事業承継士とはどんな資格?役割や取得方法、取得するメリットを解説

2023年12月22日

事業承継士とはどんな資格?役割や取得方法、取得するメリットを解説

このページのまとめ

  • 事業承継士は、事業承継に関する専門知識を証明する資格である
  • 講座の受講と認定試験の合格、事業承継協会への入会を経て資格を取得できる
  • 講座を受講できるのは、弁護士や税理士などの国家資格を有している者に限られる
  • 事業承継士としての働き方にはさまざまな選択肢がある
  • 事業承継を検討している方は、事業承継士のサポートを受けるのが効果的

中小企業の事業承継問題が深刻化している昨今、事業承継士が注目されています。事業承継士は、事業承継の専門家として、事業承継を総合的にサポートする存在です。事業承継士の資格を取得するためには厳しい要件を満たさなければなりません。

本記事では、事業承継士の仕事内容や資格を取得するメリット、資格取得方法や働き方などを解説します。事業承継士という資格に興味がある方はぜひ参考にしてください。

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事業承継士とは

事業承継士とは、事業承継について専門的な知識を持っている人に与えられる資格で、一般社団法人事業承継協会が主催しています。

事業承継士は、企業の事業承継に関する総合的な知識が求められることから、「全体最適」という言葉で説明されることがあります。たとえば、法人税や確定申告などの税金に関する問題は税理士に、相続や離婚などの法律は弁護士、登記関係だと司法書士といったように、それぞれの専門知識を持つ人に相談するのが一般的です。

しかし、事業承継の場合、節税対策や経営ノウハウなどの「部分最適」の知識だけでなく、事業承継全体の手続きや諸問題に「全体最適」として対応できる専門家が必要となります。こうした全体最適の役割が期待できる専門家が不足していたことから、2015年に事業承継士という新しい資格が創設されました。

事業承継士の資格が登場した背景として、国内の深刻な事業承継に悩む経営者の存在があります。中小企業庁が2019年に発表した「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」によると、現役の経営者で、2025年までに平均引退年齢の70歳以上になる人が245万人に達し、約半数の127万人の経営者が後継者未定の状態になると見込まれています。この数は国内企業全体の3分の1にあたる数で、M&Aによる事業再編は急務の課題となっています。

同調査はさらに、このまま何も対策を講じないでいると、中小企業や小規模事業者の廃業が急増し、2025年までに累計で約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われるおそれがあると指摘しています。

こうした事態に対して、国は、2018年からの10年間を「事業承継を集中してサポートする期間」と位置づけて積極的に支援を行っています。事業承継はまさに国を挙げての一大プロジェクトのような形となり、現場で事業承継を支援する体制を強化しています。

事業承継士はこうした時代のニーズに応える形で誕生した資格で、今後ますますの需要が見込まれていることから、注目されています。

参照元:中小企業庁「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」

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事業承継士の役割

一般社団法人事業承継協会の公式サイトによると、事業承継士の認定を行う目的として、多くの中小企業に事業承継の重要性を普及させることと、事業承継を行う際に重要な役割を担う人材を養成することを挙げています。

事業承継士の受験講座を実施する団体は事業承継センター株式会社で、2015年に開講してから7年間で1,012人が受講しました。

事業承継士の役割として最も大切なのが、事業承継への悩みを抱える中小企業に対して、専門的知識をもとにサポートすることです。中小企業の事業承継を支援するには、多方面にわたる専門知識が必要であるうえに、これらの知識を総合的に活用できる能力も必要です。

したがって、事業承継士には、さまざまな専門知識を事業承継に対応させつつ活用する能力が求められます。事業承継士の役割の中で最も大切なのは、事業承継に関する悩みを抱える中小企業をサポートするとともに、事業承継の重要性を普及させる点にあります。

事業承継の対象となる範囲を大きく3つに分けると以下のとおりです。

  • 人と知識の承継(経営権、後継者の選定と育成、後継者教育、経営権など)
  • 知的財産の承継(経営方針、経営理念、経営者の信用力、従業員の技術・スキル、取引先との人脈、顧客情報など)
  • 資産の承継(営業権、会社の強み、株式、不動産、預貯金など)

従来の士業やコンサルタント業の方が行ってきたのは「資産の承継」及び「知的財産の承継」の一部でした。一方で企業文化やブランド力、儲かるノウハウ、経営資源の統廃合、経営者の心のケア、後継者以外の親族の感情面のサポートなど、「人と知識の承継」に関する範囲は未知の分野で、体系化した理論がありませんでした。

