沖縄県で事業承継を行うには?利用できる支援や事業承継の流れを解説

2024年8月6日

沖縄県で事業承継を行うには?利用できる支援や事業承継の流れを解説

このページのまとめ

  • 沖縄県は経営者年齢の高齢化が進み、後継者不在率が6割以上と高い
  • 沖縄県で事業承継を行う方法は「親族内承継」「社内への承継」「第三者へのM&A」
  • 沖縄県には事業承継の相談ができる公的支援期間が複数ある
  • 沖縄県で事業承継を進めるためには、専門家の支援が重要

「沖縄県で事業承継を行いたいけれど、どのように進めればいいかわからない」と悩んでいる経営者も多いのではないでしょうか。沖縄では事業承継を支援する公的機関が多く、無料で相談できます。補助金など、各種支援制度の利用も可能です。

本記事では、事業承継の方法や沖縄県で事業承継を行うためのポイント、承継方法ごとの事例などを解説します。

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沖縄県の事業承継の現状

沖縄は経営者年齢の高齢化が進んでおり、後継者不在に悩む企業が多い現状です。事業承継がうまく進まず、廃業を選ぶ企業も増えています。

ここでは、沖縄県の事業承継の現状について、詳しくみていきましょう。

経営者年齢の高齢化が進んでいる

沖縄県の企業のほとんどを占める中小企業・小規模事業者は、地域経済を支える存在です。しかし、中小企業の経営者年齢は60~70代がピークで、経営者年齢の高齢化が進んでいます。

年度経営者の平均年齢
2015年59.6歳
2016年60.1歳
2017年60.4歳
2018年60.8歳
2019年61.0歳
2020年61.2歳
2021年61.4歳
2022年61.6歳

事業が次世代へ引き継がれていくことが大切ですが、多くの企業・事業者が後継者不在に悩まされているのが現状です。

参照元:帝国データバンク「沖縄県中小企業者事業継続実態調査 結果報告書【概要版】

後継者不在率が高い

帝国データバンクの「沖縄県 後継者不在率動向調査(2023年)」によると、沖縄県での後継者不在率は66.4%と過去最低を記録しています。

過去3年における後継者不在率の動向は、次のとおりです。

調査年度後継者不在率
2021年73.3%
2022年67.7%
2023年66.4%

年々数値は低下しており、改善傾向ですが、依然として全国第5位という高い後継者不在率です。

前経営者との関係性では、血縁関係によらない役員・社員を登用する「内部昇格」による事業承継が 46.9%で、前年から大きく上昇しています。一方、身内の登用など「同族承継」 は28.1%と前年よりも低下し、親族間承継の急激な低下と内部昇格の大幅な上昇が特徴です。 

買収や出向を中心にした「M&Aほか」が10.9%と続き、社外の第三者を代表として迎える「外部招聘」は9.4%と、前年から低下しました。

数字としては改善の傾向はあるものの、沖縄県の後継者不在はいまだに深刻な状況といってよいでしょう。

後継者不在率が高い原因の1つとして、事業承継対策が必要とされる60代以上の経営者において、事業引継ぎの具体的な取り組みを実施していないことが挙げられます。
十分な対策を行っていない企業が一定数存在しており、引継ぎの準備をしている企業でも、「後継者育成中」が約3割で、「後継者に意思を確認した」が約2割に留まっています。 

参照元:
帝国データバンク「沖縄県 後継者不在率動向調査(2023年)」
帝国データバンク「沖縄県中小企業者事業継続実態調査 結果報告書【概要版】

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事業承継の方法は3つ

一般的に行われている事業承継の方法は、次の3つです。

  • 親族内で承継
  • 従業員・役員に承継
  • M&Aによる承継

いずれの方法をとる場合でも、承継までには時間がかかります。早めに承継の方法を選び、余裕をもって準備を進めることが大切です。

ここでは、事業承継の方法を解説します。

親族内で承継

経営者の親族を後継者とする方法です。主に、経営者の子どもやその配偶者、経営者の配偶者が後継者となります。経営者の兄弟姉妹、あるいはその子どもの場合もあるでしょう。

