上場企業によるM&Aとは?成功事例や戦略、注意点を解説
2024年8月8日
このページのまとめ
- 上場企業のM&Aは、事業拡大・新規市場への迅速な進出が主な目的
- 上場企業のM&Aは、中小企業のM&Aとは異なり、財務構造の最適化も重要な目的の一つ
- 日本の上場区分は、プライム市場・スタンダード市場・グロース市場に大きく分かれる
- プライム市場では大規模なM&Aが多い
- スタンダード市場とグロース市場では、規模拡大を目的に行うM&Aが多い
上場企業のM&A担当者の方で、どのような企業を買収して企業を成長させようか、お悩みの方もいるのではないでしょうか。どのような企業を買収すべきかは、目的や戦略によって異なります。
このコラムでは、上場企業がM&Aを行う目的について解説していきます。加えて、近年行われた上場企業によるM&A事例を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
上場企業のM&A動向
経済産業省「コーポレートガバナンス改革を踏まえた価値創造に資する合併と買収に関する実態調査」によると、2010年度〜2019年度の期間に上場企業によって実施されたM&A件数は以下のとおり推移しています。
年度 | 全体のM&A件数 | IN-OUTのM&A件数 | IN-INのM&A件数 |
2010 | 624 | 195 | 429 |
2011 | 719 | 245 | 474 |
2012 | 786 | 246 | 540 |
2013 | 878 | 265 | 613 |
2014 | 905 | 245 | 660 |
2015 | 981 | 267 | 714 |
2016 | 1,087 | 270 | 817 |
2017 | 1,344 | 330 | 1,014 |
2018 | 1,526 | 357 | 1,169 |
2019 | 1,536 | 368 | 1,168 |
上場企業のM&A件数は全体を通じて増加傾向であり、特に2015年度以降は急激に増加しています。特に、IN-IN(国内企業同士のM&A)の割合が大きく、買収や合併等に関する需要が高まっていることが見て取れます。
参考:経済産業省「コーポレートガバナンス改革を踏まえた価値創造に資する合併と買収に関する実態調査」
上場企業がM&Aを行う目的
上場企業がM&A(合併・買収)を行う目的は多岐に渡りますが、以下で挙げるような目的でM&Aが行われるケースが多いです。
- 事業拡大や新規市場への進出
- シナジー効果の創出
- コスト削減や効率化
- 競争力の強化
- 財務構造の最適化
以下にて、上場企業がM&Aを行う代表的な目的について解説していきます。
事業拡大や新規市場への進出
上場企業がM&Aを行う主な目的の1つに、自社の事業拡大や新規市場への進出があります。
新たな市場への進出を図る場合、その市場で既に成功を収めている企業を買収することで、その企業が持つネットワークや顧客基盤、専門知識を獲得することが可能です。これにより、新市場でのビジネスを迅速に始めることができ、かつリスクを軽減できます。
また、M&Aによって、既存事業における自社の製品・サービスラインナップを広げることも可能です。自社が保有する技術に関わる技術や製品を持つ企業を買収することで、既存の製品やサービスをさらに強化することができるでしょう。
シナジー効果の創出
シナジー効果の創出も、上場企業がM&Aを行う主な目的の1つです。シナジー効果とは、2つ以上の企業(または事業)が協業することで得られる、大きな効果や価値のことを指します。
シナジー効果は、製品・技術・人材・顧客基盤など、異なる企業が持つさまざまなリソースを組み合わせることで生まれます。たとえば、技術的なシナジーがある場合、一方の企業が持つ技術が、もう一方の企業の製品ラインに統合されることで新たなビジネスチャンスを生み出します。
また、コストシナジーという観点からは、合併や買収によって同じ業務の重複を削減したり、規模の経済(スケールメリット)を活用したりすることで運用コストを抑制することが可能となります。
マーケティングシナジーでは、各企業が獲得していた異なる顧客層を一つにまとめることで市場シェアの拡大やブランド力の向上が期待できます。
このように、シナジー効果の創出は、企業のパフォーマンスを向上させ、競争優位性の強化につながります。
コスト削減や効率化
コスト削減や業務の効率化も、上場企業がM&Aを行う目的の1つです。
複数の企業が統合することで、製造から販売までのビジネスプロセスの統合・効率化が可能となり、それによって運営コストを大幅に節約できるためです。
具体的には、生産ラインや販売チャネル、経理や人事といった管理部門など、企業間で重複する業務領域があれば、それらを統合することで人件費や設備投資、運営費用などを削減できます。これは一見、単純なコスト削減として捉えられがちですが、業務効率化という観点からも重要であり、企業がよりスリムで効率的な組織運営を行うための手段です。
さらに、スケールメリットという観点からも、M&Aによるコスト削減や効率化は重要です。企業が規模を拡大することで、一定の固定コストをより多くの製品やサービスに分散でき、結果的に単位あたりのコストを下げることが可能となります。
このように、M&Aによるコスト削減と効率化は、企業の利益向上や競争力強化に直結し、さらには経済全体の生産性向上にも寄与する重要な要素となります。
競争力の強化
企業の競争力強化も上場企業がM&Aを行う重要な要素です。
具体的には、M&Aを通じて他社の技術力やブランド、知的財産権を獲得することで、自社の競争力を高め、市場地位を強化することが目指されます。
たとえば、先進技術をもつ企業を買収することで、自社が保有する製品やサービスの品質を向上させたり、新たな製品を開発する時間を短縮したりすることができます。これにより、競合との差別化を図り、市場での優位性を保つことが可能となります。
また、競合企業の買収によって市場の競争が抑制され、より強固な市場地位を築くことにもつながります。これは、企業が自社の市場シェアを増やし、価格設定力を強化するための戦略となります。
さらに、他企業の顧客基盤や販売ネットワークを取得することで、より広範な顧客層にアプローチし、その結果、業績を向上させることが可能です。
財務構造の最適化
財務構造の最適化も上場企業がM&Aを行う重要な理由の1つです。
M&Aを実施することで自社の資本構造を見直し、資本コストを最小化するとともに、株主価値を最大化することができます。
たとえば、ある企業が大量の現金を保有している場合、その資金を適切に活用しないと株主から批判を受ける可能性があります。
そのため、現金を投資に回すことでROE(自己資本利益率)を向上させ、株主価値を最大化するために、他社の買収を行うことがあります。
また、負債を抱えている企業が、自社の財務構造を改善するために他社との合併を選ぶこともあります。これにより、負債を減らすとともに、より健全な財務状態にすることが可能となります。
さらに、資本コストを削減する観点から、M&Aは重要な手段となります。異なる業種の企業同士が合併することで、業績の変動を相互に打ち消し合い、全体のリスクを減らすことができます。これにより、資本コストを下げることが可能となります。
上場企業の区分ごとのM&Aの特徴
東京証券取引所は、上場企業の規模、成長性、安定性などの要素に基づいていくつかの上場区分に分けられています。ここでは、それぞれの市場区分について説明します。
プライム市場
プライム市場は、東京証券取引所の主要な市場区分の1つで、最も規模が大きく、安定した経営を持つ企業が上場しています。プライム市場に上場するためには、ある程度の規模と財務状態の健全性、そして株式の流動性が必要です。
