北海道札幌市のM&Aの傾向は?事業承継の事情や事例も解説
2024年8月6日
このページのまとめ
- 札幌市は後継者不足に悩む企業が多く、後継者不在率は全国でも上位に位置する
- 札幌市では後継者不足解消に向けたM&Aが進んでいる
- M&Aを成功させるためには、地域や業界に強い仲介会社のアドバイスが必要
北海道札幌市でM&Aを行いたいが、「何から始めていいかわからない」という方もいるのではないでしょうか。M&Aの目的を達成し、成功させるためには専門的な知識が求められ、公的な機関やM&A仲介会社の支援が必要です。
本記事では、札幌市でM&Aを行う方法やポイント、相談先などを解説します。札幌市の企業が行ったM&Aの事例も紹介しますので、参考にしてください。
目次
札幌市におけるM&Aの現状
札幌市でM&Aを行うためには、札幌市の現状を知っておくことが大切です。札幌市のM&A件数は、年々増加傾向にあります。その背景には、後継者不足に悩む企業や、経営難に苦しむ企業が増えているからです。現状を改善し、経営を安定させるために、M&Aを行う企業が増加しています。
事業承継の後継者不足に悩まされている
札幌市でのM&Aに大きく影響しているものが、後継者不足です。帝国データバンクの調査によると、北海道で後継者不在に直面している企業の後継者不在率は、次のように3年連続で減少しています。
年度 | 後継者不在率 |
2021年 | 71.0% |
2022年 | 68.1% |
2023年 | 66.5% |
近年の傾向としては、事業承継における「内部昇格」の割合が上昇しており、「脱ファミリー」が加速している状況です。
後継者問題は前年より低下しているなど改善傾向が続いていますが、全国の後継者不在率では4位に位置するなど、依然として高い状態にあります。北海道や札幌市の企業の多くは、後継者問題に悩まされているといえるでしょう。後継者不足を理由とするM&Aは、今後も増加していくと予想されます。
参照元:株式会社帝国データバンク「道内企業「後継者不在率」動向調査(2023年)」
地域特有の事情がある
札幌市をはじめとする北海道でM&Aを行う産業は、主に建設業や調剤薬局、医療介護、飲食・食品製造業が目立ちます。特に飲食・食品製造業は北海道がブランドという認識もあり、県外の企業が買収するケースが多々あります。
また、札幌市のM&Aを考える際は、地域特有の事情についても把握しておくことが大切です。冬の間はシーズンオフで営業しないなど地域特有の事情があり、季節の売上を緩和するためのM&Aも行われています。例えば、食品産業ではシーズンオフの時期に稼働する事業を買収するなど、北海・札幌の企業独自のM&A戦略や相乗効果も考えられるでしょう。
札幌市でのM&Aが難しいとされる理由
札幌市でM&Aが増加する一方で、M&Aの実施が難しいとも言われています。なぜ、札幌市でのM&Aが難しいのでしょうか。その背景には、次のような理由が影響しています。
- 企業がM&Aに消極的
- 東京に比べてM&A件数が少ない
- M&Aを相談できる相手がいない
企業がM&Aに消極的
札幌市でM&Aが難しい理由の1つが、企業がM&Aに消極的な点です。M&Aの普及は、まだまだ進んでいない現状があります。また、帝国データバンクの調査によると、北海道の企業が後継者候補を選ぶ場合、「子ども」と答えた企業が47.8%でした。このように、半数近くの企業が子どもを後継者にしたいと考えています。そのため、第三者へのM&Aはまだ普及しておらず、M&A実施が難しい状況です。
東京に比べてM&A件数が少ない
東京に比べてM&A件数が少ない点も、札幌市でM&Aが難しい理由です。札幌市も都市圏ですが、東京に比べると企業が少ない状況です。そのため、M&Aを実施する企業も限られてきます。M&Aを実施する企業が少ないと、マッチングも成立しにくく、M&Aが進みません。このように、東京に比べてM&A件数が少ない点も、札幌市でM&Aが難しい理由です。
M&Aを相談できる相手がいない
