【画像で解説】事業再構築補助金の条件確認から申請まで完全ガイド

2024年3月25日

【画像で解説】事業再構築補助金の条件確認から申請まで完全ガイド

このページのまとめ

  • 事業再構築補助金とは思い切った事業再構築を支援するための補助金制度のこと
  • 支援対象は新市場への進出や業種転換、事業再編などに取り組む中小企業や個人事業主
  • 最低賃金枠や成長枠などの6つの申請枠があり、条件や補助金額が異なる
  • 申請は認定経営革新等支援機関に相談できるが、手続きは申請者自身で行う必要がある
  • 一定の条件を満たすと、事業再構築補助金に最大2回応募できる

経済社会が大きく変わる中、事業者にも思い切った変革が求められています。新しい市場への進出や業種転換などに取り組む中小企業や個人事業主を対象とした補助金制度が、事業再構築補助金です。成長枠や産業構造転換枠などの6つの申請枠があり、条件を満たすと補助金を受給できます。

本記事では、事業再構築補助金の概要や枠の種類について解説します。また、申請手順を画像でわかりやすく紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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事業再構築補助金とは?

事業再構築補助金とは、新市場への進出や業種転換、事業拡大などの思い切った事業再構築に取り組む中小企業や個人事業主を支援するための補助金制度です。要件を満たした上で申請し、審査委員による審査を通過した場合は、予算の範囲内で補助金が交付されます。

なお、事業再構築補助金は2021年に第1回が実施され、2024年1月時点では第10回が進行中(公募期間2023年3月30日~6月30日、交付申請締切日は最大2026年2月3日)です。応募する場合は、申請時期を確認しておきましょう。

参照元:事業再構築補助金「スケジュール

そもそも補助金とは?助成金との違い

事業再構築補助金は政府が実施する補助金制度です。同じく国や自治体などが実施する制度に助成金制度があります。補助金・助成金のいずれも受給できるお金のため、金融機関の融資のように担保を設定したり返済したりする必要はありません。補助金と助成金の違いについては、以下をご覧ください。

補助金助成金
実施している団体経済産業省など厚生労働省など
受給難易度高い。審査の上、選ばれた場合のみ受給できる低い。条件を満たせば、基本的には受給できる
受給額高め。数千万円を超えるものもある低め。数十万円~100万円程度
募集期間短め通年のものもある

補助金は受給額が高額の傾向にありますが、その分、申請手続きが難しく、提出書類が多いだけでなく申請から受給までにかかる時間も長めです。しかし、返済不要の資金を受給できるため、手間はかかっても申請する価値は十分にあります。募集期間を早めに確認し、不備のないように手続きをしてください。

なお、補助金・助成金の定義は明確ではなく、提供する団体によっては補助金的な特徴を持つ助成金制度、あるいは助成金的な特徴を持つ補助金制度もあります。補助金・助成金の言葉だけで判断するのではなく、募集要項や受給内容を細部まで確認してから適切な制度に申し込むようにしましょう。

事業再構築補助金の対象事業者の定義

事業再構築補助金は、中小企業や個人事業主、中堅企業を対象とした補助金制度です。対象者の定義について解説します。

中小企業・個人事業主

中小企業とは、中小企業基本法で規定される企業のことです。業種によって、以下のように規定されています。

業種基準
製造業、その他の業種資本金3億円以下の会社、もしくは従業員数300人以下の会社か個人
卸売業資本金1億円以下の会社、もしくは従業員数100人以下の会社か個人
小売業資本金5,000万円以下の会社、もしくは従業員数50人以下の会社か個人
サービス業資本金5,000万円以下の会社、もしくは従業員数100人以下の会社か個人

企業組合や協業組合などの中小企業等経営強化法に規定される中小企業者も、事業再構築補助金の対象となります。ただし、上記の条件に該当する場合でも、大企業の子会社などのみなし大企業については事業再構築補助金の対象ではありません。

中堅企業

中堅企業とは、資本金10億円未満の会社のうち、上記の中小企業の規定を満たさない会社を指します。また、申告済みの直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円を超える場合は、中堅企業として事業再構築補助金の対象となることがあります。

