保険代理店のM&A費用の相場は?事例とメリット・デメリットも詳しく解説

2024年1月11日

保険代理店のM&A費用の相場は?事例とメリット・デメリットも詳しく解説

このページのまとめ

  • 保険代理店は後継者探しのM&Aが増加している
  • 保険代理店のM&A相場は、大規模案件で数億円から数十億円規模
  • 保険代理店のM&Aでは、保険会社への相談や確認も重要

近年では、保険代理店業界でのM&Aも注目を集めています。後継者不足に悩む保険代理店や、節税保険の見直しで経営に苦戦する保険代理店が増加しているからです。また、新規参入や事業拡大に向けて、買い手側でM&Aを行いたい企業も増加しています。

本記事では、保険代理店のM&Aを行いたい経営者に向けて、保険代理店のM&A相場やメリットデメリットを解説します。実際の事例も紹介するため、参考にしてください。

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保険代理店M&Aの現状

保険代理店のM&Aを成功させるためには、現状を知っておくことが大切です。ここでは、保険代理店業界でのM&Aの現状や、動向を解説するため、参考にしてください。

保険代理店の数は減少傾向にある

保険代理店の数は、減少傾向にある状況です。一般社団法人生命保険協会の調査によると、2020年度の個人保険代理店は、49,361店で、5年連続の減少が続いていると発表しました。2015年度は57,786店であり、7000店以上の減少になっています。今後も、経営難や後継者不足などから、個人の保険代理店の縮小は続いていくと予想されます。

参照元:一般社団法人生命保険協会「生命保険の動向

後継者不足からM&Aをする企業の増加

保険代理店では、後継者不足からM&Aを始める企業が増加しています。後継者を見つけるために、M&Aが効果的だからです。たとえば、個人で保険代理店を行う場合、後継者となる従業員がいない場合もあります。また、従業員全体の高齢化が進み、後継者がいない場合もあるでしょう。M&Aであれば、第三者に譲渡するケースもあり、後継者探しの幅が広がります。そのため、後継者を見つけるために、M&Aを行う保険代理店も増加しています。

節税保険の見直しの影響が出ている

節税保険の取り扱い見直しの影響も、保険代理店のM&Aに影響しています。制度が変わることで、経営に苦しむ保険代理店が増加しているからです。2019年には、節税保険の取り扱い見直しが行われ、保険を利用した節税が実行できなくなりました。その結果、節税目的の保険利用者が減少し、保険代理店にも大きなダメージを与えています。このような状況もあり、節税保険をメインに案内していた保険代理店は経営が苦しくなり、M&Aを検討するケースも増えてきました。実際に、大手の保険代理店にグループ加入のM&Aが行われるケースも多くなっています。

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保険代理店のM&Aを行う買い手側のメリット

保険代理店のM&Aを行うことで、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、買い手側のメリットを紹介するため、参考にしてください。

  • 事業開始が素早くできる
  • 事業拡大にも効果的
  • 競合を減らせる
  • 自社での顧客開拓が不要
  • 経験ある従業員を雇用できる

事業開始が素早くできる

保険代理店のM&Aを実施するメリットは、事業開始が素早くできる点です。一から起業を始める場合よりも、少ない準備で事業開始ができます。事業開始が素早くできる理由は、従業員や設備を引き継げるからです。M&A実施により、すでに運営されている事業をそのまま運営できます。契約が移行され次第、すぐに事業開始できる点は、M&Aのメリットになるでしょう。

事業拡大にも効果的

M&Aは、事業拡大を行う際にも効果的です。すでに実績のある保険代理店を獲得できるからです。M&Aを行う場合、企業価値や今後の売上予測を確認してから買収を行います。そのため、事業拡大を行いたい場合、利益が予想できる保険代理店を買収可能です。自社で新しく拠点を作る場合、売上が出るとは限りません。M&Aであれば、ある程度予測ができるため、事業拡大に効果的なメリットがあります。

競合を減らせる

競合他社をM&Aすれば、競合を減らすことにもなります。自社のシェア拡大につながるでしょう。保険代理店も、競合が多い業界です。同じ地域の顧客を奪い合うケースも多くなります。M&Aで競合他社を買収できれば、ライバル減少につながります。自社の拡大を行いながら、競合を減らせる点もM&Aのメリットです。

