中小企業のM&Aを成功させる方法を解説!ガイドラインや補助金も紹介

2023年10月27日

中小企業のM&Aを成功させる方法を解説!ガイドラインや補助金も紹介

このページのまとめ

  • M&Aを躊躇している中小企業は、まずM&Aの知識を得ることが大切
  • 中小企業が円滑にM&Aを進めるために、ガイドラインや補助金を活用しよう
  • 中小企業のM&Aにおいては、株券の取り扱いやコンプライアンス違反に注意する
  • M&Aの実施には専門的なノウハウが必要なので、支援機関を使用することがおすすめ

「M&Aは中小企業でもできる?」と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
M&Aは中小企業も行うことが可能で、実施する会社数は年々増加しています。しかしM&Aはまだ浸透しておらず、後継者問題に悩む中小企業も多いようです。

本コラムでは、中小企業におけるM&Aの各プロセスや成功させる方法を紹介。M&Aの実施に向けてイメージをつかみましょう。
また、国が用意するガイドラインや補助金のほか、M&Aの支援機関などについても解説します。

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中小企業のM&Aとは

M&Aとは、「Merger and Acquisitions(合併と買収)」を略した用語です。
M&Aは会社または経営権の取得を意味しており、合併・買収のほか、資本提携や業務提携などの会社の成長戦略全般を指します。

中小企業のM&Aは、「中小M&A」と表記されることもあります。

中小企業とは

中小企業基本法において、中小企業の定義は以下の表のとおりです。

業種分類中小企業基本法の定義
製造その他資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人
卸売業資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人
小売業資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人
サービス業資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

引用:中小企業庁「1.中小企業の定義

中小企業関連立法においては、特定の業種に関する中小企業の定義が異なることがあります。
ゴム製品製造業、旅館業、ソフトウェア業・情報処理サービス業の中小企業の定義は以下の表を参考にしてください。

業種分類中小企業関連立法の定義
ゴム製品製造業(一部を除く)資本金3億円以下または従業員900人以下
旅館業資本金5千万円以下または従業員200人以下
ソフトウェア業・情報処理サービス業資本金3億円以下または従業員300人以下

参考:中小企業庁「1.中小企業の定義

法律や制度によって定義される範囲が異なることがありますが、表にある中小企業の定義が原則として知られています。

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中小企業のM&Aの現状と課題

ここでは、近年注目度が上がっている中小企業のM&Aの現状と課題について説明します。

中小企業のM&Aの現状

近年、M&Aを実施する中小企業は増加傾向にあります。

中小企業庁が公表している「2022年版『中小企業白書』概要」によると、中小企業におけるM&Aの年間件数は2013年度から2020年度まで増え続けています。
2013年度の調査では215件だったのが、2020年度の調査では2,139件になりました。
後継者不在率についても、2011年から2020年までは65~66%の間で推移していた数値が、2021年には61.5%まで下がりました。

M&Aの実施件数が増加していたり、後継者問題を解決できた会社が増えていたりと、中小企業の経営者の事業承継に対する意識が少しずつ改善してきているといえます。

中小企業のM&Aの課題

後継者不在率は下がってきているとはいえ、2021年の時点で61.5%です。
いまだ過半数を超える中小企業が後継者問題に悩まされています。

また、経営者のリタイアする年齢は年々上がってきており、高齢化が進行している状態です。
身近に後継者候補がいない中小企業は、できるかぎり早い段階でM&Aを検討・実施する必要があります。早めに動き始めることにより、会社の価値が高い状態で売却できたり、引き継ぎをしっかり行うことができたりします。

そのための第一歩として、M&Aに対する理解を深めることが挙げられます。
中小企業の経営者のなかには、M&Aについて「大企業がやるもので、中小企業には無縁」「M&Aは乗っ取り・身売りなのでは?」などのような、誤った認識を持っている方も少なくありません。
ネガティブなイメージにとらわれず、まずはM&Aに関する正しい知識を得ることが大切です。

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「中小M&Aガイドライン」とは

中小企業が抱える課題を解決するために経済産業省が策定したのが、「中小M&Aガイドライン」です。

中小M&Aガイドラインとは、後継者問題を抱える中小企業に向けたM&Aの手引きです。
M&Aを躊躇する中小企業が持つ「M&Aの進め方・相場が分からない」「M&A支援に対して不信感が拭えない」などの悩みにアプローチするために作られました。
中小M&Aガイドラインを活用することによって正しい知見を得て、中小企業がM&Aに踏み切ることができるようにするのが目的です。

中小M&Aガイドラインには、中小企業のM&Aの事例や手数料の目安のほか、M&Aの各プロセスごとの確認すべきポイント、契約書のひな形などが記載されています。
そのほかに、M&Aの支援機関向けの内容も掲載されています。支援機関が中小企業のM&Aを適切にサポートできるようにするのが目的です。
M&Aの支援機関が意識するべき基本姿勢や行動指針を、ガイドライン上で示しています。

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中小企業のM&Aを実施する4つの方法

ここでは、中小企業がM&Aを実施する方法を4つ紹介します。

  1. 事業譲渡(事業売却)
  2. 会社分割
  3. 株式譲渡(会社譲渡)
  4. 株式交換・株式移転

以下、各M&Aのスキームの概要とメリット・デメリットについて詳しく解説します。

1.事業譲渡(事業売却)