古くから行われてきた事業承継の方法ですが、現代は家業を引き継ぐ子どもが減っており、全体的な親族内承継の比率も減少しています。

減少している理由は、少子化により子どもの数が減っていることや、価値観が多様化し、「家業を引き継ぐ」という考え方が以前ほど重視されなくなっているためです。

親族内承継は、後継者となる親族を従業員として雇用し、数年間働くなど後継者教育をしやすいことが特徴です。従業員や取引先などの関係者からも受け入れられやすい方法といえるでしょう。

また、生前贈与や相続で経営者の資産を移転できるため、事業承継の手続きをスムーズに行えます。

ただし、親族内承継は少ない候補者から後継者を選ぶため、経営者として十分な資質を備えているとは限らず、後継者を育てるために時間もかかる点に注意が必要です。

従業員・役員に承継

親族に後継者がいない場合の選択肢として選ばれることが多いのが、従業員や役員への承継です。後継者になりうる親族がいる場合でも、必ずしも経営者としての資質があるとは限りません。

長年事業に従事し、社内の事情をよく知っている役員や従業員の方が、経営者として適している場合もあります。

社内の人材であれば、経営者としての能力をしっかり見極めて承継できる点がメリットです。経営方針や企業文化を含めて引き継げるため、承継後も安定した経営が期待できるでしょう。親族内承継と比較して、後継者の育成に時間がかからない点もメリットです。

従業員・役員の承継の大きなデメリットは、後継者候補に株式を取得する資金力が不足することが多いという点です。株式を無償で引き継ぐ場合は、贈与税が課税される場合もあります。

M&Aによる承継

親族内承継や社内承継の候補者がいない場合、候補者を外部に求めるM&Aや事業売却といった方法がとられます。M&Aとは、複数の企業をひとつの企業に統合する合併や、他の企業の株式や事業を買い取る買収のことです。親族や社内で後継者がいない場合、適正な承継先を外部に求めることで事業を継続できます。

後継者不在が深刻な近年では、M&Aを選ぶ企業も増えています。M&Aであれば幅広く後継者に適した人材を探すことができ、事業承継できれば会社は廃業を免れ、経営が引き継がれる点もメリットです。

M&Aの実施には法務や会計などの専門知識が必要であり、M&A仲介会社など専門家に相談するのが一般的です。

M&Aによる事業承継を選ぶ場合でも、希望する承継先が見つかるとは限りません。売却価格や従業員の雇用など、希望の条件を満たす承継先を見つけるのは難しい場合もあります。交渉に時間がかかり、希望する金額で売却できないこともあるでしょう。

M&Aによる事業承継には時間がかかることも多く、ある程度の時間が必要であることを把握して選択する必要があります。新しい経営者の熱意や資質を判断するのもなかなか困難です。自社の経営理念や企業文化を受け継いでもらえるのか、しっかり見極めなければなりません。

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沖縄県で事業承継を支援している公的機関

後継者候補が見つからないなど事業承継に悩みがある場合、沖縄県では相談に対応している公的機関があります。

機関名

対応範囲

特徴・特色

料金

沖縄県事業承継・引継ぎ支援センター

相談から後継者育成まで

事業承継のステージごとに支援体制が整備

無料

沖縄県事業承継ネットワーク

事業承継診断のあと、具体的なニーズに沿った各種支援を行う

事業承継診断を無料で実施

無料
(専門家の支援が必要になる場合は有料)

沖縄県産業振興公社

相談や補助金支給、「事業承継計画」作成支援など

要件に該当すれば補助金の支給もあり

無料

沖縄県よろず支援拠点

経営上の課題に幅広く対応

解決まで何度でも無料で相談できる

無料

どの機関も基本的に無料で対応しているため、まずは気軽に相談してみるとよいでしょう。

ここでは、沖縄県で事業承継を支援している公的機関を紹介します。

沖縄県事業承継・引継ぎ支援センター

沖縄県事業承継・引継ぎ支援センターは、国が設置する公的相談窓口です。那覇商工会議所に設けられ、中小企業の事業承継を支援します。相談はすべて無料で、事業承継支援に精通した専門家が秘密厳守で相談に応じるため安心です。

