとは限りません。少子化の影響で後継者の選択が減り、親族への事業承継が減っていることも後継者不足の原因です。
2.事業の将来性に不安を持つ人が多い
事業の将来性に不安を持ち、後継者が事業を継ぎたくないと考えるケースがあります。また、現経営者も不安を感じ、自分の代で最後にしようと考えることも増えました。
技術の進化により、現代の経済は変化が素早くなっています。数年先を見据えて事業を進めるのも難しく、事業の将来性に不安を抱えた結果、後を継ぎたくない後継者、継がせないと判断する経営者が増加しています。
3.事業承継の準備ができていない
事業承継の準備が進んでおらず、事業承継がスムーズに行えないことも原因の一つです。「事業承継に関する企業の意識調査(2020年)」によると、「事業承継の計画はあるが、まだ進めていない」と答えた企業が21.1%、「事業承継の計画はない」と答えた企業が38.4%でした。合わせると59.5%の企業で、事業承継の計画が進んでいません。
中小企業庁が発表した「事業承継ガイドライン」では、事業承継には5年から10年は掛かるとされています。あらかじめ準備をしていないと、事業承継が必要な場面に対応できません。事業承継時に後継者がおらず、困ってしまう経営者も出てきています。
参照元:帝国データバンク「事業承継に関する企業の意識調査(2020年)」
参照元:中小企業庁「事業承継ガイドライン」
4.従業員に事業承継ができない
従業員に事業承継ができないことも、後継者不足の原因になります。
中小企業の場合、従業員を雇用していないケースもあるからです。
子どもや親族への継承が難しい場合、従業員が後継者の選択肢に上がります。しかし、従業員がいないケース、従業員に経営者の素質がないケースもあるでしょう。親族にも従業員にも事業承継ができないことで、後継者問題が発生する企業もあります。
5.負債を抱えている
負債を抱えている企業は、後継者探しが難しくなります。事業承継では、負債も合わせて引き継がれるからです。
経営者は負債を後継者に引き継がせることを心苦しく思います。
また、後継者側も負債を引き継ぎたくないため、事業承継に消極的になってしまうでしょう。
後継者不足に向けた対策や解決策
後継者不足に対しては、次のような対策や解決策が有効です。
- 親族や従業員を後継者にする
- 後継者候補を育成する
- 外部から後継者を登用する
- 事業承継・引継ぎ支援センターに相談
- M&Aマッチングサイトの利用
- M&A仲介会社への相談
- 廃業
それぞれの対策を詳しく解説します。
1.親族や従業員を後継者にする
事業承継に多い方法が、親族や従業員を後継者にする方法です。
親族に事業承継を行うことで、話がスムーズに進みやすいメリットがあります。また、事業承継に必要な手続きも簡単にできる場合があり、事業承継に必要な時間を短縮できます。
従業員に事業承継を行う場合、自社の状況に関してよく知っていることがメリットです。後継者として教育を行う期間を短くでき、スムーズな事業承継ができるでしょう。
注意点は、親族に事業承継を行う場合、贈与税などの税金で負担が発生する点です。会社の資産は現金化できない場合も多く、事前に資金を準備しておかなければなりません。
従業員に事業承継を行う場合では、株式の売買が必要です。株式売買に必要な資金を用意しなければならず、その場合には銀行からの融資を受ける準備が必要になります。
親族を後継者にする場合は、事業承継の特例を活用し、税負担を抑えることもできます。そのためには、事業承継に詳しい専門家のサポートが欠かせません。
2.後継者候補を育成する
親族や従業員に後継者候補がいない場合、外部から後継者候補を入社させ、育てる方法もあります。後継者育成には、5年から10年必要なことは覚えておきましょう。
後継者候補を育成するメリットは、自社の業務に適性を持つ人物を選び、育成できる点です。また、経営者やリーダーとしての素質を持っているかどうかで選ぶこともできます。さらに、教育機関を十分に設けることで、自社の従業員や取引先と関係を築く時間も確保できます。
注意点は、後継者が複数いる場合、後継者争いに発展するリスクがある点です。また、育成には時間が掛かり、必要なスキルも幅広くあります。計画的に育成を行わないことで育成がうまくいかず、失敗してしまうリスクにも注意が必要です。
3.外部から後継者を登用する
後継者としてのスキルや資質を持った人物を招集し、後継者に据える方法もあります。