自社での顧客開拓が不要

自社で新しく顧客開拓を行わずに済む点も、M&Aのメリットです。M&Aの場合、既存顧客を引き継ぐことができます。M&Aでは、設備や従業員だけではなく、顧客の引継ぎも可能です。事業を行う際にネックになる、顧客や売上確保ができた状態から事業が始まります。新規顧客の開拓は大変であり、従業員の負担にもなります。自社での顧客開拓が不要になる点も、メリットでしょう。

経験ある従業員を雇用できる

経験ある従業員を雇用できる点も、M&Aのメリットです。即戦力の人材を増やすことができるでしょう。M&Aでは、従業員の再雇用もできます。知識やノウハウを持つ人材を獲得できれば、売上増加につながるでしょう。新しく人材を雇用すると、採用コストと教育コストが掛かります。このように、経験者を雇用できる点も、M&Aのメリットです。

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保険代理店のM&Aを行う買い手側のデメリット 

保険代理店のM&Aを行う場合、デメリットにも注意が必要です。ここでは、買い手側のデメリットを紹介するため、参考にしてください。

  • 希望条件で買収できるとは限らない
  • 案件が見つからない可能性もある
  • 従業員や取引先が離れるリスクもある

希望条件で買収できるとは限らない

M&Aを行っても、希望条件で買収できるとは限らないことを覚えておきましょう。交渉がうまくいかず、想定よりも高い金額で買収しなければならなくなるケースもあります。また、企業価値を算出した結果、想定よりも高くなることもあります。希望条件どおりにはいかないケースもあると知っておきましょう。

案件が見つからない可能性もある

M&Aを行いたくても、案件が見つからない可能性があることも知っておきましょう。自社の条件と合う企業があるとは限りません。案件を探すためには、より多くの案件情報を手に入れることが大切です。自社の人脈だけに頼らず、M&A仲介会社のような専門家への相談も実施しましょう。

従業員や取引先が離れるリスクもある

経営者が変わることで、従業員や取引先が離れるリスクもあるため注意してください。引継ぎを行ったり、説明を行ったりしておくことが大切です。たとえば、従業員は労働環境や待遇が変わることを恐れ、退職するケースもあります。また、経営者が変わることで信頼できなくなり、離れる取引先も出てくるでしょう。このような問題を避けるためには、事前にM&Aを説明しておくことが大切です。買収先以外のコミュニケーションも大切になることを知っておきましょう。

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保険代理店のM&Aを行う売り手側のメリット

保険代理店のM&Aに向けて、売り手側のメリットも知っておきましょう。売り手側のメリットには、次のような内容があります。

  • 後継者不在を解消できる
  • 経営が安定する
  • 主力事業に集中できる
  • 売却資金を獲得できる
  • 既存の従業員を維持できる

後継者不在を解消できる

M&Aにより、後継者不在を解消できる点はメリットです。後継者がいないことのストレスや、廃業の不安に悩まされることもなくなるでしょう。M&Aを考える保険代理店の多くが、後継者不足に悩まされています。経営を譲ることで、企業を存続できることは、メリットになるでしょう。

経営が安定する

M&Aの実施により、経営が安定するメリットもあります。他企業の支援によって、経営をサポートしてもらえるからです。たとえば、M&Aを行って、大手企業の傘下やグループに入るケースがあります。この場合、経営面のサポートはもちろん、データやコスト削減などの面でも支援を受けることが可能です。さまざまな支援を受けることで、営業も行いやすく、収益も安定します。このように、M&Aの実施によって、経営が安定する効果も期待できます。

主力事業に集中できる

事業を手放すことで、主力事業に集中できる点もメリットになります。自社の経営を安定させることにもつながるでしょう。保険代理店のなかには、別の事業を進めているケースもあります。保険代理店事業に掛かるリソースやコストが負担になっているケースもあるでしょう。M&Aを実施すれば、自社の主力事業に集中できます。必要な事業だけを残して企業運営を進められることも、M&Aのメリットです。

売却資金を獲得できる

売却資金の獲得も、M&Aのメリットです。資金を獲得し、新しい事業を始めたり、老後資金に活用したりできるでしょう。経営者のなかには、売却を目的に起業するケースもあります。また、個人でのM&Aも増加しており、老後資金として起業する人も増えています。このように、M&Aを行う目的に、売却資金を掲げるケースも増加している現状です。売却資金を獲得できることは、大きなメリットになるでしょう。

