みなし配当とは?想定外の課税を回避するために制度や計算方法を紹介

2023年4月7日

みなし配当とは?想定外の課税を回避するために制度や計算方法を紹介

このページのまとめ

  • みなし配当とは、配当金が発生していなくても実質的な利益に対して課税する制度
  • みなし配当は、異なる税務処理をされることを防ぐための制度
  • みなし配当が発生するパターンは、株主への払い戻しや組織再編があったとき
  • みなし配当の税務処理や計算方法はケースにより異なる
  • みなし配当の中でも日本郵政の事例のように資本剰余金からの配当が増える傾向にある

「みなし配当という言葉は聞いたことがあるものの具体的にどのようなものか知らない」「みなし配当をした場合の税務処理の仕方がわからない」など、みなし配当について詳しく知らないという方も少なくありません。そこで今回は、みなし配当の概要やみなし配当が発生するケースなどについて説明します。具体的な事例も取り上げて解説しますので、ぜひ参考にしてください。

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みなし配当とは?

みなし配当とは、実際には配当金をもらっていないものの実質的な利益が発生したとして課税が行われる制度のことです。法人税法において定められています。
みなし配当が発生するシーンは合併、分割型分割、株式の分配、資本の払い戻しやその他資本剰余金による配当金、自己株式の取得、出資の消却や払い戻し、組織変更があります。それぞれの詳細は以下の通りです。

合併

非適格合併時に、対価として株式以外の現金等が配布される場合にみなし配当が発生

分割型分割

対価として株式以外の現金等が配布される場合にみなし配当が発生

株式の分配

100%子会社の株式を全て配当する組織を再編し、スピンオフ制度に該当する場合にみなし配当が発生

資本の払い戻しやその他資本剰余金による配当金
資本を直接払い戻した場合にみなし配当が発生

自己株式の取得

実質的に配当金と同じ扱いとなる資本部分を超える金額が発生した場合にみなし配当が発生

出資の消却や払い戻し

合同会社で出資の消却や払い戻しが行われた場合にみなし配当が発生

組織変更

「合同会社から株式会社に」などといった組織変更があった場合にみなし配当が発生

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みなし配当が必要な理由

みなし配当は、実際に配当が行われていないにもかかわらず、配当が行われたかのように税務処理されます。

みなし配当が必要な理由は、税制上の都合によるものです。例えば、自己株式を取得した場合にみなし配当が発生します。この理由として、自己株式の取得は資本の払い戻しにあたり株主側では譲渡所得に課税されてしまうからです。払い戻しの行為があった場合に、両者が異なる税務処理をしないために、みなし配当による処理が行われます。
このように、みなし配当は税制上の都合により必要です。

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みなし配当の注意点

みなし配当には、個人に高額な課税が課せられるかもしれないという注意点があります。なぜなら、みなし配当を個人が受けた場合、金額によって課税額が変わる配当所得として扱われるからです。高額な課税が課せられるケースがあるので、最終的な収入金額を正しく把握しましょう。

また、税務処理が少し複雑という注意点もあります。みなし配当の税務処理が複雑である理由は、みなし配当が発生したケースによって税務処理が異なるからです。誤った処理をしないように、みなし配当が発生した場合は税理士などの専門家に相談すると安心です。

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みなし配当が発生する2種類のケース

みなし配当が発生するケースは、大きく分けて会社から株主への払い戻しがあった場合と、組織再編に際してお金が発生した場合の2つです。ここからは、それぞれのケースについて詳しく解説します。

会社から株主への資本の払い戻しに関するみなし配当

会社から株主への資本の払い戻しがあった場合、みなし配当が発生します。

会社から株主への払い戻しが発生する代表的なパターンは、資本剰余金から配当金の支払いがあった場合・自己株式を取得した場合・会社解散に際しての残余財産を分配した場合です。これらのケースは、みなし課税が発生する実質的利益が出る場合があるため、みなし配当が発生することがあります。

株主への資本の払い戻しには、例えば企業が一時的な利益がない状況でも配当を行えるなどのメリットはありますが、企業の経済活動や投資に使える資金が減るというデメリットもあります。