事業譲渡とはM&Aの一種で、会社の事業の一部またはすべてを第三者に売却することを指します。
英語で表すと「Asset Purchase」です。「事業売却」とも呼ばれます。

事業譲渡を行うメリット

事業譲渡を行うメリットは、以下のとおりです。

  • 事業売却により資金を得られる
  • 不採算事業を切り離せる
  • 法人格を継続できる
  • 会社継続に必要な社内リソースを確保できる

事業譲渡では事業を売却する対価として資金を得られるため、経営が思わしくない場合や新事業の資金を確保したい場合に役立ちます。
不採算事業の状況改善が見込めないケースでも、事業譲渡をすることでメイン事業の強化や新規事業設立に集中できるようになるでしょう。

また、事業を譲渡しても法人格が消滅してしまうわけではありません。
売却する事業と維持する事業を選ぶことができます。必要な資産や人員などの社内リソースを確保したまま会社を続けることができるのもメリットです。

事業譲渡を行うデメリット

事業譲渡を行うデメリットは、以下のとおりです。

  • 事業譲渡契約の締結に時間と労力がかかる
  • 譲渡後の事業内容に制限がかかる
  • 譲渡益には法人税が発生する
  • 株主や取引先の理解が必要となる

事業譲渡は包括承継ではないので、資産・負債・人材などの譲渡する権利義務の一つひとつの手続きをしなければなりません。譲渡対象が多い場合は、それだけの時間と労力が必要となる点には注意しましょう。

また、事業を売却した側には「競業避止義務」が課せられます。同一市区町村および隣接市区町村内において一定期間、売却した事業と同じ内容のビジネスをおこなうのが禁止されているため、先を見据えたうえで手続きを進めましょう。

事業を売却して得た利益には、法人税が課税されます。約30%〜40%程度の税金がかかることを踏まえ、事業譲渡を検討してください。

事業譲渡の実施には、取締役会の決議または株主総会における特別決議が必要とされます。多くのケースでは株主総会を避けては通れないため、しっかりと情報を共有し株主の理解を得るようにしましょう。

現在抱えている取引先に対しても事業譲渡に関する承諾を得る必要があるので、事業譲渡を進めるためには関係者の理解を得る努力が欠かせません。

2.会社分割

会社分割とは、会社の事業の権利の一部または全部を別の会社に移転するM&Aの手法です。

会社分割の種類は「吸収分割」と「新設分割」に分けられます。
吸収分割は、事業の権利を既存の会社に移転することです。
新設した会社に事業の権利を移転する場合は、新設分割にあたります。

会社分割を行うメリット

会社分割を行うメリットは、以下のとおりです。

  • 一部の事業のみを売買し会社の継続が可能
  • イメージダウンを防げる
  • 契約が簡単
  • 税金負担が少ない
  • 買収資金が不要

一部の事業のみの売買が可能なので、不採算事業のみをカットしたうえで会社を継続できます。
M&Aの会社売却で子会社化した場合、「他企業との競争に負けた」などのマイナスイメージを持つ方もいるかもしれませんが、会社分割であれば、新たなスタートという印象が強く、イメージダウンを防げます。

会社分割は債権者や従業員の同意、個別交渉などの個々の手続きが不要なので、契約が簡単です。
会社分割により資産を包括的に承継した場合は、取引自体に消費税が課せられないため、税金負担が少ないです。また、対価を株式で交付する場合は買収資金も必要ありません。

会社分割を行うデメリット

会社分割を行うデメリットは、以下のとおりです。

  • 不要な資産や簿外債務の引き継ぎリスクがある
  • 財務手続きが複雑
  • 株主総会での特別決議が必要
  • 許認可の再取得が必要な業種がある
  • 既存株主から反発を受ける可能性がある
  • 手続きに時間がかかる

会社分割は資産・債務・契約などを包括的に引き継ぐため、買い手企業は不要な資産・係争リスク・簿外債務などを引き継ぐ可能性があります。
財務に関する手続きが複雑なこともデメリットです。会社分割は満たす要件によって取るべき手続きが変わってくるため、2社間の財務処理の終了後に初めて税務処理に向き合うことになります。

会社分割を行うには、株主総会の特別決議が必要です。議決権の半数以上の株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成を得なければなりません。必要な賛成数が得られない可能性もあります。また、債権者より意義申し立てがあった場合は、弁済などの手続きが発生します。

会社分割は基本的に許認可を引き継げますが、ホテル・旅館営業、貸金業などの一部の業種では会社分割により事業を承継しても、許認可は再取得する必要があります。

会社分割では基本的に対価は株式交付です。新株を発行することになるため、1株あたりの株式価値が下落します。それに加えて株主構成・株式所有率も変更となるため、既存株主が反発する可能性があります。

会社分割は契約は容易なものの、独自の手続きを要するため、手続きには多くの時間と手間がかかります。例えば、株主総会の招集手配・開催、会社の登記手続き、買い手が非上場企業の場合は株式価値算定といった手続きが必要です。

3.株式譲渡(会社譲渡)

株式譲渡とは、会社が所有している株式を売却することです。契約関係や負債を含めた財産をすべて買収側に引き継ぐことができます。英語では「Stock Purchase」と表記される、M&Aの手法の1つです。

