スモールM&Aとは?個人の起業に利用可能?融資や資金調達についても解説

2023年9月8日

スモールM&Aとは?個人の起業に利用可能?融資や資金調達についても解説

このページのまとめ

  • スモールM&Aとは、小規模な会社や個人事業主を対象とするM&Aのことを指す
  • スモールM&Aで取引される案件には飲食店やWebサイト、美容室などがある
  • スモールM&Aのメリットは、低価格で買収できることや事業を迅速に始められること
  • スモールM&Aは個人が実施することも可能
  • スモールM&Aを取り扱うマッチングサイトや仲介会社が増加し、実施しやすくなっている

「スモールM&Aとは?」「成功させるにはどうしたらよい?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか?スモールM&Aとは、小規模な会社や個人事業を取引の対象とするM&Aのことを指します。

スモールM&Aを実施する目的を明確にし、早めに動き始めることが成功の第一歩といえるでしょう。本コラムでは、スモールM&Aの概要や実施までの流れ、成功させるポイントを解説。また、スモールM&Aでよく取り扱われるジャンルや実際に行われた事例を紹介します。

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スモールM&Aとは

「スモールM&A」とは、小規模な会社や個人事業を対象とするM&Aのことです。「マイクロM&A」と呼ばれることもあります。一般的に、以下のような取引がスモールM&Aです。

  • 譲渡額が1億円以下であるM&A
  • 売上高が1,000万円から5億円ほどの会社のM&A
  • 従業員数が30名程度までの会社のM&A
  • 個人事業を対象としたM&A

スモールM&Aにおける「小規模」の定義は、1つに定められているわけではありません。認識にばらつきがあるので、もしスモールM&Aを専門としてサポートしてくれる支援機関を利用する場合は、その支援機関のスモールM&Aの定義を確認しましょう。

スモールM&Aは取引価格が低めなので、サラリーマンなどの個人でも実施可能です。また、スモールM&Aをサポートしてくれるマッチングサイトや仲介会社もあり、個人でも始めやすい環境が整っています。

スモールM&Aの対象になりやすい業種

スモールM&Aで取引される具体例には、以下のようなものがあります。

  • 飲食店
  • Webサイト
  • 美容室
  • エステサロン
  • 学習塾
  • 工場
  • カフェ
  • 喫茶店
  • ラーメン屋
  • 調剤薬局
  • クリニック
  • ガソリンスタンド
  • 製造業
  • アパレルショップ
  • 雑貨屋
  • ホテル
  • 旅館
  • フィットネスクラブ
  • スポーツジム

上記に挙げた業種であれば、個人の自己資金で買収できます。低コストで済むうえ、すぐに始められる環境が整っているため、副業として始めることもおすすめです。

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スモールM&Aに注目が集まる4つの理由

近年、スモールM&Aに注目が集まっている理由は、主に以下の4つです。

  1. 経営戦略としてのスモールM&Aの知名度が上がったから
  2. 仲介会社がスモールM&Aを取り扱うようになったから
  3. Web上にマッチングサイトが増えたから
  4. 事業承継の手段になるから

以下で詳しく解説します。

1.経営戦略としてのスモールM&Aの知名度が上がったから

スモールM&Aの人気が高まっている理由の1つは、経営戦略として有効であることがよく知られるようになったからです。スモールM&Aを行うことで、起業ができたり新規事業に参入できたりします。

また、既存の事業の強化や、スケールメリットの獲得などをかなえるためにもスモールM&Aが有効です。そういったスモールM&Aの有用性が広まったことにより、前向きに検討する人が増えて、知名度が上がっています。

2.仲介会社がスモールM&Aを取り扱うようになったから

スモールM&Aの注目度アップを後押ししたのは、仲介会社が増加したこともあります。スモールM&Aを実施するためには、専門的な知識が必要です。

支援機関を利用せずにスモールM&Aを行うことは困難であるため、仲介会社が見つからず諦めた会社もいたことでしょう。しかし現在では、スモールM&Aを手助けしてくれる仲介会社が増えているため、挑戦しやすくなってきています。

3.Web上にマッチングサイトが増えたから

Web上にM&Aマッチングサイトが増えていることにより、スモールM&Aの人気が高まっているのも事実です。スモールM&Aのマッチングサイトには、譲渡・譲受を希望する企業の案件が数多く集まっています。

検索機能が備わっており、希望条件の案件を簡単に絞り込むことが可能です。マッチングサイトは、インターネットが使えれば誰でも見られるので、スモールM&Aを実施しようとする個人や小規模企業も利用しやすくなっています。

