会社解散から清算までの手続きとは?流れやかかる費用を解説
2023年12月21日
このページのまとめ
- 会社の清算手続きとは、会社解散後に資産や負債を整理すること
- 清算には任意清算と法定清算があり、法定清算は通常清算と特別清算に分けられる
- 清算することで税金の支払い義務や役員登記の必要性などがなくなる
- 会社の清算手続きは複雑であり、費用や時間がかかる
- 会社の清算手続きは早めに進め、専門家のサポートを受けることが大切
会社を解散させた後は、清算手続きが必要です。清算することで、はじめて会社が消滅します。株式会社が清算する方法としては、通常清算と特別清算があります。具体的にどのような手続きが必要なのか、どの方法を採用すべきかわからない方もいるでしょう。
今回は、会社の清算手続きについて、種類や流れ、完了までに要する期間や費用などを解説します。会社をたたもうとしている方はぜひ参考にしてください。
目次
会社解散後の「清算」とは
「清算」とは、会社の解散後に実施する、会社の資産と負債の整理を指します。具体的には、以下のような会社の財産を現金化し、負債を返済したうえで、株主に残金を分配することです。
- 預貯金
- 不動産(土地・建物など)
- 機械設備
- 在庫
- 有価証券
- 債権(売掛金など)
法律に則って清算の手続きを終了(清算結了)させない限り、法的に会社が消滅したことにはなりません。
会社解散とは
そもそも会社解散とは、事業活動を終了し、法人格を消滅させる手続きのことです。業績不振や後継者不在など、事業の継続が難しいと判断される場合に、会社解散を決断することとなります。
会社を解散させた時点では、会社は清算会社として存続しています。
そのため、会社解散によって事業活動を終了させた後、清算によって資産と負債を処分することが必要です。
会社解散と廃業の違い
会社解散と混同しやすいのが、廃業です。
廃業とは、経営者が自ら会社の経営をやめることを指します。たとえば、「経営状態が改善する見込みがない」「事業の将来性がない」「後継者不在」などの場合に、経営者は廃業を判断します。
そして、廃業のための一連のステップの出発点として行うのが、会社解散です。廃業を決めたら、まずは会社解散の手続きをスタートさせましょう。
清算の種類
清算には大きく任意清算と法定清算があり、法定清算にはさらに通常清算と特別清算があります。
それぞれの特徴をまとめると、以下のとおりです。
清算の種類 | 採用できるケース | 特徴 | |
任意清算 | 合名会社や合資会社が、自主的な判断で会社を消滅させる場合 | 財産をどのように処分するか、会社側で任意に決められる | |
法定清算 | 通常清算 | 株式会社が、負債を全額返済できる場合 | 法律に則った方法で進める 裁判所の監督を受ける必要がない |
特別清算 | 株式会社の財務状況が悪く、負債を返済できない場合 | 法律に則った方法で進める 裁判所の監督のもと進める |
以下では、それぞれの清算について解説します。
任意清算
任意清算は、合名会社と合資会社にのみ認められる清算方法です。定款で定めた存続期間が終了した、全社員から同意を得たなど、自主的な判断によって会社を解散させる場合に採用されます。
任意清算では、財産をどのように処分するかを会社側で決められるのが特徴です。合名会社と合資会社は無限責任社員がいるため、財産処分の方法を任意で進めても、債権者の利益を損なう心配がないと判断されます。
法定清算
法定清算は、株式会社が清算する際に採用される清算方法です。会社が任意で決めた方法ではなく、法律に則った方法で財産を処分するため、法定清算と呼ばれます。
法定清算では、清算に関する業務を執行する清算人が選出されます。そして、清算人が主導となって、債権の回収や債務の弁済・財産の分配などを行うのが特徴です。
法定清算は、さらに通常清算と特別清算に分けられます。
通常清算
通常清算は、裁判所の監督を受けることなく清算手続きを進める方法です。会社が十分な資産を持っており、負債を全額返済できる場合に採用されます。
株式会社の解散が決まった後、まずは清算人の選出が必要です。そして、清算人主導のもと、債権者保護手続きや財産の換金、債務弁済などの手続きを進めます。
通常清算の具体的な進め方については後述します。
特別清算
特別清算は、会社が債務超過に陥っている可能性があり、負債を全額返済できない場合に採用される方法です。適正な清算を行うため、裁判所の監督を受けて手続きを進めます。
