中国企業とのM&Aにおけるメリットは?動向や事例を解説
2024年8月5日
このページのまとめ
- 中国企業のM&A取引は活発で、日本企業への買収提案は増加すると予想される
- 中国企業へ事業売却するメリットは、広大な市場への参入や資金調達ができること
- 売却では輸出入・個人情報・知的財産法などの複雑な規制に対応する必要がある
- 中国企業の買収は海外進出のきっかけになり、豊富な労働力が手に入る
事業拡大や海外進出のために、中国企業とのM&Aを検討している方もいるのではないでしょうか。
M&Aによって広大な中国市場に参入できるため、会社を成長させるチャンスともいえます。
本記事では、中国企業とM&A取引をするメリットやデメリット、注意点などを解説します。また、中国企業とのM&A事例なども紹介しますので、参考にしてください。
目次
中国企業のM&A動向
中国企業は、対外的なM&A活動を積極的に行っています。日本企業の買収は近年増加の傾向にあり、ビジネスのグローバル化に合わせて日本企業が中国企業を譲り受けるケースも増えている状況です。
ここでは、中国企業のM&A動向や日本企業とのM&Aについてみていきましょう。
中国企業による日本企業の買収が増えている
デロイトトーマツの「世界のM&A事情 ~中国~ 中国企業のM&Aの動向」によると、2020年の中国企業によるM&A取引金額は30%増の7,338億ドルとなり、2016年以来の最高水準に達しています。
これは主に中国国有企業と政府資金の強力な投資サポートによるものです。また、「M&A取引の数も前年度より11%増加した。2020年に93件の大型M&A取引(一件10億ドル以上)が行われた」と書かれています。同レポートでは、中国企業のM&Aの目的は国有か民営かによって異なり、国有企業の場合は市場や資源の獲得、民営企業の場合は技術とブランドの獲得だと述べられています。
中国企業のM&A取引が増加していることに合わせて日本企業の買収も増えており、2020年から2022年にかけて、やや増加している状況です。
年度 |
件数 |
2020年 |
12 |
2021年 |
15 |
2022年 |
16 |
中国企業とのM&Aは、自社を売却する場合と買収する場合でメリットが異なります。自社を売却する場合、中国企業にとって日本というブランドに価値があり、それを前面に押し出せるという点がメリットです。
日本企業の商品・サービスの品質に対して寄せられる中国企業の信頼は高く、高値で売却できる可能性があるでしょう。
事例では、中国企業の傘下に入ることで経営再建を目指す大手企業など、経営難の日本企業が買収されるケースが多くみられます。
参照元:
デロイトトーマツ「世界のM&A事情 ~中国~ 中国企業のM&Aの動向」
日本貿易振興機構「ジェトロ対日投資報告2023 第2章 日本の対内直接投資動向 第5節 対日M&A動向」」
日本企業が中国企業を譲り受ける事例も増えている
日本では国際間でのM&A取引が増加の傾向にあり、日本企業が中国企業を譲り受ける事例も増えています。
大和総研の「日本企業による M&A の動向」によると、日本企業の中国を含むアジア企業の買収は、件数ベースで米国企業に次ぐ割合となっている状況です
日本企業が中国企業を買収するケースの多くは、中国市場への進出や事業拡大を目的としています。世界第2位の経済大国で広大な国土を持つ中国の市場はビジネスへの影響力が大きく、豊富な労働力も魅力です。
近年は中国政府が外資に対する市場開放を加速させ、多くの分野で規制緩和が行われているのもM&Aが増えている理由といえるでしょう。
参考:大和総研「日本企業による M&A の動向」
欧州では中国企業による買収を規制する動きが見られる
中国企業の日本におけるM&Aが活発になる一方で、欧州諸国では中国企業による買収を規制する傾向にあります。中国企業の買収で最新技術や知的財産が国外へ流出するのを防ごうとしているのが主な理由です。
ほかにも、米中の貿易摩擦など、政治的な要因も影響しているとされています。規制の一例として、ドイツの事例が挙げられます。ドイツでは以前から、軍事技術の国外流出を防止するために買収規制を行っていました。それに加え、2009年からは国営企業である中国・ロシアなどによる投資を抑える目的で、軍事分野以外の買収に対する審査も行われています。
