地方でのM&A動向と特有の難しさ、後継者問題や事例を解説

2023年11月16日

地方でのM&A動向と特有の難しさ、後継者問題や事例を解説

このページのまとめ

  • 地方企業の多くが後継者問題を抱えており、その解決手段としてM&Aがある
  • 地方進出により都市部の企業が得られるメリットとして、人材の確保や地方拠点の拡充などがある
  • 都市部の企業だけではなく、地方の企業同士でもM&Aは可能である
  • 経済産業省は「地域未来投資促進法」を通じてさまざまな支援を行っている

事業承継や後継者問題に悩む地域の企業向けに、M&Aの動向と特有の難しさ、具体的な事例を紹介します。本記事を読むことで事業譲渡の動向や交渉の具体的な進め方、専門家による支援の重要性を理解が深まり、自社の事業承継に役立てることができるでしょう。また、地方への進出によって都市部の企業が得られるメリットについても解説します。

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地方企業の現状

地方でのM&Aについて理解するために、まずは地方企業をとりまく現状を解説します。

大廃業時代 

日本における多くの中小企業が後継者問題に直面しており、2025年頃には多数の企業が廃業すると予想されていることから、間もなく「大廃業時代」が到来すると言われています。

中小企業基盤整備機構「日本を支える中小企業」や、帝国データバンク「全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)」の調査によると、現在日本に存在する約360万の中小企業の50%超が、後継者を見つけられていません。これは、後継者問題が単なる個人の問題ではなく、全国的な経済問題であることを明確に示しています。

中小企業は地域の雇用を支え、地域社会の活性化に貢献しています。もし大量の中小企業が廃業する「大廃業時代」が訪れれば、地域経済は大きな打撃を受けるでしょう。

※参照元:
中小企業基盤整備機構「日本を支える中小企業
株式会社帝国データバンク『全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)』(2022年11月16日)

地方経営者の高齢化 

地方の経営者の年齢分布を見ると、経営者の高齢化が進んでいることがわかります。中小企業庁「第7節 経営資源の有効活用」によると、休廃業か解散を選んだ企業の経営者年齢は、60歳を超えている企業が全体の8割強となっており、後継者を見つけられず経営を継続することが困難になった企業の多くは、経営者が高齢であるという現実が見て取れます。

休廃業か解散を選んだ企業の経営者の平均年齢の推移のグラフのイメージ

※画像参照元:中小企業庁「第7節 経営資源の有効活用

上記の図のように、地方経営者の年齢分布は地方企業が直面している後継者問題の深刻さを如実に表しています。そして、経営者の高齢化は企業の存続に大きなリスクをもたらします。経営者が健康を害したり、リタイアを考えたりした場合、後継者がいなければ企業の存続が難しくなるためです。

地方企業の後継者難とM&Aの現状

地方では次の3つの理由から、後継者難に直面しやすい状況になっています。

小さなコミュニティ・地域のみで後継者を探す傾向がある

地方企業は地域密着型が多く、一部の地域でしか事業を行っていない場合、後継者の候補もその地域内に限られてしまいます。その結果、後継者を見つけるのが困難となっている状況です。
また、地方は人口が少なく、取引先や競合他社との人間関係が密接であるため、M&A対象となる企業が少なくなります。他社との関係性を優先し、M&Aという新たな選択肢を導入することに躊躇する経営者も少なくありません。

地元愛が強く、外部の人間が経営に参画してくることを避けるケースがある

企業によっては、経営体制が変化することを避けたがるだけでなく、自社の事業を地元のものとして保つため、外部からの経営参画を躊躇するケースがあります。

M&Aの相談者が少ない

地方ではM&Aの専門家が不足しており、適切なアドバイスを得ることが困難です。その結果、M&Aを検討する企業が限られ、そのプロセスが進行するスピードも都市部に比べて遅い傾向があります。

これらの問題を克服し、地方でのM&Aを推進するためには、地元の経済環境を理解して地域密着型のビジネスモデルを採用することが重要です。また、M&Aに関する教育や相談窓口の提供を通じて、地方企業がM&Aについて理解を深め、具体的なステップを踏めるように支援する必要があります。

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地方企業の後継者問題を解決する手段としてM&Aを行う意義 

地方企業の後継者問題を解決する方法として考えられるのがM&Aです。M&Aにより、地方企業の事業承継が円滑に推進される可能性があります。ここでは、地方企業がM&Aを行う意義について解説します。

