歯科医院の売却を成功させるポイントは?売却の相場や流れも解説

2024年8月30日

歯科医院の売却を成功させるポイントは?売却の相場や流れも解説

このページのまとめ

  • 経営難や後継者不足を背景として、今後歯科医院の廃業が増加することが予測される
  • 歯科医院の売却相場は2,000万円前後とされる
  • 歯科医院の価値算定を行う方法には、主に「年倍法」と「DCF法」が用いられる
  • 歯科医院の売却を成功させるには、財務状況を明確にして引継先を慎重に決める
  • 歯科医院の売却では、税金コストを考慮したスキーム選択や余裕を持った動き出しが重要

歯科医院の売却を検討しているものの、「希望する価格で売却できる買い手が見つかるだろうか」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。歯科医院の売却を成功させるためには、財務状況を明確にしたうえで、シナジーが期待できる買い手を慎重に探すことが大切です。

本記事では、歯科医院の売却相場や方法、メリットや注意点を解説します。具体的な流れや税金に関してもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

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歯科業界とは  

歯科業界とは、歯科医院をはじめとする業界のことで、歯科機材の製造・販売を扱うメーカーなども含まれます。M&Aに関しても、歯科医院だけではありません。歯科業界のシェア拡大を目指す歯科器材メーカーが、歯科医院を買収するケースもあります。また、歯科医院同士でM&Aを行い、事業継承やシェア拡大を行うこともある状況です。M&Aを成功させるためには、歯科業界全般に関して情報を集めながら、進めることが求められます。

歯科業界の動向

現在の歯科業界は、業界内の競争が激しくなっています。厚生労働省の調査によると、全国の歯科診療所件数は、67,899件です。前年度に比べて、25件増加しました。歯科医院を新しく作り、新規参入する経営者もいます。その一方で、廃業する歯科医院もあります。帝国データバンクの調査によると、2021年に倒産した歯科医院は10件でした。2016年から6年連続で、10件以上の倒産が続いています。このように、現在の歯科業界は、新規参入が増える一方で、競争に敗れて廃業する歯科医院もあります。経営難や後継者不足なども影響し、廃業する歯科医院は今後増える可能性もあるでしょう。

参照元:厚生労働省「Ⅰ 医療施設調査
参照元:帝国データバンク「「診療所」の倒産、前年比 1.8 倍に急増~2021 年の医療機関の倒産 33 件~

歯科医院の事業売却とは

歯科医院の事業売却とは、一般企業の「事業譲渡」と同じ意味合いを持ちます。歯科医院のM&Aを行うこと自体を、事業譲渡と呼ぶこともあるでしょう。歯科医院の場合、経営者は医療法人、または個人事業主になります。そのため、医療法人の場合は、「事業売却」または「持分譲渡」でM&Aを行います。個人事業主の場合、持分がないため、事業売却を行うことを覚えておきましょう。

歯科医院の事業承継とは

事業承継とは、現在の経営者が引退し、後継者に経営を引き継ぐことです。「親族に引き継ぐ場合」「従業員に引き継ぐ場合」「第三者に引き継ぐ場合」の3パターンがあります。一般的な事業承継は、親族や従業員のように、内部で引き継ぐパターンです。しかし、個人で経営して後継者がいないケースや、従業員も高齢化で後を引き継げないケースもあります。そのため、近年では、第三者にM&Aを実施し、事業承継を行うケースも増加しています。

歯科医院の売却が増えている理由

近年では、歯科医院の売却を行う経営者が増加しています。なぜ、歯科医院の売却が増えているのでしょうか。ここでは、歯科医院の売却が増加している理由を3つ紹介します。

  • 院長の高齢化のため
  • 経営難のため
  • 競争力強化のため

それぞれの理由について解説します。

院長の高齢化のため

近年増加している理由が、院長の高齢化です。日本では高齢化社会を迎えており、経営者にもその波が波及しています。高齢になると、事業継承に動き出す必要が生まれます。しかし、後継者探しはそう簡単ではありません。後継者が身近に見つからないケースも多く、そのような歯科医院は、第三者に対する売却を実施します。このように、院長の高齢化を迎え、後継者が見つからない歯科医院で、売却を行うケースが増加しています。

経営難のため

経営難に陥った歯科医院も、売却を行うケースがあります。自社で立て直すことは難しく、資金面などの支援が必要になるためです。たとえば、安定した企業に買収してもらえれば、経営を安定させて事業を続けられます。また、事業売却を行い、経営ごと任せてしまうケースもあるでしょう。経営難に陥った場合、事業を続けるためには支援が必要です。その支援をもらうために、売却するケースも増加しています。

