富山県でM&A・事業承継を行う方法は?役立つ支援や実施ポイントを解説

2024年8月19日

富山県でM&A・事業承継を行う方法は?役立つ支援や実施ポイントを解説

このページのまとめ

  • 富山県の後継者不在率は半数を超えている
  • 富山県でM&Aが行える機関には主に「M&A仲介会社」「M&Aマッチングサイト」がある
  • 富山県でM&Aを行う場合、相談できる公的支援機関が複数ある
  • M&A仲介会社を選ぶ場合には「富山県での実績」「得意分野」などをチェックすること

「富山県でM&Aを実施したいけれど、進め方がわからない」と悩んでいる経営者もいるのではないでしょうか。後継者がみつからず、第三者に承継するM&Aを検討している方もいるかと思われます。

本記事では、富山県でM&Aについて相談できる公的機関や実施の際に利用する方法、成功させるポイントなどを解説します。

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富山県の産業やM&Aの現状 

富山県でM&Aを実施するために、まずは富山県の産業やM&Aに関する現状を確認しておきましょう。

ここでは、富山県の産業や企業が抱える課題、M&Aの現状を解説します。

経済活動は活性化している

富山県は古くから経済活動が活発な地域で、特に製造業が盛んです。人口1万人あたりの事業所数は25.1事業所(全国平均14.1事業所)で全国3位、従業者数は1,192人(全国平均595人)で全国1位となっています。

また、富山県に本店を置く上場企業は多く、北陸の中でも重要な経済活動の拠点となっているのが特徴です。

北陸新幹線が開通したことで都心へのアクセスが良くなり、各都市から優秀な人材が流入しやすいことも経済が活性化している理由です。

富山県は高齢化が進み、後継者不足に悩む企業は多い状況ですが、このような活発な経済状況や比較的人材を確保しやすい環境からは、事業の存続を考えるメリットが大きいといえるでしょう。

参照元:富山県「富山県の工業について」

後継者不在に悩む企業が多い

富山県では、後継者不在に悩む企業が多い状況です。2023年に行われた帝国データバンクの調査「富山県「後継者不在率」動向調査(2023年)」によると、後継者不在率は59.4%となっています。過去3年における後継者不在率は年々低下しており、改善傾向にありますが、依然として半数を超えています。

調査年度後継者不在率
2021年61.3%
2022年60.3%
2023年59.4%

数値が低下した要因には、各自治体や地域金融機関をはじめ、事業承継の相談窓口が普及したことや、第三者へM&Aや事業譲渡、ファンドを経由した経営再建併用の事業承継といった支援体制が整備され、周知されていることが挙げられます。

これらのアナウンス効果で、経営者だけでなく後継者候補にも事業承継の重要性が認知・浸透されてきているといえるでしょう。

とはいえ、まだ半数以上の事業者が後継者不在の問題を抱えており、対策が急がれています。近年は、後継者不在への対策としてM&Aを活用した事業承継が増えおり、富山県でも買収や出向を中心にしたM&Aなどが4年連続して増加しています。後継者不在でも、M&Aを利用して第三者に事業承継を行えば、企業を存続できる状況といえるでしょう。

参照元:帝国データバンク「富山県「後継者不在率」動向調査(2023年)」

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富山県でM&Aが難しいとされる3つの理由 

富山県でのM&Aが難しいとされている理由には、次の3つが挙げられます。

  • 都市圏よりも企業数が少ない
  • M&Aが浸透していない
  • M&Aを相談する相手が少ない
  • それぞれの理由を解説します。

都市圏よりも企業数が少ない

富山県でM&Aが難しいとされる理由は、都市圏よりも企業数が少ないからです。企業数が少ないことで、M&Aを実施したり、対象になったりする企業も少なくなります。
地方であっても、福岡や愛知など大きな都市があれば、M&Aの対象も確保できるでしょう。しかし、富山県のように大きな都市が少ない都道府県では、そもそもの企業数が少なくM&Aの実施が難しくなります。

M&Aが浸透していない

M&Aが浸透していないことも、富山県でM&Aが難しい要因です。地方企業の場合、昔ながらの考えを持つ経営者が多く、比較的新しいM&Aの考え方に馴染んでいません。
また、先祖より長く続く企業では、自社に愛着を持ち、手放せないケースもあります。M&Aで売却してしまうことを、ためらう企業も多いでしょう。
地方でのM&Aは広まっていますが、大都市に比べると普及しきっていない状況です。そのため、ビジネスの選択肢として、M&Aを選択する企業は、まだまだ少ないでしょう。

