このページのまとめ
- 組織再編は会社の組織や形態を変更して編成し直すM&Aの手法のこと
- 組織再編は事業拡大による競争力の強化や縮小による合理化などを目的に行う
- 組織再編の手法は「合併」「会社分割」「株式交換」「株式移転」「株式交付」
- 組織再編は「株式交換」と「合併」のように複数の手法を組み合わせて行うこともある
- 会社の状況に合った適切な手法を専門家と相談して選択することが大切
「組織再編を実施することで、どのような弊害が起きるだろうか?」と心配している経営者の方もいるのではないでしょうか。組織再編を成功させるためには、実施によって起こりうる問題やその解決策をあらかじめ把握しておくことをおすすめします。
本記事では組織再編の手法や各手法のメリット・デメリット、手法の選び方などをご紹介します。ぜひ参考にしてください。
目次
組織再編とは
組織再編とは、会社の組織・形態を変更して編成し直すことをいいます。その手法は、会社法によって定められており、合併・会社分割・株式交換・株式移転・株式交付の大きく5つです。
組織再編は、同一グループ内の企業同士で行われるケースもあれば、グループ外の企業と行われるケースもあります。グループ内での組織再編は、複数の子会社の合併や会社分割によって、グループ企業の管理を効率化するために行われることが一般的です。一方、外部企業との組織再編は、通常、同業あるいは異業種の企業を買収して競争力を強化する目的で行われます。
M&Aにおいても会社法上の組織再編の手法が多く用いられており、新たな市場開拓やシナジーの創出、グループ会社の管理効率化、不採算事業の分離など、さまざまな戦略で実施されています。
参照元:デジタル庁「会社法」
組織変更との違い
組織再編と組織変更は、会社法上で異なるものとして定義されています。
組織変更は、『会社法』第五編の第一章に規定されている「組織変更」にあたり、主体となる会社が一つの法人格を維持したまま組織を変えることを指します。
例えば、株式会社が合同会社・合資会社・合名会社などのいわゆる持分会社に変わる、あるいは逆に持分会社が株式会社に変わる場合などが該当します。
これに対して組織再編は『会社法』第五編の第二章~第四章に規定されている「合併・会社分割・株式交換・株式移転及び株式交付」を指します。複数の法人格が関わり、合併や分割などを通じて法人格そのものを変更することを意味します。
参照元:デジタル庁「会社法」
M&Aとの違い
組織再編とM&Aは、同義で使われることが多いですが、厳密には2つの言葉の意味は異なります。組織再編は、ご紹介したように、会社法で定義される「合併・会社分割・株式交換・株式移転・株式交付」を指す一方で、M&Aはこれらにさらに「資本参加や合弁会社の設立」なども含みます。つまり、M&Aのほうがより広い意味で使われることが一般的です。
参照元:デジタル庁「会社法」
組織再編の2つの目的
組織再編の目的は、事業の拡大によって企業の競争力を強化することや、事業を縮小化・最適化することによって合理化・経営のスリム化を行うことです。
1.事業の拡大
業界における競争力を強化するため、あるいは異業種の会社組織を取り込んで多角化して新分野を開拓するために、他社の経営権や事業を取得することで事業を拡大します。グループの内外を問わず、必要な事業を統合・進化させることによって事業基盤を強化します。
2.事業の縮小・最適化
不採算事業から撤退して、採算性を改善する目的で事業規模を縮小させます。また、高収益事業へ経営資源を集中させることによって、事業を強化して経営を最適化します。グループ内事業の統廃合によって経営の効率化を図り、グループとしての事業のあり方を再構築するといった目的もあります。
M&Aにおける組織再編の5つの手法
概要 |
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合併 |
複数の会社が合体して一つの会社をつくること |
会社分割 |
一部の事業を分割して別会社に承継すること |
株式交換 |
既存の会社間で株式を交換すること |
株式移転 |
子会社が持つ株式の全部を、新たに設立する親会社に譲渡して、完全子会社と完全親会社の親子関係を作り出すこと |
株式交付 |
株式会社が、他の株式会社を子会社化するために対象の会社の株式を譲り受け、対価として自社の株式を交付すること |
