サイトM&Aとは?サイト売買の相場やメリット、注意点などを解説
2024年3月29日
このページのまとめ
- サイトM&AはWebサイトの売買を指す
- サイトM&Aは事業譲渡の枠組みで行われることが主流
- サイトM&Aの相場は月間利益の20~30ヵ月分
- サイトM&Aの件数は増えており取り扱う仲介会社も増加傾向にある
- サイトM&Aを成功させるためには仲介会社に相談するのがおすすめ
「サイトM&Aを行いたいが、相場がわからず、適正な価格で売買できるかが不安」といった悩みを抱えている経営者の方もいるのではないでしょうか。Webサイトは取引価格にバラつきが大きいため、直接交渉が難しい傾向にあります。
本記事では、サイトM&Aの相場や動向、メリット・デメリットなどを解説します。Webサイトの需要を決める要素や注意点もお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
目次
サイトM&Aとは
サイトM&Aとは、WebサイトのM&A(売買)のことです。M&Aとは、「Mergers and Acquisitions(合併と買収)」の略で、一般的には企業の合併や買収を意味します。
サイトM&Aは「サイト売買」とも呼ばれ、サイト運営事業を譲り渡す、M&Aの事業譲渡の枠組みで行われることがほとんどです。アフィリエイトサイトやECサイトのほか、ニュースサイトなども売買されており、サイトM&Aの対象範囲は多岐にわたります。
サイトM&Aの動向
近年、M&Aの件数は増加傾向にあります。サイトM&Aの動向として挙げられるのは、以下の4点です。
- M&Aの件数は増加傾向にある
- 取り扱う仲介会社も増えている
- 取引価格にバラつきがある
- M&Aの対象範囲は広い
それぞれの内容を解説します。
M&Aの件数は増加傾向にある
サイトM&Aの取引件数は、近年は増加傾向にあります。サイトM&Aの件数が増え、取り扱う仲介サービスが登場したのは2005年頃です。
Webサイトの売買が盛んになってきた背景には、事業の強化のために個人サイトが増加したことが挙げられます。Webサイトを運営をすることでサービス・商品を販売し収益を上げられるため、Webサイトの需要が高まったといえるでしょう。
取り扱う仲介会社も増えている
件数が増加したことにより、サイトM&Aを取り扱うM&A仲介会社も増えています。これまでM&Aは、大企業がその大部分を取り扱ってきました。近年ではさらに、中小規模のM&A仲介会社への拡大がみられます。低額の取引価格でもサイトM&Aが行われるケースが増えたためと考えられます。
サイトM&Aを取り扱う仲介会社の数が増えているだけでなく、他のM&A業者と差別化戦略を図るためにWebサイトを中心に取り扱うM&A仲介会社が増えていることも、近年の動向です。
M&Aの対象範囲は広い
サイトM&Aでは、法人のWebサイトから個人が運営するWebサイトまで取引が行われています。取引額も、数十万円から数十億円と幅広いのが特徴です。小規模なサイトでもサイトM&Aの取引の対象になっているのがポイントです。
さらに今後もWeb分野の発達が期待されており、これまで以上にサイトM&Aの対象が広がっていくと考えられます。
サイトM&Aの手法
サイトM&Aは、「事業譲渡」の手法を用いるのが主流であり、案件によっては吸収分割や株式譲渡が用いられることもあります。ここでは、サイトM&Aでもっともオーソドックスな手法である、事業譲渡について解説します。
事業譲渡は、会社が営む「事業の全部または一部」を、他の会社に譲渡する行為を指します。事業とは、一定の目的のために組織された、有機的一体として機能する財産です。
有機的一体として扱うため、個々の資産や契約ではなく、その事業の資産や負債はもちろん従業員や契約、取引関係などすべてを一体として捉えることを意味します。債務のほか、知的財産やブランド、顧客リストや契約などの無形資産も含む包括的な概念であることを押さえてください。
サイトM&Aでは、以下のようなものが譲渡対象に該当します。
権利義務の事例 |
詳細 |
ドメイン・サーバー関連 |
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プログラム・コンテンツ関連 |
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会員やユーザー関連 |
