動物病院の事業承継を成功させる方法は?M&Aのポイントや事例も解説

2024年5月21日

動物病院の事業承継を成功させる方法は?M&Aのポイントや事例も解説

このページのまとめ

  • 動物病院業界は、飼育頭数減少の影響や経営者の高齢化などの影響を受けている
  • 動物病院業界では、事業承継が増加することが予想される
  • 動物病院の事業承継では、後継者の育成や企業価値の向上など多くの準備が必要
  • 動物病院の事業承継を成功させるためには、専門家に相談することが大切

動物病院業界では、少子高齢化により飼育頭数減少や経営者の高齢化といった問題を抱えています。今後は、事業承継の件数が増えると予想されます。

事業承継は、一朝一夕でできるものではありません。後継者の育成や引き継ぎ、企業価値の向上など、前もって準備を進めることが必要です。今回は、動物病院の事業承継について、よくある課題や成功させるポイント、事業承継の相談先や事例などを解説します。

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動物病院業界の状況 

動物病院の事業承継について理解する前に、まずは市場動向と事業承継の動向について見ていきましょう。

動物病院業界の市場動向

動物病院業界は、飼育頭数減少の影響を受けています。

経済産業省によると、犬の登録頭数は2009年度に688万頭であったものの、2021年度は610万頭まで減少しました。

2009年度(2010年3月末)688万頭
2021年度(2022年3月末)610万頭

参照元:経済産業省「ペットブームは頭打ち?」

背景には、少子高齢化によりそもそも人口が減少していることが挙げられます。

一方、動物病院の開業数は増加しているのがポイントです。農林水産省の「飼育動物診療施設の開設届出状況(診療施設数)」によると、診療施設の開設届出状況は以下のように推移しています。

2023年16,825件
2022年16,701件
2021年16,478件
2020年16,234件
2019年16,096件

参照元:農林水産省「飼育動物診療施設の開設届出状況(診療施設数)」

昨今ではペットの家族化が進み、「ペットにも高度な医療を受けさせたい」というニーズが高まっていると考えられます。このようなペットに対する医療ニーズの高まりが、動物病院の開業数増加につながっているといえるでしょう。

動物病院の事業承継の動向

続いて、動物病院の事業承継の動向について解説します。

動物病院が増加している一方、少子高齢化に伴い、経営者の高齢化や後継者不在という問題に直面している動物病院も存在します。

また、前述のように飼育数が増加しているわけではないにもかかわらず、動物病院の新規開業数が増加しているのが現状です。つまり、今後は経営に苦しむ動物病院が増えることが予想されます。

このように、経営者の高齢化への対応や事業の存続のため、事業承継を選択するケースはますます増えると考えられるでしょう。

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動物病院を事業承継する方法 

動物病院を事業承継したい場合、次の3つの方法があります。

  • 親族で事業承継する
  • 従業員に事業承継する
  • M&Aで事業承継する

それぞれの違いや特徴、メリット・デメリットについて理解しましょう。

親族で事業承継する

動物病院の事業承継で多いケースが、親族での事業承継です。家族などに事業承継を行い、後継者問題を解決します。このようなケースは、動物病院の院長だけで運営しているケースでよく見られます。親族内に獣医師がおり、跡を継がせる予定であれば、親族で事業承継を行うとよいでしょう。

メリット

親族で事業承継を行うメリットは、引き継ぎやすく、周囲からの理解ももらいやすい点です。親族が跡を継ぐことで、安心してもらえるでしょう。顧客も親族が跡を継ぐのであればと、継続して通院してもらいやすくなります。また、親族で事業承継を行う場合、手続きが簡単な点もメリットです。親族で事業承継を行う場合、相続が適応されます。親族以外に事業承継を行う場合は、契約や手続きが増えるため、相続が簡単な点もメリットです。

デメリット

親族で事業承継を行う場合のデメリットは、後継者の経営能力を選べない点です。経営能力がないことで、経営難に陥り、廃業させてしまうケースもあります。

動物病院の運営では、獣医師としての能力はもちろん、経営手腕も求められます。獣医師の能力はあっても、経営に向いていない場合もあるでしょう。親族で事業承継を行っても、経営難に陥ってしまう可能性がある点には注意が必要です。