M&Aを相談できる相手が少ない

M&Aを相談できる相手が少ないことも、M&Aが難しいとされる理由です。M&Aを相談できない場合、M&Aを実行する段階まで進みません。
特に、地方の場合、周囲にM&Aを相談できる専門家がいないケースが発生します。通常の業務を行う傍らで、遠くの専門家まで相談に行くのは難しいでしょう。相談できずに1人で悩みを抱えた結果、M&Aの実施が難しくなっています。

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富山県でM&Aを行うための3つの機関 

富山県でM&Aを行う場合、次の3つの機関で相談できます。

M&A仲介会社M&Aの専門家がアドバイスし、中立的な立場からM&Aの支援を行う
M&Aマッチングサイトインターネット上でM&Aの買い手企業と売り手企業をマッチングさせるサービス
金融機関M&Aのアドバイザリー業務を行っている銀行もある

それぞれの特徴やメリットなどを解説します。

M&A仲介会社

M&Aを行うためにおすすめの機関が、M&A仲介会社です。M&A仲介会社であれば、自社の目的に合わせた案件を紹介してくれます。また、M&A仲介会社を活用するメリットには、次のようなものもあります。

  • M&Aを実施するための支援が受けられる
  • M&Aの相手にふさわしいか見極めてもらえる
  • M&Aを成功させるための調整を依頼できる
  • M&Aに必要な取り決めを振興してもらえる

M&A仲介会社を選ぶ際には、得意とする業種や料金体系などで選ぶと良いでしょう。

M&Aマッチングサイト

M&Aマッチングサイトとは、M&Aの買い手企業と売り手企業をマッチングさせるサイトのことです。近年では、M&Aマッチングサイトの数が増加しています。
M&Aのマッチングサイトのメリットには、次のような点があります。

  • M&A仲介会社よりも低コストで案件を探せる
  • ニーズに合った案件が見つかりやすい
  • 成約までのスピードが早い

ただし、M&Aマッチングサイトごとに、サポート内容は変わります。また、情報漏洩などのリスクに関しても、注意しておきましょう。

金融機関

富山県でM&Aを探す場合、富山県の金融機関に相談する方法もあります。M&Aのアドバイザリー業務を行っている銀行などもあるからです。金融機関でM&Aを行う場合には、次のようなメリットが期待できます。

  • 所持している案件情報が幅広い
  • M&A全体の相談が行いやすい
  • M&Aに必要な融資を受けられる

ただし、M&Aの相談ができるかどうかは、金融機関によって異なります。M&Aのアドバイザリー業務を行っているか、M&A関係の部署を所持しているかなどは、事前に確認しておきましょう。

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富山県でのM&Aには、M&A仲介会社が必要 

富山県でM&Aを行うためには、M&A仲介会社のサポートが欠かせません。次の3つのメリットが期待できるからです。

  • M&Aの交渉相手を選んでくれる
  • M&Aのサポートが受けられる
  • 中立的な立場で調整をしてもらえる

ここでは、M&A仲介会社が欠かせない理由をそれぞれ解説します。

M&Aの交渉相手を選んでくれる

M&A仲介会社に依頼すれば、M&Aの交渉相手を選んでもらえます。自社の目的やニーズに合った案件が見つかりやすくなるでしょう。
M&A仲介会社は、買い手・売り手ともに、さまざまな情報を所持しています。M&A仲介会社の持つネットワークを活用すれば、交渉も始めやすくなります。

M&Aのサポートが受けられる

M&Aのサポートが受けられる点も、M&A仲介会社を活用するメリットです。M&Aに必要な専門知識で、自社のM&Aを支えてくれるでしょう。
M&A仲介会社には、M&Aに必要な法務や会計知識を持ったアドバイザーが在籍しています。自社では対応できない問題も、安心して任せることができます。
また、M&Aを進める場合は、普段の業務と並行して行うケースがほとんどです。アドバイザーのサポートがあることで、業務に支障をきたすことなく、M&Aが進められます。