経営難に陥る歯科医院のなかには、設備投資の負担が大きく、経営状況に影響を与えたケースも散見されます。医療機関経営においては、設備や建物の新設・更新にかかる設備投資の負担が重く、金融機関からの融資により資金調達した場合は、長期間にわたって事業収入から返済を続けていく必要があるためです。

設備投資は医療機関の競争力向上には欠かせません。しかし、積極的な設備投資が裏目に出て経営難に陥るケースも少なくありません。

競争力強化のため

歯科業界での競争力強化のため、売却を行うケースもあります。売却や買収を行うことで、シェア拡大やサービス強化につながるためです。たとえば、大手企業がシェア拡大を目的として、買収を行うケースもあります。また、同規模同士で売却を行い、周囲の歯科医院に対抗するケースもあるでしょう。歯科業界で生き残っていくためには、自社の力を増強する必要があります。そのために、事業売却や買収を行い、シナジー発生を目指す企業が増加しています。

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歯科医院を売却するメリット

歯科医院の売却で発生するメリットも知っておきましょう。具体的には、次のようなメリットが期待できます。

  • 後継者が見つかる
  • 廃業を避けられる
  • 従業員の雇用を維持できる
  • 資金を獲得できる

各メリットについて解説します。

後継者が見つかる

歯科医院の売却により、後継者が見つかります。後継者探しに悩む経営者の、負担が減少するでしょう。個人で経営している歯科医院の場合、後継者探しは大変です。知り合いを頼るにも、限界があります。一方で、歯科医院が売却できれば、後継者問題に関しても解決します。事業を継続する場合も、引退する場合でも、後継者がいることで安心できるでしょう。

廃業を避けられる

歯科医院の売却は、廃業を避けられることもメリットです。経営面のサポートを受けることで、事業を続けられるでしょう。たとえば、大手企業に売却を行うことで、経営を立て直すケースがあります。自社だけでは経営が難しい場合でも、廃業を避けることができるでしょう。売却後も経営者が運営できるケースも多く、廃業を避けるために売却を行うケースも増加しています。

従業員の雇用を維持できる

従業員の雇用を継続できる点も、歯科医院売却のメリットです。売却を行うことで、従業員の雇用も引き継いでもらえます。たとえば、経営者の高齢化や体調不良のように、経営は安定していても事業が続けられないケースがあります。もし、廃業を選択してしまうと、従業員を解雇しなければなりません。一方で、歯科医院の売却ができれば、従業員の雇用を引き継いでもらうこともできます。従業員の雇用を守りながら、自身も経営を引退できるため、事業承継問題解決につながるでしょう。

資金を獲得できる

歯科医院の売却は、資金を獲得できる点もメリットです。経営を引退し、老後を過ごしたい経営者にとってメリットでしょう。経営者も事業を引退し、生活を行うケースがあります。その際、資金に余裕をもって過ごすことは大切です。歯科医院の売却を行えば、資金が獲得できるため、老後への備えになります。生活を守るためにも、歯科医院の売却は有効です。

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歯科医院の売却相場と価値算定方法 

歯科医院の売却相場は2,000万円前後です。設備が充実している場合や経営状況が良好な場合であれば、相場よりも高い価格がつくこともありますが、3,000万円を超えると買い手がつきにくくなる傾向にあります。

一方、居抜き売却では設備や医療機器の価値や建物の立地などを評価して、価格を決めます。広さや地価によっても変わりますが、数百万円〜2,000万円程度に決まることが一般的です。

歯科医院の価値算定を行う方法には、主に「年倍法」と「DCF法」があります。それぞれの概要を確認しましょう。

理論的か実務的か計算の難度その他
年倍法実務的比較的簡単規模の小さなM&Aで用いられる傾向がある
DCF法理論的複雑でやや難度が高い計算のための事業計画の用意が必要

年倍法

M&Aにより歯科医院を売却する場合なら、一般企業と同様、企業価値を算出して売却することが一般的です。その場合は「年倍法」と呼ばれる方法を用いることがあります。簡便な手法であるため、比較的規模の小さなM&Aで用いられる傾向があります。

年倍法の計算式は以下のとおりです。

時価純資産+営業利益×年数

時価純資産とは時価評価した資産と負債の差です。営業利益にかける年数は3〜5年が一般的ですが、売り手の評価が高いときは年数を高くします。

DCF法

DCF(ディスカウントキャシュフロー)法とは、対象会社の事業計画に基づき、将来のキャッシュフローを現在価値に換算して企業価値を算出する方法です。基本的に、以下のような流れで資産価値の算定を行います。

