創業者利益とは?M&Aと上場の場合の概要やかかる税金を解説

2024年3月15日

創業者利益とは?M&Aと上場の場合の概要やかかる税金を解説

このページのまとめ

  • 創業者利益とは、会社の創業者が所有する株式を売却して得る利益のこと
  • 創業者利益を得る方法は、IPOとM&Aの2つである
  • 現金として得られやすいのは、M&Aでの株式譲渡である
  • より多くの利益を得るためには、適切なタイミングでの株式譲渡が大切
  • 株式譲渡をスムーズに実施するために、創業株主間契約は必須である

経営者の中には、「どうすれば創業者利益を得られるだろうか?」と疑問に思う方もいることでしょう。創業者利益とは、IPOとM&Aにより自社株式を売却することで得られる利益のことです。

本記事では、創業者利益の概要や、IPOやM&Aにおけるメリットやデメリットを解説します。また、創業者間で起こりえるトラブルやトラブルを回避する方法などもお伝えしますので、参考にしてください。

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創業者利益とは

ここでは、創業者利益の概要やキャピタルゲインとの違いについて解説します。さらに、創業者利益が増えるケースと減るケースについてもあわせてお伝えしましょう。

株式を譲渡(売却)する際に得る譲渡(売却)益のこと

創業者利益とは、会社の創業者がIPOやM&Aにより、所有する自社株式を譲渡(売却)して得られる譲渡(売却)益のことです。

IPOとは「Initial Public Offering」の略語で、新規株式公開ともいいます。会社の株式を、はじめて株式市場に公開することを指します。またM&Aとは「Mergers and Acquisitions」の略語で、企業の合併や買収のことです。

創業者が、創業者利益を獲得するまでの流れのイメージは次のとおりです。

  1. 創業者が、出資や発行した株式で会社を立ち上げる
  2. 事業に投資して企業価値を高める
  3. 自社と自社株式を第三者に売却する
  4. 売却した時の売却益と出資額の差が創業者利益となる

創業者の努力により、会社が大きく成長したり業績が良かったりすれば、多額の創業者利益を得ることが可能です。そのため創業者利益は、多くの経営者にとって会社経営の大きなモチベーションの一つになりえます。

創業者利益とキャピタルゲインは異なる

創業者利益と似た用語に、キャピタルゲインがあります。キャピタルゲインとは、購入した株式や債券、不動産などの資産を売却した際に得られる利益のことです。

創業者利益は、ゼロから立ち上げた会社を売却し獲得する利益であるのに対して、キャピタルゲインは、すでに存在する資産を購入し資産価値が上がったタイミングで売却して得られる利益という点が異なります。

創業者利益が増えるケース

創業者利益が増えるケースとは、一言でいえば売却額の高いケースのことです。たとえば、以下のような特徴を持つ会社は、高く売却できる可能性が高いでしょう。

  • 買い手やM&A事例が多い(調剤薬局・介護・ソフトウェア開発など)
  • 売り手が少ない(化学系・医療系)
  • 拠点が東京または都市圏にある
  • ビジネスの拠点が重複している
  • 地理的・技術的・人的に代替が難しい
  • 新規に獲得するのが難しい取引先を持っている
  • 財務状況がよい
  • 高収益である
  • 売上が10億円以上である
  • 投資額が1〜2億円以内である

高く売却できる会社とは、調剤薬局や介護、ソフトウェア開発など買い手が多い業種です。一方、化学系や医療系といった売り手の少ない業種では、ライバルが少なく高くで売れる可能性があります。

たとえば2022年にウエルシアホールディングスは、沖縄で最大のドラッグストアであるふく薬品を買収しました。関東圏のほうが買い手がつきやすいものの、調剤薬局という業種であるふく薬品は、沖縄にもかかわらずM&Aに成功しています。

業種以外にも、技術的や人的に代替がきかない事業内容であったり、財務状況がよく高収益だったりする会社も買い手がつきやすく高く売却できます。ほかにも、大手が入りにくいニッチな取引を展開している場合も高評価を得られる可能性が高いでしょう。

売上や投資額も買収額に影響を与えます。売上が10億円以上あると評価されやすく、また逆に投資額が1〜2億円程度ですむ場合は買い手が借り入れをせずにすむため、こちらも評価が上がります。

