大阪府で事業承継を行うには?事業承継の流れや相談先を解説
このページのまとめ
- 大阪府では事業承継を経営上の問題に認識している企業が7割以上
- 大阪府では半数近くの企業が事業承継を進められていない
- 大阪府で事業承継を行う方法には「親族内承継」「社内承継」「第三者へのM&A」がある
- 大阪府で事業承継を行う場合、専門家のアドバイスが欠かせない
「大阪府で事業承継を行いたいけど、何から進めれば良いか分からない」と悩んでいる経営者も多いのではないでしょうか。後継者を誰に任せるか、どこに相談するか困っている経営者も多いことでしょう。
大阪府で事業承継を成功させるためには、専門家のアドバイスを受けながら、事業承継の準備を進めることが大切です。本コラムでは、大阪府で事業承継を行う場合の流れや、相談先を解説します。
大阪府における事業承継の現状
大阪府では、事業承継を経営上の問題と認識している企業が多い状況です。
「事業承継に関する大阪府企業の意識調査」によると、事業承継に関して、「最優先の経営上の問題と認識している」と答えた企業が13.1%、「経営上の問題のひとつと認識している」と答えた企業が58.3%でした。
7割以上の企業が、事業承継を経営上の問題と認識しています。
事業承継を経営上の問題と認識している一方で、事業承継の準備は進んでいない企業も多い状況です。「事業承継に関する大阪府企業の意識調査」では、「事業承継を計画していない」と答えた企業が27.9%でした。また、「計画があるが進めていない」と回答した企業は19.2%です。半数近くの企業が、事業承継を進められていない状況を抱えています。
後継者不在の企業も多い
大阪府では、後継者不在の企業も多い状況です。
「全国企業「後継者不在率」動向調査(2021年)」によると、2021年度に後継者が不在と答えた企業は、63.9%でした。全国平均の61.5%よりも、高い不在率になっています。
後継者が決まらない企業では、事業承継の計画も進みません。事業承継が実施できない企業は、廃業せざるを得なくなるでしょう。
また、「近畿企業の社長年齢分析(2021年12月時点)」によると、大阪府の社長の平均年齢は59.4歳でした。経営者の高齢化もあり、事業承継への対策が必要になっています。
参照元:帝国データバンク「全国企業「後継者不在率」動向調査(2021年)」
参照元:帝国データバンク「事業承継に関する大阪府企業の意識調査」
参照元:帝国データバンク「近畿企業の社長年齢分析(2021年12月時点)」
大阪府で事業承継を行う3つの方法
大阪府で事業承継を行うには、3つの方法があります。
- 親族内承継
- 社内承継
- 第三者へのM&A
それぞれの方法に関して、解説します。
親族内承継
親族内承継とは、親族に対して事業承継を行う方法です。一般的には、親から子どもへと事業承継が行われます。
親族内承継のメリットは、事業承継を計画的に進めやすい点です。後継者があらかじめ決まっている企業では、事業承継の準備をスムーズに進められます。余裕をもって、経営に必要なノウハウを教えたり、経験を積ませることができるでしょう。また、従業員や取引先のように、関係者からの支持を受けやすいことも親族内承継のメリットです。
ただし、後継者候補に経営者の素質があるか分からない点には、注意が必要です。会社を任せられるかどうか、見極めが必要になります。
社内承継
社内承継とは、自社の従業員や役員を対象に事業承継を行う方法です。従業員からの支持を受けている人物を選べば、周囲から受け入れてもらいやすいメリットがあります。また、従業員や役員であれば、自社の方針や企業風土を知っていることもメリットになります。
社内承継の注意点は、親族内承継に比べて、事業を引き継ぐための資金が必要になる点です。資金が確保できない場合、事業承継自体ができません。資金が必要になることから、後継者を辞退するケースもあります。
第三者へのM&A