中立的な立場で調整をしてもらえる

中立的な立場で調整してもらえることで、M&Aを進めやすくなります。自社だけで対応するよりも、スムーズなコミュニケーションが成立するからです。
また、M&A仲介会社が調整を行うことで、取り決めを安心して行えるメリットもあります。取り決めで発生しやすいリスクを抑えながら、M&Aを実施できるでしょう。

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富山県でのM&A仲介会社の選び方 

富山県でM&A仲介会社を探す場合、次のポイントで選んでみましょう。

  • 富山県でのM&A実績が豊富
  • 得意にする分野で選ぶ
  • M&Aに対する経験がある
  • 料金体系の分かりやすさで選ぶ
  • 相性の良い担当者がいる

ここでは、それぞれのポイントを解説します。

富山県でのM&A実績が豊富

富山県でM&Aを行う場合、富山県でのM&A実績を持つ仲介会社選びが大切です。担当するエリアが決まっていることもあるため、あらかじめ確認しておきましょう。
また、対応している案件の規模に関しても、同時に確認しておくことが大切です。依頼する案件の規模に対応していないM&A仲介会社の場合、依頼を断られてしまうケースもあります。富山県でのM&A実績や、過去に対応した案件規模なども確認しておきましょう。

得意にする分野で選ぶ

M&Aは、得意にする分野で選んでみましょう。M&Aの対象になる分野の実績や、専門的知識を所持しているか確かめることも大切です。
M&A仲介会社によっても、特にする分野は違います。事前に調べないままM&A仲介会社を選んでしまうと、手続きに問題が発生したり、トラブルが起きてM&Aが実施できなくなることもあるでしょう。
依頼前に相談を行い、どのような分野が得意か、実績を持っているかなどを聞いておきましょう。

M&Aに対する経験がある

M&A仲介会社を選ぶ際には、M&Aの経験で選ぶこともポイントです。担当になるスタッフが、M&Aの経験や知識を持っているか確認しておきましょう。
M&Aを進めるためには、法務や会計など、M&Aの専門的な知識が求められます。弁護士や会計士などが在籍している仲介会社であれば、相談しやすくなるでしょう。

料金体系の分かりやすさで選ぶ

料金体系の分かりやすさも、M&A仲介会社を選ぶ際のポイントです。相談料や手数料などが、分かりやすいM&A仲介会社にしましょう。相談料などを気にせずにM&A仲介会社を選んでしまうことで、想定外の費用が掛かってしまうケースがあるからです。
追加料金の発生でコストを増加させないためにも、あらかじめ料金体系を確認するようにしましょう。

相性の良い担当者がいる

相性の良い担当者がいることも、M&A仲介会社選びのポイントです。相性が良く、信頼関係が築ける担当者であれば、M&Aも進めやすくなるでしょう。
「自社のことを考えて相談にのってくれているか」「対応が丁寧で問題がないか」などに注目して、M&A仲介会社を選びましょう。

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富山県でM&Aや事業承継を行う際に役立つ支援機関 

富山県でM&Aや事業承継を行う場合、次のような支援を受けることができます。

  • 富山県事業承継・引継ぎ支援センター
  • 富山商工会議所
  • 富山県事業承継ネットワーク
  • 富山県よろず支援拠点
  • 富山県信用保証協会

それぞれ解説するため、参考にしてください。

富山県事業承継・引継ぎ支援センター

富山県事業承継・引継ぎ支援センターは、企業の事業承継をサポートしてくれる機関です。中小企業庁から委託を受けており、公益財団法人富山県新世紀産業機構が運営を行っています。

富山県事業承継・引継ぎ支援センターで受けられる支援には、次のような支援があります。

  • 事業承継の専門家や支援機関の紹介
  • 専門家の派遣
  • 事業承継の経営者保証解除の相談受付
  • 富山県事業承継ネットワーク

事業承継にM&Aを使用する場合も、相談可能です。

参照元:「富山県事業承継・引継ぎ支援センター

富山商工会議所

富山商工会議所でも、事業承継やM&Aに関する相談を受け付けています。事業承継に関する定期相談室が開催されているため、活用しましょう。ただし、非会員の場合は、相談内容が限られる可能性もあります。

