会社売却にかかる手数料をわかりやすく解説!相場や費用の種類などを紹介

2023年8月23日

会社売却にかかる手数料をわかりやすく解説!相場や費用の種類などを紹介

このページのまとめ

  • 会社売却の手数料の種類には相談料と着手金や月額報酬、中間報酬や成功報酬などがある
  • 会社売却の成功報酬はレーマン方式で算定される
  • レーマン方式の基準額には会社売却対価と企業価値、移動総資産の3種類がある
  • M&A仲介会社を起用するメリットは適切な相手と適切な交渉を進められること
  • M&A仲介会社の選定ポイントは契約のタイプと実績内容、料金形態

「会社売却時にM&A仲介会社を起用すると、どのような手数料が発生するのだろう?」と思っている方も多いのではないでしょうか。M&A仲介会社の手数料には複数の種類がありますが、完全成功報酬制の会社が多いです。本コラムでは、会社売却時の手数料の内容と相場、成功報酬の算定方法、M&A仲介会社を起用するメリットや選定の際のポイントなどを解説します。

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会社売却の手数料の種類と相場

会社売却を実施する場合、M&A仲介会社などに依頼することがほとんどです。業務を委託されたM&A仲介会社などは、以下のようなサービスを提供します。

  • 会社売却額の目安となる企業価値評価(バリュエーション)
  • 会社売却のための買い手探し
  • 必要資料の作成
  • 契約書の作成・チェック
  • 会社売却交渉の代行
  • 会社売却のアドバイス
  • その他、会社売却に対する全般的なサポート

以上のような業務を行うM&A仲介会社などでは、以下のような複数の手数料が発生します。

  1. 相談料
  2. 着手金
  3. 月額報酬
  4. 中間報酬
  5. デューデリジェンス費用
  6. 成功報酬

ここでは、会社売却時に発生する手数料の内容とおおよその相場を説明します。

1.相談料

会社売却時の相談料とは、正式に会社売却の仲介業務を依頼する前の段階で行う相談に対する手数料です。漠然と会社売却を検討していたり、会社売却をするとどうなるか尋ねたりするレベルの相談も受けつけています。ほとんどのM&A仲介会社では、相談料は無料です。ただし、中には1万円程度の手数料が発生する場合もあります。

  • 相談料の相場:無料~1万円

また、初回のみ相談料は無料ですが、2回目以降は手数料が有料となるケースもあるので注意が必要です。M&A仲介会社のホームページを見れば、ほとんどの場合、相談料が無料かどうか記載されています。事前に確認をしてから相談に赴きましょう。

2.着手金

着手金とは、M&A仲介会社などへ正式に会社売却の仲介業務を依頼し、業務委託契約を締結した際に発生する手数料です。近年では、着手金も無料とする仲介会社が増えてきました。また、着手金が発生する場合の金額は、高くて200万円程度が相場になります。

  • 着手金の相場:無料~200万円

着手金が発生するケースで注意したいのは、仮に会社売却が成立せず会社売却を断念することになっても、返金されないことです。手数料として着手金が発生するかどうか事前によく確認してから、業務委託契約を結ぶようにした方がいいでしょう。

3.月額報酬

月額報酬とは、M&A仲介会社などとの業務委託契約締結後、顧問料やコンサルタント料のような意味合いで毎月、定額を支払う手数料のことです。この手数料は、リテイナーフィーやリテイナー報酬とも呼ばれます。

月額報酬が発生するケースは、あまり多くはありません。どちらかというと、FA(フィナンシャルアドバイザー)や経営コンサルタントに会社売却を依頼すると、発生する傾向があります。月額報酬が発生する場合、30万円~200万円程度と金額に幅があります。

  • 月額報酬の相場:無料~200万円(毎月)

月額報酬は、会社売却が成立するまで毎月、発生するものです。上記の手数料相場額は総額ではありません。月額の相場です。会社売却に要する期間次第では、相当な額になります。また、着手金と同様に、会社売却が成立しなくても返金されません。月額報酬発生の有無も、正式契約前によく確認を取りましょう。