第三者にM&Aを行うことで、事業承継を行う方法もあります。現代では、後継者不足に悩む企業も多く、M&Aを活用した事業承継が注目を集めています。
M&Aの場合、後継者を幅広く探すことができる点がメリットです。また、会社を売却するため、経営者が資金を獲得できる点もポイントです。事業承継を行い、仕事を辞めて老後の生活に移る経営者もいます。
注意点は、ニーズや条件に合う候補を探すことが難しい点です。第三者にM&Aを行い、事業承継を進める場合は、専門家の協力を受けながら進めることが欠かせません。
大阪府で事業承継を行う際の3つの課題
大阪府で事業承継を行う際の課題には、次の3つが挙げられます。
- 後継者を育成する時間が足りない
- 事業承継の必要性を知らない経営者が多い
- 事業承継に必要な資金が集まらない
それぞれの課題に関して、詳しく解説します。
後継者を育成する時間が足りない
事業承継では、後継者を育成する時間が足りないことが課題になります。後継者を育成するためには、5年から10年は掛かると言われているからです。
経営を行うためには、企業全体を把握し、経営者らしい考え方やスキルの取得が必要になります。しかし、最初からこれらの能力を備えている人は少ないでしょう。
後継者育成には時間が掛かることを知っておき、あらかじめ事業承継に向けて準備を進める事が必要です。
事業承継の必要性を知らない経営者が多い
事業承継の必要性を知らない経営者が多いことも、事業承継で発生する課題です。事業承継がすぐにできると考えており、準備をしていない経営者もいます。
中小企業庁が作成した「事業承継ガイドライン」では、「事業承継には10年以上掛かることもあり、60歳ごろには事業承継の準備を始めることが望ましい」とされています。
事業承継に時間が掛かることを知っておき、準備を進めることが必要です。
参照元:中小企業庁:「事業承継ガイドライン」
事業承継に必要な資金が集まらない
事業承継に必要な資金が集まらないことも、事業承継の課題です。親族内承継と社内承継を行う場合には注意しましょう。
親族内承継を実施する場合、株式のような企業の資産を贈与します。その際、贈与税が発生するため、納税が必要です。しかし、会社が持つ資産を現金化できないケースが多く、贈与税に必要な資金を準備できなければ納税ができません。
社内承継の場合は、自社の株式を後継者に売却し、経営権を取得してもらいます。しかし、後継者が経営権を取得できるほどの資金を持っているとは限りません。銀行の融資がなければ、社内承継ができないこともあります。
事業承継の流れ
事業承継を行う際は、次のような流れで進めていきます。
- 事業承継に向けて準備を進める
- 経営状況を確認する
- 経営改善を行う
- 事業承継計画を作る
- 事業承継を実施する
それぞれの流れを解説します。
事業承継に向けて準備を進める
事業承継を成功させるためには、準備が重要です。準備せずに実行に移してしまうと、周囲に迷惑を掛けたり、最適なタイミングを逃してしまうかもしれません。
事業承継を行うために、まずは事業承継の専門家に相談しましょう。大阪府で事業承継を相談できる専門家には、次のような種類があります。
- 大阪商工会議所
- 事業承継・引継ぎ支援センター
- 大阪府よろず支援拠点
- 銀行などの金融機関
- M&A仲介会社
第三者にM&Aで事業承継を行う選択肢がある場合は、M&Aに詳しいM&A仲介会社に相談すると良いでしょう。
経営状況を確認する
事業承継後も自社を成長させるためには、経営状況を知っておくことが大切です。次の3つの現状と課題を意識しましょう。
- 事業
- 資産
- 財務
まず、事業に関しては、自社の課題と強みを明確にしましょう。事業承継を行うために、どのような点に注力が必要か考えます。
次に、資産の現状も知っておきましょう。後継者に対してどれだけの資産を残すことができるか、整理しておくことが大切です。
