滋賀県のM&A動向|事業継承や案件の探し方、売却・買収事例を解説

2023年7月24日

滋賀県のM&A動向|事業継承や案件の探し方、売却・買収事例を解説

このページのまとめ

  • 滋賀県では1事業所あたりの従業員数の多さが特徴的
  • 滋賀県では化粧品を中心とした化粧品などの製造業が盛ん
  • 滋賀県では経営者の高齢化が進んでおり、事業承継を課題とする中小企業が多い
  • 滋賀県のM&A案件は公的機関や仲介会社で探すことができる

滋賀県では、経営者の高齢化に伴い、事業承継を目的としたM&Aが活発に行われています。また、大手企業による中小企業の買収や、事業の成長を目的としてM&Aを行う事例も見受けられます。滋賀県におけるM&Aの案件を探す際には、公的機関や金融機関、民間のM&A仲介会社などを利用する方法が効果的です。滋賀県における産業の現状を解説した上で、M&Aの動向や案件の探し方、事例などを紹介します。

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滋賀県の産業に関する現状

はじめに、滋賀県の産業に関する現状を解説します。

滋賀県の人口動態

滋賀県「滋賀県の人口と世帯数(令和5年4月1日現在)」によると、令和5年5月1日現在、滋賀県の総人口は140万6,648人です。前年同月と比較して4,030人の減少となっています。

※参照元:滋賀県「滋賀県の人口と世帯数(令和5年4月1日現在)

滋賀県の主な産業

滋賀県の主な産業は製造業です。内閣府「令和元年度県民経済計算」によると、県内総生産に占める製造業の割合は43.6%であり、全国1位となっています。滋賀県ホームページの「滋賀県なんでも一番」によると、特に以下の製品に関する生産・出荷額で全国1位となっています。

  • 化粧品:1,957億9,700万円(生産)
  • プレスフェルト生地(ニードルを含む)、不織布(乾式):347億7,800万円(出荷)
  • その他のガラス製加工素材:716億5,800万円(出荷)
  • 磁性材部品(粉末や金によるもの):859億4,600万円(出荷)

また、農林水産省「令和4年畜産統計」によると、肉用牛の飼養農家1戸あたり頭数が237.1頭で全国2位となっており、畜産業も盛んであると言えます。

※参照元
滋賀県「滋賀県なんでも一番
農林水産省「令和4年畜産統計

滋賀県の事業所数・従業者数

滋賀県「令和3年経済センサス-活動調査(速報)」によると、滋賀県の事業所数(民営)は5万3115事業所(全国32位)、従業者数(民営)は61万5487人(全国25位)です。

特徴として、1事業所あたり従業者数の多さが挙げられます。1事業所あたり従業者数は11.6人で全国6位です。また、製造業における1事業所あたり従業者数は32.6人であり、こちらは全国1位となっています。

※参照元:滋賀県「令和3年経済センサス-活動調査(速報)

滋賀県の経済動向

財務省の「法人企業景気予測調査(令和5年4-6月期調査)滋賀県分」によると、令和4年(2022年)度における滋賀県企業の売上高は、全産業で7.6%の増収見込みです。内訳は、製造業で12.4%の増収見込み、非製造業で1.3%の増収見込みとなっており、製造業が好調であると言えます。

また、経常利益に関しては、全産業で0.5%の減益見込み、製造業で11.6%の増益見込みとなっています。ただし、大企業、中堅企業は増益見込みである一方で、中小企業では減益見込みとなっており、中小企業と大企業で明暗が分かれる形となっています。

なお、令和5年(2023年)度の設備投資は全産業で31.5%の増加見込みであるため、今後はアフターコロナの流れのなか、経済は回復基調になると考えられます。

※参照元:財務省 近畿財務局 大津財務事務所「法人企業景気予測調査(令和5年4-6月期調査)滋賀県分

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滋賀県のM&A・事業承継に関する動向

滋賀県では、事業承継を目的としたM&Aが特に活発です。

経営者の高齢化が進んでいる

東京商工リサーチ「社長の平均年齢 過去最高の63.02歳~2022年「全国社長の年齢」調査~」によると、滋賀県における社長の平均年齢は62.19歳であり、全国平均の63.02歳を下回っています。全国平均よりは低いものの、全国の傾向と同様に経営者の高齢化が進んでいると言えるでしょう。

