会社乗っ取りは対策できる!乗っ取りの方法や事例・予防法を徹底解説

2023年4月26日

会社乗っ取りは対策できる!乗っ取りの方法や事例・予防法を徹底解説

このページのまとめ

  • 会社乗っ取りは第三者が株式の過半数以上を取得し、会社の経営権を略奪する行為
  • 中小企業では親族などのクーデター、上場企業では敵対的買収が多い傾向 
  • 種類株式の活用、持株会社の設立などの対抗策を事前に講じておく必要がある

会社の乗っ取りといえば、大企業が投資ファンドによって敵対的買収をされるものだと思っている方も多いかもしれませんが、上場・非上場、会社の大小を問わず、あらゆる会社が乗っ取りのリスクにさらされているのが実情です。会社の乗っ取りを予防するには、乗っ取り方法を理解した上で、対策を施すことが大切です。この記事では、過去の会社乗っ取り事例や予防法などをご紹介します。

M&Aに関する資料を
無料でダウンロードする

会社乗っ取りとは

会社乗っ取りとは、第三者が株式の過半数以上を取得し、会社の経営権を略奪する行為です。2000年代初頭には、ライブドアがニッポン放送株買い占め事件や村上ファンドなどがマスコミに取り上げられ、会社乗っ取りがお茶の間を騒がせたことを覚えている方もいるかと思います。

経営者の経営方針への不満、私的な理由や嫌がらせによるものなど、会社の乗っ取りが起こる背景はさまざまですが、会社が乗っ取られると、会社に対する社会の信頼が失われ、従業員の地位が不安定になるなどのリスクがあります。

会社乗っ取りは、上場している大企業だけでなく、中小企業などでも起こり得るもので、ベンチャー企業は会社乗っ取りのリスクが高いといわれています。そのため、企業規模を問わず、会社乗っ取りへの対策はあらゆる企業で必要です。

違法性はあるか

会社乗っ取りと聞くと、反社会的で悪質なイメージがあるように思われますが、違法性があるケースは少数で、ほとんどの場合は合法的に行われています。

親族や大株主などのクーデターによって代表取締役を解任する場合も、株主総会での過半数の議決で解任決議がなされているため、手続き的には違法性はありません。しかし、この場合、経営者は本人の意に反して強制的に解任させられるため、違法にならなくても倫理的な問題が生じるケースもあります。

会社乗っ取りで違法性がある事例として、虚偽の登記変更や、理事会議事録の偽造などが挙げられます。違法性がある乗っ取りの場合、弁護士に相談して早急な対応を取る必要があります。

従業員の待遇は変わるか

会社乗っ取りが起きた後も従業員の待遇は保証されるのが一般的です。これは、乗っ取った後の経営をスムーズに進めるためです。

上場企業の乗っ取りにおいて、人材や仕組み・ノウハウは「会社の資産」であり、従業員の待遇も交渉内容とされるため、買収後1年間は雇用が保証されています。非上場企業では、乗っ取った側が経営に精通していない場合、従業員を辞めさせてしまうと現場が立ち行かなくなるため、雇用が継続されることが多いです。

しかし、会社を乗っ取った側が前経営者と敵対していて、前経営者の影響力を排除しようとする場合は、従業員の待遇が不安定で変わりやすい傾向があります。

M&Aに関する資料を
無料でダウンロードする

会社の乗っ取り方のパターン

会社の乗っ取り方には、主に以下の5パターンがあります。
会社乗っ取りは、法律の専門家からの支援をもらって仕掛けてくるケースが多く、手続き的には合法であるケースがほとんどです。

上場企業における会社乗っ取りの方法として一般的なのは、保有する株式を増やすことで議決権の過半数を得て経営権を掌握する方法です。一方中小企業では、親族などのクーデターで議決権の過半数を得る方法が多い傾向があります。設立間もないベンチャー企業が、資金調達の名目で支援を申し込まれ、気付いたら会社が乗っ取られていたというケースもあります。

乗っ取り方のパターンについて、それぞれ詳しく解説します。

敵対的買収(M&A)

上場企業の会社乗っ取りでよく行われる方法は、敵対的買収などのM&Aです。通常のM&Aは、双方の経営陣の同意をもとに友好的な協議を重ねて進行するのですが、敵対的なM&Aでは、買収側がTOB(株式公開買い付け)などによって、一方的に経営権を掌握しようとするのが特徴です。

TOBは、仕掛ける側が買い付け期間や価格、予定数などを公告した上で、不特定多数の株主から市場外で株式を買い付けます。買い付け価格は市場価格より高額に設定されることが多く、株主はTOBに応募すれば株式を売却できます。

株式の相続

株式の相続で、会社乗っ取りができてしまうことがあります。中小企業の多くは、定款で自社株式の譲渡制限を付与しているため、株式譲渡には取締役会や株主総会による承認が必要となるのですが、相続には譲渡制限の効力が及びません。相続によって会社乗っ取りをもくろむ第三者に株式が渡ってしまうリスクがあります。

親族等のクーデター

事業承継のために経営者が親族などに株式を分け与えた結果、経営者以外の議決権が過半数を超える場合があります。議決権の過半数を持っている親族などが団結してクーデターを起こし、株主総会で代表取締役の解任決議を行い、経営者を追い出すことができます。