M&A(Mergers & Acquisitions)は、文字通り企業の「合併と買収」を意味します。M&Aにおける組織再編では、会社法で定義されている「合併・会社分割・株式交換・株式移転・株式交付」の5つが基本的な手法(スキーム)として用いられます。
ここからは、組織再編の5つの手法について解説します。
1.合併
合併とは複数の会社が合体して一つの会社をつくることをいいます。会社の統廃合の仕方によって「吸収合併」と「新設合併」の2種類の手法に分けられます。
- 吸収合併:一社の名前で登記して合併すること(存続会社以外は消滅)
- 新設合併:新会社を設立して合併すること(既存の会社が全て消滅)
新設合併の方が煩雑になりやすくコストもかかりますが、対等な合併としてポジティブなイメージになりやすいメリットがあります。いずれの場合でも、経営資源が1社に集約されることが合併の特徴です。
2.会社分割
会社分割とは、一部の事業を分割して別会社に承継することです。分割の仕方によって「吸収分割」と「新設分割」の2種類の手法に分けられます。
- 吸収分割:切り離した事業を既存の会社に移すこと
- 新設分割:切り離した事業を新会社に移すこと
個々の事業単位で分割できるほか、その事業に関わる経営資源も移動するため、主に不採算の事業を切り離して利益を維持する目的で用いられています。事業を承継する側は、その事業を自社の事業に統合することで、組織体制を強化できるメリットがあります。
3.株式交換
株式交換とは、既存の会社間で株式を交換することです。ある企業を完全子会社化しようとする際に、子会社化を狙う対象企業に対して株式の全部を取得させて、親子関係を作り出す目的で行われます。
株式交換によって完全親会社になると、取得した株式の対価を完全子会社の株主に割り当てる仕組みとなります。この株式交換は、1999年の商法改正の際に創設された制度です。
関連記事:株式交換とは?実施のメリット・デメリットや事例をわかりやすく解説
4.株式移転
株式移転とは、子会社が持つ株式の全部を、新たに設立する親会社に譲渡して、完全子会社と完全親会社の親子関係を作り出す手法です。
完全親会社が取得した株式の対価を完全子会社の株主に割り当てるといった意味では株式交換と同様ですが、株式移転は親会社を新設する点に違いがあります。
株式移転は持株会社(ホールディングス)を設立する際によく用いられる手法でもあり、会社を所有・管理する機能と実際の経営を分離できることから、近年とくに注目されています。
5.株式交付
株式交付とは、株式会社が、他の株式会社を子会社化するために対象の会社の株式を譲り受け、対価として自社の株式を交付する手法のことです。既存の株式交換と異なり、完全子会社にならない範囲で他社を子会社化できる仕組みです。
新たなM&Aの手法として、2019年の会社法改正によって導入され、2021年3月に施行されました。
複数の手法による組織再編
組織再編は、一つの手法によるものだけではありません。以下のように、複数の手法を組み合わせて行うケースもあります。
手法[1] |
手法[2] |
組織再編の狙い |
株式交換 |
吸収合併 |
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株式交換 |
吸収分割 |
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例えば「株式交換と吸収合併」のケースでは、先に株式交換を行い、合併する企業を完全子会社化し、人事制度の統合などを進めておきます。グループ子会社として安定的に機能し始めた段階で吸収合併し、組織再編による効果を最大限得るための手法です。
その後の吸収合併により、証明会社の経営資源を取り入れることで、新規事業を一から始めるよりも効率的に事業化を進められるでしょう。存続会社が既に手がけている事業の場合も、吸収合併によって新たな取引先やノウハウを獲得し、事業の強化が実現します。
「株式交換と吸収分割」のケースにおいても、先に株式交換を実施した後で、吸収分割を行います。吸収分割によって、事業を切り離す側は、成長事業にリソースを集中的に投下することが可能になるでしょう。一方、事業を承継する側は、当該事業を自社の事業に統合することで、事業の強化を見込めます。
組織再編の成功率を向上させるために、戦略に応じてうまく手法を組み合わせて実行することも有効です。
組織再編の各手法におけるメリット・デメリット
主なメリット |
主なデメリット |