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【2024年版】事業再構築補助金スケジュール

2024年1月時点では、第10回事業再構築補助金事業が以下のスケジュールで進行中です。

応募申請

2023年3月30日~6月30日

採択発表

2023年9月22日

交付申請締切日

  • 成長枠・産業構造転換枠・最低賃金枠、物価高騰対策・回復再生応援枠:2024年10月6日
  • グリーン成長枠(エントリー、スタンダード):2024年12月6日
  • 卒業促進枠、大規模賃金引上促進枠:成長枠・グリーン成長枠の事業計画期間が終了する6ヶ月前
  • サプライチェーン強靭化枠:2026年2月3日

事業化状況報告

補助事業完了日が属する年度の終了後を初回として、以後5年間報告(全6回)

また、事業再構築補助金のスケジュールのページでは、第11回のタブも設定されています。第10回の応募申請に間に合わなかった事業者も、こまめにスケジュールのページにアクセスし、第11回の発表を待ちましょう。

参照元:事業再構築補助金「スケジュール

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事業再構築補助金の種類

事業再構築補助金には、次の種類があります。

  • 最低賃金枠
  • 物価高騰対策・回復再生応援枠
  • 産業構造転換枠
  • 成長枠
  • グリーン成長枠
  • サプライチェーン強靭化枠

種類ごとに申請条件や対象事業者、補助金額が異なります。また、実施回によっても異なるため、申し込む前に条件を確認し直すようにしてください。2023年8月31日時点の事業再構築補助金(12.0版)をもとに解説します。

参照元:中小企業庁「事業再構築補助金の概要 12.0版

最低賃金枠

最低賃金枠とは、最低賃金の引上げにより、原資確保が難しい状況の中小企業などを対象とした支援枠です。加点措置があり、次に紹介する物価高騰対策・回復再生応援枠よりも採択率が高くなります。

申請条件

  • 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること
  • 補助事業終了後3~5年で付加価値額が年率3.0%以上増加すること
  • 一定期間の合計売上高が10%以上減少し、全従業員のうち10%以上を最低賃金より50円以内の時給で雇用していること
  • 最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難であること

補助金額

  • 従業員数5人以下:上限500万円
  • 従業員数6~20人:上限1,000万円
  • 従業員数21人以上:上限1,500万円

補助率

  • 中小企業:4分の3
  • 中堅企業:3分の2

※付加価値額とは、営業利益と人件費、減価償却費を合算した金額を指す

物価高騰対策・回復再生応援枠

物価高騰対策・回復再生応援枠とは、経営状況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者、原油価格や物価高騰などの影響を受ける事業者を対象とした枠です。

申請条件

  • 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること
  • 補助事業終了後3~5年で付加価値額が年率3.0%以上増加すること
  • 一定期間の合計売上高が10%以上減少していること
  • 新型コロナウイルス流行の影響や物価高騰の影響を受けていること
  • 中小企業活性化協議会から支援を受け、再生計画などを策定していること

補助金額

  • 従業員数5人以下:上限1,000万円
  • 従業員数6~20人:上限1,500万円
  • 従業員数21~50人:上限2,000万円
  • 従業員数51人以上:上限3,000万円

補助率

  • 中小企業:3分の2(ただし従業員数が5人以下の場合は400万円、6~20人の場合は600万円、21~50人の場合は800万円、51人以上の場合は1,200万円までは4分の3)
  • 中堅企業:2分の1(ただし従業員数が5人以下の場合は400万円、6~20人の場合は600万円、21~50人の場合は800万円、51人以上の場合は1,200万円までは3分の2)

※付加価値額とは、営業利益と人件費、減価償却費を合算した金額を指す

産業構造転換枠

産業構造転換枠とは、国内市場が縮小したなどの産業構造の変化により、事業の再構築が必要とされている業種・業態の事業者を対象とした枠です。廃業する場合には、補助上限額が引き上げられます。

申請条件

  • 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること
  • 補助事業終了後3~5年で付加価値額が年率3.0%以上増加すること
  • 過去から今後のいずれかの10年間で、市場規模が10%以上縮小する業種・業態に属していること。あるいは機関となる大企業が撤退する地域にあり市町村内の総生産の10%以上が見込まれる場合で、期間企業との直接取引額が売上の10%以上を占めること