メリットは、実績のある人物に後継者を任せることで、事業の継続が期待できる点です。また、新しい視点や方法で事業を進めることで、成長も期待できるでしょう。
注意点は、後継者にふさわしい人物を探すことが難しい点です。また、新しい経営者の方針によって、これまでの経営方針や企業文化が変わる可能性もあります。
4.事業承継・引継ぎ支援センターに相談
事業承継・引継ぎ支援センターとは、事業承継実施のサポートを行ってくれる公的機関です。中小企業庁からの委託を受けており、各都道府県に設置されています。
事業承継・引継ぎ支援センターのメリットは、無料で相談できる点です。専門家の在籍もあり、事業承継全般に関して相談ができます。
また、支援内容も広く、「事業承継のサポート」「公認会計士や税理士など専門家の紹介」「事業承継相手とのマッチング」などに対応しています。
5.M&Aマッチングサイトの利用
M&Aマッチングサイトを利用し、後継者を探す方法もあります。近年では、インターネットでM&Aのマッチング相手を探せるサイトも増加しました。また、個人事業主でも活用できるマッチングサイトもあります。
M&Aマッチングサイトのメリットは、マッチングの機会を増やしやすい点です。多くの利用者に見てもらえるため、声を掛けてもらう機会も増加します。また、自分のペースで進めやすいこともメリットになるでしょう。
一方で、マッチングサイトの場合、信頼性に注意が必要です。登録されている案件が信頼できるものかどうか、慎重に選ぶ必要があります。また、マッチングはできるものの、M&Aに関するサポートは対象外のマッチングサイトがあることにも注意しなければなりません。
M&Aマッチングサイトを活用する際は、信頼できるマッチングサイトを選び、サポート体制が手厚いかも確かめておくと良いでしょう。
6.M&A仲介会社への相談
M&A仲介会社に相談し、第三者へのM&Aで後継者不在を解決する方法もあります。
M&A仲介会社のメリットは、所持するネットワークが広い点です。自社の状況を考慮し、後継者にふさわしい相手を選んでくれます。また、M&Aを実施する場合は、専門的なアドバイスが受けられる点もメリットです。M&Aに必要な法律や税務などの面もサポートしてもらえます。
注意点は、M&A仲介会社によって報酬に差がある点です。仲介手数料が高額になるケースもあるため、十分に比較を行い、最適なM&A仲介会社を選ぶことが大切です。また、誠実な対応を行ってくれる担当者かどうかも、見極める必要があります。
7.廃業
後継者が見つからない場合、廃業も選択肢にあがります。廃業であれば、事業承継で発生するトラブルやリスクを避けられるでしょう。また、後継者に事業のリスクを引き継がせない安心感もあります。
注意点は、廃業してしまうと、M&Aで得られる利益は獲得できなくなる点です。M&Aでの事業承継であれば、売却した利益で今後の生活を送ることもできます。
また、廃業により、不利益が生じる関係者の存在もあります。廃業により、職を失う従業員も出てくるでしょう。また、取引先にも負担をかけてしまう可能性があります。
後継者を育成する方法
事業承継成功には、後継者の育成が欠かせません。
後継者を育成する方法は、次の3つです。
- さまざまな部門を経験させる
- 責任ある立場を任せる
- 勉強会やセミナーに参加させる
それぞれの育成方法に関して、解説します。
1.さまざまな部門を経験させる
さまざまな部門を経験させることで、後継者に必要な業務全般の知識が深まります。「営業」「人事」「財務」のように、さまざまな部門を担当させましょう。
また、多くの部門を経験できれば、部門に所属する従業員とコミュニケーションがとれます。コミュニケーションがうまくとれれば信頼も集めやすく、後継者になった際、支持を受けやすくなるでしょう。
自社だけではなく、他社で経験を積ませることも有効です。他社で勤務を行うことで、自社の強みや弱みを発見するきっかけにもなるでしょう。また、他社の制度や企業風土を学び、自社と比較もできるようになります。自社以外に人脈を広げることができる点も、他社で働くメリットになります。
2.責任ある立場を任せる
経営者としての疑似的な経験を積ませるため、責任ある立場を任せてみましょう。プロジェクトリーダーのような立場が有効です。
プロジェクトリーダーを担当すれば、従業員を率いる経験を積むこともできます。プロジェクトが成功すれば、リーダーとしての責任や自信を得られるでしょう。また、周囲の従業員から評価され、支持を受けられる点もプラスに働きます。