特別清算は清算型の倒産手続きですが、倒産手続きには、ほかにも破産手続きがあります。破産では、裁判所が選任した破産管財人が主導となって清算手続きを行うのがポイントです。特別清算の流れや破産との違いについては後述します。
関連記事:会社解散とは?会社清算との違いや手続きの流れを紹介
会社解散・清算のメリット
会社を解散・清算することには、税金や登記手続きの面で、以下のようなメリットがあります。
- 税金の支払い義務がなくなる
- 相続税対策になる
- 役員登記の必要がなくなる
それぞれのメリットについて見ていきましょう。
税金の支払い義務がなくなる
解散・清算の大きなメリットは、税金の支払い義務がなくなることです。
赤字の会社や、実質的に事業が停止している会社であっても、均等割(固定地方税)がかかります。また、売上がゼロの場合でも決算申告が必要なため、決算業務を税理士に依頼している場合は税理士への支払いも必要です。
一方、会社を解散・清算した場合は税金の支払い義務がなくなるため、会社の維持にかかる費用や手間をゼロにすることが可能です。
相続税対策になる
貸付金への相続税課税を防ぎたい場合も、会社の解散・清算を検討する価値があります。
経営者が会社へお金を貸し付けている場合、貸付金を返してもらうという権利も相続人が引き継ぐため、相続税が発生します。また、会社への貸付金を免除した場合、免除額が利益の扱いとなり、会社側が課税対象となるのが難点です。
会社を解散させることで、債権や債務が消滅し、経営者の貸付金もなくなります。相続財産ではなくなるため、相続税対策になるというわけです。
役員登記の必要がなくなる
役員登記の必要がなくなるというメリットもあります。
実質的に事業が停止している会社であっても、役員の任期満了時には再任役員重任登記が必要です。登記を怠った場合、制裁金が科される可能性があります。
解散・清算することで、役員登記の必要がなくなり、過料に処せられるリスクも発生しなくなります。
会社解散・清算のデメリット
会社の解散・清算には、税金や登記手続きの面のメリットがある一方、手続きに際して費用や時間、税金が発生する点は見逃せません。
以下では、会社解散・清算のデメリットについて解説します。
清算の手続きに費用が発生する
会社の清算に際しては、以下のような費用が発生します。
- 解散・清算人選任登記
- 官報公告
- 清算結了登記
- 司法書士/弁護士/税理士などへの報酬
会社解散の手続きを司法書士・弁護士・税理士などの専門家に依頼した場合、登記や公告の費用も加えて、少なくとも5万円程度はかかると考えられます。 もちろん、会社の規模に応じて専門家への報酬額は変わりますが、ある程度の支払いが必要になることは理解しておきましょう。
解散・清算が完了するまで時間がかかる
会社解散・清算手続きは複雑であり、完了するまで時間がかかるのはデメリットです。特に、債務超過の状態で清算する場合はかなりの時間がかかります。
そもそも、解散や債権者への公告に2ヶ月以上かけなければなりません。そのため、2ヶ月未満で手続きを完了させることは不可能です。
清算完了までにはトータルで3ヶ月以上かかる場合が多く、計画的に進める必要があります。
資産の売却時に消費税が発生する
会社の清算で資産を売却する際、消費税を納付しなければならない可能性があります。例えば、土地の売却益は非課税ですが、建物の売却益は課税対象です。消費税が発生する場合は、忘れずに申告・納税しなければなりません。
会社解散のための要件
会社は、特別な理由(要件)がない限り、勝手に解散することは認められていません。
具体的に、会社解散に際しては会社法(第四百七十一条)で定められた、以下の要件を満たす必要があります。
- 定款で定めた存続期間が満了した
- 定款で定めた解散事由が発生した
- 株主総会で決議された
- 合併により会社が消滅した
- 破産手続き開始が決定した
- 裁判所による解散命令を受けた
- 休眠会社のみなし解散に該当した
上記の要件以外での会社解散は認められていません。また、いずれの要件においても基本的に、財産の調査や債務・債権などの整理が必要となります。
ここからは、会社解散の各要件について詳しく見ていきましょう。
定款で定めた存続期間が満了した