補助金額

  • 従業員数20人以下:上限2,000万円
  • 従業員数21~50人:上限4,000万円
  • 従業員数51~100人:上限5,000万円
  • 従業員数101人以上:上限7,000万円
  • 廃業を伴う場合は、それぞれ上限額を2,000万円上乗せ

補助率

  • 中小企業:3分の2
  • 中堅企業:2分の1

※付加価値額とは、営業利益と人件費、減価償却費を合算した金額を指す

成長枠

成長枠とは、成長分野への思い切った事業再構築に取り組む事業者を対象とした枠です。事業実施中に中小企業から中堅企業へと成長する場合は、補助金額が上乗せされる卒業促進枠への申し込みが可能です。また、継続的な賃金引上げに取り組み、なおかつ従業員を増加させる場合は、補助金が上乗せされる大規模賃金引上促進枠に申し込めます。

申請条件

  • 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること
  • 補助事業終了後3~5年で付加価値額が年率4.0%以上増加すること
  • 過去から今後の10年間において、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していること
  • 事業終了後3~5年で、給与支給総額を年率平均2%以上増加させること

補助金額

従業員数20人以下:上限2,000万円

従業員数21~50人:上限4,000万円

従業員数51~100人:上限5,000万円

従業員数101人以上:上限7,000万円

補助率

中小企業:2分の1(大規模な賃上げを実施する場合は3分の2)

中堅企業:3分の1(大規模な賃上げを実施する場合は2分の1)

※付加価値額とは、営業利益と人件費、減価償却費を合算した金額を指す
※大規模な賃上げとは、事業終了時点で事業場内最低賃金を45円増やす、あるいは給与支給総額を6%増やすことを指す。事業終了後3~5年で給与支給総額が年率2%以上増加しなかった場合は、補助率のうち6分の1に相当する金額を返還する必要がある

グリーン成長枠

グリーン成長枠とは、グリーン分野での事業再構築に取り組み、なおかつ高い成長を目指す事業者を支援するための枠です。グリーン成長枠には、エントリーとスタンダードの2つの種類があります。エントリーは申請条件が厳しくない分、補助金額が減ります。

なお、事業実施中に中小企業から中堅企業へと成長する場合は、補助金額が上乗せされる卒業促進枠への申し込みが可能です。また、継続的な賃金引上げに取り組み、なおかつ従業員を増加させる場合は、補助金が上乗せされる大規模賃金引上促進枠への申し込みが可能です。

<エントリー>

申請条件

  • 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること
  • 補助事業終了後3~5年で付加価値額が年率4.0%以上増加すること
  • グリーン成長戦略の課題解決に資する取り組みを実施し、なおかつ取り組みに関連する研究開発・技術開発を1年以上行う、もしくは従業員の5%以上に対して年間20時間以上の人材育成を行うこと
  • 事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること

補助金額

従業員数20人以下の中小企業:上限4,000万円

従業員数21~50人の中小企業:上限6,000万円

従業員数51人以上の中小企業:上限8,000万円

中堅企業:上限1億円

補助率

中小企業:2分の1(大規模な賃上げを実施する場合は3分の2)

中堅企業:3分の1(大規模な賃上げを実施する場合は2分の1)

※付加価値額とは、営業利益と人件費、減価償却費を合算した金額を指す
※大規模な賃上げとは、事業終了時点で事業場内最低賃金を45円増やす、あるいは給与支給総額を6%増やすことを指す。事業終了後3~5年で給与支給総額が年率2%以上増加しなかった場合は、補助率のうち6分の1に相当する金額を返還する必要がある

<スタンダード>

申請条件

  • 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること
  • 補助事業終了後3~5年で付加価値額が年率5.0%以上増加すること
  • グリーン成長戦略の課題解決に資する取り組みを実施し、なおかつ取り組みに関連する研究開発・技術開発を2年以上行う、もしくは従業員の10%以上に対して年間20時間以上の人材育成を行うこと
  • 事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること