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合併 |
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会社分割 |
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株式交換 |
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株式移転 |
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株式交付 |
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M&Aにおける組織再編の手法について、それぞれのメリット・デメリットを解説します。どの方法がよいかは、経営状況を踏まえて慎重に判断する必要があります。
1.合併のメリット・デメリット
合併によるメリットは、主に以下の4点です。
- 部門を統一することによってコストを削減できる(管理部門など)
- 資金の増加によって金融機関や取引先の信頼が高まる
- 相互に技術・ノウハウを補完できる(シナジー効果)
- 余剰人員を再配置して適正化できる
合併に伴って経営資源が統合されるため、経営を最適化するためのさまざまな戦略を検討できるようになります。
合併によるデメリットは、主に以下の3点です。
- 現場における合併の作業の負荷が大きく本業に影響を与える懸念がある
- 株価が下がる可能性がある
- スケールが拡大することで、組織内の文化が変化するリスクがある
なお、合併には「吸収合併」と「新設合併」があります。先述した「合併」のメリット・デメリット以外の、それぞれのメリット・デメリットは以下をご参照ください。
メリット |
デメリット |
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吸収合併 |
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新設合併 |
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2.会社分割のメリット・デメリット
会社分割は、不採算部門を切り離すことや、新事業を独立させることを目的として実施されます。メリットには、以下が挙げられます。
- 一部の事業のみを譲渡できる
- 消費税非課税などの税法上の優遇が受けられる
- 意思決定を迅速化できる
- 買収資金が不要(現金不要)
- 従業員の個別の同意が不要
分割した事業を専門的に扱う別会社に承継することで、別会社の事業が強化されます。お互いに生まれたメリットを活かすことがポイントです。
会社分割の主なデメリットは、以下のとおりです。
- 買い手企業が上場企業である場合、一株あたり利益が減少し株価が下落するリスクがある
- 簿外負債などを承継する可能性がある
会社分割は、さらに「吸収分割」と「新設分割」に分けられます。それぞれのメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット |
デメリット |
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吸収分割 |
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新設分割 |
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3.株式交換のメリット・デメリット
株式交換のメリットとして、以下が挙げられます。
- 子会社が法人格を持ち独立性が保たれる
- 親会社の経営に参加できる
- 組織変更が少なく早期にシナジー効果が期待できる
- 株主個別の同意なく全株式を取得できる
- 買収資金が不要(現金不要)
組織が統合されず、互いの事業体制が維持されることがポイントとなります。また、株式の取得・交付の手続きだけで、迅速にM&Aを実施できることもメリットです。
一方、株式交換のデメリットは、主に以下の2点です。
- 買い手企業の株主構成が変化する
- 株主や債権者が多いほど手続きが煩雑で長期化する
株式交換では買い手企業が売り手企業の株式を取得するため、買い手企業の株主構成が変化してしまいます。 売り手企業の株主が加わることで、相対的に議決権比率が下がる既存株主が現れる可能性もあります。
