沖縄県のM&Aの傾向は?利用できる制度や実際の事例を合わせて解説
2024年8月5日
このページのまとめ
- 沖縄県では後継者不足に悩む企業が多い
- 都市部と比べるとM&Aが浸透していないため、相手企業が見つかりにくい
- 沖縄県には国や県が主導してM&Aや事業承継を進める支援機関が多数ある
- 沖縄県ではM&Aに活用できる補助金制度を実施していることがある
- 沖縄県でM&Aを進めていくときは信頼できるM&A仲介会社のサポートが必要
沖縄県では後継者不足に悩む企業が多く、全国的に見ても後継者不在率が高い傾向にあります。しかし、事業は家族や親族で承継するものという考え方が根強く、M&Aによる事業承継はあまり普及していません。
本記事では、沖縄県のM&Aの傾向や現状について解説します。また、沖縄県でM&Aを実施する際に利用できる支援機関や制度についても紹介します。ぜひ参考にして、M&Aの実施に活かしてください。
目次
沖縄県の特徴
沖縄県でのM&Aには、沖縄県ならではの特徴も関わってきます。まずは、沖縄県の企業や産業がどのような状況にあるかを知っておきましょう。
観光業が盛ん
沖縄県の特徴は、観光業が盛んなところです。沖縄県によると、観光業を含む第3次産業の割合は、84.2%を占めています。観光客の多い沖縄では、ホテルやレンタカー、土産店などの企業が多い状態です。観光は沖縄の産業のメインであり、今後も観光業を生業にする企業が多い状況が続くでしょう。
参照元:沖縄県「産業の内訳(うちわけ)」
建設業も多い
観光業のほかに盛んな業種が、建設業です。公共事業も多く、建設業を営む企業も増加しています。一方で、建設業に携わる従業員の高齢化が進んでいる点がポイントになるでしょう。高齢化が進むと、後継者不足に悩まされることになります。このような、建設業の高齢化を含めた問題を解決するために、沖縄県は「沖縄県建設産業ビジョン」を開始しました。沖縄県主導で建設業の人員確保、高齢化の改善に動き出しています。
参照元:沖縄県「沖縄県建設産業ビジョン2018」
沖縄で行われるM&Aの傾向
沖縄県でM&Aを行うために、沖縄県で行われるM&Aの傾向を知っておきましょう。M&Aは地域ごとにも特色があるため、沖縄県ならではの特徴を知っておくことが大切です。
後継者不足解消のM&Aが多い
沖縄県では、後継者不足に悩む企業が多い状況です。帝国データバンクの「「後継者不在率」動向調査(2023年)」によると、2023年時点で、沖縄県で後継者不在と答えた企業は66.4%でした。
年 | 後継者不在率 |
2018年 | 83.5% |
2019年 | 82.9% |
2020年 | 81.2% |
2021年 | 73.3% |
2022年 | 67.7% |
2023年 | 66.4% |
徐々に後継者不在率は下がっていますが、「後継者が不在だ」と回答した企業のうち42.5%が2018年から継続して不在であることから、状況が改善されていない企業も多いと見られます。
また、過去最低の数字ではありましたが、全国的に見るとまだまだ高く、鳥取県・秋田県・島根県・北海道に次いで5番目に高い数字です。なお、2023年時点の後継者不在率の全国平均値は53.9%でした。
2011年~2020年までは一貫して沖縄県の後継者不在率が全国1位であったことからも、後継者問題は長く深刻な状況であることが分かります。このような現状からも、沖縄県では、後継者不足解消を目的としたM&Aが多いと推察されます。
参照元:帝国データバンク「沖縄県「後継者不在率」動向調査(2023年)」
観光が盛んなため、ホテルのM&Aも多い