  • 事業計画に基づき、将来の収益力を予測する
  • ファイナンス理論に基づき、予想した収益力を現在価値に修正する
  • 修正した将来の収益力に遊休不動産や余剰現預金などの事業外資産を加え、有利子負債を差し引く

DCF法は、年倍法と比較して計算が複雑であるため、会計事務所などの専門機関に依頼する必要があります。そのため、コストがかかることに注意が必要です。

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歯科医院の運営主体と売却する方法 

歯科医院の運営主体によって、選択できる売却方法が異なります。歯科医院の大半は個人医院か医療法人であり、医療法人はさらに「社団医療法人」と「財団医療法人」に分かれ、そのほかにも特殊なタイプの医療法人として社会医療法人・特定医療法人があります。医療法人のそれぞれの特徴は、以下のとおりです。

  • 社団医療法人:議決権を持つ人(社員)によって構成される法人
  • 財団医療法人:寄附された財源をもとに構成される法人
  • 社会医療法人・特定医療法人:公益性などに関する特別な要件を満たしたものとして、当局から承認・認定を受けた法人

なお、持分あり社団医療法人の場合、法人に出資した人が社員となり、退社時には法人財産のうち出資比率に応じた分を受け取れます。また、社会医療法人と特定医療法人は、税制上優遇的な扱いを受けられます。

歯科医院の運営主体別の、利用できるM&Aスキームは以下のとおりです。

運営主体利用できるスキーム
個人事業主事業譲渡
社団医療法人【持分あり】事業譲渡/持分譲渡/役員・社員の交代/合併【持分なし】事業譲渡/役員・社員の交代/合併/分割
財団医療法人事業譲渡/役員・社員の交代/合併/分割
社会医療法人・特定医療法人事業譲渡/役員・社員の交代/合併

ここでは、運営主体別に選択できる方法として、以下の4つをみていきましょう。

  • 事業譲渡
  • 持分譲渡
  • 合併・分割
  • 居抜き

それぞれの方法の特徴や実施される状況について解説します。

事業譲渡

事業譲渡とは、運営する事業を別企業に譲渡、売却を行うことを言います。事業譲渡の特徴は、譲渡内容を個別に決定できる点です。買い手も売り手も、譲渡する内容を選択できます。持分譲渡の場合、事業全体を譲渡しなければならないため、事業譲渡を選ぶケースもあります。事業譲渡の注意点は、手続きや契約が面倒になる点です。個別の契約が必要なため、譲渡内容が多いほど手間が掛かります。そのため、中小規模の歯科医院や企業で実施される方法です。

持分譲渡

持分譲渡とは、持分の譲渡を行い、経営権を移動させる方法です。医療法人の場合は、持分譲渡を行うケースが一般的になります。経営権を移動させるためには、まず、持分譲渡で買い手側が売り手社員のうち過半数を満たすことが必要です。すると、社員総会で、役員の解任や選任を実施できることが定められています(医療法第46条の3の3)。その後、役員の選任を行うことで、経営権が移動できることを覚えておきましょう。

持分譲渡の注意点は、事業全体を売却、買収する点です。負債も合わせて譲渡されるため、覚えておきましょう。

参照元:e-Gov法令検索「医療法

合併・分割

合併や分割を行い、事業を移動させるケースもあります。合併は、「2つの医療法人が1つの医療法人になること」を指し、分割は、「事業の一部を移行させ、ほかの医療法人に譲渡する」ことを指します。また、合併には、「吸収合併」「新設合併」、分割には「吸収分割」「新設分割」があるため、覚えておきましょう(医療法第58条,59条,60条,61条)

参照元:e-Gov法令検索「医療法

居抜き

居抜きとは、歯科医院や企業の内装や設備をそのまま残し、買い手に譲渡する方法のことです。たとえば、歯科医院では、医療機器や受付、内装などをそのまま譲渡します。注意点は、建物との契約で、居抜きが禁止されている可能性がある点です。譲渡前に、必ず確認するようにしましょう。

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歯科医院を売却する際の流れ 

歯科医院の売却をスムーズに進めるためには、どのような流れで行うかを知っておくことが大切です。ここでは、歯科医院を売却する際の、基本的な流れを紹介します。

  1. 専門家(アドバイザー)への相談
  2. M&A業者の選定・契約
  3. 買い手を探す・マッチング
  4. 秘密保持契約の締結
  5. 基本合意契約の締結
  6. デューデリジェンスの実施
  7. 最終契約の締結
  8. クロージングの実施

