新潟県でM&Aを実施するメリットとは？事業承継の相談先や注意点を解説

「新潟県の企業を買収してビジネスに参入したいけれど、本当にうまくいくか不安」という方もいらっしゃるかもしれません。新潟では後継者問題の深刻化に伴い、第三者へのM&A件数も増加傾向にあります。

新潟県でM&Aを成功させるには、地域の特性や現状を知ったうえで手続きを進めることが重要です。本記事では、新潟のM&Aの現状や実施のメリット、M&Aを相談できる機関などをご紹介します。

新潟県におけるM&Aの現状　

新潟県では、後継者不足が問題になっています。「特別企画： 新潟県内企業「後継者不在率」動向調査（2023 年）」によると、2023年10月の調査で新潟県で後継者が不在、または決まっていないと答えた企業は47.2％でした。

2020年から4年間の後継者不在率の推移は、次のとおりです。

	2020年	2021年	2022年	2023年
新潟県平均（％）	57.2	55.8	53.5	47.2

2020年から継続して後継者不在率が改善している傾向があります。改善している理由としては、事業承継税制の改良と拡大によりM&Aや金融機関主導の事業承継ファンドなど、中小企業が後継者を確保する選択肢が広がっていることが関係しています。

県内の後継者問題は改善の兆しを見せていますが、それでも未だ後継者を見つけられず、行く先に不安を抱えている企業が多いのも事実です。

後継者不在のまま対策を行わなければ、企業は廃業を迎えてしまいます。事業承継を実施できず、廃業が増えてしまえば、地域経済へのダメージが大きくなるでしょう。
後継者不在の状況を改善するため、新潟県では第三者に対する事業承継が注目を集めています。後継者が見つからない企業が、第三者にM&Aを行うことで、事業存続ができるからです。
国や都道府県も、事業承継やM&Aに対する支援を進めています。新潟県事業承継・引継ぎ支援センターや新潟県よろず支援拠点は、その一例です。

参照元：帝国データバンク「特別企画： 新潟県内企業「後継者不在率」動向調査（2023 年）」

製造業のM&Aが注目を集めている

新潟県内のM&Aで注目を集めている業種が、製造業です。新潟県は製造業が盛んな一方で、事業所数や従業員数の減少が進んでいるからです。新潟県によると、2020年度の製造業事業者数は5,053件でした。しかし、2021年度には、4,822件まで減少しています。
製造業における事業者数の減少は、今後も続くと考えられています。そのため、企業は事業存続や従業員の確保の対策が必要です。その対策で注目を集めている手法がM&Aであり、製造業でのマッチングはしやすくなるでしょう。

新潟県のM&A件数

M&AOnlineの実施した調査によると、新潟県のM&A実施件数は次のとおりです。

	2021年	2022年	2023年
M&A実施件数	12	8	14

全国でM&A件数が2桁以上であるのは21都道府県です。大都市圏では、東京都の802件や大阪府の148件という大きい数字が目立ちますが、それ以外はすべて2桁の実施件数であり、新潟県も中間よりも上位につけているのがわかります。

また、この調査では大企業が公開している案件のみがカウントされていますが、実際には非上場企業のM&Aも存在するため、新潟ではM&Aの件数が増加していると予想できるでしょう。

参照元：M&AOnline「2023年「都道府県別」M&Aランキング、あなたの地元は？」

新潟県でM&Aが難しいとされる3つの理由 　

新潟県でM&Aが難しいとされる理由には、次の3つが挙げられます。

• 新潟県はM&Aに消極的な企業が多い
• 地方はM&Aを実施する企業が少ない
• 新潟県にはM&Aの相談相手が少ない

ここでは、それぞれの理由を解説します。

新潟県はM&Aに消極的な企業が多い

新潟県では、M&Aに消極的な企業が多い状況です。昔ながらの企業が多く、M&Aの考え方が身近でない企業が多いからです。たとえば、歴史が長い企業では、自社を売りに出すことをためらい、M&Aを行いたくないと考える場合があります。また、自社を売却して資金に変えることをイメージできない経営者も多く、M&Aが実行されにくい環境があります。