沖縄県では、ホテルのM&Aも多い状況です。その背景には、新型コロナウイルスによる経営難があります。新型コロナウイルスの影響で、沖縄県の観光もダメージを受けました。そのため、経営難に陥り、M&Aを望む経営者が増えています。一方で、状況が落ち着けば、観光業は勢いを取り戻すと考えている経営者もいます。そのような経営者は、M&Aに買い手側で参加し、買収を行う状況です。このように、沖縄県では、ホテルのM&Aも盛んです。ニーズの高い分野になるため、買い手側も参入しやすい分野になっています。
沖縄でのM&Aが難しいとされる理由
沖縄県でM&Aを行うことは、難しいとされています。では、どのような理由で、M&Aが難しいと言われているのでしょうか。ここでは、その具体的な理由を3つ紹介します。
- M&Aに消極的な企業が多い
- M&Aの対象が少ない
- M&Aの情報も少ない
M&Aに消極的な企業が多い
沖縄県でM&Aを行うことが難しい理由は、M&Aに消極的な企業が多いからです。M&Aが身近ではなく、選択肢に挙げられません。たとえば、何代も親族で経営してきた企業は、他社へのM&Aに消極的になりやすい状況です。また、自社に愛着があり、手放せない経営者も多くいます。沖縄県では、東京などと比べると、まだM&Aが普及していません。そのため、M&Aに消極的な企業も多く、実施が難しい現状です。
M&Aの対象が少ない
M&Aの対象が少ないことも、M&Aが実施できない理由です。沖縄県は、企業数が大都市と比べると少ない状況にあります。M&Aを行うために必要なものが、M&Aを行う企業数です。M&Aを行う意思がなければ、買収も売却もできません。また、企業数が少ない分、選択肢も狭まり、M&Aを行いたくてもうまくマッチングできないケースもあります。このように、M&Aの対象が少ない点も、M&Aが難しい理由です。
M&Aの情報も少ない
M&Aを行うための情報が少ないことも、M&Aが難しい理由です。沖縄県には、M&Aの情報を持つ、専門家や仲介会社が少ない状況が影響しています。M&Aの中心は東京のような都市圏です。そのため、M&A仲介会社も東京などの都市圏に集まります。すると、沖縄県でM&Aを行いたくても、相談先が見つからないこともあります。沖縄に詳しくない仲介会社に相談しても、M&Aがうまくいくとは限りません。このようにM&Aに関する情報が少なく、集めにくい点も、沖縄県でM&Aが難しい理由になります。
関連記事:地方でのM&A動向と特有の難しさ、後継者問題や事例を解説
沖縄県でM&Aを実施する方法
沖縄県でM&Aを実施するためには、専門家のサポートが欠かせません。ここでは、沖縄県でM&Aを実施する方法を紹介するため、参考にしてください。
- M&Aマッチングサービスを活用する
- M&A仲介会社を利用する
- 金融機関に相談する
M&Aマッチングサービスを活用する
M&Aの案件を探す場合は、M&Aのマッチングサービスを活用しましょう。売り手と買い手をマッチングしてもらえるため、案件が見つかります。マッチングサービスの場合、マッチング成立まで費用がかからないケースも多く、コストを抑えて案件を探せます。ただし、M&Aに関するアドバイスがもらえない点には、注意しましょう。
M&A仲介会社を利用する
M&Aに関する相談は、M&A仲介会社に行いましょう。案件探しから契約成立まで、M&A全般のサポートがもらえます。M&Aを行う際には、どこから調べるか、行動するか分からない経営者も多いことでしょう。M&A仲介会社であれば、M&A全体でアドバイスがもらえるため、安心してM&Aを進められます。
金融機関に相談する
金融機関でも、M&Aに関する支援を受けられます。地元の金融機関とつながりがある場合は、利用してみると良いでしょう。金融機関の場合は、資金面のサポートと、専門家の紹介を行ってくれるケースが多い状況です。M&A開始後のアドバイスは、難しいケースが多いことだけ注意しましょう。
沖縄県でのM&Aには仲介会社が不可欠な理由
沖縄県でM&Aを行う場合、仲介会社のサポートが欠かせません。ここでは、なぜ、沖縄県でのM&Aに仲介会社が不可欠なのか、その理由を紹介します。