一般社団法人事業承継協会がこれまで実践で培ったノウハウ・経験に基づく知識を体系化した講座を受講することで、事業承継士はこうした「人と知識の承継」の領域においても中小企業をサポートすることが役割になっています。     

出典:事業承継センター「事業承継士 資格取得講座・無料ガイダンス」

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事業承継士を取得するメリット

事業承継士の資格取得によって得られるメリットは以下の6つです。

  • 取引先に専門知識をアピールできる
  • 継続的に学べる体制があり、信用度が高い
  • 事業承継の仕事を優先的にもらえる
  • 税金・制度に関する最新情報、最新ツールが手に入る
  • 専門家同士のネットワークを構築できる
  • 収入が増える可能性がある

それぞれについて詳しく説明します。     

取引先に専門知識をアピールできる

事業承継士は、事業承継全体に関係する専門家であることを認める資格で、M&A市場が広まるにつれてニーズが高まり、普及していく資格です。事業承継士に必要な領域は、税務・会計・会社法・相続など多岐にわたり、資格を取得したことを取引先などに伝えると、個人だけでなく、勤務先の評価も良くなることでしょう。

使用許可をもらったロゴと肩書きを名刺に印刷する、会社案内や公式ホームページに事業承継士の存在をアピールするなどを行うことで、信頼性が高まり、仕事の幅も広がります。

継続的に学べる体制があり、信用度が高い

事業承継士は永久的な資格ではなく、継続的に必要な講習を受けて、知識をブラッシュアップする必要があります。事業承継に関する国の動向や、新しい制度の話をいち早くキャッチできるようになると、取引先などからの信用度は高まります。

事業承継士の更新は3年ごとですが、更新時の単位取得に必要な講習を受け、実務経験を積むことで習得した知識や経験はさまざまな場面で役立ちます。

事業承継の仕事を優先的にもらえる

資格試験と資格講座を主催する事業承継センター株式会社は、全国で事業承継に関するセミナーを開催しているだけでなく、相談にも対応していることから、事業承継を支援する仕事の依頼が入ることもあります。事業承継士の資格を取得していると、業務を優先的に受託できる仕組みになっているため、仕事の幅が広がります。

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税金・制度に関する最新情報、最新ツールが手に入る

事業承継士の資格を取得すると、一般社団法人事業承継協会や事業承継センター株式会社が主催するセミナーや研修会に会員価格で参加することができます。協会会員である特典として、法改正や新しい制度などの最新情報を入手できることは、コンサルタント業務を行う者にとって喜ばしい限りです。

さらに、事業承継士の資格講座で配布された資料は、ワードやエクセルなどの資料として加工して使用できるため、実務に役立つツールを仕事に活かすことができます。

専門家同士のネットワークを構築できる

事業承継センターが開講する講座には、弁護士・中小企業診断士・税理士など、さまざまな分野の専門家が参加しています。事業承継に役立ちたいという、同じ「志」を持った仲間であり、今後ネットワークを構築することは仕事を行ううえで役に立つことでしょう。

収入が増える可能性がある

数多くの専門家同士とネットワークができることで、お互いが協力し合って事業承継に対応でき、互いに仕事を紹介し合う機会も増えてくると期待されます。事業承継センターだけでなく、取引先からセミナーの依頼を受けることも増えてくるかもしれません。

個人の営業力によっても収入の額は異なりますが、事業承継を検討する企業からの相談は増加傾向にあることから、事業承継の専門家という資格を持つ意味が重要になってきています。

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事業承継士の資格を取得する方法

続いて、事業承継士の資格取得までの流れを簡単に紹介します。

  1. 特定の資格を取得する
  2. 事業承継士資格講座を受講する
  3. 認定試験を受験する
  4. 事業承継協会に入会する

特定の資格を取得する

事業承継士になるには、「事業承継士資格講座」を受講しなければなりません。しかし、この講座は、誰でも受講できるわけではなく、特定の国家資格を取得していることが要件となります。指定されているのは、以下のような資格です。

  • 弁護士
  • 公認会計士
  • 司法書士
  • 税理士
  • 中小企業診断士
  • 社会保険労務士
  • 行政書士
  • 土地家屋調査士
  • 一級建築士
  • 不動産鑑定士
  • 宅地建物取引士
  • ファイナンシャル・プランニング技能士

これらの資格以外にも、「それと同等の知識と能力がある者」が対象となっていますが、講座の受講生の大半はいずれかの国家資格を持っています。

試験を受けるためでなく、講座を受講するために資格が必要という形は、珍しいかもしれません。いずれの資格も事業承継に関連があるものばかりで、いわゆる「難関資格」ばかりです。事業承継士になりたい方は、自分が興味のある分野で、比較的取りやすそうな資格からチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

