後継者がいない中小企業経営者が廃業しなくても済むための方法を解説

2023年7月18日

後継者がいない中小企業経営者が廃業しなくても済むための方法を解説

このページのまとめ

  • 中小企業において後継者不足による廃業が増えている
  • 後継者不足による廃業を防ぐには、後継者を育成するか、M&Aを実施する方法がある
  • 事業を承継する際は、引継ぎ補助金や事業承継税制などを活用して負担を軽減できる
  • 中小企業基盤整備機構ファンドでは、事業再生や後継者の紹介などの支援が受けられる

後継者が見つからず、廃業を考えている経営者の方も多いのではないでしょうか。実際に後継者不足による廃業は近年増加傾向にあるため、廃業を防ぐための補助金や事業承継の支援策が、政府からも提供されています。
この記事では、中小企業における後継者不足の現状をデータから明らかにしたうえで、後継者不足による廃業を防ぐ具体的な方法について説明していきます。

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中小企業における後継者不足の現状

中小企業が廃業に至る最も深刻な要因は、後継者がいないことであると言われています。後継者がいないために、たとえ業績が良い会社でも廃業に至るケースが少なくありません。廃業してしまえば、それまで培われてきた技術やノウハウがなくなってしまうことはもちろん、従業員の雇用も失われてしまいます。
以下では、中小企業における後継者不足の現状について詳しく解説していきます。

中小企業が直面する後継者問題とは

中小企業が直面する後継者問題とは、戦後起業した経営者が高齢化して経営者を引退しなければならないにもかかわらず、後継者が見つからないため、廃業に至っているという問題です。下図は、経営者の年齢が、近年高齢化していることを表すものです。

図表:中小企業の経営者年齢の分布(年代別) 

引用元:中小企業庁「事業承継に関する現状と課題について(p.3)」

日本では、第二次世界大戦後に起業した世代が一斉に退職のときを迎えています。事業を引き継ぐことなく、経営者が引退を迎えてしまえば、その会社は廃業するしかありません。廃業を防ぎ、新たな世代の経営者としての成長を促すためには、事業の引き継ぎがますます必要となってきています。事業を引き継ぐことができる後継者が不在という状況は深刻で、これが中小企業の廃業が増えている大きな原因の一つとなっています。このままでは、日本の経済や社会を支えてきた重要な雇用や技術が消えてしまう可能性があることから、中小企業における後継者問題は、社会問題として国が解決を促す施策を数多く行っています。

特に、世代交代による事業承継やM&Aによる企業の規模拡大は、企業の発展において有効な手段です。中小企業の活力を保つうえでは、事業承継は欠かせません。中小企業が直面している後継者不足問題について、昨今では、さまざまな解決法が提案されています。

参照元:
中小企業庁「事業承継に関する現状と課題について
中小企業庁「財務サポート『事業承継』

中小企業の廃業件数

次の図表は、東京商工リサーチが、2021年に実施した休廃業・解散企業動向調査の結果です。

図表:休廃業・解散件数と経営者平均年齢の推移

引用元:中小企業庁「2022年版『小規模企業白書』 第7節 経営資源の有効活用

この調査によれば、2021年には、休業・廃業および解散の件数が4万4,377件に達し、2018年と2020年に続いて高い廃業件数が維持されていることが確認できます。2021年は、過去最多を記録した2020年の4万9,698件から10.7%減少した形です。

2020年は先行き不透明なコロナ禍の急速な広がりが中小企業経営者の休廃業の決断を促す契機となりました。しかし、その後、持続化給付金や休業協力金、実質無利子・無担保融資(ゼロ・ゼロ融資)など、矢継ぎ早に各種支援策が実施されたことで、経営者による廃業の判断が遠のき、2021年の休廃業の大幅減少につながったと考えられます。東京商工リサーチによる2022年度の調査では、2022年の休廃業は4万9,625件に達し、これは2021と比較すると11.8%増加しています。