4.事業承継の手段になるから

スモールM&Aに対する注目度の高まりは、売り手側の需要が高まっていることも関係しています。後継ぎが見つからないためにやむを得ず廃業するという「後継者問題」は、小規模な会社や個人事業が抱えやすい悩みの1つでしょう。

後継者問題を打破する方法が、スモールM&Aによる事業承継です。事業承継を行うための選択肢にスモールM&Aを挙げる人が増えてきています。

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スモールM&Aの2つのメリット

スモールM&Aの大きなメリットは、主に「低価格で買収できること」と「起業の準備期間を短くできること」の2つです。

1.低価格で買収できる

スモールM&Aのメリットは、低価格で買収ができることです。スモールM&Aは明確に定義されているわけではありませんが、比較的小さな規模のM&Aを指します。

譲渡額が小さいので、少ない資金でM&Aを実施することが可能です。低コストで買収できる会社も数多く存在するので、個人の方もスモールM&Aに挑戦しやすいでしょう。

2.起業の準備期間を短くできる

スモールM&Aのメリットの1つは、事業を手早く始められることです。スモールM&Aを行った場合、買収先の資産や設備をそのまま引き継げます。また、今まで売り手側の会社が運営するなかで、つながりを築いてきた取引先や顧客がいる状態です。

本来なら時間・労力をかけて作り上げていくものがすでにできあがった状態であるため、すぐに事業をスタートできます。まっさらな状態から起業するときと比べて、準備期間が大幅に短くなるでしょう。

これまで買い手側のメリットを述べてきましたが、売り手側にも以下のようなメリットがあります。

  • 譲渡益を獲得できる
  • 後継者問題が解決できる
  • 従業員の雇用を守れる

売り手側にも多くのメリットがあり、スモールM&Aにおいて売り手側と買い手側はWin-Winの関係にあるといえるでしょう。

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スモールM&Aを行う2つの方法

スモールM&Aを実施するときの方法は、主に「事業譲渡」か「株式譲渡」のどちらかです。

1.事業譲渡

事業譲渡とは、会社の事業のすべてもしくは一部を第三者に売るM&Aの手法です。スモールM&Aにも用いられます。事業譲渡は、事業のみを譲渡する方法です。会社の経営権は移らず、売り手企業に残ります。

事業譲渡の買い手側の大きなメリットは、株式譲渡と違い、債務を引き継ぐリスクがないことです。一方で、取引先とは契約を結び直さなければならなかったり、従業員とは個別に移籍する同意を得て雇用契約を新たに結ぶ必要があったりするなど、手続きが多岐にわたることがデメリットといえます。

関連記事:中小企業で事業譲渡を行う場合のポイントは?注意点を合わせて解説

2.株式譲渡

株式譲渡とは、株主が保有する株式の過半数を譲渡することによって、会社の経営権を移転させるスモールM&Aの手法を指します。事業譲渡と比べて必要な手続きがシンプルに済むことがメリットです。比較的容易に経営権を移行させられます。

ただし、株式譲渡においては、売り手企業の資産だけではなく、負債もすべて引き継がなければなりません。また、簿外債務があった場合に不利益を被るリスクがあります。スモールM&Aで契約を交わす前までに、しっかり調査を行いましょう。

関連記事:株式譲渡とは?実施の流れや準備、メリットなどを解説

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スモールM&Aの案件を探す4つの方法

スモールM&Aの案件を探す方法は、主に以下の4つです。

  1. 知り合いにあたる
  2. 金融機関に相談する
  3. スモールM&Aのマッチングサイトを利用する
  4. スモールM&Aの仲介会社を利用する

知り合いや取引のある金融機関を頼るほか、スモールM&Aの支援機関を活用する方法があります。

1.知り合いにあたる

会社や事業の譲り先を探していないか、知り合いに聞いてみましょう。また、店舗やECサイトなどを畳もうとしている知り合いにスモールM&Aを提案することも1つの手です。

「スモールM&A」という譲渡方法を知らないだけで、手法のメリットが分かれば前向きに検討してくれる可能性があります。

もともと知っている人であれば、スモールM&Aをするにあたってその人物が信用に足るのかどうかを確かめる手間が省けて楽です。知り合いにスモールM&Aを持ちかける場合、相手選びに失敗するリスクは比較的低いといえるでしょう。