税務申告時の注意点

資本剰余金からの配当の場合、利益剰余金からの配当とは異なり、税務申告においては「みなし配当」と「みなし配当以外(「みなし譲渡」とも呼ばれる)」に分かれます。みなし配当の部分は配当所得として源泉徴収の対象となりますが、みなし配当以外の部分は配当所得に該当しないため、原則として源泉徴収の対象にはなりません。

また、配当控除の対象でもありません。「みなし配当以外」についてはみなし譲渡損益を計算した上で、通常は確定申告が必要です。

「みなし譲渡損益」とは、実際に株式を売却しなくても、株式の売却が行われたかのように譲渡損益を計算するものです。税法の規定に基づき、配当が支払われた際に譲渡損益が発生するとみなされます。

そして株式を実際に売却した際に、今回の配当による調整後の取得価額を元にして株式の譲渡損益が発生することになります。実際に株式を譲渡した際の損益の計算は、各株主の状況に応じて異なります。

組織再編に際して発生するみなし配当

組織再編に際して発生するお金にもみなし配当が発生します。みなし配当が発生する代表的なパターンは、合併や会社分割をする際に組織再編の代償として、別会社の株式やお金を受け取った場合です。
合併と会社分割は異なる手法の組織再編ではありますが、どちらも対価として受け取る株式やお金は株主の出資の払い戻しであり、かつ会社がこれまで積み重ねてきた利益の還元として扱われます。そのため実質的利益に該当すると考えられ、みなし配当が発生するのです。

2つ以上の企業を1つにまとめるM&A手法の一つである合併を例にして説明します。

合併では、合併される企業の株主(以下、A社株主とします)が合併先の企業(B社)に株式を譲渡し、その代わりにA社株主は金銭またはB社の株式を受け取ります。

受け取った対価がA社株式を取得する際に支払った金額を上回れば、その差額は実質的な配当と見なされ、みなし配当が生じます。

ただし、合併においてみなし配当が発生するのは、非適格合併の場合に限られます。合併には、資産を簿価で譲渡する適格合併と時価で譲渡する非適格合併の2つのタイプがあり、適格合併の場合はみなし配当は発生しません。

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違法配当とは?みなし配当との違い

みなし配当と似ているものの、行うと違法となり罰せられるのが違法配当です。違法配当とは、配当可能な利益や可能として設けられている限度額を超え、株主への利益配当をすることです。
利益の配当には会社法によって上限が設けられており、上限を超えて配当することは認められていません。「みなし配当」のつもりが「違法配当」になっていないようにご注意ください。

「配当可能限度額」について

違法配当を知るにあたり、知っておくべき制度として配当可能限度額があります。前述の通り、会社法によって配当可能な利益には上限が設けられています。この上限が「配当可能限度額」です。
なぜ配当可能な利益に上限額が設定されているのかというと、配当を際限なく行ってしまうと会社の財産が無くなってしまい、破産してしまう恐れがあるからです。このような事態を未然に防ぐために、配当可能限度額が設けられています。

違法配当の定義

みなし配当も違法配当も本来と違う配当ではありますが、みなし配当は税制上で必要なため制定された制度である一方、違法配当は会社法に規定された、文字通りの違法行為です。
違法配当の事例としては、通常の決算で明らかに剰余金を超えた配当をした場合や、中間の配当時点では分配可能と扱われていたものの、決算時点では剰余金が無くなっていて配当原資が無くなっている場合などです。

違法配当を防ぐためには

粉飾決済などを行っていた場合を除けば、違法配当を故意にすることはほぼなく、意図せず刑罰を受ける結果になるケースがほとんどです。いつの間にか違法配当になっていないように、配当可能限度額を理解しておくことが大切です。また、純資産を増やしたり費用削減をすることも違法配当を防ぐことに繋がります。

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ケース別みなし配当の計算方法

ここからはみなし配当の計算方法をご紹介します。みなし配当の計算方法はケースごとに異なりますが、まずは基本的な計算方法を押さえましょう。
今回は基本的な計算方法とともに、ケース別のみなし配当計算方法もご紹介します。