事業承継支援制度として事業承継のステージごとに支援体制が整備されており、承継前から承継後まで、幅広くサポートします。

参照元:沖縄県事業承継・引継ぎ支援センター

沖縄県事業承継ネットワーク

沖縄県事業承継ネットワークは、中小企業庁から委託を受けて沖縄県が運営する事業です。金融機関や商工会議所・商工会といった商工団体、沖縄税理士会などが各企業の窓口になり、相談に対応したり事業承継診断を実施したりします。

事業承継診断は無料で実施し、診断結果に応じてアドバイスを行うという流れです。経営の見える化や自社の磨き上げを行い、10年後も続く会社づくりを支援しています。

参照元:沖縄県事業承継ネットワーク

沖縄県産業振興公社

沖縄県産業振興公社とは、中小企業の経営支援などを行う公益財団法人です。専門家による窓口相談や新事業創出支援など、さまざまな支援を行っています。

事業承継では、これまで事業承継補助金や「事業承継計画」作成支援、後継者育成塾の開催といった支援を行っているのが特徴です。利用できる支援については、このあとの項目でも説明します。

参照元:沖縄県産業振興公社

沖縄県よろず支援拠点

よろず支援拠点とは、国(中小企業庁)が全国に設置している無料の経営相談所です。中小企業や小規模事業者などを対象に、経営上のあらゆる悩みについて相談に対応しており、沖縄県でも県内の各地にサテライトの窓口が設けられています。

各分野の専門家が多数在籍しており、どのような問題でも、解決するまで何度でも相談に対応しています。

参照元:沖縄よろず支援拠点

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沖縄県の事業承継を推進する方法

沖縄県で事業承継を推進するには、M&A仲介会社やマッチングサイトを利用する、もしくは公的機関・金融機関を利用するといった方法があげられます。

ここでは、沖縄県で事業承継を推進する方法を解説します。

M&A仲介会社に相談・依頼する

事業承継でM&Aを利用する場合、M&A仲介会社に相談し、仲介を依頼するのが一般的です。M&A仲介会社は、アドバイザーが売り手と買い手の間に立って交渉の仲介を行い、中立的な立場でM&Aの成立を支援する会社です。

M&Aのプロセスでは会計や法務など専門的な知識が求められる場面が多く、専門家であるM&A仲介会社のサポートが欠かせません。

M&A仲介会社は自社の提携先やネットワークを活用し、顧客企業にとって最適な候補企業を見つけます。相手先企業と交渉する際も、自社だけでは難しい内容について相談できる点がメリットです。

マッチングサイトを利用する

事業承継に関するマッチングサイトを活用する方法もあります。マッチングサイトとは、第三者への事業承継を考えている経営者と会社の承継を検討している会社・個人を結びつけるサービスです。

数多くのマッチングサイトがあり、手続きの進め方はそれぞれ異なりますが、一般的な流れは次のとおりです。

  1. 売り手・買い手の双方がサイトに会員登録する
  2. 売却の情報を売り手側が登録する
  3. 買い手側が検索して案件を探す
  4. 買い手側が案件に対しオファーを送信する
  5. オファーの送信者と受信者がメッセージを交換する

やり取りは匿名で行われます。何回かのメッセージ交換を重ねて、M&A交渉を開始するかを決定するという流れです。

公的機関・金融機関に相談する

公的機関や金融機関に相談し、事業承継の実施まで支援を受けるという方法もあります。

公的機関に相談する場合

公的機関による支援は、次のような流れで行われます。

(親族内承継の場合)

  1. 相談をする
  2. 事業承継の時期を確定する
  3. 引継ぎや後継者教育について確認する
  4. 株式譲渡方法を決める
  5. 事業承継税制手続きを準備する
  6. 事業承継前後の資金調達を手配する

支援機関はあくまでアドバイスや提案を行うところで、決定するのは経営者や後継者です。アドバイスを受けるときは基本的に無料ですが、引継ぎの過程で士業の専門家に業務を依頼する場合は有料になります。

