事業承継のポイントとは?概要・必要性・手続きの流れなどを解説

2023年9月11日

事業承継のポイントとは?概要・必要性・手続きの流れなどを解説

このページのまとめ

  • 事業承継とは、事業を次の世代の経営者に引き継ぐことである
  • 事業承継には、「親族内承継」「親族外承継」「M&A」の3つの方法がある
  • 事業承継で引き継がれる3つの要素は、「人」「資産」「知的財産」である
  • 事業承継のポイントは事業承継先の選定や経営権の分散への対策などである
  • 事業承継を成功させるためには早い時期から準備すべき

事業承継においてはポイントを押さえて企業の経営資源などを次の世代の経営者に引き継ぐことが非常に重要です。事業承継のポイントをしっかりと理解し、できるだけ早い時期に取り組むことが持続的な経営につながるでしょう。
この記事では、事業承継におけるポイントや注意点について、詳しく解説します。

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事業承継とは

事業承継とは、事業を次の世代の経営者に引き継ぐことを指します。事業承継の主な目的は、会社の存続を維持することです。会社の存続は、企業の技術や知識、従業員の雇用、取引先の経営、顧客の生活などを守り、地域経済を支えることにつながります。事業承継を実施せずに倒産する企業が増えると、地域経済だけではなく、日本経済全体が衰退するおそれもあります。

事業承継には、親族内で事業を承継する「親族内承継」、親族以外の従業員などの関係者に事業を承継する「親族外承継」、第三者への売却や合併・買収を行う「M&A」の3つの方法があります。特に近年では、M&Aを通じた事業承継が増加しています。

事業承継の方法は、企業の事情や状況に応じて選択しなければなりません。会社の存続と関係者の利益を守るためにも、適切な事業承継の方法を選び、上手く活用することが非常に重要です。

関連記事:事業承継とは?方法や税制・補助金などについても解説

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事業承継の現状と課題

中小企業の経営者が年々高齢化していることは、日本全体にとって重要な課題です。将来的には、引退する経営者の数がさらに増加する見込みです。中小企業の業績が好調であっても、後継者不足のために事業承継が困難となり、経営者の高齢化が進行してしまう状況にあります。

中小企業庁「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」によると、全国的には2025年までに、中小企業の経営者の平均引退年齢である70歳を超える人数は約245万人に上り、そのうち約127万人が後継者未定と予測されています。

後継者のいない中小企業は将来の見通しを持てず、何の対策も講じない場合には廃業せざるを得なくなるでしょう。その結果、従業員の雇用が失われたり、取引の断絶によってサプライチェーンに問題が生じたりするおそれがあります。多くの関係者が困惑するだけでなく、地域経済にも悪影響が及ぶリスクがあります。

また、廃業によって優れた経営資源が活用されずに失われることは、日本経済の発展にとっても大きな損失となりかねません。このような状況のなか、後継者のいない中小企業の事業を社外の第三者がM&Aによって引き継ぐケースが増加しており、中小企業にとってもM&Aが事業承継の手段の一つとして認識されつつあります。

しかし、全体的には、まだまだ多くの中小企業経営者はM&Aによる社外の第三者による事業の引き継ぎに抵抗感を抱いているのが現状です。また、実際に進めようと思っても、M&Aに関する知識や経験が不足しており、結果としてM&Aによる引き継ぎを選ばずに廃業してしまうケースも少なくありません。

そのため、国や自治体では、中小企業における事業承継を促進するためのさまざまな政策を積極的に推進しています。

※参照元:中小企業庁「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」P1

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事業承継で引き継がれる3つの要素

事業承継で引き継がれる要素として、大きく下記の3つがあります。

  • 人(経営者)
  • 資産
  • 知的財産

それぞれ解説していきます。

人(経営者)

人(経営者)の承継とは、経営権を後継者に引き継ぐことを指します。

現経営者が立ち上げた事業を誰が引き継ぐかは、事業承継の成功を左右する重要なポイントです。特に中小企業では、経営者個人が持つ専門知識やビジネス上の人脈が極めて重要であり、経営者の能力が事業の円滑な運営や業績に大きな影響を与えます。

親族や従業員のなかから後継者を選定して必要な経営能力を習得し、知的資産を引き継ぐためには、ある程度の余裕を持って進めなければいけません。後継者の選定には時間をかけるべきであり、早期に事業承継に着手することが重要です。

また、中小企業の事業承継においては、親族内から後継者を確保することが困難となっています。そのため、会社や事業を他社に引き継ぐこと(M&A)が有力な選択肢として考えられています。事業承継を検討する際には、親族や従業員を後継者に選ぶ方法だけではなく、M&Aによって外部の第三者に事業を引き継ぐことも視野に入れましょう。

