事業承継の費用や手数料はどれくらい?事業承継とは何かも説明

2023年8月29日

事業承継の費用や手数料はどれくらい?事業承継とは何かも説明

このページのまとめ

  • 事業承継とは、会社の経営権などを後継者に引き継ぐこと
  • 事業承継は引き継ぐ先によって親族内承継・従業員承継・M&Aに分類可能
  • 事業承継の方法によって、相続税・贈与税・不動産取得税・登録免許税などがかかる
  • 株式を調達するための費用や、専門家に支払う報酬が発生することもある
  • 事業承継はM&A仲介会社・アドバイザリーや、公認会計士などの専門家に相談する

「事業承継を検討しているけど、費用はどれくらいかかる?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。親族内承継・従業員承継・M&Aいずれを選ぶか、そしてどの専門家に相談するかによって、かかる費用が異なります。

このコラムでは、事業承継の概要からかかる税金・費用まで、幅広く解説します。そのほか、相談できる専門家や利用できる制度についても紹介するので、事業承継について気になる方はぜひ参考にしてください。

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事業承継(事業継承)とは

事業承継(事業継承)とは、オーナー社長が会社の経営権などを後継者に引き継ぐことです。中小企業庁が発行する「経営者のための事業承継マニュアル」では、事業承継の構成要素として以下の3点を挙げています。

  • 人(経営)
  • 資産
  • 知的資産

3つの構成要素のうち「人(経営)」は経営権や後継者教育、「資産」は株式や事業用資産・資金、「知的資産」は経営理念や従業員の技術・ノウハウなどのことです。事業承継で安定的な経営を図るためには、3つの経営資源すべてを確実に承継しなければなりません。

参照元:中小企業庁「経営者のための事業承継マニュアル」

事業承継の3つの種類

事業承継は、引き継ぐ先によって以下の3種類に分類できます。

  • 親族内承継
  • 従業員承継
  • M&A(社外への引き継ぎ)

親族内承継とは、現経営者の子どもなど、親族に承継する方法です。経営者が代わることについて社内外から理解を得られやすい一方で、後継者に資質があるとは限らない点がデメリットとして挙げられます。

従業員承継とは、親族以外の従業員に承継する方法です。会社の内情に詳しい人にスムーズに承継できる一方で、株式取得の費用を捻出できなければ承継できない可能性がある点がデメリットとして挙げられます。

M&A(社外への引き継ぎ)とは、社外の第三者へ主に株式譲渡・事業譲渡などで承継することです。幅広い候補者の中から後継者を選定できる一方、自分だけで相手先を見つけ出すのが難しい点がデメリットとして挙げられます。

種類によってかかる費用も異なるため、自社に適した事業承継がどれに該当するか、あらかじめイメージしておきましょう。

事業承継の流れ

事業承継する際の流れは、以下のとおりです。

  1. 自社を分析し、事業承継するうえでの課題を挙げる
  2. 企業価値の向上を図り、後継者が引き継ぎたくなるような環境を整える
  3. 親族内承継・従業員承継:後継者を決めて事業承継計画を策定する
    M&A:買い手候補を探してマッチングする
  4. 相続や贈与、株式譲渡などにより、事業承継を実施する

なお、事業承継実施前後には、さまざまな税金や費用がかかります。

関連記事:事業承継とは?成功に向けたポイント方法や進め方を解説

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事業承継にかかる6つの税金

事業承継の方法によって、税金が課されることがあります。課税される税金は、主に以下の6つです。

  • 相続税
  • 贈与税
  • 消費税
  • 不動産取得税
  • 登録免許税
  • 法人税

各税金について、詳しく解説します。

相続税

相続税とは、資産を相続した相続人に対して課される税金のことです。親族内承継で後継者が相続により株式や事業用資産などを事業承継する場合、相続税が課されることがあります。

相続税の速算表は、以下のとおりです。

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

相続税は累進課税を採用しているため、相続で取得する金額が大きくなればなるほど税率も上がります。たとえば、法定相続分に応じた取得金額が2,000万円であれば相続税率15%に対し、8,000万円であれば30%です。

なお、相続税の納税額には以下の基礎控除額が設けられています。

  • 基礎控除額 = 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)