- より多くの情報を入手するため
- 案件を紹介してもらうため
- M&A全体のアドバイスをもらうため
より多くの情報を入手するため
沖縄県のM&Aで仲介会社を利用する理由は、より多くの情報を入手するためです。M&Aの成功には、情報収集が欠かせません。たとえば、案件を探す際に、多くの案件先を探して比較を行うことが大切です。また、相場の情報を知らなければ、損してしまうこともあるでしょう。このように、沖縄県でM&Aを成功させるには、より多くの情報を提供してもらえる、仲介会社の協力が欠かせません。自社だけでは情報入手が難しいため、仲介会社を活用しましょう。
案件を紹介してもらうため
M&Aの案件を紹介してもらうためにも、仲介会社のサポートが必要です。自社の人脈だけで探しても、なかなか案件は見つからないでしょう。仲介会社であれば、買い手と売り手の両方が、M&Aの情報を求めて集まります。そのため。案件も多く抱えることになり、選択肢が増加するでしょう。一方で、自社だけで探しても、そう簡単に案件は見つかりません。案件の選択肢を増やし、良いM&Aを行うためにも、仲介会社の紹介が必要です。
M&A全体のアドバイスをもらうため
M&A全体のアドバイスをもらうためにも、M&A仲介会社が必要です。M&Aは手続きや契約が多く、専門家のアドバイスがなければ大変になるでしょう。仲介会社のサポートがあれば、M&Aで困ったときにいつでも相談できます。しかし、サポートがない場合、困っても誰に相談するか分かりません。また、ミスに気づかずに手続きを進め、後から後悔するケースも出てくるでしょう。このように、M&Aを成功させるためには、仲介会社の存在が重要です。アドバイスをもらいながら進めることで、M&A成功につながります。
沖縄県でのM&A仲介会社の選び方
M&Aを成功させるためには、M&A仲介会社の選び方も大切です。自社に合った仲介会社を選べるようにしましょう。ここでは、沖縄県でM&A仲介会社を選ぶ際のコツやポイントを紹介します。
- 沖縄県の企業に詳しい
- 料金体系が明確
- M&Aの実績が多い
- M&Aしたい業界の知識が豊富
- 専門家との人脈が豊富
- 自社と同規模のM&Aを行ったことがある
沖縄県の企業に詳しい
沖縄県でM&Aを行う際には、沖縄県の企業に詳しい仲介会社が大切です。沖縄県に詳しくなければ、特徴を掴めずに失敗してしまうでしょう。たとえば、沖縄県の場合は、「後継者不足に悩む企業が多い」「観光業が盛んである」などの特徴があります。M&Aを行うために、このような情報は欠かせません。また、沖縄県の企業に詳しければ、案件情報も多く入手できます。沖縄県で仲介会社を探す場合は、沖縄県の企業に詳しい仲介会社を選びましょう。
料金体系が明確
料金体系の分かりやすさも、仲介会社を選ぶ際のポイントです。料金体系を提示している仲介会社を選びましょう。料金に関しては、月額で支払う仲介会社もあれば、着手金やデューデリジェンスのように、M&Aの場面ごとに支払う仲介会社もあります。料金体系を見て、自社に合う仲介会社を選びましょう。不透明な場合、想定外の費用が発生するケースがあるため、注意してください。
M&Aの実績が多い
M&Aの実績が多いことも、仲介会社選びに大切です。実績が多いことで、さまざまなケースに対応できます。M&Aを行うと、経営者だけでは対応できないケースがよくあります。その際、M&A実績が多い企業であれば、安心して対応してもらえるでしょう。実績が多いほど、知識や経験も豊富です。M&Aを成功させるためには、実績で選ぶことも必要になります。
M&Aしたい業界の知識が豊富
自社がM&Aしたい業界の知識を持っているかも確認しましょう。業界ごとに、必要な知識が変わるからです。たとえば、医療業界になると、株式会社ではなく医療法人や財団法人が増え、区分が変わります。一方で、建設業の場合は許認可の問題が発生します。このように、業界ごとに特徴が変わり、業界の知識がなければM&Aは成功しません。自社がM&Aしたい業界の知識があるか、実績があるかも確かめておきましょう。