株式譲渡は、「会社売却」と同じ意味で使用されます。

株式譲渡を行うメリット

株式譲渡を行うメリットは、以下のとおりです。

  • 事業が存続する
  • 従業員の雇用が継続できる
  • 取引先との取引が継続する
  • 許認可の引き継ぎが可能
  • 手続きが比較的簡単
  • 税金負担が少ない
  • 株式譲渡対価を受け取れる
  • 対価を現金で受け取れる

株式譲渡は、企業の株主が変わるだけなので、事業がそのまま引き継がれるほか、従業員や取引先との契約も継続します。また、株式譲渡は許認可を引き継げるので、株式の取得とともに、すぐに事業を開始できます。

株式譲渡は、債権者保護の手続きや公告が原則必要ありません。そのため、売り手企業と買い手企業の取引に問題がなければ、他のM&Aに比べて手続きが比較的簡単です。

株式譲渡は事業譲渡と比べると、税金の負担が少ないのが特徴です。事業譲渡では売却益の約30%の法人税がかかる一方、株式譲渡においてかかる税金は所得税・住民税の20.315%です。

売り手企業は株式譲渡の対価を受け取れるうえに、対価として現金を選択できるため、事業を手放したあとの生活資金や、新事業の立ち上げ資金として利用可能です。

株式譲渡を行うデメリット

株式譲渡を行うデメリットは、以下のとおりです。

  • 全株式の譲渡が難しい可能性がある
  • 譲渡価格が負債や資産、収支状況などによって変動する
  • 簿外債務を引き継ぐリスクがある

買い手企業が100%株式の取得を望む場合、株主全員の賛成が必要となります。誰か1人でも反対する株主や所在のわからない株主がいる場合は、全株式の譲渡は行えません。
強制的に少数株主を排除するスクイーズアウトという手法が使えますが、弁護士主導となり、手続きが煩雑なため、友好的な中小企業のM&Aには向いていません。

売り手企業に不採算事業があると、その分マイナス評価となり、譲渡価格が下がります。また、買い手企業は売り手企業の負債も含めて引き継がなければならないため、負債が大きいと買い手が見つからなかったり、譲渡価格が大幅に下がったりする可能性があります。

さらに買い手側として注意しておきたいのが簿外債務の存在です。簿外債務とは、貸借対照表には計上されていない債務を意味します。
本来であれば負債はすべて貸借対照表に記載されるべきですが、稀に株式譲渡後に簿外債務が発覚するケースがあります。事前に貸借対照表を見ても把握ができないため、徹底したデューデリジェンスを行いましょう。

4.株式交換・株式移転

株式交換・株式移転は、組織再編で用いられることが多いM&Aの手法です。
株式交換では既存の会社に株式を取得させて、株式移転では新設する会社に株式を取得させます。

株式交換とは、子会社となる会社の株式を親会社となる株式と交換する方法です。対象の会社を完全子会社化し、親子会社関係を結びます。
株式移転とは、子会社となる会社の株式を新たに設立する会社の株式と交換し、自社を完全子会社化する手法です。持ち株会社を設立することを目的に用いられます。

株式交換・株式移転を行うメリット

株式交換・株式移転を行うメリットは、それぞれ異なります。

株式交換のメリットは、以下のとおりです。

  • 買収資金が不要
  • 子会社が親会社の経営に参画可能
  • 組織の内部統合が容易
  • 少数株主の排除が可能
  • 完全子会社化に株主全員の同意が不要

株式交換の対価として買い手企業の新株または自己株式が選択できるため、買収資金が要りません。そのため、手元に資金が不足している場合や負債を避けたい場合におすすめです。

売り手企業は、買い手企業の完全子会社化するものの、グループ企業として協力関係にあります。経営に参画できるようになることがメリットです。

売り手企業は別法人として事業を継続できるため、従業員の雇用や給与体系が急激に変化することはほとんどありません。従業員のモチベーション低下が起こりづらく、内部統合が比較的容易に行えます。

また、売り手企業に存在する少数株主の保有株式を回収できることに加え、売り手企業を完全子会社化するのに、株主総会の特別決議で実施可能であり、株主全員の同意を得る必要がありません。

株式移転のメリットは、以下のとおりです。

  • 買収資金が不要
  • 債務を引き継がなくて良い
  • 組織の内部統合が容易

買い手企業は買収の対価として新株を発行できるため、買収資金が要りません。また、債務を引き継がなくて済みます。

株式移転は雇用や給与体系が急激に変化することはないため、売り手企業の従業員のモチベーション低下や反発が起こりづらく、組織の内部統合も比較的スムーズです。

株式交換・株式移転を行うデメリット

株式交換・株式移転を行うデメリットは、以下のとおりです。

  • 株価が下がる可能性がある
  • 手続きに時間がかかる
  • 不要な資産や債務を引き継ぐ可能性がある(株式交換)

株式交換・株式移転は、どちらも新株を発行して対価とすることが可能です。新株を発行して対価とする場合、買い手企業の株式総数が増加するため、各株主の持分比率が下がります。
1株あたりの価値が低下し、株価が下落する恐れがあります。

また、さまざまな手続きが伴うため、最終契約日から効力が発生するまでに数ヶ月かかる可能性があります。

また、株式交換の場合、上記に加えて不要な資産や債務を引き継ぐデメリットもあります。リスクを最小限に抑えるためにも、買い手企業は売り手企業の財務状況を慎重に分析し、引き継ぐ資産や債務を確認しておきましょう。