補助金額

中小企業:上限1億円

中堅企業:上限1.5億円

補助率

中小企業:2分の1(大規模な賃上げを実施する場合は3分の2)

中堅企業:3分の1(大規模な賃上げを実施する場合は2分の1)

※付加価値額とは、営業利益と人件費、減価償却費を合算した金額を指す
※大規模な賃上げとは、事業終了時点で事業場内最低賃金を45円増やす、あるいは給与支給総額を6%増やすことを指す。事業終了後3~5年で給与支給総額が年率2%以上増加しなかった場合は、補助率のうち6分の1に相当する金額を返還する必要がある

サプライチェーン強靭化枠

サプライチェーン強靭化枠とは、海外で製造している部品を国内で製造するなどの国内回帰を進め、国内サプライチェーンの強靱化と地域産業の活性化に取り組む事業者を対象とした支援枠です。

申請条件

  • 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること
  • 補助事業終了後3~5年で付加価値額が年率5.0%以上増加すること
  • 生産拠点を国内回帰する事業であること
  • 経済産業省が公開するDX推進指標を活用して自己診断し、結果を独立行政法人情報処理推進機構に提出していること
  • 独立行政法人情報処理推進機構が実施するSECURITY ACTIONの二つ星の宣言を行っていること
  • 補助金交付決定時点で、設備投資する事業場内最低賃金が地域別の最低賃金よりも30円以上高いこと
  • 事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること
  • パートナーシップ構築宣言のポータルサイトで宣言を公表していること

補助金額

5億円(建物費を含まない場合は3億円)

補助率

中小企業:2分の1

中堅企業:3分の1

※付加価値額とは、営業利益と人件費、減価償却費を合算した金額を指す

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事業再構築補助金の申請手順

事業再構築補助金の申請条件を満たしていることを確認した後で、申請手続きを始めます。手順を画像で解説するので、ぜひ参考にしてアカウント登録から申請まで進めていきましょう。

  1. GビズIDプライムアカウントを取得する
  2. 事業計画書を作成する
  3. 認定経営革新等支援機関に相談する
  4. 事業再構築補助金に応募する
  5. 採択結果を確認する・交付申請を行う
  6. 補助事業の実績を報告する
  7. 精算払いを請求する
  8. 事業化状況を報告する

申請の流れに沿って解説します。

1.GビズIDプライムアカウントを取得する

事業再構築補助金の申請窓口はオンラインのみです。gBizIDのWebサイトにアクセスし、GビズIDのアカウントを作成しましょう。まずはgBizIDのトップページから「gBizIDを作成」をクリックしてください。

gBizIDのWebサイトの画像

出典:gBizID

GビズIDプライムとGビズIDエントリーのページが表示されます。事業再構築補助金に申し込むときは「GビズIDプライム」を選択してください。

GビズIDプライムには書類郵送申請とオンライン申請の2つの方法があります。個人事業主かつマイナンバーカードを有している場合はオンライン申請を利用できますが、法人やマイナンバーカードを持たない個人事業主は書類郵送申請を選んでください。

gBizIDのWebサイトの画像

出典:gBizID

郵送申請の場合で説明します。上記の「gBizIDプライムを書類郵送申請する」をクリックし、画面を最後まで下にスクロールすると、以下の画面が表示されます。

gBizIDのWebサイトの画像

出典:gBizID

「申請を始める」をクリックし、次のページに進みます。最初にメールアドレスの登録です。アカウントIDに利用可能なメールアドレスを入力し、「次へ」をクリックしてください。

gBizIDのWebサイトの画像

出典:gBizID

メールアドレスに間違いがないことを確認してから「OK」をクリックします。メールアドレスにワンタイムパスワードが送付されるため、間違ったアドレスを記入していると登録ができません。間違っている場合は前ページに戻り、正しいメールアドレスを記入し直しましょう。

gBizIDのWebサイトの画像

出典:gBizID

アカウントIDとして登録したメールアドレスにワンタイムパスワードが送付されます。確認して30分以内に記入し、「OK」をクリックしてください。もしワンタイムパスワードが送付されない場合は、迷惑メールフォルダを確認しましょう。

gBizIDのWebサイトの画像

出典:gBizID

正しくワンタイムパスワードを入力すると、基本情報登録画面に遷移します。赤字で「必須」と記載されている項目すべてに記入し、画面下部の「次へ」をクリックしてください。

gBizIDのWebサイトの画像

出典:gBizID

次はアカウント利用者情報の登録です。利用者が法人代表者もしくは個人事業主の場合は、「代表者情報をコピー」をクリックすると、前ページで記入した情報が自動的に表示されます。利用者が法人代表者もしくは個人事業主以外のときは、項目すべてを埋めてください。