基本的な計算方法

みなし配当金額は、みなし配当を受け取った株主の観点からは、以下の計算式で算出できます。

みなし配当金額=交付された金銭等の額-資本の払戻等により取得した金銭等の合計額

また、各項目の計算方法は以下の通りです。

資本の払戻等により取得した金銭等の合計額=払戻直前の資本金等の額×純資産減少割合
純資産減少割合=資本剰余金減少額 ÷(前期末の総資産―前期末の総負債)

基本的には、受け取った金銭等の金額から資本の払い戻しに相当する金額を差し引いて計算します。

一方、みなし配当を行った法人の観点から説明すると、以下の通りです。

  • 資本金等の減少額 =純資産減少割合 × 資本金等の額
  • 利益積立金の減少額 = 配当支払額 - 資本金等の減少額
  • 1株当たりのみなし配当金額 = 利益積立金の減少額 ÷ 発行済株式数

計算方法の具体例

ここからは、上記の計算方法をもとに具体例を挙げて実際にみなし配当金額を算出してみましょう。

例えば、500万円の金銭等を受け取ってそのうち300万円が資本の払い戻しに相当する場合、受け取った金銭等の金額は500万円で、資本の払い戻しに相当する金額は300万円です。そのため、計算式に当てはめると以下のとおりになります。

みなし配当金額=500万円ー300万円

したがって、みなし配当金額は200万円となります。

「非適格合併」のケース

非適格合併では、まずは1株あたりの資本金等の額を算出します。その後、1株あたりの資本金等の額から払戻相当の株式割合に応じて、資本の払い戻しが行われます。払い戻し分の金銭に対して、みなし配当の課税が行われます。
資本金などの額は「法人税申告書の別表5」にて毎期計算します。ただし、事業年度の途中で会社分割等があった場合は、当該事業年度の前期末現在の資本金等の額に、当該会社分割等があった時までの期間の法人税法施行令第8条各号に掲げる金額を加算または減算し、算出しなければなりません。

「合併」とは?

そもそも合併とは、M&Aで複数の会社を一つの会社に統合することです。M&Aとは「Mergers&Acquisitions(合併と買収)」の略称です。
買収とは企業が別の企業から株式や事業を買い取るスキームの総称のことであり、買収された企業は子会社などの形で法人として残りますが、合併された企業は法人格が残りません。法人格が残るか否かの違いが、合併と買収の違いです。

「非適格分割型分割」または「非適格株式分配」のケース

非適格分割型分割と非適格株式分配のみなし配当金額は、同様の手順で算出できます。具体的な計算手順は以下の通りです。

分割部分と分割法人全体の税務上の純資産額を割り出す
純資産額の比率を使って分割部分の資本金額などをそれぞれ算出する
2.で算出した金額をもとに、1株あたりの資本の払い戻しの金額を算出する
分割法人に関しては、税務上の純資産額の全体金額は前期末時点のものとして使うという注意点も把握しておきましょう。

分割とは?

そもそも分割とは、株式会社や合同会社などの会社の権利義務の一部、または全てを別の会社に承継することです。会社の分割は、吸収分割と新設分割の2種類に分けられます。
吸収分割とは、ある法人企業の事業部をすでに設立している別の法人へ移すことです。企業全体を他の法人へ移すのではなく、事業部、つまり企業の一部を他の法人へ移す形になります。
一方で新設分割とは、新しく設立した会社へ既存の事業を引き継ぐ会社分割のことです。元の会社から分割された部署が、そのまま別の企業に生まれ変わるイメージです。

「余剰資本・残余財産分配」のケース

余剰資本や残余資産を分配する場合は、分割と同様の計算方法を用います。具体的な計算方法は以下の通りです。

配当などの部分に対応する税務上の資本金などの額を算出する
1で算出した金額をもとに、1株あたりの資本の払い戻し金額を算出する
非適格分割型分割あるいは非適格株式分配の計算方法に比べると、比較的単純で簡単に計算できるでしょう。