地方はM&Aを実施する企業が少ない

地方にはM&Aを実施する企業が少ない点も、新潟県でM&Aが難しいとされる理由です。そもそも企業数が少ないため、M&Aを実施する企業も少なくなります。
東京や大阪などの大都市であれば、企業数も多く、M&Aを進める企業の割合も増えるでしょう。しかし、地方は企業の母数が少ないため、M&Aの実施も難しくなります。

新潟県にはM&Aの相談相手が少ない

M&Aを相談できる相手が少ないことも、新潟県でM&Aが難しい理由です。M&Aを行いたくても、どこに相談して良いか分からない経営者もいます。
また、地方の場合は、M&Aを相談できる場所が周りになく、遠出して相談に向かわなければならないケースもあります。しかし、経営を放置し、相談に出向くことが難しい経営者も多いでしょう。新潟県でも、M&Aの相談相手が近くにおらず、M&Aまで行動に移しにくい状況が発生しています。

新潟県でM&Aを実施するメリット 　

難易度が高いという新潟エリアだからこそ、M&Aを成功させた場合のメリットも大きいといえるでしょう。ここでは、新潟県でM&Aを実施するメリットを、買い手側と売り手側でそれぞれ解説します。

買い手側のメリット

買い手側の主なメリットは、次のとおりです。

• 新潟エリアへの新規参入がスムーズに実現する
• 現地をよく知る人材を確保できる
• 効率のよい事業拡大ができる
• シナジー効果で相乗効果が得られる

新潟でビジネスを成功させるためには、地域の特性をよく知っていることが大前提です。その点、すでにビジネスモデルができあがっている新潟企業の買収であれば、知識やノウハウをもった人材を確保することができ、円滑に新規参入ができる可能性があります。

売り手側のメリット

売り手側の主なメリットは、次のとおりです。

• 後継者を確保できる
• 売却による資金獲得ができる
• 新潟でのビジネス活性化が見込める
• 買い手企業の資金力を活用した事業発展の可能性がある

後継者問題に悩む企業が多い新潟にとって、M&Aでの企業または事業売却は、後継者を確保できる手段の1つです。第三者への売却を実施することで、新たな人材や資金を新潟エリアに迎え入れることができるため、地域のビジネスを活性化するきっかけとなる可能性があるでしょう。

また、資金力のある企業へ売却できれば、大切に育て上げた企業や事業が、買い手企業の力によってさらなる発展を遂げることもあるかもしれません。

新潟県でM&Aを行う際に相談できる機関

新潟県でM&Aを行う場合、次のような機関が活用できます。

	メリット	デメリット
公的機関	気軽に相談できる・中小企業支援も充実している	具体的な手続きのサポートはしていないケースが多い
M&A仲介会社	M&Aをトータルでサポートしてくれる・有益なアドバイスがもらえる	サポートを依頼するには費用がかかる
M&Aマッチングサイト	スピード感をもって手続きが進む・幅広く契約相手を探せる	実際の手続きは自分たちで進める必要がある
金融機関	関係性のある銀行などに相談できる・幅広い案件を保有している	中小規模のM&Aには対応していないケースがある・担当者がM&Aに詳しくない可能性がある

それぞれの特徴やメリットなどを解説します。

公的機関

近年では、地域や中小企業のM&Aを支援する動きが強まっていることから、新潟県内にもM&Aについて相談できる公的機関がいくつか存在します。具体的なメリットは、次のとおりです。