事業承継士資格講座を受講する

資格を取得するためには、事業承継士資格取得講座を受ける必要があります。

事業承継士資格取得講座は合計30時間であり、東京・愛知・大阪・福岡で開催されています。会場で参加できない方向けに、完全ビデオコースやWebコースも用意されているため、完全ビデオコースならいつでもどこでも受講できるのが特徴です。

受講生は、30時間におよぶ以下の講座の75%以上に出席しなければ認定試験を受験できません。講義内容は下記のとおりです。

  1. 事業承継士とは何か?(1.5時間)
  2. 事業承継概論(2時間)
  3. ヒアリング・状況分析・課題発見・解決策の提示(3.5時間)
  4. 株式と経営権/財産権(2時間)
  5. 社長個人としての相続&争族防止(2時間)
  6. 後継者にまつわるあれこれ(2時間)
  7. 会社を強くする技術伝承(1時間)
  8. 後継者のための労務管理(1時間)
  9. 保険/オペレーティング・リースを駆使した事業承継(2時間)
  10. 実践に基づくケーススタディ①~③(7時間)
  11. 中小企業経営承継円滑化法の解説(2時間)
  12. 事業用資産としての土地/建物対策(2時間)
  13. 信託の最新事業(2時間)

出典:事業承継センター|事業承継士 資格取得講座・無料ガイダンス

認定試験を受験する

30時間の講座を修了した後、認定試験に臨みます。講座で使用したテキストが試験範囲となり、択一式と記述式があります。60点以上の得点で合格です。なお、試験日などの詳しい情報は講座を受講する時に発表されます。

認定試験の合格率・難易度

認定試験の合格率は公表されていませんが、試験自体の難易度はそこまで高くないようです。講座で使用したテキストから出題されるため、しっかり受講して復習をしておくことで、合格が期待できるでしょう。

しかし、資格に挑戦できる人が限られているため、資格を取得するハードルは非常に高いといえます。
指定されている資格の多くは取得難易度が非常に高いです。たとえば、2023年度の公認会計士試験の合格率は7.6%、2023年度の税理士試験の合格率は21.7%でした。

つまり、事業承継士の資格に挑戦するのはハードルが高いものの、資格の取得要件を満たせば、試験に合格するのはそこまで難しくないでしょう。

出典:公認会計士・監査審査会「令和5年公認会計士試験の合格発表について」

事業承継協会に入会する

合格後、一般社団法人事業承継協会へ入会することで、事業承継士の資格取得が認定されます。入会にあたり、倫理規定や懲罰基準などに照らして審査が行われます。協会に入会すると、研修や機関紙・Webサイト、メルマガなどで最新情報が提供され、SNSグループによる会員同士の交流促進も行われます。 

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事業承継士の資格取得にかかる費用

事業承継士の資格取得にかかる費用は以下のとおりです。

項目費用(税込)
事業承継士資格取得講座33万円
※受講料には、教材費3万3,000円、「事業承継ノート」2,200円、「後継者ノート」1,980円、「仕事の手仕舞いノート」1,650円、「事業承継と保険のはなし」880円相当の費用が含まれています。
認定試験受講料9,900円
入会金1万1,000円
年会費1万1,000円

3年ごとに資格を更新する必要があり、その際に更新料が5,500円かかります。トータルで約37万円ほど必要と理解しておきましょう。

なお、事業承継センター株式会社が主催するセミナーや研修会に参加する場合、事業承継士の資格があれば会員価格で参加できます。

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事業承継士と事業承継アドバイザーの違い

事業承継にかかわる資格として、事業承継アドバイザー認定試験(BSA)があります。

事業承継アドバイザー認定試験(BSA)は、一般社団法人金融検定協会が実施している試験です。金融機関に勤務している方のキャリアアップ検定の一環として行われています。事業承継の基礎知識のほかに、親族内承継、従業員や役員への承継、外部への承継の方法と手順、M&Aについての知識が出題されます。

事業承継士と事業承継アドバイザーの違いは、以下のとおりです。

事業承継士事業承継アドバイザー
実施団体一般社団法人事業承継協会一般社団法人金融検定協会
取得者の特徴公認会計士や税理士、中小企業診断士などの士業金融機関の職員
取得方法講座の受講・認定試験の合格認定試験の合格
特徴事業承継に関する総合的なスキルを有することを証明する事業承継の基礎知識を持つことを証明する

