自己株式の取得手続き方法を紹介!メリットもわかりやすく解説

2024年2月19日

自己株式の取得手続き方法を紹介!メリットもわかりやすく解説

このページのまとめ

  • 自己株式の取得とは、企業自らが株主から自己株式を買い戻して保有すること
  • 自己株式の取得手続きには、公開買付による取得やすべての株主から取得などがある
  • 特定の株主から自己株式を取得する場合、株主総会の特別決議が必要
  • 自己株式を取得するメリットは、敵対的買収を防止できる点など
  • 自己株式を取得するデメリットは、株価下落のリスクがある点など

敵対的買収を防止策として自己株式の取得を検討している際、「手続きはどのように進めるのか?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。自己株式の取得方法によって、株主総会の特別決議の手続きが必要です。

本記事では、自己株式取得の手続きの流れを詳しく解説します。メリットやデメリットも説明しているので、まだ検討中の方も参考にしてください。

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自己株式とは

自己株式とは、株式会社が自社で保有する自社株式のことです。

自己株式の取得は、欧米をはじめとする諸外国では一般的な取引です。しかし、「平等性を損なう」「不正手段に利用されるおそれがある」などの理由で、従来日本国内では原則禁止でした。

その後1994年、1997年、2001年の商法改正で緩和され、一定の制限のもと自己株式を企業が取得することが認められます。

さらに、2006年に会社法が施行された際に、原則自由に自己株式を取得できるようになりました。同じタイミングで、手続きも緩和されています。

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自己株式の取得とは

自己株式の取得とは、企業自らが株主から自己株式を買い戻し、保有することを指します。株が金庫に入ったまま市場に出回らないイメージから「金庫株」という俗称で呼ばれることもあります。 

企業は、主に資金調達を目的に株式を発行し、市場に流通させますが、自己株式の取得は、これとは逆の動きです。
一見、無意味にも思えますが、実際にはさまざまな目的で自己株式の取得が行われています。

また、自己株式の取得方法は、上場企業と非上場企業で異なります。
上場企業の株式は市場で流通しているため、市場を通じて取得する(買い戻す)ことができます。一方、非上場企業の株式は市場で取引されていないため、自己株式の取得に際して、直接株主と交渉する必要があるのです。

ここから、上場企業と非上場企業が自己株式を取得する具体的なケースを紹介します。

上場企業が自己株式を取得するケース

上場企業が自己株式を取得するケースは、主に以下のとおりです。

  • 既存株主の影響力を高める
  • 株価を調整する

それぞれ簡単に説明します。

既存株主の影響力を高める

自己株式を取得すると、市場で流通する自社株の量が減り、既存株主の議決権比率の低下を防ぐことができます。

株価を調整する

自己株式を取得すると、1株の利益や株式資本利益率が上がり、株価も上がります。自社の株価が割安と判断される場合の、株価調整の手段として、自己株式が取得されるケースがあります。

非上場企業が自己株式を取得するケース

非上場企業が自己株式を依頼する主なケースは、以下のとおりです。

  • 株主から売却の依頼があった
  • 株主に利益還元したかった
  • 従業員や役員の報酬に利用したかった

それぞれ解説します。

株主から売却の依頼があった

株主側から買い戻し請求があった場合、結果的に自己株式を取得することになります。買い戻し請求の理由としては、贈与や相続などで株式を現金化する必要があったことなどが考えられます。

株主に利益還元したかった 

自己株式を取得すると、1株あたりの利益が上がります。つまり、株主が保有する株式の価値が上がるため、利益還元につながります。

従業員や役員の報酬に利用したかった 

自社株は、自社で働く従業員や役員にも付与することが可能です。自社株を保有する従業員や役員は、企業への貢献が自らの資産アップにもつながることから、モチベーションや企業への帰属意識の向上などが期待できます。 

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自己株式の取得と消却・処分の違い

「自己株式の消却」「自己株式の処分」は、自己株式の取得と似た言葉ですが、意味が異なるため、以下で確認しておきましょう。

自己株式の消却

自己株式の消却とは、株式を無効にして消滅させることを意味します。自社株式の取得後は、株式をそのまま保有する「金庫株」が一般的ですが、自己株式の消却が選択されることもあります。