また、プライム市場に上場している企業は、投資家から高い信頼を受けていると考えられます。プライム市場に上場していることは、投資家が資金を投じる際の安全性を保証する重要な要素であり、また企業にとっては一定の名誉や社会的評価を得る意味でも重要です。
プライム市場のM&A傾向
プライム市場に上場している企業が行うM&Aには、特定の傾向が見受けられます。まず、取引規模が大きいことが挙げられます。プライム市場に上場している企業は一般的に規模が大きく、経営が安定しているため、M&Aもまた大規模になることが多いです。彼らは小規模企業よりも中規模・大規模企業を買収する傾向があります。
プライム市場に上場している企業は通常、堅固な経営戦略を持っているため、M&Aはその一部として行われることが多いです。これは市場の拡大、新しい業界への進出、競争力の強化、効率化やコスト削減など、さまざまな目的があることを意味します。
プライム市場の企業は企業価値が高いため、プライム市場の企業を買収するM&Aの際にはデューデリジェンス(事前調査)が非常に重要となります。これにより、投資リスクを評価し、適正な買収価格を決定することが可能となります。
スタンダード市場
スタンダード市場とは、主に中規模の成長性の高い企業が上場している市場を指します。
スタンダード市場に上場している企業は、プライム市場と比較して上場企業の規模はやや小さいものの、ビジネスモデルや技術革新、市場の拡大といった成長要素を備えたものが多いです。
これらの企業は、一定の経済的な安定性を持ちつつ、自身のビジネスを拡大し、新たな市場を掘り起こすことにより、投資家からはその成長性が注目されています。
スタンダード市場のM&A傾向
スタンダード市場に上場している企業のM&Aは、事業成長の加速を目指したものであるケースが多いです。大きな市場への参入や新たな製品開発など、企業拡大を遂げるための買収が行われることが多くなっています。
また、業界内での地位の強化も一般的な動機となります。競争力を強化したり、市場地位を確立または拡大したりするために、同業他社の買収を行うことがあります。さらに、新たな技術の獲得や人材の確保も、成長する企業にとって重要な要素であり、これを達成するためのM&Aが行われるのが一般的です。
グロース市場
グロース市場は、主に新進企業や高成長を見込む企業が上場する市場です。これらの企業は、しばしば革新的なビジネスモデルや先進技術を保有し、急速なビジネス拡大を追求しています。
上場企業の規模は比較的小さく、経済的な規模よりも利益成長や業績の可能性に重きが置かれます。そのため、これらの企業はしばしば高い利益成長率を示すことが求められます。
グロース市場のM&A傾向
グロース市場に上場している企業のM&Aの動向は、一般的には、企業の成長戦略を追求し、新たな技術や市場へのアクセスを向上させることに特化しています。また、自己の成長を拡大・加速させる目的で他社を買収する傾向があります。買収は、新規市場へのエントリー、製品ラインの拡充、あるいは競争力強化の一環として行われることが多いです。
さらに、これらの企業は、新たな技術やスキルを取り込むために、革新的なスタートアップ企業を買収することも珍しくありません。この種のM&Aは、新たな競争優位性を築く手段として用いられます。
上場企業によるM&A戦略
上場企業では、主に以下4つの戦略でM&Aを実施します。
- 事業規模の拡大
- 垂直統合
- 商品ラインナップの拡充
- 多角化
以下では、各戦略を詳しく解説します。
1.事業規模拡大を目的とした「競合企業の買収」
上場企業による1つ目のM&A戦略は事業規模の拡大です。この戦略では、同じ業種や業態の企業を対象に、製品やサービス、市場、顧客基盤が類似する企業を買収し、事業拡大や売上アップを目指します。
M&Aによるスケールメリットを活用して市場シェアを拡大し、競争力を強化できます。また、間接部門の統合によるコスト削減も期待できます。しかし、競争関係にあった企業同士のため、売り手企業および従業員の間で心理的な抵抗が生じやすいというデメリットもあります。
2.垂直統合を目的とした「川上・川下企業の買収」
上場企業による2つ目のM&A戦略は垂直統合です。
この戦略では、川上の原材料供給企業や川下の卸売・小売企業を買収し、バリューチェーン全体を強化します。垂直統合により、原材料から製造、販売までの一貫体制を構築でき、コスト削減や生産の安定化などが可能です。しかし、競争減少によるインセンティブ低下リスクや、異なる業種間の経営統合が比較的難しい点がデメリットです。
3.商品ラインナップの拡充を目的とした「異なる商材を有する企業の買収」
上場企業による3つ目のM&A戦略は商品ラインナップの拡充です。自社が有していない製品ラインを持つ企業を買収し、市場競争力を強化します。
新たな顧客層の獲得や既存顧客のロイヤルティ向上により、市場シェアの拡大と収益の多様化を図れる点がメリットです。ただし、製品管理の複雑さやPMIにかかる多大なコスト・労力がある上に、かえってブランドイメージの低下を招くリスクもあります。
4.多角化を目的とした「他業種の企業買収」
上場企業による4つ目のM&A戦略は多角化です。異業種の企業を買収することで、新しい市場や事業領域に進出し、経営の多角化や事業ポートフォリオの転換を図ります。たとえば、製造会社がIT企業を買収し、新しく自社製品のEC事業を立ち上げるケースなどが挙げられます。
この戦略のメリットは、収益源を増やせる点です。異業種のノウハウや技術などを融合させて、新たなイノベーションを生み出せる可能性もあります。また、経営リスク(収益悪化など)の軽減にもつながります。一方で、同業他社の買収よりもシナジー効果や競争優位性を見極めにくく、成功可能性が低い点に注意が必要です。
上場企業とのM&Aで用いられる手法
上場企業とのM&Aで用いられる主なM&A手法を解説します。
公開買付け(TOB)
公開買付け(TOB)とは、市場外において不特定多数の株主から株式を取得するM&A手法です。
一定価格で株式を買い取る仕組みであるため、市場内で買い注文を行う場合と異なり、予算範囲内で必要数の株式を取得可能です。TOBは、主に株主が幅広く分散しているケース(買収対象が上場企業など)において、可能な限り短期間かつ予算範囲内で買収するために活用されています。
株式譲渡(相対取引)
株式譲渡(相対取引)とは、売り手と買い手が1対1で売買価格などの条件を交渉し、取引を実行する手法です。「売り手が特定の会社や人物であること」や「交渉によって条件を決定すること」がTOBとの違いです。
交渉によって条件を自由に決定できる点や、市場価格の影響を受けずに済む点がメリットです。主に、上場企業が非上場企業(中小企業やベンチャー企業など)の経営権を取得するケースで活用されます。
事業譲渡
事業譲渡とは、売り手企業が有する事業の一部もしくは全部を買い手企業に譲渡する手法です。売買対象の資産や権利義務を個別に選定する点が最大の特徴です。
売り手側は事業の選択と集中を図れる点、買い手側は不要な資産や簿外債務等を引き継がずに済む点がメリットです。事業譲渡は、主に「特定のノウハウや資産のみを取得したい」「売り手側が不採算事業のみを売却し、経営再建を図りたい」といったケースで活用されます。
その他の手法
上記以外に、上場企業のM&Aでは主に以下の手法も活用されます。
M&A手法 | 概要 | 主な目的 |
合併 | 複数の企業を1つの企業に統合させる | グループ内再編、業績不振企業の救済 |
株式交換・移転 | 売り手企業が買い手企業の全株式を取得する | 売り手企業の完全子会社化、グループ内再編 |
非上場企業とのM&Aの違い
上場企業と非上場企業それぞれの買収における最大の違いは、株式取得の方法にあります。
株式取得 | 株主総会(または取締役会)による承認手続きの必要性 |
上場企業の株式取得 | 不要 |