M&Aを相談できる相手がいないことも、M&A実施に向けた難しさです。相談相手がいないことで、M&Aを実施する企業が少なくなっています。M&Aを行うためには、M&Aの専門家である、仲介会社のサポートが欠かせません。しかし、札幌市はM&A件数が少なく、仲介会社の進出も進んでいない状態です。このような理由から、M&Aを相談できる相手がいないことも、札幌市でM&Aが難しい理由です。相談できる相手が見つかれば、M&Aを実行できる企業も多いでしょう。
関連記事:地方でのM&A動向と特有の難しさ、後継者問題や事例を解説
札幌市でM&Aを実施する方法
札幌市でM&Aを実施する方法には、どのような方法があるのでしょうか。基本的には、次の3つの方法で、M&Aが実施できると覚えておきましょう。
- M&A仲介会社
- 金融機関
- M&Aマッチングサービス
M&A仲介会社
札幌市でM&Aを実施するには、M&A仲介会社のサポートが欠かせません。M&Aを実施しようか迷っている場合は、まず相談してみましょう。仲介会社の特徴は、M&A全体のアドバイスがもらえる点です。そのため、どこからM&Aを進めるか分からない経営者も安心して相談できます。M&Aで困った場合は、まず相談してみましょう。
金融機関
地元の銀行などの金融機関も、M&Aに関するアドバイスがもらえます。資金面や案件紹介、専門家の紹介がメインになると覚えておきましょう。注意点は、M&A自体のアドバイスがもらいにくい点です。M&Aの専門家を紹介してもらいたい場合に、活用すると良いでしょう。
M&Aマッチングサービス
近年では、M&Aの案件をマッチングするサービスも増加しています。個人でも活用できるため、覚えておきましょう。また、マッチング成立までは、費用が掛からないマッチングサービスがあることも特徴です。注意点は、マッチング以降のサポートが受けられない点です。あくまでも、案件のマッチングに特化していることを覚えておきましょう。
札幌市でのM&Aには仲介会社が不可欠
札幌市でM&Aを行うためには、仲介会社が欠かせません。ここでは、仲介会社が欠かせない3つの理由を解説します。
- M&Aの案件を紹介してもらうため
- M&Aの情報収集をするため
- M&A実施に向けたサポートがもらえる
M&Aの案件を紹介してもらうため
仲介会社が必要な理由は、M&Aの案件を紹介してもらうためです。札幌市でM&Aを成功させるためには、案件を知ることが欠かせません。案件数が多いほど、選択肢が増え、自社に合ったM&Aが実行できます。仲介会社であれば、売り手も買い手も多く集まるため、選択肢が増えるでしょう。無理にM&Aを進めてしまうと、シナジーがなく、失敗するケースもあります。仲介会社に相談して、多くの案件を紹介してもらうことが大切です。
M&Aの情報収集をするため
M&Aの情報収集を行うためにも、仲介会社が欠かせません。M&Aの情報は少なく、自社だけで集めるのが難しいからです。たとえば、自社でM&Aの情報を集めても、M&Aに詳しい人脈がなく、失敗するケースがあります。また、インターネットで調べても情報が少なく苦戦するケースも多いでしょう。このような状況を解決するのが、仲介会社です。仲介会社であれば、M&Aの最新情報が集まってくるため、自社がM&Aを行う際の参考にもなります。
M&A実施に向けたサポートがもらえる
M&A実施に向けた、サポートをもらえる点も仲介会社のメリットです。ほかの専門家の場合、M&A全般のサポートはできないことが多いため、覚えておきましょう。たとえば、M&Aは会社法が絡むため、弁護士が必要です。しかし、弁護士はM&A全般に詳しいわけではなく、相談してもアドバイスがもらえないでしょう。一方で、仲介会社であれば、M&A全般のサポートを受けられます。M&A実施に向けて、安心して行動できるでしょう。
札幌市でのM&A仲介会社の選び方
M&Aを成功させるためには、仲介会社の選び方も大切です。相性の良い仲介会社が見つかるように頑張りましょう。ここでは、札幌市でM&Aを行う場合の、仲介会社の選び方を解説します。