資産

資産の承継とは、事業の運営に必要な資産(設備や不動産などの事業用資産、株式会社の場合は自社株式)を後継者に引き継ぐことです。会社の場合、所有する事業用資産の価値は株式に含まれるため、株式の承継が基本となります。

株式や事業用資産を贈与や相続で引き継ぐ場合、資産の状態によっては多額の贈与税や相続税が発生します。相続人に経済的な余裕がない場合は、課税を想定した上で株式や事業用資産を分配・承継する必要があります。それにより承継後の事業の安定性が危ぶまれるリスクもあるため、税負担を考慮した相続の方法を検討するべきでしょう。

親族内承継の場合は、株式以外の個人財産や事業用資産の承継、他の相続人との関係も考慮しなければなりません。また、承継の形態に関わらず、現経営者の個人保証関係も整理して承継する必要があります。

債務に対する個人保証関係については、令和2年1月から政府関係機関が関わる融資の無保証化が拡大されました。商工中金は「経営者保証ガイドライン」の徹底により、一定の条件を満たす企業に対して「原則無保証化」を行っています。

さらに、事業承継時には一定の要件のもとで、経営者保証を不要とする新たな信用保証制度である事業承継特別保証制度が創設されました。専門家による確認を受けた場合は、保証料が軽減され、最大でゼロになります(保証協会における管理に必要な費用の一部を除く)。この制度は令和2年4月から開始されています。

資産承継には多様な面があり専門性が求められるため、準備を始める際には、できるだけ早い段階で専門家に相談することが重要です。

知的資産

「知的資産」とは、特許やブランド、ノウハウなどに限定されず、組織力や人材、技術、経営理念、顧客とのネットワークなど、財務諸表には現れにくい目に見えない経営資源の総称です。企業の真の価値や強みは「知的資産」にあり、企業競争力の源泉となります。企業の経営や活動は、知的資産の活用なしには成り立ちません。

企業が競争力を維持し続けるためには、差別化による競争優位の源泉を確保することが重要です。知的資産(見えざる資産)は、大きなコストをかけずに利用できる手段の一つであり、他社との差別化を継続的に実現できます。結果として、経営の質や企業価値の向上につながるでしょう。

例えば、中小企業においては、経営者と従業員の信頼関係が重要です。経営者が交代して信頼関係が崩れれば、従業員が大量に離職してしまうおそれもあります。このような問題を防ぐためには、後継者が経営者と従業員の信頼関係の重要性を理解し、従業員との信頼関係を築く努力をすることが必要です。

知的資産の承継のプロセスは、自社が保有する知的資産を認識し、その情報を明確化することから始まります。その際には、現経営者が自社の歴史や取り組みを振り返って、強みや価値の源泉を集約し、後継者や関係者との対話を通じて情報を共有する必要があります。また、現経営陣や後継者が必要に応じて専門家のサポートを受けることも有効です。

それぞれの企業が持つ強みである知的資産をしっかりと把握し、活用することによって業績や企業価値の向上を図る経営手法を国は「知的資産経営」と名付け、推奨しています。

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事業承継の2つの類型

事業承継には、親族内承継と従業員承継の2つの類型があります。それぞれ解説します。

親族内承継

親族内承継は、現経営者の子供やその他の親族が事業を承継する方法です。一般的に、他の方法と比較して会社内外で容易に受け入れられやすく、相続人が早く決まるために準備期間を十分に確保しやすいメリットがあります。また、相続や贈与によって財産や株式を相続人に移せるため、所有と経営の一体的な承継が可能です。

しかし近年では、家族内での事業承継の割合が急激に減少しています。これは、子どもであっても事業の将来性や経営の安定性を重視し、家族経営にとらわれないキャリアを選択する、リスクの少ない安定した生活を求めるなど、多様な価値観が社会に広まったことが影響していると考えられます。

親族内承継の場合、相続人の関心は、引き継ぐ事業が将来に向けて適切に準備されているか、つまり後継者にとって「引き継ぐ価値がある」会社であるかどうかに集中していると言っても過言ではありません。

したがって、事業承継を進める前に、現経営者は経営力を向上させて経営基盤を強化し、後継者が安心して引き継げる経営体質を築く必要があります。また、事業承継を円滑に進めるためには、現経営者が自身の引退時期を決定し、そこから逆算して後継者育成に必要な時間を計画することが重要です。