自己株式を消却すると、 発行済株式の数が減少し、希少性が高まることから、株価上昇につながるケースも多いです。 

なお、自己株式には法令で定められた保有期限がなく、各種権利も付与されないため、自己株式を保有し続けることは、事実上、自己株式を消却したのと同じ状態と言えるでしょう。

自己株式の処分

自己株式の処分とは、自社株を再び社外に放出・売却することを意味します。
自社株式の取得とは逆の行いになりますが、実際に、自己株式の取得では1株当たりの価値が上昇しやすいのに対して、自己株式の処分では1株当たりの価値が低下しやすくなります。

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自己株式の取得手続きを行う5つの方法

自己株式の取得には、以下5つの方法があります。

  1. 市場取引による取得
  2. 公開買付による取得
  3. すべての株主から取得
  4. 特定の株主から取得
  5. 子会社から取得

取得方法に応じて必要な手続きが異なるため、それぞれ確認していきましょう。

1.市場取引による取得

市場取引による自己株式の取得は、上場企業のみ可能です。非上場企業では、株主から直接自己株式を取得する必要があります。

東証の上場企業が市場内で自己株式を取得する場合を例に、その流れを見てみましょう。

  1. 「オークション市場における買付 」「終値取引(ToSTNeT-2)による買付」「自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)による買付」「オークション市場における単純買付け」のうち、どの方法で取引するか選ぶ
  2. 株主に、株式の買付価格・数量、その他当事者の参考となるべき事項などを事前に公表する(※)
  3. 買付取引を開始する 

市場取引による自己株式の取得では、株価の動きによって、取得金額や取得期間が変わります。

※:オークション市場における単純買付けでは、具体的な買い付け内容の事前公表は不要

2.公開買付による取得

公開買付による取得は、市場外の不特定多数の株主から、自己株式を取得する手段の1つです。「TOB」とも呼ばれます。公開買付で自己株式を取得する流れは以下のとおりです。

  1. 公開買付開始を公告し、株式の取得目的・取得価額・取得予定株数・取得期間などを株主に伝える 
  2. 内閣総理大臣へ公開買付届出書を提出する
  3. 公開買付説明書を作成し、交付する
  4. 公開買付けの結果を公表する
  5. 内閣総理大臣へ公開買付報告書を提出する

公開買付けは株式の取得予定数と買付期間が決まっているため、市場取引と比較して、予想外の問題が生じるリスクが少ないこともメリットです。

3.すべての株主から取得

すべての株主から取得とは、株主を限定せずに希望する株主全員から自己株式を取得する手段のことです。すべての株主から自己株式を取得する場合、一般的に以下の流れで進められます。

  • 株主総会普通決議で承認を得る
  • 株式の取得価額などを決定する
  • 希望する株主が株式譲渡を申し込む

ここから、各手順ですることを簡単に紹介します。

株主総会普通決議で承認を得る

自己株式を取得するにあたって、まず株主総会の普通決議で承認を得ます。決議事項は、以下のとおりです(会社法第156条第1項)。

  • 取得する株式の数
  • 株式取得と引き換えにする金銭の内容およびその総額
  • 株式を取得できる期間

なお、普通決議でできる理由として、すべての株主に取得機会が与えられていて平等であることが理由として挙げられます。

参照元:e-Gov法令検索「会社法第百五十六条」

株式の取得価額などを決定する

株主総会の普通決議後、取得価額などを確定します。決める項目は、主に以下のとおりです(会社法第157条第1項)。

  • 取得する株式の数
  • 株式取得と引き換えにする金銭の内容および株式数か金額もしくはその算定方法
  • 株式を取得するのと引き換えに交付する金銭等の総額
  • 株式の譲渡申し込みの期日