事業承継士と事業承継アドバイザーは、事業承継の専門的な知識を身につけられる点では共通しています。事業承継士は税理士や中小企業診断士などの士業の方が取得しているのに対し、事業承継アドバイザーは金融機関の職員が多く取得しているのが特徴です。

また、事業承継士を取得するためには指定の講座の受講と認定試験の合格が必要ですが、事業承継アドバイザーでは講座の受講は必須ではありません。テキストでの学習だけで合格を目指すことも可能です。テキストだけの学習では不安な方向けに、事業承継アドバイザー(BSA)認定試験専用講座が用意されています。講座の学習期間は3ヶ月間です。

事業承継アドバイザー(BSA)認定試験は、150分の試験時間内に択一問題を50問解く形式で、100点中60点以上で合格とされています。しかし「試験結果を踏まえて試験委員会で最終決定する」という但し書きがあるため、注意が必要です。

すでに取得している国家資格をベースに、さらに事業承継をサポートできるようになりたいと考えている方には、事業承継士の資格取得に挑戦する方が適しています。

また、事業承継士を取得することで、事業承継をサポートするために必要な、専門的かつ総合的な知識やスキルを有していることを証明できます。事業承継の専門家を志す方は、事業承継士を取得することがおすすめです。

事業承継士と事業承継プランナーの違い

事業承継プランナーは、事業承継士と同じく一般社団法人事業承継協会が実施している資格です。

事業承継プランナーは、事業承継を検討する企業が抱える課題をヒアリングし、課題を解決するためにはどのように事業承継を進めるべきか、専門家の力を借りるべきかなどを検討します。そして、専門家のサポートを受けて事業承継を進めるべきと判断した際は、事業承継士にトスアップする役割を担います。

事業承継士と事業承継プランナーの違いは、以下のとおりです。

事業承継士事業承継プランナー
役割事業承継全般をサポートする事業承継の入り口部分をサポートする
取得者の特徴公認会計士や税理士、中小企業診断士などの士業士業に限らず、中小企業の経営者と関わりがある方
資格取得のハードル比較的高い易しい

このように、両者は役割が異なります。

また、事業承継士を取得するためには細かい要件が定められている一方、事業承継プランナーは、興味がある方なら誰でも挑戦可能です。受講料は55,000円(税別)であり、35万円以上かかる事業承継士に比べると、資格取得のハードルは低いといえます。

事業承継を全般的にサポートできる専門家になりたい方は事業承継士を、事業承継の悩みに寄り添い、課題を発見できる存在になりたい方は、事業承継プランナーを取得しましょう。

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事業承継士としての働き方

事業承継士としての働き方には、以下のようにさまざまな選択肢があります。

  • M&A仲介会社で働く
  • 中小企業アドバイザー(事業承継・引継ぎ支援)になる
  • 金融機関で事業承継を担当する
  • 事業会社の経営企画部門で働く
  • 事業承継士として独立する

ここでは、事業承継士としての働き方・キャリアパスについて見ていきましょう。

M&A仲介会社で働く

1つ目は、事業承継士の資格を活かしてM&A仲介会社でアドバイザーとして働き、事業承継をサポートするという働き方です。

特に、中小企業の案件を多く扱っているM&A仲介会社であれば、事業承継士との親和性が高いため活躍しやすいでしょう。

M&A仲介会社は、事業承継以外にも幅広いM&A案件を扱っています。さまざまなディール経験を積むことで、M&A全般をサポートできる事業承継士になれるのが魅力です。

中小企業アドバイザー(事業承継・引継ぎ支援)になる

中小企業アドバイザー(事業承継・引継ぎ支援)として働くという道もあります。

独立行政法人中小企業基盤整備機構は、定期的に中小企業アドバイザー(事業承継・引継ぎ支援)を募集しています。事業承継・引継ぎ支援センターで業務を担当したり、中小企業事業承継・引継ぎ支援全国本部事業に関する課題について、専門的なアドバイスをしたりするポジションです。

業務委託形式であるため、士業として独立しながら事業承継の案件も引き受けたい場合や、事業承継の案件のみに携わりたい場合などに適しています。

金融機関で事業承継を担当する

金融機関で、事業承継の担当者として事業承継を支援するのも1つの選択肢です。

銀行や証券会社などの金融機関では、取引関係がある地方の企業に対して、事業承継のサポートを実施しています。
事業承継士の資格を活かすことで、事業承継に関する部署の中心となって事業承継の案件に携われるでしょう。

