M&Aとは何を略したもの?意味や読み方もわかりやすく解説

2023年5月16日

M&Aとは何を略したもの?意味や読み方もわかりやすく解説

このページのまとめ

  • M&Aは英語の「Mergers and Acquisitions」を略したもの
  • M&Aの意味は「合併と買収」で、主に会社の売買を指したもの
  • 売り手は後継者不足の解消などを目的にM&Aを選択する
  • 買い手は新規事業への参入や会社の規模を大きくするためにM&Aを選択する

M&Aという用語を耳にした時に、「何を略したものなのか」と気になった方もいるのではないでしょうか。M&Aは「合併と買収」を意味する「Mergers and Acquisitions」を略した用語です。

本コラムでは、M&Aの概要や種類について説明しています。また、売り手と買い手がM&Aを検討する理由や実施時の注意点についても解説しているため、ぜひ参考にしてください。

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M&Aとは何を略したもの?

M&Aとは、英語の「Mergers and Acquisitions」を略したものです。ここから、M&Aの意味や読み方、種類について詳しく解説します。

M&Aの意味・読み方とは

M&A(読み方:エムアンドエー)は「合併と買収」の意味で、主に会社の売買を指します。

合併とは、複数の会社が法的にひとつの会社になることです。吸収合併と新設合併の2種類があります。

買収とは、ある会社が他の会社を支配する目的で事業部門を買い取ったり、議決権の過半数を取得したりすることです。

なお、狭義のM&Aが「合併・分割」と「買収」のみを指すのに対し、広義のM&Aでは「提携」も含めます。提携とは、複数の会社が業務面でのみ協力する「業務提携」と、業務面・資金面で協力する「資本提携」などを指すことが一般的です。

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M&Aの種類

狭義のM&Aの主な種類(手法)は、以下のとおりです。

  • 株式譲渡
  • 株式交換・株式移転
  • 新株引受
  • 事業譲渡
  • 合併
  • 会社分割

「株式譲渡」とは、売り手の株主が保有する株式を買い手に売却し、現金を受け取る手法です。

「株式交換・株式移転」は対象企業の株主から株式を譲渡された買い手が、対価として自社の株式を割り当てることを指します。

「新株引受(第三者割当増資)」とは、対象企業が既存株主以外に発行した新株を、買い手が払い込んで引き受けることです。

「事業譲渡」は、対象企業が事業や資産を選別した上で譲渡する手法を指します。

「合併」とは、1つの会社が他の会社を吸収して自社は合併後も存続したり(吸収合併)、新たに設立した会社がすべてを統合したり(新設合併)する手法です。

「会社分割」とは、対象企業が展開する事業の一部あるいはすべてを他の会社に継承することを指します。

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【売り手】M&Aの手法をとる3つの理由

売り手側が、M&Aの手法をとる理由は主に以下のとおりです。

  • 後継者不足の問題を解決する
  • 従業員の雇用を守る
  • 創業者利益を実現させる

それぞれ詳しく解説します。

1.後継者不足の問題を解決する

親族内承継や従業員などによる承継が難しい場合、後継者不足の問題を解決するために売り手がM&Aを決断することがあります。M&Aを選択すれば、経営者は今まで以上に幅広い選択肢の中から後継者を選択できるでしょう。

帝国データバンクの「全国企業『後継者不在率』動向調査(2022)」によると、2022年の代表者の就任経緯は、買収や出向を中心にした「M&Aほか」の割合が20.3%で、調査開始以降で初めて2割を超えました。

参照元:株式会社帝国データバンク『全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)』(2022年11月16日)

2.従業員の雇用を守る

従業員の雇用を守るために、売り手がM&Aの手法を選択することもあります。後継者不足を解消できない場合や会社の業績が芳しくない場合に廃業を選択すると、従業員の雇用が失われてしまうでしょう。

廃業せずにM&Aの手法を選択すれば、買い手が資産を引き継ぎ、従業員の雇用も引き継ぐことを期待できます。取引関係も継続できるため、既存の取引先へ迷惑をかけることも防げるでしょう。