また、2017年からは、インフラ企業の買収も審査対象となりました。今後も政府の審査対象が広がると予想されています。
中国企業による日本企業買収の2つの事例
続いて、実際に中国企業が日本企業を買収した事例をご紹介します。
レノボによる富士通のPC事業の買収
中国企業のレノボは、富士通のPC事業を2017年11月に子会社化しました。
日経クロストレンドによると、富士通とレノボは2016年10月から戦略的提携の検討を開始し、そこから1年かけてこの発表に至っています。レノボ側が強い意欲を持って今回の買収に臨んでいたことがうかがえます。
均勝電子によるタカタの買収
2018年には中国系自動車部品メーカーの均勝電子(ジョイソン・エレクトロニクス)が、自動車用安全部品メーカー大手タカタの事業買収を完了したと発表しました。
Bloombergによると、買収金額は1,750億円で、均勝電子にとって過去最大の金額とのことです。戦略的に日本企業の買収に取り組んでいる事例といえるでしょう。
これらの事例からも、中国企業が日本企業の買収に積極的に取り組んでいることがわかります。
次章以降では、日本企業が中国企業に事業を売却するメリットや注意点について解説します。
中国企業へ会社・事業を売却する5つのメリット
日本企業が中国企業にM&Aによって事業を売却することで、以下のようなメリットを享受できます。
中国市場へのアクセスが可能となる
中国は、世界最大級の人口を抱える国であり、経済成長も著しいものがあります。日本企業が中国企業に事業を売却すれば、中国市場へのアクセスが可能です。中国企業はその地域におけるネットワークやリソースを持っているため、日本企業が中国市場に参入するためのノウハウや情報を提供してくれます。
資金調達が容易な場合がある
中国企業は、資金調達において優位な場合があります。例えば、買収者が国営企業である場合や、グローバルなテクノロジー企業の支援を受けている場合には、日本企業よりも資金調達力が高い傾向があります。
中国企業に売却した事業の資金調達力を利用すれば、成長戦略を実行できる可能性があるでしょう。
経営効率が向上する
中国企業は、多くの場合、日本での国内生産と比較して低コストで生産が可能です。日本企業が中国企業に事業を売却することで、生産コストの削減が期待できます。
中国企業のネットワークやリソースを活用できる
中国企業は、国内に多くのパートナーやネットワークを持っています。ネットワークやリソースを活用すれば、事業を拡大できる可能性があります。
例えば、中国企業が持つ物流システムや配送網を利用することで、日本企業の製品やサービスをより効率的に市場へ届けられるようになるでしょう。
新たな事業展開や技術開発に必要な資金を得られる
中国企業は、R&D(研究開発)や先端的なデジタル技術に積極的な投資戦略を採用する傾向があります。新たな事業展開や技術開発に必要な資金を得ることで、売却した事業の成長が可能となるかもしれません。
中国企業へ会社・事業を売却する5つのデメリット
M&Aで中国企業へ売却をすることにはデメリットもあります。売却方法が事業全体ではなく、一部売却によるジョイントベンチャーを形成して関与が継続する場合は、特に注意が必要です。
経営者の意思決定が制約される
中国企業に買収された場合、経営者の意思決定の自由が制約されるおそれがあります。中国企業は、日本企業とは異なるマネジメントスタイルを持つことが多く、意見や提案が尊重されない場合もあるでしょう。
移転価格の問題が生じる
移転価格の問題が生じることがあります。移転価格とは税制に関する用語で、企業グループ間での資産・商品・サービスの取引に定められる価格です。
売却後の事業が中国企業と取引する際に、移転価格が適切に設定されなかった場合、税務当局から調査を受ける可能性があります。適正な水準よりも低いと認定された場合には、日本企業に追加課税の義務が生じます。
また、中国企業が適正な移転価格を設定していたとしても、税務当局からの調査は時間とコストがかかるため、日本企業は不確定性を抱えることになります。
経営の透明性が低下する
