会社を合併したら株価はどう変化する?株価が上がるメリットも解説

2024年6月6日

会社を合併したら株価はどう変化する?株価が上がるメリットも解説

このページのまとめ

  • 合併による株価の変動は、投資家の判断や政治情勢などさまざまな要因で変わる
  • 株価が上昇すれば、ブランド力の強化やスムーズな資金調達につなげられる
  • 合併で成功するには、会社の価値を下げないよう手続きを進めることが大切である

合併による株価の変動は、投資家の判断や政治情勢など、さまざまな要因が複雑に絡んで決まります。そのため、合併の際には株価の変動に不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、合併に伴う株価の変動や株価上昇のメリット、合併のポイントなどを解説します。合併を検討している方に役立つ情報をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

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会社を合併するとは

合併とは、2社以上の会社をまとめ、1つの会社にするM&A手法のことです。新設合併と吸収合併に分類され、それぞれに異なる特徴があります。

新設合併新たに設立した会社に既存会社の権利義務を引き継いだ後、既存会社は消滅する
吸収合併1つの既存会社に他会社の権利義務を引き継いだ後、他会社は消滅する

例えば、合併する会社をA社・B社とした場合について考えてみましょう。

新設合併では、新設した会社CにA社とB社の権利義務を引き継がせた後、A社とB社は消滅します。一方、吸収合併では、A社が消滅会社、B社を存続会社とした場合、A社の権利義務をB社に引き継がせた後にA社は消滅するのです。

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合併する目的

新設合併の場合、事業の拡大や子会社との経営効率化を目的とするケースが少なくありません。吸収合併は、シナジー効果や効率的な新規事業の立ち上げ、事業継承などが目的として挙げられます。各目的の詳細を確認し、自社に合った合併の方法を選択しましょう。

新設合併の目的

新設合併の目的は、主に以下の通りです。

  • 事業の拡大
  • 子会社との経営効率化

他社との統合によって事業が大きくなると、取引先ネットワークの拡大や生産性の向上といったメリットを得られるようになります。生産性の向上に伴うコスト削減をうまく利用すれば、低コストで製品やサービスを提供できるようになり、競合他社の新規参入を抑えられるでしょう。

また、複数の子会社を持つグループ企業の場合、各社の設備や技術が重複していると無駄が生まれやすくなり、経営の効率も落ちてしまいかねません。新設合併で各子会社を1つにまとめることで経営の効率化が実現し、コスト削減や技術力の向上なども期待できるようになります。

吸収合併の目的

吸収合併の目的は、以下の通りです。

  • シナジー効果を狙う
  • 効率的な新規事業立ち上げ
  • 事業承継

シナジー効果とは、単純な足し算以上の効果を期待できる状態のことです。例えば、合併した各会社の販路を統合すれば、販路拡大につなげられます。また、合併した会社のブランド力を活かすことで、初期段階からブランドを育てる時間を短縮できるでしょう。このように、さまざまな面で良い効果が期待できることを目的として、吸収合併が行われます。

吸収合併は、新設合併と異なり、消滅する会社が所有する免許や許認可の継承が可能です。そのため、免許や許認可が必須の新規事業も効率的に立ち上げられます。

また、吸収合併は事業継承を目的とする場合も少なくありません。合併により消滅する会社の権利義務や従業員などは全て合併先に引き継がれるため、会社が長年培ってきた技術や伝統を守りながらの事業継承が可能になります。

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会社が合併すると株価はどう変化する?

会社が合併した場合は、株価が上がるケースと下がるケース、どちらの可能性も考えられます。株価の動きには「絶対にこうなる」という確証は存在せず、世の中の動向や合併に対する投資家の判断、合併理由などさまざまな要素が複雑に絡むことになるでしょう。

ここでは株価が上がるケースと下がるケースの要因についてご紹介しますので、今後の見通しを立てるために役立ててみてください。

合併によって株価が上がるケース

株価が上がる要因として挙げられるのが、投資家の期待値の高まりです。「合併によって十分な利益が出る」と投資家が判断した場合、該当会社の株式の需要が上昇し、株価が上がります。将来性のある会社同士の合併であるほど投資家の期待値も高くなり、大幅な株価上昇が見込めるでしょう。

合併によって株価が下がるケース

投資家が「合併に将来性を感じられない」と判断した場合、株価は下がりやすくなります。また、合併に至るまでの過程も投資家心理に大きく作用するため注意が必要です。

例えば交渉がうまく進まず、会社同士の諍いや亀裂が生じた場合は合併へのマイナスイメージが大きくなり、株価が下がる要因になります。合併に問題がなくても、経済や政治情勢の悪化によって株価が下がる可能性も考えられるでしょう。

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合併して株価が上がるメリット

株価が上がるメリットは、主に以下の通りです。

  • ブランド力の向上
  • 資金調達がしやすくなる

メリットを活かすことで、さらなる売上アップや事業規模の拡大など、さまざまな利益を生み出せるようになります。メリットの詳細は後述していますので、株価が会社運営に与える影響を確認していきましょう。