そのほか、ノウハウを引き継ぐことで自社の伝統を守れる点もメリットです。

3.創業者利益を実現させる

創業者利益を実現させるために、創業者がM&Aを検討することもあります。創業者利益とは、創業者が所有する自社の株式を譲渡することで得られる利益のことです。

一般的に、創業者が会社に投資した金額と売却額の差額が創業者利益に該当します。創業者利益を実現すれば、得た資金を老後の生活資金に充てたり、借入金の返済に充てたりして、悠々自適の引退生活を送れるでしょう。

なお、廃業を選択する場合は手続きにさまざまな費用がかかる上に、個人保証のある借入金の返済に追われる可能性もあります。

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【買い手】M&Aの手法をとる4つの理由

買い手側が、M&Aの手法をとる理由として、以下の点が挙げられます。

  • 新規事業に参入する
  • 会社の規模を大きくする
  • 自社に足りないノウハウを手にいれる
  • シナジー効果を獲得する

それぞれ確認していきましょう。

1.新規事業に参入する

買い手は新規事業に参入するために、M&Aの手法をとることがあります。参入障壁の高い市場でも、すでに一定の知名度やシェアを有する企業をM&Aすることで、一から始めるよりも低いリスクや少ないコストで参入可能です。

2016年の中小企業委託事業の報告書の結果によると、回答者のうち33.2%が新事業展開(新市場開拓戦略)における課題として「必要な技術・ノウハウを持つ人材が不足している」を挙げています。M&Aで対象企業のノウハウ・人材・顧客・営業販路などを受け継げば、比較的短期間で新規事業を軌道に乗せられるでしょう。

参照元:中小企業庁委託「平成 28 年度 中小企業・小規模事業者の成長に向けた事業戦略等に関する調査に係る委託事業 事業報告書」

2.会社の規模を大きくする

会社の規模を大きくするために、M&Aを決断することもあります。M&Aを実行すると、買い手は売り手から資産や従業員などを譲り受けるため、自ずと自社・グループの規模が大きくなるでしょう。

規模を大きくしてスケールメリットを獲得すれば、同じ内容の業務をひとつにまとめて経営効率化、大量の商品を一度にまとめて仕入れてコスト削減、ブランド・認知度向上に伴う交渉力の強化などにつながります。

3.自社に足りないノウハウを手にいれる

既存事業のM&Aでも、ノウハウを手に入れるためにM&Aを実施することがあります。M&Aで足りない技術力やノウハウを補えば、既存事業における生産力や販売力を強化できるため、自社の成長につながるでしょう。

4.シナジー効果を獲得する

シナジー効果を期待してM&Aを実施することがあります。シナジー効果とは、複数の企業や部署などが協力することで、単独で活動する以上の効果を発揮する相乗効果のことです。

シナジー効果には、「事業シナジー」「財務シナジー」「組織シナジー」などがあります。事業シナジーはノウハウの統合などで売上増加・コスト削減を実現、財務シナジーは税控除の特例や税制を活用して節税効果を発揮、組織シナジーは互いに協力することで業務効率化や生産性向上を実現することです。

M&Aでうまくシナジー効果を実現できれば、買い手・売り手双方にメリットが生じるでしょう。

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M&Aの注意点

M&Aを実施するにあたって、売り手は以下の点に気をつけなければなりません。

  • 希望した価格で売却できるとは限らない
  • 従業員の雇用条件や環境が変わる

また、買い手の注意点は以下のとおりです。

  • すぐに効果が出るとは限らない
  • M&A後に簿外債務が発覚することがある

売り手と買い手の各注意点を詳しく解説します。

【売り手】希望した価格で売却できるとは限らない

価格は交渉次第で決まるため、売り手は自分の希望通りに売却できるとは限らない点に注意しましょう。M&Aには決まりきった価格相場は存在せず、純資産額や市場価値などさまざまな要素から算出します。

M&A後にどれくらいの利益を見込めるかも、価格を決める上で大切です。最終的にできるだけ高値で売却したい場合は、自社の収益性を高めておかなければなりません。

また、技術力やノウハウを有することで、会社を高値で売却できることがあります。売り手は、高値で売却するために自社が持つ強みをアピールすることが大切です。

【売り手】従業員の雇用条件や環境が変わる

売り手は、M&A実施後に従業員の雇用条件が変わることがある点にも注意が必要です。M&A実施後に雇用契約を締結しなおすケースもあるため、雇用条件が悪化する可能性もあります。