日本企業の経営の透明性が低下することがあります。中国企業は、日本企業の経営に関する情報を十分に公開しないケースもあり、日本企業の株主や社員、顧客にとって不透明な状況が生じるおそれがあります。
また、中国企業の経営方針や意向が日本企業に伝わらず、情報が不足した状態で経営が行われやすい点もデメリットです。その結果、社員の離職などを引き起こすリスクがあります。
地政学的リスクがある
中国と日本の政治的な関係が悪化した場合、事業が影響を受けるおそれがあります。また、中国企業が国有企業である場合、中国政府の意向に従うことが求められると、日本企業は不利な立場に立たされるかもしれません。
文化・言語の壁がある
中国企業と日本企業では文化や言語が異なるため、コミュニケーションの障壁が生じることもあります。お互いの文化や言語への相互理解が進まなかった場合、経営に支障をきたすおそれもあるでしょう。
このように、中国企業への事業売却にはメリットとデメリットがあるため、慎重な検討が必要です。
中国企業に事業を売却する際の5つの留意点
ここでは、実際に中国企業に事業を売却する際にはどのような点に留意すべきなのかを紹介します。
輸出入の規制
まず、輸出入の規制に留意する必要があります。両国には輸出入に関する法律や規制が多数存在し、これらを遵守しなければなりません。
日本の外為法(外国為替及び外国貿易法)における事前届出対象業種の対象になっているかどうかを確認しましょう。
財務省の「対内直接投資審査制度について」によると、「外国投資家は、一定の事業を営む日本の企業に一定の投資を行う場合などには、事前届出を提出する必要」があると規定しています。企業に対しては「外国投資家にその旨をお伝えください」と要請を行っています。
事前届出が必要な場合の例としては、以下が挙げられます。
「①外国に在住する個人投資家が、②輸出規制の対象となる先端材料や 防衛装備品の部品を製造する日本の非上場会社に対して、③1株(端株も含む)以上の株式取得を行う場合」
「①外国法人が、②ソフトウェアを開発する日本の企業に対して、③外国法人の関係者を役員として就任させることについて株主総会において同意する場合」
売却する案件が、この制度の対象に該当しているかどうかの検討がまず必要です。
売却後に中国に向けた輸出が行われることが想定される場合には、中国の輸出入規制について確認しておくべきでしょう。JETROの「貿易管理制度」のサイトによると、輸入制限の規制について「化学肥料、一部のオゾン層消耗物質に対して、関税割当管理が実施される」「農業、食品加工、紡績などの分野において、一部技術の輸入が輸入許可証管理の対象とされる」と記載されています。
このように、輸出入規制の対象になる場合、必要に応じて日本・中国政府の関連機関に申請し、許可を得なければなりません。
さらに、米国と中国政府は、互いに外国企業に対する輸出入規制を強化する方針を打ち出しています。政治的な対立が激化する場合、事業を売却できなかったり、罰則が科せられたりするなど、中国企業に対する事業の売却に影響を及ぼすリスクがあります。
事業を売却する前に、輸出入の規制について詳しく調べることが重要です。また、何らかの手続きが必要な場合は、契約交渉のタイミングで明確にしておきましょう。規制への対応のために、買い手である中国企業にも適切な手続きを行ってもらう必要があるためです。
個人情報
個人情報の取り扱いに関しても注意が必要です。日本企業は、日本の個人情報保護法に基づいて、個人情報を適切に管理する義務があります。したがって、売却する会社や事業が顧客情報を保有している場合、適切な手続きを経ずにそれらの情報が中国企業に流出することは避けなければなりません。
中国では、個人情報保護法に基づく規制が日本とは異なります。そのため、日本企業が保有する個人情報を中国企業がどのように扱うかについて、十分な事前調査が必要です。
場合によっては、売却する会社や事業の顧客に対して、個人情報が中国企業に移転することを事前に通知する必要があるでしょう。通知を怠ると、個人情報保護法違反になるおそれがあります。売却する会社や事業が保有する個人情報を適切に管理するためには、以下のような対策が必要です。
個人情報の取り扱いに関する契約の締結