- 札幌市の企業に詳しい
- 料金体系が分かりやすい
- M&Aの実績が豊富
- M&Aする予定の業界知識が豊富
- 専門家との人脈を持っている
- 自社と同規模のM&A実績を持つ
札幌市の企業に詳しい
札幌市でM&Aを行う場合、大切なのは札幌市の企業に詳しいことです。札幌市の企業に詳しい仲介会社のサポートがあれば、M&Aを優位に進めることができるでしょう。M&Aを行う場合、地域ごとにも特徴があります。地域や企業の情報を知り、対策しておくことは欠かせません。仲介会社にも、得意な分野や地域があります。札幌市でM&Aを行うなら、札幌市の企業に詳しい仲介会社を選びましょう。
料金体系が分かりやすい
料金体系の分かりやすさも、仲介会社を選ぶ際には大切です。料金体系が分かりやすいことで、安心して依頼できるでしょう。仲介会社によっては、想定外の料金を請求されるケースも多く、予算が必要以上に掛かります。あらかじめ、料金体系が分かりやすい仲介会社を選び、予算内で収まるようにしましょう。
M&Aの実績が豊富
仲介会社がどのような実績を残しているかも、注目して選びましょう。実績豊富な仲介会社であるほど、M&Aが成功しやすくなります。理由としては、M&Aは手続きや契約が複雑であり、イレギュラーも多いからです。実績が多い仲介会社ほど、経験しているパターンも多く、あらゆる状況に対応できます。経営者側は、M&Aを初めて行うケースがほとんどです。M&A仲介会社を選ぶ場合は、実績があり、安心できる仲介会社を選びましょう。
M&Aする予定の業界知識が豊富
自社がM&Aする予定の、業界に関する知識が豊富なことも大切です。M&Aは、業界によっても進め方が変わります。たとえば、建設業界の場合、許認可の扱いを意識しなければなりません。業界ごとに、企業価値や手続きのポイントが変わるのがM&Aです。仲介会社にも、業界の得意不得意があります。自社がM&Aする業界の、知識を持っている仲介会社を選びましょう。
専門家との人脈を持っている
専門家との人脈を持っていることも、仲介会社選びで大切です。M&Aは専門知識が必要な場面も多く、さまざまな分野の専門家に協力してもらう必要があるからです。たとえば、法人税や贈与税などの税金に関しては、税理士の協力を仰ぎます。また、登記関係になれば、司法書士のサポートが必要です。このように、M&Aを行う際には、さまざまな分野の専門家が求められます。専門家との人脈があることも、仲介会社選びでは大切です。
自社と同規模のM&A実績を持つ
実績で仲介会社を選ぶ場合、自社と同規模のM&A実績があるかも注目しましょう。企業規模によって、M&Aの方法が変わりやすいからです。たとえば、中小企業の場合、親族承継や小規模のM&Aが多くなります。一方で、大企業の場合、グループや子会社を含めた大規模なM&Aを行うケースもあるでしょう。大企業のM&Aに慣れている仲介会社が、中小企業のM&Aに慣れているとは限りません。自社と同規模のM&A実績があるか、確かめておきましょう。
札幌市でM&Aを行う流れ
札幌市でM&Aを実施する場合、実際にはどのように進めていくのでしょうか。ここでは、事前準備から最終締結まで、大きな流れをみていきましょう。
1.事前準備を行う
まず、事前準備としてM&Aの目的や方向性を定めます。M&Aという選択で間違いがないかを考え、売り手側であれば、譲渡価額がどのくらいか、M&Aのメリットはあるかを検討しましょう。
買い手側の場合は、どのような企業であれば目的を達成できるかを考えます。M&Aの戦略を決めるには専門的な知識も必要になるため、M&A仲介会社などの専門家と相談しながら進めていくことをおすすめします。
2.相手先企業の選定・交渉を始める
M&A仲介会社に相談する際は、秘密保持契約を結び、相手先企業の選定と交渉を行います。条件交渉の手続きを行う過程で行うのが、譲渡側・買収側の経営トップによる面談です。