流れに沿って見ていきましょう。

売り手企業(譲渡側)買い手企業(譲受側)
①検討・準備フェーズ1.専門家(アドバイザー)への相談
2.M&A業者の選定・契約
②マッチング・交渉フェーズ3.買い手を探す・マッチング
4.秘密保持契約書の締結
5.基本合意書の締結
③最終契約フェーズ6.デューデリジェンスの実施
7.最終契約書の締結
8.クロージングの実施

1.専門家(アドバイザー)への相談

歯科医院の売却を行う際は、まずは専門家に相談しましょう。案件探しから売却成立まで、全体的なアドバイスをもらえるからです。歯科医院の売却は、経営者だけで行うことが難しい案件です。法律や税金が絡み、対応できなくなるケースもあります。また、歯科医院を売却したくても、売却先が見つからず、身動きが取れなくなるケースも出てくるでしょう。このような問題を避けるためにも、専門家が大切です。法律面は弁護士、税金面は税理士にサポートしてもらえます。また、売却全体のアドバイスをもらうのであれば、M&A仲介会社が良いでしょう。案件探しから売却まで、さまざまなサポートがもらえます。

2.M&A業者の選定・契約

専門家に相談した後、M&A業者の選定・契約を行います。M&Aを実行するためには、財務や法務、労務などの幅広い分野に関する専門的な知識が必要になるため、自社のみで進めるのは現実的ではありません。M&Aの準備から交渉スタートまでのどこかの段階で、M&A業者と契約を結ぶケースが多くみられます。

3.買い手を探す・マッチング

歯科医院を売却するためには、買い手を探す必要があります。一般的には「M&A仲介会社」「マッチングサービス」「金融機関の紹介」で買い手を探しましょう。買い手を探す際は、売却予定が周囲に漏れないように、匿名で探すことを覚えておくとよいでしょう。相手の情報も伏せられた状態で、マッチングが行われます。マッチング成立後、はじめて相手の情報が分かるようになります。

4.秘密保持契約の締結

マッチングに成功したら、秘密保持契約を結び、必要な情報を提示します。必要な情報は、事前にまとめておきましょう。この時点で提示する内容には、次のような種類があります。

  • 譲渡の範囲
  • 売却価格
  • 売却方法

契約の引継ぎに関して内容を確認したうえで、秘密保持契約を締結します。

5.基本合意契約の締結

情報提示後は、トップ面談を行い、問題なければ基本合意契約を締結しましょう。トップ面談とは、経営者同士の面談です。提示した情報を話し合ったり、売却後のビジョンを話し合ったりします。今後は、基本合意契約で締結した内容に沿って売却交渉が進みます。必要事項は忘れずに記載しておきましょう。

6.デューデリジェンスの実施

デューデリジェンスとは、売り手企業の企業価値を算出したり、負債やリスクなどがないか確かめる調査のことです。買い手が実施するため、売り手はデューデリジェンスに協力しましょう。デューデリジェンスで明らかになった内容をもとに、買い手が判断し、最終契約に移ります。

7.最終契約の締結

デューデリジェンスで問題がなければ、最終契約を締結します。もし、デューデリジェンスで問題が見つかった場合には、別途対応するケースもあると知っておきましょう。たとえば、事業譲渡の場合、負債を除いて契約を行うケースもあります。また、負債を前提に、売却価格を決めることもよくあるケースです。このように、デューデリジェンスの結果を踏まえて話し合い、最終契約を締結しましょう。

8.クロージングの実施

クロージングとは、最終契約締結から、効力が発揮するまでの期間のことです。クロージング期間の間に、売却成立までに必要な手続きを行いましょう。

たとえば、事業譲渡の場合、資金のやり取りを行ったり、登記の手続きがあります。また、持分譲渡の場合は、経営権を移行するために、役員の交代が必要です。最終契約には、譲渡日が記載されています。スキームごとの、契約締結から取引実行までの手続きやクロージングに移るタイミングを確認しましょう。

事業譲渡における手続き

事業譲渡は、さまざまな権利義務の移転手続きが完了した時点で成立します。移転手続きは、事業譲渡契約書に規定される譲渡日にすべて行われるわけではありません。通常、契約が成立してから譲渡日以降の一定期日までに実施されます。

医療法人の場合、事業の譲渡・譲受など重要な資産の処分・譲受の決定を、特定の理事に委任することはできません。定款の内容によるものの、社員総会による決議が必要になることが多いでしょう。

持分譲渡における手続き

持分譲渡の場合、M&A契約成立後すぐにクロージングに移ることが可能です。譲渡実行後、新社員を含めた社員総会で役員の解任や選任などを行います。

合併・分割における手続き

合併・分割における手続きは、以下のように進めましょう。

  • 合併・分割契約の締結
  • 社団医療法人の場合は総社員による同意手続き、財団医療法人の場合は理事の3分の2以上の同意手続き
  • 都道府県知事への認可申請
  • 財産目録・貸借対照表の作成と備え置き
  • (分割の場合)労働者保護手続き
  • 債権者保護手続き
  • 合併・分割の成立・登記