2.金融機関に相談する

金融機関でもスモールM&Aの相談を受け付けていることがあります。取引をしている金融機関がある場合は、相談してみましょう。金融機関はたくさんの地元企業と取引をしており、各社の経営状況も把握しています。

どのような企業とスモールM&Aを実施したいのかを具体的に伝えられれば、ふさわしい会社を紹介してくれるはずです。

3.スモールM&Aのマッチングサイトを利用する

M&Aのマッチングサイトを利用して案件を探しましょう。マッチングサイトには検索機能がついており、自分が希望する条件を設定してスモールM&Aの案件を探せます。

小規模な「スモールM&A」を専門的に取り扱うマッチングサイトであれば、案件をより見つけやすいでしょう。もし、M&A全般を広く取り扱うマッチングサイトを使うのであれば、検索条件で絞り込むことによってスモールM&Aの案件を見つけてください。

4.スモールM&Aの仲介会社を利用する

M&Aの仲介会社を利用すれば、スモールM&Aの案件を紹介してくれます。M&A仲介会社は、独自に培ったデータベースやコネクションを保有しており、幅広い候補先を紹介することが可能です。

特に、スモールM&Aを得意としている仲介会社を利用すると、案件が見つかりやすいでしょう。また、得意分野があるM&A仲介会社も存在するため、スモールM&Aをすることで獲得しようとする業界を専門的に扱う仲介会社に相談することもおすすめです。

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スモールM&Aの流れ

ここでは、事業譲渡と株式譲渡を念頭に、スモールM&Aの一連の流れを紹介します。スモールM&Aの一般的なプロセスは以下のとおりです。

  1. スモールM&Aの案件を探す
  2. 秘密保持契約を結ぶ
  3. 基本合意を行う
  4. デューデリジェンスを実施する
  5. 条件について最終交渉をする
  6. 最終契約を締結する
  7. 株主名簿の書き換え請求を行う(株式譲渡の場合)
  8. 株主名簿記載事項証明書の交付請求・交付を行う(株式譲渡の場合)
  9. クロージングを行う

それぞれのプロセスについて詳しく解説します。

1.スモールM&Aの案件を探す

株式譲渡を希望する会社および事業譲渡を希望する会社や個人事業主を探します。小規模な会社の案件を見つけるためには、スモールM&Aの案件を扱う支援サービスを利用することがおすすめです。スモールM&Aの売り手と買い手をマッチングしてくれるサイトや仲介会社を活用しましょう。

なお、M&Aの仲介会社であれば案件を見つけてくれるほか、各種契約書の作成サポートやデューデリジェンスの実施など、スモールM&Aの成約までトータルに支援してくれます。

また、金融機関との取引がある場合は相談してみてもよいでしょう。金融機関は地元企業との関わりが強いので、地域で事業展開をしたいと考えているのであれば大きな味方になります。

2.秘密保持契約を結ぶ

スモールM&Aを行う場合は、まずは「秘密保持契約(NDA)」を結びましょう。情報の不正利用・個人情報の流出の防止が目的です。契約の不履行があった場合、損害賠償が発生します。

故意に行ったものではなくても責任が問われることがあるので、情報の取り扱いには注意してください。

3.基本合意を行う

株式譲渡や事業譲渡の条件に大筋で合意できたら、「基本合意書」を締結して、基本合意を行いましょう。基本合意書には法的拘束力はないものの、このあと求められるスモールM&Aの手続きを進めやすくする効果があります。

また、譲渡価額や譲渡条件などが明確になり、認識不足が発生するリスクを下げることが可能です。

4.デューデリジェンスを実施する

スモールM&Aの売り手に対して、買い手はデューデリジェンスを行いましょう。デューデリジェンスとは、買収する会社や事業の価値やリスクを士業などの専門家を起用して調査することです。主に組織面・財務面・法務面の観点でデューデリジェンスは実施されます。

デューデリジェンスの実施は必須ではありませんが、隠蔽によるトラブルを防止するために、行っておくことがおすすめです。相手の会社について入念に調べたうえでスモールM&Aの実施に踏み切りましょう。なお、デューデリジェンスの費用は買い手側の負担です。

5.条件について最終交渉をする

デューデリジェンスを経てスモールM&Aを行う意思が固まったら、最終条件交渉に進みましょう。必ず満たしておきたい条件や支払い可能な上限額などをあらかじめ考えたうえで交渉に臨んでください。

6.最終契約を締結する

条件のすり合わせを終えてスモールM&Aの実施が確定したら、最終契約を締結します。最終契約とは便宜上の呼称で、実際には株式譲渡契約書や事業譲渡契約書のことです。最終契約書の記載事項に法的な定めはありません。