企業を存続させ、経営をつなぐことができる 

M&Aによる事業承継では、自社の状況を変えることなく売却できるため、株式譲渡によるものが多く見られます。たとえば、株式譲渡では社名の変更が不要で、従業員との雇用契約をし直す必要もありません。また、取引先との契約もそのまま維持できることから事業の存続性が高まります。

さらに、経営を継続することにより、事業の廃止や閉鎖、リストラなどが発生することによる地元経済への影響も最小限に抑えられます。地方企業は地域経済に影響力を持つため、その継続性は地域全体にとっても重要です。

株式譲渡による事業承継によって、既存の企業を存続させ、スムーズな経営の引き継ぎができる可能性が高まるでしょう。

廃業を防ぎ、売り手の経済面も支える

事業承継にはいくつかの方法がありますが、 中でも注目されているのが売却による事業譲渡です。

地方企業の廃業は、地域社会に大きな影響を及ぼします。廃業ではなく売却することにより、従業員の雇用継続が可能となるほか、取引先も継続できるため、他の地域企業への影響を抑えられます。

また、地方企業のオーナーにとっても、売却は経済的に優位な選択肢となります。事業の売却によって、オーナーは手残り資金を確保でき、退職後の生活資金に充てることが可能です。

M&Aにより地方活性化が期待できる 

後継者不足などを理由とした廃業の増加により企業数の減少は、地方経済に深刻な影響を及ぼします。労働者の失職、若者の都心部への流出、さらなる地方経済の衰退といった連鎖的な問題を引き起こすためです。

この問題を解決するための有効な手段の1つがM&Aです。たとえば、地方企業がM&Aを通じて事業承継を行うことで、廃業による労働者の失職を防げます。その結果、若者が地元で働く機会が維持され、都心部への流出を回避できる一助になるでしょう。

事業を継続できれば、地元における経済活動が維持され、地方経済の衰退を防げます。これらの観点から、M&Aは地方活性化の一環として有効な手段と言えます。

M&Aにより技術の断絶を防ぐ

M&Aは地方企業の事業承継を支援するだけではなく、地方企業の持つ技術やノウハウが途絶えることを防ぐことにも繋がります。
地方企業は地元で長年培ってきた特殊な技術や、その地域特有の市場への深い理解といったノウハウを持っており、それらの貴重な財産が断絶するという損失を回避することは重要です。

また、地方企業の技術やノウハウは地域文化や歴史と深く結びついており、それらを絶やさずに継承することは、地域文化の保護という観点からも重要です。

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地方進出により企業が得られるメリット

地方進出には、企業にとってさまざまなメリットがあります。M&Aを通じて地方企業の事業を買収することで、地域特有のノウハウや経験を活かした新たな市場開拓が可能です。また、地方自治体からの各種支援や、地域の顧客との深い絆も強みとなるでしょう。企業の成長と地域の活性化を同時に達成できるM&Aは、持続可能な経営戦略として注目されています。

優秀な人材の確保・育成が可能

地方都市には、何らかの事情で都心部へ進出できなかった優秀な人材が埋もれている可能性があります。

家族のケア、地元への愛着、高い生活費用、通勤時間の問題などの理由により、都心部へ移動せず地元に留まるケースは少なくありません。地方都市では見過ごされがちですが、こうした人材は多様な背景を持っているため、新たな視点や独自の解決策を提供でき、企業のイノベーションを促進する重要な資源となり得ます。

M&Aを通じて地方都市に進出する企業は、未開拓の優秀な人材の確保と育成の機会を得ることが可能です。これは、企業の持続的な成長と競争力向上のための重要な戦略となるでしょう。

地方拠点ができる

地方進出によるM&Aは、企業に地方拠点を設立するチャンスです。地方拠点を設立しておくことで、災害や事故で本社が動けなくなった場合に、地方拠点に本社機能の代替をさせるといったリスク分散が可能になります。

また、地方拠点の地域の特性や資源を活かして新商品や新サービスを開発できる可能性があるため、企業と地域との密接な関係を構築するためのプラットフォームともなり得ます。地域との協働は、地域資源の活用、地域経済への貢献、企業のイノベーションの推進など、双方にとってメリットがあると言えます。

地方に拠点を持ち、地元とのより深い信頼関係を構築することで、企業の持続的な成長と発展につなげられます。

社員の働き方改革につながる

地方へのM&Aによる拠点設立は、社員の働き方改革にも寄与します。特に現代では、リモートワークやテレワークといった働き方が急速に広がりつつあります。地方に拠点を持つことで、社員が地方で生活しながら、都心部での業務を行うという新たな働き方が実現するでしょう。

