M&Aアドバイザリーとは?仲介会社との違いや業務内容、手数料などを解説

2024年3月19日

M&Aアドバイザリーとは?仲介会社との違いや業務内容、手数料などを解説

このページのまとめ

  • M&Aアドバイザリーとは、クライアントの利益の最大化を目指して支援する機関
  • M&Aアドバイザリーは、売り手・買い手のどちらか一方と契約を結んでサポートする
  • 一方で、仲介会社は売り手・買い手の間に立って中立的な立場でサポートする
  • M&Aアドバイザリーを活用すれば、M&Aのあらゆるプロセスを円滑に進められる
  • M&Aアドバイザリーを利用する際には成功報酬やリテイナー・フィーがかかる

M&Aの支援依頼を検討している経営者の中には、M&Aアドバイザリーとは何か、疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
M&Aアドバイザリーとは譲渡企業・譲受企業のどちらか一方についてサポートを行う機関です。

本コラムでは、M&Aアドバイザリーの分類や具体的な業務内容、仲介会社との違いを解説します。また、M&Aアドバイザリーにかかる手数料や利用メリットなども紹介します。

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M&Aアドバイザリーとは

M&Aアドバイザリーとは、M&Aにおいて、実務面をサポートする業態をいいます。M&Aアドバイザリーを専門に行う会社は「M&Aアドバイザリー会社」と呼ばれます。
M&Aアドバイザリーの最大の役割は、M&Aをするクライアント企業の利益の最大化です。

M&Aは買い手と売り手の交渉によって条件や価格が決まります。
M&Aアドバイザリーは担当する買い手もしくは売り手のクライアントに対して、幅広い知識と経験を活かして総合的な助言を行い、利益の最大化をサポートします。

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M&Aアドバイザリーの分類

M&Aアドバイザリーは大きく下記の3種類に分けられます。

  • 財務アドバイザー
  • 法務アドバイザー
  • その他アドバイザー

それぞれの業務の内容や役割について、紹介します。

1.財務アドバイザー

財務アドバイザー(Financial Advisor=FA)は、M&A実行までのスケジューリングや他のアドバイザーとの調整、案件推進のための全般的なサポートを行います。
財務アドバイザーはM&Aの中心的な役割を担う立場といえるでしょう。

財務面のアドバイスや相手企業の選定、デューデリジェンスに関するサポートも行ってくれます。

2.法務アドバイザー

法務アドバイザー(Legal Advisor=LA)は、クライアント企業の法務担当者のサポートを担います。法務アドバイザーの主な役割は、法務デューデリジェンスをはじめとする法務分野におけるプロジェクト推進です。法務アドバイザーは法律事務所などが担当する場合が多いでしょう。

3.その他アドバイザー

その他アドバイザーは財務・法務以外のアドバイザーをいいます。フェアネス・オピニオンを表明したり、反社チェックに対応するための機関として採用される場合が多いでしょう。
フェアネス・オピニオンとは財務に関する専門家が合意した取引価格について、財務的見地から意見を表明するものです。そのため、その他アドバイザーは税理士事務所や、コンサルティングファームが対応することが多いです。

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M&Aアドバイザリーの業務内容

M&Aアドバイザリーの主な業務内容は、下記の7つです。

  1. M&Aのスケジューリング
  2. 企業価値算定
  3. 相手企業の選定
  4. 交渉段階における助言
  5. 書類や契約書の作成サポート
  6. 買収資金調達のアレンジ
  7. デューデリジェンスの支援

それぞれの業務内容について解説します。

1.M&Aのスケジューリング

M&Aアドバイザリーは、M&A進行における全体のスケジューリングを行います。M&Aを成立させる時期をゴールとして、ゴールから逆算して各種スケジュールを組みます。
M&Aは買い手と売り手だけでなく、各プロセスで専門家やステークホルダーなど、多くの人が関わります。
M&Aアドバイザリーは多くの人を動かす、プロジェクトマネージャーのような役割です。

2.企業価値算定

企業価値の算定も、M&Aアドバイザリーが行う業務の一つです。
企業価値の算定は、M&Aの買収金額の妥当性を裏付ける重要な資料になります。妥当性のない金額で提示した場合、買い手が見つからなかったり、交渉が成立しなかったりします。買い手が上場企業の場合は、高すぎる価格で買収をしてしまうと取締役の善管注意義務や忠実義務違反が問われる場合もあるでしょう。
M&Aアドバイリーが行う業務の中でも、企業価値の算定は重要かつクライアントへの影響が大きい業務です。

3.相手企業の選定

M&Aアドバイザリーは相手企業の選定にも関わります。希望条件をヒアリングしたり、相手企業候補を探して紹介したりして、クライアントにとっての理想的なマッチングを支援します。

4.交渉段階における助言

交渉プロセスでの助言も、M&Aアドバイザリーの業務です。
交渉は原則として当事者同士で行われるので、クライアントの希望を確認しながら側面からサポートします。

5.書類や契約書の作成サポート

M&Aアドバイザリーは、書類や契約書の作成に関するサポートを行います。
M&Aを進める過程では、数多くの書類が必要となります。また、契約書には法的拘束力を持つものもあり、正しく作成しなければなりません。
正確に作成するために、法務や財務などに関する専門的な知識を持ったM&Aアドバイザリーによるサポートは重要です。