既存の従業員を雇用維持できる

M&A実施により、既存の従業員を雇用維持できるメリットがあります。従業員の雇用と生活を守ることにつながるでしょう。もし、M&Aを行わずにいた場合、経営悪化や後継者不在での廃業も選択肢に挙がります。廃業してしまえば、従業員を解雇せざるを得ず、従業員にも負担が掛かるでしょう。M&Aを実施できれば、従業員の再雇用を依頼できます。このように、従業員の雇用を維持できる点が、M&Aのメリットです。

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保険代理店のM&Aを行う売り手側のデメリット 

保険代理店のM&Aを行う場合、売り手側のデメリットも把握しておきましょう。次のようなデメリットが想定されるため、注意してください。

  • 買い手が見つからない可能性がある
  • 条件が希望に届かない可能性がある
  • 従業員や顧客が不利益を被る場合もある

買い手が見つからない可能性がある

M&Aを行っても、買い手が見つからないケースに注意しましょう。自社の経営状況や資産価値によっては、買収してもらえないケースもあります。たとえば、債務が多く改善が見込めないと判断された場合は、買い手を見つけることは難しいでしょう。また、企業価値が低く、購入してもらえないケースもあります。買い手が見つからないことで、廃業につながったり、企業存続ができなくなったりする可能性もあります。買い手が見つかるように、企業価値を高める努力をするようにしましょう。

条件が希望に届かない可能性がある

M&Aを行っても、希望条件で売却できるとは限らないことを覚えておきましょう。交渉の結果、希望よりも低い額で売却する可能性もあります。また、企業調査の結果、想定よりも企業価値が低かったり、簿外債務が見つかったりするケースも出てきます。希望どおりに進まない可能性もあることを知っておきましょう。

従業員や顧客が不利益を被る場合もある

経営者が変わることで、従業員や顧客が不利益を被る可能性に注意しましょう。買い手の企業は、慎重に選ぶことが大切です。たとえば、労働条件が変わり、従業員に不利益を及ぼすケースもあります。また、顧客とのトラブルが発生するケースもあるでしょう。このように、経営者が変わることで、従業員や顧客が不利益を被る可能性もあります。引継ぎを慎重に行うなど、買い手とのコミュニケーションに注意しましょう。

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保険代理店のM&A相場

M&Aを行うためには、相場を知っておくことも大切です。ここでは、規模に合わせた相場を紹介します。

大型案件の場合

大型案件の場合、数億円から数十億円規模になるケースが一般的です。過去の事例では、100億円を超えるケースもありました。全国展開のように、範囲が広く、大規模のM&Aでは、100億円を超える可能性もあります。

中規模案件の場合

中規模案件の場合、個別に計算するケースが一般的です。計算には、コストアプローチを使い、企業価値を算出します。コストアプローチの算出方法は、次のとおりです。

純資産+営業利益×3年〜5年=企業価値

大規模案件、中規模案件ともに、負債の存在などでも価値は変わるため注意しましょう。

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保険代理店の企業価値を算出する3つの方法

M&Aを行う場合の企業の買取額は、どのように企業価値を算出するかによって変動します。企業価値を算出する際に用いられる、方法は以下の3つです。

  • コストアプローチ
  • マーケットアプローチ
  • インカムアプローチ

それぞれ詳しく解説します。

■3つの企業価値の算出方法の比較

コストアプローチ・会社の純資産から負債を差し引いて企業価値を算出する方法
・手軽なので中小企業などで行われることが多い
マーケットアプローチ・対象の会社や類似の企業の株式価格などを基準に企業価値を算出する方法
インカムアプローチ・将来見込まれる収益を加味して企業価値を算出する方法
・成長途上の企業に向いているが、計算は複雑

1.コストアプローチ

コストアプローチとは、会社の純資産、つまり貸借対照表における資産から負債を差し引いて企業価値を算出する方法です。

専門知識がなくとも企業価値を算出できる、分かりやすい方法であるため、その他の企業価値の算出方法に比べ取り組みやすいといえるでしょう。

その性質上、コストアプローチは中小規模の保険代理店のM&Aにおすすめの手法と言えます。

ただしコストアプローチにより算出できるのは、あくまで現時点の純資産に限られます。将来性を加味して企業価値を算出したい場面には不向きといわざるを得ません。

コストアプローチの具体的な方法としては「簿価純資産法(貸借対照表の帳簿価格に基づくもの)」と「修正純資産法(資産・負債を時価に修正するもの)」の2つが挙げられます。