• 幅広い対象者に向けた相談を受け付けている
• インターネットなどから機関の情報も探しやすい
• 無料相談を気軽に利用できる
• 中小企業のサポートが手厚い

一方で、具体的なM&Aの手続きなどのサポートは受けられない場合もあるため、最終的にはM&A仲介会社などに依頼をし直すケースもあるようです。

新潟県内でM&Aを相談できる公的機関の概要は、後ほど詳しく解説します。

M&A仲介会社

新潟県でM&Aを行うためには、M&A仲介会社の活用がおすすめです。M&A仲介会社の活用では、次のようなメリットがあります。

• M&Aに関するアドバイスや支援を受けられる
• M&A案件の紹介や見極めをしてもらえる
• M&Aをスムーズに進めるサポートが得られる
• M&Aに必要な取り決めのアドバイスがもらえる

M&A仲介会社の特徴は、買い手と売り手の間に入り、中立的な立場でサポートを実施する点です。そのため、買い手と売り手の利害をうまく調整しながら、M&Aが実施できます。

M&Aマッチングサイト

新潟県でM&Aを行うためには、M&Aマッチングサイトも有効です。M&Aマッチングサイトとは、プラットフォームを介して、M&Aの案件をマッチングしてくれるサービスのことです。M&Aマッチングサイトには、次のようなメリットがあります。

• 幅広い地域の案件が探せる
• M&Aを初めて行う企業でも案件が効率的に探しやすい
• ニーズに合った案件を探しやすい
• 短期間で交渉が進みやすい

ただし、M&Aマッチングサイトでは、サイトによってサービス内容が異なります。特に、弁護士などの専門家を紹介してもらえるかは、確認しておきましょう。

金融機関

地元にある金融機関でも、M&Aの相談を受け付けているケースがあります。金融機関は融資先から経営に関する相談を受けていることも多く、M&Aの案件情報が集まりやすいからです。金融機関にM&Aを相談する場合、次のようなメリットがあります。

• 幅広い案件情報を持っている
• M&Aフローの全体を相談できる
• 買い手企業の場合、融資を受けられるケースがある

金融機関に相談する場合の注意点は、M&Aに詳しくない担当者もいる点です。金融機関は融資が本業になるため、M&Aに対する知見があるとは限りません。相談する金融機関がM&Aに詳しいかは、事前にチェックしておきましょう。

新潟県でのM&Aには、M&A仲介会社が必要  

新潟県でM&Aを行う場合、仲介会社が欠かせません。M&A仲介会社が欠かせない理由は、次の3つです。

• 選べる案件数を増やすため
• M&Aが円滑に進む
• M&A実施に向けたアドバイスやサポートをもらうため

ここでは、それぞれの理由をより詳しく解説します。

選べる案件数を増やすため

新潟県でのM&AにM&A仲介会社が必要な理由は、M&Aで選べる案件を増やすためです。M&A仲介会社であれば、買い手と売り手ともに、多くの案件情報を持っています。そのため、自社に合う案件を紹介してもらいやすくなるでしょう。
また、M&Aを行う際には、「譲渡価格」「M&A成立後のシナジー」「経営風土が合うかどうか」なども重要です。M&A仲介会社を活用すれば、自社に合う案件を見極め、紹介してもらえます。

M&Aが円滑に進む

M&Aを円滑に進めるためにも、M&A仲介会社が欠かせません。M&A仲介会社は、買い手と売り手の間に立ち、中立の立場で調整を進めてくれます。そのため、自社だけでM&Aを実施する場合に比べて、スムーズに交渉や手続きが進むでしょう。

M&A実施に向けたアドバイスやサポートをもらうため

M&A仲介会社に依頼を行うことで、M&A実施に向けたアドバイスがもらえます。M&A仲介会社は、法務や会計など、M&Aに関する知識や経験を所持しているからです。
また、M&Aを行う場合、普段の業務と同時に進めるケースがほとんどです。自社だけで進める場合、業務に支障が出ることもあるでしょう。M&A仲介会社のサポートがあれば、業務への支障を少なくし、M&Aを進めることができます。