4.株式移転のメリット・デメリット
株式移転を実施するメリットは、以下の通りです。
- 子会社が法人格を持ち独立性が保たれる
- 企業文化を統一する必要がない
- 組織変更が少なく早期にシナジー効果が期待できる
- 買収資金が不要(現金不要)
- 課税の繰り延べが可能
株式移転を行うデメリットとしては、以下の2点が挙げられます。
- 新会社を上場する場合、市場の期待次第では、株価が移転前よりも下がるケースがある
- 買い手企業の株主構成が変化してしまう懸念がある
新会社の1株あたりの利益は、元の企業よりも小さくなることが想定されます。子会社を傘下に入れることにより管理する会社数が増え、管理コストが増加し、利益減少につながるケースが多いためです。
また、単独株式移転では株主構成は変化しませんが、共同株式移転では株式構成が変化するリスクが生じます。単独株式移転とは、一つの法人が単独で株式移転を行う手法で、共同株式移転とは、
複数の株式会社が共同で株式移転を行い、発行済株式の全部を新設会社に取得させる手法のことです。売り手企業の株主が買い手企業の株主となるため、買い手企業である完全親会社の株主構成が変化してしまう可能性があります。
5.株式交付のメリット・デメリット
株式交付によるメリットは、主に以下の3点です。
- 完全子会社化する必要がない
- 株式を利用できるため資金調達が不要
- 税制上の優遇を受けるハードルが低い
株式交付では、対象となる子会社を完全子会社化する必要がありません。そのため、経営上で必要な持分までの株式を取得すればよい点がポイントです。
株式交換による組織再編では、対象となる子会社を完全子会社化する必要があり、親会社の株式は子会社の株主に交付され、旧子会社の株主が親会社の株主に加わります。株主としての意見が対立した場合、会社が混乱して経営に影響を及ぼすリスクが生じます。しかし、株式交付では、親会社の株主に加わる子会社の株主の数が少ないため、トラブルが生じる可能性を抑えられることがメリットです。
また株式交付では、対価として自社株を交付するため、現金を調達する必要がなく、資金調達の負担が軽減されます。株式交換と同様にみえますが、完全子会社化が条件の株式交換と比べ、取得する子会社の株式の数が少ないため、より資金調達の負担を抑えられます。
さらに、株式交付で税制上の優遇を受けるには、対価として支払う自社株の比率が全体の8割以上であることのみが条件です。株式交換よりも税制優遇を受けるためのハードルが低いこともメリットといえるでしょう。
一方、株式交付のデメリットとしては以下の2点が挙げられます。
- 株式会社以外の組織(合同会社など)や外国法人は、子会社化できない
- 2021年の会社法改正で施行された新しい制度のため、情報が少ない
株式交付の手法では、合同会社をはじめとした株式会社以外の組織や、外国法人を子会社化、親会社化することはできません。クロスボーダーM&Aでこの手法を用いることは難しいと考えられます。また、2021年に施行された新しい制度のため、今後新しい論点や未知の課題が生じる可能性がある点もデメリットの一つです。
組織再編手法を選ぶ7つのポイント
組織再編の手法を選ぶ際は、以下の項目をチェックしておくことが重要です。
- 組織再編の目的が達成可能か
- 会社法に則っているか
- 将来にわたって利益が見込めるか
- 再編コストは妥当か(システム費用・人件費・コンサル報酬など)
- 従業員の士気に悪影響を及ぼさないか
- 税制上のメリットがあるか
- 目的にかなった専門家を選んでいるか
組織再編は、複数の外部企業との間で法人格の取得・消滅などが行われるため、高度な経営判断が求められます。専門家の意見を踏まえつつ、十分に検討することが重要です。
組織再編に伴う3つの問題と解決策
組織再編の実施にあたって、さまざまな問題が生じる可能性があります。
会社規模の変化や異なる企業文化との出会いによって、従来の考え方やワークフローを見直す必要が出てくることもあります。
ここからは、組織再編によって生じる問題とその解決策について解説します。
1.社内ルールの変更や企業風土のミスマッチ
合併を実施すると、人事制度・福利厚生などのルールを変更・統合する必要があります。異なる社風やワークフローに変更になることによって、従業員に混乱が生じるおそれもあります。
このような問題を防ぐには、組織の経営・業務・意識を統合するプロセス「PMI(Post Merger Integration)」に取り組む必要があります。
