非上場株式の購入方法を紹介!保有するメリットやかかる税金なども解説

2023年10月4日

非上場株式の購入方法を紹介!保有するメリットやかかる税金なども解説

このページのまとめ

  • 非上場株式購入には、低価格での取得や上場時の利益獲得ができるなどのメリットがある
  • 一方、投資リスクが高かったり換金方法が限られたりするなどのデメリットがある
  • 非上場株式の購入時は投資詐欺に気をつける 
  • 非上場株式はクラウドファンディングやM&A(株式譲渡)などで購入できる

上場しておらず、株式市場に出回っていない「非上場株式」。非上場株式はどのようにすれば購入できるか、興味をお持ちの方もいるのではないでしょうか?

この記事では、非上場株式の概要やメリット・デメリットをご紹介します。また、非上場株式を購入するうえで知っておきたい投資詐欺の危険性や課される税金についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

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非上場株式とは

非上場株式とは、証券取引所に上場していない会社の株式のことです。
上場株式が証券取引所で公開され、一般の投資家がオープンに取引できるのに対して、非上場株式は限られた投資家や特定の取引市場でのみ取引が行われます。

未公開株式との違い

未公開株式と非上場株式は、証券取引所に上場しておらず、一般の投資家による取引が制限されている点が共通しています。

ただし、未公開株式は、会社法上で株式の譲渡制限が付いている株式(譲渡制限株式)であり、非上場株式には会社法上の譲渡制限は直接的には付いていない点が異なります。未公開株式は「全て非上場株式」と言えますが、逆に非上場株式でも未公開ではないケースもあります。

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非上場株式を購入(保有)する3つのメリット

非上場株式を購入(保有)するメリットは以下の3つです。

  • 比較的低価格で取得できる
  • 上場によって利益が得られる可能性がある 
  • 企業の応援ができる

それぞれ解説します。

比較的低価格で取得できる

企業の成長とともに価値が高まることが期待できる企業の株式を、創業間もないタイミングで取得できます。

上場によって利益が得られる可能性がある 

非上場株式は将来上場する可能性があります。非上場株式を保有していれば、上場時に株価の上昇による利益を得ることが可能です。

企業の応援ができる

非上場株式を購入することで、成長の見込まれる企業や新規事業を応援できます。出資により将来の成功に関与することが可能です。

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非上場株式を購入(保有)する3つのデメリット

非上場株式を購入(保有)するデメリットは以下の3つです。

  • 投資のリスクが高い
  • 換金の方法が限られる
  • 配当金が支払われない可能性がある

詳しく解説します。

投資のリスクが高い 

非上場株式は成長途中の中小企業や新興企業が多く、財務基盤が不安定であるため、投資リスクが高いです。株式の価値は倒産などにより、ゼロになる可能性もあります。

換金の方法が限られる

非上場株式は取引所で取り扱っていないため、一般的な相場が存在しません。換金するためには、基本的には発行会社に買い取ってもらうしか方法がないのが現状です。

配当金が支払われない可能性がある

配当の有無・配当額は株主総会の議決で決まりますが、非上場企業では、支配株主であるオーナー・親族などの意見に左右されることがあります。その結果、経営状況が良好であるにもかかわらず、少数株主への配当が少額、もしくは支払われない可能性があります。

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非上場株式の購入時は投資詐欺にも注意

非上場株式の購入に際しては、投資詐欺にも注意が必要です。

例えば、金融庁が発信している「未公開株購入の勧誘にご注意!~一般投資家への注意喚起~」では「業者から未公開株を購入したが、発行会社に問い合わせると上場予定がないと言われた」「買い付け代金を渡したが、そのあと業者と連絡がつかなくなった」などのトラブル事例が紹介されています。 

未公開株の販売は発行会社や登録証券会社に限られているため、それ以外の業者から勧誘を受けた場合は要注意です。過度な利益保証や確約を伴う勧誘は、詐欺の可能性が高いでしょう。

金融庁のWebサイトで「免許・登録を受けている業者一覧」を確認できます。業者との取引前に必ずチェックしてください。

参照元:
金融庁「未公開株購入の勧誘にご注意!~一般投資家への注意喚起~
金融庁「免許・許可・登録等を受けている業者一覧

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非上場株式を購入する4つの方法

非上場株式は上場企業の株式と異なり、証券会社からの購入・取得ができません。非上場株式を購入する際は、以下のような方法を検討することになります。

  • クラウドファンディング
  • M&A(株式譲渡)
  • ストックオプション
  • 相続・贈与 

4つの方法について、詳しく解説します。

クラウドファンディング

クラウドファンディングは、インターネット上で多くの個人から資金を募集する方法です。

一部のクラウドファンディングのプラットフォームでは、非上場企業の株式への投資が可能なプロジェクトが存在します。投資家はプロジェクトに出資し、その対価として非上場株式を受け取ることが可能です。

クラウドファンディングという手段の登場によって、非上場株式の購入ハードルは大きく下がったといえるでしょう。 

M&A(株式譲渡)

非上場企業のM&Aは、株式譲渡というスキームで実施されることが多いです。例えば、事業の後継者となるために、株式を譲り受けるシチュエーションが考えられます。 

株式譲渡はほかのM&Aのスキームと比べて必要な手続きが簡易な点も魅力です。 

ストックオプション

ストックオプションは、企業が従業員や経営者に株式の購入権を与える制度です。

ベンチャー企業など一部の非上場企業では、従業員のモチベーションアップなどを目的としてストックオプションを提供しています。

相続・贈与

非上場株式は相続や贈与によって譲渡されることもあります。この場合、取得対価を用意する必要はありません。トラブルを避けるために、現経営者が存命中に手続きを進めていくのが一般的です。