会社を売却する際は、市場における自社の立ち位置を客観視し、どのような対策を取れば会社の価値が上がるのかを考える必要があります。

参照元:ウエルシアホールディングス株式会社「株式会社ふく薬品の株式取得(子会社化)についてのお知らせ

創業者利益が減るケース

創業者利益が減るケースとは、増えるケースとは反対の状況にある会社のことです。以下のような特徴の会社は、評価が低くなりやすいでしょう。

  • 売り手が多い(アパレルや下請加工など)
  • 関東圏から離れた地方や飛び地である
  • 代替がきくビジネスである
  • 財務状況が悪い・借り入れが多い
  • 低収益である
  • 売上が1億円未満である
  • 投資額が5億円以上である

競合の多い業種だったり、代替がきく事業内容だったりする場合は高評価されにくくなります。また関東圏から離れていたり飛び地にあったりする会社は管理が難しく、買い手を探すのは難しいのが現実です。

ほかにも、代替がきくビジネスだったり財務内容に問題があったりする場合は、企業価値が低く評価され創業者利益が減る傾向にあります。

たとえば2021年、GMOインターネットは人気飲食店やレストランに特化した飲食店予約管理サービスを展開するOMAKASEを買収しましたが、この買収が成功したのは、OMAKASREのサービスがユニークだったためです。OMAKASEのように、代替がきかない独自性の強いサービス内容であれば、高く評価されます。

また売上が1億未満の会社も、組織化されていないといった理由から低評価されやすいです。一方、投資額が5億円以上の場合は、規模がそこそこあるものの買収するために借り入れをしなけれならず、慎重な投資判断が入ります。

参照元:GMOインターネット株式会社「人気飲食店の予約管理サービスを展開する株式会社OMAKASEの株式交付(簡易株式交付)による子会社化の結果に関するお知らせ

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創業者利益を受け取る目的やメリット

創業者が創業者利益を受け取る目的は、主に次の4つです。

  1. 新規事業の資金にする
  2. セミリタイアの費用にする
  3. 廃業を回避する
  4. 負債を清算する

それぞれの内容を解説します。

1.新規事業の資金にする

取得した創業者利益を新規事業の資金にすれば、事業の立ち上げに際して金融機関から融資を受ける必要がありません。金融機関から融資を受ける場合、創業者の個人保証や担保を提供するため、事業が失敗した場合は個人資産を失うリスクがあります。しかし、創業者利益が手元にあれば、融資を受ける必要がないため、個人資産を失うリスクを回避できるでしょう。

2.セミリタイアの費用にする

創業者利益をセミリタイアの資金にするという使い方もあります。事業規模や経営状況にもよるものの、一般的な創業者利益の金額であれば、資金が足りなくなり生活が立ちゆかなくなることは、ほとんどないでしょう 。 

実際に、獲得した創業者利益を資産運用に回し、一定の収入を得つつセミリタイア生活を送る創業者も少なくありません。

3.廃業を回避する

廃業を回避するためにM&Aなどを行い、創業者利益を得る場合もあります。廃業すると、保有する保有資産は処分価格で評価されるため、 売却額は大きく目減りすることがほとんどです。 

廃業をすると資金的な問題以外にも、従業員の雇用先確保など、問題が山積みになります。そのため、創業者としては廃業はできる限り避けたいものです。 会社売却をすれば、保有資産は時価で評価されるうえ、営業権も上乗せされるため、適正な売却益を得ることが可能です。

4.負債を清算する

M&Aで会社を売却すると、買収側は資産とともに負債も承継します。 そのため、会社を売却した創業者は、会社の借入金や経営者の個人保証あるいは担保などから解放されます。

これに対して、たとえば廃業した場合は、前述のとおり得られる対価が少ないだけでなく、自身で残った負債の清算を行わなければなりません。

このように、会社譲渡によるM&Aは、創業者利益の獲得と負債の精算の両方を実現できる手段といえるでしょう。

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創業者利益を受け取る2つの方法とメリット・デメリット

冒頭でお伝えしたとおり、創業者利益を受け取る方法としては、「IPO」と「M&A」の2つが挙げられます。2つの方法の概要と、それぞれのメリット・デメリットを解説します。

IPO(上場)した場合

IPOは、新規株式公開や新規上場という意味で使われる言葉で、株式市場に上場して株式を新規に公開し、流通させる方法のことです。株式市場に上場することで、金融市場から直接、資金調達が行えるようになるため、多くの投資家から資金を集められます。