最終契約書の作成は弁護士やM&A仲介会社などの専門家に依頼するとよいでしょう。株式譲渡契約書に記載される基本的な内容は、株式の銘柄や株数、対価金額、支払い方法などです。事業譲渡契約書の記載内容は、譲渡価額や譲渡日、譲渡する事業の資産・負債などです。

また、賠償責任や契約解除に関する事項も記載します。最終契約書には法的拘束力があるので、記載事項には細心の注意を払いましょう。

7.株主名簿の書き換え請求を行う(株式譲渡の場合)

株式譲渡契約の締結が完了したら、売り手企業に対し株主名簿の書き換え請求を行いましょう。提出する「株式名義書換請求書」は、株式の売り手側と買い手側が共同して依頼する必要があります。

8.株主名簿記載事項証明書の交付請求・交付を行う(株式譲渡の場合)

買い手側の場合、株式名義書換請求後、株主名簿記載事項証明書の交付請求と交付をしてください。株主名簿記載事項証明書は、新たな株主に株を譲渡されたことを証明する書類です。

9.クロージングを行う

クロージングとは、最終契約書に記載されている内容を履行することです。売り手であれば株式や資産の引き渡しなど、買い手であれば対価の支払いなどが該当します。クロージングを行い、スモールM&Aを完了させましょう。

なお、事業譲渡において、事業のために必要な許認可は自動的には引き継がれません。監督官庁への許認可再取得の手続きも並行して実施することが必要です。

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スモールM&Aを成功させる5つのポイント

ここでは、スモールM&Aを成功に導くポイントを5つ紹介します。

  1. 実務に関するハンドブックを読む
  2. スモールM&Aの仲介会社を利用する
  3. スモールM&Aに向けて早めに動き始める
  4. スモールM&Aをする目的を明確にする
  5. 相手のことを念入りに調べる

要点を押さえて、スモールM&Aを円滑に進めましょう。

1.実務に関するハンドブックを読む

スモールM&Aについて全く知らない場合は、スモールM&Aの実務に関して解説しているハンドブックを読んでみると良いでしょう。本を読めば全体像がつかめるので、スモールM&Aに対する漠然とした不安を解消できます。

M&Aの仲介会社の利用を予定している場合は、完全に理解する必要はありません。仲介会社はスモールM&Aをトータルにサポートしてくれます。不明点についても、質問すれば、その都度フォローをしてくれるでしょう。

2.スモールM&Aの仲介会社を利用する

スモールM&Aを成功させるには、専門的な知識・ノウハウを持っているかどうかが鍵となります。スモールM&Aのプロフェッショナルである仲介会社を活用しましょう。

仲介会社は、スモールM&Aの相談や相手探し、条件交渉、書類作成の支援、デューデリジェンスなど、あらゆるプロセスに対応してくれます。相談料を無料にしている仲介会社も多いので、気軽に問い合わせてみましょう。

3.スモールM&Aに向けて早めに動き始める

スモールM&Aを検討したら、できるかぎり早めに動き始めることが大切です。スモールM&Aを実施するまでには、たくさんの時間がかかります。

足踏みしていると良い案件を逃してしまったり、スモールM&Aを実施したいと考えていた時期までに終えられなかったりするかもしれません。

4.スモールM&Aをする目的を明確にする

スモールM&Aを成功させるためには、スモールM&Aを行う目的を明確にすることが大切です。スモールM&Aを行うことでかなえたいことは何か、買収後、どのような経営方針を予定しているのかなど、明確にしておきましょう。
目的が明確にできていれば軸がブレることはなく、スモールM&Aの相手探しや条件交渉がスムーズに進みやすくなります。

また、買い手側企業は、売り手側としてふさわしいか見極めるために、スモールM&Aの目的を尋ねてくることが多いでしょう。
質問されたときに説得力のある回答ができれば、買い手側企業からの信頼を得られます。スモールM&Aを行う相手になることを決意してくれるでしょう。

5.相手のことを念入りに調べる

スモールM&Aを成功に導くために、相手に関して徹底的なリサーチを行ってください。通常のM&Aと比べれば小規模とはいえ、動く金額は少額ではありません。

また、スモールM&Aは今後の経営方針を左右する大きな決断です。焦ってスモールM&Aを進めることは避け、相手のことをしっかり調べたうえで進行しましょう。

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スモールM&Aを行うときの6つの注意点

ここでは、スモールM&Aを実施する際に気を付けるべきことを6つ紹介します。

  1. 必要な情報がそろわない
  2. 簿外債務が発覚する
  3. 従業員が退職する
  4. 契約違反がある
  5. 仲介手数料が負担になりやすい
  6. スキル不足で事業がうまくいかない場合もある