2.組織再編コストの増大
組織再編では、買い取り資金などのほかにもさまざまな費用が発生します。発生するコストとして、以下が挙げられます。
- 専門家へのコンサルティング費用
- 弁護士・行政書士等への報酬
- システム統合の時間と費用
組織再編計画を立てる際は、発生するコストについて洗い出しておくことが欠かせません。
3.求める人物像の変化
組織再編に伴って業務が統合される場合、従業員に要求されるノウハウ・スキルが異なることが障害になる場合があります。
このような場合には、新しい人材を投入することや、配置転換によって適材を配置することを検討しましょう。また、業務マニュアルを策定してフローを標準化したり、新しい業務に従事してもらう際に研修を実施したりといった従業員へのサポートも必要です。
組織再編に関わる2つの税制
要件など |
再編で移転する資産・負債 |
移転時の課税 |
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適格組織再編 |
組織再編によって経済の実態が実質的に変わらない |
帳簿価額で評価 |
発生しない |
非適格組織再編 |
上記の要件を満たさない |
時価で評価 |
発生する |
組織再編に係る税制上の取扱いについて解説します。
組織再編税制には、以下の2つがあります。
1.適格組織再編
組織再編の前後で経済の実態に実質的な変更がない場合は「適格組織再編」とみなされ、資産・負債は薄価で移転できます。この場合、資産の移転時に課税されず、繰り延べとなることが特徴です。
2.非適格組織再編
適格組織再編にあたらない場合は、非適格組織再編となります。資産の移転時に課税(譲渡益課税)されるため、評価損益を計上しなければなりません。
また、資産・負債は時価で移転するため、含み損がある場合には計上することで課税所得を抑えられるメリットがあります。
組織再編の事例
ここからは、以下の組織再編の具体的な事例をご紹介します。
- GMOインターネットによるOMAKASEの子会社化
- 三菱UFJリースによる日立キャピタルの吸収合併
- 商船三井による人材関連事業の会社分割
それぞれの組織再編における手法や組織再編の狙いなどは、以下のとおりです。
組織再編の手法 |
当該手法を選択した理由 |
組織再編の狙い |
実際の効果 |
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GMOインターネットによるOMAKASEの子会社化 |
株式交付 |
株式交付の手法がGMOグループの経営方針に合っていたため。子会社化した後も、子会社の経営陣を変更することなく、継続的に事業にコミットしてもらうことを経営方針にしている |
OMAKASE:GMO インターネットグループの経営ノウハウやブランド力の活用が可能になる GMOインターネット:シナジー効果を享受できる |
― |
三菱UFJリースによる日立キャピタルの吸収合併 |
吸収合併 |
企業価値向上のため旧2社を傘下に置く持ち株会社制の導入も検討した。しかし、銀行法の影響で事業範囲が狭まることやシナジーを最大限に発揮するためには、経営統合(吸収合併)が最適と判断 |
相互補完による競争力の強化 |
2021年3月の当期純利益553億から24年3月期に100億増のシナジー効果を見込む →2023年3月期で既に1,162億(+609億) |
商船三井による人材関連事業の会社分割 |
会社分割 |
― |
商船三井キャリアサポートの一層のサービス向上を図り、その事業価値を維持・向上させるため |
商船三井キャリアサポートは親会社である商船三井からの業務受託に集中し、譲受側のパーソルホールディングスは人材関連事業のさらなる拡大を図っている |
各事例を解説します。
参照元:
GMOインターネット株式会社「人気飲食店の予約管理サービスを展開する株式会社 OMAKASEの株式交付(簡易株式交付)による子会社化に関するお知らせ」
三菱UFJリース株式会社「経営統合後の主要株主に関するお知らせ」
株式会社商船三井「パーソルテンプスタッフ株式会社による商船三井キャリアサポート株式会社の一部事業承継について」
GMOインターネットによるOMAKASEの子会社化