また、労働環境が変わり、従業員が今までより働きにくくなることもあるでしょう。とくに買い手と売り手の企業文化・企業風土が異なる場合、M&A実施後に現場で混乱が生じる可能性が高いです。

雇用条件や労働環境が悪化することを懸念して、M&A実施前に従業員から強い反対を主張される可能性もあります。従業員が納得いくように、労働面も考慮して慎重にM&Aの交渉を進めることが大切です。

【買い手】すぐに効果が出るとは限らない

買い手は、高い金額を投資してM&Aを実施しても、すぐに効果が出るとは限らない点に注意が必要です。M&A実施後の統合作業で現場が疲弊すると、シナジー効果を発揮できないおそれがあります。

また、M&A実施後に優秀な人材が流出する場合も、想定した成果を上げられません。本来シナジー効果を期待したにもかかわらず、結果的にマイナスになることを「アナジー効果」や「ディスシナジー」と呼びます。

さらに、M&Aを検討してから成約に至るまでに、数か月から1年前後の期間を要する点も理解しておかなければなりません。スムーズにM&Aで効果を出すには、あらかじめ専門家に相談して進めていくことが大切です。

【買い手】M&A後に簿外債務が発覚することがある

買い手は、M&Aの交渉段階で見抜けなかった簿外債務が、実施後に発覚することがある点にも注意しなければなりません。簿外債務とは、貸借対照表に記載されていない債務のことです。

対象企業が未確定な債務を簿外債務として処理していると、買い手は本来の財務内容を確認できません。M&A実施後に発覚すると、重い負担としてのしかかります。

また、偶発債務も交渉段階で見落としがちな項目です。偶発債務とは、債務保証や訴訟に伴う損害賠償責任など、一定の事由を条件に将来債務となりうるものを指します。

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M&Aに関連する用語も理解しておこう

専門用語を知っていた方が、より深くM&Aを理解できます。ここで「ネームクリア」「デューデリジェンス」「PMI」について確認していきましょう。

ネームクリア

「ネームクリア」とは、売り手がノンネームで打診した企業名を買い手候補に対して開示することです。ノンネーム(ノンネームシート)は、対象企業の社名を明かさずに概要のみを一枚に要約したものを指します。

M&Aを進めるにあたって、売り手が作成したノンネームシートを使って仲介会社が買い手候補を募る流れが一般的です。ノンネームシートには、対象企業の事業内容や地域、売上規模や財務内容などが盛り込まれます。

デューデリジェンス

「デューデリジェンス」とは、買い手が専門家を通じて投資対象となる企業や価値、リスクなどを調査することです。英語では「Due Diligence」と表記し、よく「DD」と略されます。

法的な問題点を確認する「法務DD」、税務申告内容や納税状況などから税務面のリスクを確認する「税務DD」、財務諸表などから財務面のリスクを確認する「財務DD」などがあります。

簿外債務がないか確認する際も、デューデリジェンスの実施が欠かせません。専門知識を問われるため、実施する際は専門家に相談しましょう。

PMI

「PMI」は「Post Merger Integration」の略で、計画したM&Aの統合効果を高めるための作業のことです。主にM&A成立後に実施されます。

PMIの主な内容は、経営戦略や経営理念のように向かう方向性を示す「経営統合」、「関係者との信頼関係構築」、業務の円滑な引き継ぎを目指す「業務統合」などです。従業員の流出や顧客離れなどのM&A実施後の混乱を防ぎ、効率的に成果を上げるためにも、PMIの実施が欠かせません。

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まとめ

M&Aとは、「合併と買収」を意味する「Mergers and Acquisitions」を略した言葉です。M&Aで売り手は後継者問題の解消、買い手は規模の拡大などを期待できます。

ただし、売り手は希望した価格で売却できるとは限らない点、買い手は簿外債務が発覚することがある点などに注意が必要です。スムーズかつ効果的なM&Aを実施するために、早めに専門家に相談するとよいでしょう。

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