M&Aの着手金・仲介手数料の相場は?仲介会社を利用するメリットも紹介

2024年3月19日

M&Aの着手金・仲介手数料の相場は?仲介会社を利用するメリットも紹介

このページのまとめ

  • M&Aの着手金とは、M&Aを仲介会社に依頼した時点で生じる費用
  • M&Aを行うには、着手金以外にも相談料や成功報酬などさまざまな費用がかかる
  • M&Aの着手金が発生する際は、料金の内訳や仲介会社の誠実さを確認する
  • M&A仲介会社を利用するメリットは、「円滑な交渉」「トラブルを抑える」など

M&A仲介会社の利用を検討するにあたり、着手金をはじめとする料金体系について疑問をお持ちの経営者の方も多いのではないでしょうか?
支援にかかる費用は、仲介会社やM&Aの規模によって異なります。

本コラムでは、M&Aの着手金の相場や着手金以外にかかる費用、注意点などについて解説。また、M&Aの料金で使われる「レーマン方式」についても併せてご紹介します。

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M&Aの着手金とは

M&Aの着手金とは、仲介会社にM&Aに関する業務を依頼した時点で発生する仲介手数料の一部です。売却・買収どちらの検討時にも必要となり、M&Aが成約するかどうかに関係なく発生する費用ですが、着手金を無料にしている仲介会社もあります。

なお、着手金はM&Aが不成立の場合でも返金されません。
着手金は、一般的に企業評価の関連資料や企業概要書などを作成する際の費用として使われます。

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M&A時の着手金の相場

M&A時の着手金は仲介会社や案件の規模によって変わります。
M&Aの案件の規模や買い手企業の総資産額によって相場が決まり、小規模な案件であれば数十万円程度、大規模な案件であれば数百万円に及ぶ場合もあります。

費用が高くなる理由は、案件の規模が大きくなるほど、仲介会社に求められるスキルや責任が大きくなるからです。
近年では、着手金がかからず、完全成功報酬制を採用しているM&A仲介会社も増えています。

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着手金以外のM&Aにかかる費用

M&A仲介会社に依頼する際、着手金以外にも費用が必要となる場合があります。
着手金以外に発生する可能性がある費用は、以下のとおりです。

  1. 相談料
  2. 月額報酬
  3. 中間報酬
  4. 成功報酬
  5. デューデリジェンス費用
  6. 会計処理費用
  7. 税金や交通費などその他の費用 

ここでは、それぞれどのような時に発生する費用なのかを解説します。

1.相談料

相談料とは、仲介会社に業務を正式に依頼する前に必要となる費用です。
仲介会社と契約をする前の段階において、M&Aに関する相談を行う際に相談料が発生します。

近年では、相談料がかからない仲介会社も増えているので、Webサイトなどで事前に相談料が必要か確認すると良いでしょう。

2.月額報酬

月額報酬とは、契約期間中、月毎に発生する費用です。月額報酬は「リテイナーフィー」とも呼ばれます。
月額報酬は主に交渉を成立させるための活動実費の意味で支払われます。交渉が長引くほど負担が大きくなる点に注意が必要です。

近年では、月額報酬を設定していない仲介会社がほとんどですが、中間報酬や成功報酬に手数料として上乗せされることがあるので、契約内容を事前に確認してください。

3.中間報酬

中間報酬とは、買収先と売却先で基本合意を結んだ際にかかる費用です。中間報酬は成功報酬の10〜30%が相場となっています。

M&Aが不成立となった場合でも返金されませんが、M&Aが成立した場合は成功報酬に含まれることが多いです。つまり、M&Aが成立した場合は、成功報酬の一部を前払いしている形となり、無駄にはなりません。

4.成功報酬

成功報酬とは、M&Aが成立した際にかかる費用です。成功という言葉どおり、M&Aが成立した場合のみかかる費用で、不成立の場合は支払う必要はありません。

成功報酬の設定は、取引金額に応じて手数料が変動するレーマン方式を取り入れている仲介会社がほとんどです(レーマン方式については後ほど解説します)。

5.デューデリジェンス費用

デューデリジェンス費用とは、買い手企業が売り手企業の実態を調査する際にかかる費用です。この調査のことを「デューデリジェンス」といい、「買収監査」と訳されることもあります。
デューデリジェンス費用は、案件の規模やどの項目について調べるかによって大きく変動します。

主要なデューデリジェンスの項目は、以下のとおりです。

  • 法務デューデリジェンス:対象企業の過去のM&A・資産・債務・訴訟など
  • 人事デューデリジェンス:労使関係・社員・人件費など
  • ITデューデリジェンス:情報処理システムのコスト・セキュリティなど
  • 税務デューデリジェンス:対象企業の過去の税務申告内容・納税状況、税務処理など
  • 事業デューデリジェンス:事業の社会性・競合・仕入先・顧客など
  • 財務デューデリジェンス:過去の業績・財政状況など

