個人で事業を買う時の成功ポイント7つ!買う際に決めるべきことは?
このページのまとめ
- 事業の買収もM&Aに含まれる
- 個人でもM&Aによる事業買収は可能
- M&Aには専門家への相談がおすすめ
近年、日本国内においてM&Aが活発になっている印象があります。新たな事業展開や事業継承、競争力の強化などを目的に、事業の買収を検討している方も多いのではないでしょうか。
今回は、M&Aについての基礎知識をはじめ、個人で事業を買収するメリットや成功のポイントについて解説します。
M&Aとは事業を買うことも含まれる
M&Aは、正式には「Mergers and Acquisitions」といい、日本語では「合併と買収」を意味します。広義の意味としては、以下のような取引も含まれます。
- 株式譲渡
- 株式交換
- 新株引受
- 事業譲渡・買収
- 吸収合併
- 新設合併
今回のテーマとなる「事業を買う」といった取引は、上記のうちの「株式譲渡」「事業譲渡」を指すことが一般的です。
これまでM&Aは、企業が競争力の強化や新規事業への参入、事業の多角化などを図るために実施することが一般的でした。近年では、起業を目的として個人が事業を購入するケースも見られるようになっています。
M&Aの取引や手法は、今後も多様化していくと考えられます。
M&Aのメリット
M&Aを行うことで得られるメリットを、譲渡側と譲受側に分けて解説します。
譲渡側(売却側)の3つのメリット
M&Aで譲渡する企業のメリットには、以下の3つが挙げられます。
1.事業継承問題が解決する
譲渡側が得られるメリットの一つとして、事業継承問題の解消が挙げられます。
近年、日本の中小企業では後継者不在による事業継承問題が深刻化しています。中小企業庁によると、2020年の後継者不在の企業は60代経営者で約48%、70代経営者でも約39%です。
事業継承には、親族や従業員が継承する方法がありますが、後継者候補にしていた人物が経営を受け継ぐ気がない、または経営の能力がないケースも考えられます。
このようなケースの解決策となるのが、M&Aです。M&Aによって社外の第三者へと経営権を移すことで、後継者がいない場合でも廃業することなく、事業を継続できるようになります。
参考:中小企業庁『財務サポート 「事業承継」』
2.個人保証(経営者保証)が解除可能
M&Aで株式譲渡を選んだ場合、個人保証を解除することが可能です。
個人保証とは、企業が銀行や信用金庫などの金融機関から融資を受ける際、経営者個人が連帯保証人となり、融資の返済を保証することです。この個人保証は、主に中小企業で見られています。
M&Aによる事業継承では、株式を譲渡した側の個人保証が譲渡先に引き継がれるケースもあるため、譲渡側の個人保証を解除できるようになります。
なお、近年では、個人保証が事業継承の障壁となることを踏まえて、一定要件を満たせば個人保証なしで事業を引き継ぐことができる新たな信用保証制度が創設されています。
参考:中小企業庁『事業承継時の経営者保証解除に向けた総合的な対策について』
3.創業者利益・売却益を得られる
M&Aは、経営不振に陥った会社が行う場面だけではなく、成長中の事業を資金化するために行われるケースも少なくありません。
本来の事業や主力となる事業に資金を投入することを目的として、利益が出ている事業を売却する企業もあります。
また、創業者はこれまでの功労に応じて、売却対価の一部を「創業者利益」として受領することが認められています。
自社株をM&Aにより売却すれば、その資金を他の事業に投入する、またはアーリーリタイアするなどの選択が可能です。
譲受側(買収側)の3つのメリット
譲受側のM&Aのメリットは、主に以下の3つです。
1.多角的な事業展開や新規事業参入ができる
M&A(株式譲渡・事業譲渡)の譲受側のメリットの一つとして、事業の拡大と新規事業への参入が可能な点が挙げられます。
自社と同じ業種の事業を買収する場合、市場におけるシェアを拡大させることが可能です。また、新規参入を考えている業界の企業であれば、人材や設備、販路などのリソースをそのまま活用できるため、新規事業のスタートまでの期間を大幅に削減できます。
