M&Aの法務が必要な理由とは?デューデリジェンスのチェックリストも紹介

2023年10月10日

M&Aの法務が必要な理由とは?デューデリジェンスのチェックリストも紹介

このページのまとめ

  • M&Aは会社法に基づいて進められるため、法務が欠かせない
  • M&Aの法務は、契約書の作成やデューデリジェンスなどで必要
  • M&A後の契約の引き継ぎにも、法務が必要である
  • M&Aでは、法務に詳しいM&A仲介会社や弁護士に相談する

M&Aをご検討中の方のなかには「法務面で何に気を付けたらよい?」と疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?
M&Aを行う際には、法務が欠かせません。税金や労務関係、契約書の作成など、さまざまな場面で気を付けるべき点があります。

本コラムでは、M&Aで法務が必要な場面や、法務デューデリジェンスの概要、相談できる専門家について解説します。

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M&Aで法務が必要になる理由 

M&Aを行うためには、法務が必要になります。M&A自体が、会社法に従って進められる手続きだからです。そのほかにも、契約書作成などのように、法務が必要な場面は多々あります。また、M&Aは、買い手と売り手の交渉です。トラブルを避けるためにも、法律に則って交渉を進めることが求められます。
法律を知らずにM&Aを行ってしまえば、交渉失敗やトラブル発生に見舞われるでしょう。

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M&Aで法務が必要な場面  

準備を前もって進めるためにも、法務が必要な場面を知っておきましょう。
M&Aで法務が必要な場面は、主に下記の5つです。

  • 秘密保持契約書の作成
  • 基本合意書の作成・締結
  • デューデリジェンス
  • 最終契約書の締結
  • 各種契約の引き継ぎ

以下では、M&Aにおいて法務が必要な各場面について解説します。

秘密保持契約書の作成

M&Aを行う前に、秘密保持契約を作成します。契約書の作成や内容にも、法務が必要なことを覚えておきましょう。
たとえば、次のような内容が、法律に関係しています。

  • 秘密情報の定義
  • 秘密保持義務
  • 秘密保持義務の開示範囲
  • 秘密保持契約の有効期間
  • 準拠法と管轄

秘密保持契約を結ぶ際には、「秘密情報の定義に問題がないか」「秘密情報の返還や廃棄に関して定めているか」「秘密保持期間に問題はないか」などに注意が必要です。法律に従って、秘密保持契約を進めるようにしましょう。

基本合意書の作成・締結

基本合意書とは、想定される買収条件や買収価格など、M&Aにおける基本的な内容について、双方が合意した段階で締結する書類です。買い手が提示します。

基本合意書には、他社との交渉を禁止する独占交渉権や、買収対象企業についてデューデリジェンスを実施する権利などについて盛り込むケースがほとんどです。

基本合意書は、法的拘束力を持たないとされています。そのため、基本合意書を締結したからといって、M&Aを成立させる義務を負うわけではありません。しかし、基本合意書の中でも、以下のような項目については、法定拘束力を持たせるのが一般的です。

  • 秘密保持義務
  • 独占交渉権
  • 独占交渉期間
  • 費用負担

トラブルを防ぐためには、どの条項に法的拘束力を持たせるかを明確に定め、条文を正しく記載する必要があります。そのためには、法律の知識が欠かせません。

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デューデリジェンス

デューデリジェンスとは、企業価値を決めるために行う、企業調査のことです。資産や設備の価値を決めたり、負債や簿外債務がないかを確認します。また、企業自体に法的なリスクがないかどうかも、確認が必要です。たとえば、外国貿易法や独占禁止法に抵触する場合は、M&Aが中止になるケースもあります。
買収後のリスクを防ぐためにも、デューデリジェンスでの確認が必要です。

法務DDの費用と流れ

法務DD(法務デューデリジェンス)には専門知識が必要であるため、一般的に専門家に依頼します。依頼費用の相場は、100万円〜500万円程度です。

費用は、調査対象となる企業の規模や、調査項目などによって異なります。規模が大きかったり、子会社や関連会社が多かったりする場合は、数千万円ほどかかることもあります。

M&Aにおける法務DDの流れは、以下のとおりです。

  1. 買収対象企業に資料を提出してもらう
  2. 資料の内容をチェックする
  3. 資料をもとに、マネジメントインタビューを行う
  4. 実際に買収対象企業を訪れ、現地調査を行う
  5. 調査終了後、報告書を作成して経営層に提出する

専門家の協力を仰ぎ、慎重に調査を進めましょう。

法務DD以外のデューデリジェンスの種類

デューデリジェンスには、法務DD以外にも以下のような種類があります。

  • 財務デューデリジェンス:キャッシュフローや簿外債務の有無などを調査する
  • 税務デューデリジェンス:税務申告の内容や納税状況などを確認し、税務リスクがないか調査する
  • 事業デューデリジェンス:買収対象企業の事業について、ビジネスモデルや事業計画、競争優位性や弱みなどを調査する
  • 人事デューデリジェンス:雇用関係や人事規程、人件費などに関する資料を調査する
  • ITデューデリジェンス:情報システム統合に向けて、情報システムやインフラ、ITセキュリティ、システム担当などを調査する

