株式交換の登記方法と必要書類を紹介!注意点とスケジュールも解説

2024年6月28日

株式交換の登記方法と必要書類を紹介!注意点とスケジュールも解説

このページのまとめ

  • 株式交換の登記とは、全自社発行済株式の他社による取得を公開帳簿に登録すること
  • 株式交換の登記は不要であることが大半
  • 登記が必要なケースでも、特定の書類を法務局に提出するだけで申請可能
  • 登記には期限があるため、早期に専門家へ相談するのがベター

子会社化を進めるための手法として、「株式交換」と呼ばれる手法が活用されています。株式交換は多額の資金調達や費用を伴わないため利便性が高いのですが、ケースによっては登記が必要となるため手続きに注意しなくてはなりません。

この記事では、株式交換の登記の概要や申請手順、必要書類や注意点、スケジュールについて解説します。

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株式交換の登記とは

そもそも登記とは、個人や法人が持つ不動産や債権などの財産の権利の情報を公の帳簿(登記簿)に記載する制度および手続きのことです。財産上の権利や義務を公に示すことで、財産にまつわる取引や手続きを円滑に行うこと、また、他人に権利を侵害されないようにすることを目的としています。

不動産登記や法人登記など、登記にはさまざまな種類がありますが、このうち株式交換の登記とは、「自社の発行済株式の全部を他社に取得させたこと」を公開された帳簿に登録することです。登記をすることで、第三者でも株式交換の事実を明確に確認できるようになります。

株式交換は、親会社と子会社の間で完全子会社化を進めるための手法として行われるのが一般的です。子会社化する会社の株主が保有する株式を引き換えにして、親会社になる株式の株式を引き渡します。

株式交換では、大半のケースにおいて親会社が発行済株式を子会社に交付する形式で行われるため、登記は必要ありません。この場合、株式総数や資本金などが変化しないため、登記が求められないのです。

ただし、以下のケースでは、株式の総数や資本金が変化するため登記が求められます。

【登記が求められるケース】

  • 現金を交付したとき
  • 新株を新規発行したとき
  • 新株予約権を新規発行したとき
  • 子会社の新株予約権を親会社が承継したとき
  • 親会社が子会社に対して新規発行した新株予約権を交付したとき

登記が求められる場合において、株式交換の効力発生日から2週間が申請期限とされています(会社法第915条1項)。登記には専門的な知識が求められるため、登記をしなくてはならない場合は早期に専門家へ相談すると良いでしょう。

参照:e-GOV法令検索「会社法

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株式交換の登記の申請手順

株式交換の登記は、所定の書類をそろえて法務局に提出することで申請できます。ただし、申請内容は株式交換の方法によって異なるため、注意しなくてはなりません。

株式交換申請書に記載する内容

株式交換の申請書類には、主に以下の項目を記載します。

  • 商号
  • 住所
  • 登記の事由
  • 登記すべき事項
  • 登録免許税の額
  • 添付書類の一覧
  • 具体的な申請内容

「事由(じゆう)」とは、簡単に言うと理由や目的のことです。ここで言う登記の事由は、「株式登記による変更」となります。

「登記すべき事項」には、「発行済株式の総数」「資本金の額」「変更年月日」を記載します。また、授権資本(定款に掲載している、会社が発行可能な株式の総数)を拡大した場合は「発行可能株式」も明示しなくてはなりません。

登録免許税の額は「標準課税金額の0.7%」を基本としますが、計算結果が3万円未満になる場合は3万円を採用します。添付書類については、次の項目にて解説します。

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株式交換申請書に添付する書類

株式交換申請書には、親会社と子会社のそれぞれが所定の書類を添付しなくてはいけません。ここでは、株式交換申請書に添付する書類を「親会社側」と「子会社側」に分けてご紹介します。

親会社側の添付書類

親会社側が準備する添付書類は主に以下の通りです。この他にも状況に応じて別の書類の提出を求められる場合があります。

添付書類概要
株式交換契約書親会社と子会社が株式交換に合意した際に交わす契約書
株主総会議事録株式総会の決議事項や決議までの過程などを記した書類
株券提供公告表明書会社が持つ株券をすべて提出することを公告するための書類
資本金計上証明書資本金の変動時に変動を証明するための書類
株主名簿株主一覧とそれぞれの情報が載せられている書類
登記事項証明書登記内容が掲載されている証明書
委任状登記を司法書士に委任する際に必要
債権者保護手続関係書類債権保護手続きを行った場合(通常は不要)、その関連書類が必要

子会社側の添付書類

子会社側が準備する添付書類は主に以下の通りです。親会社と比較して準備すべき書類の数は少ないと言えるでしょう。

添付書類概要
印鑑証明書新株予約権消滅の登記時には、代表取締役の印鑑証明書が必要
委任状司法書士に登記を委任する際に必要
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株式交換の登記を行うときの3つの注意点

株式交換の登記を行う際には、以下の3つの注意点を押さえておく必要があります。

  • 株式交換の登記は不要なケースが多い
  • 株式交換の登記の期限に注意する
  • 株式交換の登記の費用を把握しておく

株式交換の登記は不要なケースが多い

株式交換の登記は、不要なケースが多くあります。例えば、株式交換によって株主構成や定款が変更になっただけのケースでは、親会社・子会社共に株式交換が不要です。

このケースのように、発行済みの株式だけを交付して総株式数に変化がない場合や、資本金の額に変動がない場合は、登記を求められません。

自社のケースが不要なケースとなるかどうかはしっかりと確認しましょう。

株式交換の登記の期限に注意する

株式交換の登記には、期限があるため注意が必要です。以下の通り、会社法で2週間の期限が設けられています。

<会社法95条1項>
会社において第九百十一条第三項各号又は前三条各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その本店の所在地において、変更の登記をしなければならない。

参照:e-GOV法令検索「会社法

2週間の期限を過ぎてしまった後でも、申請を行うこと自体は可能です。ただし、悪質な遅延だと判断された場合は100万円を上限として過料が科される可能性があるため、理由なく後回しにすべきではありません。

万が一、変更が生じてから2週間を過ぎてしまったとしても放置せず、できるだけ早期に申請手続きを進めましょう。

株式交換の登記の費用を把握しておく

株式交換の登記には「登録免許税」という費用がかかります。登録免許税の具体的な金額は、国税庁によると標準課税金額の0.7%です。ただし、計算結果が3万円未満になる場合は3万円が登録免許税になるため、注意してください。

参考:国税庁「登録免許税の税額表

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株式交換のスケジュール

株式交換のスケジュールの目安は以下の通りです。スケジュール全体では2か月程度かかるため、株式交換の効力を発生させたいタイミングから逆算して計画を立てましょう。

所要期間スケジュール内容
1~2週間株式交換の準備
1日取締役会決議
10日株式交換契約の締結
契約書等の事前備置
3週間株主総会招集通知
反対株主等への通知
1週間株主総会の決議
1日株式交換の効力発生
1週間~10日株式交換の登記申請
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まとめ

株式交換の登記とは、自社の発行済株式の全部を他社に取得させたことを、公開された帳簿に登録することを指します。株式交換の登記は不要となるケースも多いですが、資本金や株式数が変動する場合には手続きが必要となるため、注意してください。

申請は必要書類の提出となりますが、変更後2週間以内の期限があるうえに専門的な知識も要求されます。そのため、登記が必要である場合は早期に専門家へ相談するのがおすすめです。

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