定款で「当社は○年間を存続期間とする。」のように存続期間を定めている場合、その満了に伴って会社が解散となります。
定款(ていかん)は、会社の設立に際して作成する、会社経営のルールをまとめた書類のことです。定款では、会社の存続期間を定められるため、期日をもって解散の手続きを行います。
ただし、存続期間を定めているケースは少数であるため、会社解散の要件としてよくあるものではありません。
定款で定めた解散事由が発生した
定款で解散事由を定めている場合、その事由が発生したタイミングで会社が解散となります。
定款では、会社が解散するタイミング(解散事由)を自由に定めておくことが可能です。具体的には、以下のような解散事由が考えられます。
- 従業員が○人を下回ったら解散
- プロジェクトの完了に伴って解散
- 社長が○歳を迎えたら会社を解散する など
ただし、定款で解散事由を定めるケースは少ないため、解散の理由としてはあまり見られません。
株主総会で決議された
会社解散の要件として一般的なのが、株主総会で決議されたケースです。
株主総会において以下の2点を満たした時、特別決議で解散が可決され決議の日に会社解散となります。
- 議決権の行使が可能な過半数の株主が出席すること
- 株主の2/3以上が解散に賛成すること
特別決議は、過半数の賛成で決議される普通決議よりも条件が厳しいのが特徴です。
合併により会社が消滅した
合併により会社が消滅した場合、吸収合併された会社は解散します。
合併とは、複数の会社が1つになることです。 合併には以下のようなパターンがあります。
- 吸収合併: 合併する1社が存続し、残りの会社を吸収する
- 新設合併:設立した新会社に、複数の会社が吸収される
吸収合併された会社は、会社解散の手続きをしなければなりません。なお、解散する会社の権利義務は、存続する会社が引き継ぎます。
破産手続き開始が決定した
破産手続きが開始した場合も、会社解散の手続きが必要です。
負債が膨らんで経営の継続が難しくなった場合は、裁判所に破産の申し立てをします。申し立てが受理された後、裁判所に選任された破産管財人によって破産手続きが実施され、会社は解散となります。
裁判所による解散命令を受けた
法令に違反する行為を行い、公共の福祉を著しく害したと判断された会社に対して、裁判所が解散を命じるケースがあります。
裁判所から解散命令を受けた会社は、解散・清算しなければなりません。
休眠会社のみなし解散に該当した
休眠会社のみなし解散に該当した場合、会社が解散したものとして処理されます。
株式会社は会社法・第332条第2項によって、役員の任期が最長10年と定められており、10年に1度は役員の変更登記が必要です。
一方、 最後の役員登記から12年を経過した会社は、会社法・第472条1項の「休眠会社」に該当します。このような休眠会社は、事実上解散しているとみなされます。(休眠会社のみなし解散)
そして、法務大臣が休眠会社に官報公告を実施した場合、2ヶ月以内に登記申請しなければ、登記官の手で解散登記の手続きに入らなければなりません
会社を継続したい場合は、解散登記から3年以内に継続手続きを行う必要があります。
会社解散から清算の手続きの流れ
会社解散から清算までに必要な手続きは、以下のとおりです。
- 株主総会で解散を決議する
- 解散と清算人就任の登記を申請する
- 各機関に解散の届出を提出する
- 財産目録と貸借対照表を作成・承認を受ける
- 債権者保護手続きを行う
- 税務署に解散確定申告書を提出する
- 残余財産を確定して分配する
- 税務署に清算確定申告書を提出する
- 決算報告書を作成し承認を受ける
- 清算結了の登記を申請する
- 税務署に清算結了の届出を提出する
それぞれの手続きについて解説します。
1.株主総会で解散を決議する
会社の営業が終了したら、株主総会の特別決議で、解散決議を実施します。
具体的には、議決権の行使が可能な過半数の株主が出席し、2/3以上が解散に賛成することで、解散決議されます。解散決議を行う際は、以下の事柄を実施します。
- 決議書の作成
- 清算人(会社清算を実行する代理人)の選任
特定の日を定めない限り、解散決議のあった日が解散日となります。
ただし、解散決議をしても会社の法人格はまだ残っています。会社の法人格を消滅させるために、ここから清算手続きをスタートします。
なお、合同会社の解散決議は、株主総会特別決議ではなく 「総社員の同意」が必要です。