4.中間報酬

中間報酬とは、会社売却について売り手・買い手間で基本合意書を締結した際に発生する手数料です。中間金と呼ぶM&A仲介会社もあります。完全成功報酬制のM&A仲介会社では、中間報酬は発生しません。中間報酬が発生する場合、高くて500万円程度、または後述する成功報酬額の最大20%程度の金額です。

  • 中間報酬の相場:無料~500万円、または成功報酬額の最大20%

M&A仲介会社によっては、中間報酬を成功報酬の一部の前払い扱いとするケースもあります。その場合、成功報酬の支払金額は、中間報酬分が差し引かれた額です。中間報酬の場合も、会社売却が成立しなくても返金されません。

基本合意書は、その時点での合意内容の確認書という位置付けの書類です。会社売却の成立を約束するものではなく、会社売却に対し法的拘束力もありません。基本合意書の締結後に会社売却が破談になるケースもあり、その場合、中間報酬は戻ってきません。

5.デューデリジェンス費用

デューデリジェンスとは、売却対象の会社に対して、財務・税務・法務・労務・IT・事業などの分野ごとに、士業などの専門家を起用して実施する精微な調査のことです。デューデリジェンスで起用する専門家などへの手数料が、デューデリジェンス費用に該当します。デューデリジェンス費用は、売却される会社の規模により金額が変わるため、数十万円~数百万円と開きがあります。

  • デューデリジェンス費用の相場:数十万円~数百万円

デューデリジェンスは、業務委託契約の仲介業務とは別枠とされるため、成功報酬などとは別途、発生する費用です。デューデリジェンス費用は、基本的に買い手が負担します。デューデリジェンスが行われるタイミングは、基本合意書の締結後、最終交渉が行われる前です。最終交渉で会社売却が破談したとしても、デューデリジェンス費用は返金されない手数料となります。

6.成功報酬

成功報酬とは、会社売却が成立し売り手・買い手間で最終契約書を締結した後に発生する手数料です。ほとんどのM&A仲介会社では、成功報酬額は、後述するレーマン方式で算定します。算定の基となるのは会社売却の対価などであるため、規模の大きい会社売却ほど成功報酬は高くなるでしょう。

また、成功報酬の最低額として最低報酬を定めているM&A仲介会社もあります。これは、レーマン方式の算定結果が最低報酬額よりも低い場合は、最低報酬額が手数料として請求されるものです。中小規模の会社売却を手掛けることが多い仲介会社の最低報酬額は500万円程度ですが、2,500万円に設定している会社もあります。

  • 成功報酬の相場:レーマン方式で算定(詳細は後述)
  • 最低報酬額の相場:500万円~2,500万円

最低報酬額をホームページなどで明示していない会社もあります。こちらも正式契約前に確認するとよいでしょう。

関連記事:会社売却の相場や税金はどれくらい?準備からクロージングまでの流れも解

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会社売却の成功報酬で使われるレーマン方式とは?

会社売却の際の手数料である成功報酬の算定には、ほとんどの場合、レーマン方式が採用されています。レーマン方式とは、基準額の金額帯ごとに異なる手数料率を掛け合わせ、それを合計して算定するものです。ここでは、レーマン方式の内容と計算例を説明します。

レーマン方式の計算方法

M&A仲介会社の成功報酬の算定で用いられる、一般的なレーマン方式の手数料率は以下のとおりです。

  • 基準額の5億円までの部分:5%
  • 基準額の5億円超~10億円の部分:4%
  • 基準額の10億円超~50億円の部分:3%
  • 基準額の50億円超~100億円の部分:2%
  • 基準額の100億円超の部分:1%

基準額に採用されるのは、以下の3種類のいずれかです。

  • 会社売却対価(≒株式価値)
  • 企業価値(株式価値+有利子負債)
  • 移動総資産(株式価値+負債総額)