非上場企業(≒非公開会社)の株式取得 | 必要 |
日本取引所グループ「用語集」によると、上場審査基準において株式の譲渡制限を行わないことが条件として定められています。
以上より、上場企業の株式は「譲渡制限株式」に該当しないため、株主総会などによる承認を得ずに得することが可能です。
一方で非上場企業の多くは、株式に譲渡制限を設けていると言われています。
理由としては、相続による株式の分散や、敵対的な第三者(競合企業など)に株式を取得されるリスクを軽減できるためです。
「会社法」第136条、137条、139条の規定に基づき、譲渡制限が設けられている場合は以下の手続きを行う必要があります。
- 株主または株式取得者(買い手)による株式譲渡の承認申請
- 売り手企業による株主総会(取締役会設置会社の場合は取締役会)による決議
- 承認請求者に対する決定内容の通知
以上を踏まえて、上場企業・非上場企業の買収に当たっては、手続きの違いに注意しましょう。
参照元:
日本取引所グループ「用語集」
e-Gov「会社法」第136条、137条、139条
上場企業とのM&Aを実施するメリットとデメリット
売り手企業の視点から、上場企業とのM&Aを行うメリットとデメリットを解説します。
メリット
上場企業に会社や事業を売却すると、以下3つのメリットを期待できます。
売却益の獲得
中小企業庁「経営者のための事業承継マニュアル」によると、中小企業のM&Aでは「時価純資産+のれん代(営業利益の2〜5年分)」の計算結果を企業価値(≒売却価格)と考えるケースが多いとのことです。
実際の価格は交渉で決まるため一概には言えないものの、上記の算定結果を相場と考えても問題ないでしょう。
上記の計算式を踏まえると、会社や事業の売却により多額の現金を獲得できる可能性があります。
大きなシナジー効果を見込める場合や、買い手にとってニーズがある強みを持っている場合などであれば、相場よりも高い価格で売却できる可能性もあります。
多額のキャッシュを得ることで、新規事業や主力事業に集中したり、経営者の立場から引退して経済的に余裕がある生活を送ったりすることができるでしょう。
参照元:中小企業庁「経営者のための事業承継マニュアル」
従業員の雇用維持
後継者不在や経営不振などを理由に廃業すると、従業員は仕事を失ってしまいます。
一方で会社売却を行えば、買い手企業のもとで従業員の雇用が継続されます。
特に大手企業が買い手の場合、かえって待遇が良くなる可能性もあります。
上場企業のグループ入りによる事業の成長
会社売却を行うと、上場企業の子会社となって事業を続けていくことになります。
上場企業が有する豊富な資金や大手取引先とのネットワーク、模倣困難なノウハウなどを活用できるため、自力で事業を続ける場合よりも事業の成長性が高まりやすくなります。
デメリット
上場企業に会社や事業を売却する際には、以下2つのデメリットに注意が必要です。
クロージングまでに時間を要する
M&Aが完了するまでには、交渉や契約書締結を経て、クロージング(対価の支払いや株式等の引き渡しといった取引の実行)を行う必要があります。
買い手が上場企業だと、M&A実施に関して多数の利害関係者からの同意獲得を要するケースが多いです。
そのため、非上場企業同士のM&Aと比べて、クロージングまでに多くの時間を要する可能性があります。
上場企業とのM&Aに際しては、時間に余裕を持った計画やスケジュールを策定することがおすすめです。
経営の自由度が低下する
会社ごと売却する場合、買い手である上場企業が自社の経営権を持つようになるため、経営の自由度が低下するおそれがあります。
経営戦略や人事、資金繰りなどについて、自社の意向を通せない場面が出てくることも想定されるため、事前にリスクを承知した上でM&Aを行う必要があります。
上場企業とのM&Aにおける注意点
上場企業とのM&Aで注意すべき点を3つ紹介します。
目的の明確化
目的が明確でないと、M&Aで期待していた効果を得られない可能性があります。
たとえば「大手企業の傘下入りによって集客力を高めること」が目的だとしましょう。この目的を明確にしないと、集客ノウハウや販路を強みとしていない企業とM&Aを行ってしまい、期待していた効果を得られないリスクが高まります。
事前にM&Aを行う目的を明確にすると、目的に応じたM&Aの相手を選ぶことができたり、M&A後の戦略が明確になったりするため、上記の事態を回避しやすくなります。
リスクへの注意
M&Aには、メリットばかりではなく多様なリスクも潜んでいます。
たとえば、偶発債務(訴訟など)を買い手に引き継いでしまい、M&A後にトラブルに発展するおそれがあります。ほかにも、従業員のモチベーション低下や不利な条件での契約成立など、リスクは多岐にわたります。
以上を踏まえて、M&Aの検討・準備段階から想定されるリスクを分析し、対策を検討・実施することが求められます。
専門家の活用
上場企業とのM&Aプロセスには、財務や法務、税務などの専門知識が求められます。
また、M&Aの相手探しには幅広いネットワークが必要であるため、独力で行うのは簡単ではありません。
仲介会社やM&Aアドバイザー、税理士などの士業といった専門家の活用がおすすめです。専門知識やネットワークを豊富に有する専門家の活用により、M&Aの手続きを円滑に進めやすくなります。
また、前述した目的の明確化やリスクの洗い出し・対策の検討にも、専門家のサポートが役立つでしょう。
上場企業によるM&A事例
ここからは、上場企業によるM&A事例を、上場区分ごとに確認していきます。
東証プライム市場上場企業によるM&A事例
まずは、東証プライム市場に上場している企業によるM&A事例を見ていきましょう。
カナミックネットワーク社によるRuby開発社の子会社化
2023年7月、クラウド型介護ソフト・介護システムを提供する株式会社カナミックネットワークは、Ruby言語でのシステム開発を専門とする株式会社Ruby開発を子会社化しました。
Ruby開発社のウェブサービスや業務・組込系システム開発の専門性は、カナミックネットワーク社のクラウドサービス提供に相乗効果を生むと判断され、ヘルステック企業としてより高度なサービス提供の推進力となると考えられたため、今回の子会社化に踏み切ったとしています。
参照元:株式会社カナミックネットワーク「株式会社Ruby開発の株式取得(完全子会社化)に関するお知らせ」
チヨダ社によるトモエ商事社の子会社化
2023年7月、株式会社チヨダは、トモエ商事株式会社を子会社化しました。
チヨダ社は、主にSHOE・PLAZAや東京流通センターなどの靴販売店を運営している企業です。一方、トモエ商事社は百貨店を対象とした紳士靴の卸売を手がけています。
今回の子会社化は、チヨダ社が目指している成長戦略の一部であるとしています。百貨店を対象とした紳士靴の卸売りビジネスという、これまで手がけてこなかった靴事業の分野を補完するものです。チヨダ社は、今後も新たなビジネス基盤の構築を通じて、事業モデルの拡大を図ることを予定しています。
参照元:株式会社チヨダ「トモエ商事株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ 」
ヤマエグループホールディングス社によるLumber One社の子会社化
2023年7月、ヤマエグループホールディングス株式会社は、東京都立川市に拠点を置く株式会社LUMBER ONEの全株式を取得し、自社の子会社とすることを発表しました。
ヤマエグループホールディングス社は持株会社として、食品・住宅・不動産関連の各種卸売や製造業を手掛ける子会社の経営を統括している企業です。一方、LUMBER ONE社は、東京都23区とその郊外を主な対象地とし、土地の取得から木造建築の工事請負、設計に至るまで一貫した建築活動を展開し、戸建て住宅の建設・販売を行っています。