上記項目は、取締役設置会社は取締役会、それ以外は株主総会で決定します。

なお、株式の取得価額は適正価額よりも高めに設定することが一般的です。とくに非上場企業の場合、算定によって適正価額に幅が出るため、慎重に決めなければなりません。

参照元:e-Gov法令検索「会社法第百五十七条」

希望する株主が株式譲渡を申し込む

上記で決定したことを株主に通知してから(会社法第158条、公開会社は公告でも対応可)、希望する株主から株式譲渡の申し込みを受け付けます。譲渡を希望する株主側は、譲渡する株式数を明らかにした上で、申し込みが必要です(会社法第159条)。

企業は、希望する株主からの申し込みを断れない点に注意しましょう。ただし、決定した株式数を超える申し込みがあった場合は、それぞれ按分した分の株式を希望する株主から取得します。

参照元:
e-Gov法令検索「会社法第百五十八条」
e-Gov法令検索「会社法第百五十九条」

4.特定の株主から取得

一部の株主に限定して、自己株式を取得する方法もあります。特定の株主から取得する際の流れは、以下のとおりです。

  • 「売主追加請求」の権利を通知する
  • 株主総会特別決議で承認を得る
  • 取締役会で手続きを決定する
  • 希望する株主が株式譲渡を申し込む

特定の株主から取得する場合は、すべての株主から取得する場合に比べて、細かな手続きを踏まなければなりません。それぞれ解説します。

「売主追加請求」の権利を通知する

特定の株主から自己株式を取得する場合は、株主総会の招集通知とあわせて「売主追加請求」の権利(売主追加請求権)も追求しなければなりません(会社法第160条)。

売主追加請求権とは、株主が自分も株式の売主として追加される権利があると企業側に主張することです。株式を譲渡できる株主と、譲渡できない株主の間で不平等が生じないように、権利が設けられています。

参照元:e-Gov法令検索「会社法第百六十条」

株主総会特別決議で承認を得る

特定の株主から自己株式を取得する場合、株主総会特別決議での承認が必要です。すべての株主から取得する場合と比べて株主に与える影響が大きいことが、特別決議が必要な理由として挙げられます。

なお、特別決議とは、発行済株式総数の過半数を保有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上の賛成を得なければならない決議のことです。

株式の取得価額などを決定する

株主総会の特別決議後、取得価額などを確定します。決めることは、すべての株主から取得する場合と同じです。取締役設置会社は取締役会、それ以外は株主総会で決定します。

希望する株主が株式譲渡を申し込む

上記で決定したことを株主に通知し(公開会社は公告でも対応可)、希望する株主から株式譲渡の申し込みを受け付けます。基本的な流れは、すべての株主から取得する場合と同じです。

自己株式の取得を完了したら、株主名簿へ記載しましょう(会社法第132条第1項第2号)。株主名簿とは、株主の氏名・住所・保有株数・株式取得日などが記載された名簿のことです。

参照元:e-Gov法令検索「第百三十二条」

5.子会社から取得

子会社が親会社の株式を取得することは、会社法で原則禁止されています。
ただし、株式交換、株式移転、会社の吸収・合併・分割などが関わる一部ケースでは例外的に認められています。 

このような例外的ケースの場合は、株式総会の開催は不要で、自己株式取得の承認を取締役会で得るだけで自社株の取得が可能です。

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自己株式の取得に関する規制

2001年より自己株式の取得は違法ではなくなりましたが、取得に際しては規制が存在します。たとえば、株価変動が大きくなりすぎることを防ぐため、上限金額のほか1日に買付可能な数量が制限されています。
このほかにも以下のような規制・措置が存在します。

  • 自己株式取得の条件 
  • 株式の譲渡損益への課税の繰延措置
  • 自己株式取得の財源規制

それぞれ解説します。

自己株式取得の条件 

原則自由となった自己株式取得ですが、ルールが全くなくなったわけではありません。自己株式が取得できるケースは以下の13項目に定められています。

  1. 取得条項付株式を自己株式として取得するケース
  2. 譲渡制限株式を自己株式として取得するケース
  3. 株主総会での承認を得て取得するケース
  4. 取得請求権付株式を自己株式として取得するケース
  5. 全部取得条項付種類株式を自己株式として取得するケース
  6. 相続人から株式を取得できるよう定めているケース
  7. 単位未満株の取得ケース
  8. 株主の所在が不明なケース
  9. 組織再編などで端数株式が出るケース
  10. 他企業の全ての事業を譲受する際に、株式を取得するケース
  11. 合併の際に、存続会社として相手企業の株式を取得するケース
  12. 吸収分割の際に、承継会社として相手企業の株式を取得するケース
  13. 上記以外に法務省令で定めるケース