2.人材とノウハウの獲得
近年では、少子高齢化の影響によって多くの企業で人材不足が深刻化しています。
自社に新たな人材を取り込むために、M&Aを実施するといった選択肢もあります。事業の買収を行うことで、相手企業に在籍している優秀な人材や、より優れた技術を取り入れられます。
これにより、人手不足の解消に加えて、新たな分野への進出や事業の強化につなげられることも期待できます。
3.コストの削減
M&Aには、事業規模の拡大や新規事業への参入にかかる人件費や設備などのコストを削減できるといったメリットもあります。
通常の場合、新たな事業を展開するにあたって、専門人材や研究開発設備などを自社で用意する必要があり、コストがかかります。
事業を買収すると、相手企業が所有する人材や設備、ノウハウなどを活用できるため、一から自力で立ち上げるよりもコストを抑えられます。
企業買収に関する3つの現状
ここでは、M&Aに関する現状をお伝えします。個人で事業を買うことを検討している方は、どのようにM&Aが行われているか、傾向を理解しておくことが重要です。
1.事業承継を目的としたM&Aが活発化
近年、企業の事業承継を目的としたM&Aが活発化しています。その背景には、中小企業における後継者不在の問題が挙げられます。
国内の中小企業では、経営者の高齢化や少子化の影響によって、後継者が見つからないという問題を抱えるケースが見られています。M&Aであれば、親族や社内に後継者となる適任者がいない場合でも、第三者へと事業を引き継ぐことが可能です。
このように、後継者不足の問題を解消する方法として、株式譲渡や事業譲渡による事業継承が広く活用されています。
また、中小企業のM&Aを専門的に扱う民間仲介事業者が増えたことも、M&Aを活用して事業継承を行うケースが増えた一因といわれています。
参考:中小企業庁『事業承継ガイドライン』『財務サポート 「事業承継」』
2.個人間でのM&Aも増加している
近年では、M&Aを活用して個人が事業を買収するケースも見られています。
インターネットやその関連サービスが普及したことにより、個人やサラリーマンでありながらECサイトやアフィリエイトサイトなどを運営しやすい環境となりました。
法人化されたECサイトやアフィリエイトサイトを個人で購入すれば、サイト運営の経営者になることも可能です。
3.起業手段としてM&Aが普及した
個人が起業目的としてM&Aを行うケースも増えてきています。
近年では、働き方の多様化によって、兼業や副業に取り組む人が増加しています。しかし、一から起業するには、技術やノウハウ、リソースの確保などが課題となり、時間と労力がかかるほか、リスクも伴います。
M&Aを活用すれば、相手企業が持つ技術やノウハウ、リソースなどを継承できるため、短期間で起業することが可能です。また、経営が安定化している事業の場合、倒産や赤字のリスクを抑えられるといったメリットもあります。
個人でも事業は買える
個人でも事業の買収は可能です。
ここでは、個人で事業を買収する方法について解説します。
1.予算の決定
個人で事業を買う際には、どの程度の予算を出せるかをあらかじめ決めておきましょう。
小さな会社なら300万円から500万円で買える可能性はありますが、なかには1,000万円以上の資金を用意しなければならないケースもあります。
2.業種の決定
予算が決まったら、購入する会社の業種を決めましょう。予算のみで買収する会社を選定すると、事業継承後の経営がうまくいかずに失敗してしまうリスクがあります。
そのようなリスクを避けるためにも、買収後のビジネスモデルを検討したうえで、業種を選定する必要があります。
3.事業買収の案件を探す
買う事業の予算と業種を決めたら、条件に合う案件を探しましょう。
事業を買う時に案件を探す3つの方法
事業を買収する際、相手企業をどのように探せばよいのでしょうか。主な方法として、以下の3つが挙げられます。
案件の探し方 |
特徴 |
M&Aアドバイザーに相談する |
|
M&A専門のマッチングサイトで探す |
|
事業継承・引継ぎ支援センターに相談する |
|
それぞれの特徴を比較して、自分に合った方法を利用しましょう。