専門家との人脈が豊富
専門家との人脈を持っていることも、仲介会社を選ぶポイントの1つです。M&Aを行うには、さまざまな分野の専門家が欠かせません。たとえば、M&Aは会社法に基づいて進めるため、法律の専門家である弁護士が欠かせません。また、相続税や贈与税などの税金も絡むため、税理士の力も必要です。このように、M&Aを行う際には、さまざまな分野の専門家が必要になります。専門家の人脈が豊富で、対応できる仲介会社を選ぶことも大切です。
自社と同規模のM&Aを行ったことがある
自社と同規模のM&Aを行ったことがあるか、確認しておきましょう。会社の規模によって、M&Aの方法が変わるからです。たとえば、大企業の場合、株式譲渡でM&Aを行うケースが増えます。しかし、中小企業は親族に跡を継いでもらうケースも多くなるでしょう。この場合、大企業のM&Aしか慣れていない仲介会社では、親族承継に対応できないケースもあります。このように、仲介会社を選ぶ際は、自社と同規模のM&Aを行ったことがあるか確認しましょう。企業規模が変わると、M&Aの特徴が変わることに注意が必要です。
全国から相手企業を探してくれる
三大都市圏と比べると少ないものの、沖縄県内にもM&Aをサポートする仲介会社は存在します。しかし、M&A仲介会社によっては県内企業との仲介をメインとしている可能性があり、相手となる候補企業が少なく、条件に合致する企業が見つかりにくいことがあります。
沖縄だけにこだわると理想的な相手が見つからないことがあるため、全国を対象にM&Aを実施している仲介会社が望ましいといえるでしょう。沖縄でのビジネス参入を考えている県外の会社をターゲットにするためにも、全国規模で活動しているM&A仲介会社がおすすめです。今までの成約事例をチェックし、特定の地域に偏らずにM&Aを成立させているか確認してみてください。
オンラインで丁寧にサポートしてくれる
全国規模のM&A仲介会社の場合、沖縄県内に拠点がない可能性があります。東京や大阪などの都市圏のみに拠点のあるM&A仲介会社や、九州・沖縄エリアを1つの支店でまとめて取り扱っているM&A仲介会社も少なくありません。
しかし、電話やインターネット経由で丁寧にサポートしてくれるM&A仲介会社なら、沖縄県に拠点がなくても問題なくM&Aを進めていけます。次のポイントを満たしているかをチェックし、オンライン対応が充実したM&A仲介会社を見つけてください。
- 正式に依頼する前でも無料でメール相談ができる
- 電話での相談に対応している
- オンラインや対面の個別相談を希望の日時で実施してくれる
沖縄県でM&Aを行う際の注意点
沖縄県でM&Aを行う際の注意点を紹介します。次の3つに注意しながら、M&Aを進めましょう。
- M&Aを行う目的を定める
- デューデリジェンスを入念に進める
- PMIの達成に注力する
M&Aを行う目的を定める
沖縄県でM&Aを行う場合、M&Aの目的を定めましょう。目的が決まることで、M&Aが進みやすくなります。たとえば、目的が明確な場合、案件を選ぶのも楽になるでしょう。目的に沿った基準で、案件先を決定できます。もし、目的が曖昧な場合、M&Aで迷う機会が増加します。途中で方針を変えないためにも、目的を明確にし、軸をずらさないようにしましょう。
デューデリジェンスを入念に進める
デューデリジェンスを行う際には、丁寧に、入念に進めましょう。デューデリジェンスの内容次第で、M&Aの成功に大きく関わるからです。デューデリジェンスでは、売り手企業の財務状況や資産価値を算出し、買収価格を決定します。同時に、簿外債務のような買収リスクがないかもチェックする場面です。もし、デューデリジェンスに失敗してしまうと、交渉後に問題が明らかになり、損をする可能性もあります。M&Aを行う際には、仲介会社のような専門家にデューデリジェンスを依頼し、入念に進めるようにしましょう。