不正な登記変更

会社乗っ取りを企む人が、自分もしくは関係者の役員就任が株主総会で決議されたと議事録を偽造して、その議事録を根拠に虚偽内容を不正に登記して会社を乗っ取る方法があります。
これまで挙げてきた会社乗っ取りの方法は、敵対的な方法ではありますが違法行為ではありませんでした。しかし、虚偽の変更登記による乗っ取りははっきりとした違法行為のため、被害を受けたら速やかに刑事告発を行う必要があります。

総会屋などの違法行為

中小企業のオーナーにうまく取り入って取締役に選任された人物が、その後オーナーに反旗を翻して会社を乗っ取り、資金などを強奪して立ち去るケースもあります。そのような人物は反社会勢力に属していることがよくあるため、被害に遭った場合、すぐに取締役から解任し、刑事告発と民事損害賠償請求を行う必要があります。

M&Aに関する資料を
無料でダウンロードする

会社乗っ取りを受けないための予防策

会社乗っ取りを受けないための予防策として、以下の2つの方法があります。

  • 種類株式を活用する
  • 持株会社を設立する

種類株式は、株主の権利内容に特別な条件が設定されている株式のことで、持ち株会社とは、いわゆるホールディングスのことです。いずれかの方法を取ることで、会社乗っ取りを未然に防ぐことができます。

種類株式を活用する

種類株式には、取得条項付き種類株式と拒否権付き種類株式があります。

種類説明
取得条項付き種類株式一定の条件の下で、会社が株式を強制的に買い取れる株式
拒否権付き種類株式株主総会の決議内容に対して拒否権を行使できる株式

取得条項付き種類株式とは、一定の条件で株式を買い取ることができる株式です。相続による会社乗っ取りをもくろむ人に株式が渡ったとしても、取得条項付き種類株式にしておくことで、会社が強制的に株式を買い取ることが可能です。 

拒否権付き種類株式は、株主総会の決議に対して拒否権を行使できる種類株式で、強力な権限があることから「黄金株」とも呼ばれています。あらかじめ定款に役員の専任や解任について重要事項として記載しておくことで、株主総会で代表取締役の解任動議が承認されて会社が乗っ取られそうになっても、拒否権付き種類株式を発動し、拒否することができます。

持株会社を設立する

持株会社を設立し、経営者または経営者一族の株式をすべて取得させておくことも、会社乗っ取りの対抗策として有効です。
すべての株式を持株会社に取得させると、事業承継の際に持株会社の株式をそのまま後継者に移転するだけで手続きが完了します。持株会社が一括で株式を管理することで、第三者に株式が分散するリスクを軽減することができます。

M&Aに関する資料を
無料でダウンロードする

敵対的買収による会社乗っ取りの対抗策

敵対的買収による会社乗っ取りを受けた場合、以下の方法で対抗できることも知っておいてください。

  • ポイズンピル
  • ホワイト・ナイト
  • パックマン・ディフェンス
  • クラウン・ジュエル

ポイズンピル

敵対的買収を仕掛けられたとき、買収者以外の既存株主に新株予約権を発行するという毒薬条項(ポイズンピル)をあらかじめ設定しておく対抗策です。ポイズンピルにより、新株が発行されて株式総数が増えるため、買収者の持ち株比率が下がり、影響力が低下します。

ホワイト・ナイト

敵対的買収者が現れたとき、友好的な買収者(白馬の騎士=ホワイトナイト)を探して買収してもらう対抗策です。どちらにせよ買収されるのですが、敵対的買収より友好的買収を選択したいときに使われます。

パックマン・ディフェンス

敵対的買収を受けた企業が、買収側に対して逆にTOBを仕掛ける対抗策です。TOBの資金を捻出するため企業価値が下がるため、買収する魅力が薄れるだけでなく、TOBへの対応で疲弊するため、敵対的買収の断念につながる可能性があります。

クラウン・ジュエル

買収者にとって魅力的な自社の資産や事業部門、子会社などを第三者に譲渡し、自社の魅力を低下し買収意欲を削ぐ対抗策です。王冠から宝石(=クラウンジュエル)を取ることで王冠は狙われなくなるという意味が込められています。

M&Aに関する資料を
無料でダウンロードする

まとめ

会社乗っ取りとは、第三者が株式の過半数以上を取得し会社の経営権を略奪する行為で、法律の専門家からの支援を受けて仕掛けてくることが多いのが特徴で、中小企業では親族のクーデター、上場企業では敵対的買収が多い傾向にあります。
会社乗っ取りを阻止する方法として、種類株式の活用、持株会社の設立、買収対抗策の実施があります。思いがけない人から会社乗っ取りを仕掛けられることもあるため、念には念を入れて阻止する方法を講じておくことが大切です。

M&AならレバレジーズM&Aアドバイザリーにご相談を

レバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社は、M&A全般をサポートする仲介会社です。各領域に精通した専門コンサルタントが在籍しており、あらゆるプロセスにおいて的確なアドバイスを提供します。
料金体系はM&Aご成約時に料金が発生する完全成功報酬型で、M&Aご成約まで無料で利用できます(譲受会社のみ中間金あり)。
ご相談も無料です。事業承継M&Aをご検討の際には、ぜひお気軽にお問い合わせください。