事業承継時には、経営者の債務に対する個人保証が後継者の課題や障害となる可能性があることも考慮しなければなりません。

従業員承継

「従業員承継」は、親族以外の役員や従業員が事業を承継する方法です。経営能力のある人物に事業を引き継いでもらえるほか、長く勤めている社員が一貫した経営方針を維持しやすいメリットがあります。

近年の傾向としては、親族内承継の減少に伴い、従業員承継の比率が増加しています。従来は資金力の問題が従業員承継の主要な課題でしたが、株式会社や従業員持株会など、さまざまな制度が普及し、親族外の相続人にも事業承継税制の適用が可能になったため、従業員承継が容易になりました。

従業員承継において重要なのは、同族株主の承認を得ることです。現経営者のリーダーシップの下、早い段階で親族との調整を行い、関係者の同意と協力を得るとともに、その後の紛争を回避するための明確な手順を確立する必要があるでしょう。また、資金の問題だけではなく、他の役員や従業員との関係にも十分な配慮が必要です。

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M&Aによる事業承継

社外の第三者へ事業を承継する場合、M&A(合併・買収)によって事業承継が行われます。M&Aには専門的な知識が必要であり、M&Aアドバイザーなどの専門家に依頼することが一般的です。M&Aを成功させるためには、企業価値を高める施策を実施することも重要です。

M&Aによる事業承継には、代表的なスキームとして株式譲渡と事業譲渡があります。株式譲渡は、自社の株式を買い手に譲渡して経営権を移行する方法です。事業に支障が出にくい利点はありますが、買い手は簿外債務などのリスクも引き継ぐ可能性があることに留意する必要があります。

事業譲渡は、会社や個人事業主の事業を事業承継先の会社や個人事業主に譲渡する方法です。事業全体を譲渡するケースと、特定の事業を譲渡するケースがあります。事業を柔軟に切り離せる利点がある一方で、手続きは株式譲渡よりも煩雑になりがちです。

M&Aによる事業承継のメリット・デメリット

M&Aによる事業承継のメリットは、内部に適任の後継者がいない場合でも、外部から広く候補者を探せることや、廃業を防ぐための選択肢が広がることです。経営者が変わることで、新たな価値観やノウハウが導入され、課題の解決や業績向上につながる可能性があります。

一方、M&Aによる事業承継のデメリットは、適切な買い手を見つけたり、経営の一体性を確立したりするまでに時間がかかる場合があることです。

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主に「人」に関連する事業承継におけるポイント

事業承継で引き継がれる要素の一つに「人」に関連する承継があります。
人に関連する承継を行う際のポイントについて解説します。

事業承継先の選定

事業承継においては、事業承継先の選定によって必要な準備や配慮が異なることに注意する必要があります。特に、親族内承継や従業員承継の場合には、後継者が「事業を継続・発展させる能力」を有しているかどうかを判断することが重要です。

後継者の能力を判断するポイントとしては、以下のような要素が挙げられます。

  • 後継者が経営者となる意思と覚悟を持っているかどうか
  • 会社の経営理念や価値観を共有しているか
  • 実務能力を有しているか
  • 従業員や取引先からの信頼があるか

一方、M&Aによる事業承継の場合には、以下のポイントが重要となります。

  • 相手が会社の経営理念や企業文化を尊重しているか
  • 会社の話に十分に耳を傾けてくれるか
  • トップマネジメントとの相性がどうか
  • 会社の事業を理解しているか

こうした条件を満たす人物に経営権を委譲するためには、相応の時間と専門家のアドバイスが必要であり、早めの準備が欠かせません。

相続トラブルへの対策策定

事業承継のプロセスでは、後継者問題が発生しやすいことに留意が必要です。事業承継の準備を怠ってしまった場合、経営者が亡くなった際には通常、親族が相続人となりますが、相続人が複数存在する場合には後継者問題が生じます。

経営者の地位は通常一つしか存在しないため、後継者が決まっていない場合には、経営を引き継ぐ人物の選定が問題となります。このような後継者問題のリスクを軽減するためには、資金調達や税制と同様に早めの準備が必要です。

経営権の分散への対策

会社の経営権を安定させるためには、経営権を分散させない施策が不可欠です。少数株主が存在する状態で事業承継を行うと、少数株主によるさまざまな要求やクレーム、株主由来の訴訟などが発生するリスクがあります。また、M&Aによる事業承継の場合、株式が分散してしまうと、M&Aに要する時間や労力などの問題が発生するおそれがあります。