上記は、会社法第155条で定められています。

参照元:e-Gov法令検索「会社法第百五十五条」

株式の譲渡損益への課税の繰延措置

株式の譲渡で得た損益は、 申告分離課税の対象です。
しかし、2018年の税制改革により、自社株式を対価とするM&Aにおいて買収に応じた譲渡株主の譲渡損益課税を繰り延べることが可能となりました。

これにより、自社株を利用した事業再編の活発化が期待されます。
ただし、この措置が適用されるためには「特別事業再編計画(産業競争力強化法)」の認定を受けなければなりません。

自己株式取得の財源規制

自己株式取得の財源規制とは、企業が支払う自己株式取得金額が「債権者への分配金額(分配可能額=剰余金を元に算出される金額)を超えてはならない」という規制です。

つまり、自己株式の買取金額の上限が「分配可能額」ということになります。そのため、自己株式の取得に際しては、 分配可能額を事前に把握することが重要です。

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自己株式を取得する5つのメリット

企業が自己株式を取得する主なメリットは、以下の5つです。

  1. 株式発行のコストを削減できる
  2. 敵対的買収を防止できる
  3. 株価低迷の改善・防止ができる
  4. 事業承継時の相続税の負担を軽減できる
  5. 株主の持株比率に影響を与えられる

それぞれ解説します。

1.株式発行のコストを削減できる

自己株式を取得・保有しておくと、以下のようなシーンで、時間や費用などのコスト削減になります。

ストックオプションの交付や組織再編のシーン

従業員や役員にストックオプションを交付したり、会社の分割や合併に伴って組織再編する際、自社株式を保有していれば、新たに株式を発行する必要がありません。

M&A(企業の合併買収)のシーン

M&Aで他社を買収して子会社化する場合、新株発行するケース(株式交付)がありますが、自社株を活用すれば新株発行の必要がありません。 

2.敵対的買収を防止できる

敵対的買収は、企業側の同意を得ない買収です。
敵対的買収に際しては、株式の過半数を取得し、経営権を獲得することが目指されます。

一方、自己株式の取得を行うと、1株当たりの株価が上昇するため、経営権の獲得に必要な資金が増大します。

3.株価低迷の改善・防止ができる

自己株式を取得すると、市場での流通量が減り、希少性が高まるとともに、相対的に需要も高まります。
これによって株価の低迷を改善し、安定した株価を維持することが期待できます。
特に「自社の価値が本来よりも低く評価されている」と考える企業にとっては、自己株式取得のメリットは大きいでしょう。

4.事業承継時の相続税の負担を軽減できる

後継者への事業継承に際しては、多額の贈与税・相続税が発生することも多く、後継者への負担が大きなものとなる恐れがあります。

そこで、後継者が承継した自社株式を会社が買い取る対策が考えられます。
後継者は株式譲渡で得た対価で納税を行うことができ、さらに会社は自社の持株比率を高めることが可能であることから、両者にメリットのある対策と言えます。
こちらは非上場の中小企業をメインに実施されることが多い対策法です。

5.株主の持株比率に影響を与えられる

企業は自己株式を取得することによって、株主の持株比率に影響を与えられる点もメリットです。以下のように、株主は持株比率によって企業に対してできることが異なります。

持株比率できること
3%超株主総会の招集請求権
3分の1超株主総会の特別決議を単独で否決する権限
2分の1超株主総会の普通決議を単独で可決する権限
3分の2超株主総会の特別決議を単独で可決する権限