こうした働き方は、通勤時間の削減、ライフワークバランスの向上、地方での生活コストの低減など多くのメリットを社員にもたらします。また、社員が地域社会に深く根ざすことで地方と企業との連携が深まることも期待できます。

このように、地方でのM&Aは、企業の成長と地域経済の活性化、そして社員の働き方改革の推進といった多面的な効果を生む可能性を秘めています。

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地方のM&A動向

地方企業が直面する課題の一つである後継者問題への解決手段として、M&Aは重要な役割を果たします。ここでは、地方のM&Aが地域経済にどのような影響を与えているのか、買い手側と売り手側のM&A動向を解説します。

買い手側の動向

「買い手側の動向」という観点で見ると、大都市圏の企業を中心にM&Aによる買収が増加している傾向があります。なかでも増えているのが、東京の企業による地方企業の買収です。

地方企業は、販路や仕入れ先をはじめとした地元のネットワークを有しているため、それを活用すれば都市部の企業でも手っ取り早く事業拡大が可能となります。こうしたメリットから、地方の企業を買収し、自社の事業を拡大する動きが加速しています。

特に地方でのM&Aが活発な業界は、薬局・ドラッグストアやサービス業です。多店舗を展開する薬局チェーンなどが、地方の薬局をM&Aによって取得し、売上向上を図る事例が増えています。地方の薬局のなかには事業承継に悩む企業も多く、その解決策として都市部の薬局チェーンによるM&Aが行われます。

売り手側の動向 

「売り手側の動向」という観点で見ると、深刻化する後継者不足を解決する手段としてM&Aが利用されている点が特徴です。後継者が見つからない経営者は50%を超えるとされ、企業存続のためにはM&Aが有効な対策となり得ます。

また、単独での事業拡大が難しい企業にとって、M&Aは買い手の経営資源を利用して事業拡大を図れるメリットがあります。同等規模や小規模の同業者などへの会社売却を通じて、より大きな事業展開が可能となるケースも少なくありません。

M&Aの地理的な動向を見てみると、都市部から地方へのM&Aが増えています。

特にM&Aのニーズが増大しているのが、医療・卸売分野です。厚生労働省「令和2(2020)年度 国民医療費の概況」によると、2020年の医療費の合計額は約43兆円にのぼりました。高齢者の増加によることが大きな要因ですが、こうした事情により医療・介護ニーズが年々増大していることが読み取れます。

医療・介護ニーズが増大していることも相まって、医療業界は地域社会と深く結びついているため、簡単には廃業できません。そのため、後継者不足に直面する病院や薬局などは、M&Aを活用することで事業存続を図っています。

※参照元:厚生労働省「令和2(2020)年度 国民医療費の概況

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地方でのM&Aの展望

地方でのM&Aについて難航する場合はあるものの、地方のリソースを上手く使い、M&Aを成功させているケースはあります。
また、国の政策による後押しもあり、地方M&Aは活性化することが見込まれます。
この章では、地方でのM&Aに関する今後の見通しを述べていきます。

地方の中小企業でもM&Aは可能

地方でのM&Aの支援体制は、未だ都市部には及ばないものの、次第に整備されつつあります。そのため、地方の中小企業でも事業承継の一手段としてM&Aがやりやすくなってきています。

地方の中小企業がM&Aを検討する際には、地元の金融機関や支援センター、士業事務所などと積極的に交流することをおすすめします。地方銀行や信用金庫は顧客のビジネスを理解しているため、地元企業間のマッチングをサポートしてもらえるでしょう。

また、事業承継・引継ぎ支援センターや士業事務所では、事業承継に関する法律や税制の専門的な知識を持つプロフェッショナルが支援を行います。これらの支援を活用することで、地方の中小企業でもM&Aによる事業承継は十分可能です。

地方M&Aの今後の見通し

地方でのM&Aは、後継者不足や都市部の地方進出などの動きを背景に今後増えていくと考えられます。深刻化していく後継者不足の解消や、地方の潜在的なビジネスチャンスの活用に向けて、企業の地方進出が見込まれるためです。

さらに、地方経済を活性化させる目的で、経済産業省が平成29年6月2日に「地域未来投資促進法」を公布・施行し、さまざまな支援を行っています。この法律は、地方企業の成長や事業承継を促進し、地域の雇用や経済活動を維持・活性化することを目的としているため、新たなビジネスチャンスを生み出し、地方経済の活性化にも有効です。