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人材関連 |
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その他 |
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事業譲渡では、企業間では有形・無形を問わず、財産が一括して譲渡されることが基本です。しかし、手続き上は、上記のような権利義務を個別に承継する必要があります。
サイトM&Aの相場
サイトM&Aの相場は、1ヵ月分の平均利益の20~30ヵ月分といわれています。つまり、高い利益を出しているサイトであれば、より高い価格で売買されるのがポイントです。ただし、この価格はあくまでも目安であり、買い手側が同意をすれば、たとえば平均利益の5年分や10年分などの価格で売却されることもあります。
サイトM&Aのメリット・デメリット
ここからは、サイトM&Aを実行することによる、売り手側・買い手側のメリットとデメリットは、以下のとおりです。
メリット |
デメリット |
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売り手側 |
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買い手側 |
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サイトM&Aの実行によるメリットとデメリットを、売り手側と買い手側の双方の視点から解説します。
売り手側のメリット・デメリット
ここでは、サイトM&Aを実施することによる、売り手側のメリットとデメリットを解説します。
メリット
サイトM&Aによって得られる売り手側のメリットは、主に以下のとおりです。
- 中核事業にコストやリソースを集中できるようになる
- 多額のキャッシュを得られる
M&Aによって、経営戦略上の優先順位が高いWebサイトのみを残し、他のWebサイトを売却して整理することで、中核事業にコストやリソースを集中できるようになります。
業界やビジネスモデルによって差はあるものの、Webサイトの運営には基本的にコストや手間を要します。そして、コストや手間をかけたからといって、アクセス数や収益性などが高まるとは限りません。選択と集中によって、事業の効率化が実現するでしょう。
多額のキャッシュを得られることも、サイトM&Aのメリットの1つです。サイトM&Aの相場は1ヵ月分の利益の20〜30ヵ月分といわれており、数年分の利益にあたる、まとまった資金が一度に得られます。サイト訪問者からみて有益な情報が掲載されたWebサイトや、訪問数が多いサイトなどは高い価格で売却される可能性があります。
デメリット
サイトM&Aを実行することで懸念される、売り手側のデメリットは以下のとおりです。
- 手続きに手間がかかる
- 競業避止義務契約を締結している場合は、ノウハウを活かして事業を行えない
サイトM&Aに限らず、M&Aは手続きに手間や時間がかかります。買い手側との交渉が成立しても、それで終わりではありません。成立後にいくつものプロセスがあり、それぞれの手続きは煩雑で、専門的な知識を要します。
また、競業避止義務契約を締結している場合は、一定期間が経過するまで、Webサイトの構築や運営のノウハウを活かして事業を行えない点にも注意しましょう。
一般的な競業避止義務は、たとえば従業員に対しては、退職後に同業他社に就職しない、勤め先に対して損害をもたらすような行為をしないといった内容が該当します。
M&Aにおける競業避止義務とは、通常は、M&A成約後に売り手企業に課される競業禁止の義務のことです。M&Aの後に売り手企業が同じような事業を行い、買い手企業と競合し不利益を与えることを防ぐことが目的です。
買い手側のメリット・デメリット
買い手側における、サイトM&Aのメリットとデメリットについても解説します。
メリット
サイトM&AでWebサイトを買収するメリットは、以下のとおりです。
- 手間や時間をかけずにインターネットを活用した事業規模拡大が図れる
- 既存事業と組み合わせることで、既存事業の価値を高められる
買い手企業は、サイトM&AでWebサイトを買収することで、手間や時間をかけずにインターネットを活用した事業規模の拡大を図ることが可能です。とくに、これまで事業を行ってこなかった市場への新規参入の際に、サイトM&Aによる買収をするケースが多い傾向にあります。