また、この図表からわかるように、廃業件数は上下するものの、経営者の平均年齢は増加し続けています。このことから、休廃業・解散件数と経営者の平均年齢の高さという状況への対策は、引き続き喫緊の課題となっていることがわかります。中小企業の休廃業は続いており、その要因の一つが経営者の高齢化に起因する可能性が高いことが示されています。

参照元:
中小企業庁「2022年版『小規模企業白書』 第7節 経営資源の有効活用
東京商工リサーチ「2022年「休廃業・解散企業」動向調査

コロナ禍による影響

2023年における最新のデータである2022年版中小企業白書・小規模企業白書によれば、自社の事業環境に対する感染症の影響への認識として、“もはや感染症の影響下ではなく、事業環境は平時を取り戻した”、“もはや感染症の影響下ではなく、感染症の影響以外の環境変化への対応が急務だ”としている回答が、それぞれ27.9%、37.1%となっており、合わせて65.0%もの企業が自社の事業環境について感染症の影響下にないと回答しています。

引用元:中小企業庁「2022年版中小企業白書・小規模企業白書 (p.47)」

こうした調査結果から、中小企業経営者の認識としては、事業環境は感染症が流行する前の状態となっていることが確認できます。

事業環境が回復している一方で、2022年において黒字の状態で廃業する企業の割合が54.9%となっています。これは、調査が開始された2000年以来、初めて黒字率が60%を下回った2021年(56.5%)よりも1.6ポイント低く、これまでで最低の記録を更新しています。つまり、休廃業・解散をした企業のうち、黒字であった企業が少なくなっていることが示された形です。

引用元:東京商工リサーチ「2022年「休廃業・解散企業」動向調査」

中小企業の黒字廃業率については、もともと2000年に70.0%、2001年には73.0%という高い水準でスタートしました。しかし、その後はゆっくりと下降し、2010年からは60%前半のレンジで推移していたことが確認できます。さらに、2017年から4年間は61%台を保っていたものの、2021年には急速に60%を下回り、2022年にはさらに下降しました。

赤字廃業率の上昇は、中小企業の収益性の低下を表していると考えることができます。新型コロナウイルスの影響による経営環境の急激な変化、原材料の高騰、人件費の上昇など、さまざまな要素が利益に大きな影響を及ぼし廃業に至った可能性があります。

こうした動向は、コロナ禍において政府主導で行われた、最大規模の資金繰り支援策の負の側面を映し出している可能性があるため、注意が必要です。たしかに、支援によってコロナ禍で苦しい状況におかれた中小企業の資金繰りは大幅に改善したと考えられますが、企業の外部環境が大きく変化するなかで、資金給付や貸付を行った結果、中小企業の事業再構築や早期の抜本的な再生、事業承継などのインセンティブを低下させた面があることは否定できません。つまり、今回の機動的な支援によって、廃業しても仕方がないような企業が経営を継続している可能性があるということです。

政府は、企業がコロナ禍やその後の状況を乗り切るためのビジネスモデルの変革を援助するための方針を打ち出していますが、休廃業の危険に瀕している企業の中には、経営者の年齢が高いという事情から、再編のインセンティブを持つことが困難な場合もあると予想されます。特に、中小企業の休廃業は、地方ほど地域経済への影響が強くなります。経営者年齢が上昇するなかで、ステークホルダーと一体となりながら、事業再構築や事業承継などそれぞれの企業に適した未来を選択できるような継続的な支援が求められています。

参照元:
東京商工リサーチ「2022年の「休廃業・解散」4.9万件、2年ぶり増加 コロナ支援縮小のなか、黒字率が過去最低の54% ~ 2022年「休廃業・解散企業」動向調査 ~
中小企業庁「2022年版中小企業白書・小規模企業白書

日本における経営者の高齢化による悩み

経営者の高齢化が進むと、その結果として次のような問題や課題が生じる可能性があります。

後継者不足

多くの中小企業では、一族経営や親族経営が一般的です。しかし、現代社会では一人っ子の家庭が増えたことや価値観の多様化から、子どもの中から適切な後継者を見つけることが困難になっています。その結果、経営者が高齢化しても適切な後継者が見つからず、事業が停滞したり、廃業を余儀なくされるケースが増えています。