相互理解を深めるために、経営理念や譲渡・買収を決断した経緯、M&A後の方針などを話し合います。面談を通してお互いの人物像も見極め、M&Aの相手先として妥当かを判断します。
3.基本合意書を締結する
条件の合意ができたら、基本合意書の締結を行います。基本合意書は契約書ではなく、その時点での合意内容を確認するものです。M&Aの手法や取引価格の確認、デューデリジェンスの協力などの確認であり、一部を除いて法的拘束力はありません。
デューデリジェンスの結果によって、取引価格の決定やM&Aを実施するかが判断されます。
4.買い手側がデューデリジェンスを実施する
デューデリジェンスとは、買い手側が売り手側企業を買収しても問題がないかを見極める監査のことです。財務・税務・法務など、あらゆる分野で詳細な調査を行います。
デューデリジェンスの目的は、最終的な対価を決めるために売り手側企業の情報を収集し、提供されている情報が正しいかを確認することです。
簿外債務や社内トラブル、訴訟リスクなど、M&Aの実施後に経営の障害となるような問題がないかを調査します。
5.最終契約を締結する
デューデリジェンスの結果をみて、最終条件の交渉に入ります。最終的な取引金額や譲渡の範囲、譲渡後の従業員の待遇などを話し合います。専門家とも相談しながら、自社の希望に沿ったM&Aかどうかを見極めましょう。
M&Aの実施を決めたら、最終契約書を締結します。最終契約書は法的拘束力を持ち、締結したら契約内容は変えられません。そのため、最終交渉は慎重に行いましょう。
契約締結後は、最終契約書で定められた内容を履行するためにクロージングを行います。
札幌市でM&Aを行う際の注意点
札幌市でM&Aを行う場合の注意点も紹介します。M&A開始から契約後まで注意する点があるため、覚えておきましょう。具体的には、次の3つを意識しておくことが大切です。
- 最初にM&Aの目的を決めておく
- デューデリジェンスを忘れない
- PMIを丁寧に進める
最初にM&Aの目的を決めておく
M&Aを開始する前に、M&Aの目的を決めておきましょう。目的が決まることで、案件探しや交渉を行いやすくなります。たとえば、「事業承継」「従業員の雇用を守る」を目的に、企業を売却するとします。すると、事業を存続させながら、従業員の再雇用を行ってくれる企業が買い手に上がるでしょう。このような目的が明確にあると、案件探しが行いやすく、交渉での優先順位も決まります。M&A前に目的を決めておき、途中で変わらないように進めましょう。
デューデリジェンスを忘れない
M&Aを行う際には、デューデリジェンスが欠かせません。仲介会社のサポートを受けながら、実行しましょう。デューデリジェンスとは、企業価値を決めたり、買収リスクを明らかにする調査のことです。デューデリジェンスを行うことで、資産や負債が明らかになり、交渉時の価格を決めることができます。もし、デューデリジェンスを行わずにいると、取引価格で損をしたり、簿外債務に気づかないまま契約してしまったりします。契約後のトラブルにもつながるため、仲介会社のサポートを受けながら、デューデリジェンスを実施しましょう。
PMIを丁寧に進める
PMIとは、M&A実施後に発生する、統合プロセスのことです。PMIを丁寧に進めることで、事業拡大につながることを覚えておきましょう。M&Aの失敗で多いケースが、交渉成立に安心し、PMIを怠るケースです。PMIを行わなかったことで、売り手従業員の反発を招き、離職者が多発したケースもあります。M&Aは、契約後の動きが大切です。PMIを実施し、企業が1つにまとまるように動きましょう。
札幌市でM&Aを行う際に役立つ支援
札幌市でM&Aを行う場合に備えて、役立つ支援を知っておきましょう。国や道の支援機関もあるため、参考にしてください。具体的には、次のような機関で、支援を受けることができます。
- 北海道事業承継・引継ぎ支援センター
- 札幌商工会議所
- 北海道よろず支援拠点
- 札幌市事業承継マッチングポータルサイト
- 北海道信用保証協会