新潟県でのM&A仲介会社を選ぶポイント

新潟県でM&A仲介会社を選ぶ場合、次のようなポイントを意識してみましょう。

• 新潟県でのM&A実績が豊富
• M&Aに対する知識が豊富
• M&Aを予定する分野の知識が豊富
• 支払う料金が分かりやすい
• 担当者との相性が良い

それぞれのポイントを詳しく解説します。

新潟県でのM&A実績が豊富

新潟県でM&A仲介会社を選ぶ場合、新潟県でのM&A実績が豊富な企業を選びましょう。M&A仲介会社ごとに、担当する地域や、扱っている案件の規模が異なるからです。
もし、自社のニーズや目的に合っていないM&A仲介会社を選んでしまうと、交渉や手続きがスムーズに行えない場合もあります。新潟県でM&A仲介会社を選ぶ際には、自社の条件や希望を満たした企業を選びましょう。

M&Aに対する知識が豊富

M&A仲介会社を選ぶ際は、M&Aに対する知識が豊富なM&A仲介会社を選びましょう。M&Aを円滑に進めるためには、M&Aに対する専門的な知識や、交渉・手続きの経験が大切だからです。新潟県でM&Aを成功させたい場合は、M&Aに詳しい、専門的な仲介会社を選びましょう。

M&Aを予定する分野の知識が豊富

M&Aを予定している分野の知識が豊富であることも、M&A仲介会社を選ぶ際には大切です。対象分野の専門知識や、M&Aの実績を持っている仲介会社を選びましょう。知識や実績を確認するためには、M&A仲介会社のWebサイトを見たり、直接問い合わせることが有効です。自社が実施したい分野に必要な知識を持っているか、チェックしておきましょう。

支払う料金が分かりやすい

支払う料金が分かりやすいことも、M&A仲介会社を選ぶ際のポイントです。M&A仲介会社によって、依頼する場合に必要な料金体系が変わります。
もし、料金体系を確認しないで依頼をしてしまうと、想定よりも高価な相談料が必要になったり、成功報酬を要求されたりしてしまうでしょう。
M&Aに掛かるコストを抑えたい場合には、相談料や成功報酬が安く、料金体系も明確なM&A仲介会社を選びましょう。

担当者との相性が良い

M&A仲介会社を選ぶ場合、担当者との相性で選ぶこともおすすめです。相性の良い担当者であれば、安心してM&Aを進めることができるでしょう。たとえば、「レスポンスの速さ」「相談したときの対応の丁寧さ」なども相性に影響します。無料相談ができるM&A仲介会社もあるため、担当者との相性を確認してから依頼してみると良いでしょう。

新潟県でM&Aを行う際に役立つ支援　

新潟県でM&Aを行う場合、次のような支援も受けられます。

	特徴	運営元
新潟県事業承継・引継ぎ支援センター	地域の金融機関や士業専門家、民間M&A事業者と連携でM&Aを支援	公益財団法人にいがた産業創造機構
新潟商工会議所	商工会議所会員であれば無料相談可能・事業承継簡易診断サービス実施	－
新潟県よろず支援拠点	年間相談件数7,000件以上・経営課題解決をトータルサポート	中小企業庁
新潟県後継者バンク	創業を目指す起業家と後継者不在の事業主のマッチング支援	公益財団法人にいがた産業創造機構

それぞれの特徴を紹介するため、参考にしてください。

新潟県事業承継・引継ぎ支援センター

新潟県事業承継・引継ぎ支援センターは、国が設置している、事業承継に関する支援機関です。第三者に対する事業承継、やM&Aに関しては、次のようなサポートを実施しています。

• 譲受企業とのマッチング支援
• 後継者バンクによるマッチング支援
• 登録機関などによるサポート

ここでの、登録機関とは、事業承継・事業引継ぎ支援センターに登録された、仲介者やアドバイザーのことです。金融機関や士業の専門家、民間M&A事業者と連携しており、必要な場面では紹介もしてもらえます。