注意点を意識しておくことで、予期せぬトラブルを防ぐことが可能です。事前に備えておきましょう。

1.必要な情報がそろわない

スモールM&Aで注意すべき点は、必要な情報がそろわないことです。スモールM&Aの相手となるのは、小規模な会社や個人事業主などです。

小規模な経営体制では財務諸表や経営計画書などの書類が作成されていないことが多々あり、情報不足に悩まされることもあるでしょう。調査にあたって必要な書類がある場合は、売り手側に請求してください。

ただし、どうしてもそろわない資料が出てくる可能性はあるので、その際はほかの資料で補える情報なのかを考えましょう。

2.簿外債務が発覚する

スモールM&Aを行う際は、簿外債務に注意が必要です。のちに簿外債務が発覚した場合、経営計画を予定通りに進められなくなったり、多大な損失を負ったりする恐れがあります。

簿外債務のリスクを避けるために、デューデリジェンスを実施しましょう。デューデリジェンスの実施には専門的な知識が必要となるため、ノウハウを持った専門家に依頼することがおすすめです。

3.従業員が退職する

スモールM&Aで注意することは、売り手側の会社の従業員が辞めてしまうことです。本来であれば、スモールM&Aでは売り手企業に勤めていた従業員も承継されます。

知識・技術を持った従業員を獲得することを目的にスモールM&Aを行うこともあるでしょう。しかし、スモールM&Aに対してネガティブな印象を抱いていたり、待遇が改善されなかったりした場合、従業員が退職することがあります。

従業員の離職を防止するために、従業員に対して説明する機会を設けて、スモールM&Aの意義やメリットをしっかり伝えましょう。また、従業員の待遇面の改善にも注力してください。

4.契約違反がある

スモールM&Aで注意しなければならないことは、契約を反故にされることです。短期間で契約を結ぼうとしてデューデリジェンスなどの調査をおろそかにすると、契約違反されるリスクが高まります。焦ることなく、入念な調査を実施してください。

また、契約書の文面に曖昧な表現や不足した情報があると、契約違反の抜け道に利用される恐れがあります。契約書に不備があった場合、相手に責任を追及することが難しくなってしまうでしょう。契約書を作成するときは、法律に詳しい専門家に依頼することがおすすめです。

レバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社は、スモールM&AをはじめとするM&Aをサポートする会社です。各領域に特化した専門コンサルタントが在籍しており、契約書の作成やデューデリジェンスにも対応しています。

ご相談からご成約まで、一貫した支援サービスを提供します。安心でスムーズなスモールM&Aに、ぜひご活用ください。

5.仲介手数料が負担になりやすい

スモールM&Aを安全に成約するためには、M&A仲介会社など専門家のサポートは欠かせません。ただし、その際に仲介手数料が発生します。M&A仲介会社の料金システムは「レーマン方式」という計算方法を採用した成功報酬型が多いです。
レーマン方式とは、スモールM&Aの対価額などを基準額として、金額帯ごとに定められた手数料を掛け合わせて手数料を算出する方法です。

また、成功報酬に最低額が定められている会社もあります。規模が小さいスモールM&Aの場合でも最低額の仲介手数料は払う必要があるので、規模や最低額によっては割高になってしまうでしょう。

業務を依頼するM&A仲介会社を選定する際には、料金体系をよく確認しましょう。また、スモールM&Aを対象とする料金設定を用意している仲介会社もおすすめです。

6.スキル不足で事業がうまくいかない場合もある

スモールM&Aで買収できるのは、飲食店など身近な業種が多いでしょう。しかし、いくら身近で小規模な業種といっても経営には覚悟を持って臨まなければなりません。

具体的には、まず、経営ビジョンを立て、短期(1年間)と中長期(3年間以上)の事業計画を策定します。それに基づいて資金繰り計画も練り、日々のキャッシュフローを確認しながら収支をマネジメントすることが必要です。

そのような会計・マネジメントスキルだけでなく、市場のマーケティングやプロモーションなども合わせて考えなければなりません。それらのスキルを一定以上のレベルで事前に身につけておくか、一部のジャンルを任せたり相談できたりするビジネスパートナーを選んでおくべきでしょう。