3.勉強会やセミナーに参加させる
勉強会やセミナーに参加させ、業務以外の知識も学べる環境を作りましょう。勉強会を活用すれば、後継者として必要な知識を効率的に成長させられます。
自社の業務だけでは、後継者に必要な知識をうまく学べない場合もあります。成長に時間が掛かり、事業承継に間に合わないケースも出てくるでしょう。
勉強会などに参加すれば、ほかの経営者から学んだり、人脈を広げる効果も期待できます。
後継者不足で活用できる支援
後継者不足で悩む場合、次のような支援を活用できます。
- 後継者人材バンク
- 事業承継マッチング支援
- 事業承継税制
- 事業承継・引継ぎ補助金
- 遺留分に関する民法特例
- 経営者保証に関する支援
- 事業承継診断シート
- 事業承継ガイドライン
- アトツギ甲子園
それぞれの詳しい支援内容に関して、解説します。
1.後継者人材バンク
後継者人材バンクとは、後継者不在で悩む企業と、起業を目指す人材をマッチングする支援制度です。社外から後継者を招き、事業承継を行うことができます。
後継者人材バンクを利用するためには、事業承継・引継ぎ支援センターに相談を行い、後継者人材バンクに登録します。起業を目指す人材も後継者人材バンクに登録しているため、条件が合い、面談で合意できればマッチング成立です。
後継者人材バンクを活用するメリットには、「事業承継で事業を継続できる」「従業員や取引先に迷惑が掛からない」などがあります。
ただし、条件面での合意が大変になる場合や、事業のビジョンや経営理念を理解してもらうまで時間が掛かる場合には注意が必要です。
参照元:事業承継・引継ぎ支援センター「後継者人材バンク」
2.事業承継マッチング支援
事業承継マッチング支援とは、後継者を探す経営者と、事業を譲り受けたいと考える経営者をマッチングさせるサービスです。日本政策金融公庫が運営しています。
事業承継マッチング支援の特徴は、無料で利用できる点です。
専門の担当者によるサポートも実施しています。
支援を受けられる企業は、
- 日本公庫に事業資金の借入残高がある
- 中小企業または小規模事業者支援を行う団体からの紹介
のどちらかを満たす必要があります。
参照元:日本政策金融公庫「事業承継マッチング支援」
3.事業承継税制
事業承継税制とは、後継者が取得した資産に掛かる、贈与税や相続税の納税に猶予を設ける制度です。
事業承継税制は、「法人版事業承継税制」と「個人版事業承継税制」の2種類に分けられます。
法人版事業承継税制では、円滑化法の認定を受けた非上場株式を贈与または相続した場合、贈与税や相続税納税の猶予、または納付免除を受けることができます。
個人版事業承継税制の場合は、円滑化法の認定を受けた者が個人の事業用資産を贈与または相続した場合に、贈与税や相続税の納税猶予、または納付免除を受けることが可能です。
参照元:国税庁「事業承継税制特集」
参照元:国税庁「法人版事業承継税制」
参照元:国税庁「個人版事業承継税制」
4.事業承継・引継ぎ補助金
事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継を行う企業や事業再編を行う企業を支援する制度です。事業再編に必要な経費の補助や、経営資源引継ぎに必要な経費の補助を受けることができます。
補助金の種類は、
- 事業承継・引継ぎ補助金(経営革新事業)
- 事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用事業)
- 事業承継・引継ぎ補助金(廃業・再チャレンジ事業)
の3つに分けられます。
申し込みは、経済産業省が運営するシステム、「jGrants(Jグランツ)」で可能です。
参照元:事業承継・引継ぎ補助金事務局「令和4年度 当初予算 事業承継・引継ぎ補助金」
5.遺留分に関する民法特例
遺留分に関する民法特例とは、認定された事業用資産や株式を遺留分から除外できる制度です。後継者に事業用資産を移転できたり、遺留分トラブルを防いだりできるメリットがあります。
遺留分に関する民法特例は、「除外合意」と「固定合意」に分けられます。
除外合意は、自社の株式を遺留分算定の財産の価額から除外できる制度です。
ほかの相続人が遺留分の請求をできなくなることから、トラブル防止につながります。
固定合意は、自社株式の価額を遺留分の財産価額に含める場合、合意した時点の価額で固定できる制度です。相続時に自社の株式が高騰していても、遺留分の主張を防ぐメリットがあります。