経営戦略の停滞

経営者が高齢化すると、経営戦略の更新や変革が難しくなる可能性があります。経験と知識は一定の価値を持つ一方で、新しい市場の動向やテクノロジーに対応するためには、新鮮な視点と柔軟な思考が必要です。このような視点や思考が欠けると、競争力を維持することが困難になる可能性があります。

ビジネスリスクの発生

経営者が急に引退するか、あるいは健康状態が急激に悪化した場合、結果としてビジネスが大きなリスクにさらされます。途中で事業承継が滞ったり、不適切な承継が行われたりすると、企業の業績や信用度が低下する可能性があります。

これらの課題を解決するためには、早期の後継者育成と事業承継計画の策定、経営者の役割と責任を明確に分けるなどの措置が必要となります。また、外部の専門家やM&A仲介機関などからアドバイスを受けることも、適切な事業承継のためには重要な手段です。

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後継者不足による廃業のパターン

後継者不足による廃業の代表的なパターンとしては、大きく以下の2つが挙げられます。これら廃業パターンを理解していれば、後継者不足で廃業となることを防ぐための手段を講じられるようになります。

会社の将来性が乏しく引き受ける者がいない

後継者不足で廃業に至る代表的なパターンとして、会社の将来性が乏しいために後継者になる人が見つからないことが挙げられます。このパターンは、日本全体の経済状況の変化や業界の構造変化によって、会社の収益性や成長可能性が限定的になる場合に起こりやすいです。

後継者や他の企業から見れば、このような企業を引き継ぐことにはリスクが伴い、長期的な投資が見込めないと判断される可能性があります。特に、将来的な成長機会が乏しく、競争環境が厳しい業界では、新しい経営者を見つけることは困難であるといえるでしょう。

このパターンでの廃業を防ぐためには、M&Aなどを活用して業界外から経営者を募る方法が効果的であると考えられます。

後継者を育てる時間がない

経営者が急に引退することを余儀なくされるような状況(例えば、健康問題や家族の事情など)では、後継者を適切に育てるための時間が不足してしまうことがあります。後継者が企業の運営や業界の特性を理解し、信頼関係を築くためには、十分な時間と経験が必要です。そのため、これらの要素が欠けていると、スムーズな事業承継は難しくなります。

また、経営者が引退するまでの時間が不足していたり、事業承継のプロセスが長引いてしまったりすると、経営者が引退する前に事業承継を完了できない可能性があります。また、承継プロセス自体が複雑で時間がかかるため、事業承継を始めるのが遅かった場合も同様の問題が発生します。これらの要因が組み合わさると、企業の廃業につながる可能性があります。

このパターンでの廃業を防ぐうえで重要なポイントは、長いスパンで将来を見据え、後継者を育てて事業承継のための十分な時間を確保することです。

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後継者不足による廃業を防ぐ具体的な方法

後継者不足を解消して廃業を防ぐためには、後継者候補が社内にいる場合は育成することが必要です。社内にいないのであれば、社外から見つけてくる必要があります。
後継者不足による廃業を防ぐためには、以下のような具体的な方法を試してみてください。

後継者を指名して育成する

事業承継において、後継者を早期に指名し育成することは非常に重要です。これには主に以下の要素と理由があります。

要素理由
スキルと経験の伝達・事業を成功させるためには、経営者として必要なスキルと経験が必要
・後継者が早期に指名されて育成されることで、現経営者から必要な知識や経験を直接学ぶ時間が確保される
信頼関係の構築・企業のリーダーとして、従業員や顧客、取引先との信頼関係が求められる
・後継者が早期に明らかにされることで、これらの人々との間に信頼関係を構築するための時間が得られる
スムーズな移行・突然の経営者の変更は企業にとって大きな混乱を引き起こす可能性がある
・後継者が早期に指名され、その役割に徐々に慣れることで、経営者の移行がスムーズに行われ、業績への悪影響を最小限に抑えることができる
決定の透明性・後継者を早期に指名することは、従業員やその他のステークホルダーに対して透明性を提供する
・不確実性が減少し、信頼と士気の維持に寄与する