仲介会社によっては、着手金や月額報酬、成功報酬に含まれている場合もあるので、事前に確認が必要です。

6.会計処理費用

M&Aが成約した企業は会計処理を行う必要があります。会計処理をM&A仲介会社に依頼する場合、会計処理に関する費用が発生します。
会計方法は、主に以下の3種類があります。

  • 個別会計:M&A後も買い手企業・売り手企業両方の法人格が存続する場合に使用される
  • 連結会計:親会社と子会社を一つの組織だと考えて会計処理を行う
  • 税務会計:国や地方自治体に納める税金計算を目的として処理を行う

会計方法はスキームによっても異なります。

7.税金や交通費などその他の費用

M&A仲介会社以外に支払う代表的な費用は、税金です。
税金を支払うタイミングは、M&A成立の翌年以降です。M&Aに適用する手法によって税目が変わるため、税率や納税タイミングも異なります。

また、M&A仲介会社が遠方にある場合は、交通費が発生することもあります。できるかぎり近い地域にある仲介会社に問い合わせたり、交通費が発生するかどうかを事前に確認したりすることがおすすめです。

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M&Aの料金で使われる「レーマン方式」とは

レーマン方式は、M&Aの成約時に仲介会社に支払う成功報酬の計算方法です。ドイツの経営学者であるレーマンの学説にちなんでつけられました。
レーマン方式は、取引金額に応じて手数料率が変動するのが特徴です。

計算方法

レーマン方式の計算方法は、以下のとおりです。

報酬金額=取引金額×手数料率

以下のように、手数料率は取引金額に応じて変動します。

取引金額手数料率
5億円以下5%
5億円超〜10億円4%
10億円超〜50億円3%
50億円超〜100億円2%
100億円超1%

計算に使用される取引金額の定義は、M&A仲介会社によって異なります。
たとえば、取引金額は以下のような範囲が考えられます。

  • 取引金額=株式譲渡価格
  • 取引金額=株式譲渡価格+役員借入金
  • 取引金額=株式譲渡価格+負債総額
  • 取引金額=株式譲渡価格+有利子負債

取引金額の定義によっては成功報酬が高額となるため、どの範囲を取引金額としているのかを必ず確認してください。
また、最低報酬額がM&A仲介会社ごとに設けられています。こちらも併せて確認しておきましょう。

計算の具体例

レーマン方式を用いて、具体的に報酬金額を算出してみましょう。

まず、取引金額が4億円の場合の計算式は、以下のとおりです。

4億円(取引金額)×5%(手数料率)=2,000万円

つづいて、取引金額が7億円の場合の計算式は、以下のとおりです。

5億円(取引金額)×5%(手数料率)+2億円(取引金額)×4%(手数料率)=2,500万円+800万円=3,300万円

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M&Aにおける着手金の注意点

M&Aを行う際の着手金に関する注意点は、以下の2つがあげられます。

  • 仲介会社の対応の誠実さを確認する
  • 着手金の内訳を確認する

以下で、それぞれ解説します。

仲介会社の対応の誠実さを確認する

M&A仲介会社に支払う着手金は基本的に返金されません。最終的にM&Aが成立しなかった場合、支払い損になってしまいます。
そのため、M&Aを成約に導いてくれる誠実な仲介会社であるかどうかを見極めることが大切です。支払った手数料に見合った働きをしてくれる仲介会社に依頼しましょう。

M&A仲介会社の誠実さを確認する方法には、口コミをチェックしたり、相談時のメール・電話対応をチェックしたりすることが挙げられます。

着手金の内訳を確認する

着手金は、企業評価に関する資料の作成や企業概要書の作成など、M&Aの初期準備にかかる費用に充てられることが多いです。
もしこれらの初期段階における準備費用が別途かかる料金設定であった場合は、着手金の内訳を確認しましょう。着手金の支払いが妥当であるかどうか、しっかり検討してください。

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M&A仲介会社を利用するメリット

M&A仲介会社を利用するメリットには、以下のようなことが挙げられます。

  • M&Aに関するアドバイスが得られる
  • 円滑に交渉が進められる
  • トラブルの発生を抑えられる

M&Aの仲介会社は、M&Aのプロフェッショナルです。専門的な知識・ノウハウを持っており、いくつものM&A案件を成約に導いてきた経験があります。

M&A仲介会社に支援を依頼することにより、M&Aに関するアドバイスや実務的なサポートを受けられます。適切な支援を受けることで、トラブルなく円滑にM&Aのプロセスを進められるようになるでしょう。

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まとめ

M&Aの着手金は、M&A仲介会社に業務を依頼する時点で生じる費用です。
M&Aの成立・不成立にかかわらず、着手金は返金されません。そのため、依頼する前に着手金の内訳を確認したり、仲介会社が着手金を支払うに値する働きをしてくれるかどうかをチェックしたりすることが大切です。

また、M&Aを行う際には、着手金以外にも相談料や月額報酬、中間報酬、成功報酬・デューデリジェンス費用、会計処理費用などがかかる場合があります。
かかる料金は仲介会社やM&Aの規模によって異なるので、相談時に料金体系を確認しましょう。

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