ヤマエグループホールディングス社は、このM&Aを通じて関東地区での事業展開をより一層強化し、流通全体のサプライチェーンの発展に寄与できると見込んでいます。
参照元:ヤマエグループホールディングス株式会社「株式会社LUMBER ONEの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」
東宝社によるガイエ社の子会社化
2023年7月、東宝株式会社は、デジタルプロモーションを手がける株式会社ガイエの全株式を取得して子会社化しました。
東宝社は映画や演劇の制作、そして不動産経営といった業務を展開している企業です。一方、ガイエ社は映画などのデジタルプロモーション、PR、広告戦略、そしてウェブサイトの制作などを行っています。
ガイエ社は映画のデジタルプロモーションの先駆者として、オンライン広告、ウェブパブリシティ、SNS運用などの広範なプロモーション手法を活用し、映画業界に寄与しています。
東宝社は、ガイエ社をグループに加えることで、東宝の各事業領域においてデジタルを用いたさまざまなシナジーが見込まれると判断して子会社化したと説明しています。
参照元:東宝株式会社「株式会社ガイエの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」
フルキャストホールディングス社によるグロービート社の子会社化
2023年6月、株式会社フルキャストホールディングスは、グロービート株式会社を子会社化することに成功しました。
フルキャストホールディングス社は、人材サービス企業などを傘下に持つ持株会社です。
一方で、グロービート社の孫会社にあたるグロービート・ジャパン株式会社は、日本国内でラーメンを主体とした飲食チェーンを199店舗(2023年4月末現在)展開しています。また、海外でも上海、台湾、タイへの出店を果たしている企業です。
今回の買収により、フルキャストホールディングス社が新たな事業形態へ展開し、収益基盤の強化と一株当たりの利益(EPS)の向上を目指すとしています。さらに、グロービート社が直面する雇用問題に対し人的資源と経営基盤を提供することで、両社間のシナジー効果を生み出すことも見込んでいます。
参照元:株式会社フルキャストホールディングス「グロービート株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
レスターホールディングス社によるAITジャパンの子会社化
2023年6月、株式会社レスターホールディングスは、WPG Holdings Limited(以下、WPG社)の関連会社であるAITジャパン株式会社(以下AITJ社)の第三者割当増資を受け入れ、これによりAITJ社を連結子会社としました。
レスターホールディングス社は、半導体と電子部品のソリューション提供や放送・公共向けの映像・音響・通信機器の販売、NFC(近距離無線通信)を利用した決済や入退場システムの開発と販売、さらに太陽光や風力による発電所や植物工場運営など、幅広い分野でビジネスを展開している企業です。
レスターホールディングス社は、もともとWPG社と連携してアジアや欧州で、現地の市場に深く浸透した販売やプロモーション活動を推進しています。
今回の子会社化を通じて、WPG社の関連企業であるAITJ社のさらなる成長を後押しするために、第三者割当増資を受け入れることで、AITJ社の経営基盤と財務基盤を強化するとしています。
さらに、AITJ社をレスターホールディングスとWPG社の間の接点とすることで、大手のグローバル製造業者やパートナーを含む3500社以上の取引先とのビジネスの拡大や協力関係を進めることが可能となります。
参照元:株式会社レスターホールディングス「AIT ジャパン株式会社の第三者割当増資引受による連結子会社化に関するお知らせ」
オートバックスセブン社によるABシステムソリューション社の完全子会社化
2023年1月、株式会社オートバックスセブンは、株式会社ABシステムソリューションを子会社化することに成功しました。
オートバックスセブン社は、オートバックスグループのフランチャイズ運営本部として活動し、自動車用品の卸売りや小売り、車検サービス、整備、車の買取と販売、そして板金修理と塗装などを手がけている企業です。
一方、ABシステムソリューション社は、システムの設計・開発・運用・保守をはじめ、ハードウェアとソフトウェアの販売といった事業も展開しています。
オートバックスセブン社は、市場での競争力を確立するために、デジタルトランスフォーメーション(DX)を用いてITシステムを強化し、顧客起点の価値創造を目指しています。今回の取引は、企業のITインフラの強化と価値向上に寄与すると判断されたことから実現したものです。
なお、ABシステムソリューション社は株式会社オートバックスデジタルイニシアチブに商号を変更し、オートバックスセブングループのDX戦略における重要な役割を果たす子会社としてサービスを提供することになります。
参照元:株式会社オートバックスセブン「株式会社ABシステムソリューションの株式取得によるDX戦略子会社化(完全子会社化)に関するお知らせ」
アドバンテッジリスクマネジメント社によるResily社の子会社化
2023年6月、株式会社アドバンテッジリスクマネジメントは、Resily株式会社の株式を取得して子会社化することに成功しました。
アドバンテッジリスクマネジメントグループ社は、メンタルヘルス管理、エンゲージメント向上、人材獲得・育成支援などを事業として展開している企業です。また、長期的な病気や怪我により仕事ができない人々を支援するGLTD(団体長期障害所得補償保険)の設立・運用、そして個々人や企業のリスクに対する保護策を提供するビジネスを主導しています。
一方、Resily社は、企業のOKRを管理するクラウドサービス「Resily」と、その導入を支援するコンサルティングを提供している企業です。
今回の子会社化を通じて、アドバンテッジリスクマネジメント社は、Resily社の技術やノウハウを活かして、商品・サービスを充実させていくとしています。
参照元:株式会社アドバンテッジリスクマネジメント「株式取得(子会社化)に関する株式譲渡契約締結のお知らせ」
アミューズ社による極東電視台社の子会社化
2023年6月、株式会社アミューズは、株式会社極東電視台を子会社化することに成功しました。
アミューズ社は、サザンオールスターズ、福山雅治氏、星野源氏などを擁する大規模なエンターテイメント会社で、映像制作も行っている企業です。一方、極東電視台社は、1999年設立以降、主要テレビ局で映像制作事業を展開し、多くの有名な定番番組を制作してきた実績を持っている企業です。
今回の株式取得を通じて、アミューズ社は所属アーティストのコンテンツと結びついた相乗効果を生み出し、双方の専門知識とネットワークを利用することで、自社の著作権を持つコンテンツの質と量を向上させることを目指します。これにより、国内外への情報発信能力の強化を見越しています。
参照元:株式会社アミューズ「株式取得(子会社化)に向けた基本合意書締結のお知らせ 」
燦キャピタルマネージメント社による高山エンジニアリング社の子会社化
2023年6月、投資とソリューション事業を展開する燦キャピタルマネージメント株式会社が、建設業や再生可能エネルギー関連の事業を手掛ける株式会社高山エンジニアリングの株式を一部取得し、子会社化することを発表しました。
高山エンジニアリング社は、発電所や変電所の装置設置・電線配線作業のほか、再生可能エネルギーを利用した発電設備の設立・発電・販売・管理にくわえ、それに関連する支援・アドバイザリーサービスを提供する企業です。
燦キャピタルマネージメント社は、もともとクリーンエネルギーセクターへの参入を考えていました。その一環として、建設作業の受注に必要な特定のライセンスをコストを抑えながら早期に取得する目的で、今回の子会社化に踏み切っています。