北海道事業承継・引継ぎ支援センター
北海道でM&Aや事業承継を行う場合は、北海道事業承継・引継ぎ支援センターに相談してみましょう。国が運営している、公的機関になります。特徴は、道42の商工会議所をネットワークで結び、相談は無料で行える点です。経済産業省の認定も生かし、行政や金融機関との連携も合わせて、支援がもらえます。
参照元:「北海道事業承継・引継ぎ支援センター」
札幌商工会議所
札幌市の場合は、札幌商工会議所もM&A支援を行っています。会報誌を作成し、M&Aや事業承継の情報も発信しているため、覚えておきましょう。札幌商工会議所では、次のようなサポートを受けることができます。
- 納税猶予や民法特例など支援制度の紹介
- 株価資産の専門家紹介
- 融資支援制度の紹介
- 金融機関やM&A仲介会社の紹介
- 法務や税務の専門家の紹介
参照元:「札幌商工会議所」
参照元:札幌商工会議所「さっぽろ経済」
北海道よろず支援拠点
北海道よろず支援拠点とは、国が全国に設置している、無料の経営相談所です。中小企業庁の管轄で運営されています。中小企業の場合も、「事業承継の検討」「資金繰りの改善」「事業再生」などさまざまな課題を抱えています。また、「売上拡大」「生産性向上」などを目的に、M&Aを行う場合もあるでしょう。北海道よろず支援拠点では、中小企業の経営課題に対し、M&Aを含めた支援を行っています。
参照元:「北海道よろず支援拠点」
札幌市事業承継マッチングポータルサイト
後継者に悩む企業が活用したい支援に、札幌市事業承継マッチングポータルサイトがあります。札幌市事業承継マッチングポータルサイトでは、事業承継希望者と引継ぎ希望者のマッチングを支援しています。また、M&Aのマッチングには、税理士や弁護士のような専門家も必要です。専門家の紹介に関しては、北海道事業承継・引継ぎ支援センターは協力し、マッチング支援を行っています。
参照元:札幌市「事業承継マッチング支援」
北海道信用保証協会
北海道信用保証協会とは、金融機関から借入が必要な場合、保証人になってくれる機関です。M&Aで資金調達が必要な場合に、活用しましょう。また、資金調達支援に加えて、経営支援も行っています。札幌市でM&Aを行う場合に、相談してみると良いでしょう。
参照元:「北海道信用保証協会」
札幌市でM&Aを成功させるポイント
札幌市でM&Aを成功させるために、意識したいポイントがあります。次のようなポイントを意識すると、成功しやすくなるため覚えておきましょう。
- ニーズに合う案件を選ぶ
- M&A後のシナジーで選ぶ
- 適正な金額で実施する
- 素早く動く
- コミュニケーションを重視する
ニーズに合う案件を選ぶ
M&Aを行う際は、自社のニーズに合った案件を選びましょう。案件選びをミスしてしまうと、M&Aの効果が発揮されません。注意したい点は、選択できる案件が少なく、適当に選んでしまうケースです。どの企業も同じだと思うと、失敗してしまいます。M&A仲介会社に相談して、選択肢を増やしながら、ニーズに合う案件を選びましょう。
M&A後のシナジーで選ぶ
M&A後に発生する、シナジーを意識して選ぶことも大切です。自社と相乗効果が発生するか、事前に想像しましょう。たとえば、M&Aを行うことで、提供できるサービスが増え、顧客満足度が上がることもシナジーです。また、資材や設備の取引が行いやすくなり、コストカットができることもシナジーになります。このように、M&Aを行う際は、シナジーを期待して行うことが基本です。自社とシナジーが発生する案件かどうか、入念に確かめましょう。
適正な金額で実施する
M&Aは、適正な金額で実施を進めることも大切です。相場を確認しながら、金額を決めましょう。もし、相場から離れた金額を提示した場合、案件がマッチングしない可能性もあります。相場に関しては、M&A仲介会社に確認をとることがおすすめです。
素早く動く