2.解散と清算人就任の登記を申請する
株主総会が終了したら、解散と清算人就任の登記を申請します。
解散登記は本店所在地にて、解散日から2週間以内に行わなければなりません。 登記には定款や株主総会議事録などが必要となります。
清算人は取締役が就任するケースが多いですが、専門家など、別の人物が選任されるケースもあります。
なお、清算人は裁判所が選任したケースを除き、いつでも解任することが可能ですが、その際は再度登記が必要です。
3.各機関に解散の届出を提出する
登記申請は法務局で行いますが、解散に関連する届出は他の関係各所に提出しなければなりません。具体的には以下のような各機関に、届出を提出します。
届出を提出する期間 |
提出する届出 |
税務署 |
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都道府県税事務所 |
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市区町村役場 |
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年金事務所 |
|
ハローワーク |
|
労働基準監督署 |
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上記のうち、特に雇用保険・社会保険関連の書類は、速やか提出が求められているため、ご注意ください。
また、飲食店などの場合は保健所などに廃業届を出す必要があります。さらに、業界団体や商工会に所属している場合は、当該団体の退会届を提出するようにしましょう。
4.財産目録と貸借対照表を作成し承認を受ける
会社の財産を整理するため、清算人は財産目録と貸借対照表を作成することが求められます。
株主総会で、作成した財産目録と貸借対照表が承認されたら、会社に保管しておいてください。
5. 債権者保護手続きを行う
続いて、債権者の保護手続きを実施します。債権者とは、会社に対して貸付金や売掛債権がある人・会社であり、債務を弁済する対象です。
保護手続きの方法には、主に以下2つの方法があります。
官報公告
国発行の機関紙である官報に、会社が解散したことを掲載し、債権者に知らせます。公告期間は2ヶ月以上設けなければなりません。そのため、会社の解散・清算手続きを2ヶ月未満で終わらせることは不可能、というわけです。
なお、公告期間内に申し出なかった債権者は、清算手続きの対象から除外されます。
個別の催告
帳簿記録などによって会社側で判明している債権者に対して、個別の通知(催告書の送付)を実施します。会社側で把握している債権者については、申し出がなくても清算手続きの対象から除外されません。
6.税務署に解散確定申告書を提出する
解散確定申告では「事業年度の開始日から解散日までの確定申告」を、解散日より2ヶ月以内に実施します。
会社の解散・清算に際しては「解散確定申告」ほか「清算確定申告」、さらに事業年度の終了ごとに、終了日より2ヶ月以内に実施する「清算事業年度の確定申告」の、最低3回の確定申告が必要となります。
7.残余財産を確定して分配する
貸付金や売掛金を清算人が回収し、債務返済を終えた後に残る財産を「残余財産」と言います。
残余財産は、最終的に株主に分配されます。
なお、残余財産が資本金を上回るほどある場合などは、みなし配当となり課税が高額となる可能性があります。 この場合は専門家などに相談し、節税対策を考える必要があるでしょう。
8.税務署に清算確定申告書を提出する
残余財産が確定した日から1ヶ月以内に「清算確定申告書」を提出します。
清算確定申告は、会社における最後の確定申告です。
なお、清算期間が長引くケースでは1年ごとに「清算事業年度の確定申告」が必要となるため、忘れずに確定申告を行ってください。
9.決算報告書を作成し承認を受ける
清算が完了次第、決算報告書の作成を実施しましょう。
その後、株主総会にて清算事務報告を実施し、承認を受けることで法人格消滅となります。
10.清算結了の登記を申請する
清算事務報告の承認後は、法務局(本店所在地の管轄)にて、清算結了の登記を申請しましょう。
登記には、決算報告書と株式総会議事録が必要です。
清算結了の登記は、清算事務報告の承認後「2週間以内」に申請する必要があります。
11.税務署などに解散の届出を提出する
