このページのまとめ
- ホワイトナイトとは、企業の買収防衛策の一つ
- ホワイトナイトは、双方の合意を経て行われる友好的買収
- 自社にあったパートナーの見極めがポイント
ホワイトナイトとは何か、ホワイトナイトを見極める際のポイントを知りたいとお考えの方も多いのではないでしょうか。自社を敵対的な買収から守る方法を知ることは、企業の円滑な経営のために欠かせません。
この記事では、ホワイトナイトの特徴や国内の事例、実行するためのポイントについてご紹介します。
目次
ホワイトナイトとは
ホワイトナイトとは、企業の買収防衛策の一つのことで、敵対的買収から自社を防衛するための方法です。
敵対的買収とは、買収対象企業の経営陣や取締役会の同意を得ずに、株主に対して買収提案を行うことを指します。買収対象企業の経営陣が望んでいない場合や、株主にとって不利な条件で行われるケースが少なくありません。
これに対し、ホワイトナイトは友好的買収とも言われており、売り手企業と買い手企業の経営陣の合意を経て実行されるものです。
具体的には、敵対的買収を持ちかけられた企業が、別の友好的な買収者を見つけ、敵対的買収に対応する形で買収や合併などを実行します。
ホワイトナイトを実施するには、買い手側が買収対象企業の事業価値を高めるための戦略や資金力を持っている必要があります。買収対象企業の現状や将来の成長ポテンシャルを評価し、買収によって相乗効果を生み出すことが目的だからです。
また、買収対象企業の従業員や地域社会との関係性を重視し、買収後の統合において円滑な過程を実現することも重要です。
ホワイトナイトは敵対的買収を防ぐ方法の一つですが、あくまで「買収」であることに変わりはありません。手続きが通常の買収と同様の流れになる点には注意しましょう。買収後の経営者のポジションについても確認しておく必要があります。
国内でのホワイトナイトの事例
ホワイトナイトの国内事例として、ドン・キホーテがオリジン東秀の買収を試みたものの、オリジン東秀がイオンにホワイトナイトとなることを要請した事例をご紹介します。
ドン・キホーテは、2005年にオリジン東秀の創業者の遺族から株式を取得しており、次世代コンビニエンスストアを確立するため、オリジン東秀の買収を狙っていました。ドン・キホーテ並みの低価格で弁当などの商品を販売することで、既存のコンビニに対抗した事業を目論んでいたのです。
しかし、業務提携が思うように進まなかったため、ドン・キホーテはオリジン東秀に対して敵対的TOBを仕掛けることを決めました。自社の傘下にすることで事業を一気に推し進めようとしたわけです。
このドン・キホーテのアプローチに対し、オリジン東秀は傘下に入ることを拒み、イオンにホワイトナイトになることを要請しました。イオンとドン・キホーテのTOB合戦の末、イオンがオリジン東秀を526億円で買収することになったのです。
ドン・キホーテが保有していたオリジン東秀の株式をイオンに売却し、オリジン東秀は2006年にイオンの連結子会社となっています。
ホワイトナイトを行うポイント
ホワイトナイトを行う際のポイントは以下の3つです。
- ホワイトナイトのパートナーを見極める
- ホワイトナイトを行うタイミングに気を付ける
- M&Aアドバイザーに相談しながら行う
ホワイトナイトのパートナーを見極める
ホワイトナイトを行う際の最初のポイントは、ホワイトナイトのパートナーを見極めることです。
ホワイトナイトのパートナーとの相乗効果を見極めるためには、事業や市場の相性、技術やリソースの補完性を考慮しなければなりません。
また、業界知識やネットワークが豊富なパートナーを選ぶことも重要です。その上で、長期的なビジョンの一致や組織文化の適合性を確認しましょう。
これらの要素を総合的に検討し、買収対象企業との協力に適したパートナーを選ぶことが大切です。
ホワイトナイトを行うタイミングに気を付ける
ホワイトナイトを行う際の2つ目のポイントは、ホワイトナイトを行うタイミングに気を付けることです。
ホワイトナイトを行う際には、早期の対応が重要で、敵対的な買収の可能性が浮上したら迅速に行動することが大切です。
株主の関心度や買収対象企業の業績、成長の見通しを考慮し、適切なタイミングを判断することで失敗するリスクを軽減できるでしょう。
特に、法的制約や交渉力、業界の状況などを総合的に判断し、買収対象企業の状況と市場の動向に適したタイミングでホワイトナイトを実施することが大切です。
M&Aアドバイザーに相談しながら行う
ホワイトナイトを行う際の3つ目のポイントは、M&Aアドバイザーに相談しながら行うことです。
M&Aアドバイザーは経験豊富な専門家であり、買収戦略や交渉のプロセスにおいて有益なアドバイスや支援を提供してくれます。具体的には、買収戦略の策定やパートナーの選定、交渉の戦略立案などです。
また、M&Aアドバイザーは交渉の際に中立的な立場を保つため、買収対象企業との間での信頼関係構築や円滑なコミュニケーションについても支援してもらえるでしょう。
ホワイトナイトの戦略の成功に向けてM&Aアドバイザーの専門知識と経験をぜひ活用してください。
ホワイトナイトで一緒に検討したい戦略
敵対的買収を防止する目的で行われるホワイトナイトによる買収ですが、以下の2つの戦略についても一緒に検討しておきましょう。
- 第三者割当増資
- 新株予約権の付与
第三者割当増資
第三者割当増資とは、企業が資金調達をする際の手法の一つであり、特定の第三者に新株を引き受ける権利を与えて増資することです。
主なメリットとして、資金調達の柔軟性や株主の利益保護が挙げられます。また、第三者割当増資によって新たな投資家とのパートナーシップが築ける点もメリットです。
ただし、株主の同意や経営陣との調整が必要であり、株主の権利や株式価値の希薄化のリスクも考えられるため、具体的な状況や法的要件に応じて慎重に検討しなければなりません。
第三者割当増資を実施するか否かは、株主の意向や市場の需要と供給のバランスを考慮しながら検討する必要があるでしょう。
新株予約権の付与
ホワイトナイトで一緒に検討したい2つ目の戦略は、新株予約権の付与です。
新株予約権とは、新株予約権発行後の一定期間内に行使することで、その株式会社の株式を一定の価格で交付を受けられる権利のことです。
主なメリットとして、既存株主の利益保護や追加資金の調達が挙げられます。新株予約権により株主の持ち分割合が保護され、将来的な資金調達が可能となるわけです。また、関係強化や投資家の関与促進が期待できる点もメリットと言えるでしょう。
ただし、株主の同意や保護、法的要件、株価評価などを考慮し、バランスの取れた条件を設定しなければなりません。そのため、市場反応や投資家の意欲も考慮しながら判断する必要があります。
新株予約権の付与を実施するかは、資金調達の必要性や市場の需要と供給のバランスを考慮しながら検討する必要があるでしょう。
まとめ
ホワイトナイトは、敵対的買収から自社を防衛するための手法の一つです。ホワイトナイトによる買収を成功させるためには、パートナーを慎重に見極めることが非常に大切です。
しかし、どの企業にホワイトナイトのパートナーになってもらうか判断するのは難しいかもしれません。
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