6.買収資金調達のアレンジ

金融機関に所属するM&Aアドバイザリーの場合、買収に必要な資金を調達する際のアレンジャーの役割を果たすことがあります。
ただし、アドバイザリーを行う部署とファイナンスの部署は分離されていることが多く、金融機関にアドバイザリー業務を依頼したからといって、必ずしも資金調達が有利になるわけではないので注意しましょう。

7.デューデリジェンスの支援

買い手が実施するデューデリジェンスの支援も、M&Aアドバイザリーの業務です。
デューデリジェンスは、財務関連を会計事務所、税務関連を税理士事務所、法務関連を弁護士事務所など、さまざまな専門家が関わります。M&Aアドバイザリーは、各種専門家とのスケジュールやデューデリジェンスの範囲の調整を行います。

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M&Aアドバイザリーの2つの手数料

M&Aアドバイザリーを利用する際には、手数料が発生します。
手数料の支払形態は、主に「成功報酬」と「リテイナー・フィー」の2種類です。
それぞれの手数料について解説します。

取引金額に影響される「成功報酬」

M&Aにおける成功報酬は、取引金額に応じて報酬額が決まるレーマン方式が採用されることが多いです。
レーマン方式においては、下記のように買収金額に応じて手数料率が決まります。

  • 5億円以下の部分・・・5%
  • 5億円超10億円以下の部分・・・4%
  • 10億円超50億円以下の部分・・・3%
  • 50億円超100億円以下の部分・・・2%
  • 100億円超の部分・・・1%

成功報酬の計算の基となる取引価格は、「株式価格」をベースにする方法や「移動総資産」をベースにする方法など、M&Aアドバイザリー会社によって異なります。どちらの方法を採用しているかにより報酬が大きく変わることもあるため、事前にしっかりと確認しておきましょう。

月額で支払う「リテイナー・フィー」

成功報酬以外に毎月発生する報酬を、リテイナー・フィーといいます。毎月一定額を支払うケースが一般的です。「月額報酬」と呼ばれることもあります。

リテイナー・フィーを月額で払う際の報酬額は、案件の規模によって大きく違います。中型の案件規模の場合は月に数十万円、大型案件であれば月に1,000万円~月1,500万円という場合もあるでしょう。

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M&Aアドバイザリーを活用するメリット・デメリット

M&Aアドバイザリーの役割は非常に大きいですが、その分費用もかかります。そのためM&Aアドバイザリーの利用を迷う方も多く、判断しかねる経営者も少なくありません。
ここではM&Aアドバイザリーのメリット・デメリットについて紹介します。利用可否判断の参考にしてください。

メリット

M&Aアドバイザリーを利用するメリットは、希望条件に基づいた成約までの手厚いサポートを受けられる点です。M&Aの成約に至るまで、企業価値の算出やデューデリジェンス、相手との交渉など、専門知識が必要になる場面が多いです。
M&Aアドバイザリーを利用していれば必要なタイミングで適切なフォローをしてくれるので、スムーズに交渉を進められるでしょう。

デメリット

M&Aアドバイザリーは希望通りの結果になるように全力で支援してくれますが、上手く行かない場合もあるでしょう。M&Aが不成立の場合でも手数料を支払わなければならない点は、デメリットとして捉えられるかもしれません。

M&Aアドバイザリー契約の書面において、責任の所在はないという契約を結んでいることも多いです。M&Aアドバイザリーを利用したからといって、必ずしも希望通りになるわけではないことと、高額な手数料がかかる可能性があることは留意しておきましょう。

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M&Aアドバイザリーを手がけている企業

M&Aアドバイザリーを手がけている企業には、下記の5種類があります。

  • 国内の金融機関
  • 外資系の金融機関
  • 会計事務所
  • 独立系アドバイザリー
  • M&A仲介会社

ここからはそれぞれの企業の特徴を紹介します。

1.国内の金融機関

国内の大手金融機関でも、アドバイザリー業務を行なっています。国内金融機関はグループ各社と連携して、アドバイザリー業務以外の機能も提供してくれるでしょう。

たとえば銀行のM&Aアドバイザリーは、ファイナンス機能を提供してくれます。証券であれば株式や債券の引き受けなども行っています。このようにグループの総合力を活かして提案してくれるのが、国内金融機関の特徴といえるでしょう。

2.外資系の金融機関

外資系金融機関も、アドバイザリー業務を行なっています。国内金融機関と同様に、ファイナンス機能や株式の引き受けなども、対応してくれるでしょう。

外資系金融機関は世界中に拠点があり、また、国境を越えたM&Aの実績があります。そのためクロスボーダー案件や、超大型のM&A案件を担当するケースが多いです。グローバルなネットワークと実績を活かして、大型案件などに強いのが外資系の金融機関の特徴といえるでしょう。