参照元:富山商工会議所「各種定時相談室のご案内

富山県事業承継ネットワーク

富山県事業承継ネットワークは、商工団体や金融機関、士業等専門家等の民間支援機関や、国・県・市町村等の公的支援機関が組織する組織です。

県内企業の事業承継に関する総合窓口となり、事業承継診断をはじめとする事業承継について情報提供や相談などを行っています。

中小企業診断士や税理士、弁護士などの専門家を無料で派遣する制度もあり、専門家が訪問して課題の対策をしたり事業承継計画書の作成をサポートしたりしています。

参照元:富山県事業承継ネットワーク

富山県よろず支援拠点

富山県よろず支援拠点とは、国が設置している無料の経営相談所です。事業承継を含めた、経営相談に対応しています。
富山県よろず支援拠点の特徴は、分野に合わせたコーディネーターが複数人在籍している点です。何度利用しても、相談は無料になっています。

参照元:「富山県よろず支援拠点

富山県信用保証協会

富山県信用保証協会とは、中小企業の公的な保証人となってくれる機関です。事業承継やM&Aで資金調達が必要な場合、公的な保証人となり、融資がスムーズに受けられるよう支援してくれます。融資の保証人だけではなく、M&Aや事業承継の相談もできる機関です。

参照元:「富山県信用保証協会

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富山県でM&Aを成功させるポイント 

富山県でM&Aを成功させるためには、次のようなポイントを意識しましょう。

  • タイミングを掴めるように素早く動く
  • 自社の情報を整理する
  • 交渉先との人間関係を良好にする
  • 金融機関の理解が得られるようにする
  • 適正価格で買収する
  • 案件を幅広く探す
  • M&Aの専門家にアドバイスをもらう

それぞれのポイントに関して、詳しく解説します。

タイミングを掴めるように素早く動く

M&Aを成功させるために、タイミングを逃さず、素早く動きましょう。タイミングを逃すことで、案件先が見つからなかったり、不利な条件でM&Aを行わなければならなかったりするからです。M&Aを行うと決めたら、早めにM&Aの専門家に相談するようにしましょう。

買い手の場合は、M&A仲介会社に相談し、買収のニーズを伝えておくことが大切です。
売り手の場合は、M&Aが候補に挙がった時点で、相談相手を見つけておきましょう。相談相手には、M&A全般のサポートができる、M&A仲介会社がおすすめです。

自社の情報を整理する

M&A成功に向けて、売り手は自社の情報を整理しておきましょう。自社の情報を整理しておくことで、買い手探しが実施しやすくなります。たとえば、次のような情報は、あらかじめ整理しておくと良いでしょう。

  • 自社の強み
  • 採算性
  • 技術やノウハウ
  • 従業員の状況
  • 自社の課題

また、交渉での優先順位も決めておきましょう。「社名を残すのか」「従業員の雇用関係はどうするか」などを決めておくと、交渉がスムーズに進みます。

交渉先との人間関係を良好にする

M&Aを成功させるためには、交渉先との人間関係を良好にしておきましょう。交渉先との人間関係を良くしておくことで、取引先や従業員との関係性を維持できるからです。
M&Aでは、事業を引き継ぐために、M&A後も前の経営者に残ってもらうケースもあります。前経営者との人間関係が悪化してしまえば、事業の引継ぎに協力してもらえないこともあるでしょう。従業員や取引先との関係性を引き継ぐためにも、交渉先との人間関係が大切になります。

金融機関の理解が得られるようにする

金融機関の理解が得られるように、協力関係を作っておきましょう。M&Aを行う場合、買収資金の融資が必要になるからです。もし、融資の申請が通らなかった場合、M&Aが破談になってしまうかもしれません。
金融機関の理解を得るためにも、M&Aを行う計画があることを事前に伝えておきましょう。あらかじめ説明しておくことで、いざM&Aを行う際に、協力してもらいやすくなります。

適正価格で買収する

M&Aを行う際は、適正価格で買収しましょう。買収価格を見誤ってしまうと、投資資金が回収できなくなってしまうからです。
また、買収価格を想定する際は、仲介手数料などもコストに含めて計算しましょう。依頼するM&A仲介会社によって、料金体系は異なります。着手金や成功報酬金などで違いが発生するため、掛かる費用を確認するようにしましょう。