2.マーケットアプローチ

マーケットアプローチとは、市場価格を基準に企業価値を算出する方法です。マーケットアプローチは大きく「市場株価法」と「類似会社比較法・マルチプル法」の2つに大別されます。

「市場株価法」では企業価値を算出される企業自身の株式の市場価格(過去のものを含む)を元に企業価値を算出するのに対し、「類似会社比較法・マルチプル法」では類似の企業や、類似の取引を基準として企業価値の算出が行われます。

「類似会社比較法・マルチプル法」を非上場の保険代理店で採用する場合には、同じ業種(保険代理店)かつ企業規模などが近い会社をいくつかピックアップする形となるでしょう。

3.インカムアプローチ

インカムアプローチとは、将来見込まれる収益を加味して企業価値を算出する方法を指します。インカムアプローチの具体的な方法としては、「DCF法」や「収益還元法」「配当還元法」が挙げられます。

例を挙げると「DCF法」を用いる場合には、以下のような方法が取られます。

  • 事業計画書をもとに、将来的なフリーキャッシュフロー(企業が自由に使えるお金)を計算する
  • フリーキャッシュフローを現在価値に直すための割引率(一般に加重平均資本コスト)を計算する
  • ターミナルバリュー(キャッシュフローが計算できない将来においても存続する永続価値)を計算する
  • 各期のフリーキャッシュフローを割り引いて現在価値として算出し、ターミナルバリューと合算する

インカムアプローチは、他の方法に比べ計算が複雑ではあるものの、業績が上向きの企業がM&Aを行う場合には有用です。

成長途上の保険代理店のM&Aを行う場合には、必要であれば専門家の力を借りるなどして、「インカムアプローチ」による企業価値の算出を検討してみると良いでしょう。

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保険代理店のM&Aを行う方法

保険代理店のM&A実施に向けて、M&Aの方法を知っておきましょう。ここでは、一般的に使用される、3つのM&A方法を解説します。

  • 株式譲渡
  • 事業譲渡
  • 合併

株式譲渡

株式譲渡とは、株式の売却を行うことで、経営権を移動させる方法です。会社全体を買い手に売却する場合、使用されます。株式譲渡のケースでは、売り手企業は買い手企業の子会社として、事業を継続できるケースもあるため、覚えておきましょう。

株式譲渡のメリット

株式譲渡のメリットは、企業全体を売却でき、手続きが行いやすい点です。従業員や取引先などに対し、個別の契約は必要ありません。基本的には、「株式譲渡」「契約手続き」「クロージング」のように、社内で完結する手続きになります。このように、手続きが簡単に実施できるため、企業全体を譲渡する場合、使用される方法です。

株式譲渡のデメリット

株式譲渡のデメリットは、会社の経営権を失う点です。経営者の判断で経営ができなくなることは覚えておきましょう。また、会社全体を譲渡するため、負債も引き継がれます。多額の負債や簿外債務が見つかった場合、買い手が見つかりにくいことも覚えておきましょう。

事業譲渡

事業譲渡とは、事業の一部を買い手企業に譲渡する方法です。複数ある事業のうち1つを売却したい場合や、売却する資産や設備を選びたい場合に活用します。

事業譲渡のメリット

事業譲渡のメリットは、売却したい内容を選べることです。自社が活用できていない部分に集中して譲渡できます。たとえば、保険代理店事業を手放し、主力事業に集中したいケースは、事業譲渡が行われます。また、事業譲渡後に別事業を行うために、施設以外を譲渡するケースも事業譲渡です。買い手にとっても、自社に必要な部分だけを買収できるメリットがあります。

事業譲渡のデメリット

事業譲渡のデメリットは、契約や手続きが大変になる点です。事業譲渡の場合、譲渡する内容を個別に契約し、手続きを進めなければなりません。また、従業員や取引先の契約も、個別で実施します。株式譲渡と比べると、手続きの手間が増える点は、デメリットになるでしょう。

合併

合併とは、複数の企業を統合し、1つの企業にする方法です。「吸収合併」「新設合併」の2種類に分類できます。まず、吸収合併とは、合併でなくなる会社の権利などをすべて、既存の会社に吸収させる方法です。一方で、新設合併の場合は、合併でなくなる会社の権利などをすべて、新しく設立した会社に移行させます。どちらも吸収される会社の権利などは移行されますが、移行先が既存の会社か新設の会社かで変わります。