参照元:燦キャピタルマネージメント株式会社「当社による事業会社の株式の一部取得(子会社化)に関するお知らせ」
愛三工業社によるマグネクス社の完全子会社化
2023年6月、自動車部品製造業の愛三工業株式会社は、燃料電池部品や各種磁気ヘッド、磁気カードリーダー・ライターを製造しているマグネクス株式会社の全株式を取得する契約を締結しました。これにより、愛三工業社はマグネクス社を完全子会社化しました。
愛三工業社は、水素エネルギー社会に向けて、アンモニア水素発電システムの開発を進め、燃料電池の発電効率、耐久性、排熱制御などの改善を研究開発していました。一方、マグネクス社は、表面処理技術、熱流体システム、水電解システム等の専門知識と技術を持っています。
愛三工業社は、クリーンエネルギー利用技術を拡大し、さまざまな燃料やエネルギー源に対応できるシステム製造業者となるために必要な技術蓄積が見込まれるとして、このM&Aを行うことを決めたとしています。
参照元:愛三工業株式会社「マグネクス株式会社の株式取得(完全子会社化)完了に関するお知らせ」
AVANTIA社によるネクスト-ライフ-デザイン社の子会社化
2023年6月、不動産開発会社の株式会社AVANTIA株式会社は、戸建て住宅の設計・建築・販売を手掛ける株式会社ネクスト-ライフ-デザインを完全に傘下に収めることに成功しました。
AVANTIA社は、戸建て住宅の建設・販売、マンションの計画・販売、建築・土木と管工事の委託、改装工事、不動産取引などを業務としている企業です。
一方、ネクスト-ライフ-デザイン社は、家の設計・建設・販売などを専門としています。ネクスト-ライフ-デザイン社は、福岡市を中心とした独自の仕入れ・購買ネットワークを利用して、良質で競争力のある価格で住宅を提供し、急速に成長してきました。
今回の子会社化によって、AVANTIA社は九州地域におけるビジネス基盤の強化と、ネクスト-ライフ-デザイン社の独特の仕入れ・購買ネットワークを自社のネットワークと統合し、さらに強化・活用することで、ビジネスの拡大を目指しています。
参照元:株式会社AVANTIA「株式会社ネクスト-ライフ-デザインの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
ベクトルによるビジコネットの子会社化
2023年6月、株式会社ベクトルは、ビジコネット株式会社を子会社化することに成功しました。
ベクトル社は、PR事業を主軸とし、デジタルマーケティングやメディア事業のほか、採用プラットフォームJOBTVを運営している企業です。
一方、ビジコネットは転職Webメディアの運営やマーケティング支援を行っています。
今回の子会社化は、ビジコネットの転職WebメディアのユーザーをJOBTVに誘導することで収益拡大を狙ったものです。
参照元:株式会社ベクトル「ビジコネット株式会社の株式の取得(連結子会社化)に関するお知らせ」
トーヨーカネツによるスクラムソフトウェアの子会社化
2023年5月、トーヨーカネツ株式会社は、株式会社スクラムソフトウェアを子会社化することに成功しました。
今回の子会社化は、トーヨーカネツ社の倉庫管理システム(WMS)の強化を狙ったものです。スクラムソフトウェア社が物流領域で育ててきたシステム開発力とトーヨーカネツ社のソリューション構築力の組み合わせにより、両社が活動するフィールドを広げ、共に成長できると説明しています。
トーヨーカネツ社は今後、グループ全体として、システムの構築を通じてさらなる価値を創出し、物流のデジタルトランスフォーメーションを推進する方針です。
参照元:トーヨーカネツ株式会社「株式会社スクラムソフトウェアの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」
サイバーエージェント社によるニトロプラス社の子会社化
2024年7月、メディア事業やインターネット広告事業などを手がける株式会社サイバーエージェントは、ゲームやアニメなどのコンテンツ制作を手がける株式会社ニトロプラスを子会社化しました。
インターネット領域においてテクノ ロジーとクリエイティブの融合を図っているサイバーエージェントは、IP ビジネスにおいて世界展開を目指すニトロプラスとの親和性の高さを見込んで、本件のM&Aを実施しました。
参照元:株式会社サイバーエージェント「株式会社ニトロプラスの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」
東証スタンダード市場上場企業によるM&A事例
次に、東証スタンダード市場に上場している企業が行ったM&A事例を紹介していきます。
テンボスホールディングス社によるヤマト社の子会社化
2023年7月、株式会社テンポスホールディングスは、千葉県を中心に食品卸売・飲食事業・小売事業を展開している株式会社ヤマトを子会社化しました。
テンポスホールディングス社は、外食産業の総合サプライヤーとして、厨房機器・用品販売だけでなく、店舗設計・内装工事・不動産紹介・リース・クレジット事業なども提供し、開業支援サービスを展開している企業です。また、Dr.テンポス事業では、これまでの知見を活用し、飲食業界の閉店支援も行っています。
一方、ヤマト社は新鮮な魚介類を主とする卸売りや食品加工、回転寿司店や持ち帰り寿司の販売などを手掛けています。
今回の子会社化の狙いは2つあります。1つ目は、自身で飲食店を運営することにより、その拡大や改善に関する知見を蓄積し、そのノウハウを中規模の飲食事業者へのコンサルティングに活かすことです。2つ目は、飲食事業の拡大を通じて、時価総額1,000億円達成を早期に実現することにあります。
参照元:株式会社テンポスホールディングス「株式会社ヤマトの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」
トレードワークス社によるペガサス・システム社の子会社化
2023年6月、株式会社トレードワークスは、ペガサス・システム株式会社の一部の株式を取得し、それに伴う株式の簡易交換を実行することで、ペガサス・システム社を子会社化することに成功しました。
トレードワークス社は、金融に関するソリューションの提供、デジタルコマース、外国為替取引システムなどを運営しており、ペガサス・システム社は、ソフトウェア開発と情報システムの開発支援を主な業務としている企業です。
この企業統合により、トレードワークス社はビジネスの構造を改良し、全体としての競争力を強化することを目指しています。
参照元:株式会社トレードワークス「ペガサス・システム株式会社の株式取得及び簡易株式交換による完全子会社化に関するお知らせ」
応用地質による日本ジタンの子会社化
2023年6月、応用地質株式会社は、日本ジタン株式会社の全ての株式を取得し、子会社化しました。
応用地質社は、建築や地質調査などのコンサルタント業を主導し、インフラ保守、災害防止、環境、エネルギー・リソースなどの分野で事業展開している企業です。また、特に海上風力発電支援サービスに注力し、事業を展開しています。
一方、日本ジタン社は磁気探査や海洋調査、測量、地質調査などを手がけている企業です。
今回の子会社化を通じて、日本ジタン社の海洋調査や環境評価などの専門技術が、応用地質社のグループに統合されることで、リソースの拡大と海上風力発電市場での競争力向上を図ることできるようになるとしています。
参照元:応用地質株式会社「日本ジタン株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
システムディ社による中村牧場社の子会社化
2023年6月、パッケージシステムの開発と販売を行う株式会社システムディは、AIを利用したソフトウェア開発とコンサルティングを専門にしている中村牧場株式会社の株式を取得し、子会社化することに成功しました。