メリット

IPOのメリットは、主に以下の2つです。

  • 株価の上昇に伴い株式資産の価値が高まる
  • IPOによって多額の資金を得て業績拡大できれば、さらなる株価上昇および資産価値の向上が見込める

上場を果たすことで株価が上昇した場合、株式の資産価値は飛躍的に向上します。また、IPOによって多額の資金を得ることで、業績拡大が実現すれば、さらなる株価上昇とそれによる資産価値の向上が見込めます。

デメリット

IPOのデメリットとしては、次の4つが挙げられます。

  • 株式上場の準備に手間と時間を要する
  • 投資家からの厳しいチェックを受ける
  • 買収リスクと隣り合わせになる
  • 創業者が保有する株式は簡単には売却できない

株式上場の準備には、多大な時間と手間がかかるうえに、上場後は投資家からの厳しいチェックを受けることになります。また、証券取引所で誰もが自由に株式を売買できることは、買収リスクと隣り合わせにあることを意味します。

さらに、経営権の観点からは、創業者が保有する株式は簡単には売却できないことにも注意が必要です。

M&Aで株式売却した場合

M&Aは、会社の合併・買収を意味する言葉です。創業者利益は、株式市場に上場してはじめて得られるものと認識されることも多いですが、非上場会社も、M&Aによって株式を売却することが可能です。

メリット

M&Aで会社売却を行うメリットは、以下のとおりです。

  • IPOに比べて株式譲渡の手続きが簡単
  • 売却益を現金として受け取れる

非上場会社がM&Aを行う際に用いられることが多いのは、株式譲渡による方法です。株式譲渡は株式売却により、経営権をすべて移すため、IPOと比べて手続きが簡単といえます。

また、売却益を現金で受け取ることが容易である点も、M&Aで会社を売却するメリットです。IPOでは創業者が保有する株式を大量に売却すると、「自社の経営から手を引こうとしている」「自社の成長性を悲観的に捉えている」と判断され、株価に悪影響を及ぼす可能性が高いです。

そのため、創業者が自社の株式を大量に売却することは、現実的ではありません。

デメリット

M&Aで会社を売却する場合、以下のようなデメリットが懸念されます。

  • 想定したほどの売却益を得られないことも
  • 完全に経営権を失う

IPOと異なり、M&Aでの会社売却では、売却価格は買収相手の交渉のみで決まります。そのため、創業者が想定していたほどの金額には、ならないこともあるでしょう。

また、M&Aで株式譲渡を行えば、会社の経営権は完全に失われることに注意しましょう。

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創業者利益と税金の計算方法

ここからは、創業者利益と税金の計算方法についてご紹介します。株式の譲渡価格に対して、実際にどれくらいの金額を創業者利益として受け取れるか、イメージする際の参考にしてください。

創業者利益の計算方法

創業者利益は、株式の譲渡価格から「設立時の出資額」や「M&A仲介会社へのサポート依頼費用」を差し引いた金額になります。

  1. 株式の譲渡価格:6億円
  2. 会社設立時の出資額:5,000万円
  3. M&A仲介会社へのサポート依頼費:3,000万円
  4. 税率:20.315%

たとえば、上記のような条件の場合、基本的な計算方法にあてはめると以下のようになるでしょう。

6億円-(5,000万円+3,000万円)=5億2,000万円

創業者利益に対しては、20.315%の税率で課税されるため、税金は105,638,000円となります。

税金の計算方法

創業者利益に課税される税率は、2037年までの復興特別所得税0.315%を含め、2023年5月時点で20.315%です。内訳は以下のとおりです。

  1. 所得税:15%
  2. 住民税:5%
  3. 復興特別所得税:0.315%

したがって、創業者利益が1億円の場合は、税金は1億円×0.20315で20,315,000円になります。

参照元:金融庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」

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創業者利益を受け取る流れ(非上場会社によるM&A)

非上場会社がM&Aで株式譲渡をする場合、株式が譲渡制限株式であるため、自由に売買できないケースが多くあります。その場合、以下のようにいくつかの手順を踏む必要があります。

  1. 株式譲渡承認請求を行う
  2. 取締役会・臨時株式総会を開催する
  3. 株式譲渡の承認通知を受け取る
  4. 株式譲渡契約を締結する
  5. 株主名義の書き換え請求をする
  6. 株主名簿記載事項証明書の交付請求を行う
  7. 株式譲渡が完了する