「自己株式の取得」のケース

自己株式の取得は合併に近い計算方法ですが、自己株式を取得する法人が普通株式以外に種類株式を発行している場合は、計算方法が異なるため注意が必要です。種類株式とは発行する企業が、通常の株式とは異なる特典や制限を付与した株式のことです。

種類株式を発行している場合に計算方法が異なる理由は、種類株式は税務上では種類資本金額として、株式の種類ごとに別々に算定しなければならないからです。
株式の種類ごとの資本金などの算定は、株式を発行する会社が「種類資本金額の計算に関する明細書」で管理する必要があります。

みなし配当が発生しないケース

合併や企業分割、あるいは自己株式を取得すれば、必ずみなし配当が発生するというわけではありません。たとえば合併や分割が一定の適格要件を満たすものであれば、みなし配当は発生しません。また、自己株式の取得を証券取引所などの市場で行った場合も、みなし配当が発生しないケースに当てはまります。

この他、相続税の課税の対象である非上場株式を発行会社に譲渡した場合の特例など、みなし配当が発生しないケースはさまざまです。不明な場合は専門家に相談した方が良いでしょう。

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みなし配当にかかる税率

みなし配当には税金がかかります。しかし、税率は一律ではなくみなし配当を渡す企業が上場企業か、非上場企業かによって変わります。そこでここからは、上場企業と非上場企業それぞれのみなし配当にかかる税金の税率をご紹介します。

上場企業がみなし配当を渡す側の場合

上場企業が支払うみなし配当は配当所得に該当し、分離課税の対象にすることが可能です。上場企業がみなし配当を渡す場合、みなし配当の金額に対して20.315%の税額が源泉徴収されます。税率20.315%の内訳は、復興特別所得税を含む所得税が15.315%、住民税が5%です。

非上場企業がみなし配当を渡す側の場合

非上場企業からの配当所得は、総合課税になります。非上場企業がみなし配当を渡す側の場合、みなし配当の金額の20.42%の所得税が源泉徴収されます。

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立場別みなし配当の税務処理方法

ここからは、立場別のみなし配当の税務処理方法をご紹介します。

みなし配当を渡す側の法人

みなし配当を渡す側の法人における税務処理方法は以下の通りです。

  1. 配当額に応じて源泉徴収をする
  2. 1.の徴収額を配当を行った翌10日までに税務署に納付する
  3. 「配当等とみなす金額に関する支払調書」を、1カ月以内に税務署に提出する

また、株主にみなし配当を渡した場合は株主に対して法人税法の根拠条文・事由の生じた日・1株あたりのみなし配当の額・資本の払い戻し等に係る割合をそれぞれ通知しなければなりません。

みなし配当の通知義務

みなし配当に当てはまるような支払いを行う人は、支払いを受ける人に対してみなし配当の課税がかかることを通知しなければなりません。ただし、上場企業が配当をした場合は支払いを行う人ではなく、支払いを取り扱う人が通知をします。
通知を怠ると、源泉徴収の対象額などに誤りが生じるため、該当者がみなし配当の通知を行ってください。

みなし配当を受け取る個人株主

みなし配当を受け取る個人株主という立場だった場合、みなし配当金額は配当所得として税務処理します。

この際、配当所得は上場株式等の配当等と上場株式等以外の配当等に分けられます。

上場株式等の配当等の場合、一般的には確定申告が必要ですが、源泉徴収ありの特定口座の場合、証券会社によって計算が行われることもあるため、証券会社に問い合わせる必要があります。

非上場株式等の配当(上場株式等以外の配当)だった場合は総合課税で確定申告しなければなりません。この際、みなし配当に該当しない部分は20.42%の税率で処理します。

また、みなし配当に該当しない部分はみなし譲渡損益の計算を実施し、みなし譲渡益の場合は所得に含め、みなし譲渡損の場合は所得から控除します。

株式の取得価額の計算方法

税法では、株主による株式の取得価額の調整が必要となります。この調整は以下の式に基づいて行います。

  • 新しい取得価額=以前の取得価額―以前の取得価額×純資産減少割合

数値例として日本郵政の第16期末の配当の数値を見てみます。

  • 新しい取得価額=以前の取得価額―以前の取得価額×純資産減少割合(:0.017)