また、郵便番号については前ページで記入していないため、すべてのケースにおいて入力が必要です。必要な情報を入力した後で、画面下部の「次へ」をクリックしてください。

gBizIDのWebサイトの画像

出典:gBizID

今後、アカウントを利用するときは本人認証のためにSMSを用います。SMS受信用の電話番号を記入し、利用規約を確認してから「規約に同意する」のチェックボックスにチェックを入れ、「次へ」をクリックしてください。

gBizIDのWebサイトの画像

出典:gBizID

SMS受信用の電話番号とアカウントIDのメールアドレスを確認しましょう。問題なければ「申請書作成」をクリックしてください。

gBizIDのWebサイトの画像

出典:gBizID

郵送申請に用いる申請書の作成が完了しました。「申請書ダウンロード」をクリックして印刷しましょう。

gBizIDのWebサイトの画像

出典:gBizID

2.事業計画書を作成する

申請書に事業計画などの必要事項を記入し、完成させます。補助金は予算があるため、応募すれば誰もが受給できるわけではありません。実現可能性が高く合理的な事業計画を立てておきましょう。現在の事業の強みと弱みを客観的に分析し、どのような事業再構築を実施できるのか、具体的に記載することで、説得力のある事業計画書を作成できます。

3.認定経営革新等支援機関に相談する

いずれの申請枠で応募する場合も、認定経営革新等支援機関に相談し、事業計画について確認を受けることが条件となります。説得力のある事業計画書を作成するためにも、認定経営革新等支援機関に相談し、サポートを得るようにしましょう。

ただし、認定経営革新等支援機関に相談はできますが、事業計画書の作成や事業再構築補助金の申請手続きの依頼はできません。また、アカウントIDやパスワードを認定経営革新等支援機関に開示することも禁じられています。中小企業庁の認定経営革新等支援機関検索システムから、アクセスしやすい支援機関を見つけてください。

参照元:中小企業庁「認定経営革新等支援機関検索システム

4.事業再構築補助金に応募する

申請書が完成し、提出書類を準備した後で、印鑑登録した印鑑で押印し、印鑑登録証明書を添えてGビズID運用センターに送付しましょう。審査完了後、アカウントIDとして登録したメールアドレスに連絡が届きます。

5.採択結果を確認する・交付申請を行う

アカウントIDに採択結果が届きます。審査通過の案内を受け取った場合は、交付申請の手続きに進みます。交付申請には、次の書類を提出します。

  • 経費明細書
  • 見積依頼書と見積書
  • 建物費と機械装置・システム構築費が含まれる場合は設計図や配置図
  • 取得財産にかかる誓約書
  • 補助対象経費の理由書

補助金交付の候補者に採択された場合、事業再構築の契約について可能な範囲で相見積書を取ることが必要です。何らかの事情により相見積書を取れないときは、理由書と価格の妥当性を示す書類を提出してください。

建物や機械装置、システム構築にかかる費用は補助対象となることがありますが、それぞれにおいて予備品を購入する場合には対象外になります。また、諸経費や雑費などの詳細不明の費用に関しても対象外となります。内訳を明確に記載しているか、事務局に提出する前に確認しておきましょう。

6.補助事業の実績を報告する

補助金交付が決定した後で、補助事業を開始します。補助事業完了期限日を交付決定通知書で確認し、期限日までに補助事業の実績を報告してください。

なお、事業者によっては、交付決定前に補助事業を開始しなくてはいけない状況にあるかもしれません。やむを得ず交付前に補助事業を開始する場合は、一定の申請書を提出し、支払った費用も補助金の対象としましょう。ただし、交付されないときは、事前に支払った費用は全額自己負担となる点に注意が必要です。