中村牧場社の持つテクノロジーをシステムディ社のパッケージ開発やサポート業務などに活用することで、グループ全体の収益を増加させる狙いです。
さらに、大企業のAI人材育成やコンサルティングを多く手がけている中村牧場社を取り込むことで、システムディ社の人材育成も向上するとしています。
参照元:株式会社システムディ「中村牧場株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」
エキサイトホールディングス社によるM&A BASE社の子会社化
2023年6月、エキサイトホールディングス株式会社は、東京都中央区に本社を置くM&A BASE株式会社の全株式を取得して、連結子会社化することに成功しました。
エキサイトホールディングス社は、プラットフォーム事業、ブロードバンド事業、SaaSとDX事業を推進しており、これらの事業の成長と新たな事業領域への積極的な投資を通じて、持続的な発展を追求しています。
一方、M&A BASE社はM&Aプラットフォーム事業とM&Aアドバイザリー事業を展開しており、その強固なIT業界ネットワークと、M&A取引のソーシングから実行まで一貫してサポートするサービスが特徴です。
今回の子会社化によって、エキサイトホールディングス社は、M&Aアドバイザリーと仲介市場に新規進出し、M&A BASE社のノウハウを活用して、事業ポートフォリオの強化を目指します。
参照元:エキサイトホールディングス株式会社「エキサイトホールディングスがM&Aのアドバイザリー ・仲介事業に参入 M&A BASE株式会社を連結子会社化」
トップカルチャー社によるメソッドカイザー社の子会社化
2023年6月、株式会社トップカルチャーは、新潟県長岡市のメソッドカイザー株式会社の全ての発行済み株式を取得し、子会社化することに成功しました。
トップカルチャー社は、TSUTAYAの主要なフランチャイジーであり、書籍・文具・雑貨・ゲームの販売を行う蔦屋書店を、1都9県に77店舗(2022年10月末現在、グループ店舗を含む)展開している企業です。
一方、メソッドカイザー社は、新潟県を中心に、タリーズコーヒーのフランチャイズ運営(新潟県内外22店舗)を行っています。
この子会社化によって、トップカルチャー社は新規にBook&Caféスタイルの蔦屋書店を導入することが可能になり、持続的な成長と企業価値の向上に寄与するとしています。
参照元:株式会社トップカルチャー「株式会社メソッドカイザーの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
フジオーゼックス社によるマルヨシ製作所社の子会社化
2023年5月、フジオーゼックス株式会社は、静岡県掛川市の株式会社マルヨシ製作所の全ての株式を取得し、その企業を自社の子会社にすることにしました。
フジオーゼックス社は、自動車部品の製造と販売を専門とする企業で、エンジンバルブやエンジン関連部品、鋼材の加工品などの製造・販売を行っています。
一方、マルヨシ製作所社は、セパレータフィルム製造用の金属ロールやシャフトの製造を手がけており、これらの製品をセパレータフィルム製造装置メーカーなどに供給している企業です。
今回の子会社化で、フジオーゼックス社は自社のビジネスを拡大させるとともに、マルヨシ製作所社との協働によるシナジー効果を創出し、事業の更なる発展を期待しているとしています。
参照元:フジオーゼックス株式会社「株式の取得(子会社化)に関するお知らせ 」
ヤマシナ社による半導体商社のヤマヤエレクトロニクス社の子会社化
2023年7月、株式会社ヤマシナは、ヤマヤエレクトロニクス株式会社を子会社化することに成功しました。
ヤマシナ社は、金属製品を企画し、製造し、販売する企業で、その主要な製品は十字穴ネジです。
一方、ヤマヤエレクトロニクス社は、独立した半導体商社で、半導体と電子部品の販売を専門としています。短期間の運営にもかかわらず、社長の山谷氏の長年の業界経験と豊富な人脈を生かして、急速に業績を拡大してきました。同社は、世界中の主要都市に存在する多くのパートナー企業と連携し、各種の半導体と電子部品を国内企業に供給しています。
この子会社化により、ヤマシナ社は多角化戦略を一層進めることができ、ヤマヤエレクトロニクス社が得意とする販売力を活用して、ヤマシナ社およびその関連会社の製品の販売拡大など、ビジネス上のシナジーを創出することを期待しています。
参照元:株式会社ヤマシナ「ヤマヤエレクトロニクス株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
サイネックス社によるナイン社の子会社化
2023年6月、株式会社サイネックスは、株式会社ナインを子会社化することに成功しました。
サイネックス社は、地域の自治体やビジネスのプロモーションと支援に専念している企業です。一方、ナイン社は、デジタルコンテンツの企画、開発、および制作に重点を置いています。
サイネックスグループは、「官民協働」の理念とデジタルトランスフォーメーションの推進を通じて、地域社会の持続可能な発展と地元の生活の向上を目指している企業です。これには、地方自治体や地域のビジネスへのプロモーションと支援、地域再生への取り組みが含まれます。
ナイン社の子会社化を通じて、高付加価値のデジタルクリエイティブ成果物を提供することが可能となり、サイネックスグループのICT事業の中心として機能するとしています。
今後、地方自治体や中小企業に対するDX、ブランディング支援、イベントの企画と運用など、ICT領域での事業拡大とサービス拡充を進め、地方創生の支援に貢献すると説明しています。
参照元:株式会社サイネックス「株式会社ナインの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」
石塚硝子社による日本機械金型社の子会社化
2023年5月、石塚硝子株式会社は、日本機械金型株式会社を子会社化しました。
石塚硝子社は、ガラス瓶・ガラス食器・紙容器・プラスチック容器・セラミック製品の生産・販売を行っており、日本機械金型社とは長く取引関係にあります。日本機械金型社は、ガラス成形用金型・PETボトル成形用金型・プラスチック成形用金型などを生産・販売している企業です。
新型コロナウイルスの感染拡大や世界情勢の問題などにより地政学的リスクが増大するなか、石塚硝子社は「モノづくり」を通じた体質強化を進め、変動の激しい環境に対応できる経営基盤の構築を目指しています。その一環として、既存事業の深化と関連事業の取り込み、機能子会社を含むグループ全体での利益重視の戦略を進めている最中です。
子会社化を通じ、双方の知識と技術を融合させることで、技術力を一層高め、両社の更なる成長を促進し、顧客に対して新たな価値を提供することが可能になると考えています。
参照元:石塚硝子株式会社「日本機械金型株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
ゼネテック社によるフラッシュシステムズ社の子会社化
2024年4月、システムソリューション事業やGPS事業などを手がける株式会社ゼネテックは、コンピューターソフトウェアの設計開発を手がける株式会社フラッシュシステムズを子会社化しました。
自社が推進しているPLMソフトウェア事業に関して、フラッシュシステムズが知見と技術を有していることから、本件のM&Aを実施しました。技術やノウハウの共有、および人材交流等を通じて、シナジー効果を早期に創出できるとしています。
参照元:株式会社ゼネテック「株式会社フラッシュシステムズの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」