M&Aの実施が決まれば、すぐに動くようにしましょう。動きが遅くなることで、タイミングを逃す可能性があるからです。たとえば、案件を探すタイミングが遅れた結果、良い案件を逃がすケースもあります。また、売却タイミングを逃して、安い価格で売却しなければならないケースもあるでしょう。M&Aを成功させるには、タイミングも大切です。実施を決めたら、素早く動くようにしましょう。
コミュニケーションを重視する
M&Aを成功させるためには、コミュニケーションが重要です。交渉相手とのコミュニケーションは、丁寧に行いましょう。たとえば、交渉時の態度が悪いことで、破談になるケースもあります。また、コミュニケーション不足で連携がとれず、M&Aが停滞するケースもあるでしょう。M&Aは手続きが多く、複雑です。コミュニケーションを入念にとり、円滑に進められるよう心掛けましょう。
札幌市のM&Aで利用できる補助金
M&Aで必要になる資金を調達するため、補助金を利用することができます。札幌市で利用できるM&Aに関する補助金は、次の2つです。
- 札幌市事業再構築サポート補助金
- 事業承継・引継ぎ補助金
それぞれ、詳しい内容をみていきましょう。
札幌市事業再構築サポート補助金
札幌市事業再構築サポート補助金は、国が支給する事業再構築補助金に申請・採択された事業者を対象に、国の補助金に連動して上乗せ補助を行う制度です。
対象となるのは、札幌市内に主たる事業所(法人の場合は、登記上の本店)を有する中小企業者・個人事業主です。第1~5回公募分までの国補助金の「通常枠」「緊急事態宣言特別枠」「最低賃金枠」「大規模賃金引上枠」のいずれかの交付決定を受けている必要があります。
補助の対象となる事業は、「札幌市産業振興ビジョン改定版における重点分野」に関連する事業で、次に該当するものです。
- 観光
- 食
- 環境・エネルギー
- 健康福祉・医療
- IT・クリエイティブ
補助率は補助対象経費の6分の1までとなり、上限額は750万円です。
参照元:札幌市事業再構築サポート補助金
事業承継・引継ぎ補助金
事業承継・引継ぎ補助金は、経済産業省が運営する補助金です。事業承継やM&Aを契機とした経営革新等への挑戦や、M&Aによる経営資源の引継ぎ、廃業・再チャレンジを行おうとする中小企業者等を後押しする目的があります。
「経営革新枠」「専門家活用」「廃業・再チャレンジ枠」の3つがあり、それぞれの枠で対象者・対象経費・補助率・補助上限額が異なります。
参照元:経済産業省 北海道経済産業局「事業承継・引継ぎ補助金の公募を開始しました」
札幌市で行われたM&Aの事例
札幌市でも、過去にM&Aは行われています。これからM&Aを行う企業は、どのようなM&Aが行われていたか確認してみましょう。ここでは、札幌市で行われた、5つのM&A事例を紹介します。
株式会社ホクノー
株式会社ホクノーは、株式会社ワークセンターピアハーブのM&Aを実施しました。株式会社ワークセンターピアハーブが後継者を探していると連絡を受けたことから、M&Aの交渉を始めています。交渉の結果、「地域が近く連携がとりやすい」「株式会社ワークセンターピアハーブが栽培する野菜を自社スーパーで販売できる」などのシナジーが期待できることから、M&Aが成立しました。
参照元:札幌商工会議所「さっぽろ経済」
株式会社オムニテック
株式会社オムニテックは、M&Aを活用した事業継承を実施しました。もともと廃業を考えていましたが、「取引先に迷惑を掛けてしまう」「貴重な設備を処分せざるを得ない」などが問題になったからです。その後、事業承継先が見つかり、株式譲渡でのM&Aを実施しました。株式会社オムニテックの元社長は取締役として会社に残り、買い手企業をサポートしています。
参照元:札幌商工会議所「さっぽろ経済」
北海道不二サッシ株式会社
2018年、北海道不二サッシ株式会社は、連結子会社の北海道住宅サービス株式会社のM&Aを行ったと発表しました。北海道不二サッシ株式会社は建材事業を、北海道住宅サービス株式会社は住宅用建材の販売を行っています。このM&Aは、事業のリニューアルや経営基盤の拡大が目的と表明されました。このように、連結子会社をM&Aの対象とし、事業拡大を目指す事例もあります。