(社内承継の場合)

基本的な流れは親族内承継と同じであり、支援機関がさまざまなアドバイスを行います。社内承継では後継者側での資金準備が必要になるため、支援機関にアドバイスを求める場面も多いでしょう。

(M&Aによる承継の場合)

  1. 相談する
  2. 後継者人材バンク登録者とのマッチングを行う
  3. よい候補者が見つかれば、具体的な事業承継の段階に移行する
  4. マッチングがうまくいかない場合、民間のM&A仲介会社が紹介される
  5. 委託する会社と契約してM&Aを進める

これはあくまで一例であり、進め方は支援機関により異なります。

M&A仲介会社と契約したあとは、各社が設定している手数料が発生します。

金融機関に相談する場合

金融機関(銀行)は企業との取引が多く、事業承継の相談先に適している場所です。近年の後継者不足の問題を受け、事業承継の相談を受け付けている銀行も増えています。

銀行に相談することで経営や税金対策の相談ができる点がメリットです、日頃から取引している銀行であれば、自社の経営状況や資産状況も把握しているため、事業承継についても相談しやすいでしょう。

銀行ごとに事業承継の取り組みは異なるため、取引先の銀行がどの程度までサポートしているかを確認してみてください。

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沖縄県の事業承継で利用できる支援

沖縄県の事業承継では、補助金や資金の貸付、『事業承継計画』作成支援といった支援を受けられます。

支援内容

概要

事業承継補助金

・補助率2/3、上限額100万円の補助金を支給
・年間採択予定件数:15件程度

創業者・事業承継支援資
(事業承継支援貸付)

要件に該当する中小企業に8,000万円を限度とする融資を実施

『事業承継計画』作成支援

専門相談員が事業承継計画書の作成を支援

それぞれ、詳しい内容をみていきましょう。

事業承継補助金

事業承継補助金は、沖縄県産業振興公社が支援する制度です。後継者継者不在率が高い沖縄県の状況を踏まえ、事業の継続と雇用の維持、技術の伝承を図ることを目的に運営されています。

沖縄県内に本社を構える中小企業・小規模事業者・個人事業主が対象で、常時雇用する従業員が1名以上いることが必要です。

申請には、 本事業事務局に申請前の事前相談をすることが必須条件です。事前相談を受けていない場合は申請できないため注意しましょう。

公募・申請受付は毎年9月から10月ごろに行われています。2024年以降の募集は未定ですが、期日が近づいたら公式サイトをチェックしてみるとよいでしょう。

参照元:沖縄県産業振興公社「事業承継推進事業」

創業者・事業承継支援資金(事業承継支援貸付)

沖縄県が低金利で資金を融資する制度です。沖縄県信用保証協会の保証対象業種に属し、県内で1年以上継続して同一事業を営む中小企業者が対象です。

事業承継で利用する場合は、「中小企業等経営強化法第26条第1項の規定による認定を受けた認定経営革新等支援機関の支援を受けて策定した事業承継計画に基づき事業承継を行うもの」という要件があります。

運転資金、設備資金などの資金用途について、8,000万円を限度とする融資が年1.70%の利率で実施されます。

参照元:沖縄県「創業者・事業承継支援資金(事業承継支援貸付)

『事業承継計画』作成支援

沖縄県産業振興公社の専門相談員(プロジェクトマネージャー・サブマネージャー)が、事業承継計画書の作成を支援する制度です。

事業承継計画書を作成することで事業承継の内容を明確にでき、早めに贈与税・相続税の対策ができます。

事業承継時に起こりやすいトラブルの防止にも役立ち、事業承継計画書があることで、取引先金融機関との信頼関係を維持し、協力が得られやすいというメリットがあります。

参照元:沖縄県産業振興公社「事業承継推進事業」

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沖縄県における事業承継の流れ

事業承継は行うことが多岐にわたり、時間がかかるため、早めの準備が必要です。承継の時期が遅れると経営者は高齢になり、業績が悪化する傾向があります。

事業承継の流れを把握し、できるだけ早く準備を進めましょう。

事業承継は、一般的に次のような流れで行われます。

  1. 支援機関に相談する
  2. 会社の現状を把握する
  3. 経営改善を行う
  4. 事業計画書を作成する
  5. 事業承継を実施する

各段階について、詳細を解説します。

支援機関に相談する

「事業承継の進め方がわからない」「後継者が見つからない」といった悩みがある場合は、まず支援機関に相談しましょう。これまで紹介してきたように、沖縄県には公的機関だけでもさまざまな相談先があります。