最後に、以下のような公的機関に「異動届出書」を提出します。
- 税務署・都道府県税事務所
- 市区町村の役所
- 労働基準監督署
- 社会保険事務所 など
清算結了登記によって会社は消滅しますが、上記の機関にも忘れずに届出を行ってください。
異動届出書を提出した後、すべての清算手続きが完了します。
債務超過の会社が清算する方法
債務超過の会社が清算する場合は、特別清算もしくは破産を用いましょう。
そもそも債務超過とは、会社が保有している負債総額が資産総額を超過している状態のことです。
特別清算の場合は、会社が選任した清算人が財産を管理・処分できます。そのため、取引先との関係性を維持したまま清算できるのがポイントです。一方、破産手続きでは、裁判所によって選任された破産管財人が、会社財産の管理・処分を行います。破産に対してネガティブなイメージを持っている方も多く、特別清算の方がメリットが大きいといえるでしょう。
ただし、登記上個人で営んでいる会社の場合、特別清算は採用できません。そのため、清算のためには破産を選ぶ必要があります。
通常清算と特別清算の手続きの違い
通常清算と特別清算では、必要な手続きが大きく異なるため、違いを理解しましょう。
特別清算の手続きの流れは、以下のようにまとめられます。
1 | 株主総会で解散を決議する |
2 | 清算人を選任する |
3 | 財産目録と貸借対照表を作成・承認を受ける |
4 | 清算人が裁判所へ特別清算の申し立てを行う |
5 | 特別清算が開始し、負債額が確定する |
6 | 債権者集会で協定案を作成し、裁判所に提出する |
7 | 債権者集会で協定案を決議する |
8 | 裁判所の認可を受ける |
9 | 協定内容が実行される |
10 | 弁済後、特別清算結了の登記を申請する |
11 | 税務署などに清算結了の届出を提出する |
通常清算では、裁判所の関与が必要ありません。一方、特別清算では裁判所の監督のもと手続きを進める必要があります。
会社解散から清算の手続きにかかる費用
会社解散から清算では、手続きにおいて以下のような諸費用が発生します。
項目 | 費用目安 |
解散の登記 | 30,000円 |
清算人選任の登記 | 9,000円 |
清算結了の登記 | 2,000円 |
官報公告費用 | 40,000円前後 |
登記証明書取得費用 | 計数千円 |
株主総会開催費用 | 数万円~数十万円 |
専門家への報酬(登記や公告など) | 10万円前後 |
専門家への報酬(税務申告) | 15万円~ |
会社解散の手続きを司法書士・弁護士・税理士などの専門家に依頼し、株主総会も開催する場合、最低でも50万円以上の費用がかかると考えられます。
なお、会社解散の手続きを自分で行う場合、専門家への報酬は発生しませんが、手間がかかる点や手続きでミスをするリスクがある点はデメリットです。
会社解散から清算の手続きにかかる期間
会社解散から清算までの手続きにかかる期間は、少なくとも3ヶ月程度です。
前述のとおり、官報に載せる公告期間は2ヶ月以上と決められています。公告は、債権者に会社の解散を伝えて申し出を促すためのものであるため、一定期間掲載し続けなければなりません。
さらに、公告期間の満了後に株主総会で決算報告書の承認を得たり、清算結了後に登記したりすることも考えると、実際には3ヶ月程度の期間がかかると考えられます。
スムーズに清算結了したい場合は、少なくとも債権回収・債務返済などは公告期間中に終えることが重要です。
なお、会社の規模や固定資産や取引先の数などによっては、清算結了まで数年ほどかかるケースもあります。解散を急ぐ場合は、できるだけ早く解散手続きを進めてください。
会社解散から清算の手続きを円滑に進める方法
会社解散から清算の手続きを円滑に進めたい場合は、以下が重要です。
- 専門家に依頼・相談する
- 清算事務を官報公告の期間内に終わらせる
- 債務超過になる前に解散・清算する
- 解散前から準備する
ここでは、会社解散から清算の手続きを円滑に進める方法について解説します。
専門家に依頼・相談する
会社の解散・清算では、専門家に依頼・相談し、サポートを受けることが大切です。会社の解散手続きは複雑であるため、自社だけで行うことは困難でしょう。
会社の解散に際しては、各関係官庁へ届出が必要です。特に、法務局での登記申請では少しでも不備があれば受け付けてもらえません。何度もやり直しとなる恐れがあります。