従業員に事業承継する

従業員に獣医師がいる場合、従業員に事業承継を行うケースもあります。親族に後継者がいない場合は、よく使用される方法だと覚えておきましょう。また、中規模から大規模の動物病院でも、後継者の選択肢が多いため、よく利用されます。

メリット

従業員に事業承継するメリットは、能力で後継者を選べる点です。複数人の従業員がいる場合、医師として、経営者として優秀な人材を選べます。事業承継後に失敗するリスクを減らせるでしょう。

デメリット

従業員に事業承継する場合のデメリットは、従業員が事業承継してくれない可能性がある点です。従業員が、経営者になることを望んでいない場合もあるでしょう。また、事業承継を行うためには、資金が必要です。事業承継を考えておらず、必要な資金がないケースもあるため、注意しましょう。

M&Aで第三者に事業承継する

後継者不足に悩む現代では、M&Aで事業承継を行うケースが増えています。この場合、親族でも従業員でもない、第三者とM&Aを行うことが一般的です。現代では、事業承継を行いたくても、後継者の人脈がなく、廃業せざるを得ないケースが増加しています。後継者問題を解決する手段にも、第三者へのM&Aが効果的です。

メリット

M&Aで事業承継を行うメリットは、売却資金を得られる点です。経営者は資金を獲得し、今後の生活に利用できます。また、M&Aの場合は売り手の選択肢が多く、後継者を選びやすい点もメリットです。経営者のビジョンに合う売り手を探し、事業承継を成功させられるでしょう。

デメリット

一方で、注意点は、事業承継までに時間が掛かる点です。売り手探しから契約成立まで、半年以上かかるケースもあります。第三者に事業承継する場合は、余裕をもって行うようにしましょう。

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動物病院の事業承継でよくある課題

動物病院の事業承継では、以下のような課題が発生する可能性があります。

  • 後継者の育成・引き継ぎに失敗する
  • 自社株の取得により後継者に負担がかかる
  • 従業員が離反する

事業承継を成功させるためには、よくある課題について事前に理解し、対策することが大切です。それぞれの課題について解説します。

後継者の育成・引き継ぎに失敗する

1つ目は、後継者の育成や引き継ぎに失敗してしまうことです。

後継者の育成には、5〜10年ほどかかるとされています。後継者の育成を後回しにしてしまった結果、十分な能力が備わった後継者に事業が引き継がれず、事業承継に失敗してしまう恐れがあります。

事業承継は、ただ事業を引き継ぐだけで終わりではありません。引き継ぎ後のことも考え、後継者の育成や引き継ぎに時間をかける必要があります。

自社株の取得により後継者に負担がかかる

2つ目は、自社株の取得によって後継者に負担がかかることです。

親族以外が引き継ぐ場合は、自社株を経営者から買い取るケースがほとんどです。このとき、自社株の評価額が高い場合は、自社株を買い取るために多額の費用がかかってしまいます。資金不足で自社株を買い取れず、事業承継に失敗してしまう可能性もあるため注意が必要です。

従業員が離反する

3つ目は、従業員が離反してしまうことです。

事業承継によって経営方針や労働条件が変わった結果、従業員が反発して離職してしまう恐れがあります。後継者の経営手腕に問題があり、不安を抱いた従業員が離れてしまうこともあるでしょう。

優秀な人材が離職してしまったり、従業員が大量に離職してしまったりした場合は、経営に悪影響を及ぼす可能性があります。

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動物病院の事業承継を成功させるポイント

動物病院の事業承継を成功させるためには、以下のポイントを重視しましょう。

  • 事業承継の目的を明確化する
  • 動物病院としての価値を高める
  • 株価対策を行う
  • 組織化を進める
  • 後継者の育成に注力する
  • 事業承継税制の活用を検討する