ここからは、それぞれの段階で行うことのポイントを解説します。

1.株式譲渡承認請求を行う

まず、株式譲渡承認請求を行います。非上場会社の株式は、譲渡制限株式のことが多い傾向にあります。その場合は自由に売買ができないため、株式譲渡承認請求をすることで、会社から株式譲渡に関する承認を得なくてはいけません。

2.取締役会・臨時株式総会を開催する

株主による株式譲渡承認請求が行われると、2週間以内に取締役会が承認もしくは不承認を決定し、決定内容を通知します。

承認もしくは不承認が決定したら、取締役会が設置されている会社であれば取締役会を開催します。取締役会が設置されていない会社が開催するのは、臨時株主総会です。

3.株式譲渡の承認通知を受け取る

取締役会や臨時株主総会で、株式譲渡承認請求が承認されたら、株式譲渡を請求した株主に対して請求が承認された旨を通知します。通知がこない場合は、株式譲渡が承認された扱いになることをおさえておきましょう。

4.株式譲渡契約を締結する

株式譲渡契約を締結するのは、株式譲渡承認請求の承認後です。株式譲渡契約は正式な契約であり、「譲渡株式数」「対価」「表明保証」などを、法規にのっとり明示する必要があります。

株式譲渡契約を締結すると、譲渡側には株式の譲渡義務と対価の取得権利が生じ、譲受側は株式を授受する権利と取得対価の支払い義務が生じます。

5.株主名義の書き換え請求をする

株主の譲渡のみで、株式譲渡が完了するわけではありません。そのため、譲渡側と譲受側が共同で株主名簿の書き換え請求を行います。株主名簿に正式に記載されることで、株主としての立場が保証されます。

6.株主名簿記載事項証明書の交付請求を行う

続いて行うのは、株主名簿から対象株主に関する記載事項を抜粋して交付する「株主名簿記載事項証明書」の交付請求です。名簿が正しく書き換えられているかどうかを確認するために、譲受側からの請求を受けて会社が発行・提出をします。

7.株式譲渡が完了する

ここまでの手続きを終えたら、非上場会社がM&Aで株式譲渡株式を行う手続きが完了します。株式の取得単価が支払われ、創業者は創業者利益を受け取っている状態です。

以上の流れで、譲渡制限株式の株式譲渡手続きは完了となります。取得対価も支払われ、創業者利益を獲得している状態です。

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創業者間で生じる3つのトラブル

複数人で事業を始める場合、時間が経つにつれてトラブルが生じる場合があります。主なトラブルは、次の3つです。

  1. 事業の方向性が異なってくる
  2. 利益の求め方が異なってくる
  3. 株式譲渡によるトラブル

ここでは、創業者間で生じる3つのトラブルと解決策について説明します。

事業の方向性が異なってくる

創業者の間で、事業の方向性や方針に違いが出てきてトラブルに発展するケースは珍しくありません。同じ考えやアイデアをもとに事業を始めていても、会社が大きくなったり顧客が増えたりすると、目標や考え方が異なってくるケースが多々あります。

創業者間で意見が一致しない場合、ビジネスの機会を失ったり事業拡大が鈍ったりと、さまざまな損失に繋がりかねません。

このようなトラブルは、スタートアップ企業でよく見られます。そのため、事業を始める際には、こういったトラブルが生じる可能性があることを理解し、創業者同士で丁寧なコミュニケーションを取ることが大切です。

「何も言わなくても分かってくれるだろう」という甘い見込みは捨て、こまめに時間を取り、お互いに意見をすり合わせておきましょう。

利益の求め方が異なってくる

創業者間で、利益の求め方に変化が生じてトラブルに発展するケースがあります。スタートアップ企業では、出資者を見つけるのは、そう簡単ではありません。資金獲得のために、本来の事業とは異なる事業で、利益を得るという判断が必要な場合があります。

しかし創業者のなかには、そのような判断に反対する人もいます。どの事業から利益を得るのか、得た利益をどこに集中させるのかなど、創業者同士できちんと話し合うことが大切です。

株式譲渡によるトラブル

創業者間で意見が異なり、ある創業者が会社を去ることになった場合、株式譲渡によるトラブルが発生する恐れがあります。株式を所有したまま会社を去ってしまったり、勝手に第三者に譲渡してしまったりすると、株式を回収するのが難しくなります。