中小企業の会社売却で多く用いられるM&Aスキーム(手法)は株式譲渡です。買い手は対象会社の経営者が持つ自社株式を買い取ることで会社売却が成立します。いわば、会社売却の対価と株式価値は、ほぼ同義語です。

企業価値は、その株式価値に有利子負債の金額を加えたものです。有利子負債とは、金融機関からの借入金や社債、コマーシャルペーパー(無担保の約束手形)などが該当します。有利子負債を加える分、企業価値の方が会社売却対価より高額になるのは明白です。

移動総資産は、株式価値に負債総額を加えたものになります。負債総額とは、有利子負債にさらに無利子負債を加えたものです。無利子負債とは、退職給付引当金、前受金、買掛金、未払金、仮受金、支払手形などが該当します。つまり、企業価値よりも移動総資産の方がさらに高額です。

一例として挙げれば、株式価値1億円の会社の有利子負債が5,000万円、無利子負債が5,000万円だったとします。この場合、企業価値は1億5,000万円、移動総資産は2億円です。手数料率が5%だったとして手数料を計算すると、会社売却対価が基準額の場合の手数料は500万円ですが、企業価値が基準額の場合の手数料は750万円、移動総資産が基準額の場合の手数料は1,000万円になります。

このように基準額の設定の違いで、同じ手数料率でも実際の手数料額は大きく異なるため、成功報酬の計算における基準額が何に設定されているかは、正式契約前に明確にしておきましょう。

レーマン方式の計算例

基準額が110億円だった場合のレーマン方式の計算例を示します。

  • 5億円までの部分:5億円の5%なので2,500万円
  • 5億円超~10億円の部分:5億円×4%=2,000万円
  • 10億円超~50億円の部分:40億円×3%=1億2,000万円
  • 50億円超~100億円の部分:50億円×2%=1億円
  • 100億円超の部分:10億円×1%=1,000万円

各金額帯の計算結果を合計して、基準額が110億円の場合の手数料は2億7,500万円となります。

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会社売却に仲介会社を活用するメリット

会社売却の際にM&A仲介会社などを起用することで得られるメリットとして、以下のような点が挙げられます。

  1. 適切なM&A相手を見つけやすくなる
  2. トラブルのリスクを軽減できる
  3. 適切な取引金額でM&Aを進められる
  4. 自社側の作業が減る

具体的なメリットの内容を説明します。

1.適切なM&A相手を見つけやすくなる

会社売却でM&A仲介会社を起用することで、優良な買い手を得られやすくなります。会社売却を成功させるには買い手選びが重要です。経営者が会社の経営を行いながら、独力で会社売却の買い手探しをするのは現実的ではありません。また、買い手候補を探すネットワークなども持ち合わせていないことが多いでしょう。

M&A仲介会社は、会社売却などM&Aの専門業者です。会社売却の買い手探しのネットワークも持っており、その中からこちらの状況や希望に適する相手を探し出してくれるでしょう。

2.トラブルのリスクを軽減できる

会社売却でM&A仲介会社に仲介業務を委託しておくと、トラブルを未然に防いだり問題が生じても円満に解決したりすることができます。会社売却の際、売り手と買い手は利害が対立する立場です。当事者が直接、条件交渉しても話がまとまらないかもしれません。

M&A仲介会社に業務委託している場合、会社売却の交渉は仲介会社が代行するため、交渉はスムーズに進むでしょう。また、会社売却では専門的な知識や経験が欠かせません。特に契約書の文言などは注意が必要です。問題なく会社売却の各プロセスを進めていくうえでも、M&A仲介会社は心強い存在といえます。

3.適切な取引金額でM&Aを進められる

会社売却の際、M&A仲介会社の知識や経験により、適切な条件や取引金額を提示し交渉してくれます。仮に、会社売却交渉において買い手が不当に条件や取引金額を下げてきたとしても、専門的な知識と経験を持つM&A仲介会社であれば、妥当な条件や取引金額の提示とその理由の説明ができます。