最後に、財務の状況も整理しておきましょう。中小企業では、財務管理が曖昧になっているケースもあります。管理が甘い企業だと、金融機関から事業承継に必要な融資を受けられない可能性も出てきます。資金調達を滞りなく進めるためにも、財務状況の管理を実施しましょう。
経営改善を行う
事業承継をスムーズに行うために、経営改善を実施しましょう。経営状態に問題がある場合、後継者が承継を拒否してしまう事態も発生します。親族であっても拒否する場合があり、親族内承継が減少する要因になっているため注意しましょう。
経営改善を行う箇所には、次のような箇所があります。
- 業績
- コスト
- 従業員
- 技術
- ノウハウ
- コンプライアンス
経営が改善できているかは、目に見えにくい部分です。専門家に相談しながら進めるようにしましょう。
事業承継計画を作る
事業承継に向けて、事業承継計画を作りましょう。事業承継計画とは、引継ぎに向けて具体的にどのような行動を起こすかを記した計画書のことです。事業承継計画は、10年を見据えて作成するようにしましょう。
作成にあたっては、まず、中長期的な目標を設定しましょう。中長期的な目標をベースに、自社や経営者、後継者の行動を考えます。計画が完成したら、従業員などにも公開を行い、計画を進めるサポートがもらえるようにしましょう。また、計画を作る際には、後継者と一緒に作ることが大切です。
事業承継を実施する
事業承継計画が策定できたら、事業承継を実施しましょう。親族内承継や社内承継の場合、事業承継計画に沿って行動を進めます。自社の資産や経営権の承継を行いましょう。
M&Aで第三者に承継する場合は、専門家に相談しながら進めるようにしましょう。まずはM&A仲介会社に相談し、事業承継を行う相手先を探すところから始めます。相手が見つかれば、M&Aの交渉に移りましょう。
事業承継は、計画どおりに進むとは限りません。専門家に相談しながら、状況に応じて対応を進めていきましょう。
大阪府で事業承継を行うためにおすすめな3つの機関
大阪府で事業承継を行うために、おすすめの機関は次の3つです。
- M&A仲介会社
- M&Aマッチングサイト
- 金融機関
それぞれの特徴に関して、解説します。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、M&Aや事業承継を専門にする会社です。譲渡企業と譲受企業の間に立ち、中立的に支援を行ってくれます。第三者にM&Aで事業承継を行うためには、専門的な知識や経験が欠かせません。
M&A仲介会社を利用するメリットには、次のようなものがあります。
- M&Aのサポートが受けられる
- M&Aの相手を探したり、見極めたりしてもらえる
- 円滑にM&Aを進めてくれる
M&A仲介会社は数が多いため、自社に合った会社を選びましょう。
M&Aマッチングサイト
M&Aマッチングサイトとは、事業承継やM&Aを行う取引先を探せるサイトです。買い手と売り手両方のマッチングをサポートしています。
M&Aマッチングサイトのメリットは、次の3つです。
- ニーズに合った案件を探しやすい
- 成約までスムーズに実施できる
- M&A仲介会社よりも安価になりやすい
M&Aマッチングサイトは、サイトによってサポート体制が異なります。弁護士などの専門家によるサポート体制があるかどうか、確認しておくと良いでしょう。
金融機関
銀行のような金融機関も、事業承継やM&Aを相談できます。近年では、M&A専門の部署を抱えている記入機関も増えている状況です。
金融機関に相談する場合は、事業承継の規模に注意しましょう。金融機関は、大規模案件を中心に進める傾向があります。小規模の案件は断られてしまうケースもあるため、対応してもらえるか確認が必要です。
事業承継でのM&A仲介会社の選び方
事業承継でM&A仲介会社を選ぶ際のポイントは、次の6つです。
- 自社と同じ規模で事業承継実績がある
- 業界に特化しているかで選ぶ
- 無理のない料金体系か確認する
- 事業承継に必要な専門家との人脈を持っている
- 安心して任せられるか確かめる
- 信頼できる担当者を見つける