以上の理由から、事業承継において後継者を指名し育成することは、企業の持続的な成功にとって重要といえます。

後継者を指名し育成していく方法は、主に社内での育成と社外での育成に分けられます。社内育成では、自社独自の成功戦略を直接学べるメリットがあります。一緒に働く仲間の感情や業務の困難さを実際に感じ取って理解できることもメリットです。

特に親族が後継者となる場合には、既存の社員からの理解が必要です。また、予定されている役職への昇進は、後継者候補に大きなプレッシャーを与える可能性があります。プレッシャーを緩和することなく責任を持つ環境を作ることが重要ですが、適度なサポートとケアも必要です。早期に候補者を立てることで持続的に能力を向上させ、実績を積み重ねるための環境を整えることは、現在の経営者の大切な役割です。

一方で、社外育成という選択肢もあり、これは自社と同じまたは関連する業界の企業での就労や出向という形をとることが多いです。同等規模の企業を選ぶことで、育成過程がより円滑に進む可能性があります。異なる業界や大企業で経験を積むことで、後継者候補が広範な視野や能力を身につけることが考えられます。

どちらを選ぶべきかは難しい選択であり、現在の経営者の見解だけでなく、後継者候補の希望も尊重することが大切です。また、社外で働く場合でも、自社のリーダーシップに必要な教育や経験が必ずしも得られるわけではありません。社外での研鑽がリーダーとしての成長につながらないと判断した場合、社内教育への移行も必要となることを忘れないでください。

後継者や幹部候補の育成、そして適切な人物の選定は、中小企業の発展と事業継続にとって必要不可欠です。このためには時間とコストが必要となりますが、後継者や幹部候補としての役割を担う一人ひとりに対して、経営者自身が丁寧に対応していくことが重要です。

M&Aによる事業承継など第三者承継を考える

M&Aによる第三者承継で事業承継を考えることも重要です。第三者承継とは、企業の経営者が退任する際に、自身の親族や従業員ではなく、外部の第三者に経営を引き継ぐことを指します。
近年、後継者が不足する問題がクローズアップされており、M&Aに対する認知度が高まっています。中小企業のM&Aを仲介する会社や国の支援策が増えて、それにともない中小企業におけるM&Aの取引数も増えています。

第三者承継には以下のようなメリットがあります。

メリット内容
適任者を確保できる社内や親族内で適切な後継者が見つからない場合、経営スキルを持った外部の人材に事業を引き継ぐことで、経営の継続性を保つことができる
新たな視点や技術を導入できる外部から新たな経営者を迎えることで、新しい視点や技術、経営ノウハウが企業に取り入れられ、事業の成長や改革を促進することが可能となる
従業員の雇用維持ができる事業を継続することで、従業員の雇用を維持することができる
経済的な利益が得られる企業を売却することで、現経営者は経済的な利益を得ることができる

以上のような理由から、第三者承継は事業承継の選択肢として重要な位置を占めています。ただし、第三者承継を行う際には、企業文化の継承や経営方針の一致などに関して、慎重に検討することが必要です。また、第三者への事業承継に際しては、事業を継続しつつ、自分たちの望む条件(従業員の雇用保証、評価額等)を満たす企業を自力で探し、交渉を進めることには大きな手間と時間が必要であることを理解しておいてください。労力と時間を節約し、交渉を効率よく進めるためには、M&A専門の仲介会社など専門家の支援を利用することが役立ちます。

M&Aでは、人事制度や組織構造、システムといった具体的な統合作業に加えて、各企業が長年にわたり培ってきた独自の企業文化の統合も時間と労力を必要とします。第三者に経営権が移転することになるM&A後は、新たな経営陣の方針に従わなければなりません。したがって、従業員の雇用条件が悪化することのないよう、事前に条件を設定しておくことが重要です。このような事前準備にも、M&A仲介会社などの専門家の協力が役立ちます。