7.精算払いを請求する

補助事業終了後に使用した経費をまとめ、精算払いを請求します。補助事業中に補助金を受給したい場合は、概算払いの申請も検討しましょう。

なお、補助対象の経費にいくらかかったかは、銀行振込の実績で確認されます。そのため、経費の支払いは、銀行振込で行うようにしましょう。やむを得ない事情でクレジットカードで経費を支払った場合は、事前に事業再構築補助金事務局に相談することが必要です。相談した上で、追加書類や理由書の提出が求められます。

また、クレジットカードで経費を支払う際にクレジットカードのポイントを利用した場合は、減算処理が必要です。使用したクレジットカードのポイントと支払った金額がわかる明細書の提出が求められるケースもあります。

銀行振込とクレジットカード払い以外の次の支払い方法については、事情の有無を問わず、認められていません。

  • 現金払い
  • 手形、手形の裏書譲渡
  • 小切手
  • 他の取引との相殺払い
  • 債権譲渡による支払い
  • 補助事業が終了するまでに完了しない割賦払い

銀行振込日と振込先、振込金額が確認できる伝票を請求の際に使用するため、保管しておきましょう。

8.事業化状況を報告する

精算払いの請求後、補助事業が完了した日から30日後もしくは補助事業完了期限日のいずれか早い日までに、事業化状況を事務局に報告します。以後5年間は1年に一度報告するため、合計で6回の報告が必要です。

事業化状況の報告の際には、次の書類の提出が求められることがあります。

  • 預金出納帳、現金出納帳
  • 補助対象物件の受払簿
  • 取得財産などがある場合は、取得財産等管理台帳
  • 専門家に依頼したときは、専門家就任承諾書と専門家業務報告書、預り金元帳、納付書コピー
  • 旅費が発生したときは、旅費明細書と宿泊証明書
  • 生産(増産)要請に関する証明書
  • 新しい事業場で補助事業を実施する場合は賃金台帳

事業化状況が不明瞭なときなどは、他の書類の提出も求められるかもしれません。事業再構築や廃業にかかった金銭や移動する資産などに関連する書類は、すべて保管しておきましょう。

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事業再構築補助金の活用イメージ

事業再構築補助金は、事業や業態を大幅に変更する場合に利用できる補助金制度です。業種別に活用例を具体的に紹介するので、ぜひ参考にしてください。

情報処理業

アプリやソフトウェアを使って、個人でも簡単に映像編集ができる時代へとシフトしています。高いレベルの編集もAIを搭載したアプリなどを使えば、時間をかけずにできるようになりました。

売上減に悩む映像編集事業者は、画像処理技術を活用した新たなサービスの開発を検討できます。たとえば、オンライン診断の需要が高まっている現状を踏まえ、医療向けの診断サービスを開発するのも一つの方法です。事業の大幅な転換は、事業再構築補助金の対象となります。補助金を活用して、サービス開発や診断サイトの作成などに取り組むことで経営状況の改善を図れるかもしれません。

サービス業

新型コロナウイルスの流行により、人が密集する環境を回避する動きが見られるようになりました。会議や面談、セミナーなどもオンラインで実施されることが増え、実際に顔を合わせなくても人が集まれるようになっています。

感染の流行が終わった後も、オンライン会議やオンラインセミナーは普段の生活に定着しています。移動時間を省けるだけでなく、会議やセミナーの会場を確保する必要もないため、従来型の会議やセミナーよりも気軽に開催できるのが利点です。

売上が低下しているヨガ教室などは、オンラインレッスンの提供を検討できるかもしれません。室内の密状態を回避できるだけでなく、自宅で気軽に受講できるため継続しやすい点もアピールポイントになります。

飲食業

新型コロナウイルスの流行により、売上が減少した飲食店は少なくありません。店舗が小さく密状態を回避できない飲食店の中には、閉店を余儀なくされた店舗もあります。また、人材確保が難しく、営業時間を短縮せざるを得ないケースもあります。