ほかにも、知的財産や不動産、人権など、さまざまな項目についてデューデリジェンスを実施することがあります。

買収対象企業の状況に合わせて、何について調査すべきかを検討することが大切です。

最終契約書の締結

最終契約書を締結する場面でも、法務が必要です。
最終契約書を結ぶと、M&Aを実行する法的な責任を追うことになります。内容に不備があると責任を問われたり自社に不利なM&Aになってしまったりすることも起こりうるでしょう。契約書の内容や履行状況について、徹底的に確認してください。

各種契約の引き継ぎ

M&A実施後に、これまで締結していた各種契約がそのまま引き継がれるのか、新たに手続きが必要なのかについては、スキームによって以下のように異なります。

  • 株式譲渡:株主構成が変わるのみであるため、契約内容に影響はない
  • 事業譲渡:個別の移転手続きを経て、移転・承継される
  • 会社分割:従業員の同意は不要だが、一部またはすべての債権者に対して公告・催告が必要である
  • 合併:労働契約の内容はそのまま承継されるが、すべての債権者に対して債権者保護手続きが必要である

契約を適切に引き継ぐためには、法律に関する知識が必要です。

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法務DDのチェックリスト

法務DDでは、以下のような点をチェックします。

  • 株主・株式
  • 資産・負債
  • 債務状況
  • 契約状況
  • 人事・労務の状況
  • 法令遵守・許認可
  • 訴訟・紛争
  • 環境問題への配慮

M&Aの実施を脅かす項目だけでなく、M&A後に事業継続を妨げる可能性がある項目や、企業価値を減少させうる項目など、リスクになりうる項目については、特に細かく調査が必要です。

法務DDをはじめとするデューデリジェンスの結果もふまえて、買収価格が決定されます。

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M&Aに関連する法律 

M&Aでは、さまざまな法律が影響します。具体的に、どのような法律が関わっているかを知っておきましょう。
M&Aに関連する具体的な法律には、次のような法律があります。

  • 会社法
  • 独占禁止法
  • 税法
  • 金融商品取引法
  • 労働契約承継法

それぞれ詳しく解説します。

会社法

会社法とは、会社の設立や組織運営、組織管理に関して定めた法律のことです。M&Aを行う手続きに関しても、会社法に定められています。たとえば、株式の譲渡に関する内容も、会社法で示されています。また、合併や会社分割なども、M&Aで実施する内容です。
M&A実施には欠かせない法律になるため、覚えておきましょう。

参照元:e-Gov法令検索「会社法」

独占禁止法

独占禁止法とは、公正で自由な競争を促進するために定められた法律です。不当な取引や独占を防ぐことで、消費者の利益確保も目的としています。
M&Aにも独占禁止法は適用され、分野競争が制限されるようなM&A実施を制限しています。

参照元:
e-Gov法令検索「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」
公正取引委員会「独占禁止法の概要」

税法

税法とは、消費税や法人税などの税金にまつわる法律のことです。
M&Aを行った際には、さまざまな税金が掛かります。たとえば、M&Aで起業する場合には、買い手は消費税を負担しなければなりません。また、不動産登記の変更をする場合、登録免許税も必要になります。
M&Aを実施する際には、税法を確認し、必要になる税金を知っておくことも大切です。

参照元:
国税庁「消費税のしくみ」
国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」

金融商品取引法

金融商品取引法とは、金融商品取引の公正を図り、不正取引を防止する法律です。金融庁によると、次の4つの柱から構成されています。

  • 投資性の強い金融商品に対する横断的な投資者保護法制の構築
  • 開示制度の拡充
  • 取引所の自主規制機能の強化
  • 不公正取引等への厳正な対応

M&Aに関しては、株式譲渡の市場買い付け、公開買い付けに関する内容が含まれています。

参照元:
金融庁「金融商品取引法について」
e-Gov法令検索「金融商品取引法」

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M&Aを行うなら、法律の専門家の協力が必要

M&Aを行う場合、法律の専門家に協力を仰ぎましょう。自社だけで法務を行うには、リスクが高いからです。M&Aの場合、会社法はもちろん、労働契約法、税法などさまざまな法律が影響します。自社の法務担当では知識が足りず、対応できないケースもあるでしょう。
M&Aのような特殊な機会だからこそ、弁護士やM&A仲介会社のような専門家に相談してください。

弁護士事務所に相談する

法律の専門家と言えば弁護士です。弁護士は、M&Aに関わる法律に対して、サポートしてくれる専門家に該当します。
注意点は、法律以外の部分は、アドバイスできないケースがあることです。M&Aの案件紹介や交渉の仕方などは、サポート範囲外になるため、注意しましょう。

M&A仲介会社に相談する

法務に関する事柄は、M&A仲介会社もアドバイスしてくれます。M&A仲介会社の場合、M&A全体のアドバイスがもらえるため、安心できるでしょう。
M&Aはさまざまな事柄が絡むため、多くの専門家が必要です。どの専門家に相談すれば良いか分からない場合は、M&A仲介会社に相談しましょう。

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まとめ

本コラムでは、M&Aにおいて法務が必要な理由や場面、法務DDのチェックポイントや、M&Aに関連する法律について解説しました。
M&Aでは、さまざまな場面で法務が必要であり、法律に関する高度な知識が求められます。法律に則って適切に交渉を進めるためには、法律の専門家に依頼しましょう。

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レバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社には、M&Aを熟知したコンサルタントが在籍しており、M&A全般を徹底的にサポートします。完全成功報酬型の料金体系で、成約まで無料で利用できるのも魅力です(譲受会社のみ中間金あり)。法務に関してアドバイスをもらいながらM&Aを進めたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。