新潟県事業承継・引継ぎ支援センターは、相談無料です。ただし、登録機関のサポートが必要な場合は、別途料金が発生します。

参照元：「新潟県事業承継・引継ぎ支援センター」

新潟商工会議所

商工会議所でも、M&Aの相談が行えます。商工会議所はもちろん、商工会でも相談ができるため、活用してみましょう。
新潟商工会議所では、事業承継に必要な準備ができているか、簡易的な診断も行っています。「組織」「経営」「財産」の3つを点数化し、評価してもらえるサービスです。商工会議所の会員であれば、事業継承の診断も含めて、無料で相談できます。

参照元：新潟商工会議所「事業承継・M&A」

新潟県よろず支援拠点

新潟県よろず支援拠点とは、中小企業や小規模事業者の経営支援を行うため、設置された機関です。中小企業庁が管轄となり、新潟県にも設置しています。経営支援で相談できる範囲には、事業継承も含まれます。

参照元：燕市「新潟県よろず支援拠点」

新潟県後継者バンク

新潟県後継者バンクとは、「創業を目指す起業家」と「後継者不在の事業主」のマッチングを行うサービスです。新潟県事業承継・引継ぎ支援センターが運営を行っています。
新潟県後継者バンクのメリットには、次の2つが挙げられます。

• 経営資源を継承できる
• 開業コストを下げられる

マッチングを行う流れは、最初に買い手である起業家側が条件をリストアップし、新潟県後継者バンクに登録を行います。次に、事業承継を希望する事業者が相談に赴き、条件のマッチングを行います。条件が合う場合には、面談が実施され、交渉が成立すれば事業承継が実施可能です。

参照元：新潟県事業承継・引継ぎ支援センター「新潟県後継者バンクとは」

新潟県でM&Aを成功させるポイント

新潟県でM&Aを成功させるためには、次のポイントが大切です。

• M&A実施を決めたらすぐに動く
• 自社の理解度を高める
• 交渉相手と良好な関係を作る
• 金融機関の協力や理解をもらう
• 従業員や取引先と良好な関係を作る
• 買い手は取引する価格を決めておく
• 案件の適正価格を把握する
• M&Aの専門家に依頼する

それぞれのポイントを詳しく解説します。

M&A実施を決めたらすぐに動く

M&Aを成功させるためには、M&A実施を決めたらすぐに動きましょう。まずは、M&Aの相談相手を探すことが大切です。M&A仲介会社や、地元の金融機関が候補に上がるでしょう。
M&Aは、対象にする業界の特性や、経済の動きなどに左右されます。そのため、案件が見つかりやすいタイミングで動くことが重要になります。もし、動き出すタイミングが遅れてしまうと、案件が見つからないこともあるでしょう。その場合、不利な条件で交渉を行わなければならないケースも発生します。
希望の条件で、買収・売却を行うためにも、M&Aのタイミングを逃さないことがポイントです。

自社の理解度を高める

自社の理解度を高めておくことで、M&Aが成功しやすくなります。交渉相手に自社の状況を説明しやすく、スムーズに交渉相手が探せるようになるからです。
また、M&Aを行う際には、次のような条件に関して、優先順位を決めておきましょう。

• 取引価格
• 社名
• 従業員との雇用関係
• 取引先との取引関係

優先順位を決めておくことも、取引相手を見つけやすくするために有効です。

交渉相手と良好な関係を作る

交渉相手と良好な関係ができると、M&Aは成立しやすくなります。買い手、売り手どちらであっても、偉そうな態度で交渉しないようにしましょう。
中小企業の場合、経営者をはじめとする人材が重要な財産になります。経営者が離れてしまうことで、「ノウハウが喪失する」「取引先との関係性が悪化する」などの問題が発生することもあるでしょう。
M&Aでは、成約後も売り手の経営者に会長などの立場で残ってもらうケースもあります。M&A後も良好な関係を維持できるように、交渉時から意識しておきましょう。