合併のメリット

合併のメリットは、1つの会社として運営できる点です。シナジーの発生や、運営の効率化が期待できるようになります。また、契約や権利もまとめて移行できる点もメリットになります。

合併のデメリット

合併のデメリットは、複雑な手続きが発生する点です。具体的には、株主総会での決議や、債権者保護手続きが発生します。たとえば、債権者保護手続きでは、合併を行うことを周知し、官報に報告が必要です。また、債権者に対しても、合併の実施を周知し、異議が出た場合は対応が求められます。このように、合併の場合は、株式譲渡や事業譲渡とは異なる対応が発生します。時間や手間が掛かる対応になるため、この点はデメリットになるでしょう。

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保険代理店のM&Aを行う手順と流れ

実際に保険代理店のM&Aを行う場合の手順と流れは以下の通りです。

  1. マッチング前の準備や相談
  2. マッチング候補の検討
  3. M&A相手とのトップ面談
  4. 基本合意の締結
  5. デューデリジェンスの実施
  6. 最終契約の締結

それぞれ詳しく解説します。

1.マッチング前の準備や相談

まずはM&A仲介会社のコンサルタントに、契約条件や事業の引継ぎに関する相談を行います。事業を買収または売却する際の希望や懸念を伝えることで、M&A成約の可能性や必要な準備などに関する、提案やアドバイスを受けることができるでしょう。

またレバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社の場合はお客様の財務資料をお預かりし、弊社独自の方法で企業価値の算定を行っています。その後、アドバイザリー契約書を締結する形となります。

2.マッチング候補の検討

アドバイザリー契約書締結の後は、M&A仲介会社を通して買収または売却の相手を探します。

次の項目で解説する「保険代理店のM&Aを成功させるためのポイント」、つまり取り扱っている保険会社の種類や主な年齢層などについては、この段階までに確認しておくと良いでしょう。

M&A成立の可能性がある相手方が見つかったなら、双方の合意のもとに企業の詳細が開示されます。

3.M&A相手とのトップ面談

開示された詳細情報を確認し、前向きにM&Aを進めていきたいという場合には、マッチング相手とのトップ面談に進みます。ここまでの段階ですでに買収額・売却額といった条件面の開示は済んでいるため、主な目的は「相手の人となりやビジネスの方針の確認」といったものになるでしょう。

4.基本合意の締結

契約条件に合意を得、トップ面談も問題なく完了したなら、当事者間で基本合意契約を締結します。
ここで必要な契約書の準備や作成に関しても、M&A仲介会社のサポートを受けることができるでしょう。

5.デューデリジェンスの実施

デューデリジェンスとは、買い手企業による売り手企業の監査を指します。

売り手企業はこの段階で、非常に多くの資料を提出しなければなりません。税理士や公認会計士などに依頼し、財務や税務といったさまざまな観点からの実地調査を行い、買い手企業が将来負いうるリスクを提示する必要があります。

また簿外債務がある場合には、このデューデリジェンスの段階で確認する形となるでしょう。

レバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社の場合は弊社コンサルタントが各書類の作成や提出を、徹底してサポートいたします。

6.最終契約の締結

デューデリジェンスが完了し、双方の合意が得られたなら、最終的な譲渡契約書を作成・締結します。
この契約書に則って株式や事業を譲渡し、譲渡代金の決済手続きが済んだなら、M&Aの成立・完了となります。

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保険代理店のM&Aを成功させるためのポイント

保険代理店のM&Aを成功させるために、知っておきたいポイントを解説します。次のようなポイントが大切になるため、確認しておきましょう。

  • 取り扱う保険会社を確認する
  • 保険契約者の年齢層を確認する
  • 保険契約者の居住地を確認する
  • 月次試算表を確認する
  • 専門家や仲介会社に相談する

取り扱う保険会社を確認する

保険代理店のM&Aでは、取り扱っている保険会社を確認しておきましょう。保険会社ごとに、必要な対応が変わるからです。たとえば、自社では取り扱っていない保険会社の場合、新しい手続きや対応が発生する可能性もあります。また、保険会社に相談せずにM&Aを進めた結果、トラブルになるケースもあるでしょう。このように、保険代理店のM&Aでは、取り扱う保険会社を確認しておくことが大切です。すでに取り扱っている保険会社を扱う代理店であれば、スムーズに進みやすいでしょう。