それぞれ解説します。

事業承継の目的を明確化する

事業承継を行う際は、まずは目的を明確化しましょう。

事業承継の目的としては、たとえば以下が挙げられます。

  • すでに決まっている後継者に経営を引き継ぎたい
  • 事業を廃業させたくない
  • 取引先や顧客との関係性を維持したい

事業承継の目的を明らかにすることで、どのような手段で事業承継を行うのか、M&Aならどのスキームを活用するのか、どのような相手と組むのかなどを決めやすくなります。

動物病院としての価値を高める

M&Aで第三者に事業承継を行う場合は、動物病院としての価値を高めることが大切です。

M&Aでは、企業価値が取引価格に直結します。企業価値が高ければ、その分M&Aで多くの売却益を獲得できます。もちろん、親族や役員に承継する場合であっても、企業価値向上に向けた取り組みは経営の成功につながるため重要です。

先進的な医療機器を導入する、技術力を持った獣医師を雇用する、特定の動物の診療に強みを持つなど、企業価値を高めるための施策を講じましょう。

株価対策を行う

自社株の買取による後継者への負担や、相続税や譲渡税の費用負担を軽減するためには、株価対策が必要です。

自社株の評価額を引き下げるためには、以下のような対策が考えられます。

  • 役員に退職金を支払う
  • 生命保険を活用する
  • 不動産を購入する
  • 設備投資を行う
  • 不良債権を処分する

後継者への負担を軽減できるよう、適切な範囲内で株価対策を進めましょう。

組織化を進める

事業承継の前から組織化を進め、経営しやすい体制を整えることも大切です。

具体的には、リーダーを決めてチーム化を進める、チーム医療を推進する、分院展開する、などの方法があります。事業承継によって経営者が交代した後も、スムーズに業務を遂行できるような体制を整えましょう。

組織化は短期間で実行できるものではありません。事業承継の数年前から、徐々に進めることが大切です。

後継者の育成に注力する

親族や従業員に承継する場合は、5〜10年ほどの年数をかけて後継者の育成に注力する必要があります。重要な商談に同席させる、経営セミナーに参加させる、取引先へ挨拶回りに行かせるなどの方法で、経営に必要な知識やスキルを身につけさせましょう。

また、そもそも後継者を適切に選定することも欠かせません。事前に経営者に求める人材の要件定義を行い、慎重に後継者を選定してください。

事業承継税制の活用を検討する

事業承継による相続税や贈与税の負担を軽減するためには、事業承継税制の活用を検討しましょう。

事業承継税制とは、会社や個人事業の後継者が取得した一定の資産について、一定の要件のもと相続税や贈与税の納税を猶予する制度です。要件を満たし続けた場合、後継者から次の後継者に株式を承継した際、あるいは後継者が死亡した際などに、猶予されていた税金が免除されます。

後継者にかかる税負担を軽減したい場合は、事業承継税制の活用を検討しましょう。

参照元:国税庁「非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし」

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動物病院の企業価値の算出方法 

動物病院のM&Aを行う場合、気になるのは相場です。企業価値の算出方法は大きく3つに分けられ、さらに具体的な算出方法があります。

手法ごとの概要は以下のとおりです。

手法概要具体的な方法概要
コストアプローチ企業が保有する純資産をもとに、企業価値を算出する方法簿価純資産法貸借対照表をもとに、純資産額を評価する方法
時価純資産法全ての資産・負債を時価に換算して、時価純資産を評価する方法
インカムアプローチ将来期待される利益を予測して、企業価値を算出する方法DCF法将来的に予想される収益(キャッシュフロー)を現在価値に割り引いて、企業価値を算出する方法
配当還元法将来受け取ることが期待される株主の配当金額を計算し、企業価値を算出する方法
マーケットアプローチ市場価格をもとに、企業価値を算出する方法市場株価法上場会社の平均株価をもとに、企業価値を算定する方法
類似会社比較法(マルチプル法)類似している上場会社の時価総額や事業価値をもとに、企業価値を算定する方法