案件を幅広く探す

M&Aを成功させるために、案件を幅広く探すようにしましょう。調べた案件数が少ないことで、ニーズに合わない企業とM&Aを行ってしまうことがあるからです。想定した結果が出ずに、M&Aが失敗してしまうでしょう。
案件を幅広く探すためには、M&A仲介会社に相談しておくことが大切です。どのような企業とM&Aを行いたいか、話し合っておきましょう。

M&Aの専門家にアドバイスをもらう

M&Aを成功させるには、M&Aの専門家にアドバイスをもらうことが大切です。M&Aの専門家であれば、経験や知識をもとに、適切なアドバイスをしてもらえます。個人でM&Aを行う経営者もいますが、失敗してしまうケースもあるため、注意しましょう。

M&Aの相談を行うのであれば、M&A仲介会社がおすすめです。これまでの実績や経験、得意分野などで選び、自社に合うM&A仲介会社を見つけましょう。

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富山県でM&Aを行う流れ

事業承継のためにM&Aを選択するとき、手順に沿った細かい手続きがあります。どのような手続きを行うのか、大きな流れをみていきましょう。

M&Aの目的・方向性を定める

まず、M&Aの目的と方向性を明確に定めます。目的や方向性を定めず曖昧な状態で進めると、適切な相手企業の選択ができません。条件交渉の際にも正しい判断ができず、自社に不利な条件で話が進んでしまう可能性もあります。

M&Aを進める際には専門的な知識がも必要になるため、M&A仲介会社の担当者と相談しながら、目的を明らかにして具体的な戦略を策定しましょう。

M&A先の選定・交渉を始める

次に、M&Aの相手先企業を選定し、経営者同士がトップ面談を行います。トップ面談は条件交渉ではなく、お互いに誠実な経営者かを見極める場です。売り手側は、「安心して事業を託せる相手か」、買い手側は「どのような経営理念をもって事業を行ってきたのか」について、相手方を判断することが目的です。

トップ面談によりそれぞれが「売却する」「買収する」と決定したら、買い手から売り手に意向表明書を提示します。

基本合意を締結する

基本合意は、売り手と買い手が協力し合ってM&Aを完了させることを約束する仮の契約です。 基本合意のフェーズでは、M&Aスキームや取引価格の確認、独占交渉権の確認などを行い、基本合意書を締結します。

基本合意書の内容にはほとんど法的拘束力がなく、その後のデューデリジェンスの実施により、最終的な取引価格やM&Aの実施が判断されます。

買い手側がデューデリジェンスを実施する

デューデリジェンスとは、買い手側が売り手企業を詳細に調査する企業監査です。買い手側は売り手企業を買収しても問題がないか確認するため、経営状況や財務状況などを幅広く調査します。

M&Aでは合併など包括承継の場合、対象企業のすべての権利・義務を引き継ぐため、簿外債務や社内トラブルなどがあると、承継後の経営に支障が出る可能性もあります。そのようなことのないよう、デューデリジェンスは専門的な知識や経験のある公認会計士や税理士などの専門家に依頼し、徹底的に行わなければなりません。

最終契約を締結する

デューデリジェンスを通して買収に問題がないことが確認できた後は、基本合意書で締結した内容をもとに、最終条件の交渉に入ります。具体的には、デューデリジェンスでの調査内容を踏まえて、最終的な取引金額や譲渡の範囲について交渉を行います。

交渉で合意できたら、最終契約書を締結します。最終契約書は法的拘束力を持ち、締結すると契約内容を変えられません。交渉内容が要望のとおりになっているかを確認しながら、慎重に行いましょう。

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富山県でM&Aを行う際の注意点 

富山県でM&Aを行う際は、次のような点に注意しましょう。

  • 売り手の従業員が離職しないようにする
  • PMI発生を意識して動く

それぞれの注意点に関して、解説します。

売り手の従業員が離職しないようにする

M&Aでは、売り手の従業員が離職しないように注意しましょう。従業員が離職した結果、予定していたシナジーが発揮されない場合があるからです。
従業員の離職を防ぐためには、従業員の待遇に関して、事前に話し合っておきましょう。企業風土や価値観に対する理解を持ちながら、従業員の雇用継続を考えることも大切です。

PMI発生を意識して動く

M&Aでは、PMI発生を意識して動くようにしましょう。PMIを丁寧に行わないことで、顧客が離れて行ったり、従業員同士で争いを始めたりしてしまうからです。その結果、企業価値が下がってしまうこともあるでしょう。