こうした問題を回避するためには、事前に必要な措置を講じておくことが重要です。例えば、生前に会社の株式を後継者に譲る、遺言書を作成する、異なる種類の株式を発行する、信託を利用するなどの対策が挙げられます。

後継者の育成

事業承継では、意外な形で経営者になることがあり、十分な準備ができない場合があります。したがって、後継者として考えている人材を早い段階から育成することが不可欠です。

若いうちから経理や営業、製造現場まで幅広い業務を経験させ、さらに責任のある仕事を任せます。こうした経験は、中規模企業の経営者に必要なリーダーシップや判断力を培うだけではなく、従業員や関係者からの信頼獲得にも役立ちます。

後継者には多様な学びの機会を与えることも重要です。後継者が従業員である場合、他社での経験を積ませることは難しいでしょう。したがって、後継者を経営セミナーや異業種交流会に派遣したり、先代社長と一緒に外部の会合に参加させたりすることも良い方法です。

それにより、社内業務では学ぶことのできない経営者としてのノウハウや他社とのネットワークを獲得でき、社長就任後の経営に役立ちます。
さらに、後継者には社内プロジェクトの遂行経験を積ませることも重要です。

後継者が経営革新の達成に必要な能力を身につけるためには、承継前に社内の新規プロジェクトに取り組むことが有効です。社外経験がなくても、大規模な設備投資などの社内プロジェクトに携わることで、自社に対する問題意識や危機意識が高まり、承継後にさらなる経営革新に取り組めるでしょう。

後継者のフォロー

後継者が若いうちに社長になると、古参社員との摩擦が生じることも少なくありません。そのため、ベテラン取締役を退任させて新しい取締役に若い人材を配置するなど、後継者が経営を進めやすい環境づくりのサポートも必要です。後継者だけではなく、他の役員や経営陣の体制も考慮する必要があります。

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主に「人」以外に関連する事業承継のためのポイント

事業承継において、人に関連するもの以外のポイントについて解説します。

早い時期から準備を進める

中小企業においては、早期にM&A(合併・買収)を検討し実行することで、従業員の雇用を守り、地域のサプライチェーンの維持につながる可能性があります。また、経営者自身も譲渡対価として手元に残る金額が増える場合もあるでしょう。

事業全体を継続できなくても、利益を上げている一部の優良店舗を早期に譲渡することで、一部の事業を継続できる場合があります。

個別の状況により異なりますが、通常、希望する買い手とのマッチングには数カ月から1年程度の時間がかかるため、早めに判断して行動することが重要です。特に、中小企業におけるM&Aの判断は、日常の忙しさに追われて後回しにされがちですが、判断が遅れると選択肢が限られてしまいます。

業績が悪い場合には、資金繰りが逼迫して手詰まりになることもあるため、早期の判断が求められます。実際に、判断が遅れた結果、廃業費用さえ捻出できない状況に陥るケースもあります。家族や従業員、取引先などに迷惑をかけないためにも、経営者は早期に判断し、対応策を見極めることが重要です。

専門家への相談

事業承継に関する課題は、M&Aによる第三者への事業承継を総合的にサポートするM&A専門アドバイザーに相談するのがベストです。総合的なアドバイスや支援を提供してくれます。

資金繰り対策

現経営者から後継者への事業承継は、贈与税や相続税の対象です。そのため、後継者が税負担を抱え、事業承継を躊躇してしまうことがあります。事業承継の税金面の対策は、現経営者が元気なうちに行う必要があります。

現在では、事業承継税制の条件を満たすことで、贈与税や相続税の納税を猶予または免除することが可能です。事業承継税制は、これまで以上に利用しやすくなっているため、積極的に活用しましょう。

相続税や贈与税だけではなく、事業承継後も安定した経営を行うためには、十分な資金が必要です。特に、親族外承継では、役員や従業員に株式を有償で譲渡することが多く、事業を承継する役員や従業員がその資金を調達しなければなりません。そのため、現経営者が金融機関などと事前に交渉し、協力を得られるようにしておくことが重要です。

支援制度の活用

事業承継を進める際には支援制度の活用も視野に入れると良いでしょう。支援制度にはいくつかの種類があるため、順に解説します。

地方自治体などの事業承継支援と補助金の活用

地方自治体では、事業承継・引継ぎ支援センターを各地域に設置しており、M&Aによる事業承継の支援やM&Aのマッチングを行っています。さらに「事業承継補助金」という制度も用意されており、事業承継に関わる費用の一部を補助してもらえます。

事業承継補助金は、事業承継やM&Aを通じた経営革新に挑戦する中小企業や小規模事業者を支援するための制度です。具体的には、以下のような状況や目標を持つ方々を対象としています。これらは中小企業庁がおすすめしている要件です。