顧問の公認会計士や税理士がいれば、相談先としておすすめです。会社の数字を把握している専門家は、適切なアドバイスをしてくれるはずです。懇意にしている銀行があれば、気軽に相談してみるのもよいでしょう。

会社の現状を把握する

事業承継を具体的に進める前に、会社の現状を把握することが必要です。具体的に、以下の内容を確認します。

  • 経営状況
  • 株式保有状況
  • 現在抱えている課題

経営状況の把握では、財務諸表で収支状況などを把握し、収益性の高い商品や事業が持つ成長性などを確認します。株式会社の場合、株式保有状況も確認しましょう。事業承継後も安定した経営を行うためには、できるだけ株式を経営者に集約させることが大切です。

また、承継に向けた経営改善を行うために、どのような課題を抱えているかの把握も必要です。

経営改善を行う

現状を把握できたら、事業承継に向けて経営改善を行います。親族内承継の件数が減少している背景には、後継者候補が会社の将来や今後の経営について不安を抱いているという事情もあります。

事業承継をスムーズに進めるためには、承継前に経営状態を改善し、後継者が不安なく承継できる会社にすることが必要です。

M&Aによる事業承継を行う場合は、特に経営改善による企業価値アップが欠かせません。買い手側にとって魅力のある会社でなければ、相手先企業がなかなか見つからないということにもなるでしょう。 

事業承継計画書を作成する

事業承継では、事業承継計画書の作成も大切です。企業の強みを活かし、将来の課題解決を盛り込んだ事業承継計画を立案してください。行動に移す前に計画をしっかり立てることで、失敗のリスクを回避できます。

中長期的な経営方針や方向性、目標を設定し、事業承継に向けて課題の整理や後継者の教育・経営体制の確立に向けた準備など、具体的な事業承継計画を盛り込みます。

計画を立てる際には、支援機関や専門家のアドバイスをもらいながら進めることで、無理のない計画を立てられるでしょう。

事業承継を実施する

計画書に基づき、事業承継を実施します。取引先や従業員に説明を行い、資産の移転や経営権の譲渡を行って、後継者に事業を引き継ぎましょう。

親族内・社内承継では計画に従い、自社株の贈与や後継者教育などを実施します。

M&Aによる承継では、最終契約の中身に沿って自社株の承継や対価の支払いなど、最終段階としてクロージングの手続きを行います。 

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沖縄県で行われた事業承継の事例

沖縄県で実際に行われた事業承継の事例をみていきましょう。

ここでは、親族内承継と従業員承継、M&Aの事例に分けて紹介します。

親族内承継の事例

親族内承継の成功事例を2つ紹介します。

後継者育成塾で経営者としての学びを得る

産業廃棄物の収集運搬事業を営む有限会社 南星クリーン産業では経営者が急逝したため、会社や経営についてわからないまま、娘のKさんが事業を承継しました。

銀行の担当者から公的支援機関の後継者育成塾を紹介され、経営者としての学びを得るために藁にもすがる思いで受講したということです。塾では後継者として学ぶことが多く、他の受講生とは後継者ならではの悩みを共有できました。今後も交流を続けられ、なんでも相談できる仲間ができたことは大きな収穫だったとしています。

参照元:沖縄県産業振興公社「事業承継推進事業事例集

補助金で経営改善を実施

小売業を営む有限会社 おおばでは、親族間承継を実施するにあたって補助金を活用しました。補助金の申請から受給までは時間がかかりますが、余裕を持った承継期間を計画していたため、補助金の支援を受けるために承継の時期をずらすことができたということです。

