事業承継アドバイザーとは?資格試験の種類・内容や難易度、合格基準を紹介

2024年6月26日

事業承継アドバイザーとは?資格試験の種類・内容や難易度、合格基準を紹介

このページのまとめ

  • 事業承継アドバイザーとは、事業承継に関する資格を取得している専門家のこと
  • 事業承継アドバイザーの資格取得は、顧客からの信頼獲得につながる
  • 関連資格には「事業承継アドバイザー認定試験」をはじめとする4種類がある
  • 事業承継アドバイザーの試験対策には、通信講座や参考書が用意されている
  • 合格基準をクリアするためには、研鑽を重ねて準備をすることが大切

「事業承継アドバイザーの資格には何がある?」と疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
関連資格には「事業承継アドバイザー認定試験(BSA)」や「事業承継アドバイザー3級試験」など、主に4種類があります。

本コラムでは、事業承継アドバイザーの資格の概要や試験日程、試験内容・難易度を詳しく解説します。
また、4種類の資格試験の比較表も用意しているので、ぜひ参考にしてください。

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事業承継アドバイザーとは

「事業承継アドバイザー」とは、事業承継の関連資格を有するスペシャリストのことを指します。
事業承継アドバイザーの資格を持つことで、支援する立場としての信頼感が増すでしょう。
事業承継の支援を依頼する側にとっては、事業承継アドバイザー資格の有無は依頼先を選ぶときの基準の一つになります。

事業承継とは、会社・事業の経営権や財産、理念、技術などを後継者に引き継ぐことです。
事業承継を行うことによって後継者不在の問題を解決し、廃業を要因とする雇用や知的資産の喪失を防げたり、さらなる企業成長につなげたりすることができます。

事業承継アドバイザーの有資格者は、保有する専門的な知識と観点を生かし、事業承継を支援します。
経営者の高齢化と高い後継者不在率により事業承継の必要性は高まっているため、事業承継アドバイザーの需要も上がっていくでしょう。

参照元:中小企業庁『事業承継を知る

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事業承継アドバイザー試験の4つの種類

事業承継アドバイザー関連の試験には4つの種類があります。

  • 事業承継アドバイザー認定試験(BSA)
  • 事業承継アドバイザー3級試験
  • 金融業務3級試験 事業承継・M&Aコース
  • 金融業務2級試験 事業承継・M&Aコース
事業承継アドバイザー認定試験(BSA)事業承継アドバイザー3級試験金融業務3級試験 事業承継・M&Aコース金融業務2級試験 事業承継・M&Aコース
運営団体一般社団法人金融検定協会経済法令研究会一般社団法人金融財政事情研究会一般社団法人金融財政事情研究会
試験日程年2回(5月と11月)年1回(10月)通年実施通年実施
受験料8,400円(税込)5,500 円(税込)5,500円(税込)7,700円(税込)

4つの事業承継アドバイザー試験の概要について、それぞれ詳しく解説します。

事業承継アドバイザー認定試験(BSA)の概要

「事業承継アドバイザー認定試験(BSA)」とは、一般社団法人金融検定協会が認定する資格です。
「BSA」は「Business Succeed Advisor(ビジネス・サクシード・アドバイザー)」の略です。
事業承継アドバイザー認定試験(BSA)の受験料は8,400円(税込)で、5月と11月の年2回開催されています。

事業承継アドバイザー認定試験(BSA)は、後継者問題の悩みを抱えた経営者にアプローチする際に有効にはたらきます。
また、事業承継・M&Aの相談窓口を設ける金融機関に勤めている人が本資格を保有していれば、信頼性が増し、さらに親密な取引が可能になるでしょう。

参照元:一般社団法人金融検定協会『事業承継アドバイザー認定試験(BSA)

事業承継アドバイザー3級試験の概要

「事業承継アドバイザー3級試験」とは、経済法令研究会が認定する資格です。
事業承継アドバイザー3級試験の受験料は5,500 円(税込)で、年に1回開催されています。試験日程は10月です。

事業承継アドバイザー3級試験は、主に金融機関の渉外担当を対象にした資格です。
事業承継アドバイザー3級試験への合格は、事業承継に関する実務を行うための幅広い知識が習得できていることを証明してくれます。

参照元:経済法令研究会『事業承継アドバイザー3級

金融業務3級試験 事業承継・M&Aコースの概要

「金融業務3級試験 事業承継・M&Aコース」とは、一般社団法人金融財政事情研究会が認定する資格です。
金融業務3級試験 事業承継・M&Aコースの受験料は5,500円(税込)で、試験は全国各地にあるテストセンターで通年実施されています。