金融機関の協力や理解をもらう

金融機関の協力や理解を得ておくことも、M&A成功には欠かせません。中小企業の場合、金融機関から買収資金の融資を得るケースが多いからです。
もし、融資が通らなかった場合、M&Aが実施できなくなってしまいます。自社の戦略が頓挫するだけではなく、売り手にも迷惑をかけてしまうでしょう。
融資を受けるためにも、普段から金融機関とコミュニケーションをとっておくことが大切です。あらかじめM&Aを検討していることを伝えておけば、M&A実施時に協力してもらいやすくなるでしょう。

従業員や取引先と良好な関係を作る

売り手企業の従業員や取引先とも、良好な関係を作っておきましょう。
特に、従業員のなかでも、ほかの従業員に支持されているキーパーソンとは、良い関係を作っておくことが大切です。キーパーソンと良好な関係ができれば、ほかの従業員の不満を軽減したり、問題が起きた場合でも相談してもらいやすくなるでしょう。
取引先に関しても、買い手と売り手の経営者が集まり、挨拶回りを行っておくと良いでしょう。また、企業によっては、取引先との契約で事前了解が必要な条項が含まれるケースもあります。契約書に関しても、事前にチェックしておきましょう。

買い手は取引する価格を決めておく

買い手側でM&Aを行う場合、取引する価格をある程度決めておきましょう。M&Aの実施可否を、判断しやすくなるからです。
また、買収に当たって、価格を含めた知識は入れておきましょう。M&A仲介会社に依頼を行う場合でも、知識を持っておくことは必要です。もし、知識がない場合、相場以上の金額で交渉してしまうリスクも発生するでしょう。損をしないためにも、妥当な金額を知っておくことが求められます。

案件の適正価格を把握する

M&Aの対象企業の適正価格を知っておくことも大切です。適正価格の算出方法を知っておきましょう。たとえば、M&Aでは、次のような方法で適正価格を算出できます。

• コストアプローチ
• インカムアプローチ
• マーケットアプローチ

より正確な適正価格を算出するためには、専門的な知識が必要です。M&A仲介会社のような専門家に依頼すると良いでしょう。

M&Aの専門家に依頼する

M&Aを成功させるためには、M&Aの専門家に依頼しましょう。専門家によるアドバイスを受けることで、成功確率が上がるからです。
中小企業がM&Aを行う場合、個人同士で交渉を行うケースもあります。しかし、時間が掛かったり、交渉が失敗してしまうケースも見受けられます。
交渉をスムーズにしたり、納得できる条件でM&Aを成立させたりするためにも、M&A仲介会社などの専門家に依頼しましょう。

新潟県でM&Aを行う際の注意点 

新潟県でM&Aを行う場合、次のような点に注意しましょう。

• M&Aの実施目的を決める
• デューデリジェンスは外部に依頼する
• PMIが発揮されるように取り組む

それぞれ、注意するポイントを解説します。

M&Aの実施目的を決める

M&Aは、実施目的を決めてから行いましょう。目的が曖昧なまま進めても、M&Aや経営統合が成功しないからです。企業を買収し、どのような戦略や結果を目指すのか、ビジョンを定めておくことが必要になります。M&Aの実施目的を決め、目的に必要なプロセスやM&A手法を選択しましょう。

デューデリジェンスは外部に依頼する

デューデリジェンスを実施する際は、外部の専門家に依頼しましょう。自社だけで実施してしまうと、潜在リスクを見落としてしまう可能性があるからです。
M&Aの実施は、法務や財務など、さまざまなリスクを抱えています。リスクを見落とした結果、経営に失敗したり、訴訟などのトラブルに発展するケースもあります。
M&A経験がすでにある企業でも、専門家にデューデリジェンスを依頼するようにしましょう。