PMIの達成に注力する
M&A実施後は、PMI(Post Merger Integration/ポスト・マージャー・インテグレーション)に注力しましょう。PMIとは、M&A実施後のプロセスであり、M&A後の企業が事業拡大できることです。PMI達成には、売り手と買い手両方が協力し合い、1つの企業になることが求められます。売り手の従業員とコミュニケーションをとる、売り手の顧客や取引先も大切にするなどのように、M&A後も気を抜かないようにしましょう。
沖縄県でM&Aを行う際に役立つ支援機関
沖縄県でM&Aを行う際に、活用できる支援機関を紹介します。国や県が主導となって活動している支援機関も多く、無料でサポートを受けられることも多いです。主な支援機関としては、次のものが挙げられます。
- 沖縄県事業引継ぎ支援センター
- 沖縄県後継者人材バンク
- 沖縄県中小企業活性化協議会
それぞれの支援機関について見ていきましょう。
沖縄県事業承継・引継ぎ支援センター
沖縄県事業引継ぎ支援センターは、「自社を譲渡したい」「M&Aで買収したい」「後継者問題を解決したい」などの状況を相談できる機関です。国が運営を行っており、無料で相談できる点がポイントです。那覇商工会議所に設置されているため、那覇市近辺の企業はうまく活用しましょう。
参照元:「沖縄県事業承継・引継ぎ支援センター」
沖縄県後継者人材バンク
沖縄県後継者人材バンクとは、独立や開業を考える人と、後継者を探している人をマッチングさせるサービスです。沖縄県事業承継・引継ぎ支援センターが運営しているため、安心して利用できます。後継者不足は、沖縄県での大きな課題です。マッチングサービスで後継者を見つけることで、廃業を避け、事業存続につながります。
参照元:「沖縄県後継者人材バンク」
沖縄県中小企業活性化協議会
中小企業活性化協議会とは、経営が悪化している中小企業の再生を目的として設立された経済産業大臣認定の公的機関です。すべての都道府県に1箇所ずつあり、沖縄県では那覇商工会議所が国より委託を受ける形で設置しています。
中小企業活性化協議会は公正中立な第三者機関として、事業や財務の見直しをサポートします。サポートの流れについては以下をご覧ください。
- 支援を受けたい事業者が中小企業活性化協議会に相談を申し込む
- 事業者が提出した財務資料に基づき、資金繰り改善や経営改善のアドバイス、利用できる機関の紹介などを行う
- 中小企業活性化協議会で個別支援チームを結成し、再生計画策定支援を行う
アドバイスや機関紹介は原則無料で受けられます。経営を根本的に見直したいときには、中小企業活性化協議会への相談を検討してみてください。
参照元:「沖縄県中小企業活性化協議会」
沖縄県でM&Aを行う際に活用できる制度
沖縄県でM&Aを実施する際には、国や県などの公的支援制度も利用できます。主な制度としては、次のものが挙げられます。
- 経営承継円滑化法
- 事業承継税制
- 中小企業等経営革新強化支援事業費補助金
- 事業承継補助金
それぞれの制度について見ていきましょう。
経営承継円滑化法
経営承継円滑化法とは、中小企業の事業承継を支援する法律のことです。金融機関や那覇商工会議所の支援で事業計画書を作成すると、沖縄県や国の認定を受けられます。認定を受けた場合、次のような措置の対象になるため、活用しましょう。
- 税制支援
- 金融支援
- 遺留分に関する民法の特例
参照元:那覇市「事業承継・引継ぎ支援」
事業承継税制
事業承継税制とは、中小企業の後継者が先代経営者などから取得した非上場株式等にかかる相続税・贈与税について、一部あるいはすべてが猶予される制度です。