公的支援と市場の動きが組み合わさることで、地方のM&Aはさらに活発化していくでしょう。

※参照元:経済産業省「地域未来投資促進法

M&Aによるビジネスチャンスの事例:地方で育つIT企業 

地方都市にもIT企業は多く存在します。例えば新潟県の長岡市や新潟市といった人口の多い土地や、佐渡といった離島にもIT企業があります。こうしたIT企業は、コストパフォーマンスの良さから大手企業の発注を受けやすい特徴があります。地方都市でソフトウェア開発やウェブ制作を行うことで、人件費や家賃などの経営コストを大きく抑えられるためです。
地方都市は都心部よりも物価が安いため、経営に必要な資源を低コストで確保できます。これにより、地方のIT企業は競争力のある価格設定でサービスを提供することが可能です。

価格競争力のある地方のIT企業をM&Aにより獲得することで、ローコストを売りにソフトウェアを売り出していくといったビジネスチャンスが考えられます。
地方IT企業は1990年代後半からのいわゆるITバブルの時期ににたくさん設立されており、当時30~40代だった経営者は、現在では60歳以上と高齢化している状況です。会社を売却したいというニーズを見込めるため、M&Aを比較的しやすい土壌があると言えます。

また、地方IT企業には、その地方での特定の業態向け業務システムの企画・開発に特化した会社や、自治体向けの実績豊富な会社といった、独自のノウハウや技術を持っています。こうした技術やノウハウをM&Aで引き継げることはメリットの1つです。

関連記事:地方でのM&A動向と特有の難しさ、後継者問題や事例を解説

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地方でのM&Aを成功させる8つのポイント

地方でのM&Aにより、事業の成長と地域貢献を達成するためのポイントを8つ紹介します。

M&A専門家への相談 

M&Aには売買先の選定、交渉、各種書類の作成といった複雑な手続きが伴い、専門的な知識と経験が求められます。専門家への相談なしでは、成約率が大きく下がるおそれがあるでしょう。

M&Aのプロセスを円滑に進めて成功につなげるためには、豊富な知識と経験を持つM&A専門家へ相談することが重要です。

M&Aを行う目的の明確化

M&Aを行う際には、目的を明確にすることも重要なポイントです。

買い手と売り手でM&Aの目的は異なります。買い手側の主な目的は、新たな市場への進出や技術の獲得、規模の拡大によるシナジー効果の創出です。一方、売り手側は経営資源の最適化やリスクの分散、あるいはエグジット戦略としての売却が目的であるケースが多く見られます。

M&Aの成功は、パートナーの目的を理解し、それぞれが目指す成果につながるような取引を組み立てることで実現します。

譲れない条件の抽出

譲れない条件と、妥協できる条件を明確に分けておくことが重要です。

譲れない条件としては、自社のビジネス価値を保持するために必要な、技術の所有権、主要な顧客との関係、社風や組織風土などが挙げられます。妥協できる条件とは、交渉の過程で柔軟に対応可能な項目のことです。売却価格や引渡し期間、取締役の人選などが考えられます。

譲れない条件と妥協できる条件を明確にしておくことで、交渉を効果的かつスムーズに進められるでしょう。

自社の強みの理解 

自社の強みを効果的にアピールすることも重要なポイントです。売り手側は、自社の強みを明確に伝えることで、買い手に自社の価値を理解してもらい、より良い条件での取引を進められます。

ここで重要なのは、自身だけではなく第三者の視点も取り入れることです。第三者の視点を取り入れることで、自社が見落としていた強みや改善点を発見できる可能性があります。
視点の多角化により自社の真の強みを理解し、それを基にした効果的なM&A戦略を展開できるのです。

経営の健全化 

経営上の問題や課題を隠すことは、長期的なビジネスパートナーシップを築く上で有害となります。買い手は購入前にデューデリジェンス(企業の健全性の調査)を行い、企業の強みだけではなく弱点や問題点も詳しく調査します。そのため、マイナス面は隠さず、正直に買い手に伝えることが重要です。

その上で、問題をどのように改善するか、問題が存在するにも関わらずなぜ企業が価値を持つのかを示す必要があるでしょう。経営の健全化と問題解決へのアプローチが、M&Aの成功につながります。

ワンマン経営の解消 

ワンマン経営とは、経営者一人がすべての経営決定を行い、企業の運営全体を担う形態を指します。このような企業では、M&Aによって当該経営者が退任したあと、従来の業績を維持できない可能性があります。ワンマン経営者がいなくても業績を維持できるように、人材の育成や、ワンマンに頼らない社内体制の構築を進めておくとよいです。

シナジー効果を意識した相手先選定 

シナジー効果を最大限に発揮できるような相手先を選定することで、地方でのM&A成功の可能性が高まります。シナジー効果とは、両社が共有する経営資源を活用し、単独で事業を行うよりも高い業績を上げることです。