金融業務3級試験 事業承継・M&Aコースは、中小企業の事業承継およびM&Aのコンサルティング業務を行うために最低限求められる知識を証明する資格です。

参照元:一般社団法人金融財政事情研究会『種目別ガイド:金融業務3級 事業承継・M&Aコース

金融業務2級試験 事業承継・M&Aコースの概要

「金融業務2級試験 事業承継・M&Aコース」とは、先述の「金融業務3級試験 事業承継・M&Aコース」の上位資格です。
3級と同じく、一般社団法人金融財政事情研究会が認定を行っています。
金融業務2級試験 事業承継・M&Aコースの受験料は7,700円(税込)で、試験は全国のテストセンターで通年実施されています。

金融業務2級試験 事業承継・M&Aコースの資格を取得することで、中小企業の事業承継・M&Aにおける会計・税務・法務などの基本的な知識を有していることを証明できます。

参照元:一般社団法人金融財政事情研究会『種目別ガイド:金融業務2級 事業承継・M&Aコース

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事業承継アドバイザー試験の内容・難易度

「事業承継アドバイザー認定試験(BSA)」「事業承継アドバイザー3級試験」「金融業務3級試験 事業承継・M&Aコース」「金融業務2級試験 事業承継・M&Aコース」の試験内容と合格基準は、下記の表のとおりです。

 

事業承継アドバイザー認定試験(BSA)

事業承継アドバイザー3級試験

金融業務3級試験 事業承継・M&Aコース

金融業務2級試験 事業承継・M&Aコース

出題形式

五答択一式(50問)

四答択一マークシート式
基本知識 四答択一式(40問)
技能・応用 事例付四答択一式 5事例(10問)

四答択一式(50問)

四答択一式(30問)
総合問題(10題)

出題範囲

  • 事業承継の基礎知識
  • 親族内承継
  • 役員・従業員・外部への承継とM&A
  • 事業承継の基本知識
  • 事業承継と金融実務
  • その他関連知識など
  • 事業承継の事前準備等
  • 親族内・従業員承継の実務
  • 社外承継(M&A)の実務
  • コンサルティングの実務
  • 事業承継関連税制等
  • 事業承継関連法制等
  • M&A基礎知識・関連会計
  • M&A関連法制等
  • 総合問題

合格基準

60点以上
※ただし、試験結果をふまえ試験委員会で決定

100点満点中60点以上
※ただし、試験委員会にて最終決定

100点満点で60点以上

100点満点で70点以上

講座・参考書

  • 事業承継アドバイザー講座
  • 事業承継アドバイザー認定試験模擬問題集
  • 営業店の事業承継支援コース
  • 一問一答 金融機関のための事業承継の手引き
  • 渉外担当者のための事業承継がよくわかる本
  • 事業承継アドバイザー3級 問題解説集
  • ≪超入門≫事業承継Q&A講座
  • 金融業務3級 事業承継・M&Aコース試験問題集
  • 事業承継入門講座
  • 金融業務2級 事業承継・M&Aコース試験問題集

これらの試験には、公式から発表されている合格率はありません。
そのため、公表されている試験内容や合格基準などをもとに、難易度について解説します。

事業承継アドバイザー認定試験(BSA)の難易度

事業承継アドバイザー認定試験(BSA)の出題形式は五答択一式で、全50問です。
出題範囲は大別すると以下の3つに分かれています。

  1. 事業承継の基礎知識
  2. 親族内承継
  3. 役員・従業員・外部への承継とM&A

「事業承継の基礎知識」の項目では、事業承継の類型や対応策、事業承継の進め方などの基礎知識を問われる問題が出題されます。
また、事業承継アドバイザーが知っておくべきコンプライアンスも出題範囲です。

「親族内承継」の項目では、後継者が親族である場合の事業承継に関する問題です。
自社株承継にまつわる法務・税務や対策法などについて出題されます。

「役員・従業員・外部への承継とM&A」の項目では、従業員承継(役員承継、MBO)や第三者への事業承継であるM&Aに関して出題されます。
概要や基本的な流れ、金融機関による取り組みなどが出題範囲です。

事業承継アドバイザー認定試験(BSA)の合格基準は、60点以上です。
ただし「試験結果をふまえて試験委員会で決定」という注意書きがあり、その試験の正答率から判断される難易度によって合格点が変動する可能性があります。

事業承継アドバイザー認定試験(BSA)への対策法には、銀行研修社が提供している「事業承継アドバイザー講座」の受講が挙げられます。講座は3ヶ月コースです。
また、金融検定協会・編の「事業承継アドバイザー認定試験模擬問題集」が参考書として発売されています。

参照元:一般社団法人金融検定協会『事業承継アドバイザー認定試験(BSA)

事業承継アドバイザー3級試験の難易度

事業承継アドバイザー3級試験の出題形式は、四答択一マークシート式です。
出題数は基本知識が40問、技能・応用(事例付き)が10問です。
試験では、事業承継の基本知識や事業承継に関連する金融実務などが問われます。