みなし譲渡損益の計算方法

みなし譲渡損益の計算式は以下の通りです。

みなし譲渡損益=収入金額とみなされる金額 (A)― 取得価額(B)

(A):収入金額とみなされる金額=払戻等により受け取った金額の合計―1株あたりのみなし配当額× 所有株式数

(B):取得価額=以前の取得価額の合計×純資産減少割合

ここで数値例として日本郵政株式会社の「第16期 期末配当に関するお知らせ」を見てみます。この事例についての詳細は後ほど説明します。

  • 収入金額とみなされる金額=払戻等により受け取った金額の合計―1株あたりのみなし配当額(:19.8477271101)× 所有株式数
  • 取得価額=以前の取得価額の合計×純資産減少割合(:0.017)

※参照元:日本郵政「第16期 期末配当に関するお知らせ

個人株主に課される所得税率

個人株主に課される所得税率は、上場株式等の配当の場合で該当の金額の20.315%です。20.315%の内訳は所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%です。

また、非上場企業からみなし配当を受けたケースやみなし譲渡益のケースでは、総合課税にて確定申告をする必要があります。その場合は、給与所得や事業所得などと合わせて所得を計算し、超過累進課税制度に応じて最高45%の所得税(住民税と合わせると55%になり、さらに所得税額の2.1%の復興特別所得税も発生)が課せられます。

みなし配当を受け取る法人株主

みなし配当を受け取る法人株主という立場だった場合、みなし配当金額は受取配当等の益金不算入の規定の適用対象です。

また、個人株主と同様に、みなし配当に該当しない部分はみなし譲渡損益の計算を実施し、みなし譲渡益の場合は加算、みなし譲渡損の場合は減算します。

日本郵政の第16期末の配当の事例の数値例:
みなし配当金額=1株あたりのみなし配当額(:19.8477271101)× 所有株式数

株式の取得価額の計算方法も、個人株主と同様です。

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みなし配当の確定申告

みなし配当には確定申告も必要です。ただし、必ずしも確定申告が必要というわけではなく、配当金額が10万円を超えるか否かで確定申告の必要性が変わります。
そこでここからは、みなし配当の確定申告について配当金額が10万円以下のパターンと10万円以上のパターンに分けて解説します。

配当金額が10万円以下のパターン

みなし配当金額が10万円以下の場合、原則として確定申告をする必要はありません。なぜなら、みなし配当金が発生した段階で源泉徴収が行われているからです。ただし、確定申告が必ずしも必要ではないというだけであり、確定申告をするとお得な場合もあります。
例えば、株式で損失を被っている場合は確定申告をした方がお得になりやすいです。なぜなら、確定申告をすることで株式で発生した損失を、配当金から差し引くことができるからです。つまり、確定申告をすることで節税効果につながります。

配当金額が10万円を超えたパターン

配当金額が10万円を超える場合は確定申告をする必要があります。なぜなら、源泉徴収を受けていても配当所得として総合課税に該当するからです。つまり、給料など他の収入とみなし配当が合計されて課税されます。
配当所得は累進課税方式を採用しています。そのため、所得総額が増えすぎると税額が大きくなったり、被扶養者の場合は扶養控除から外れる可能性もあるため注意が必要です。
なお、配当金額が10万円を超えていても総合課税として申告することから配当控除を受けることは可能です。

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日本郵政のみなし配当の事例

この章では日本郵政のみなし配当の事例について説明します。

事例概要

日本郵政の第16 期期末配当(期末は3月、配当は6月)に関しては、1株当たり50円が支払われました。

資本剰余金からの配当が行われた大きな理由は、利益剰余金が赤字になったことです。日本郵政の子会社であるゆうちょ銀行の株価が大幅に下落したため、企業会計基準に基づき、日本郵政が保有するゆうちょ銀行の株式の簿価を減少させる減損処理が行われました。その減損処理により、日本郵政単体の利益剰余金が赤字になったことで、資本剰余金からの配当が行われました。