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スモールM&Aで活用できる融資制度

スモールM&Aで会社や事業を買収後、事業の運転資金も用意しなければなりません。そのための自己資金が足りない場合の資金調達方法の1つとして、政府系金融機関である日本政策金融公庫の融資制度「事業承継・集約・活性化支援資金(国民生活事業)」を紹介します。

事業承継・集約・活性化支援資金(国民生活事業)の融資内容は以下のとおりです。

  • 融資限度額:7,200万円(そのうち運転資金は4,800万円まで)
  • 設備資金の返済期限:20年以内(据置期間最大2年)
  • 運転資金の返済期限:7年以内(据置期間最大2年)※別の公庫融資の借り換えを含む場合は8年以内に延長
  • 基準利率:1.94%~2.9%

融資限度額は、すでに日本政策金融公庫から融資を受けていても別枠として借入できる金額です。利率は、一定の条件を満たすと基準利率よりも下げられます。

設備資金とは、スモールM&Aでの買収を契機に、店舗の改装や新しい機械の導入などにかかる費用のことです。細かい条件などは、日本政策金融公庫に確認・相談しましょう。

参照元:日本政策金融公庫「事業承継・集約・活性化支援資金(国民生活事業)

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スモールM&Aの事例

ここでは、スモールM&Aの実際の事例として、以下の2例を紹介します。

  • オーエム産業の買収
  • PoliPoliの事業譲渡

どのような内容のスモールM&Aであるか、概要を確認しましょう。

オーエム産業の買収

2013年(平成25年)12月20日、岡山県岡山市のオーエム産業株式会社(以下「オーエム産業」)は、石川県白山市の株式会社シンセー(以下「シンセー」)の全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。

オーエム産業は、売上高約21億円、パートを含めた従業員150人(いずれも当時)で、岡山市と栃木県栃木市を拠点に電子部品や自動車部品などの表面処理加工業を行っています。

シンセーは、産業機械部品や建設機械部品などの表面処理加工業を行っている売上高約2億円、従業員18人(いずれも当時)の会社です。M&Aのきっかけは、後継者不在に悩んだシンセー側が、事業譲渡の打診をしたことでした。

オーエム産業としては、同業者でありながら取り扱う主力部品が異なるため協業のメリットがあること、また、北陸地方に事業エリアを広げられることなどを理由にM&Aを決断しています。

参照元:オーエム産業グループニュース「株式会社シンセー(石川県)を譲り受けました☆ | おかめWEB (okame-web.net)

PoliPoliの事業譲渡

2018(平成30)年6月11日、神奈川県相模原市の株式会社PoliPoli(以下「PoliPoli」)は、東京都千代田区の株式会社毎日新聞社(以下「毎日新聞社」)に俳句SNSアプリ「俳句てふてふ」を事業譲渡しました。譲渡価額は公表されていません。

PoliPoliは、2018年2月に設立された企業で、当事から現在までトークンエコノミーを用いた政治コミュニティサービス「ポリポリ」の運営を中心に14名の従業員で事業を行っています。

偶然、「俳句てふてふ」を見つけた毎日新聞社の俳句担当者が、今後のアプリの発展性を検討し事業譲渡を持ちかけました。

PoliPoliとしては、「ポリポリ」にリソースを集中させる体制を取っており、「俳句てふてふ」に注力できる余裕もないことや、俳句に関しては毎日新聞社に膨大なリソースがあり発展が望めることなどを理由に事業譲渡を決めています。

参照元:毎日新聞社「毎日新聞社が俳句のSNSアプリ『俳句てふてふ』をPoliPoliから事業譲渡(2018/6/11)
参照元:株式会社PoliPoli

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まとめ

小規模な会社や個人事業主などが対象であるスモールM&Aは、個人が買い手となり起業する手段としても注目されています。場合によっては、100~1,000万円程度での買収が可能です。M&AマッチングサイトでもスモールM&Aの取り扱いが増えており、情報も得やすくなりました。

ただし、スモールM&AといってもM&Aには変わりありません。実際に買収・売却をする場合は、専門的な知識や経験を踏まえて各プロセスを進める必要があります。それを独力で行うのは難しいため、スモールM&Aに対応しているM&A仲介会社の利用がおすすめです。

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スモールM&Aの相手探しも対象サービスです。レバレジーズグループのデータベースを活かして、精度の高いマッチングをかなえます。
料金体系は「完全成功報酬型」で、M&Aのご成約まで料金は発生しません(買い手企業様のみ中間金が発生します)。ご相談も無料で受け付けておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。