PMIが発揮されるように取り組む

PMIに注意して、M&Aを行うようにしましょう。M&Aでは、成約後の経営統合や事業成長が大事だからです。
もし、PMIをおろそかにしてしまうと、従業員同士で争いが起きる可能性もあります。また、既存顧客が離れてしまい、業績が悪化してしまうこともあるでしょう。
交渉成立の時点が、M&Aの成功ではありません。買収後のPMIも、丁寧に実施しましょう。

新潟県で行われたM&Aの事例 

ここでは、新潟県で行われたM&Aの事例を紹介します。3つの事例を紹介するため、それぞれ参考にしてください。

食品企業の事例

ここでは、食品企業のM&A事例を紹介します。

譲渡企業

• 所在地：茨城県水戸市
• 事業内容：業務スーパー事業
• 売上高：3,709百万円
• 営業利益：114百万円

M&Aのスキーム

株式譲渡契約

M&Aの目的

譲受企業は、新潟県に本社を持ち、9つの県で業務スーパーを運営している企業です。このM&Aは、さらなる経営拡大を目指して実施されました。
M&Aの対象になった企業は、茨城県を中心に地域密着型の業務スーパーを運営する企業です。同業とのM&Aを行い、当該地域での営業基盤の強化、さらなる成長につなげる目的で実施されています。

米菓メーカーの事例

ここでは、新潟県の米菓メーカーが、M&Aを行った事例を紹介します。

譲渡企業

• 所在地：新潟県新潟市
• 事業内容：青果物の卸および小売り、米パン粉、米粉パンの製造販売
• 売上高：173百万円
• 資本金：10百万円

M&Aのスキーム

株式譲渡契約

M&Aの概要

譲受企業は、米菓を中心に、食品事業を展開する企業です。注力していた米粉パンの製造販売の急拡大に備え、生産体制の整備を進めていました。今回のM&Aでは、「生産拠点の集約」「生産効率の向上」「譲受企業の販売ルート活用」などでシナジー効果が見込まれることから、株式取得が実行されています。

食品製造会社の事例

ここでは、新潟県の食品製造会社がM&Aを行った事例を紹介します。

譲受企業

• 所在地：東京都千代田区
• 事業内容：清涼飲料受託充填
• 資本金：411百万円

譲渡企業

• 所在地：新潟県新潟市
• 事業内容：食品製造販売
• 売上高：917百万円
• 総資産：762百万円

M&Aの概要

譲受企業は、飲料受託重点事業を中心に展開している企業です。新規事業の一環として、食品分野への参入を検討していました。
譲渡企業は、食品製造販売から始まり、健康食品分野への参入も果たした企業です。両社で協議を行った結果、両社の製造販売に関する知見を活かし、食品分野での事業拡大に向けてM&Aが実施されています。

まとめ　

新潟県では後継者が確保できず、企業や事業の将来のために、第三者への売却を実施するM&Aが増えてきています。新潟でのビジネス参入を検討している方にとっては、M&Aによって低リスクで効率的に事業をスタートできるのがメリットです。

新潟のことをよく知る従業員が所属していたり、すでに関係性のできている取引先があったりする場合は、スムーズに地域に溶け込めるでしょう。しかし、未だにM&Aに対して消極的な企業が多いのも事実で、新潟エリアでM&Aを成功させるためには、専門家の助けが必要です。

まずは公的機関や金融機関などに、M&Aについて相談してみることもできます。ただし、それらの機関は実際の手続きにおけるサポートは実施していないのが一般的であるため、M&Aのトータルサポートを望む場合はM&A仲介会社の利用が便利です。

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料金に関しては、M&Aの成約時に料金が発生する、完全成功報酬型です。
M&A成約まで、無料でご利用いただけます（譲受側のみ中間金あり）。

ご相談も無料で実施しているため、新潟県でのM&Aを検討している際には、お気軽にお問い合わせください。