顧客減や人材不足で悩む飲食店は、店舗での営業を廃止し、食品製造業に業種転換するのも一つの方法です。たとえば、店の看板メニューを冷凍食品として販売してみてはいかがでしょうか。ECサイトなら販売員を配置する必要がないため、少人数でも十分に対応できます。

ECサイトの作成費用や商品開発にかかる機器導入費、広告宣伝費などは、事業再構築補助金の対象です。店舗維持費も不要になるため、事業効率アップも期待できます。

小売業

小売業も社会情勢に合わせた業態転換が求められることがあります。たとえば、消費者行動の変化として、原油価格の高騰によりガソリン車から電気自動車に乗り換えるケースや、公共交通機関を極力利用して車での移動を控えるケースも少なくありません。ガソリンを販売するだけでは、従来どおりの売上を上げられないガソリンスタンドもあるでしょう。

ガソリンスタンドの広い敷地を活かして、新規に事業を始めることも検討できるかもしれません。たとえば、地域の健康増進ニーズに応えてフィットネスジムを開業したり、家庭菜園で採れた野菜や花卉を販売したりする方法もあります。

製造業

低炭素社会への対応が求められる中、ガソリン車から電気自動車へと乗り換える人も少なくありません。ガソリン車向けのパーツ製造業者の中には、受注が減り、生産量も売上も低下している事業者もあるでしょう。電気自動車向けの部品製造市場に進出し、事業継続を図るのも一つの方法です。

新市場に進出するためには、研究開発が必要になります。たとえば、ガソリン車向けのバッテリーボックスを製造している場合なら、電気自動車のセル電池間の熱伝導を防止するリチウムイオンバッテリーの断熱材製造に、業種を切り替えられるかもしれません。断熱性能を高めるための研究開発や、従来の製造に使っていた機械の撤去にかかる費用は、事業再構築補助金の対象となります。社会の変容に対応するためにも、新市場への進出に事業再構築補助金の活用を検討できます。

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事業再構築補助金の対象となる経費

事業再構築補助金は、事業再構築や廃業に活用できる補助金制度です。具体的にどのような経費が補助対象となるのか、詳しく見ていきましょう。

経費の具体例

事業再構築補助金の対象となる経費は、申請枠によって異なります。最低賃金枠と物価高騰対策・回復再生応援枠、産業構造転換枠、成長枠、グリーン成長枠は以下の経費が補助対象です。

  • 建物費
  • 機械装置・システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費
  • 広告宣伝・販売促進費
  • 研修費
  • 廃業費(産業構造転換枠に申し込み、既存事業の廃業を実施する場合のみ)

建物費とは補助事業のために使用される事務所や生産施設、共同作業場、倉庫などの建物の建設や改修にかかる経費のことです。補助事業を実施するために既存の建物の撤去が必要になる場合は、撤去費用も含まれます。

機械装置・システム構築費とは、補助事業に使用する機械装置や工具の購入・製作・借用にかかる経費です。情報システムやソフトウェアの購入・構築・借用にかかる費用や、機械の据付にかかる費用も含まれます。

技術導入費とは、事業遂行に必要な知的財産権等の導入にかかる経費です。知的財産権等を取得するときは、書面による契約の締結が必要になります。

専門家経費とは事業遂行のために依頼した専門家に支払う経費です。ただし、専門職によって上限額が決まっている点に注意しましょう。たとえば、弁護士や弁理士、公認会計士は1日5万円以下、中小企業診断士やITコーディネータなどは1日4万円以下となります。

運搬費とは補助対象設備を事業実施場所に移送するための経費のことです。ただし、機械や設備を購入する際にかかった搬入費は、運搬費ではなく機械装置・システム構築費に計上しましょう。

クラウドサービス利用費とはクラウドコンピューティングの利用にかかる経費、外注費とは事業遂行に必要な加工や設計、検査などを外注したときにかかる経費です。また、知的財産権等関連経費とは、知的財産権等を取得する際の手続き代行費用や翻訳料などを指します。

事業関連の広告の作成やセミナー開催、市場調査、マーケティングツール活用などにかかる費用は、すべて広告宣伝・販売促進費に含まれます。事業遂行に社員教育や講座受講が必要なときは、研修費として計上しましょう。