※参照元:東京商工リサーチ「社長の平均年齢 過去最高の63.02歳~2022年「全国社長の年齢」調査~

事業承継を経営課題とする中小企業が多い

経営者の高齢化が進んでいることに伴い、滋賀県内における中小企業の多くが事業承継を課題としています。

帝国データバンクの調査「近畿企業の「後継者不在率」調査(2022年) 不在率は調査開始以来最も低い53.6%に」では、滋賀県内における企業の後継者不在率は57.7%であり、経営者の高齢化が進んでいるにもかかわらず、過半数の企業では依然として後継者が見つかっていない状況を意味します。

実際、帝国データバンクが行った別の調査「事業承継に関する滋賀県企業の意識調査 事業承継、企業の77.2%が「経営上の問題」と認識」では、調査対象となった滋賀県企業の58.7%が事業承継を経営上の問題として認識していることが判明しています。また、最優先の経営課題と認識している割合は18.5%と、全国平均と比べて4.9ポイントも高い結果となっています。

以上を鑑みると、全国的にも滋賀県では事業承継を課題と考えている企業の割合が高いと言えます。

※参照元
帝国データバンク「近畿企業の「後継者不在率」調査(2022年) 不在率は調査開始以来最も低い53.6%に
帝国データバンク「事業承継に関する滋賀県企業の意識調査 事業承継、企業の77.2%が「経営上の問題」と認識

事業承継を目的とした中小企業によるM&Aが活発

上記のとおり、滋賀県では、多くの企業が後継者不在を理由に事業承継を経営課題としています。こうした背景から、外部の企業・経営者への事業承継を行う目的で、M&Aを活用する中小企業の動きが活発になっています。

関連記事:地方でのM&A動向と特有の難しさ、後継者問題や事例を解説

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滋賀県のM&A・事業承継案件の例

この章では、日本政策金融公庫の「事業承継マッチング支援」で公開されていたM&A・事業承継案件の一部を紹介します。

※参照元:日本政策金融公庫「事業承継マッチング支援

ラーメン店

1つ目は、ラーメン店部門のM&Aです。従業員数は0人(経営者除く)、売上高は1,000万円未満と小規模な案件となっています。

譲渡の対象は、カウンター9席で8種類のラーメンを提供する店舗です。テイクアウトに対応している点や、商業エリアの中心に位置している点が特徴です。

希望の譲渡金額は550万円であり、これ以外の条件(交渉相手に対する希望など)は記載されていません。

鮮魚販売・飲食業

2つ目は、鮮魚販売・飲食業のM&Aです。従業員数は3〜4人、売上高は1,000万円未満、経常利益は赤字となっています。

事業内容は、現地より仕入れた活魚の販売や食堂での提供であり、食堂は約40席と比較的広めです。事業別に見た売上の割合は、鮮魚販売が60%、通販と食堂がそれぞれ20%でした。

希望の譲渡金額は200万円であり、これ以外の条件は記載されていません。

葬儀場

3つ目は地域密着型の葬儀場に関するM&Aです。従業員数は1〜2人、売上高は1,000万〜2,000万円です。譲渡対象には、法人名義の建物だけでなく、代表者の個人名義である底地も含まれています。

経常利益は赤字、純資産は債務超過と業績に課題はあるものの、地域で唯一の葬儀場として、小規模〜大型葬まで幅広く対応できる点が強みです。

譲渡金額は応相談であり、M&Aの希望条件として交渉相手を法人のみとしています。

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滋賀県のM&A・売却案件を探す方法

滋賀県でM&A・会社売却の案件を探す方法は、主に「公的機関」、「金融機関」、「仲介会社・マッチングサイト」の3つに大別されます。この章では、各方法の概要や利用するメリットを解説します。

1.公的機関

1つ目は、公的機関で案件を紹介してもらう方法です。滋賀県内の経済や産業に詳しいため、地域に根付いたサポートやアドバイスを得られる点がメリットです。また、無料で信頼性の高い公的機関に相談できる点もメリットと言えます。

主な公的機関は以下のとおりです。

  • 滋賀県事業承継・引継ぎ支援センター:事業承継に関するアドバイスやM&Aのマッチング支援を行う
  • 商工会議所・商工会:事業承継に関する個別相談会の開催などを行う