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【売る側】中小企業のM&Aの5つの目的

ここでは、中小企業がM&Aにより譲渡を行うときの主な目的を5つ紹介します。

  1. 後継者問題を解決するため
  2. 従業員を守るため
  3. ノウハウを引き継ぐため
  4. 事業を整理するため
  5. 資金を調達するため

それぞれ詳しく説明します。

1.後継者問題を解決するため

「後継者が見つからない」という中小企業の存続を左右する問題を解決する方法が、M&Aです。
親戚や役員などの身近な人たちが後継者になることを望まなかったり、引き継ぎたくても金銭的な理由で後継者に選べなかったりすることもあるでしょう。

最悪の場合、後継者不在のために廃業となってしまうこともあります。
M&Aの相手先を見つけて実施することができれば、後継者問題が解決します。

2.従業員を守るため

M&Aを行う目的の1つは、中小企業の従業員を守ることです。

もし廃業に追い込まれてしまった場合、会社はなくなり、従業員は職を失うことになります。今までともに働いてきた従業員を路頭に迷わせてしまうかもしれません。

M&Aを実施することにより、会社が存続します。従業員も譲受企業に引き継がれ、雇用を守ることが可能です。

3.ノウハウを引き継ぐため

会社が廃業になってしまった場合、会社が所有している知識・技術が途絶えてしまいます。
しかし、M&Aを行えば、中小企業のノウハウを存続させることが可能です。

中小企業が磨いてきた独自のノウハウは貴重なものです。
廃業の危機を脱してノウハウを守れることは、日本社会にとっても大きなメリットだといえるでしょう。

4.事業を整理するため

事業を整理するためにM&Aが利用されることがあります。
M&Aの手法によっては、会社の一部の事業を選んで譲渡できます。経営リソースを集中させたい場合や、赤字が続いている事業がある場合、M&Aが有効です。

5.資金を調達するため

M&Aを行うことにより事業や株式を売却すれば、利益が得られます。
資金を調達して企業の安定を図ったり、新たな事業に資金を投入したりすることが可能です。

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【買う側】中小企業のM&Aの4つの目的

ここでは、譲受側の中小企業がM&Aを行うときの主な目的を4つ紹介します。

  1. 新規事業へ参入するため
  2. 既存事業を強化するため
  3. スケールメリットを得るため
  4. 起業に挑戦するため

以下で詳しくみていきましょう。

1.新規事業へ参入するため

新規事業へ参入することを目的にM&Aに踏み切る中小企業も存在します。

新規事業を始める場合、何もない状態から立ち上げようとすると多大なコストが必要です。
コネクションや知識・技術が蓄積されていないので、失敗するリスクも高まります。

M&Aによって参入したいと考える領域の事業を買収すれば、必要となる人材やノウハウを一挙に獲得することが可能です。新規事業にスムーズに参入できます。

2.既存事業を強化するため

既存の事業を強化するためにM&Aを実施することがあります。

自社が所有する既存の事業との相乗効果が期待できる会社・事業を譲受すれば、事業をさらに成長させることが可能です。

自社にはない技術を獲得できたり、独自のノウハウを持った優秀な人材を確保できたりと、M&Aによって得られる恩恵は多数あります。

3.スケールメリットを得るため

M&Aを実施する目的の1つは、スケールメリットを得ることです。
買収先がすでに実績をあげている会社であれば、ブランド力や未開拓の販路が獲得できます。
通常であれば長い時間をかけて築いていくものをすぐに手に入れられることは、M&Aの大きなメリットです。

4.起業に挑戦するため

起業をしようと考えている人がM&Aを選択することがあります。
従業員数が少ない中小企業のM&Aであれば、比較的少額の資金額で譲受することが可能です。

新たなビジネスを始めようと意気込む若年層や、退職金を使って第二の人生を歩もうとする人などが、個人が小規模M&Aを実施して経営者になる事例が増えています。

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中小企業のM&Aの流れ

ここでは、中小企業のM&Aの流れを紹介します。

  1. M&Aのスキームを策定する
  2. M&Aの相手を探す
  3. M&Aに関する交渉をする
  4. 基本合意書を締結する
  5. デューデリジェンスを行う
  6. 最終契約書を締結する
  7. クロージングを行う
  8. PMIを実施する

8つの手続きをそれぞれチェックしていきましょう。

1.M&Aのスキームを策定する

スキームを策定するにあたって、まずはM&Aを行うことで叶えたいことを明確にします。
経営陣で会議を行い、M&Aの必要性や具体的な内容に関して方向性を固めてください。話し合いを経て方針が決まったら、M&Aのスキームを策定しましょう。

M&Aを行う際には専門的な知識が求められます。
社内にM&Aの知識に長けた専門家が所属している場合は、この段階からアドバイスをもらいましょう。
もし社内にいないのであれば、仲介会社などの外部のM&A支援サービスを利用することがおすすめです。

2.M&Aの相手を探す

M&Aを行う相手先を探します。知人や取引先など、自社のコネクション内に候補先がある場合は話を持ちかけてみましょう。
また、信頼できる取引先から紹介してもらうことも1つの手です。

身近にM&Aの候補先がいない場合は、M&Aの支援機関を利用すると相手を見つけやすくなります。
金融機関やマッチングサイト、M&A仲介会社などの利用を検討しましょう。