6.経営者保証に関する支援
事業承継時に、経営者保証を解除する支援を受けることもできます。
経営者保証とは、中小企業が金融機関から融資を受けるため、経営者自身が自社の連帯保証人になる制度です。倒産などで融資の返済ができない場合には、経営者が返済を行わなければなりません。
事業承継の場面では、経営者保証があることで、後継者を拒否するケースも見られます。後継者に対する負担を減らすためにも、経営者保証を解除する支援が行われています。
参照元:事業承継・引継ぎ支援センター「経営者保証に関する支援」
参照元:中小企業庁「経営者保証」
7.事業承継診断シート
事業承継診断シートとは、事業承継の準備状況を確認できるチェックシートです。日本政策金融公庫が提供しています。
事業承継をスムーズに行うためには、事業承継計画を作成し、準備を行うことが必要です。準備が進んでいるか、事業承継診断シートで確認してみましょう。
参照元:日本政策金融公庫「事業承継診断シート」
8.事業承継ガイドライン
事業承継ガイドラインは、事業承継を行う企業に向けて用意されたガイドラインです。中小企業庁が作成し、無料で提供しています。
事業承継ガイドラインには、次のような内容がまとめられています。
- 事業承継の重要性
- 事業承継の準備の進め方
- 従業員承継時の対策
- M&Aで第三者に引き継ぐ場合の対策
- 事業承継のサポートを受けられる機関
また、事業承継ガイドラインを分かりやすくまとめた「事業承継マニュアル」、M&Aで第三者に引き継ぐ場合のポイントをまとめた「中小 M&A ガイドライン」も参考にすると良いでしょう。
参照元:中小企業庁「事業承継ガイドライン」
参照元:中小企業庁「事業承継マニュアル」
参照元:中小企業庁「中小 M&A ガイドライン」
9.アトツギ甲子園
アトツギ甲子園とは、後継者たちが先代のノウハウを活かしながら、新しい事業のアイデアを発表する大会です。早期の事業承継を実現する目的で、開催されています。
経済産業省が主催しており、最優秀賞者には「中小企業庁長官賞」が与えられます。
また、エントリーだけでも、中小企業庁が運営する後継者コミュニティに参加できる点もメリットです。
参照元:経済産業省「第3回「アトツギ甲子園」を開催します。」
後継者不在を相談できる場所
後継者不在に困った場合、次のような場所で相談できます。
- 事業承継・引継ぎ支援センター
- 商工会議所
- 弁護士
- 税理士
- 行政書士
- 金融機関
- 中小企業診断協会
- M&A仲介会社
それぞれ解説します。
1.事業承継・引継ぎ支援センター
事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業の事業承継を支援する機関です。国が設置しており、各都道府県で相談ができます。
支援内容に関しては、次のようなものがあります。
- 親族内承継支援
- 第三者承継支援
- 後継者人材バンク
- 経営者保証に関する支援
相談は無料で実施しているため、後継者不在に悩んだ場合は相談すると良いでしょう。
参照元:「事業承継・引継ぎ支援センター」
2.商工会議所
商工会議所でも、事業承継の支援を行っています。商工会議所では、事業承継に関する情報提供や、専門家の紹介を受けることができます。
相談に必要な費用は無料です。
ただし、専門家の紹介を受けた場合は、費用が発生するケースもあります。
参照元:日本商工会議所「事業承継・引継ぎ支援」
3.弁護士
法的な問題が関係する場合には、弁護士に相談しましょう。たとえば、相続の場面では、法律に詳しい弁護士の協力が必要です。
第三者にM&Aで事業承継する場合にも、会社法などの法律が影響します。自身で対応するのは難しいため、法の専門家に相談してください。
4.税理士
事業承継の場合、税理士は次のようなサポートを実施してくれます。
- 承継方法のアドバイス
- 贈与や相続に関わる自社株の評価
- 資金や税金のサポート
- 経営者保証への対応
- 資金調達
- 税務デューデリジェンス
事業譲渡では、多額の税金が必要になる場面もあります。税理士に相談しておくことで、税金対策も実施できるでしょう。
5.行政書士
事業承継では、契約書や遺言書などの書類作成が必要です。法的拘束力がある書類も必要になるため、行政書士のサポートが求められるでしょう。
事業承継の方法次第では、準備する契約書の数が増加します。行政書士に相談すれば、契約書の不備や不備によるトラブルを防げるでしょう。