東証グロース市場上場企業によるM&A事例
最後に、東証グロース市場に上場している企業のM&A事例を紹介していきます。
テクノロジーズ社によるエコ革社の子会社化
2023年7月、株式会社テクノロジーズは、株式会社エコ革を子会社化しました。
テクノロジーズ社は、SaaSとITソリューションを主とした事業を展開している一方で、エコ革社は、産業用および家庭用の太陽光発電設備・改装・全電化サービス・塗装などを手掛ける企業です。
エコ革社の再生可能エネルギー事業のノウハウとテクノロジーズ社のテクノロジーの強みを融合させることで、お互いの強みを活かしながら顧客層を広げることが可能になります。また、営業活動を強化し、再生可能エネルギー生産能力を増加させることで「カーボンニュートラル」の実現に貢献できると今回の子会社化の意義を説明しています。
参照元:株式会社テクノロジーズ「株式の取得(子会社化)に関するお知らせ 」
ラストワンマイル社によるキャリア社の子会社化
2023年7月、株式会社ラストワンマイルは、インターネットサービスの販売・卸売を手掛ける株式会社キャリアを子会社化することに成功しました。
ラストワンマイル社は、電気やガス、宅配水、インターネットなどの生活インフラサービスを提供している企業です。現在は、池袋本社と福岡営業所の2拠点に加え、北海道にある子会社ブロードバンドコネクションの拠点で運営を行っています。
一方、キャリア社は主に光コラボレーションモデルを中心としたインターネットサービスを提供している企業です。
子会社化の目的は、キャリアの持つ専門知識を生かすことで事業シナジーを生み出し、その結果としてサービス提供地域と顧客層を拡大し、収益を増やすことにあります。
ラストワンマイル社は、「ラストワンマイル事業」を主要事業とし、インサイドセールスセンターを用いて生活インフラサービスを顧客に販売しています。
参照元:株式会社ラストワンマイル「株式会社キャリアの株式取得(子会社化)に関するお知らせ 」
Jストリーム社によるLAMILA社の子会社化
2023年5月、株式会社Jストリームは、株式会社LAMILAの全ての株式を取得し、子会社化することを発表しました。
Jストリーム社は、動画データや様々な情報の提供サービス業をはじめ、ネットワークシステムを用いた会員情報の管理や商取引、決済処理に関する業務を受託している事業者です。
一方、LAMILA社は、誰でも簡単に動画マニュアルを作成できるソフトウェア「VideoStep」の開発と販売を主業務としています。
Jストリーム社は、LAMILA社が保有する「VideoStep」や動画・AI関連の技術ノウハウが、自社の配信インフラや関連技術ノウハウ、営業力と高度に相補的で、相乗効果が期待できると評価しました。その結果、LAMILA社を子会社化するために全株式を取得しています。
今後、Jストリーム社は、LAMILA社の技術を活用し、自社のサービスに組み込むとともに、Jストリームのリソースを活用した営業展開や管理面での支援を通じて、新たな市場の効率的な獲得に向けた協力を進める計画です。
なお、LAMILA社は、子会社化を契機に社名を株式会社VideoStepに変更することを予定しています。
参照元:株式会社Jストリーム「株式会社 LAMILA の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
Lib Workによる幸の国木材工業の子会社化
2023年5月、株式会社Lib Workは、熊本県山鹿市に本社を置く、幸の国木材工業株式会社を子会社化することに成功しました。
Lib Work社は、注文住宅や都市型建売住宅の販売および施工を手がけている一方で、幸の国木材工業社は、熊本県を中心に戸建住宅メーカーなどへ木材供給を主業務とする製材加工販売会社です。
今後の展望として、Lib Work社は、幸の国木材工業を通じて木材の安定供給を受ける体制を築くことで、営業エリアの拡大と高いシナジー効果を実現するとしています。
今回の子会社化を通じて、グループ全体の原価削減に貢献し、独自の建築技術の開発を推進することで、グループの経営ビジョンである住宅版SPAモデル・垂直統合モデルの確立をさらに進めると説明しています。
参照元:株式会社Lib Work「幸の国木材工業株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」
ポート社によるFive Line社の子会社化
2023年5月、ポート株式会社は、株式会社Five Lineを子会社化することに成功しました。ポート社は人材支援、リフォーム、ファイナンス、エネルギーなど多岐にわたる領域で事業を展開しています。
一方Five Line社は電力・ガス事業者向けの成約支援サービスや業務支援サービスを運営している企業です。
この子会社化によって、ポート社はエネルギー領域での存在感を強め、価格交渉力の優位性を確立することでユーザー獲得数を増やす効果を期待しています。
参照元:ポート株式会社「株式会社 Five Line の株式取得(連結子会社化)及び第三者割当による自己株式処分 並びに資金の借入に関するお知らせ」
コアコンセプト・テクノロジー社によるピージーシステム社の子会社化
2023年5月、株式会社コアコンセプト・テクノロジーは、株式会社ピージーシステムを子会社化しました。
コアコンセプト・テクノロジー社はデジタルトランスフォーメーションとIT人材のマッチングを主要な事業として展開している企業です。一方のピージーシステム社は、地元企業や公共機関に対するシステム開発・運用・保守やエンジニアの派遣サービスを提供しています。
この経営統合によって、コアコンセプト・テクノロジー社は、地方の基盤拡大とリソースの確保を通じて事業拡大を目指しています。さらに、コアコンセプト・テクノロジー社が取得した案件にピージーシステム社が参加することで、受注力の向上、人材採用・育成ノウハウの提供などを通じてピージーシステム社の成長を促進し、両社の発展を図る予定です。
参照元:株式会社コアコンセプト・テクノロジー「株式会社ピージーシステムの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」
rakumo社によるアイヴィジョン社の子会社化
2023年5月、rakumo株式会社は、株式会社アイヴィジョンの全株式を取得し、同社をグループの一部としました。
アイヴィジョン社は、2003年7月に設立された企業で、主に企業の決算説明会などで使われるIR動画や、企業やサービスの紹介動画の制作と配信を手がけています。
一方、rakumo社は、rakumoというビジネス向けのグループウェア製品や、社内の日報を共有するためのSNS型アプリgamba!の開発と販売を主に行っている企業です。
rakumo社は、両社の上場顧客を対象とした交流促進を行いつつ、アイヴィジョン社が保有する動画技術の特許や多様な専門知識を共有し、それらを自社グループのサービス開発や運営に役立てる方針です。これにより、アイヴィジョン社の製品拡販も見込んでいます。
参照元:rakumo株式会社「株式会社アイヴィジョンの株式の取得(子会社化)完了に関するお知らせ」
Branding Engineer社によるUPTORY社の買収
2023年5月、株式会社TWOSTONE&Sonsのグループ会社である株式会社Branding Engineerは、株式会社UPTORYの全株式を取得し、子会社化することに成功しました。
Branding Engineer社は、ITを駆使したサービス事業を展開し、フリーランスエンジニアと企業をつなぐマッチングサービス「Midworks」を提供している企業です。