3.M&Aに関する交渉をする

M&Aの実施にあたり、条件について交渉を進めます。
経営者が話し合いを行い、譲渡する内容や金額などをはじめとする条件を調整してください。

話し合いの末にM&Aの取引内容が定まったら、意向表明書を作成します。
意向表明書には法的拘束力はないものの、トラブル発生の抑止力があります。忘れずに作成しておきましょう。

4.基本合意書を締結する

次に、基本合意書を締結します。
今後M&Aを円滑に進めていくためにも、しっかり内容を定めて作成しましょう。

基本合意書に記載する内容は、M&Aのスケジュールや譲渡価格、独占交渉権の付与、秘密保護義務の設定などです。

5.デューデリジェンスを行う

基本合意書を締結したら、デューデリジェンス(買収監査)を実施します。

デューデリジェンスは、買い手側が実施するプロセスです。
買収する予定の会社の価値・リスクなどに関する調査をあらゆる角度から実施します。調査対象は財務や税務、法務、事業内容などさまざまです。

譲渡側は、デューデリジェンスが実施されたら対応する必要があります。必要書類の提出や質疑応答などが発生するので、都度誠実に対応しましょう。

6.最終契約書を締結する

デューデリジェンスが完了して懸念点が払拭されたら、いよいよ最終契約書の締結です。
最終契約書は法的拘束力を持ちます。締結に向けて、契約内容の詳細や書類の記載事項に不備がないかを入念に確認してください。

内容に問題がないことを確認できたら、最終契約書を締結します。
最終契約書には譲渡価格や誓約事項、クロージング条件、一般条項などの内容が盛り込まれています。

7.クロージングを行う

最終契約書を締結したら、クロージングを行います。
クロージングとは、M&A取引を実行することを指します。取引内容はM&Aの方法によって異なり、譲渡額の支払いや株式の引き渡し、資産の移行手続きなどです。

8.PMIを実施する

M&Aの目的を達成するために、PMIを実施しましょう。
PMIとは「Post Merger Integration」の略称で、M&A成立後の統合プロセスのことです。
目標設定・計画策定・進捗管理をして、M&Aによる会社の成長や経営力向上を実現できるよう進めていきます。
区切りで効果検証を行い、M&Aによるシナジー効果をより確かなものにしていきましょう。

策定する計画は主に「ランディング・プラン」と「100日プラン」の2種類です。
ランディング・プランにおいては、クロージング後から約3~6ヶ月の間に実施する統合プロセスの計画を立てます。
一方100日プランは、重要度の高い課題の解決に向けて立てる計画です。だいたい100日を目安にして、スケジューリングします。

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中小企業のM&Aにおける売却価格の相場

中小企業のM&Aでの売却価格の相場は、一律に出すことはできません。
各々の売却価格の相場は、株式市場や純資産、収益力などをベースに算定します。

次項で説明する「マーケットアプローチ」「コストアプローチ」「インカムアプローチ」のいずれかの方法で相場価格を出してみましょう。

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中小企業のM&Aにおける売却価格の3つの算定方法

ここでは、中小企業のM&Aにおける売却価格の算定方法を紹介します。
算定方法は主に「マーケットアプローチ」「コストアプローチ」「インカムアプローチ」の3つです。

1.マーケットアプローチ

マーケットアプローチとは、株式市場と照らし合わせて売却価格を算定する方法です。

通常は純利益に東証一部に上場している銘柄の平均PERを掛けて計算しますが、平均PERは東証一部に上場しているプライム市場におけるすべての業種の平均であるため、この値を参考にすると実際の価格から乖離してしまう可能性が高くなります。

中小企業の売却価格を算定する場合は、「類似会社比較法」や「類似取引比較法」、「市場株価法」を用いて算定しましょう。

類似会社比較法

類似会社比較法とは、譲渡する予定の会社と類似している上場企業の株価に基づいて売却価格を算定する方法です。
類似会社比較法は「マルチプル法」「株価倍率法」と呼ばれることもあります。
用いる倍率は、企業の評価指標を示すEBITDAのほか、財務諸表に記載されている売上高や営業利益、当期純利益などです。

類似取引比較法

類似取引比較法とは、譲渡予定の会社および事業と類似した過去のM&A案件の取引価格を参考にして売却価格を算出する方法です。倍率にはEBITDAが用いられます。

ただし、過去のM&A案件の取引内容の詳細は開示されていないことも多いので、類似した案件は慎重に検証する必要があります。

市場株価法

市場株価法は、上場企業の売却金額を算出する際に用いられる方法です。
市場株価は短期的に見ると変動する可能性があるため、長期的に見る必要があります。一般的には、1〜6ヶ月程度の平均株価を評価額とみなします。

2.コストアプローチ

コストアプローチとは、譲渡の対象となる会社の純資産から売却価格を算定する方法です。資産や負債の時価などを算定基準に用います。

コストアプローチの方法には「時価純資産法」と「簿価純資産法」の2種類があります。

時価純資産法

時価純資産法とは、純資産の時価を事業売却の価値とする方法です。
まずは事業が所有する資産と負債の時価を算出します。そして、資産の時価から負債の時価を差し引きます。
そのようにして出された純資産の時価が、時価純資産法における事業売却の価値です。