個人で事業を買う時の7つのポイント
ここからは、事業の買収を成功させるための7つのポイントについて解説します。
1.事前にリスクを洗い出す
買う事業を選定する際は、相手が個人・法人であることに関係なく、しっかりとデューデリジェンスを実施することが大切です。
デューデリジェンスとは、M&Aを行う時に買収対象の事業が抱えるリスクや価値を調査することを指します。M&Aを実施する前に、しっかりと相手側のリスクを洗い出すことで、買収する事業を見極めやすくなります。
ただし、デューデリジェンスの対象は、財務や税務、人事など広範囲に渡ります。専門的な知識を必要とする分野も多く、初心者の方が行うことは容易ではありません。
経験豊富な公認会計士や弁護士、またはM&A仲介会社にデューデリジェンスを依頼することをおすすめします。
2.自分で管理できる範囲の事業を買う
個人で事業を買収する際には、自分で管理できる範囲の事業を把握して、その範囲に収まるものを選ぶことが重要です。
自身で管理できない範囲の事業を買収した場合、買収後の経営管理がうまくいかず、損失につながる可能性があります。事業を買収する際は、自分で管理できる規模や分野の事業を買うことがポイントです。
3.譲渡側との信頼関係を築く
相手企業との信頼関係を構築することも、事業買収を成功させるポイントの一つです。
事業を譲渡する側の企業は、自身の事業に思い入れを持っています。買収を円滑に進めるためには、相手企業との信頼関係を築いたうえで、双方が納得のいく条件になるように交渉することが大切です。
4.スピード感を重視する
M&Aを行う際、取引完了までの期間が長くなりすぎると、譲渡側の企業が心象を悪くしたり、心変わりしてしまったりする可能性があります。また、M&Aの買収監査は、譲渡側にも負担がかかる工程です。
事業の買収を成功させるためには、取引の開始から完了までのスピードも大切です。なお、契約締結までのスピード感はM&Aに関する情報の漏洩を防ぐことにもつながるため、軽視できない要素といえます。
5.情報が漏洩しないよう徹底する
M&Aでは、株式や事業の譲渡だけでなく、顧客情報や特許などの知的財産権、従業員の技術・技能なども含めて継承します。
事業の買収にあたっては、関係者間での書類のやり取りや、従業員の配置変更などが行われるため、その際に企業の機密情報が漏洩しないように注意する必要があります。
また、M&Aの実施にあたって事前に情報が漏れてしまった場合、取引が破談になる恐れがあります。
このようなリスクを防ぐためには、第三者だけでなく、社内で情報共有する時期や対象者についても慎重に判断することが重要です。
6.妥協点を探る
M&Aの取引期間中は、譲渡側と譲受側の企業で交渉を行います。
この際、事業の取引価格をはじめ、デューデリジェンスに関する情報、契約書の文章などについて多くの論点が発生します。
そのようななか、譲渡側と譲受側の両方が主張を曲げなかった場合、M&Aが失敗に終わるケースも考えられます。そのような事態を避けるために、お互いが相手の真意に配慮して、妥協点を見出す努力を重ねる必要があります。
7.専門家に相談する
デューデリジェンスの実施や情報漏洩の対策など、M&Aを行うためには専門知識や豊富な経験が必要です。特に、個人でM&Aを行うケースでは、専門知識や豊富な経験を持っていないことも少なくありません。
「個人でM&Aを行いたいが、身の回りに専門家がいない」という場合には、仲介事業者やコンサルティングサービス、公的なM&Aの支援機関などに相談しましょう。
まとめ
深い関連知識と経験が必要なM&Aですが、現在ではインターネット上で案件を探したり、専門家に相談したりできるプラットフォームも数多く展開されています。そのため、個人でのM&Aも以前よりはハードルが低くなりました。
とはいえ、事業の買収には、事業戦略の立案や相手企業との交渉などが必要になるため、自力で行うことは決して容易ではありません。
個人でM&Aを検討している方は、専門性を持った仲介業者への相談をおすすめします。
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