日本郵政は、資本剰余金を一部削減してでも配当を行う理由として、内部留保を強化しつつ、資本の効率性を考慮し、株主への確実な利益還元の実現を目指していることを挙げました。

2021年3月期の期末配当については、企業の業績や法的な制約に関する規定を考慮した上での分配可能額などを総合的に勘案し、公表済みの配当予想通りに、1株当たり50円と決定したとのことです。

日本郵政はこの資本剰余金からの配当について、メリットとデメリットを一概に説明することは難しいとしています。その上で、日本郵政の個別決算において、ゆうちょ銀行株式の減損処理を実施した結果、当期に純損失が生じたため、今回の配当は資本剰余金から行われたと公表しました。

連結決算においては、この減損処理は親会社と子会社の間での内部取引とみなされ、日本郵政の連結業績には影響はない旨を説明しています。

資本剰余金からの配当とは

資本の払い戻しとされる資本剰余金からの配当金と通常の「配当」である利益剰余金からの配当金の違いは、配当金の原資です。

2021年度、東京証券取引所上場企業の中で資本剰余金から配当を支払った企業数が大幅に増加し、2009年のリーマン・ショック以降で最も多くなりました。さらに、上場企業全体の数に対して資本剰余金で配当を行った企業の割合も過去最高となりました。

利益剰余金からでなく資本剰余金から配当を支払う企業が増加した背景には、新型コロナウイルスの影響で業績が悪化し、利益剰余金の分配が不十分な企業が増加したことが考えられます。

資本剰余金からの配当を選択する理由

資本剰余金からの配当は、通常の利益剰余金からの配当が難しい場合に選択されるのが一般的です。具体的には、新型コロナウイルスの影響を大きく受け、業績が悪化して利益剰余金が不足する場合や一時的に大幅な損失(例:子会社株式の減損処理)が生じて、利益剰余金が不足した場合などです。

なお、中間配当は通常の年度末配当とは異なり、年度の途中で支払われるものを指します。資本剰余金から年度末に配当を行った企業は、翌年度に中間配当を行わない傾向がありますが、その理由は基本的に年度末配当と中間配当の財源が同じであるためです。

言い換えると、年度末に資本剰余金からの配当を行う企業は、通常、利益剰余金が不足しているかマイナスの場合が多いため、中間配当の財源が十分にないことが考えられます。過去に利益剰余金からの配当を行っていた企業でも、資本剰余金からの配当を行った後、中間配当を行わなくなった例が見受けられます。

日本郵政の税務処理

日本郵政の税務処理として、資本剰余金からの配当は「資本の払い戻し」として処理され、税法に基づいて「みなし配当」と「みなし配当以外」に分けられます。

「みなし配当」の部分は、税務上の配当所得として扱われ、源泉徴収の対象となります。一方、「みなし配当以外」の部分は、税務上の配当所得には該当しないので、源泉徴収や配当控除の対象にはなりません。

日本郵政にはみなし配当の通知義務があり、その義務は「第16期 期末配当に関するお知らせ」によって果たされています。この通知は、今回の配当金の税務上の取り扱いと株主に伝えるべき重要事項を説明するものであると日本郵政は述べています。

具体的な取得価額の計算や、日本郵政株式の売却に伴う譲渡所得税などは株主一人一人の状況に応じて異なるため、税務手続きに関する詳細情報は、口座管理機関(証券会社など)や最寄りの税務署、または税理士などの専門家に相談することを推奨しています。

参照元:日本郵政「第16期 期末配当に関するお知らせ

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まとめ

実際には配当金をもらっていないものの、実質的利益が発生したとして課税が行われる制度である「みなし配当」。みなし配当は課税の対象であり、パターンによって計算方法が異なっていたり、立場によって税務処理が違ったりするので複雑です。
特に昨今資本剰余金からの配当を実施する企業が増えているため税務処理について理解したおいた方が良いと言えるでしょう。思いがけず違法配当になったり、納税漏れが起きたりしないように、みなし配当について正しい知識を身につけましょう。

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