時価純資産法は時価を参考に算定する方法なので、時価に左右されやすい土地を売却対象に含む場合におすすめです。
また、赤字を出している事業の価値を算定したい場合にもよく利用されます。

簿価純資産法

簿価純資産法とは、貸借対照表に記載されている純資産額をもとに、1株あたりの純資産額を算定する手法です。
客観性が認められる一方で、資産の時価と簿価には乖離が発生することが多々あるため注意しましょう。

3.インカムアプローチ

インカムアプローチとは、売却予定の会社および事業の収益力に基づいて算定する方法です。
インカムアプローチでは一般的に「DCF法」を用いて評価します。
そのほかに「配当還元法」「収益還元法」という方法もあります。

DCF法

DCF法(Discounted Cash Flow method)とは、売却対象の会社・事業が将来的に生み出すと予測されるキャッシュフローから現在価値を割り引いて算定する方法です。
将来性を含めた会社および事業の価値を算出することができるため、売却額に説得力を持たせることができます。

一方で、キャッシュフローや現在価値が主観に影響されうるため注意が必要です。
主観に惑わされない、より合理的な価値を算定するために、「モンテカルロDCF法」を用いることがあります。
モンテカルロDCF法では通常のDCF法による算定に加えて、数万回のシミュレーションを重ねて、シミュレーションで出された結果の平均値を売却価値として算出します。

配当還元法

配当還元法とは、株主が受領する配当金を基準にして売却金額を算出する方法です。
株主の配当が継続的に実施されている状況では有効な方法です。一方で、継続的に配当を行っていない企業においては向いていない方法といえます。

収益還元法

収益還元法とは、将来的な企業の収益を推測し、現在価値に換算して売却金額を算出する方法です。ただし、将来的な企業の収益は予測に過ぎないため、正確な収益とは言い切れません。収益が大きく変動する可能性がある企業には向いていない方法といえます。

時間がかからない簡便な方法なので、M&Aの候補企業を大まかにリストアップする際の評価方法としては有効です。

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中小企業のM&Aを成功させる5つのポイント

ここでは、中小企業のM&Aを成功に導くためのポイントを5つ紹介します。

  1. M&Aを行う目的を明確にする
  2. 譲歩可能な価格を定める
  3. 売却側の関係者への説明責任を果たす
  4. 株主について調べる
  5. M&Aの支援サービスを利用する

M&Aは会社にとって非常に大きな決断です。ポイントをしっかり押さえ、M&Aを円滑に進めましょう。

1.M&Aを行う目的を明確にする

M&Aを成功させる第一歩は、M&Aを行う目的をはっきりとさせておくことです。

M&Aには事業譲渡や株式譲渡など、多くの手法があります。M&Aの相手に選べる対象もさまざまです。
選択するべき手法・相手は、M&Aを行うことで叶えたい目的によって変わります。M&Aを適切に進めるために、まずはM&Aの目的を明確にしておきましょう。

2.譲歩可能な価格を定める

満足のいくM&Aにするために、あらかじめ譲歩可能な取引価格を定めましょう。

M&Aにおいて、取引価格は交渉のもとで決定していきます。
最初に譲歩可能な取引価格を決めておくことで、相手に流されて不本意な金額で取引をしてしまうことを防げます。

譲渡側の場合は下限額を、譲受側の場合は上限額を決めておいてください。
下限額の目安は、対象となる会社・事業の時価の清算価値です。
上限額の目安は、買収する対象の時価に、PMIを経て獲得できると予測される収益額を足して算出します。

3.売却側の関係者への説明責任を果たす

M&Aのゴールは譲渡・譲受の完了ではありません。契約の締結後の対応も、M&Aの大切なプロセスの1つです。

中小企業において、取引先との関係性はとても重要です。M&Aの知識があまりない取引先がいた場合、M&Aに対してマイナスなイメージを抱いていることもあります。
誤解によって今後の取引に悪影響が出ないよう、関係者に丁寧に説明をしてM&Aの意義を伝えましょう。

4.株主について調べる

取引対象に関連する株主のことをしっかり把握しておきましょう。

M&Aの手法に株式譲渡を選んだ場合、買い手側の会社は所有する株式に対して対価を支払います。
そのため、株主をリストアップしておくことが必要です。
中小企業の場合は株主名簿が作成されていないことも多々あるので、交渉の段階で譲渡企業に確かめておくと良いでしょう。

5.M&Aの支援サービスを利用する

M&Aを成功させるためには、M&Aを支援してくれるサービスを利用することがおすすめです。

M&Aには数多くのプロセスがあります。そしてそれぞれのプロセスにおいて、M&Aに関するノウハウのほか、法律や税務、財務などの幅広い知識が必要です。

高い専門性が求められるため社内ですべての専門家を揃えるのが難しく、社外の支援機関を見つけるほうが現実的だといえます。

M&Aの支援機関を活用すれば、複雑なM&Aをスムーズに進められます。支援機関はたくさんのM&A案件をサポートしてきているので、経験に基づいたアドバイスをしてくれるところも心強いポイントです。

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中小企業のM&Aを行う際の3つの注意点

中小企業のM&Aを実施する際には、以下の3つのことに注意する必要があります。

  1. 株券の喪失・未発行はないか
  2. 必要書類はそろっているか
  3. コンプライアンス違反はないか

下記でそれぞれの注意点について詳しく解説します。

1.株券の喪失・未発行はないか

会社法が施行された2006年よりも前に設立した会社は、株券発行が原則です。

中小企業の株式は株主が個人管理していることがほとんどということもあり、株券の紛失率が比較的高い傾向にあります。
また、株券発行会社であるにもかかわらず株券を発行していない中小企業も多々見受けられます。