上記の手続きは、医療法の定めに基づいています。

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歯科医院を居抜きで売却する際の流れ 

歯科医院を居抜きで売却する場合、通常の売却とは違う流れになるため覚えておきましょう。土地や建物の所有状況に関しても変わるため、注意が必要です。まず、土地や建物が賃貸の場合、次のような流れで売却を行います。

  1. 居抜きに関して家主と交渉
  2. 解約予告通知
  3. 売却先を探す
  4. 売却先との条件交渉
  5. 売却先と家主の条件交渉
  6. 家主の入居審査
  7. 居抜きの契約締結
  8. 家主と売却先で賃貸契約締結

土地と建物の所有権が異なるときは、交渉や契約が変わることもあります。土地・建物共に自己所有の場合と、建物のみ自己所有の場合に分けて見ていきましょう。

土地や建物が自己所有の場合

土地や建物が自己所有の場合、家主との交渉は不要です。そのため、買い手と不動産売買取引を実施しましょう。医療法人の場合は、土地や建物が、基本財産に該当するか確認しましょう。基本財産に該当する場合、社員総会で決議を行わなければなりません。

土地が借地で、建物は自己所有の場合

土地が借地の場合は、借地権が必要になります。地主の承諾が必要になるため、覚えておきましょう。地主から承諾を得た場合、地主に承諾料を支払うケースが一般的です。金額相場は、建物の譲渡金額の1割になることを覚えておきましょう。

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歯科医院の売却時に発生する税金

歯科医院を売却するときには、税金が課せられることもあります。税金の種類や税率、節税のポイントについて見ていきましょう。

個人歯科医院の場合

売却した資産によって利益が生じると、所得税と復興特別所得税、住民税が発生します。

売却資産課税方式税率(所得税・復興特別所得税・住民税の合計税率)
土地、建物分離課税所有期間5年以下:39.63%
所有期間5年超:20.315%
株式分離課税20.315%
歯科材料などの棚卸資産総合課税所得税率は課税所得額により5~45%、住民税率は約10%

参照元:国税庁「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
参照元:国税庁「株式・配当・利子と税
参照元:国税庁「No.2260 所得税の税率
参照元:総務省「個人住民税

医療法人の場合

売却方法によって発生する税金の種類や税率が異なります。

売却方法税金の種類
持分譲渡・社員の譲渡所得(譲渡価格-出資額)に対して所得税・住民税(分離課税)
経営権譲渡・社員の配当所得(払戻額-出資額)に対して所得税が源泉徴収
・役員・役員以外の退職所得に対して所得税・住民税
事業譲渡・譲渡損益(譲渡対価-譲渡資産の簿価総額+譲渡負債の簿価総額)に対して法人税と地方税
・譲渡対価を退職金として役員に還元する場合は分離課税、役員報酬として還元する場合は総合課税
吸収合併・適格合併の要件を満たすと非課税
・適格合併の要件を満たさないときは、法人は法人税と地方税、個人が受け取る対価の一部は配当とみなされて総合課税、残りは譲渡対価とみなされて分離課税
・退職金に対しては分離課税、役員報酬に対しては総合課税
吸収分割・適格分割の要件を満たすと非課税
・適格分割の要件を満たさないときは、法人は法人税と地方税、個人が受け取る対価の一部は配当とみなされて所得税の源泉徴収、残りは譲渡対価とみなされて分離課税
・退職金に対しては分離課税、役員報酬に対しては総合課税

節税のポイント

退職金への課税は税制優遇されているため、退職金を多めに設定することで節税できることがあります。ただし、税務調査で役員への退職金が不当に高額と判断されると、法人税が増えることになります。税理士などに相談して、適切な範囲で退職金を設定しましょう。

また、売却方法によっても異なりますが、吸収合併や吸収分割のときは適格要件を満たすことで節税が可能です。

歯科医院の売却価値を高めるポイント

歯科医院を売却する際、高く売りたいと考える経営者が一般的でしょう。歯科医院を高く売るために、必要なポイントがあります。売却を考えている経営者は、次のポイントを意識してみましょう。

  • 売上規模や患者数
  • 診察内容
  • スタッフの質
  • 専用機器や内装・外装
  • 社団法人
  • 売上規模や患者数

売上規模や患者数

売上規模や患者数は、企業価値向上につながります。買い手が購入した後の、利益に関わるからです。売上規模に関しては、規模が大きいほど、利益につながりやすくなります。また、患者数が多い歯科医院であれば、今後の採算も見込めるでしょう。このように、歯科医院の売却では、売上規模や患者数が見られます。安定して売上を出せている歯科医院であれば、表かも高くなるでしょう。