相続税や贈与税を課されるため、税金対策を講じる必要があります。 

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非上場株式の購入価格の決め方

非上場株式は株式市場で取引されていないため、株価が定まっていません。そこで、ある時点での評価額(時価)を算出する必要があります。

評価額は、企業の財務状況や成長の見通し、業績などを考慮して決定されます。具体的には、主に以下3つの方式から企業の状況に応じて計算方法を選択し、企業価値(非上場株式の購入価格)を算出することになります。

  • 純資産価額方式
  • 類似業種比準方式
  • 配当還元方式

それぞれの計算方法について詳しく解説します。

純資産価額方式

純資産価額方式は、貸借対照表から企業の純資産を基に企業価値を評価する方法です。企業の現状や財務面に焦点を置いた評価が必要な場合に適した方法といえるでしょう。 

相続開始時点の「評価会社へ売却した際の利益額÷発行済株式数」で算出できます。 

財務状況に基づいた評価が可能な点がメリットですが、将来の成長・収益性を評価対象としていない点に注意が必要です。

類似業種比準方式

類似業種比準方式では、当該会社に類似した業種の標準と比較して評価額を算出します。当該会社と似た業種・企業が充分にある場合に採用できる方法です。

「類似企業の株価 × 比準割合 × 調整率」で算出できます。 

算出される企業価値が純資産価額方式よりも低くなる傾向にあるため、相続税などの観点からメリットがあります。一方、適切な比較対象が見つけにくいケースでは、評価が困難な場合があるので注意してください。

配当還元方式

配当還元方式は、配当を基に企業価値を算出する方式です。株主への配当金のみに焦点を当てています。

「(年配当金額 ÷ 10%)× (1株あたりの資本金額 ÷ 50円)」で算出できます。

従業員がストックオプションを持っている場合、企業の業績アップが配当アップにつながるため、従業員のモチベーション向上につながる可能性があります。一方、業績が下がり配当金額が低下すると、従業員のモチベーションが下がる恐れがあるので注意が必要です。

なお、配当のない非上場株式に対しては、この方式は利用できません。 

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非上場株式の購入時に課せられる4つの税金

非上場株式の購入に際しては、 取得方法などに応じて以下のような税金が課せられる可能性があります。

  • 譲渡所得税
  • 法人税
  • 相続税
  • 贈与税

4つの税金について解説します。

譲渡所得税

株式を譲渡した側にかかる税金です。所得税が15%、住民税が5%、復興特別所得税が0.315%の合計20.315%が課税されます。
課税対象となる譲渡益は、非上場株式の場合「譲渡価額−必要経費(取得にかかった費用+委託手数料など)」で計算できます。

法人税

株式を譲渡した法人にかかる税金です。法人税は法人所得への課税で、法人が非上場株式を取得した際に課税額が変化する可能性があります。法人税率は29~42%と幅があり、法人の種類や納税対象者によっても異なります。 

相続税

相続によって非上場株式が引き継がれた場合、後継者側に相続税が課されます。相続税は累進課税制度が採用されています。

贈与税

贈与によって非上場株式を受け取った場合、受け取った側に贈与税が発生します。贈与税は累進課税制度です。

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非上場株式の購入時に利用できる「エンジェル税制」とは

エンジェル税制とは、スタートアップ投資を実施した個人投資家向けに、税制上の優遇措置を提供する制度です。2023年度の制度改正で、要件に合致する設立間もないスタートアップへの投資なども非課税の対象となりました。

制度設立の背景には、スタートアップ企業の成長を促進し、新たなビジネスの創出や雇用の拡大を支援するという目的があります。
節税効果の高さは投資額や他の株式の売却益等によっても異なりますが、状況に応じて有利なものを選択することが可能です。適用条件を満たす個人投資家は、忘れずに活用しましょう。 

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非上場株式を購入する際の3つのポイント

最後に、非上場株式を購入(取得)する際の注意点や対策についてご紹介します。

  • デューディリジェンスを徹底する
  • 譲渡や相続時の価格は証券会社に確認する
  • 株式譲渡やM&Aの専門家に相談する

3つのポイントを押さえましょう。それぞれ解説します。

デューディリジェンスを徹底する

デューディリジェンスとは、投資に際して、財務状況・業績・法的事項などを含め、対象企業の価値やリスクを事前調査することです。
非上場株式は市場価値が定まっておらず、監査が実施されていないことも多々あります。公開情報に欠けるケースも多いので、注意深く情報収集し、評価する必要があります。

デューディリジェンスには専門的な知識が必要になるので、専門家に依頼すると良いでしょう。 

譲渡や相続時の価格は証券会社に確認する

非上場株式を譲渡された場合や相続した場合、取得時の価格がわからないケースもあります。 

取得価格が記載された書類が手元にあれば問題ありませんが、証券会社へ問い合わせて確認してください。
証券会社では、顧客の取引データを10年間保存しているため、取得時の価格をチェックできます。

株式譲渡やM&Aの専門家に相談する

非上場株式の購入においては、M&Aに関する専門家の助言やアドバイスを受けることも重要です。

非上場株式を購入する過程で、複雑な手続きや法的な要件・税務上の問題等が発生するケースもあります。専門家のサポートによって、これらのリスクを事前に防いだり、適切に処理したりすることが可能です。 

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まとめ

非上場株式の購入には、上場時の利益が期待できたり、企業を 応援できたりするなどのメリットがあります。ただし、近年では非上場株購入に関する投資詐欺も横行しているため、 購入に際しては信頼できる業者、あるいは金融庁のホームページなどで確認することが必須です。
非上場株式の入手方法には、ストックオプション、相続・贈与、クラウドファウンディング、M&A(株式譲渡)などの方法があります。

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