また、令和元年~令和10年12月31日までの限定で、事業承継税制は個人事業者に対しても適用されます。青色申告にかかる事業を行っていた事業者の後継者に限られますが、個人の事業用資産を取得したときも、その資産にかかる相続税・贈与税の一部あるいはすべてが猶予もしくは免除されます。
参照元:沖縄県「事業承継税制」
中小企業等経営革新強化支援事業費補助金
中小企業等経営革新強化支援事業費補助金とは中小企業等経営強化法に基づく制度で、沖縄県知事の承認を受けた中小企業者等が実施する経営革新を目的とした事業に必要な経費に対し、一定の補助金を交付する制度です。
年度ごとに募集があるため、沖縄県のホームページをこまめにチェックしておきましょう。参考までに、令和5年度の中小企業等経営革新強化支援事業費補助金では、経営革新のために専門家を派遣する費用や外部に委託する費用などが対象でした。また、補助金は実際に支払った金額の3分の2かつ50万円を上限と規定されていました。
参照元:沖縄県「中小企業等経営革新強化支援事業費補助金」
事業承継補助金
沖縄県産業支援公社では、沖縄県内の中小企業等の事業承継を進めるために、事業承継にかかる経費の一部を補助する補助金制度を実施しています。M&A仲介会社に支払う着手金や成功報酬、経営改善のための経費などに活用できるため、該当する場合は申請してみてください。
事業承継補助金も年度ごとに募集があるため、こまめに沖縄県産業支援公社のホームページをチェックすることが必要です。なお、補助率は3分の2、補助上限額は100万円です。
参照元:沖縄県産業支援公社「事業承継補助金」
沖縄県でM&Aを成功させるポイント
沖縄県でM&Aを成功させるためのポイントも知っておきましょう。次のようなポイントを意識して、M&Aを進めてみてください。
- ニーズに合った案件を選ぶ
- M&A後のシナジーを想定する
- 適正な金額で行う
- M&A実施を決めたら素早く動く
- 交渉先とのコミュニケーションを重視する
ニーズに合った案件を選ぶ
M&Aの案件を選ぶ場合、ニーズに合った案件を選びましょう。無理に案件を選んでしまうと、M&Aが失敗するからです。たとえば、人材確保を目的にM&Aを行う場合、良い人材が集まる企業を探しましょう。人材が少ない、優秀な人材がいない企業を選んでも、M&Aによる効果を発揮できません。ニーズに合った案件を選ぶためには、複数の案件を比較し、選ぶことも大切です。M&A仲介会社に相談して、より多くの案件を紹介してもらうようにしましょう。
M&A後のシナジーを想定する
M&Aでは、M&A実施後のシナジーを想定しましょう。シナジーが発生すれば、M&Aの効果を実感できます。たとえば、シナジーが発生した結果、売上拡大につながるケースもあります。また、経営ノウハウを共有した結果、生産性が向上する事例もありました。M&Aでは、シナジーを意識して、取引先を選ぶことが大切です。どの企業であれば、自社が成長できるか考えて案件を選びましょう。
適正な金額で行う
M&Aの実施は、適正な金額で行いましょう。相場を知っておくことで、適正な金額で交渉が実施できます。相場を知るためには、M&A仲介会社に相談し、情報を入手しましょう。過去の事例や現在の市場を参考に、予算を決めることが大切です。相場より高くすると買収先が現れず、相場より低いと損をします。状況に合わせて、適正な金額で実施しましょう。
M&A実施を決めたら素早く動く
M&A実施が決まれば、素早く動くようにしましょう。タイミングが遅くなることで、M&Aに失敗してしまう可能性が上がるからです。たとえば、M&Aを保留していた結果、経営者が体調不良になり、M&Aが実行できなくなったケースもあります。また、良い案件が他社に先を越されてしまい、M&Aがうまくいかなくなることもあるでしょう。このように、M&A実施を決めたら、素早く動くことが大切です。余裕を持って準備をしておくと、落ち着いてM&Aを実施できるでしょう。
交渉先とのコミュニケーションを重視する