診察内容

提供している診察内容も、売却に影響します。患者や地域のニーズに合っているか検討されるためです。地域ニーズの高い診察ができていれば、今後も必要とされるため、企業価値は高まりやすくなります。一方で、需要の低い診察内容を扱っている歯科医院の場合、評価は低くなるでしょう。このように、診察内容によっても、企業価値に影響するため覚えておきましょう。

スタッフの質

歯科医院で働くスタッフの質も、企業価値に影響します。スタッフのスキルや能力をアピールできるように準備しておきましょう。スタッフの質が高ければ、売却後も事業を安定させることができます。買い手にとって、事業を問題なく継続させ、利益を上げることはメリットです。このように、スタッフの質も、企業価値に影響すると覚えておきましょう。スタッフを教育し、成長させることも大切です。

専用機器や内装・外装

一般的に、M&Aによる事業承継では、企業価値を高める磨き上げという作業によって、売却価値を引き上げられます。歯科医院の場合は、機器の新調や内装・外装のリフォームによって、これらに費やした費用を上回る売却益が得られる水準まで売却価格を高められる可能性があります。

社団法人

社団法人や財団法人といった法人形態の違いも、売却に影響するため覚えておきましょう。なぜなら法人形態によって、売却方法が変わるからです。社団法人の場合は、社員の立場を譲渡します。また、財団法人の場合は、評議員の立場を譲渡します。このように、法人形態によって、売却方法が変わる点に関しても、注意しておきましょう。

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歯科医院の売却を成功させるポイント

歯科医院の売却を成功させるために、知っておきたいポイントがあります。次のようなポイントを意識して、売却を進めましょう。

  • 引継ぎ先や内容を慎重に決める
  • 財務状況を明確にする
  • シナジーが期待できる買い手を探す
  • 自社の強みをアピールする
  • 専門家に相談する

それぞれのポイントについて説明します。

引継ぎ先や内容を慎重に決める

歯科医院を売却する場合、引継ぎ先や内容を慎重に決めましょう。引継ぎをスムーズに行うことは、売却後に事業を続けるためにも必要です。たとえば、どの部分を引き継ぐか明確にし、資料にするとスムーズでしょう。また、売却後に医院を着実に運営してくれる買い手を選ぶことも大切です。このように、歯科医院の売却では、引継ぎ先や内容は慎重に選びましょう。引継ぎ後の事業存続も考えて、進めることが大切です。

財務状況を明確にする

売却しやすくなるように、財務状況を明確にしましょう。不透明な部分があると、売却しにくくなるからです。たとえば、経営状況が明確な歯科医院の場合、企業価値が分かりやすく、買い手からの印象も良くなります。しかし、財務状況が不透明な場合、簿外債務や隠れたリスクを警戒され、売却できなくなる可能性もあるでしょう。このように、歯科医院の売却では、財務状況を明確にしましょう。買い手が安心できるように、情報提供を行うことが大切です。

シナジーが期待できる買い手を探す

歯科医院の売却を成功させるためには、売却で発生するシナジーも大切です。シナジーが期待できる買い手ほど、評価が高くなるでしょう。シナジーとは、売却後に発生する、相乗効果のことです。シナジー発生によって、売上拡大が見込めたり、サービス向上が実現できたりします。シナジー発生は、買い手にとってのメリットです。売り手もシナジーを意識して買い手を探しておくと、アピールしやすくなるでしょう。

自社の強みをアピールする

売却を成功させるためには、自社の強みをアピールして交渉を進めることも大切です。ほかの歯科医院とは違う強みを整理しておきましょう。近年は、M&Aを検討する経営者も多く、買い手も複数の案件から探します。その際、明確な強みがあれば、アピールにつながり、選ばれやすくなるでしょう。具体的には、「得意とする診察」「設備」「地域からの信頼」などの強みが挙げられます。買い手に選ばれるように、自社の強みをアピールしましょう。

院名も引き継げるように対応する

事業を円滑に引き継ぐためには、認知度の高い院名を継承したほうがよいでしょう。しかし、院名が氏名を用いている場合、継承は困難です。

時間的に余裕があれば、事前に一般的な言葉を用いた院名に変更しておき、新院名が患者や地域にある程度浸透するのを待つのも1つの方法です。

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歯科医院の売却における注意点

歯科医院の売却に際して、以下のような点に注意しましょう。

  • 人材の流出を防ぐ必要がある
  • 税金コストを踏まえて適切なスキームを選択する
  • 補助金・助成金の返還を求められることがある
  • 必要性が差し迫ってからの検討は避ける