※参照元:
滋賀県事業承継・引継ぎ支援センター
近江八幡商工会議所「事業承継相談会

2.銀行などの金融機関

2つ目は、金融機関で案件を探す方法です。銀行は地元の企業との幅広いネットワークを持っているため、自社にとって最適な案件を紹介してもらえる可能性が高いでしょう。また、買収などに必要な資金調達の相談をできる点もメリットとして挙げられます。

M&A・事業承継支援に積極的な銀行として「滋賀銀行」が挙げられます。滋賀銀行では、M&A戦略の策定からM&Aのマッチング、契約書作成の支援など幅広いサービスを提供しています。滋賀銀行は、その積極的な支援が評価され、株式会社日本M&Aセンターの主催する「第10回M&Aバンクオブザイヤー」における最高賞と地域貢献大賞を受賞しています。

※参照元:
滋賀銀行「M&Aアドバイザリー業務
滋賀銀行「最高賞「バンクオブザイヤー」を2年連続受賞

3.M&A仲介会社・マッチングサイト

3つ目は、民間のM&A仲介会社やマッチングサイトを利用する方法です。

仲介会社の場合はM&Aの専門家であるアドバイザーから価格算定やデューデリジェンスに関して手厚いサポートを得られる点、マッチングサイトの場合は手軽にご自身の目で案件を探せる点がメリットです。

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滋賀県のM&A・事業承継・会社売却に関する事例

最後に、滋賀県の企業がM&Aを実施した事例を4件紹介します。

日本電産による三菱重工工作機械の買収

買い手の日本電産(現ニデック)は小型モータなどの製造・販売、売り手の三菱重工工作機械は滋賀県栗東市に本社を置き工作機械などの製造・販売事業を展開しています。

日本電産は、工作機械事業のさらなる拡大を図る目的で三菱重工工作機械を買収しました。2021年8月に実施されたM&Aでは、三菱重工工作機械の株式を取得、社名を変更し同社を子会社化しました。買収金額は約300億円と見られています。

※参照元:
ニデック「三菱重工工作機械株式会社の株式取得に関する譲渡契約締結のお知らせ
ニデック「三菱重工工作機械株式会社の株式取得等の完了と新子会社概要
日本経済新聞「日本電産、EV技術取得 三菱重工から300億円で買収

ビジョナリーホールディングスによる大塚メガネの買収

買い手のビジョナリーホールディングスは眼鏡やコンタクトレンズ等の販売、売り手の大塚メガネ(滋賀県草津市)も同様の事業を展開しています。

2019年10月には、ビジョナリーホールディングスは事業の成長、大塚メガネは買い手企業とのシナジー効果による収益力の増強を図る目的でM&Aを行いました。ビジョナリーホールディングスが大塚メガネの全株式を取得。買収金額は非公表です。

※参照元:ビジョナリーホールディングス「連結子会社の異動(株式取得)に関するお知らせ

ワキタによる大喜産業の買収

買い手のワキタは土木・建設機械の販売・賃貸等、売り手の大喜産業(滋賀県守山市)は土木・建築機械の賃貸事業等を展開しています。

ワキタは滋賀県南部における建機事業の既存拠点とのシナジー効果を期待し、大喜産業を買収しました。2023年2月に行われたM&Aでは、ワキタが大喜産業の全株式を取得し、連結子会社化。買収金額は非公表です。

※参照元:ワキタ「株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

コンドーテックによる中央技研の買収

買い手のコンドーテックは建築金物や土木資材などを扱う商社です。一方で売り手の中央技研(滋賀県犬上郡)は各種機械装置等の設計および製造事業を展開しています。

コンドーテックは両社の技術融合によって製品の高効率生産を実現する目的で、中央技研を買収しました。2014年8月に行われたM&Aでは、コンドーテックが中央技研の全株式を取得。買収金額は1,000万円です。

※参照元:コンドーテック「中央技研株式会社の株式取得(子会社化)に関する株式譲渡契約締結及び同社役員人事のお知らせ

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滋賀県のM&Aに関するまとめ

本稿では、滋賀県におけるM&Aの動向や案件の探し方、事例などを解説しました。

後継者不在に伴う事業承継を課題とする滋賀県において、第三者への承継を実現するM&Aは有用であると考えられます。公的機関や銀行などで案件を探すことができ、依頼する対象機関によってメリットは異なります。

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