M&A仲介会社がいることで、適切な条件や取引金額で交渉がまとまる可能性が高まるでしょう。

4.自社側の作業が減る

会社売却をM&A仲介会社に業務委託することで、経営者の負担を軽減できます。会社売却には半年から1年程度かかるとされており、長丁場となることが多いです。その間、仮に経営者や役員、経理や総務など自社だけで対応した場合、会社売却のために多くの時間を割かざるを得ないでしょう。

特に経営者の場合、本業への悪影響が懸念されます。その点、M&A仲介会社に業務委託しておけば、会社売却に関する手続き・交渉・資料作成など必要なことのほとんどをサポートしてくれるため、経営者や自社側の負担は大きく軽減されるでしょう。

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M&A仲介会社を選定する際の確認事項

ここでは、M&A仲介会社を選定する際に比較するべき確認事項を紹介します。具体的には以下4点です。

  1. 契約の種類
  2. 実績
  3. 得意な業界
  4. 料金形態

それぞれの内容を説明します。

1.契約の種類

会社売却の際にM&A仲介会社と締結する業務委託契約には、以下の2タイプがあります。

  • 仲介契約
  • アドバイザリー契約

仲介契約は、M&A仲介会社が売り手・買い手双方と契約します。両者の間を取り持つように業務を進めるため、比較的、短期間に会社売却が決まりやすい反面、条件に妥協を求められやすいことが特徴です。

アドバイザリー契約では、M&A仲介会社は売り手と買い手のどちらかとしか契約しません。クライアントが最大限の利益を得るように業務を行います。そのため、会社売却が成立すれば希望条件どおりかそれに近い成約内容を得られる可能性が高いです。しかし、交渉に時間を要してしまうことが多く、条件を妥協しないため破談してしまう可能性もあります。

一概にどちらが良いとは断言できないので、自社の状況を考え判断しましょう。

2.実績

会社売却で業務委託するM&A仲介会社については、M&Aの仲介実績をよく確認する必要があります。会社としての実績だけでなく、在籍しているアドバイザーの個々の実績もできるだけ確認しましょう。ポイントは、自社と同規模の会社のM&A実績があるか、あるいは自社と同地域や隣接する地域の会社のM&A実績があるかという点です。

3.得意な業界

前項に引き続き、M&A仲介会社の実績の確認の一環になりますが、その会社がどのような業種のM&A実績があるかも重要です。M&A仲介会社には、幅広い業種に対応しているところと、特定の業種に特化して仲介業務を行っているところがあります。もちろん、自社の業種を得意としている、または同じ業種のM&A実績がある会社を選びましょう。

4.料金形態

会社売却のためのM&A仲介会社を選ぶ際には、その会社の料金形態にもこだわりましょう。まず、完全成功報酬制かそうでないかの2択があります。各種手数料が返金されないリスクや成約するまで費用発生がないことを考えれば、完全成功報酬制がおすすめです。

もう1つのポイントは、成功報酬の算定における基準額が何に設定されているか確認しましょう。会社売却対価、企業価値、移動総資産のうち、やはり会社売却対価が基準額となっている会社は、手数料が割安です。

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まとめ

会社売却の仲介業務をM&A仲介会社に依頼する場合、複数の種類の手数料が発生する場合があります。細かく何度も手数料を支払うことにためらいがある場合は、シンプルな料金形態である完全成功報酬制のM&A仲介会社を選ぶと良いでしょう。

ただし、現在、完全成功報酬制のM&A仲介会社は増えており、選択肢が多く難しいと感じる方もいるかもしれません。その際には、成功報酬算定の基準額が会社売却対価になっているところが良いでしょう。また、M&A仲介会社選びでは、手数料だけに着目するのでなく、契約形態や実績をよく調べることも肝要です。

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料金体系は、M&Aのご成約時にのみ料金が発生する完全成功報酬型のため、M&Aのご成約まで費用は発生しません(買い手企業様のみ中間金が発生します)。

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