Webサイトの訪問者を増やすには、ある程度の時間を要します。すでに多くの訪問者を集めているWebサイトを買収すれば、新規参入時によくある、訪問者が少ない悩みを抱えずに済むでしょう。人気を確立しているWebサイトを買収するため、新規事業の売上は順調に伸びていく可能性が高いです。また、新規メディア立ち上げに必要な人件費や、作業時間なども抑えられるでしょう。
さらに、買収したWebサイトを既存事業と組み合わせることで、既存事業の価値を高める効果も期待できます。たとえば、スポーツ用品のECサイトを運営している企業が、スポーツに関する情報を発信する人気のWebサイトを買収した場合、既存のWebサイトにユーザーを誘導できるでしょう。その結果、既存のECサイトの売上の向上を期待できます。
デメリット
一方、買い手企業のデメリットとして挙げられるのは、以下の点です。
- 買収したWebサイトは、変更を加えることが難しいケースがある
- 詐欺などのトラブルに巻き込まれることがある
買収したWebサイトは、変更を加えることが難しい場合があります。買収したWebサイトに大きな変更を加えると、既存のサイトを支持するユーザーの期待に反することになり、ユーザー離れが起きてしまう可能性があるためです。
また、サイトM&Aに関する十分な知識を持たない場合、詐欺などのトラブルに巻き込まれるリスクがあることに注意が必要です。そのため、買収する予定のWebサイトの実態や契約内容を、しっかりと確認することが不可欠といえるでしょう。
M&A対象となるサイトの需要を決める要素
サイトM&Aの対象となるWebサイトの需要を決めると考えられる要素は、主に以下の6点です。
- PV数・ユーザー数
- 専門性
- 価格帯
- ビジネスモデル
- UIのカスタマイズ性
- SNSとの連携度合い
売り手企業は、売却を検討している自社のWebサイトがこれらの要素を持っているかどうか、確認しておく必要があるでしょう。一方、買い手企業は、買収予定のWebサイトをチェックする際、ご紹介する要素をチェックポイントとすることをおすすめします。
各要素を確認しましょう。
PV数・ユーザー数
基本的に、PV数やアクセスするユーザー数が多いWebサイトは、ビジネスにつなげやすいため高い需要があります。
数多くのユーザーがアクセスするWebサイトを買収後、自社の既存商品のバナーを貼りプロモーションをすれば、ターゲットとするユーザーがずれていない限り、高い効果が見込めると考えられます。また、他の既存サイトに多くのユーザーを送客することもできるでしょう。
専門性
専門性が高い特化型のサイトは、雑多なジャンルを含むサイトよりも需要が高く、比較的高単価で売買される傾向にあります。特化型サイトの売却相場は、平均利益の23ヵ月程度です。特化ジャンルのみを扱っているため、引き継ぎ後に買い手側が扱いやすい点も評価されています。
価格帯
需要の高い価格帯といわれるのは、おおよそ50万円から100万円程度です。相場価格よりも高額な価格での売却を希望する場合、なかなか買い手が見つからないケースが少なくありません。サイトM&Aの平均利益が20~30ヵ月分であるため、その辺りの価格帯に設定するのがおすすめです。
ビジネスモデル
Webサイトのビジネスモデルも、需要を決める要素の1つです。買い手企業から人気があり、高値がつきやすいのは、アフィリエイトやアドセンスなどで安定した収益を生み出しているサイトです。
アフィリエイトはインターネット広告の一種で、Webサイトが貼ったリンクを経由して、当該商品を購入したりサービスに会員登録したりすると、Webサイト運営者に報酬が支払われます。
また、アドセンスは、Googleが提供するクリック報酬型の広告サービスです。アドセンス広告をWebサイトに掲載すると自動的に選択した広告が表示され、サイトに訪問したユーザーがその広告をクリックすることにより、Webサイト運営者に収益が発生します。
一方、受発注業務や顧客対応に工数がかかるECサイトは、サイトM&Aでの需要はそこまで高くありません。しかし、取り扱う商材や売上によっては、大きな対価を得られることもあります。
UIのカスタマイズ性
サイトM&Aで需要が高いWebサイトの要素として、UIのカスタマイズ性も挙げられるでしょう。UIは、Webサイトのデザインや文字のフォント、画像などのユーザーとの接点を意味します。買い手の方針や既存事業に合わせて、適宜部分的な変更が行えると、使い勝手がよく需要が高まります。