6.金融機関
事業承継でM&Aを選択する場合、金融機関の支援が必要になります。
たとえば、次のような支援を受けられるでしょう。
- 資金調達
- 融資
- M&Aアドバイザリー
金融機関の場合、ネットワークが広く、M&Aのマッチングも実施できるメリットがあります。ただし、大型案件しか扱っていないケースもあるため、自社の規模に合うかは確認が必要です。
7.中小企業診断協会
中小企業診断協会は、中小企業の経営をサポートする中小企業診断士が所属する機関です。
支援内容は広く、
- 後継者の教育
- 事業承継に向けた課題の抽出
- 事業承継計画の作成
などを支援してもらえます。
参照元:中小企業診断協会「中小企業診断協会について」
8.M&A仲介会社
第三者に事業承継を行う場合は、M&A仲介会社に相談しましょう。ネットワークを活用し、条件に合った後継者探しが実現できます。
また、M&Aに対する専門的な知識を持っているため、スムーズに事業承継が行いやすい点もメリットです。
親族や従業員で後継者が見つからない場合は、M&Aで事業を引き継いでくれる経営者を探してみましょう。
M&Aで後継者不足を解決するメリット
M&Aで後継者不足を解決するメリットは、次の4つです。
- 従業員の雇用維持ができる
- 取引先との契約が続く
- 売却資金を獲得できる
- 事業成長する場合がある
それぞれのメリットに関して、解説します。
1.従業員の雇用維持ができる
M&Aで後継者を探すことで、従業員の雇用維持ができます。従業員の雇用を守り、生活に対する不安を解消できるでしょう。
ポイントは、M&Aの交渉時に従業員の労働条件をしっかりと話し合うことです。労働条件が大きく変わってしまうと、従業員に不安や負担を与えてしまいます。移行期間を設けるなどして、徐々に変えていく方が良いでしょう。
売り手企業は、従業員の雇用を守ってくれる買い手企業を探すことが大切です。M&Aの目的に人材確保を掲げる企業も多く、従業員の雇用を引き継いでくれる企業は見つかりやすいでしょう。
2.取引先との契約が続く
取引先との契約を継続できる点も、M&Aで事業承継を行うメリットです。売り手企業が持つ取引先やネットワークを魅力に感じ、M&Aを決める買い手企業もいます。
ポイントは、M&Aを行うことを取引先に伝えておくことです。入念に説明を行うことで、信頼関係形成にもつながります。告知が早過ぎると、M&Aを行うことが広まってしまう点には注意しましょう。適切なタイミングで説明ができれば、取引先との契約を維持できます。
3.売却資金を獲得できる
経営者によって、売却資金を獲得できる点もメリットです。経営者引退後の生活に、売却資金を活用できるでしょう。
もし、廃業を選択してしまうと、廃業に対する費用が掛かります。税務処理や設備の処理費用などを用意しなければなりません。
M&Aで事業承継を行えば、廃業費用は不要です。また、負債を持つ場合でも、買い手企業が引き継いでくれます。資金面で余裕を持たせられることも、M&Aで事業承継を行うメリットになります。
4.事業成長する場合がある
事業成長で買い手企業とのシナジーが発生し、事業成長する場合もあります。自分が手掛けた事業を成長させてくれる点はメリットになるでしょう。
買い手企業は事業拡大や業績向上を目的に、M&Aを行います。成長に意欲的な買い手企業が見つかれば、事業をさらに大きくしてもらえるでしょう。
M&Aで後継者不足解消を目指すデメリット
M&Aで後継者不足解消を目指す場合、次のようなデメリットが予想されます。
- 従業員の理解が必要になる
- 売却後に価値が下がる場合がある
- 交渉に時間が掛かる
- 納得する交渉相手が見つかるとは限らない
それぞれのデメリットに関して解説します。
1.従業員の理解が必要になる
M&Aで後継者を探す場合、従業員の理解を得ておかなければなりません。事業譲渡で事業承継が成立すれば、従業員との契約を個別に結ぶ必要があるからです。従業員が事業承継に反対すれば、従業員の異動ができなくなります。
事前に説明を行っておき、M&Aで事業承継を行うことに納得してもらうことが大切です。
2.売却後に価値が下がる場合がある
売却後も自社の価値が維持できるとは限らないため、注意が必要です。経営統合がうまくいかず、期待していたシナジー効果が生まれない可能性があるからです。
たとえば、買い手企業の従業員と売り手企業の従業員が対立してしまい、事業が進まない場合があります。事業に影響が出てしまうと、企業価値の低下や競争力低下につながるでしょう。