それぞれの注意点について解説します。

人材の流出を防ぐ必要がある

歯科医院の売却の際、人材の流出を防ぐ必要があります。たとえ売り手と買い手の間で、歯科医・歯科衛生士などのスタッフの労働契約の承継や転籍に関する同意を得たとしても、当のスタッフが拒否すれば、引き継ぎが行えません。

また、売却時には引き継ぎができたとしても、新体制がスタートした後の労働条件の低下などによりスタッフのモチベーションが低下し、結局離職してしまう可能性もあります。

引き継ぎの対象となるスタッフには、適切なタイミングでM&Aに関する事情を開示するほか、離職防止対策を講じることをおすすめします。たとえば、重要なスタッフからは転籍承諾を得ておく、転籍をしても退職金の根拠となる勤続年数をリセットさせずに通算扱いにする、未消化分の有給休暇を承継するといった方法が効果的です。

税金コストを踏まえて適切なスキームを選択する

歯科医院の売却時に、売り手に課せられる税金は、売却のスキームによって異なります。そのため、税金コストを踏まえて適切なスキームを選択する必要があります。医療法人が歯科医院を売却する際の税金の種類や税率は次の表をご参照ください。

売却方法税金の種類
持分譲渡・社員の譲渡所得に対する所得税15.315%・住民税5%(分離課税)
経営権譲渡・社員の配当所得に対して所得税20.42%が源泉徴収される
・役員・役員以外の退職所得に対する所得税(所得額に応じて5~45%)・住民税(所得割10%+均等割5,000円)
事業譲渡・譲渡損益に対する法人税・地方税(実効税率約31%)
・譲渡対価を退職金として役員に還元する場合は分離課税、役員報酬として還元する場合は総合課税
吸収合併・適格合併の要件を満たすと非課税
・適格合併の要件を満たさないときは、法人は法人税と地方税(地方税も含めた実効税率は最大29.74%)、個人が受け取る対価の一部は配当とみなされて総合課税、残りは譲渡対価とみなされて分離課税
・退職金に対しては分離課税、役員報酬に対しては総合課税
吸収分割・適格分割の要件を満たすと非課税
・適格分割の要件を満たさないときは、法人は法人税と地方税(地方税も含めた実効税率は最大29.74%)、個人が受け取る対価の一部は配当とみなされて所得税の源泉徴収、残りは譲渡対価とみなされて分離課税
・退職金に対しては分離課税、役員報酬に対しては総合課税

補助金・助成金の返還を求められることがある

売り手側が補助金・助成金を受け取っている場合、売却によって返還義務が生じる場合があることにも注意が必要です。とくに事業譲渡においては、補助金・助成金の返還を求められる可能性が高いです。補助金・助成金を受けている場合は、返還義務があるかどうかや必要な手続きなどを確認しておきましょう。

必要性が差し迫ってからの検討は避ける

必要性が差し迫ってから検討を始めることも、避けた方が賢明です。経営が本格的に悪化した後では、事業承継のハードルがますます高くなってしまうでしょう。また、院長が高齢による体調不良になってしまうなど急いで買い手を見つけなければならない状況の場合も、準備を十分に行えず、よりよい条件での売却が難しくなります。

歯科医院の売却を成功させるには、まだ切迫した状況ではなく、経営体力に余裕のある段階から動き出すことが重要です。

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歯科医院売却の相談先

歯科医院の売却についての相談先としては、以下が挙げられます。

相談先顧問税理士・顧問会計士経営コンサルタントM&A仲介会社
メリット自社の経営状況について詳しい経営立て直しの具体的なアドバイスが得られる売却相手探しから実務まですべて任せられる
デメリット売却の具体的なサポートは得られない売却の具体的なサポートは得られない売却が前提となる
相談する時期売却に対するアドバイスを受けたいとき経営立て直しについてのアドバイスを得たいとき売却を決意したとき

顧問税理士・顧問会計士

顧問税理士や顧問会計士なら、経営状況をすでに詳しく熟知しています。売却するほうがいいのかどうかも状況に合わせてアドバイスしてくれるため、相談しやすいでしょう。

売却方法の選定や売却相手探しについては専門外となりますが、税理士・会計士がM&Aに対応している会計事務所などに所属している場合は、売却についての具体的な相談も可能です。

経営コンサルタント

経営状況の悪化により売却を考えている場合は、経営コンサルタントに相談できます。状況によっては売却せずに済む方法について、具体的に教えてもらえるかもしれません。

ただし、税理士・会計士と同様、M&Aの具体的な相談には不向きです。売却するかどうか迷っているときや、売却以外の方法についても知っておきたいときに相談するとよいでしょう。