もちろん、自身で会社の解散手続きを行うとは不可能ではありません。しかし、大きな手間と時間的なロスが生じる可能性があります。
会社解散から清算の手続きを相談できる先としては、、司法書士・弁護士・税理士などの専門家のほか、M&A(合併や買収)のコンサルタント企業も挙げられます。
清算事務を官報公告の期間内に終わらせる
清算事務を官報公告の期間内に終わらせることも重要です。
官報公告の期間には、並行して債権回収・債務支払などの清算事務を行います。。、清算手続きの中でも特に時間がかかる部分です。
期間内に清算事務が終わらないと、清算結了が遅れてしまいます。、官報公告の期間内に清算事務を終わらせられるよう、しっかりプランニングすることが欠かせません。
債務超過になる前に解散・清算する
債務超過に陥る前に、余裕を持って解散・清算手続きを進めましょう。
債務超過になった場合、通常清算では手続きできません。特別清算や破産を行う必要があり、裁判所の監督下で進める必要があります。
また、解散・清算手続きを後回しにして財務状況が悪化した結果、清算に必要な費用が用意できなくなる可能性もあるでしょう。
さらに、会社に対して貸付金がある経営者が清算前に亡くなった場合、貸付金に相続税が発生してしまいます。
このように、廃業を決めたら早めに解散・清算を行うことが大切です。
解散前から準備する
解散・清算に必要な準備は前もって進めておきましょう。
実際の清算手続きに着手するのは、株主総会の特別決議の後です。しかし、事前に準備を進めておくことで、スムーズに清算を結了できます。たとえば、関係各官庁への届出書類の作成は、前もって進められるでしょう。
会社解散手続きの注意点
会社解散手続きを行ううえでは、以下の点に注意が必要です。
- 清算人には義務が課せられる
- 財務状況を把握する
- 確定申告に注意する
ここでは、会社解散手続きの注意点を解説します。
清算人には義務が課せられる
通常清算・特別清算を実施する時に置かれる清算人には、以下のような義務が課せられます。
義務 | 内容 |
忠実義務 | 法令や定款、株主総会の決議内容の遵守など、会社に対して忠実に職務を行うこと |
競業避止義務 | 会社の承認を得ることなく、競業にあたる企業との取引を行わないこと |
利益相反取引の制限 | 会社の承認を得ることなく、会社の利益と相反するような取引を行わないこと |
報告義務 | 会社に著しい損害を及ぼす恐れがある事実を発見した時は、その事実を直ちに株主に報告すること |
清算人が上記の義務を怠り、会社に損害を与えた場合は、清算人が賠償責任を負わなければなりません。
そのため、上記の義務を遵守し、清算までの手続きを責任を持って終わらせられる人材を清算人として選定する必要があります。
財務状況を把握する
清算手続きを行う前に、今一度会社の財務状況を正しく把握することが必要です。
通常清算手続き中に債務超過の疑いが発覚したり、清算手続きに支障をきたすような事象が見つかったりした場合は、特別清算に移行する必要があります。
途中で清算形式が変わると、手続きにさらに時間がかかってしまいます。清算手続きをスムーズに進めるためには、事前に財務状況を正しく把握することが大切です。
確定申告に注意する
清算中の確定申告は、通常の確定申告と事業年度の扱いが異なるため注意が必要です。
清算中の確定申告では、事業年度開始日から解散日までを1つの事業年度として扱います。また、残余財産が確定した後、その年度の事業年度開始日から残余財産確定日までを「残余財産確定事業年度」として扱わなければなりません。
つまり、少なくとも2回の確定申告が必要です。解散日から残余財産確定の日までが1年以上ある場合は、さらに1年ごとに確定申告が必要であるため、注意しましょう。
まとめ
廃業を決めたら、会社の解散・清算手続きを進める必要があります。清算には任意清算・法定清算があり、法定清算はさらに通常清算と特別清算に分けられます。株式会社は、通常清算を実施するのが基本です。しかし、債務超過の場合は特別清算を採用しなければなりません。
清算には複雑な手続きが必要であり、3ヶ月程度の時間がかかります。スムーズに清算を完了させるためには、計画的に手続きを進めることや、専門家のサポートを受けることが大切です。
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