たとえば、日本で全Webサイトに占める割合が8割を超えるWordPress(ワードプレス)は、カスタマイズ性の高さも支持されています。そのため、WordPressで作られたサイトは売却しようといえるでしょう。
SNSとの連携度合い
SNSとの連携がしっかりとなされているWebサイトも、サイトM&Aでの需要が高いといえるでしょう。SNSとの連携が取れている場合は、Webサイトへの誘導がしやすく、検索エンジン以外にユーザーの流入経路を確保できるためです。
Webサイト内の記事を投稿した際などに、自動で各SNSに投稿できるよう設定をしておきましょう。また、自社SNSアカウント運営による情報発信もおすすめです。新商品やキャンペーンなどの情報を投稿してWebサイトへ誘導したりフォロワーを獲得したり、使い方などのコツを投稿したりすると効果が見込めます。
このようにSNSとの連携がしっかりと図られているWebサイトは、サイトM&Aの対象になりやすいといえます。
サイトM&Aにおける注意点
ここからは、売り手側と買い手側、それぞれにおけるサイトM&Aの注意点を解説します。
売り手側の注意点
売り手側が知っておきたい、サイトM&Aにおける注意点は、主に以下の4点です。
- 正確なデータで申告する
- 著作権の所在に注意する
- サイトの運営ノウハウを細かく引き継ぐ
- 課税の対象になる
それぞれの注意点を解説します。
正確なデータで申告する
売り手側は、売却を検討するWebサイトに関する、正確なデータを申告しなければなりません。収益やアクセス数を実際よりも多く申告することは、虚偽にあたります。査定が行われる際は、アクセス数を解析するツールなどの権限を共有し、データの証拠を提出することが求められるため、求めに応じて適切に対応してください。
虚偽の申告をしたりデータを改ざんしたりすることは、信用を大きく損なうだけでなく、法的なトラブルに発展するリスクが高いため避けましょう。
著作権の所在に注意する
著作権の所在に注意しなければいけないことも、売り手側が押さえておくべきポイントです。
Webサイトの売却時には、Webサイト内の記事はもちろん、管理画面やサイト内で使用している画像やデザインのデータなどをまとめて引き渡します。外部のライターが書いた記事やフォトグラファーに依頼して撮影した画像などの著作権や所有権は、Webサイト運営者ではなく、コンテンツ作成者がそのまま持っているケースもみられます。
そのままの状態では、Webサイトの売却ができないため、とくに外注したコンテンツについて、権利の所在を確認しておきましょう。著作権や所有権が自社になく外部にある場合は、売却後もコンテンツに掲載し続けられるように許可取りをしなければなりません。
ドメイン名についても、似た名称が商標登録されていると、商標権侵害にあたる可能性があるため、確認しておく必要があります。
サイトの運営ノウハウを細かく引き継ぐ
サイトM&AによるWebサイトの売却にあたり、当該サイトの運営を細かく引き継ぐことも大切です。サイト運営は日々の更新作業に始まり、問い合わせ対応や定期的に行うメンテナンスなど、煩雑で多岐にわたります。そのため、売り手側が、これまでの運用マニュアルをまとめて引き継ぐのが望ましいでしょう。
また、引継ぎマニュアルには記載のないイレギュラーな問題が発生するケースも想定し、Webサイトの売却後も、一定期間は買い手企業からの問い合わせに対応するのがベターです。
課税の対象になる
サイトM&Aで出た売却益には、課税の対象になります。法人によるWebサイト売却の場合、事業譲渡であれば法人税など29.74%に加え、消費税10%が加算されることに注意してください。
一方、個人で5年を超えて所有していたWebサイトを売却する際は、長期譲渡所得となり、15%が課税されます。所有期間が5年以内のWebサイトでは短期譲渡所得となり、課税される所得税率は30%です。
買い手側の注意点
買い手側にも、サイトM&A時に注意すべき点があります。主な注意点は以下のとおりです。
- 売り手側へのヒアリングを行う
- 収益のデータを分析する
- 必ずデューデリジェンスを実施する
- 競業避止義務契約を締結しておく
- 状況に応じてサイト移転代行会社の利用を検討する
それぞれの内容を解説します。
売り手側へのヒアリングを行う
買い手側はWebサイトを買収する際に、売り手側にアクセスや収益に関するヒアリングを行う必要があります。売り手側から提供されるこれらの関するデータは、ねつ造されている可能性があるためです。