M&A仲介会社

M&A仲介会社は、売却方法の選定や売却相手の紹介、売却時の実務まですべて対応できる専門会社です。すでに売却を決意している場合は、M&A仲介会社に相談するとスムーズに具体的なサポートが得られます。

なお、M&A仲介会社に相談するときは、実績や過去の事例について確認しておきましょう。歯科医院の売却実績が豊富なM&A仲介会社なら、より的確なサポートを得られ、満足度の高い売却を実現しやすくなります。

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歯科業界の売却事例 

歯科医院の売却に向けて、売却事例も知っておきましょう。ここでは、5つの事例を紹介するため、参考にしてください。

株式会社メディカルネット 

2018年、株式会社メディカルネットは、株式会社オカムラのM&Aを発表しました。株式会社行われてオカムラは歯科ディーラーであり、同業界同士のM&Aになります。このM&A実施により、両社のクライアントに対して歯科器材などの販売ができることで、事業拡大が見込まれています。

参照元:株式会社メディカルネット「株式会社オカムラの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

株式会社歯愛メディカル

株式会社歯愛メディカルは、2022年に株式会社TDSのM&Aを行ったと発表しました。株式会社TDSの株式を取得し、子会社化に成功しています。株式会社TDSは、歯科技工所デジタル機器を活用しながら、保険技工にも取り組む企業です。このM&Aによって、歯科技工分野でのソリューション開発や、事業拡大に効果があると考え、合意したと発表しています。

参照元:株式会社歯愛メディカル「株式会社TDS株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

株式会社 デンタス

2021年、株式会社デンタスは、アイオニック株式会社のM&Aを発表しました。アイオニック株式会社は歯科技工物の生産を、アイオニック株式会社はイオン歯ブラシのリーディングカンパニーとして活動しています。株式会社デンタスは、このM&A実施により、新たなビジネスモデル獲得と、事業拡大や収益向上を予測しています。

参照元:株式会社デンタス「アイオニック株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

株式会社ナカニシ

株式会社ナカニシは、スウェーデン国内でのシェア拡大を目的に、M&Aを行いました。子会社を通じて、TS Dental Sales ABの営業権譲受に成功しています。株式会社ナカニシは、以前からスウェーデン国内にて事業を行っていましたが、市場シェアが伸び悩んでいました。営業権譲受による直販体制を構築し、ラインナップ増加と規模拡大を図るとしています。

参照元:株式会社ナカニシ「連結子会社による販売代理店からの営業権の譲受および商号変更に関するお知らせ

CLSA キャピタルパートナーズ

2018年、CLSA キャピタルパートナーズは、株式会社ノーザとM&Aを行うことを発表しました。株式会社ノーザは、歯科医院向けのコンピューターシステムの開発、販売を行っている企業です。CLSA キャピタルパートナーズが資本参加を行うことで、自社のネットワークと経営資源を活用し、成長を支援すると発表しています。

参照元:CLSA キャピタルパートナーズ「株式会社ノーザへの資本参加について

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まとめ

歯科業界における競争は激しくなってきており、経営難や後継者不足などを背景に、廃業する歯科医院は今後も増えていくと考えられます。

歯科医院の売却で得られるメリットとしては、「後継者が見つかる」「廃業を避けられる」「従業員の雇用を維持できる」「資金を獲得できる」といったことが挙げられるでしょう。売却相場は2,000万円前後です。設備が充実している場合や経営状況が良好であれば、相場よりも高い価格がつくこともあります。しかし、3,000万円を超えると買い手がつきにくくなる傾向にある点に注意しましょう。

なお、居抜き売却では、設備や医療機器の価値や建物の立地などを評価して価格が決まります。広さや地価によっても変わりますが、通常は数百万円〜2,000万円程度であることが多いです。

歯科医院の売却を成功させるには、財務状況を明確にしたうえで、シナジー効果を期待できる引き継ぎ先を慎重に決める必要があります。売却について、専門家に相談することも大切でしょう。M&A仲介会社なら、相談だけでなく、売却の具体的なサポートを得られます。

レバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社は、各領域に特化したM&Aサービスを提供する仲介会社です。実績あるコンサルタントが、相談から成約まで一貫してサポートを行います。料金に関しては、M&Aの成約時に料金が発生する、完全成功報酬型です。M&A成約まで、無料でご利用いただけます(譲受側のみ中間金あり)。

ご相談は無料です。歯科医院の売却を検討している際には、お気軽にお問い合わせください。