保険契約者の年齢層を確認する

保険代理店のM&Aでは、保険契約者の年齢層を確認しましょう。年齢層によって、契約がどれだけ続くか予想できるからです。たとえば、若年層の契約者が多ければ、今後も長く契約してもらえる可能性が高まります。一方で、高齢者が多い場合は、数年で契約が終わってしまう可能性もあるでしょう。このように、M&A予定の保険代理店が、どのような年齢層の契約者を抱えているか知ることが大切です。企業価値に影響してくるため、確認するようにしましょう。

保険契約者の居住地を確認する

保険契約者の居住地も確認しておきましょう。顧客フォローの大変さに影響するからです。たとえば、遠方の顧客が多い場合、フォローが大変になります。転勤や単身赴任が多い会社員の契約者が多い場合は、注意しましょう。遠方までフォローする場合、従業員の負担が増え、コストも必要になります。買収後に気づくと遅いため、事前に確認しておきましょう。

月次試算表を確認する

企業価値を確認するために、月次試算表を見るようにしましょう。今後の予測も合わせて、確認しておくことが大切です。よくあるケースが、M&Aの交渉段階では企業価値が高く、クロージング時には企業価値が低下しているケースです。保険代理店の場合、契約者の人数によって収支が変わってくるため、契約者の状況も合わせて把握するようにしましょう。月次試算表を確認し、今後も収益に問題がないか、確かめることが大切です。

専門家やM&A仲介会社に相談する

M&Aを成功させるためには、専門家やM&A仲介会社に相談しましょう。自社の担当者には経験や知識が足りず、失敗してしまうケースもあるからです。M&Aの場合、法律はもちろん、税務などさまざまな知識が求められます。M&Aを初めて行う企業も多く、対応が難しいでしょう。M&Aを成功させるためには、M&Aの実績を持つ、M&A仲介会社のような専門家の協力が欠かせません。案件探しから成約までサポートしてもらえるため、まずは相談してみましょう。

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保険代理店のM&Aを行う際の注意点

保険代理店のM&Aを成功させるために、注意したいポイントを解説します。次の2つに関しては、あらかじめ確認してからM&Aを行うようにしましょう。

  • 保険会社に確認を行う
  • 簿外債務に注意する

保険会社に確認を行う

保険代理店のM&Aを行う際には、保険会社に確認を行いましょう。確認を怠ると、損害が増える可能性もあります。たとえば、契約の移管を行っても問題ないか、相談しておきましょう。すでに保有契約がなく、予想していた価値が見込めないケースがあります。また、保険代理店ごとに、ノルマを課せられているケースもあります。ノルマが厳しい場合、未達成で契約打ち切りのリスクもあるでしょう。このように、保険代理店のM&Aを行う際には、保険会社への確認が大切です。保険代理店がどのような状況にあるか、入念に確認しましょう。

簿外債務に注意する

M&Aを行う際には、簿外債務に注意しましょう。予期せぬ債務が見つかり、損害が増える可能性もあるからです。たとえば、株式譲渡を行った場合、買い手側は企業全体を引き継ぎます。そのため、簿外債務があると、負債を引き継ぐことになってしまいます。売り手側に関しても、簿外債務を隠していたことで、M&Aが実施できなくなるケースもあるでしょう。このように、簿外債務はトラブルのもとになるため、買い手側は企業調査を行い、売り手側は負債も含めて正直に報告を行うことが大切です。

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保険代理店M&Aの事例 

保険代理店のM&A実施に向けて、過去の事例を知っておきましょう。ここでは、保険業界で行われたM&A事例を紹介します。

朝日生命保険相互会社

2021年、朝日生命保険相互会社は、NHSインシュアランスグループ株式会社のM&Aを行ったと発表しました。NHSインシュアランスグループ株式会社は4社を運営する企業であり、テレマーケティングを活用しながら、保険事業を進めている企業です。近年は新型コロナウイルスの影響もあり、保険業界も対面以外の営業方法を進める必要があります。朝日生命保険相互会社は、テレマーケティングに強いNHSインシュアランスグループ株式会社のM&Aを行うことで、新しい営業モデルの構築に取り組むことを目的にM&Aを行いました。