それぞれの選び方に関して、解説します。
自社と同じ規模で事業承継実績がある
M&A仲介会社を選ぶ際は、自社と同じ規模での事業承継実績があるか確認しましょう。実績がある仲介会社の場合、「企業価値を変えるポイントは何か」「どのようなリスクが潜んでいるか」などの経験から、良いアドバイスを受けられるからです。
事業承継やM&Aを行う場合、自社の今後に影響を与えます。実績を考慮し、信頼できるM&A仲介会社を選びましょう。
業界に特化しているかで選ぶ
M&A仲介会社を選ぶ場合、「業界特化型」「非特化型」で選ぶことができます。どちらのM&A仲介会社か、確認しておきましょう。
業界特化型の場合、特定の業界に関して深い知識を持っています。業界特有の細かい点までアドバイスがもらえるため、リスクを抑えながら、M&Aを進めることができます。
非特化型の場合は、業種に制限されず、幅広い交渉相手を見つけられる点がメリットです。自社では想定していなかったメリットが発見できるケースもあるでしょう。
業界に特化しているかどうかで選ぶことも、仲介会社を選びやすくするポイントです。
無理のない料金体系か確認する
無理のない料金体系で依頼できるか、確認しておきましょう。料金が高くなる場合、支払いができず、依頼が途中で終わってしまう可能性があるからです。途中で終わった結果、事業承継ができずに、廃業してしまうケースも出てくるでしょう。
M&A仲介会社を選ぶ際には、完全成功報酬型で選ぶこともポイントです。M&Aが成立してから、料金を支払うことができます。
また、着手金や中間手数料が不要なM&A仲介会社もあります。資金に不安がある場合、完全成功報酬型のM&A仲介会社かどうか、確認してみましょう。
事業承継に必要な専門家との人脈を持っている
事業承継に必要な専門家との人脈があるかも、M&A仲介会社を選ぶポイントです。M&Aを進めるためには、法務や税務の専門家の協力が欠かせないからです。
専門家の例には、弁護士や会計士、税理士などが挙げられます。もし、M&A仲介会社と専門家で人脈がない場合、自社で依頼しなければならなくなります。多くのコストと時間が掛かるため、大変です。
M&A仲介会社を選ぶ際には、事業承継に必要な専門家が在籍しているか、人脈があるかも確かめておきましょう。
安心して任せられるか確かめる
安心して任せられるM&A仲介会社であるかどうかも、選ぶ際には大切です。
たとえば、セキュリティ対策を万全に行っているか確認しましょう。M&A仲介会社に依頼する際には、決算資料や従業員名簿のように、自社の情報を開示するからです。セキュリティ対策が万全出ない場合、情報漏洩してしまうリスクが増加するでしょう。
また、実績数や成約数で選ぶ方法もあります。M&A仲介会社のWebサイトで公開されている場合は、チェックしておきましょう。
信頼できる担当者を見つける
信頼できる担当者を見つけて、M&A仲介会社を選んでも良いでしょう。
信頼できる担当者を見つけるためには、無料相談がおすすめです。実際に相談を行うことで、担当者との相性を確かめることができます。
また、M&A仲介会社の場所が自社から近いかも確認しておきましょう。相談したいときに、無理なく相談できるかもM&A仲介会社選びでは大切です。
大阪府で事業承継を行う際に役立つ支援
大阪府で事業承継を行う場合、次のような支援や機関を活用できます。
- 大阪府事業承継・引継ぎ支援センター
- 大阪府事業承継ネットワーク
- 大阪府事業承継・引継ぎ支援センター
- 大阪信用保証協会
- 大阪府よろず支援拠点
- 後継者バンク
それぞれの概要を紹介するため、参考にしてください。
大阪府事業承継・引継ぎ支援センター
大阪府事業承継・引継ぎ支援センターは、事業承継やM&Aの実施をサポートする機関です。国が設置している、公的機関になります。具体的には、次のような支援を実施しています。
- 事業承継に必要な専門家の紹介
- 事業承継の実施支援
- 事業承継診断の実施