M&A成功には、交渉先とのコミュニケーションが欠かせません。売り手でも買い手でも重要になるため、覚えておきましょう。たとえば、買い手がコミュニケーションを怠った結果、売り手の経営者や従業員が離れていき、必要な人材が残らないケースもあります。また、売り手のコミュニケーションがうまくいかず、交渉が破断するケースもあるでしょう。M&Aを成功させるためには、コミュニケーションが欠かせません。丁寧に対等なコミュニケーションを意識しましょう。
沖縄県で行われたM&Aの事例
沖縄県でも、実際にM&Aは行われています。過去にどのようなM&Aが行われたか、確認しておきましょう。ここでは、沖縄県で実施されたM&Aを4つ紹介します。
株式会社国際ビル産業
株式会社国際ビル産業は、アーバンスペースのM&Aを実施しました。アーバンスペースの経営は順調でしたが、後継者がおらず、存続が難しくなっていたためです。株式会社国際ビル産業は、ビルメンテナンスを行う企業です。アーバンスペースは駐車場を管理しており、併売などでシナジーが期待できると判断しました。M&A後も社名と従業員はそのままで、アーバンスペースは子会社になり事業を継続しています。
参照元:独立行政法人中小企業基盤整備機構「「アーバンスペース→国際ビル産業(浦添市)」セミナーを機にM&A決断」
株式会社グッドスピード
2020年、株式会社グッドスピードは、株式会社エンジョイレンタカーのM&Aを行いました。株式会社グッドスピード、株式会社エンジョイレンタカーともに、レンタカー事業を行う企業です。株式会社グッドスピードは、このM&Aをきっかけに、沖縄県でのレンタカー事業参入に成功しています。新規エリア拡大を目指す買い手のニーズに沿ったM&Aでした。
参照元:株式会社グッドスピード「沖縄県のレンタカー事業譲り受けに関するお知らせ」
沖縄セルラー株式会社
2009年、沖縄セルラー株式会社は、沖縄通信ネットワークのM&Aを実施しました。沖縄セルラー株式会社は、通信事業を行う企業です。沖縄通信ネットワークは電気通信事業を運営しており、通信事業をより強固にする目的でM&Aが行われました。沖縄セルラー株式会社は、「顧客基盤・インフラ等、沖縄通信ネットワークが築いてきた事業基盤を活かし、沖縄地区における通信事業の更なる展開を図ることができる」と表明しています。
参照元:沖縄セルラー株式会社「au沖縄セルラー会社概要」
沖縄振興開発金融公庫
2016年、沖縄振興開発金融公庫は、株式会社ジーオー・ファームのM&Aを実施しました。沖縄振興開発金融公庫は、親会社の運営する、牡蠣の陸上養殖事業を承継するために設立された会社です。株式会社ジーオー・ファームも牡蠣養殖事業を行っており、事業拡大とシナジー発生を目的にM&Aが実行されました。
参照元:沖縄振興開発金融公庫「沖縄公庫、㈱ジーオー・ファームに対し、1億9千万円の出資を実行 ~海洋深層水を活用した世界初の「アタラナイ牡蠣」の完全陸上養殖事業を支援~」
まとめ
沖縄県では後継者不在率が徐々に改善されてはいるものの、まだ全国的に見ても高い水準であり、後継者不足に悩む企業は多いのが現状です。また、M&Aもあまり普及していないため、県内だけに絞って相手企業を探すのは困難といえます。
沖縄県でのM&Aを成功させるためにも、ぜひレバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社にご相談ください。M&Aを専門としたアドバイザリー会社のレバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社では、全国から候補企業をご紹介し、成約まで一貫したサポートをご提供いたします。
料金は完全成功報酬型で、M&A成約まで無料でご利用いただけます(譲受側のみ中間金あり)。事業承継や後継者不足でお悩みのときは、まずはお気軽にお問い合わせください。