ヒアリングの実施に加え、アクセスデータを共有してもらい、実際に管理画面から確認することが望ましいでしょう。さらに、詐欺案件であった場合のリスクに備えて、買い戻し特約などを契約書に盛り込んでおくと安心です。
収益のデータを分析する
Webサイトの買収前に収益データの入手ができたら、最低でも半年間分の収益データについて、利益が安定的に出ているのか、たまにしか出てないのかを詳しく分析してから買収を検討しましょう。1ヵ月分などの短期間のデータでは、恒常的に利益が発生しているのか突発的なものなのかの判断がつかないためです。
Webサイトの収益の分析に使えるツールは、無料で提供されている「Google Analytics 4 」「Google Search Console」「Googleデータポータル」などがあります。
今後も継続的に安定した収益が見込まれる場合は、買収を検討する余地があるでしょう。
必ずデューデリジェンスを実施する
サイトM&Aの成約前に、必ずデューデリジェンスを実施しましょう。デューデリジェンスとは、投資の対象となる企業が営む事業や経営の実態などを、事前に把握するための調査を指します。
サイトM&Aにおけるデューデリジェンスは、一般的なM&Aのように多岐にわたるものではありません。調査対象はWebサイトに限定されます。PV数やユーザー数などが水増しされていないかといった調査に加え、クレームや情報漏洩などのリスクがないかといった視点でも調査を行い、サイトM&A成立後に買い手側が不利益を被ることを避けることが重要です。
競業避止義務契約を締結しておく
競業避止義務契約を締結しておくこともポイントです。競業避止義務契約によって、サイトM&AでWebサイトを買収した後に、売り手側がすぐに同じようなサイトを立ち上げることを防ぎます。売り手側がすぐに似たようなWebサイトを立ち上げてしまうと、買い手側は強力な競合と競うことを強いられます。これでは、せっかくWebサイトを買収した意味がありません。
売り手側が契約で定めた内容に反した行為をした場合、損害賠償請求や運営の差し止めを請求できます。
状況に応じてサイト移転代行会社の利用を検討する
状況に応じて、サイト移転代行会社の利用を検討することもおすすめです。サイト移転では、サイトデータの移管やドメインの権利譲渡などに伴う作業が発生します。サイト移転に関する知識があれば問題ありませんが、経験がなく不安を感じるときは、サイト移転代行会社の利用を選択肢に入れるのも手です。サイトM&A仲介会社でも、サイト移転代行を行ってくれる場合があります。
売り手側・買い手側共通の注意点
直接交渉はトラブルが起きやすいため、できる限り避け、M&A仲介会社などに間に入ってもらうことを推奨します。直接交渉は、予算や条件面で折り合いがつかず、トラブルに発展しやすい点が特徴です。売り手側と買い手側の双方がサイトM&Aの専門家ではないため、適正価格の基準をわかっていないことも要因の1つと考えられます。
サイトM&Aの際に活用するサービス
サイトM&Aを実施するために、買い手企業と売り手企業を探す際には、M&A仲介会社やマッチングサイトを活用するのがおすすめです。それぞれの特徴を解説します。
M&A仲介会社
サイトM&Aを行うとする場合、M&A仲介会社に相談するのがおすすめです。データベースからふさわしい案件を紹介してもらえるほか、サイトM&Aの交渉についてのアドバイスやサポートを受けられることがほとんどです。適正な価格での売買が行えることはもちろん、交渉におけるトラブルを回避できることも大きなメリットといえるでしょう。
マッチングサイトの活用よりもコストがかかることが一般的ですが、その分手厚いサポートやアドバイスを受けられる可能性が高いです。自社だけではスムーズにサイトM&Aを進められるか不安な場合は、M&A仲介会社を利用することを推奨します。
マッチングサイト
M&Aのマッチングサイトでも、サイトM&Aの取引相手を探すことが可能です。M&Aのマッチングサイトは、マッチングサイトに登録するだけで、売り手側・買い手側の情報が閲覧でき、自社の希望にマッチした相手を見つけられます。わざわざ相談に出向く時間がない方でも、空いた時間に情報収集ができるため、おすすめです。
マッチングサイトはプラットフォームを活用して候補先を探すため、活用せずに自力で探すよりも成約までのスピードが速いことがメリットです。また、比較的低コストでサイトM&Aを実行できる点も魅力といえるでしょう。