- 親族内承継や社内承継の場合、後継者育成や事業承継手続きのサポート
- 後継者が不在の企業に向けて後継者の紹介
- 第三者にM&Aを行う場合、M&A仲介会社の紹介
- 経営者保証解除に向けた支援
また、大阪府事業承継・引継ぎ支援センターでは、中小企業のM&Aや事業承継に詳しい専門家が在籍しています。無料で相談ができる点もポイントです。
参照元:「大阪府事業承継・引継ぎ支援センター」
大阪府事業承継ネットワーク
大阪府事業承継ネットワークでは、商工会議所や金融機関などから、事業承継に向けて支援を受けられます。大阪府事業承継・引継ぎ支援センターが運営しているネットワークです。
大阪府事業承継ネットワークには、次のような団体や機関が参加しています。
- 商工会・商工会議所
- 大阪府中小企業団体中央会
- 公益財団法人大阪産業局
- 大阪府よろず支援拠点
- 金融機関
- 大阪信用保証協会
- 士業等専門家団体
- 中小企業支援機関
- 国・府・市町村
また、大阪府事業承継ネットワークでは、「事業承継診断事業」「事業承継計画の策定」なども行っています。
参照元:大阪府事業承継・引継ぎ支援センター「事業承継ネットワーク」
大阪府よろず支援拠点
大阪府よろず支援拠点は、中小企業や小規模事業者の経営支援を行っている機関です。さまざまな分野に精通した、コーディネーターが在籍している点がポイントになります。
事業承継やM&Aに精通したコーディネーターも在籍しており、無料で相談を受け付けています。
参照元:「大阪府よろず支援拠点」
大阪信用保証協会
大阪信用保証協会とは、金融機関からの融資が必要な場合に、公的な保証人になってくれる機関です。具体的には、次のような支援を行っています。
- チャレンジ応援資金
- 事業承継特別保証
- 経営承継借換関連保証
- 事業承継サポート保証
- 経営承継関連保証
- 特定経営承継関連保証
- 経営承継準備関連保証
- 特定経営承継準備関連保証
親族内承継や社内承継を行う場合、資金が必要になります。後継者だけでは準備できないケースがほとんどになるため、利用を検討してみると良いでしょう
参照元:「大阪信用保証協会」
参照元:大阪信用保証協会「事業承継資金を調達したい」
後継者バンク
後継者バンクとは、後継者不在に悩む企業と、創業希望者をマッチングするサービスです。大阪府事業承継・引継ぎ支援センターに相談を行うことで、マッチングの対象になります。また、創業希望者は、後継者バンクに登録した方です。双方が面談を希望した場合、引き合わせや条件交渉が行われます。
マッチング後は、事業を引き継ぐために必要な支援も合わせて行っています。
参照元:大阪府事業承継・引継ぎ支援センター「後継者バンク」
大阪府で事業承継を成功させる5つのポイント
大阪府で事業承継を成功させるポイントは、次の5つです。
- 余裕をもって準備をしておく
- あらかじめ事業継承先を考える
- 税金対策を行う
- 自社株を集めておく
- 専門家に相談する
それぞれのポイントに関して、解説します。
余裕をもって準備をしておく
事業承継を成功させるために、余裕をもって準備しておきましょう。10年のように、長期的に考えておくことが大切です。
親族内承継や社内承継の場合、後継者選びや育成に時間が掛かります。
また、M&Aで事業承継を行う場合にも、企業価値を高めるための期間が必要です。
短期的に考えず、あらかじめ事業承継の計画を進めておきましょう。
あらかじめ事業継承先を考える
誰に事業承継を行うか、あらかじめ決めておきましょう。事業承継先によって、実施する準備や注意点も変わるからです。たとえば、親族内承継や社内承継を行う場合、「自社を継続して成長させられるかどうか」で選ぶことが大切になります。
M&Aで事業承継を行う場合には、自社の企業風土や経営理念を理解してくれる企業選びが大切です。また、経営者同士の相性も重要になるでしょう。
事業承継先を選ぶためには、専門家のアドバイスを受けながら、進めることも大切です。選定に時間も掛かるため、準備は早い段階から進めておきましょう。