経営革新事業
  • 新しい商品開発やサービス提供に取り組みたい方
  • 新たな顧客層の開拓を目指す方
  • これまで行っていなかった事業活動を始めたい方
専門家活用事業
  • M&Aにより経営資源を他者から引き継ぐ予定の方
  • M&Aに取り組もうと考えている方
廃業・再チャレンジ事業
  • 事業承継やM&Aに伴い既存の事業を廃業し、新たな取り組みにチャレンジする予定の方

※廃業・再チャレンジ事業は、経営革新事業や専門家活用事業との併用も可能です。

事業承継補助金の制度は、事業承継やM&Aを通じて経営の革新や資源の引き継ぎ、廃業後の再挑戦を促進することを目的としています。具体的な要件や条件については、関連する支援機関に相談してください。要件は年度によって変更される場合もあるため、補助金の利用を検討されている方は、最新の要件を確認しておくことをおすすめします。

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事業承継の手順と流れ

ここでは、事業承継を行う際の手順と流れを解説します。

  1. 事業承継の準備
  2. 現経営者と後継者による経営状況や経営課題の把握
  3. 事業承継に向けての経営改善
  4. 事業承継計画の策定
  5. 事業承継の実行

1.事業承継の準備

事業承継のプロセスにおいては、事業承継の準備の必要性を認識することが重要です。事業承継を実行するには、多くの時間と労力を要します。また、事業承継は関係者にも影響を与える可能性があります。ただ漠然と事業承継を行おうとすると、ベストなタイミングを逃し、関係者に迷惑をかけることになりかねません。

まずは専門家に相談し、事業承継への心構えを確認しましょう。特に、M&Aによる第三者への事業承継の場合は、M&Aアドバイザーに相談することで、総合的なサポートを受けられます。

2.現経営者と後継者による経営状況や経営課題の把握

現経営者と後継者で、経営状況や経営課題を共有します。事業承継後に会社を維持・成長させるためには、現状を把握しておくことが重要です。経営状況や経営課題を確認する際は、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。

事業の現状と課題

自社の強み・弱み、事業承継の課題を明確にする必要があります。

資産の現状と課題

特に中小企業では、オーナー経営者の資産と会社の資産が混在している場合があります。事業承継の場合、相続人に引き継ぐべき事業資産を明確にするために、資産を整理する必要があります。

現在の財務状況と課題

事業承継において、財務管理は重要な要素です。中小企業の場合、財務管理が不十分で、資金調達や取引先との信頼関係に支障をきたしている場合があります。事業承継の準備段階から、現在の財務状況や課題を把握し、適切な財務管理を行う必要があります。

これらの点を理解し、事業承継後の経営計画を立てることで、企業の存続と成長に向けてより強固な基盤を築けます。

3.事業承継に向けての経営改善

事業承継後に企業が成長していくためには、経営を磨き、改善することが重要です。業績の悪い会社や経営に疑問のある会社では、事業承継の成功は期待できないでしょう。より魅力的な企業にするためにも、経営改善が欠かせません。

4.事業承継計画の策定

事業承継計画とは、事業承継のための具体的な行動を設計した計画書です。事業承継計画を策定する際には、目先の目標だけではなく、10年後を見据えた計画を立てることが重要です。

現経営者が単独で事業承継計画を策定するのではなく、後継者とともに策定することで、具体的なアクションを起こしやすくなるでしょう。

事業承継計画の策定では、会社の中長期的な目標を設定し、それに基づき経営者、後継者、会社の具体的なアクションを策定する必要があります。同時に、完成した事業承継計画を関係者に順次公開し、実施に向けて協力を得ることが重要です。

5.事業承継の実行

事業承継計画に基づき事業承継の準備が整えば、順次、株式や事業資産、経営権などを相続人に承継していきます。

M&Aによる第三者の事業承継の場合は、M&Aの専門家のサポートのもと、買い手候補とのマッチングを行い、マッチングが成立すればM&A手続きを進めます。M&Aでは、プロセスが完了したあとが重要です。
必ずしも事業承継計画に沿って行われるとは限らないため、専門家のアドバイスを受けながら、状況に合わせて柔軟に対応しましょう。

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まとめ

本稿では、事業承継について、ポイントや概要、手順などを解説しました。

事業承継は、事業を次の世代の経営者に引き継ぐことで、事業承継のポイントは事業承継先の選定や経営権の分散への対策などです。また、事業承継を成功させるためには早い時期から準備すべきであると言えるでしょう。

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