参照元:不二サッシ株式会社「当社連結子会社による北海道住宅サービス株式会社の株式の取得(孫会社化)に関するお知らせ」
株式会社クワザワ
株式会社クワザワは、連結子会社である株式会社エフケー・ツタイの石油事業を譲渡すると発表しました。譲渡先は、北海道エネルギー株式会社ならびに、FKエネルギー株式会社です。株式会社クワザワはこのM&Aに対し、事業の選択と集中を図るためと発表しています。このように、主力事業に絞るため、事業をM&Aで手放すケースもあります。
参照元:株式会社クワザワ「子会社の一部事業譲渡に関するお知らせ 」
株式会社ワールドホールディングス
株式会社ワールドホールディングスは、特定子会社である豊栄建設株式会社を譲渡すると発表しました。譲渡先は、エンデバー・ユナイテッド株式会社です。豊栄建設株式会社は、注文住宅事業を展開し、札幌でのシェアも多く抱えていました。しかし、事業拡大には、今まで以上の資源が必要になる課題も抱えています。その結果、さらなる事業拡大を目指すため、住宅や建設業界に対する投資実績を持つ、エンデバー・ユナイテッド株式会社に譲渡を行うことを決めました。このM&Aをきっかけに、北海道トップ企業を目指すと表明しています。
参照元:株式会社ワールドホールディングス「特定子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ」
株式会社サツキャリ
人材サービスを展開している株式会社サツキャリは、有限会社ウィズの解散に伴い、同社の人材サービス事業を譲り受ける合意をしました。
ウィズ社は、旭川エリアで試食マネキンのプロフェッショナルとして事業を推進しており、培ってきたノウハウやスタッフの活躍の場が失われることは人材紹介・人材派遣業界における大きな損失と考え、引き継ぐことにしたということです。
サツキャリではウィズ社が培った信頼や実績、プロ意識を踏襲して、高品質な人材サービス事業を推進するとしています。
参照元:株式会社サツキャリ「サツキャリからのお知らせ」
株式会社アークス
札幌市に本社を置くスーパーマーケットチェーン・株式会社アークスは、株式会社バローホールディングス・株式会社リテールパートナーズとの3社間で資本業務提携を締結し、「新日本スーパーマーケット同盟」を発足しました。
それぞれの経営資源や経営ノウハウを有効活用し、地域に密着した独立系食品流通企業の結集を目的としています。
2018年の提携から3年を経て、原価低減やコスト削減、周辺事業への投資などで実績を上げています。
参照元:株式会社アークス「新日本スーパーマーケット同盟」提携進捗状況に関するお知らせ」
まとめ
札幌市は深刻な後継者不足に悩む企業が多く、事業承継の方法としてM&Aを行う企業が増えています。M&Aを成功させるには、M&A後のシナジーを考えながら、自社のニーズに合う案件を選ぶことが大切です。
M&Aをスムーズに進めるために、専門家の協力も欠かせません。北海道事業承継・引継ぎ支援センターといった公的機関や、M&A仲介会社のような専門家に相談するとよいでしょう。M&A仲介会社に相談する際は、自社に合った仲介会社を選ぶ必要があります。M&Aの規模や業界に強い仲介会社を探し、相談してみましょう。
M&AならレバレジーズM&Aアドバイザリーにご相談を
札幌市でのM&Aを検討されている方は、レバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社のご利用をご検討ください。各領域で実績を積み重ねたコンサルタントが在籍し、相談から成約まで一貫してサポートを行います。料金体系は、M&Aご成約時に料金が発生する完全成功報酬型です。譲受会社のみ中間金の設定があるものの、M&Aのご成約まで、ご相談も含めて無料でご利用いただけます。「札幌市でM&Aを成功させたい」という方は、お気軽にお問い合わせください。