2021年5月、GMOインターネット株式会社(以下、GMOインターネット)は、OMAKASE株式会社(以下、OMAKASE)を株式交付によって取得し子会社化しました。GMOインターネットはインターネット関連事業を行う企業であり、OMAKASEは、飲食店予約管理サービス「OMAKASE」を展開する企業です。GMOインターネットは、OMAKASEの株式61.5%を簡易株式交付によって取得しています。
OMAKASEが持つ顧客基盤と、GMOインターネットグループが展開するEC支援事業、決済事業とでシナジーが見込めると判断したのが、子会社化の理由です。また、OMAKASEにおいて、GMO インターネットグループの経営ノウハウやブランド力を活用し、両社の中長期的な企業価値向上も見込み、子会社化を行いました。
組織再編に株式交付を選択した理由としては、株式交換制度と異なり、子会社化する際も完全子会社化する必要がなく、OMAKASEの現経営陣のままGMOインターネットグループに参画できる点を挙げています。さらに、OMAKASEの経営陣にGMOインターネットグループの株式を交付することが、GMOインターネットグループの企業価値の向上に向けた動機づけにつながると判断し、株式交付制度を利用したとしています。
参照元:GMOインターネット株式会社「人気飲食店の予約管理サービスを展開する株式会社 OMAKASEの株式交付(簡易株式交付)による子会社化に関するお知らせ」
三菱UFJリースによる日立キャピタルの吸収合併
2021年4月、ともにリース業界大手の三菱UFJリース株式会社(以下、三菱UFJリース)が日立キャピタル株式会社(以下、日立キャピタル)を吸収合併しました。三菱UFJリースを存続会社として日立キャピタルを吸収し、日立キャピタルは3月に上場を廃止し、三菱HCキャピタル株式会社(以下、三菱HCキャピタル)が発足しています。
三菱HCキャピタル発足時の株主構成で日立は13.57%を保有しますが、三菱商事が16.39%、MUFJが14.2%と三菱色が鮮明になります。
旧2社はもともと資本業務提携関係にあり、合併の主な目的は、相互補完による競争力の強化です。三菱UFJリースは航空機やエンジンリースなどアセットビジネス、日立キャピタルはメーカー系として販売金融に強く、得意分野が異なります。
また成長領域に関しても、今後の拡大が見込まれる再生可能エネルギー発電所事業に関して、三菱UFJリースは太陽光、日立キャピタルは風力の実績が豊富です。双方の知見を共有することで事業の拡大を目指します。
参照元:三菱UFJリース株式会社「経営統合後の主要株主に関するお知らせ」
商船三井による人材関連事業の会社分割
2019年1月、商船三井キャリアサポート株式会社(以下、MCS)は、人材派遣・紹介事業を会社分割し、パーソルテンプスタッフ株式会社(以下、パーソルテンプスタッフ)に譲渡しました。MCSは、株式会社商船三井(以下、商船三井)の傘下の会社です。
MCSは、貿易・国際物流業界向けがメインの人材事業を発展させてきました。しかし、取引先企業と就労スタッフそれぞれへの一層のサービス向上を図り、その事業価値を維持・向上させるために、パーソルテンプスタッフへ譲渡することを決定しました。
この会社分割によって、MCSは親会社の商船三井からの業務受託に集中し、パーソルテンプスタッフは人材関連事業のさらなる拡大を目指しています。
参照元:株式会社商船三井「パーソルテンプスタッフ株式会社による商船三井キャリアサポート株式会社の一部事業承継について」
まとめ
組織再編とは、会社の組織・形態を変更して編成し直すことです。その手法は、会社法によって「合併・会社分割・株式交換・株式移転・株式交付」の5つと定められています。事業の拡大による企業の競争力の強化や、事業を縮小・最適化することによる合理化・経営のスリム化などが、組織再編の主な目的です。
組織再編の手法は、「組織再編の目的が達成可能か」「将来にわたって利益が見込めるか」「従業員の士気に悪影響を及ぼさないか」などの側面から選択することをおすすめします。
実際に組織再編を行うことで、さまざまな問題が生じる場合があります。そのため、人事制度やワークフロー、求める人材像などを見直す必要が出てくる可能性があることを知っておきましょう。また、組織再編コストが増大するリスクもあります。
組織再編は、手法の選択も含めて専門知識が求められます。成功させるためには、専門家の協力は欠かせません。組織再編に関する実績が豊富な、信頼できる専門家に依頼しましょう。
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