上記の式からわかるように、法定相続人の数が多ければ、基礎控除額も上がります。

参照元:国税庁「No.4155 相続税の税率」

贈与税

贈与税とは、個人から贈与で財産を取得した際に課される税金です。現オーナーが存命中に株式や事業用資産を贈与する際、後継者に贈与税がかかることがあります。

たとえば、18歳以上の人が直系尊属から贈与で取得(特例贈与財産用)した財産の贈与税を計算する際の税率は、以下のとおりです。

基礎控除後の課税価格税 率控除額
200万円以下10%
400万円以下15%10万円
600万円以下20%30万円
1,000万円以下30%90万円
1,500万円以下40%190万円
3,000万円以下45%265万円
4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円

なお、贈与税の課税方法には、1年間に贈与を受けた財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかる「暦年課税」と、1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額から2,500万円の特別控除額を控除した残額に対してかかる「相続時精算課税」があります。「相続時精算課税」を選択するには、一定の要件を満たすことが必要です。

参照元:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」

消費税

消費税とは、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税される税金です。

M&Aで第三者に譲渡することで事業承継した場合でも、株式は非課税のため消費税は課されません。
ただし、M&Aで株式を売却した株主は、譲渡益に対して20.315%の税金(所得税および復興特別所得税、住民税)が課される点に注意が必要です。

参照元:国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」

不動産取得税

不動産所得税とは、土地や家屋の購入、贈与などで不動産を取得した際に課される税金です。現経営者が現オーナーが存命中に事業承継で不動産を贈与する場合、後継者に不動産取得税が課されます。

2023年6月10日現在、東京都の不動産取得税の税率は、土地が3%で家屋(非住宅)が4%です。

参照元:東京都主税局「不動産取得税」

登録免許税

登録免許税とは、不動産や会社、人の資格についての登記や登録などをした際に課される税金です。事業承継で不動産の所有権を移転する際に課されます。

後継者が売買や贈与で手に入れた不動産を登記する場合に2%、相続の場合に0.4%の登録免許税が課せられます。

参照元:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」

法人税

法人税とは、法人の企業活動で得られる所得に対して課される税金です。一般的な事業承継で法人税は課されません。

ただし、事業譲渡を選択した際、会社が得た利益に対して法人税が課されることがあります。事業譲渡とは、一部の事業を切り離して会社の存続を図るために、営む事業の全部または一部を他の会社に譲渡することです。

中小企業の場合、所得のうち年800万円以下の金額に15%、800万円超の部分に23.2%の法人税が課されます(2023年6月10日現在)。

参照元:財務省「法人課税に関する基本的な資料」

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事業承継にかかる費用

事業承継する際は、税金以外にも以下の費用がかかることがあります。

  • 株式購入資金
  • 専門家への相談料・報酬

それぞれ確認していきましょう。

株式購入資金(株式譲渡の場合)

生前贈与や相続ではなく、株式譲渡(売買)で事業承継する場合、後継者は購入資金を用意しなければなりません。従業員承継やM&Aの場合、株式を売買して事業承継することが一般的です。

後継者は、金銭などの支払いと引き換えに、対象の株式を譲り受けます。株式譲渡の価格を算出する際の参考になるのが、企業価値評価です。

上場会社と異なり、非上場会社では時価総額の確認が困難なため、コストアプローチ・マーケットアプローチ・インカムアプローチといった手法で企業価値を算出したうえで、譲渡側と譲受側で価格交渉します。

専門家への相談料・報酬

事業承継を滞りなく実施するためには、専門的な知識やノウハウが必要です。社内に詳しい人がいない場合は、専門家への相談を検討しましょう。

専門家に相談する際には、相談料や報酬が発生します。ただし、相談する専門家によって得意分野や費用の目安が異なる点に注意が必要です。あらかじめ、各専門家の業務内容を理解しておきましょう。

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事業承継について相談できる専門家

事業承継について、相談できる主な専門家は以下のとおりです。

  • M&A仲介会社・アドバイザリー
  • 弁護士
  • 税理士・公認会計士

それぞれの概要や特徴を解説します。

M&A仲介会社・アドバイザリー

事業承継(M&A)のサポートを専門としているのが、M&A仲介会社やアドバイザリーです。

M&A仲介会社とは、譲渡側と譲受側の間に立ち、中立的な立場で双方にM&Aに関するアドバイスをしたり、交渉をサポートしたりする会社です。M&AアドバイザリーもM&Aをサポートする点は同じですが、基本的に片方のみに助言する点が異なります。

M&A仲介会社やアドバイザリーに依頼する際にかかる費用は、以下のような手数料が挙げられます。

  • 成功報酬
  • 相談料
  • 着手金
  • 中間金

完全成功報酬制を取り入れている会社もあるため、依頼前に料金体系を確認しておきましょう。完全成功報酬制とは、基本的に着手時や中間時の手数料が発生せず、成約段階でのみ手数料が発生する仕組みのことです。