事業承継だけでなく、金融の仕事にも興味がある方におすすめの働き方です。

事業会社の経営企画部門で働く

事業会社の経営企画部門で働くという方法もあります。

積極的にM&Aを行っている事業会社では、経営企画部門にM&Aの専門人材を配置することが多いです。事業承継士の資格は、事業承継に関する専門知識を有している証明になるため、転職時に高く評価される可能性があります。

経営企画部門では、事業承継やM&A以外にも、経営に関するさまざまな業務を担当できる場合が多いです。
事業承継士の資格を得るために身につけた、事業承継や経営に関する幅広い知識を活かせるキャリアといえるでしょう。

事業承継士として独立する

フリーの事業承継士として独立し、事業承継をサポートすることも可能です。

独立する場合は、どのような案件を引き受けるのか、報酬体系はどうするのかなどを自身で決められます。

独立当初は引き受けられる案件が少なく、事業が軌道に乗るまで時間がかかる場合があります。はじめは事業承継以外の案件にも携わりながら、徐々に事業承継士としての仕事を増やしていくことがおすすめです。

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事業承継士に相談するメリット

ここからは、事業承継を検討している方の視点で、事業承継しに相談するメリットや注意点を紹介します。顧客側の観点を知り、事業承継士として働く際の参考にしてください。

メリットは、以下のとおりです。

  • 事業承継のプロからアドバイスをもらえる
  • 専門家とのネットワークを活かしてサポートしてくれる

それぞれ解説します。

事業承継のプロからアドバイスをもらえる

1つ目は、事業承継のプロから有用なアドバイスをもらえる点です。

事業承継は、誰に承継するかによって必要な手続きが異なります。また、事業用資産を評価したり、節税対策を行ったりするためには専門知識が必要です。1人で進めるのは難しく、専門家に相談することが求められます。

事業承継士は、事業承継に特化した専門家です。プロからアドバイスをもらいながら事業承継を進められるため、はじめての事業承継でも安心でしょう。

前述のとおり、事業承継士は誰でも名乗れる資格ではありません。公認会計士や税理士などの国家資格を持っており、難易度の高い試験をクリアした者のみがなれます。そのため、相談先として非常に信頼できることがメリットです。

専門家とのネットワークを活かしてサポートしてくれる

事業承継士は、幅広い専門家とのネットワークを有しており、ネットワークを活かして事業承継をサポートしてくれます。

事業承継センターは、会員同士の交流会や勉強会を積極的に開催しており、会員同士の交流が盛んです。また、それぞれが弁護士や税理士といった士業としても活躍しており、そこでもネットワークを広げています。

事業承継士は、これらのネットワークを活用して事業承継をサポートしてくれます。

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事業承継士に相談する際の注意点

事業承継士に相談する際の注意点は、事業承継に関わる全ての分野について、高度な専門知識を有しているとは限らない点です。

事業承継士は、当然ですが事業承継について専門的な知見を有しています。しかし、自社株評価や不動産評価など、一部のプロセスではほかの専門家との連携が必要です。たとえば、自社株評価なら税理士、不動産評価なら不動産鑑定士や土地家屋調査士に依頼する必要があります。

事業承継では、法律や財務、税務など、さまざまな分野の専門知識が求められます。事業承継士が特定の分野に対応していない場合もあり、ほかの専門家との連携が必要になる可能性がある点には注意が必要です。

ただし、事業承継士が窓口になって、ほかの専門家との連携や全体のスケジューリングを進めてくれることも多いです。基本的には、事業承継を総合的にサポートしてくれるでしょう。

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まとめ

事業承継士は、事業承継に関する専門知識を証明する資格です。資格を取得することで、企業の事業承継を全般的にサポートできるようになります。
資格を取得するためには講座を受講する必要があり、そのためには特定の国家資格を保有している必要があります。そのため、資格を取得するハードルは高いでしょう。

しかし、取得するメリットは大きく、今後はさらに活躍の幅が広がると予想されています。専門性を高めたい方は、事業承継士の資格取得に挑戦してみてはいかがでしょうか。

また、事業承継を検討している方は、事業承継に関する豊富な専門知識を持つ、事業承継士に相談することがおすすめです。

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事業承継に限らずM&A全般の相談をしたい場合は、M&A仲介会社の力を借りるのも1つの方法です。レバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社には、さまざまな分野のM&Aにおいて実績を持つコンサルタントが多数在籍しています。M&Aの相談から成約まで一貫してサポートします。料金は成約時に発生する完全成功報酬型であり、M&A成約まで無料で利用できます。(譲受側のみ中間金あり)

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