このようなリスクを回避するためには、創業株主間契約が有効です。次章で、創業株主間契約についてお伝えします。

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創業者利益を守る手段

創業者利益を守る手段として有効なのが、創業株主間契約です。創業株主間契約について理解を深め、将来起こりうるリスクを回避できるように対策を取りましょう。

創業株主間契約を締結する

創業株主間契約とは、複数人の創業者が株式を保有するケースにおいて、誰かが会社を辞める場合は保有する株式の全てまたは一部を返還することをあらかじめ定めた契約のことです。

株主は、議決権を行使する権利を保有しており、持っている株式の割合が多くなるほど、会社に対する支配権が強くなります。持分割合の高い人が会社から離れた場合、会社として重要な意思決定ができず、事業が停滞したり経営をコントロールされたりするリスクがあります。

このような事態を避けるため、創業株主間契約の締結は必須です。

創業株主間契約が必要な理由

創業株主間契約を締結しない場合に起こりうる具体的なリスクは、次のとおりです。

  1. 会社を去った元創業者が株式の買い取りを拒否する
  2. 会社を去った元創業者と連絡が取れなくなる
  3. 会社を去った元創業者が第三者に勝手に株式を譲渡してしまう
  4. 株式の買い取り金額で折り合いがつかない
  5. 総株主の合意が必要なときに実行できない
  6. 株主総会の特別決議や普通決議が実行できない恐れがある
  7. 株主総会に対する妨害行為が生じる可能性がある
  8. 会社を去った元創業者が競合会社を起業する恐れがある

創業株主間契約を作成する際は、「株式の買取金額は出資時の金額か簿価とする」など、金額についても契約に盛り込んでおきましょう。

元創業者が遺恨を残して会社を去る場合、競合会社を設立することも考えられます。そのようなトラブルを避けるために、競合避止義務を定めておくことも必要です。

このようなトラブルは、会社経営に大きなダメージを与えます。どのようなトラブルが発生する可能性があるのか、またトラブルを回避するためにどのような手段が有効かなど、あらかじめ専門家に相談することが重要です。

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創業者利益を得るための心得

創業者利益を得るために、押さえておきたいポイントは以下の4つです。

  1. 好業績のタイミングで売却する
  2. 希望通りの額を得られない可能性がある
  3. IPOで現金を得られる創業者利益が少ない
  4. M&Aのプロに依頼する

一つずつ解説していきます。

1.好業績のタイミングで売却する

少しでも多くの創業者利益を得るには、好業績のタイミングで売却することが重要です。売上や利益が右肩上がりに伸びているタイミングを逃さないように、自社の経営状況や業界動向などを見極めましょう。

2.希望通りの額を得られない可能性がある

希望通りの創業者利益の額を得られない可能性もあります。特にM&Aでの会社売却においては、売却価格は買収相手の交渉のみで決定するため、創業者が想定していたほどの金額にはならない場合があることを知っておくとよいでしょう。

3.IPOで現金を得られる創業者利益が少ない

IPOでは、現金を得られる創業者利益が少ない傾向にあります。IPOの場合は、創業者の株式売却は5〜10%程度にとどめることが一般的とされているためです。

すでにお伝えしたとおり、IPO後に創業者が株式を売却すると、その会社の成長性や将来性を市場から不安視される可能性があります。経営者が一線を退こうとしているといった憶測を呼び、株価が下落してしまうケースもあります。そのため、IPOでは現金で多額の創業者利益を得ることは難しいといえるでしょう。

会社売却の目的が現金を得ることであれば、IPOよりもM&Aのほうが適しています。

4.M&Aのプロに依頼する

M&Aのプロにサポートを依頼するのも、創業者利益をより多く獲得するために有効な選択肢の1つです。少しでも多くの創業者利益を得るには、売却のタイミングも重要になります。そのため、実績や知見が豊富なM&Aのプロへのサポートの依頼を検討することもおすすめです。

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まとめ

創業者利益とは、会社の創業者がIPOやM&Aを行い株式を売却することで得られる利益のことです。会社の経営状況や規模次第では、多額の創業者利益を得られます。ただし、創業者間でトラブルが発生すると、株式譲渡がスムーズに進まない恐れもあるため注意が必要です。

トラブルなく、より多くの創業者利益を得るためには、適切なタイミングでの株式譲渡が求められます。自社のみでIPOやM&Aを実施するのは現実的ではなく、専門家の力を借りるのがおすすめです。

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