事業承継アドバイザー3級試験の合格基準は、100点満点中60点以上です。
ただし試験委員会にて最終決定が行われるため、合格点は上下する可能性があります。

事業承継アドバイザー3級試験の対策法には、「営業店の事業承継支援コース」という通信講座が用意されています。講座は3ヶ月コースです。
また、試験対策のテキストには、専門家によって執筆された「一問一答 金融機関のための事業承継の手引き」や、認定団体である経済法令研究会が編集した「渉外担当者のための事業承継がよくわかる本」があります。
そのほか、銀行業務検定協会・編の過去問「事業承継アドバイザー3級 問題解説集」が、例年7月中旬に発売されています。

参照元:経済法令研究会『事業承継アドバイザー3級

金融業務3級試験 事業承継・M&Aコースの難易度

金融業務3級試験 事業承継・M&Aコースの出題形式は、四答択一式で全50問です。
試験の範囲は、下記の4項目です。

  1. 事業承継の事前準備等 
  2. 親族内・従業員承継の実務 
  3. 社外承継(M&A)の実務 
  4. コンサルティングの実務

金融業務3級試験 事業承継・M&Aコースの合格基準は、100点満点で60点以上です。
受験条件は設けられていませんが金融機関の若手からを対象としているため、難易度は比較的低いといえるでしょう。

金融業務3級試験 事業承継・M&Aコースには通信講座が用意されています。
「≪超入門≫事業承継Q&A講座」は事業承継について初めて勉強する人にもおすすめの講座で、受講期間は2ヶ月です。
また、試験対策として一般社団法人金融財政事情研究会 検定センター・編の「金融業務3級 事業承継・M&Aコース試験問題集」のテキストが購入可能です。

参照元:一般社団法人金融財政事情研究会『種目別ガイド:金融業務3級 事業承継・M&Aコース

金融業務2級試験 事業承継・M&Aコースの難易度

金融業務2級試験 事業承継・M&Aコースの出題形式は、四答択一式が30問と、総合問題が10題です。
試験の範囲は、下記の5項目です。

  1. 事業承継関連税制等
  2. 事業承継関連法制等
  3. M&A基礎知識・関連会計
  4. M&A関連法制等
  5. 総合問題

金融業務2級試験 事業承継・M&Aコースの合格基準は、100点満点で70点以上です。
試験は誰でも受けることができますが、主な対象者を「金融機関の渉外・融資担当者、公認会計士・税理士等」としており、3級と比べてさらに深い専門的な知識が求められる試験だといえるでしょう。

金融業務2級試験 事業承継・M&Aコースの対策には、「事業承継入門講座」の通信講座が利用可能です。
通信講座には、受講期間が2ヶ月のコースと3ヶ月のコースがあります。3ヶ月コースではより実務対応力が身につく内容になっています。
また、試験対策テキストとして一般社団法人金融財政事情研究会 検定センターが編集した「金融業務2級 事業承継・M&Aコース試験問題集」が出版されています。

参照元:一般社団法人金融財政事情研究会『種目別ガイド:金融業務2級 事業承継・M&Aコース

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事業承継アドバイザーと事業承継士の違い

事業承継アドバイザー以外の事業承継関連の資格に「事業承継士」という資格があります。
事業承継士は、事業承継にまつわる諸問題を総合的に解決できる能力を有していることを証明する資格です。

事業承継士の認定団体は、一般社団法人事業承継協会です。
事業承継士になるためには、資格取得講座を受講し、認定試験に合格する必要があります。
また、そのうえで一般社団法人事業承継協会への入会が必要です。一般社団法人事業承継協会への入会には入会審査があり、審査に通ったら入会金・年会費の支払いが発生します。

なお、事業承継士の上位資格は「事業承継プランナー」です。
事業承継士として経験を積んだあと、講座の受講・試験への合格・一般社団法人事業承継協会への入会を経て、事業承継プランナーになることができます。

参照元:一般社団法人事業承継協会『一般社団法人事業承継協会トップページ

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まとめ

事業承継アドバイザーとは、事業承継に関する資格を保有している専門家のことです。
事業承継・M&Aの必要性が高まる今、事業承継関連の資格は需要のある資格だといえます。

事業承継アドバイザー関連の試験には主に「事業承継アドバイザー認定試験(BSA)」「事業承継アドバイザー3級試験」「金融業務3級試験 事業承継・M&Aコース」「金融業務2級試験 事業承継・M&Aコース」の4つがあります。
これらの試験に合格して資格を保有することによって、専門家としての信頼性を高めることが可能です。

各試験には通信講座や試験対策用テキストが用意されています。
合格基準を満たせるよう、しっかり学習を積み重ねたうえで試験に臨みましょう。

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