弁護士

事業承継計画などの書類を作成するにあたって、弁護士に相談することもあります。

事業承継計画とは、経営計画に事業承継の時期や課題、具体的な対策などを盛り込んだ書類のことです。事業承継について取引金融機関の同意を得たり、事業承継に関する制度を利用したりする際に作成を求められることがあります。

相続で事業承継を予定している場合も、弁護士に相談した方がよいでしょう。事前に弁護士に相談することで、事業承継(相続)時に親族間でトラブルが発生するリスクを軽減できます。

M&Aで事業承継する場合は、法務デューデリジェンスで譲受側が弁護士に依頼することがあります。デューデリジェンスとは、M&Aの対象企業のリスクを事前に専門家が調査することです。

税理士・公認会計士

税務・財務など資金面のアドバイスを受けるために税理士や公認会計士へ依頼することがあります。M&Aで事業承継する場合、税理士は税務デューデリジェンス、公認会計士は財務デューデリジェンスの対応も可能です。

また、税理士に相談すれば、事業承継実施にどのような税金が発生するかなどのアドバイスを受けられるでしょう。企業価値評価(バリュエーション)で、公認会計士に依頼することもあります。

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事業承継の調達や費用負担軽減に関する3つの制度

事業承継にはさまざまな費用がかかるため、資金調達制度や費用負担軽減につながる制度を事前に確認しておくことが大切です。代表的な制度として、以下の3つが挙げられます。

  • 事業承継税制
  • 事業承継・引継ぎ補助金
  • 日本政策金融公庫の融資制度

各制度を確認していきましょう。

事業承継税制

事業承継税制とは、円滑化法に基づく認定のもとで、会社や個人事業の後継者が取得した一定の資産について贈与税や相続税の納税を猶予したり、免除されたりする制度です。対象が会社の場合に法人版事業税制、個人事業主の場合に個人版事業税制が該当します。

多額の贈与税もしくは相続税が課せられると後継者に大きな負担がかかり、その後の経営に支障をきたすでしょう。その点、事業承継税制を活用すれば要件を満たした場合に、後継者は贈与や相続で受け取った株式や事業用資産にかかる税金を猶予できる点がメリットです。条件次第で、税金が免除される場合もあります。

事業承継税制の一般措置に加え、2027年12月31日までは特例措置も適用できます。特例措置は、一般措置と比べて相続の納税猶予割合が大きい点や対象株数が全株式である点がメリットです。
特例措置を適用するためには、2024年3月31日までに特例承継計画を提出しましょう。

参照元:国税庁「事業承継税制特集」

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金とは、事業承継をきっかけに、新しい取り組みを実施する中小企業などを対象に支援する制度のことです。

事業承継・引継ぎ補助金の「経営革新事業」を利用すれば、事業承継などをきっかけとした設備投資や販路開拓などに関する補助金を受けられます。また、「専門家活用事業」を利用すれば、M&A支援業者に支払う手数料やデューデリジェンスの専門家費用などが補助対象です。

事業承継・引継ぎ補助金には毎年申請期間が設けられているため、事前にスケジュールを確認しておきましょう。

参照元:事業承継・引継ぎ補助金事務局「事業承継・引継ぎ補助金」

日本政策金融公庫の融資制度

日本政策金融公庫には、事業承継向けの融資制度があります。

たとえば、「事業承継・集約・活性化支援資金」は、事業譲渡・株式譲渡などで経済的または社会的に有用な事業や企業を承継・集約化する、中小企業の資金調達の円滑化を支援する制度です。また、「生活衛生事業承継・集約・活性化支援資金」も事業承継する人を対象にしています。

ただし、いずれも事業承継計画の策定など定められた要件を満たさなければなりません。

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まとめ

事業承継とは、会社の経営権などを後継者に引き継ぐことです。引き継ぐ先によって、親族内承継・従業員承継・M&Aの3種類に分類できます。

事業承継でかかる主な税金が、相続税・贈与税・消費税・不動産取得税・登録免許税・法人税です。また、事業承継には専門的知識を要するため、専門家へ支払う報酬も費用としてかかります。スキームとして株式譲渡を選択する場合は、後継者は株式購入に費用がかかるため、資金を用意しておくことが必要です。

M&A仲介会社やアドバイザリーに依頼すれば、M&Aに関するサポートやアドバイスを受けられる点がメリットです。ただし、会社によって料金体系が異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。

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