また、買い手企業に問題が発生し、売り手企業に悪影響が出る可能性もあります。M&A成立後にトラブルが起きるリスクにも、注意しておきましょう。
3.交渉に時間が掛かる
買い手企業との交渉は、すぐに成立するとは限りません。M&Aは買い手企業にとってリスクもあり、慎重に交渉が行われるからです。
M&Aで交渉を行う場合、トップ面談が行われます。トップ面談は経営者同士の面談で、信頼関係を形成するために、何度も繰り返し行われます。
また、条件面のすり合わせやデューデリジェンスなど、M&Aを実施するためには時間が必要です。すぐには事業承継できない可能性も意識しておく必要があります。
4.納得する交渉相手が見つかるとは限らない
第三者と交渉を行うため、納得できる相手が見つからない可能性もあります。自社を任せられる相手は、慎重に見極めなければなりません。また、自社とシナジー効果が見込めるかも、考える必要があるでしょう。
事業承継の準備が遅れると、経営者が高齢化してしまう問題もあります。高齢化で交渉相手を探す期間が十分にとれず、納得できない相手と交渉せざるを得ない可能性も生まれるでしょう。あらかじめ準備を進めておき、自社を任せられる後継者を探す時間を確保するようにしましょう。
後継者不足の解決に向けたポイント
後継者不足解決に向けて、4つのポイントを意識しましょう。
- 後継者を早い段階で決めておく
- 自社の企業価値を高める
- 株式公開を実施する
- 会社の将来性をアピールする
それぞれのポイントに関して、詳しく解説します。
1.後継者を早い段階で決めておく
後継者の選定は、余裕をもって準備しましょう。後継者は選定だけではなく、育成にも時間が掛かります。事業承継には5年から10年掛かると言われており、すぐには実施できません。
また、親族や従業員以外に事業承継を検討する可能性もあります。第三者で後継者を探す場合、納得できる後継者を探すための時間が必要でしょう。すぐに後継者が見つかると油断せず、準備をしておくことが大切です。
2.自社の企業価値を高める
自社の企業価値を高めることで、後継者発見につながります。企業価値が高まればM&Aの買い手が増加し、後継者になってもらえるからです。
自社の企業価値を高めることは、自社の成長にもつながります。自社の強みや魅力を整理すれば、アピール材料も発見できるでしょう。
第三者とのM&Aで事業承継を行う場合、外部に自社をアピールしなければなりません。企業価値が高まれば、買い手企業を多く集められるようになります。
3.株式公開を実施する
株式公開で信頼性を高め、後継者を探す方法もあります。透明性も高まるため、M&Aの買い手企業が見つかりやすくなるでしょう。
中小企業の場合、株式に譲渡制限を定めているケースがあります。自由に株式を売買できないことで、事業承継が実施しにくい企業もあるでしょう。
株式公開を行えば、株式を自由に売買できるようになり、経営権を事業承継しやすくなります。ただし、株式公開には条件がある点や、コストと時間が掛かる点に注意しましょう。
4.会社の将来性をアピールする
後継者を探すために、会社の将来性をアピールするようにしましょう。アピールでブランド力が高まり、後継者が見つかるケースもあるからです。M&Aの場合、高値で売却できる可能性も高まるでしょう。
ただし、アピール方法には注意が必要です。マーケティングに失敗してしまえば、コストだけが掛かってしまうため注意しましょう。
まとめ
全国の企業で、後継者不足が深刻です。
事業承継の対策を行わないまま、経営者が高齢化する企業も多いことでしょう。
事業承継の実施には、5年から10年は必要とされています。
後継者を早めに選び、事業承継の計画を進めていくことが大切です。
後継者を選ぶ際は、親族、または従業員を選ぶケースが多くあります。
しかし、少子化や人材不足の影響で、適任者が見つからないこともあるでしょう。
後継者が見つからない場合は、第三者へのM&Aも選択肢に含めましょう。
M&Aに対象を広げることで、後継者を見つけやすくなります。
また、M&Aで事業承継を行う場合は、M&A仲介会社への相談がおすすめです。
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M&A成約まで、無料でご利用いただけます(譲受側のみ中間金あり)。
無料相談も実施しています。
第三者に事業承継を行うためにM&Aを検討している際には、お気軽にお問い合わせください。