さらに、従業員や取引先への説明の方法やタイミングによっては、その後の従業員の士気や取引先からの信頼が大きく左右されます。通常、情報公開はM&A完了後に行われますが、そのタイミングや表現、管理職への情報共有等には適切な配慮が求められます。

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M&A実施の際に検討すべき3つのこと

日本においては、中小企業における事業承継が重要な課題として認識されていることから、さまざまな支援制度が整備されてきています。特に、事業承継においてM&Aを活用することを考えている場合には、以下で紹介する3つの方法を利用することで、負担を軽減しながら事業承継を実現できます。

1.補助金と税制の活用

中小企業庁のホームページには、事業承継支援策をまとめたページが用意されています。

ここでは、中小企業庁のホームページで公開されていて、M&A実施に役立つ支援制度に絞って解説していきます。

事業承継・引継ぎ補助金(令和4年度2次補正予算)

事業承継・引継ぎ補助金は、中小企業や小規模事業者が事業の再編や統合、事業承継を通じて経営の革新を進める際の費用の一部を援助するための制度です。これには、事業再編や統合に伴う経営資源の移行にかかる経費の一部も含まれます。その目的は、事業承継や事業の再編・統合を推進し、日本経済の活性化を促進することにあります。

事業承継・引継ぎ補助金を利用するためには、指定された公募期間内に申請書を提出する必要があります。補助金を受けられるか否かは審査があるため、必ず補助金が受けられるわけではない点に注意が必要です。詳しくは、事業承継・引継ぎ補助金事務局による「事業承継・引継ぎ補助金」のページをご確認ください。

参照元:事業承継・引継ぎ補助金事務局「事業承継・引継ぎ補助金

M&A支援機関登録制度 

M&A支援機関登録制度とは、中小企業の経営者に、質の高いM&A支援機関の利用を促すための制度です。M&A支援機関のなかには、専門性が低く満足したサポートを実施できない支援機関も存在していました。これを解決するためにできた制度が、M&A支援機関登録制度です。M&A支援機関登録制度に登録している支援機関は、中小企業庁が定める中小M&Aガイドラインの遵守の徹底を宣言しているため、M&Aにおける質の高いサポートを受けることが可能です。

なお、このM&A支援機関登録制度に登録されている支援機関を利用しない限り、事業承継・引継ぎ補助金は補助対象とならないことに注意してください。

参照元:中小企業庁「M&A支援機関登録制度

法人版事業承継税制(特例措置)

事業承継において、企業の後継者が獲得した資産に対して相続税や贈与税がかかることが、円滑な事業承継の妨げになっていることが指摘されていました。そこで整備されたのが、事業承継税制です。

事業承継税制とは、「中小企業の経営継承の円滑化に関する法律」に基づいて認定された場合に、個人または企業の後継者が獲得した特定の資産に対して、相続税や贈与税の支払いを猶予する仕組みのことです。この税制には、法人の株式などを対象とした「法人版事業承継税制」と、個人事業者の事業資産を対象とした「個人版事業承継税制」の2つがあります。

法人版事業承継税制は、さらに特例措置と一般措置の2つに分かれています。特例措置は、非上場の株式等の承継に伴う贈与税・相続税の負担を実質ゼロにする特例措置です。後述する一般措置の欠陥を是正するために、2018年の税制改正によって導入されました。この特例措置の適用を受けるためには、2024年3月までに特例事業承継計画を提出し、2027年までに事業承継を実施することが必要です。

参照元:中小企業庁「法人版事業承継税制(特例措置)の前提となる認定

法人版事業承継税制(一般措置)

法人版事業承継税制(一般措置)は、非上場の株式等の承継に伴う贈与税・相続税の負担軽減措置です。
特例措置と比べて、納税猶予の対象になる株式数が100%ではなく、かつ相続税の猶予割合も100%ではないなど、贈与税・相続税の負担が大きいことから、あまり適用を受ける法人は多くありません。