PMIでは、企業風土や価値観などの異なる企業が統合できるように、慎重に動くことが必要です。買収成立後も安心せずに、PMIを行うようにしましょう。

富山県のM&Aで利用できる補助金

富山県でM&Aを行うとき、補助金の利用が可能です。「富山県事業承継つなぐサポート事業費補助金」という名称で、事業承継にかかる経費の一部を補助する制度です。

県内中小企業の技術や雇用等の貴重な経営資源を次世代に引き継ぎ、富山県の経済発展を図ることを目的としています。

2023年は、5月から公募が行われました。今後、利用したい場合は富山県の公式サイトをチェックしておくと良いでしょう。

参照元:富山県「「富山県事業承継つなぐサポート事業費補助金」の公募について

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富山県で行われたM&Aの事例 

ここでは、富山県で実施されたM&Aの事例を紹介します。6つのM&A事例を紹介するため、参考にしてください。

スーパーマーケットの事例1

ここでは、スーパーマーケットのM&A事例を紹介します。

譲渡企業

  • 会社名:株式会社オレンジマート
  • 所在地:富山県富山市
  • 事業内容:食品類・酒類・飲料の製造および販売
  • 資本金:50百万円

譲受企業

  • 会社名:アルビス株式会社
  • 所在地:富山県富山市
  • 事業内容:総合食料品スーパーマーケット事業
  • 売上高:4,175百万円
  • 営業利益:14百万円

M&Aのスキーム

吸収合併

M&Aの目的

アルビス株式会社は、北陸三県でスーパーマーケットを運営している企業です。株式会社オレンジマートは、アルビス株式会社が展開していない地域で、スーパーマーケットを運営している企業でした。
このM&Aに関してアルビス株式会社は、「株式会社オレンジマートをグループ化することで富山県内における食品売上高のシェアが高まり、スケールメリットを活かしてより多くお客様に貢献できることを企図しております」と説明しています。
このM&Aによってアルビス株式会社は、これまでに出店できていない地域への参入を果たしています。

参照元:アルビス株式会社「完全子会社の吸収合併(簡易合併・略式合併)に関するお知らせ」

スーパーマーケットの事例2

スーパーマーケットのもうひとつの事例を紹介します。

譲渡企業

  • 会社名:三幸株式会社
  • 所在地:富山県高岡市
  • 事業内容:食品スーパー事業
  • 資本金:8,700万円

譲受企業

  • 株式会社バローホールディングス
  • 所在地:岐阜県恵那市
  • 事業内容:チェーンストア事業
  • 資本金:13,609百万円

M&Aのスキーム

株式譲渡

M&Aの目的

株式会社バローホールディングスは富山県におけるスーパーマーケット事業に進出しており、競争が激化するなかで競争力と地域シェアの向上を急務としていました。

三幸株式会社は、富山県西部を中心にスーパーマーケットを展開する有力企業であり、展開エリアを補完して富山県内シェアを向上させる目的でM&Aが実施されています。株式会社バローホールディングスの販売ノウハウを当該地域の店舗に広めて競争力を高め、スーパーマーケット事業全体の収益改善につなげる方針です。

参照元:株式会社バローホールディングス「三幸株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

医薬品メーカーの事例

ここでは、医薬品メーカーの事例を紹介します。

譲渡企業

  • 会社名:エルメッドエーザイ株式会社
  • 所在地:富山県富山市
  • 事業内容:付加価値型ジェネリック医薬品の研究開発・製造・販売
  • 資本金:150百万円

譲受企業

  • 会社名:日医工株式会社
  • 所在地:富山県富山市
  • 事業内容:医薬品、医薬部外品、その他各種薬品の製造販売輸出入等
  • 資本金:1億円

M&Aのスキーム

株式譲渡

M&Aの目的

日医工株式会社は、医薬品メーカーを営む企業です。付加価値型ジェネリック医薬品の研究開発や製造などを行うエルメッドエーザイ株式会社の株式追加取得、連結子会社化を行いました。

このM&Aに関して日医工株式会社は、「ラインナップが更に拡充した当社製品を多くの患者様とそのご家族にお使いいただけるよう努力を行い、ジェネリック医薬品市場における存在感を確立してまいります」と表明しています。