一般的に、自己株式を取得する際は、自社や安定株主(経営者や従業員持株会など)の持株比率が高まります。それに伴い、敵対的買収者の持株比率を低下させられるでしょう。

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自己株式を取得する3つのデメリット

自己株式を取得する主なデメリットは、以下の3つです。

  1. 購入に費用がかかる
  2. 株価が下がるリスクがある
  3. 消却・処分に手間がかかる

それぞれ説明します。

1.購入に費用がかかる

自己株式の取得に際して、 会社は購入費用を現金で支払うことになります。
株価や取得数が大きいほど購入資金も高くなり、それによって会社の資金繰りが悪化する恐れがあります。
また、会社の資金を自己株式の取得に充てたことで、新規の事業立ち上げや設備投資に影響が生じ、企業の成長を阻害してしまう可能性も考えられます。 
特に会社の業績や事業が不調な場合などは、経営悪化のリスクを高める恐れがあるため、ご注意ください。 

2.株価が下がるリスクがある

自己株式の取得を実施すると、株価が上昇しやすいと考えられますが、絶対ではありません。
たとえば、自己株式の取得に多額の資産を使うことで、自己資本比率が低下し、投資家が警戒心を抱く可能性があります。
自己資本比率とは「自己資本と総資本の割合」から導かれる指標で、投資家が企業の財務状況を判断する際の材料となります。特に自己資本比率が20%を下回ると、投資家が不安から株を手放し、株価の下落につながる恐れがあるため、しっかりと検証・計画してから自己株式を取得することがベターです。 

3.消却・処分に手間がかかる

自己株式の消却や処分に手間がかかる点もデメリットです。

自己株式の消却は、以下の手順を踏まなければなりません。

  1. 決議機関にて株式の消却決議
  2. 株式名簿の修正・株券の破棄など株式失効の手続き
  3. 消却によって減少した発行済株式総数の変更登記手続(効力発生日から2週間以内に実施)

また、自己株式の処分には以下の手間がかかります。

  1. 「公募」「第三者割当て」「株主割当て」のいずれかを選び、自己株主の処分を受ける人を決定
  2. 公募・第三者割当てでは、株主総会の特別決議や取締役会決議で募集事項を決定 
  3. 募集への応募・株式申込証での申し込み
  4. 募集事項や申込期日の通知・公告

後に消却や処分する手間も考慮した上で、自己株式を取得しましょう。

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自己株式を取得した際の会計処理

ここから、自己株式を取得した際や消却・処分した際の会計処理(仕訳例)を紹介します。

まず、企業が自己株式を300万円で取得(普通預金から出金)した際の仕訳例が以下のとおりです。

借方貸方
自己株式3,000,0000普通預金3,000,000

その後、取得した株式を消却した場合は、以下のように仕訳します。

借方貸方
自己株式消却損3,000,0000自己株式3,000,000

また、簿価300万円の自己株式を280万円で処分し、代金が普通預金へ入金された際の仕訳例が以下のとおりです。

借方貸方
普通預金2,800,0000自己株式2,800,000
自己株式処分差損200,000

今回は、簿価より安い金額で売却するケースを紹介しました。簿価より高い金額で売却する場合は、「自己株式処分差益」の科目で計上します。

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自己株式を取得した際の税務処理

自己株式を取得した場合、企業は株主に対する「資本の払い戻し」として税務処理します。また、自己株式を譲渡する側の株主(個人)は、条件次第で「みなし配当」とされうる点に注意しましょう。

みなし配当とは、一般的な配当に該当しなくても、税法上配当であるとして課税されることです。企業に出資した額よりも、受け取る金額が大きい場合に、みなし配当として差額に対して課税されます。

まとめ

自己株式の取得とは、企業自らが株主から自己株式を買い戻し、保有することです。手続きには、市場取引による取得やすべての株主からの取得などの方法があります。

自己株式取得のメリットは、敵対的買収の防止ができる点や、事業承継時の相続税の負担を軽減できる点などです。ただし、株価が下がるリスクがある点や、消却・処分の手続きに手間がかかる点に注意しましょう。

また、とくに非上場企業の場合、算定方法によって適正価額に幅が出るため慎重に進めなければなりません。そこで算定には、M&Aなどに詳しい専門家に相談すると良いでしょう。

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