売却する会社や事業が保有する個人情報について、中国企業が適切に管理することを確認するために、契約を締結することが重要です。契約には、個人情報の取り扱いに関する詳細な規定を含めましょう。また、違反が発生した場合の罰則についても明記する必要があります。
個人情報の匿名化
個人情報の取り扱いに懸念が残る場合、売却する会社や事業が保有する個人情報を匿名化することで、個人情報が流出するリスクを低減できます。ただし、匿名化したデータでも、個人情報保護法に基づく適切な管理が必要です。
個人情報の削除
売却する会社や事業が保有する個人情報を、売却前に削除することも一つの方法です。ただし、削除することでビジネス上の価値が低下する場合もあるため、慎重に検討する必要があります。
以上のように、日本企業が中国企業に事業を売却する際には、個人情報に関する留意点がいくつかあります。適切な対策を講じることで、個人情報の流出リスクを低減し、スムーズで安全な売却を実現できるでしょう。
データセキュリティ
自社のサーバーやクラウドにデータが保存されている場合、システムが適切に運用されているかを確認する必要があります。事業売却によりジョイントベンチャーになる場合は、システム統合が必要になる可能性があり、特に留意しなければなりません。
一方、中国の法律では、刑法などにもデータセキュリティに関連する規定があります。PwCの「中国データセキュリティ法のポイントと日本企業が講じるべき対策」によると、国家安全保障における重要な法令として2021年9月から中国データセキュリティ法が施行されています。「同法は、データセキュリティのリスクや脅威に焦点を当てており、データの分類・等級保護、データセキュリティ管理、リスク評価、国外移転への対応等を企業に義務付けています」とのことです。これらの条項に違反した場合、法人だけではなく個人に対しても罰則が科されるおそれがあります。
このような複雑な規制があるため、M&Aの契約においてはデータ保護に関する条項を明確に含めるべきです。売却後のデータ管理責任や違反時の責任所在を明確にすることで、法的な問題を未然に防げるでしょう。
データセキュリティに関する適切な対策を講じ、法律遵守を確認することで、中国企業とのM&Aを円滑に進められます。
知的財産権
日本企業が中国企業に事業を売却する際には、知的財産権に関する慎重な対応が必要です。以下に、そのリスクと注意点をいくつか挙げます。
技術移転の対象と使用範囲
知的財産を保護するためには、技術移転契約を含む売却契約を適切に締結することが重要です。
具体的には、どの技術が移転されてどの技術が移転されないのかを明確に定義すること、技術の使用範囲(地域、期間、目的等)を厳密に規定することが求められます。
例えば、売却事業が親会社などの社名の一部を利用してサービス展開をしている場合、ロゴなどを含む商標の取り扱いについて合意する必要があります。
中国の知的財産法
中国の知的財産法は日本とは異なります。特許、商標、著作権など、売却に関連する各種の知的財産の種類と、その保護範囲を理解し、適切に対応する必要があります。
グループ会社が保有する知的財産権を売却事業にライセンスしているようなケースでは、事業の売却後の知的財産権の取り扱いについてよく確認しておきましょう。
日本国内で用いていた商標が中国では出願していない場合、中国企業が中国の知的財産法に基づいて権利取得するようなリスクへの対応も準備しておくべきです。
強制技術移転
中国では、事業を行うための条件として強制的な技術移転が求められることがあります。その場合、強制的な技術移転が自社の知的財産権を侵害しないよう、十分な警戒が必要です。
たとえば、契約において知的財産に関する権利移転に制約を定めたとしても、中国国内法規が優先するといったリスクが想定されます。
リスク管理と対策
一定の条件下でライセンスを付与した場合、その内容が不適切に利用されるリスクを管理するためには、適切な契約条件の設定や、売却後の知的財産の管理方法(定期的な監査など)を定めることが重要です。
資金移転
資金移転は、M&Aにおける最後の手続きとなります。単純な金銭の振込み手続きではなく、法律、金融制度、通貨制限、税制などに関する専門的な知識が関わるものです。