一方、サプライチェーン強靭化枠に申請するときは、次の経費が補助対象となります。

  • 建物費
  • 機械装置・システム構築費

いずれの申請枠で申し込む場合も、持続的な競争力強化につながる事業であることが必要です。補助金を受給できた場合でも、事業拡大につながる相応規模の投資が求められます。そのため、一過性の支出が補助対象経費の大半を占める場合は、事業再構築補助金を受給できない可能性があります。

補助対象にならない経費例

以下の経費に対しては補助対象とはなりません。

  • 既存事業に活用する経費
  • 補助事業以外にも活用する経費
  • 事務所の家賃や敷金、光熱水費
  • フランチャイズ加盟料、団体などの会費
  • 切手代、電話代、クラウドサービス利用費に含まれないインターネット利用料金
  • 商品券などの金券代
  • 文房具などの事務用品
  • 雑誌購読料、新聞代、書籍代
  • 飲食や娯楽、接待にかかった費用
  • 不動産や株式の購入費、船舶・航空機などの購入費・修理費・車検費用
  • 税務申告や決算書作成のために公認会計士などの専門家に依頼したときの報酬
  • 訴訟のために弁護士に依頼したときの報酬
  • 登記や特許などの日本国が行う事務にかかる手数料
  • 収入印紙
  • 振込手数料、代引き手数料、両替手数料
  • 保険料
  • 借入金の支払い利息や遅延損害金
  • 事業計画書や申請書、事業報告書の作成・提出にかかる費用
  • 事務用のパソコンやプリンターなど、汎用性のある機材の購入費
  • 適正性が明確でない中古品の購入費
  • 事業にかかる自社の人件費や旅費
  • 補助金交付決定日依然に発注・購入・契約したもの(事前着手届出が受理された場合は除く)
  • 再生可能エネルギーの発電を行う設備や付属施設
  • 事業者が行うべき手続きを第三者に代行してもらったときに発生する費用

上記以外にも、社会通念上、不適切と思われる経費に関しては補助対象外となります。不適切な経費を見積書に記載すると、審査が長引くだけでなく、事業再構築補助金を受給できない可能性もあります。不安なときは、認定経営革新等支援機関に相談して確認しておきましょう。

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事業再構築補助金に2回応募する条件

事業再構築補助金は、原則として1事業者1回のみ利用できる補助金制度です。しかし、次の申請枠については、一定の条件を満たしている場合、最大2回受給できます。

  • グリーン成長枠
  • 産業構造転換枠
  • サプライチェーン強靭化枠

第1回~第10回の公募において1回採択されて補助金を受給した事業者のみ、第11回以降の公募で2回目の申請・受給が可能です。ただし、1回目の受給をグリーン成長枠で受けた事業者は、2回目はサプライチェーン強靭化枠に限って申し込めます。

また、1回目の受給をグリーン成長枠以外で受けた場合は、2回目はグリーン成長枠・産業構造転換枠・サプライチェーン強靭化枠に限って申し込めます。ただし、1回目と同じ申請枠に申請できない点に注意が必要です。

2回目に応募するときは、1回目とは異なる事業再構築であることを示す資料を提出しなくてはいけません。また、実施中の再構築のための事業と並行して、新しい再構築を行える体制や資金力を証明する資料も必要になります。

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まとめ

事業再構築補助金は、社会の変容に合わせ、事業転換や廃業を実施する企業を支援するための制度です。申請枠によって条件や補助金額、補助率が異なるため、申請前に確認しておきましょう。事業再構築補助金は応募時期が決まっているため、いつでも申し込めるわけではありません。定期的に事業再構築補助金のスケジュールを確認し、申請の時期を逸しないようにすることも大切です。

また、事業再構築補助金は、事業の再構築にかかる費用をすべてカバーする補助金ではありません。補助率や補助金額が定められているだけでなく、受給できない可能性もあるため、自力で補助事業を完遂できる程度の資金力を持っていることも求められます。実際にどの程度の費用がかかるのか綿密にシミュレーションした上で、事業再構築補助金に申し込むようにしてください。

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