補助金は経営改善を目的とした専門家への報酬などに活用し、結果として社内に人事評価制度を導入できました。

補助金の申請は揃える資料が多くてはじめは不安でしたが、支援機関のサポートもあり、無事に採択されて自信がついたとしています。補助金により、承継前に経営改善ができたことは大きな収穫となりました。

参照元:沖縄県産業振興公社「事業承継推進事業事例集

従業員承継の事例

従業員内承継の事例について、2件紹介します。

金融支援による融資で株式取得資金を調達

建設業を営むC社は、後継者不在のため、従業員に代表権を承継することに決めました。後継者は安定的な経営権を確保するためには、経営者からの株式の買い取りを行わなければなりません。

しかし、株式の買い取りには多額の資金を必要とするため、後継者の自己資金だけでは難しいという状況があります。そこで、後継者は経営承継円滑化法(中小企業の事業承継を総合的に支援する法律)における金融支援を受けるため、沖縄県知事の認定を取得しました。

これを受け、沖縄振興開発金融公庫は後継者に対して株式取得資金を融資し、後継者は無事に株式を取得できたということです。

参照元:沖縄振興開発公庫「事例紹介等

事業承継計画書を作成

建築設計業を営む有限会社 長嶺総合設計では、従業員への事業承継を5年かけて行う計画を立てました。そのため、事業承継のための支援制度を利用し、 事業承継計画策定や事業承継補助金などを活用することになりました。

事業承継計画の策定では、経営の引継ぎと次世代のための業務改善を同時に行うことができ、後継者と会社の将来について話し合えるようになったということです。そのため、業務引継ぎもスムー ズに進みました。

支援制度やサポートを受けて時間や気持ちにゆとりができ、業務改善や後継者育成をさらに推進できたそうです。

参照元:沖縄県産業振興公社「事業承継推進事業事例集

M&Aの事例

M&Aで事業承継をした事例を紹介します。

伝統の特許技術を承継

50年以上にわたり家具製造業に携わってきた木工職人のYさんは、高齢で制作に自信がなくなり、技術と事業を受け継いでくれる人を探していました。

技術を持ちながら事業も引き継げる人材を探すため、Yさんは公的支援機関に相談することにします。相談を受けた機関では、高度な技術を理解して再現できる能力を持つ人材を探すために情報収集を行い、近隣地域に住む適任者を見つけました。双方が面談して条件が一致し、特許技術の承継が決定したということです。

参照元:沖縄よろず支援拠点「家具製造事業の事業承継支援事

経営理念の近いホテルのM&A

ホテルを経営するデイゴホテルは承継者不在のため、第三者に承継するM&Aを選択することにしました。沖縄県事業承継・引継ぎ支援センターに相談し、候補先を探したところ、同じくホテル経営を行う株式会社南西観光が承継先候補として見つかりました。

株式会社南西観光は事業展開のためにM&Aを検討していたということで、いつも利用している金融機関から打診を受けたということです。双方のホテルはともにアットホームな施設を作るといったコンセプトを持ち、経営理念が似ていることから交渉はスムーズに進み、譲渡契約を結んで新たなホテルが誕生しました。

事業承継の条件は商号の継続とすべての従業員の雇用継続であり、M&A実施後も条件は守られたということです。

参照元:沖縄県産業振興公社「事業承継事例集

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まとめ

沖縄県は後継者不在率が高く、2023年は全国で5番目に位置しています。ここ数年は数値が低下しているものの、6割以上という高い数字であることは変わりありません。沖縄県の中小企業の経営者年齢は60~70代がピークと、高齢化が進んでいます。今後も、後継者不在の状況は続くと予想されている状況です。

沖縄県の経済を維持するために、事業は次世代へ引き継がれていかなければならず、沖縄県では多くの公的支援機関が積極的に事業承継のサポートを行っています。

親族内承継や社内承継が難しく、第三者に事業を承継したいと考える方もいるでしょう。

M&Aで事業承継を行う場合は、M&A仲介会社への相談がおすすめです。M&Aは法律や会計など専門的な知識が必要であり、安心して任せられるM&A仲介会社を選ぶことが大切です。

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