M&A先が有する特定の技術やノウハウを自社の事業に活用することで、新製品を開発したり、M&A先が有する地域的なネットワークを通じて販路を拡大したりすることが可能となります。

情報漏洩防止の対策に注意 

M&Aの過程で情報が不適切に漏洩すれば、事業に重大な影響を及ぼしかねません。従業員が不安を感じて退職したり、取引先の信頼を損なったりするおそれがあります。

また、自社が買い手を探している情報が他の仲介会社に出回ってしまうと「出回り案件」となり、信用問題や企業価値の低下につながるでしょう。M&Aの過程では情報管理に十分な注意を払い、適切なNDA(非開示契約)を締結するなどの対策を講じることが重要です。

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地方企業のM&A事例

地方M&Aの実際の成功事例を紹介していきます。
また、実際の事例から見つけられる成功要因及び失敗要因を抜き出して参考にすることで、地方でのM&Aをすすめる上での一助としてください。

SBIホールディングスとじもとホールディングスの資本業務提携

2020年11月20日。宮城県のじもとホールディングスは、SBIホールディングスに第三者割当増資を行い、SBIホールディングスと資本提携しました。じもとホールディングスの積年の課題である、ITを駆使した金融サービス、FinTech技術の導入はSBIホールディングスの得意としているものです。

この提携により、SBIホールディングスはじもとホールディングスへの本業支援を開始し、IT技術の導入により、東北地方のすみずみまでより洗練されたサービスを提供することが期待されます。

※参照元:SBIホールディングス「株式会社じもとホールディングスとの資本業務提携に関するお知らせ

ソラストと日本エルダリーケアサービスのM&A

2020年に介護や医療業界で事業を展開している株式会社ソラストは、首都圏を中心に介護やデイサービスを122か所の拠点で行っている「日本エルダリーケアサービス」と、大分市を中心に26か所でデイサービスや老人ホームなどを展開している株式会社恵の会及び有限会社恵みの会のすべての株式を取得し、完全子会社としました。

今回のM&Aにおけるソラストの狙いは、自社のサービスエリアの拡大とサービス体制の強化です。2030年を目途に介護サービス対象エリアを300エリアに拡大し、全種類の介護サービスを提供できる体制の構築を目指しています。

※参照元:
ソラスト「株式会社日本エルダリーケアサービスの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
日本経済新聞「ソラスト、訪問介護会社を23億円で子会社化

M&Aの成功要因 

M&Aを成功させるために重要な要素の一つが、適切なM&Aマッチングサイトの利用です。成功事例を見てみると、マッチングサイトの活用により自社に合った売却先を見つけ、M&Aを成約させているケースが多くあります。

たとえば、北海道のある食品製造企業は、地域的な制約からM&Aのパートナーを見つけるのが難しい状況でした。しかし、マッチングサイトを通じて自社とシナジー効果が見込める別の地域の企業を見つけ、M&Aを成功させたのです。

企業間の情報共有を円滑にし、規模や業種、地域に関わらず幅広い企業との接点を提供するマッチングサイトは、M&A成功の鍵となります。
また、他の成功要因として、M&Aプロセスに入る前に自社の経営管理体制や財務管理体制を見直し、磨き上げることで買取候補の企業に好印象を与えることができます。

M&Aの失敗要因 

M&Aの失敗要因はさまざまですが、なかでも地方の中小企業でよく見られるのが、買収後の社員の処遇に関する問題です。地方の中小企業の職員は、自社と地元に強く根ざしており、会社の所有権が移転したことで生じる変化に抵抗感を持つ人も少なくありません。

ある地方企業が都市部の大手企業に買収されたケースでは、社員の雇用継続が約束されていたにも関わらず、新しい経営体制や職場環境の変化に対する不安から、多くの社員が退職を選んだ事例があります。

その結果、事業継続が困難となり、最終的にはM&A自体が失敗に終わりました。このような失敗を避けるためには、M&Aが行われる前に社員の処遇を明確にすること、そして社員と適切にコミュニケーションをとり、合意を得ておくことが重要です。

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まとめ

地方でのM&Aは、特有の難しさを含む一方で、後継者問題の解決手段として注目されています。地方の密接なコミュニティや消極的なM&Aへの意識、相談者不足などの障壁もありますが、地銀や事業承継・引継ぎ支援センター、士業事務所といった地元の組織を活用してM&Aを成功させた事例も多くあります。地方経済の活性化や都市部の地方進出により、地方M&Aの重要性は今後さらに高まるでしょう。

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