3.会計事務所

大手会計事務所も、アドバイザリー業務を行なっています。金融機関のようにファイナンス機能はありませんが、M&Aの上流から下流までの全フェーズに対応しているのが特徴です。コンサルティング機能を活かして、M&A実施後の組織再編などにも対応しています。また、ITコンサルティング部門と連携して、システム面のサポートも行ってくれるでしょう。

4.独立系アドバイザリー

金融機関や会計事務所には属さない、独立系のアドバイザリー業務を行っている企業もあります。金融機関のファイナンス機能はありませんが、M&A戦略の立案から、M&A実施後に行うポストマージャーインテグレーション(PMI)まで幅広く対応してくれる点が特徴といえるでしょう。

5.M&A仲介会社

後述しますが、M&AアドバイザリーとM&A仲介会社は異なる業態です。しかし、M&A仲介会社がM&Aアドバイザリー業務としての依頼を受けていることもあります。

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M&Aアドバイザリー活用の際の注意点

M&Aアドバイザリーを活用する際の注意点としては、下記の2点があります。

  • 信頼できる企業を選ぶ
  • 費用対効果を考慮する

どちらもM&Aの成否に関わる重要なポイントです。それぞれの注意点について、詳しく解説します。

信頼できる企業を選ぶ

一つ目の注意点が、情報漏洩を防ぐために信頼できる企業を選ぶことです。
M&Aにおいて情報漏洩は絶対に避けるべき事項です。場合によっては大問題にもなりかねません。
たとえば売り手企業の情報が漏れてしまうと、売却価格が下がったり従業員の退職につながったりするなどの悪影響があります。
アドバイザリー契約をする前の問い合わせの段階で、M&Aアドバイザリーの担当者が信頼できるかどうかを確かめましょう。信頼できると判断したら、守秘義務契約を結んでアドバイザリー契約を進めてください。

費用対効果を考慮する

M&Aアドバイザリーを利用する際には、費用対効果を考えることが必要です。
M&Aアドバイザリーを利用する場合、リテイナー・フィーや成功報酬などの費用がかかります。それらの費用は決して安くありません。仲介会社やM&Aの取引規模によっては、億単位の料金がかかります。
これから実施しようとするM&Aで得られるものに対して、支払う手数料が見合うものかどうかを確認してからM&Aアドバイザリーと契約を結びましょう。
手数料が高すぎると感じる場合は、M&Aアドバイザリーと交渉して妥当性のある料金に変更してもらうか、ほかのM&Aアドバイザリーや別の支援サービスの利用を検討してください。

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M&Aアドバイザリーと仲介会社の違いとは?

M&Aアドバイザリーと同じく、M&A仲介会社もM&Aを支援してくれる機関です。両者はM&Aにおける専門家という意味では一致していますが、2社にはそれぞれ特徴があります。
ここでは、M&Aアドバイザリーと仲介会社の違いを紹介します。

M&Aアドバイザリーは一方に助言する

M&Aアドバイザリーは買い手か売り手、どちらか一方と契約し、助言します。
M&Aアドバイザリーはクライアント企業の利益最大化を目的としているので、売り手と買い手両方と契約することはありません。どちらか一方について助言するのがM&Aアドバイザリーの業務です。

M&A仲介会社は買い手・売り手の双方に助言する

M&A仲介会社は、買い手と売り手の間に立って助言する立場にあります。
買い手と売り手という利益相反の関係にある2社の間に入るので、公平性が求められるでしょう。M&A仲介会社は、報酬も買い手と売り手の双方から受け取ることになります。
M&A仲介会社は中立な立場で買い手・売り手をサポートするため、友好的なM&Aになりやすい傾向があります。

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M&Aアドバイザリーや仲介会社以外の選択肢

M&Aアドバイザリーや仲介会社以外にも、支援機関は存在します。

たとえばM&Aプラットフォームは、M&Aを希望する買い手と売り手をマッチングするサイトです。
M&Aプラットフォームは手数料が低いことが特徴です。サイトによっては売り手企業は無料の場合もあるので、コストを押さえたい方にはおすすめといえるでしょう。
一方で支援内容はM&Aアドバイザリーや仲介会社と比べると充実しておらず、マッチングしたあとのサポートには対応していないことがほとんどです。

国が設置している事業承継・引継ぎ支援センターを利用する選択肢もあります。
親族内承継や外部への承継にも対応しており、全国に窓口があって無料で相談できることが特徴です。また、M&Aアドバイザリーが対応しないような小規模案件でも利用できる点もメリットです。

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まとめ

M&Aアドバイザリーは、売り手・買い手のどちらか一方と契約し、クライアントの利益の最大化を目指してサポートしてくれる支援機関です。M&Aアドバイザリーの役割は、M&Aの戦略策定やスケジューリング、企業価値算定、他のアドバイザリーとの調整、デューデリジェンスなど、多岐にわたります。
手数料がかかるので費用対効果の検証は必要ですが、M&Aを進めるにあたって頼れる存在といえるでしょう。

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レバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社は、仲介契約にもアドバイザリー契約にも対応しています。
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料金体系はM&Aご成約時に料金が発生する完全成功報酬型です(譲受会社のみ中間金あり)。
ご相談も無料です。M&Aをご検討の際には、ぜひお気軽にお問い合わせください。