中国の規制環境は独特であり、経済の安定を保つために海外への投資や人民元の流出に一定の制限が設けられています。これは、事業の売却対価を人民元から他の通貨へ換算する際に、法律や規制が及ぶことを意味します。これらの規制は、中国の政治・経済状況により変動することもあり、M&Aの最終段階で売却対価を受領できなくなるリスクも排除できません。したがって、常に最新の情報を把握し、適切な対応を行う必要があります。
中国企業との交渉過程では、資金移転の詳細について明確な合意を得ることが非常に重要です。資金移転のタイミングやスケジュール、通貨の種類、支払い方法、万が一のデフォルトリスクに対する保証など、可能な限り詳細を契約書に明記することが望ましいでしょう。こうした具体的な取り決めにより、資金移転に関する予期せぬ問題を未然に防ぎ、スムーズな取引につながります。
なお、海外からの資金を受領する場合、外為法の事後届出が必要です。財務省のサイトによると「海外の銀行からの送金を日本の銀行の口座で受領する場合、又は日本から海外の銀行の口座への送金につきましては、外為法第55条の規定により、送金額が3,000万円相当額を超える場合に事後報告していただく」と定められています。忘れずに実施しましょう。
中国企業を買収する2つのメリット
中国企業の買収は、海外進出をするきっかけになり、労働力を手に入れて事業を拡大できるなどのメリットがあります。
ここでは、中国企業を買収するメリットについて、詳しくみていきましょう。
海外進出のきっかけになる
グローバル化を目指す企業にとって、中国企業の買収は海外進出のきっかけになります。日本と距離的にも文化的にも近い点でも、初めての海外進出先として選びやすいでしょう。
中国は世界最大級の人口規模を誇り、経済大国へと成長しています。広大な市場は今後もさらに拡大を続けることが見込まれ、効果的な事業展開が期待できるでしょう。
近年は世界的に市場のオンライン化が進んでおり、中国におけるEC市場の規模も拡大しています。実際の店舗を出さずに事業を展開できるため、参入障壁が低いのも魅力です。
豊富な労働力が手に入る
人口が多い中国は豊富な労働力があり、人材不足に悩む日本企業にとって大きなメリットです。日本と比較して賃金水準も低い傾向にあり、人件費を抑えながら大規模な事業を展開できる可能性があります。
ただし、文化や国民性の違いから、人材採用には課題となる点も少なくありません。人材育成や教育制度の整備など、事前によく検討しておく必要があるでしょう。
中国企業を買収する際の留意点
中国企業を買収して中国進出を図る際は、法律や規制に注意が必要です。中国は基本的に官僚主導の計画経済であり、許認可はあらゆる領域に及びます。通関や許認可等の手続きは煩雑で、完了までには非常に時間がかかるとされています。
また、政策や規制が急に変更になり、事業方針を変えなければならない事態が起こることもあるでしょう。
加えて、政治・経済や社会情勢の変化で損失を被るリスクもあります。特に中国は国際経済と密接な関係があり、海外の経済変動にも大きな影響を受けやすいのが特徴です。
また、中国では知的財産権に関する被害が多く、模倣品の被害や技術・ノウハウの流出といった問題も後を絶ちません。これらのリスクの防止策として、中国で知的財産権を取得し、コア技術は中国に持ち込まないなどの対策が必要です。
さらに、技術・ノウハウの流出を防止するため、情報管理体制の整備や秘密保持契約の締結、職場環境の整備などの施策も求められるでしょう。
まとめ
中国は巨大な市場と豊富な労働力が魅力であり、中国企業とのM&Aは中国市場へのアクセスが可能になるなど海外進出のきっかけになります。資金調達が容易になりやすいのもメリットです。
一方で、自社を売却するM&Aは個人情報の管理をはじめ、両国間の複雑な規制に対する対応が必要になることを把握しておきましょう。M&Aの交渉の際に規制への対応を明確にしておかないと、問題が生じるおそれがあります。
中国の法律や規制は複雑であり、自社だけで対応することは容易ではありません。専門家のアドバイスを受けながら、さまざまなリスクに対処して案件を進めることが大切です。
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