参照元:朝日生命保険相互会社「NHSインシュアランスグループ株式会社の株式取得・子会社化について

伊藤忠商事

伊藤忠商事は、2019年にほけんの窓口グループ株式会社のM&Aを行ったと発表しました。ほけんの窓口グループ株式会社は、来店型の保険ショップを展開している企業になります。伊藤忠商事は、保険事業の買収により、事業拡大と顧客サービスの品質向上を目指すとしています。

参照元:伊藤忠商事「ほけんの窓口グループ株式会社の連結子会社化について

株式会社白洋舎

2020年、株式会社白洋舎は信和実業株式会社のM&Aを発表しました。保険代理店事業を株式会社トータル保険サービスに譲渡するとしています。このM&Aの目的は、事業の選択と集中です。業務効率の改善を目的に、事業譲渡を行ったと発表されました。

参照元:株式会社白洋舎「連結子会社に係る事業譲渡契約締結、及び特別利益(事業譲渡益)計上に関するお知らせ

楽天株式会社

楽天株式会社は、2018年に朝日火災海上保険株式会社の完全子会社化を行いました。保険事業の拡大に注力しており、その一環でM&Aが実施されています。取り扱う保険を充実させることで、サービス充実を達成し、事業拡大を行うと表明されています。

参照元:楽天株式会社「朝日火災海上保険株式会社の完全子会社化に関するお知らせ

日本生命保険相互会社

日本生命保険相互会社は、2017年に、株式会社ほけんの110番のM&Aを実施しました。株式会社ほけんの110番は保険代理店であり、保険業界同士でのM&A実施が行われています。日本生命保険相互会社では、保険の比較をして加入したいとのニーズが多く、商品充実が課題でした。このM&Aにより、商品のラインナップを充実させ、顧客ニーズ対応を目指すと発表されています。

参照元:日本生命保険相互会社「株式会社ほけんの110番の株式取得に関する合意について

東海東京フィナンシャル・ホールディングス

東海東京フィナンシャル・ホールディングスは、保険代理店を全国展開する株式会社ETERNALのM&Aを実施しました。顧客基盤と収益の拡大を目的にしています。株式会社ETERNALの持つ来店型保険ショップの活用を行うことで、さらなる事業拡大が期待できるとしています。

参照元:東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社「株式会社ETERNALの株式取得(完全子会社化)に関するお知らせ

株式会社新生銀行 

2019年、株式会社新生銀行は、ファイナンシャル・ジャパン株式会社のM&Aを行ったと発表しました。ファイナンシャル・ジャパン株式会社は、保険代理店を事業とする会社です。このM&Aにより、個人向け保険ビジネスの強化を行い、販売チャネルの拡大と構築を図るとしています。

参照元:株式会社新生銀行 「ファイナンシャル・ジャパン株式会社の株式取得、子会社化について

株式会社幸楽苑ホールディングス

株式会社幸楽苑ホールディングスは、株式会社デン・ホケンのM&Aを行ったと発表しました。事業譲渡および、吸収合併が行われています。事業譲渡を行う理由は、事業の選択を行い、経営資源を集中させるためです。譲渡先はヒューリック保険サービス株式会社であり、保険事業の拡大が予想されています。

参照元:株式会社幸楽苑ホールディングス「連結子会社の事業譲渡及び特別利益の計上並びに連結子会社との合併(簡易合併・略式合併)に関するお知らせ

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まとめ

保険代理店のM&Aを行うためには、保険代理店ならではの特徴を知り、交渉を進めることが大切です。特に、保険会社との契約や、保険契約者の情報なども確認してからM&Aを行いましょう。また、M&Aを成功させるためには、M&A仲介会社に相談をしてみましょう。案件探しから成約まで、アドバイスを行ってくれます。M&Aを実施したことない企業も多く、すべてを自社で行うことは大変です。専門家の協力を仰ぎながら、スムーズにM&Aが実施できるように取り組みましょう。

M&AならレバレジーズM&Aアドバイザリーにご相談を

レバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社は、保険代理店のM&Aにも対応したM&Aサービスを提供する仲介会社です。

保険代理店も含めた各領域で実績を積み重ねたコンサルタントが、相談から成約まで一貫してサポートを行います。

料金に関しては、M&Aの成約時に料金が発生する、完全成功報酬型です。 M&A成約まで、無料でご利用いただけます(譲受側のみ中間金あり)。  相談に関しては、無料で実施しています。 福岡県でのM&Aを検討している際には、お気軽にお問い合わせください。