M&Aの方法に株式譲渡を選択するのであれば、株券発行会社の場合は株券を用意しなければなりません。
株主が株券をなくしてしまった場合は、株券喪失の登録や株券の再発行を行いましょう。

株券が発行されていないケースでは、株主が株券不所持の申し出をすることによって、株券の発行をする必要がなくなります。
株券不発行会社へ移行するのも有効な対処方法の1つです。株券不発行会社であれば、株券を実際に引き渡さずに株式譲渡を行うことができます。

株券を不発行にすれば紛失のリスクもなく、発行に関するコストもかからなくなるので、M&A後の株式の管理が楽になります。

2.必要書類はそろっているか

中小企業のなかには、資料がすべてそろわない会社もあります。
記録を残す重要性に対する認識が不足していたり、専任の部門が敷設されていなくて手が回っていなかったりと、要因はさまざまです。

もし相手側の会社から要求した書類がもらえなかった場合は、新たに書類を作成することが可能かどうかを確認してください。
また、提出が難しい必要書類の内容を補足するようなほかの資料がないかどうかも尋ねてみましょう。

3.コンプライアンス違反はないか

予算や人員を割く余裕があまりないために、コンプライアンス遵守に対する意識が大企業と比べて低い中小企業も存在します。
M&Aを行ううえで大きな問題に発展しうるコンプライアンス違反がないか、事前にしっかり調査をしましょう。

もし重大なコンプライアンス違反がM&A後に発覚した場合、関係者からの信頼が揺らいだり経営に悪影響が出たりする恐れがあります。

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中小企業のM&Aで利用可能な補助金・サポート

中小企業がM&Aを実施する際に利用できる補助金やサポートが存在します。
ここでは「事業承継・引継ぎ補助金」「事業承継税制」の2つを紹介します

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金とは、M&Aを含む事業承継に関する補助金です。
事業承継・引継ぎ補助金には、「経営革新」「専門家活用」「廃業・再チャレンジ」の3つの枠組みが用意されています。

事業承継・引継ぎ補助金の「経営革新」では、事業承継後の設備投資や販路の拡大のほか、コンサルティング費用などを補助しています。申請類型は創業支援型・経営者交代型・M&A型の3種類です。

事業承継・引継ぎ補助金の「専門家活用」は、事業承継の検討・実施にあたり専門家によるサポートを受けた場合、それにかかる費用を補助してくれるものです。中小企業庁が定めた「M&A支援機関登録制度」に登録されたM&A仲介会社・FAを利用した場合、依頼費を補助します。

また、M&Aの表明保証保険料やセカンドオピニオン分の費用も補助の対象です。申請類型には買い手支援型のⅠ型と、売り手支援型のⅡ型があります。

事業承継・引継ぎ補助金の「廃業・再チャレンジ」は、ほかの枠組みと併用できる補助金です。
「事業承継またはM&Aで事業を譲り受けた後の廃業」「M&Aで事業を譲り受けた際の廃業」「M&Aで事業を譲り渡した際の廃業」「M&Aで事業を譲り渡せなかった廃業・再チャレンジ」の4つが補助の対象となります。

なお、レバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社は「M&A 支援機関登録制度」に登録された事業所です。中小M&Aガイドラインの趣旨に則り、適切な支援を行っています。事業承継・引継ぎ補助金の専門家活用の補助対象でもあるので、まずはお気軽にご相談ください。

事業承継税制

事業承継税制とは、税金の負担を減らして事業承継を進めやすくすることを目的に設けられた制度です。
後継者に引き継がれる資産にかかる贈与税および相続税の納税を猶予します。

贈与税や相続税を猶予してもらうためには、中小企業の事業承継をサポートする「経営承継円滑化法(中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律)」に基づく認定を受ける必要があります。
認定を希望する場合は、各都道府県の担当課の窓口に問い合わせましょう。

事業承継税制には、「法人版事業承継税制」と「個人版事業承継税制」の2種類があります。

法人版事業承継税制

法人版事業承継税制とは、会社の後継者を対象とする制度です。
「経営承継円滑化法」の認定を受けた非上場の会社の資産を取得したときにかかる贈与税および相続税の納税が猶予されます。
万が一後継者が死亡した場合などは、納付が免除になります。

個人版事業承継税制

個人版事業承継税制の対象は、個人事業の後継者です。「経営承継円滑化法」の認定を受けている、青色申告に係る事業の後継者に適用されます。
個人版事業承継税制は、後継者が個人の事業用資産を取得したときにかかる贈与税・相続税を猶予する制度です。後継者が亡くなる等の事態になった場合は、納付が免除になります。

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中小企業のM&Aの7つの支援機関

最後に、中小企業のM&Aの手助けをしてくれる支援機関を紹介します。
中小企業のM&Aをサポートしてくれる支援機関は、主に下記の7つです。

  1. 金融機関
  2. 商工団体
  3. 事業承継・引継ぎ支援センター
  4. 士業
  5. M&Aのマッチングサイト
  6. FA(ファイナンシャル・アドバイザー)
  7. M&A仲介会社