税金対策を行う
事業承継に向けて、税金対策を行っておきましょう。後継者が贈与税や相続税を負担に感じ、後継者を辞退する場合があるからです。
事業承継での税金対策は、経営者が亡くなってしまってからでは困難になります。あらかじめ準備を進めておきましょう。
現在では、事業承継税制の要件を満たすことで、納税猶予や免除を受けられるようになっています。制度改正で活用しやすくなっているため、選択肢に入れておきましょう。
また、事業承継後にも、まとまった資金が必要になります。後継者のために、譲受資金を準備しておきましょう。金融機関から支援を受けられるようにしておくなどして、準備を進めておく必要があります。
自社株を集めておく
経営権を安定させるために、自社株を集めておきましょう。事業承継時に少数株主が残ってしまうと、少数株主からの要求や主張が行われてしまうからです。また、株主代表訴訟が実施されるケースもあります。
M&Aで事業承継を行う場合は、株式がバラバラになっていることで、M&Aに時間が掛かってしまうでしょう。
事業承継を行う場合には、自社株の生前贈与や信託の活用を行い、対策を行うことが大切です。
専門家に相談する
事業承継を成功させるためには、専門家に相談しましょう。事業承継の準備から、相談ができます。たとえば、事業承継を相談できる専門家は、次のとおりです。
- 商工会議所
- 金融機関
- 事業承継・引継ぎ支援センター
- M&A仲介会社
また、M&Aで事業承継を行う場合は、M&A仲介会社に相談しましょう。M&Aに必要な知識も含めて、総合的にサポートが受けられます。
事業承継の準備が大切な理由
事業承継の準備が大切な理由は、次の2つです。
- 経営者が急に引退するかもしれないから
- 後継者も高齢化していくから
それぞれの理由に関して、詳しく解説します。
経営者が急に引退するかもしれないから
事業継承の準備が大切な理由は、経営者が急に引退するかもしれないからです。病気や高齢を理由に、いきなり引退してしまう可能性があります。
事業継承ができていないまま経営者が引退してしまうと、引継ぎが不十分になります。後継者や従業員も混乱し、負担が大きくなるでしょう。
また、継承先の問題や、親族間のトラブルが発生するリスクも増加します。事業継承の計画を立て、経営者の意思を示しておくことが大切です。
後継者も高齢化していくから
後継者も高齢化してしまうことも、事業継承の準備が大切な理由です。現経営者が高齢になるまで事業を続けた結果、後継者も高齢化し、またすぐに事業承継を行わなければならなくなります。
後継者も高齢化してしまい、事業承継が繰り返されれば、関係者にも負担が掛かるでしょう。会社の体力も減ってしまいます。
後継者の高齢化は、高齢による病気のリスクや能力低下を招きます。事業承継の準備を行い、後継者が元気のうちに事業承継を進めることが大切です。
まとめ
大阪では、7割以上の企業が事業承継を経営上の問題と認識しています。しかし、約半数の企業が、事業承継の準備ができていない現状です。
また、後継者不在の企業が多いことも、大阪の課題です。後継者不在に悩む企業が、第三者にM&Aを実施し、事業承継を行うケースも増加しています。
もし、後継者不在で困っている場合は、M&Aでの事業承継を選択肢に入れてみましょう。M&Aで事業承継を進める場合は、M&A仲介会社への相談がおすすめです。
レバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社は、M&A全般をサポートする仲介会社です。幅広い領域に精通したコンサルタントが、相談から成約まで一貫してサポートを行います。
料金に関しては、M&Aの成約時に料金が発生する、完全成功報酬型です。
M&A成約まで、無料でご利用いただけます(譲受側のみ中間金あり)。
ご相談も無料で実施しています。
大阪府で事業承継やM&Aを検討している際には、お気軽にお問い合わせください。