ブランド力の向上

株価が上昇すると世間的な認知度が高まり、ブランド力の向上につなげられます。ブランド力がつけば消費者の注目を集めやすくなり、商品やサービスの売上アップも期待できるでしょう。また、ブランド力を魅力に感じた優秀な人材が集まりやすくなるのも大きなメリットです。

資金調達がしやすくなる

株価の上昇により投資家から注目が集まると、さらに株式の需要が高まり、購入者が増えます。投資家の需要に乗じて新たに株式を発行すれば、市場からの資金調達が容易になるでしょう。また、会社の信頼が高まり、金融機関からの融資も受けやすくなります。

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会社を合併する時のポイント

会社を合併する際には、以下のポイントを意識してください。

  • 会社の価値を落とさないようスムーズに手続きを行う
  • 合併の実例をしっかり研究する
  • 実績のあるM&Aアドバイザーに相談する

会社の価値を落とさないようスムーズに手続きを行う

手続きが上手く進まず、途中で事業が止まってしまうと信用問題に悪影響を与えかねません。前述の通り、投資家は合併の過程も確認した上で投資の判断を行うため、スムーズに手続きが行えない状態が続くと会社の価値が落ちる可能性が高まります。お互いの会社の事前調査を行った上で合併の計画を立て、滞りなく手続きを済ませられるよう手配を進めていくことが大切です。

合併の実例をしっかり研究する

過去の成功事例と失敗事例を確認し、研究しておくことも大切です。「なぜ合併により株価が下がったのか」「合併が成功した秘訣は何だったのか」など、過去の事例を分析していくことで、成功への道筋が見えてくるでしょう。

実績のあるM&Aアドバイザーに相談する

合併を始めとしたM&Aには専門知識が必要になるため、実績豊富なM&Aアドバイザーに相談するのがおすすめです。専門知識を備えたM&Aアドバイザーがいれば、合併に関する疑問点が解消され、成功率も高まります。自社だけで無理に合併を進めるのが困難な場合は、ぜひ相談してみてください。

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合併によって株価が上がった3つの事例

ソフトバンクグループ

ソフトバンクグループは、様々な企業に対してM&Aを実施し、事業拡大を行ってきました。

2012年には、イー・アクセスの合併買収を行い、1.7GHz帯と2.1GHz帯のFDD-LTEサービスの提供を開始しました。

さらに、2018年には英国の半導体設計会社のARM(アーム)に対して合併買収を行い、傘下に収めました。2019年には、LINEと経営統合したのち、株式会社ZOZOを合併買収する運びとなっています。

イー・アクセスを子会社化してからというもの、ソフトバンクグループは合併によって株価の上昇傾向を見せています。

参照元:
ソフトバンク株式会社「沿革
ソフトバンク株式会社「ソフトバンク株式会社とイー・アクセス株式会社の株式交換完了に関するお知らせ

U-NEXTとUSEN

2017年12月、有線放送を行うUSENと動画配信サービスを行うU-NEXTが合併を発表しました。U-NEXTが存続会社となる形で、吸収合併という選択肢を取ったことにより、USENは上場廃止になり、USEN-NEXT HOLDINGSとなりました。

当時は、USENよりも事業規模がはるかに小さいU-NEXTが存続会社となる吸収合併でかなりのレアケースとして注目が集まりました。

USENは、有線音楽放送という形のサブスクリプションサービスを展開しており、電気・水道・ガスと同様、店舗経営にとって重要なインフラとして機能してきましたが、昨今の動画配信サービスへの移行に苦戦し、大きな損失を抱えました。

しかし、2018年以降は会員数約420万人の国内最大級の動画配信プラットフォームに進化を遂げました。

参照元:USEN-NEXT HOLDINGS「トップメッセージ

三菱UFJリースと日立キャピタル

2020年9月、三菱UFJリースと日立キャピタルは、2021年4月に合併の実施を発表しました。

リース事業業界の総資産額を見ると、三菱UFJリースは3位、日立キャピタルは6位という大型合併となり、両社合わせると総資産額は10兆円規模となり、業界2位に飛躍することになります。

1位のオリックスの総資産額は13兆円なので、合併によって差が急激に縮まっていることが分かります。この合併によって拡大した資産を新規事業への展開に投資することも視野に入っており、今後に注目です。

参照元:
日本経済新聞「三菱系・日立系リース21年春合併 収益源を多様化

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まとめ

合併は2社以上の会社を1つにまとめるM&A手法であり、新設合併と吸収合併に分類されます。それぞれに目的が異なるため、自社の組織再編には何が必要なのか考えた上で適切な方法を選ぶことが大切です。

また、合併によって株価が下がるか上がるかは、投資家の判断や政治情勢など多種多様な要因が絡んでいます。投資家の判断に悪影響を与えないように、ポイントを踏まえた上で滞りなく手続きを行っていきましょう。

しかし、自社の従業員のみでは合併の手続きをうまく進められないこともあるかもしれません。そのような場合は、知識と実績豊富なM&A専門家への相談を検討してみてください。

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