それぞれの特色を知り、自社のM&Aに適した支援機関を選びましょう。

1.金融機関

金融機関は中小企業のM&Aを支援してくれます。
特に、M&Aの相手先を地域密着型の会社から探したい場合におすすめです。地域の企業とのつながりを生かして、自社のM&Aの相手として適した会社を紹介してくれるはずです。

2.商工団体

中小企業団体や商工会議所、商工会などの商工団体も中小企業のM&Aを支援する窓口です。
商工団体は地域に根差しているうえ、会員制をとっている場合が多いため、事業に真剣に向き合っている地元企業とのマッチングが期待できます。

3.事業承継・引継ぎ支援センター

事業承継・引継ぎ支援センターとは、国が設けた支援機関です。
事業承継・引継ぎ支援センターは独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しており、相談窓口は全国各地に設置されています。M&Aを含む事業承継の相談を受け付けており、中小企業のサポートをしています。

4.士業

士業も中小企業のM&Aを支援してくれます。
中小企業のM&Aを支援する士業は、主に「税理士」「公認会計士」「弁護士」です。

税理士

税理士とは、税務に関する専門家です。
税務代理・税務書類の作成・税務相談の3つを独占業務として行う税理士が基本ですが、M&Aのサポートもこなす税理士もいます。

中小企業のM&Aにおいて税理士は、税務や会計の視点から手続きのアドバイスをしてくれます。
特に、会社・事業の価値評価や税務デューデリジェンス、財務デューデリジェンスなどに強みを持っています。

また、税理士は通常の業務でも中小企業・零細企業の節税対策を多数請け負っています。
M&Aを行うにあたってかかってくる税金の節税対策についても、頼りになる存在です。

公認会計士

公認会計士は、主に独占業務である会計監査を行う士業です。
M&Aにまつわる業務としては、会社・事業の価値評価を行うほか、財務デューデリジェンスや節税対策についても対応しています。

公認会計士は税理士と比べると、中小企業よりも大企業やグローバル企業を担当していることが多いです。
M&Aの相手先の候補に大企業やグローバル企業を考えている場合、公認会計士のサポートを受けると良いでしょう。

弁護士

弁護士とは、法律のプロフェッショナルです。
法律に関する知識を生かして、裁判での弁護や法律相談への対応、法律関係の書面作成など幅広い業務を請け負っています。

中小企業のM&Aにおいても、弁護士は法律的な観点から助言してくれます。関係者と対立が生じた際に、交渉をして調整することも弁護士が果たす役割の1つです。

また、M&Aを進めるにあたって必要となる書類作成を手伝ったり、契約書のリーガルチェックをしたりします。そのほか、法務デューデリジェンスも弁護士の得意分野です。

5.M&Aのマッチングサイト

中小企業がM&Aの相手先の会社を探そうとしたときに便利なプラットフォームが、M&Aのマッチングサイトです。
M&Aのマッチングサイトは、売却を希望する会社と買収を希望する会社のマッチングを支援してくれます。サイトに会員登録している候補先の会社から、M&Aの希望条件を設定して検索することが可能です。

6.FA(ファイナンシャル・アドバイザー)

FA(ファイナンシャル・アドバイザー)は、M&Aの成約に向けてアドバイスを行ってくれます。

FAはM&Aの相手が決まった段階で譲渡側か譲受側のどちらかと契約を結ぶ「アドバイザリー型」であることがほとんどです。契約を結んだ会社側の利益が最大化するようにはたらきかけます。

FAは、上場企業のM&Aや国境を越えて実施するM&Aにおいて利用される傾向があります。

7.M&A仲介会社

M&A仲介会社とは、M&Aに関するあらゆるサポートをしてくれる支援機関です。
検討段階での相談からM&A成約まで、トータルに支援をしています。

M&A仲介会社のサポートの種類は、中立的な立場でM&Aをサポートする「仲介型」です。
譲渡側と譲受側、双方の要望を聞いて調整しながらM&Aを進行します。
M&A仲介会社を利用すると友好的な成約に至りやすいため、多くの中小企業がM&A仲介会社を活用しています。

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まとめ

後継者問題の解決や経営のスリム化に役立つ手段として、中小企業の間でもM&Aへの注目が高まっています。中小企業がM&Aを実施する方法としては、「事業譲渡」「会社分割」「株式譲渡」「株式交換・株式移転」などが挙げられます。
それぞれのメリット・デメリットを確認し、自社に合った方法を選ぶことが重要です。また、円滑にM&Aを進めるために、基本的な手続きの流れや注意点を押さえたうえで、中小企業が利用できる補助金や支援機関もチェックしておきましょう。
M&Aの実施には、専門的なノウハウや知識が欠かせません。会社でM&Aに詳しい人材が確保できない場合には、専門家の助けを借りるのも1つの方法です。

レバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社は、仲介型・アドバイザリー型の両方に対応しているM&A仲介会社です。
お客さまのご要望に合わせて柔軟にサービスを提供し、M&Aをトータルサポートしています。
各分野のスペシャリストも在籍しており、デューデリジェンスにも対応可能です。
料金体系はM&Aご成約時に料金が発生する完全成功報酬型(買い手会社のみ中間金あり)をとっており、M&Aご成約まで無料で利用できます。ご相談ももちろん無料です。
M&Aをご検討の際にはぜひお気軽にお問い合わせください。