しかしM&A仲介会社とは異なり、マッチングサイトでは専任の担当が付くケースは稀です。サイトM&Aの対象企業探しからクロージングに至るまで、フルサポートにならないケースも珍しくありません。サポートがなくてもM&Aを進められる自信がある場合や、少しでもコストを抑えたい場合はマッチングサイトを使用するとよいでしょう。
サイトM&Aの成功事例
ここからは、サイトM&Aの成功事例として、以下の3つのケースをご紹介します。
- ZOZOによる「IQON」の子会社化
- ぐるなびによる「楽天デリバリー」などの買収
- メルカリによるザワット株式会社の完全子会社化
それぞれのケースを確認しましょう。
ZOZOによる「IQON」の子会社化
2017年10月、ファッションサイト「ZOZOTOWN」を運営する株式会社スタートトゥデイ(以下、スタートトゥデイ)は、株式会社VASIRY(以下、VASIRY)をサイトごと約20億円で買収し、子会社化を行っています。VASIRYは、ファッションコーディネートを扱う「IQON」を運営しており、ディープラーニングを用いた画像解析の技術を活用していました。スタートトゥデイが、そうした技術力に注目したことが買収の一因と考えられています。
参照元:株式会社スタートトゥデイ「スタートトゥデイ、ファッションメディア「IQON」などを手がけるVASILY社を完全子会社化」
参照元:株式会社VASILY「スタートトゥデイグループへの参画のお知らせ」
ぐるなびによる「楽天デリバリー」などの買収
2021年7月に、飲食店などの情報提供サービスを行う株式会社ぐるなび(以下、ぐるなび)が楽天グループ会社(以下、楽天グループ)の楽天デリバリー事業と楽天リアルタイムテイクアウトを、会社分割の手法で買収しました。楽天グループはEコマースをはじめ、デジタルコンテンツ、通信など、多岐にわたる分野でサービスを提供する企業です。これにより、ぐるなびは楽天ユーザーの取り込みに成功したとみられていました。
しかし、2022年5月に、デリバリー・テイクアウト市場におけるプラットフォーマー各社の競争の激化などを理由として、同サービスを終了しています。
参照元:株式会社ぐるなび「会社分割(簡易吸収分割)による「楽天デリバリー」事業及び 「楽天リアルタイムテイクアウト」事業の承継に関するお知らせ」
参照元:楽天グループ株式会社「株式会社ぐるなびとの会社分割(簡易吸収分割)による「楽天デリバリー」 事業及び「楽天リアルタイムテイクアウト」事業の承継に関するお知らせ」
メルカリによるザワット株式会社の完全子会社化
フリマアプリを提供・運用する株式会社メルカリ(以下、メルカリ)は、2017年の2月にマーケットプレイス「スマオク」を運営するザワット株式会社(以下、ザワット)から株式を譲り受け、完全子会社化しました。
スマオクは、個人・法人を問わず、誰もが簡単に商品を販売できるマーケットプレイスで、レアなアニメグッズから中古ブランド品まで幅広く取り扱っています。毎晩21時に世界中からユーザーが集まり、LIVE感覚で行われる「フラッシュオークション」も人気です。
メルカリは、ザワットをグループに迎え入れ、Eコマース分野におけるさらなる発展と拡大に取り組んでいくとしています。
参照元:株式会社メルカリ「メルカリ、『スマオク』を運営するザワット株式会社を買収」
まとめ
サイトM&Aとは、WebサイトのM&A(売買)のことです。サイト運営事業を譲り渡す、M&Aの事業譲渡の枠組みで行われることがほとんどです。アフィリエイトサイトやECサイトだけでなく、ニュースサイトなども売買されるなど、サイトM&Aの対象範囲は多岐にわたります。
サイトM&Aは取引価格の相場は、月間利益の20~30ヵ月分です。サイトM&Aの売り手側のメリットは、「中核事業にリソースを集中できるようになる」「多額のキャッシュを得られる」などです。買い手側については、「手間をかけずに事業規模拡大が図れる」「既存事業とのシナジー効果が得られる」などがメリットといえるでしょう。
また、サイトM&Aの売り手側の主な注意点は、「正確なデータで申告する必要がある」「著作権の所在に注意する」などです。買い手側は、「売り手側へのヒアリングを行う」「競業避止義務契約を締結しておく」ことなどを意識してください。
直接交渉はトラブルが起きやすいため、M&A仲介会社などに間に入ってもらうことがおすすめです。
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