参照元:中小企業庁「法人版事業承継税制(一般措置)の前提となる認定

個人版事業承継税制 

事業承継税制の一つである個人版事業承継税制とは、個人事業主の特定事業用資産の承継に伴う贈与税・相続税の負担を実質ゼロとする特例措置のことをいいます。
個人版事業承継税制の適用を受けるためには、2024年3月までに個人事業承継計画を提出し、2028年までに事業承継を実施する必要があります。

参照元:中小企業庁「個人版事業承継税制の前提となる認定

2.中小企業基盤整備機構ファンド事業の活用

中小企業がM&Aを活用して事業承継を行うことを考える場合、ファンドを活用する方法もあります。

中小企業基盤整備機構がファンド事業を行っており、ファンド事業では、中小企業者に対する投資事業を行う民間機関などとともに投資ファンド(投資事業有限責任組合)を組成して、中小企業の資金調達を円滑化したり、経営支援(ハンズオン支援)を通じて、ベンチャー企業や中小企業の新事業展開の促進または中小企業者の再生を支援しています。

また、中小企業基盤整備機構は、中小企業経営者に対する投資事業を行う民間企業(ファンド)に出資を行なって、間接的に中小企業の後継者不足を解消する取り組みも行っています。中小企業の経営者は、ファンドを活用することで、事業承継を通じて多額の資金調達を行うことが可能です。また、現在の業績が悪い場合でも、ファンドから後継者を紹介してもらって、経験やノウハウのある後継者が経営の立て直しを試みることもなされています。

ファンドを活用することには、上記のようなメリットがありますが、ファンドは、会社の株式を取得することになります。株主総会において議決権を行使されるようになるため、現経営者の経営方針と対立した場合に、株式の取得率によっては経営権を奪われる可能性があるので注意してください。

参照元:
独立行政法人 中小企業基盤整備機構「ファンドから投資を受けたい」「ハンズオン支援(専門家派遣)」「事業再構築ハンズオン支援事業

3.専門家への相談

M&Aを活用した事業承継は、後継者不足の際に事業を継続的に運営するための重要なプロセスです。しかし、そのプロセスは複雑であり、法律、税務、財務、人事など多様な観点から考慮すべき事項が存在します。ここで専門家の役割が極めて重要になります。

専門家はその豊富な知識と経験を活かして、事業承継のプロセスをスムーズに進行させます。専門家は最新の法律や税制度を理解しており、その知識を用いて最適な承継戦略を提案します。また、事業承継に必要な文書の準備や手続きの進行もサポートしてくれます。

加えて、専門家は中立的な立場からアドバイスを提供してくれます。経営者や承継者が主観的な視点に囚われてしまうことがある反面、専門家は客観的な視点から最善の解決策を提示してくれるので有用です。これは特に承継計画が複数の利害関係者を巻き込む場合に有効な手段となります。

さらに、専門家は事業承継に伴うリスクを事前に予測し、それを緩和する手段を提供してくれます。たとえば、税負担の最適化、承継による組織内の混乱の最小化、承継後の事業戦略の検討など、専門家の助けを借りることでリスクを適切に管理できるようになります。

以上のように、事業承継は一見単純に見えて非常に複雑なプロセスであり、専門家の助けなしで最後まで進めるのは難しいといえます。したがって、M&Aを通じて事業承継を考えている企業は、早い段階から専門家に相談し、その助言を取り入れて計画を進めることが重要です。

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まとめ

中小企業の経営者は高齢化が進んでおり、後継者不足による廃業件数が増加しています。後継者を育てようとしても時間が足りなかったり、会社の将来性が低いと見なされて引き継いでもらえないパターンも散見されています。後継者不足による廃業を防ぐためには、早期に後継者を指名して余裕をもって育成することや、M&Aによる事業承継を検討することが大切です。M&Aを実施する際は、
補助金や税制優遇制度を利用することで、中小企業の経営者が感じる負担感を軽減することができます。また、中小企業の事業承継のサポートをする機関も充実してきているので、積極的に相談してみてください。

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