参照元:日医工株式会社「エルメッドエーザイ株式会社の株式追加取得(完全子会社化)並びに エルメッド株式会社への商号変更及び同社における事業開始に関するお知らせ

酒造メーカーの事例

ここでは、酒造メーカーの事例を紹介します。

譲渡企業

  • 会社名:銀盤酒造株式会社
  • 所在地:富山県黒部市
  • 事業内容:酒類製造・販売
  • 資本金:97百万円

譲受企業

  • 会社名:盛田株式会社
  • 所在地:愛知県名古屋市
  • 事業内容:食品類・酒類・飲料の製造および販売
  • 資本金:100百万円

M&Aのスキーム

株式取得

M&Aの目的

M&Aの目的に関して盛田株式会社は、「商品の共同開発」「販路拡大や営業力の強化」「海外展開の実施」と表明しています。譲渡企業は酒類や飲料の販売を行っている企業であり、同じく酒類の製造販売を行う企業であれば、より成長力が高い企業グループになると判断しました。

参照元:盛田株式会社「銀盤酒造株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」

印刷会社の事例

印刷株式会社の事例を紹介します。

譲渡企業

  • 会社名:株式会社アヤト
  • 所在地:富山県小矢部市
  • 事業内容:一般商業印刷の製造および印刷通販事業
  • 資本金:1,000万円

譲受企業

  • スキット株式会社
  • 所在地:福井県福井市
  • 事業内容:一般商業印刷
  • 資本金:1,000万円

M&Aのスキーム

株式譲渡

M&Aの目的

富山県に本社を置く株式会社アヤトは、3代にわたって家族で継承してきた会社です。経営者が高齢であることから、第三者への事業譲渡を検討していました。金融機関に相談したところ、紹介されたコンサルティング会社経由で出会ったのが、福井県に本社があるスキット株式会社です。

スキット株式会社はM&Aでグループ会社を増やす戦略をとっており、顧客層が異なる譲渡企業とのシナジー効果を期待して、事業承継を目的としたM&Aが実施されました。

参照元:アヤト印刷通販「会社概要」

運送会社の事例

運送会社の事例を紹介します。

譲渡企業

  • 会社名:山昭運輸株式会社
  • 所在地:神奈川県横浜市
  • 事業内容:一般貨物自動車運送事業
  • 資本金:1,000万円

譲受企業

  • 会社名:トナミホールディングス株式会社
  • 所在地:富山県高岡市
  • 事業内容:貨物自動車運送事業
  • 資本金:141億8,200万円

M&Aのスキーム

株式譲渡

M&Aの目的

トナミホールディングス株式会社はグループ会社として新しい経営ステージを目指しており、事業の継続的成長に向け「業務資本提携やM&Aの積極的な展開を行っています。

山昭運輸株式会社は神奈川県で海上コンテナ輸送事業を展開し、横浜港を起点に関東圏を中心とした物流を取り扱っています。国際貨物輸送事業を展開する譲受企業の海上コンテナ輸送の拠点として経営に融合することで、総合的な ロジスティクス提案力を強化するため、M&Aが実施されました。

参照元:トナミホールディングス株式会社「山昭運輸株式会社」の株式取得に関するお知らせ

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まとめ

富山県では後継者不在に悩む企業が半数を超えており、事業承継の手段としてM&Aを実施する企業が増えている状況です。事業承継目的のM&Aは、今後も増加すると予測されています。

また、富山県では事業承継を支援する公的機関も増えており、無料で利用できます。後継者不在で悩む方は、相談してみると良いでしょう。

富山県でM&Aを行う方法はいくつかありますが、おすすめはM&A仲介会社を利用することです。M&A仲介会社であれば、専門家による幅広いサポートを受けられます。M&Aは法律や会計など専門的な知識が必要であり、安心して任せられるM&A仲介会社を選ぶことが大切です。

レバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社は各領域の専門性に長けたコンサルタントが在籍しており、M&Aのご相談に対応しています。料金体系は、M&Aご成約時に料金が発生する完全成功報酬型です。譲受会社のみ中間金の設定があるものの、M&Aのご成約まで、ご相談も含めて無料でご利用いただけます。「富山県でM&Aによる事業承継を検討したい」という方は、お気軽にお問い合わせください。