Branding Engineer社の主力事業であるフリーランスエンジニアと企業のマッチングサービス「Midworks」は、ITエンジニアの人材需要の増大を背景に、成長を続けています。しかし、エンジニアのニーズの多様化と業務の高度化に対応するためには、より多種多様なエンジニアの確保と、高度な業務に対応できるチームの構築が必要とされていました。
一方で、UPTORY社もまた、ITエンジニアと企業を繋ぐマッチングサービスを提供しています。
この子会社化により、Branding Engineer社は、両社の顧客基盤とITエンジニアデータベースを統合することによる相互販売(クロスセル)を通じて、両社の事業拡大を図る予定です。
UPTORY社では、Branding Engineer社が持つノウハウやリソースを活用して営業力や人材採用力を強化し、顧客基盤を拡大するなどのシナジー効果が見込まれています。
参照元:株式会社Branding engineer「株式会社 UPTORY の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
ハイブリッドテクノロジーズ社によるイクシアス社の子会社化
2023年5月、日本とベトナムのリソースを組み合わせてシステム開発を進行させている株式会社ハイブリッドテクノロジーズは、株式会社イクシアスの子会社化に成功しました。
ハイブリッドテクノロジーズ社は、アプリケーション開発・システム開発の設計・デザインなどの上流工程から、開発・運用・保守に至る全ての工程をトータルで行う企業です。顧客の上流工程を担う日本人プロダクトマネジャーが、実装工程を担うベトナムのIT人材との橋渡しを行うブリッジエンジニアリングを中心として、顧客のプロダクト開発を一気通貫で行う体制を整えていることを強みとしています。
一方、イクシアス社は、インターネットを通したシステム開発・システムコンサル・自社サービスを展開している企業です。
イクシアス社のチームを迎え入れることで、ハイブリッドテクノロジーズ社のハイブリッド型サービスの価値提供がさらに迅速に進化することが期待されます。
参照元:ハイブリッドテクノロジーズ株式会社「株式会社イクシアスの株式取得(子会社化)を決議」
Housei社によるアイード社の子会社化
2023年5月、Housei株式会社はアイード株式会社を子会社化することに成功しました。
Housei社は新聞社や出版社などのメディア業界向けに、各顧客のニーズに合わせた情報システムの設計・運用・保守を主に提供してきました。また、ITクラウドプラットフォームの急速な進化と拡大を受けて、既存の設計実績を用いて幅広い顧客層に適応可能な情報システムを展開し、ITスキルを生かした新規事業にも力を入れている最中です。医療から教育まで、さまざまな領域でのソリューション提供に注力しています。
一方で、アイード社は、英語スピーキング評価AI「CHIVOX」の提供を通じて、英語教育業界の多くの企業や学習者の問題解決に取り組んでいる企業です。EdTechのサービスは既に多く存在していますが、その中には現場やユーザーの視点を欠いたり、本質的な問題を解決できないために長期間にわたる利用が困難なものもあります。しかし、アイード社のCHIVOXは、上海市や北京市等の自治体が行う学校入試のスピーキングテスト自動採点システムとしても利用され、幅広い英語学習コンテンツや学習者のレベルに対応するなど、導入しやすいサービスとしています。
アイードのテクノロジードリブンな顧客問題解決能力とHOUSEIの高度な技術力を組み合わせ、教育業界向けの新しいサービスを創出し、社会に広く実装することを目指しています。
参照元:Housei株式会社「アイード株式会社の株式取得(完全子会社化)及び 第三者割当による新株発行に関するお知らせ」
freee社によるWhy社の子会社化
2023年4月、freee株式会社が、自社を株式交付親会社として、Why株式会社を株式交付子会社とする株式交付を実施し、子会社化することに成功しました。
freee社は、会計ソフトなどのクラウドサービスの提供を、Why社は企業向け作業自動化ツール「Bundle」の提供をそれぞれの主力事業として展開している企業です。
今回のM&Aによって、freee社はWhy社のプロダクトと知識を吸収し、自社の統合型クラウドERPにおける従業員データ管理機能の強化と、情報システム管理領域への進出を図る狙いがあります。
また、人事労務領域サービス全体の強化も目指すことで、「すべてのスモールビジネスを世界の主役にする」ミッションを更に推進すると説明しています。
参照元:freee株式会社「Why株式会社が完全子会社としてグループジョイン 人事労務領域の強化と情報システム管理領域に進出」
アンビションDXホールディングス社によるDRAFT社の子会社化
2023年4月、株式会社アンビションDXホールディングスは、株式会社DRAFTの全ての株式を買い取り、子会社化することに成功しました。
アンビションDXホールディングス社は、不動産のサブリースや原状回復、デザイナーズマンションの開発・販売を手がけている企業です。一方で、子会社化されたDRAFT社は新電力・ガス・ウォーターサーバーなどのライフライン商品や蓄電池・太陽光・外壁塗装などの住宅設備環境商品の販売を行っています。
今回の子会社化の目的は、アンビションDXホールディングス社がDRAFT社のライフライン営業を賃貸管理・仲介事業の顧客に対して行うことで、シナジー効果を生むことです。さらに、DRAFT社が実施しているインターンシップの集客力と育成により、新卒採用を活性化し、人事領域における事業展開も検討可能になりました。
DRAFT社の子会社化により、賃貸管理・仲介事業の顧客に対するライフライン営業の提供は、アンビションDXホールディングス社の事業拡大と企業価値向上に貢献すると見込まれています。また、DRAFT社のインターンシップの集客力と育成活動は、新卒採用の強化と人事領域への事業展開に役立つと期待されています。
参照元:株式会社アンビションDXホールディングス「住宅環境に関する商品の営業代行を運営する株式会社 DRAFT を子会社化」
TWOSTONE&Sons社によるMapleSystems社の子会社化
2024年2月、ITエンジニアに特化したビジネスを手がける株式会社TWOSTONE&Sonsは、エンジニアのマッチング事業を手がける株式会社 MapleSystemsを子会社化しました。
MapleSystemsと自社が有する顧客基盤およびITエンジニアのデータベースを融合させることで、クロスセルによる両社のさらなる成長を実現する目的で、TWOSTONE&Sonsは本件のM&Aを実施しました。
参照元:株式会社TWOSTONE&Sons「株式会社MapleSystems の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
まとめ
上場企業のM&Aは、主に、事業拡大や新市場への迅速な進出のために行われます。ただし、M&Aの目的はその企業がどのような課題を抱えているかに応じて異なるため、M&Aの対象となる企業も違ってくるのが一般的です。
また、上場企業が上場している市場は、企業規模によってプライム市場・スタンダード市場・グロース市場に大きく別れており、どの市場に上場している企業かで、どのようなM&Aが行われやすいかが変わってきます。
レバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社は、上場企業のM&Aをはじめ、特定の業界に縛られず、幅広い業界のM&A全般をサポートする仲介会社です。各領域に精通したコンサルタントが在籍しており、あらゆるプロセスにおいて的確なアドバイスを提供します。料金体系はM&Aご成約時に料金が発生する完全成功報酬型で、M&Aご成約まで無料で利用できます(譲受会社のみ中間金あり)。ご相談も無料です。上場企業とのM&Aをご検討の際には、ぜひお気軽にお問い合わせください。