状況に応じて、適切な方法を見極める必要があります。どの方法を選ぶべきかは、専門家に判断してもらうのがよいでしょう。

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動物病院をM&Aで事業承継する場合のポイント 

動物病院のM&Aによる事業承継では、以下のポイントを意識してください。

  • 専門家に相談する
  • 相手先を慎重に選ぶ
  • 正確な情報を提示する
  • 情報漏洩に注意する

それぞれ解説します。

専門家に相談する

M&Aや事業承継を成功させるためには、専門家に相談しましょう。専門家のアドバイスを聞くことで、スムーズに交渉や手続きが進みます。M&Aや事業承継を行うことが初めての経営者も多く、分からないことが多いでしょう。そのため、自分で進めようとすると、法律や税金面で失敗したり、交渉が不利になったりしてしまいます。動物病院のM&Aや事業承継でも、専門家の協力は欠かせません。M&A仲介会社のように、実績のある専門家に協力を依頼しましょう。

相手先を慎重に選ぶ

M&Aを行う際は、ミスマッチを防げるよう相手先を慎重に選ぶことが大切です。

M&Aは結婚にたとえられることが多いほど、相手との相性が重要です。

相手先を見極めるためには、トップ面談を重視しましょう。トップ面談では、相手の経営者と直接対面して議論できます。事業内容や財務情報はもちろん、経営者の人間性や経営理念、M&Aの目的などを確認しましょう。

正確な情報を提示する

動物病院のM&Aを行う場合、正確な情報を提示しましょう。情報量や正確さによって、交渉しやすさが変わります。たとえば、財務状況や債務に関して、正確な情報を提示しましょう。もし、債務を隠したり、リスクを隠したりしてしまうと、明らかになった場合に交渉中止になります。また、契約後に発覚した場合、損害賠償請求の可能性もあるため、正確な情報を提示するようにしましょう。

情報漏洩に注意する

M&Aを行う場合は、情報漏洩に注意しましょう。情報漏洩が起こることで、取引中止などの事態に発展するからです。たとえば、情報漏洩を起こすような相手とは交渉できないと、打ち切りになるケースもあります。また、他社が情報を知り、案件に参入してくる可能性もあります。このように、M&Aで交渉を行う際は、情報漏洩に注意しましょう。第三者には取引内容を話さないことが大切です。

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動物病院の事業承継の相談先

動物病院の事業承継を進める際は、専門家に相談することをおすすめします。具体的な相談先は以下のとおりです。

相談先対応範囲費用特徴
M&A仲介会社M&Aの全体的なプロセスを支援相談料、着手金、中間金、成功報酬M&Aの専門家として、M&Aを一貫してサポートしてくれる
マッチングサイトサイトによってさまざま(案件探し・マッチングのみのサイトと、専門家によるサポートも受けられるサイトがある)無料/成功報酬低コストで気軽にM&Aに取り組める
金融機関資金調達や融資の相談、事業承継やM&Aの相談、成約までのアドバイザリー業務など着手金、顧問料、中間金、成功報酬自社の経営状況を理解したうえでアドバイスをくれる
商工会・商工会議所事業承継やM&Aの相談への対応、専門家の紹介など会員であれば相談は無料地域密着型で事業承継やM&Aの相談に対応してくれる
弁護士・公認会計士・税理士法務・会計・税務のアドバイス、書類の作成や手続きのサポート、デューデリジェンスなど相談料・着手金・報酬金・実費専門的な知見を活かして、経営者の目線からアドバイスをくれる
事業承継・引継ぎ支援センター相談、専門家との連携、後継者の紹介など相談は無料公的な相談窓口であり、無料で利用できる
後継者を紹介してくれるサービスもある

以下では、それぞれの相談先について解説します。

M&A仲介会社

M&Aによる事業承継を検討している場合は、M&A仲介会社に相談するのが1つの方法です。

M&A仲介会社は、M&Aの専門家です。豊富な支援実績やノウハウを活かして、M&Aのプロセスを一貫してサポートしてくれます。弁護士や税理士などの士業とも連携しており、税務や法務などのサポートを受けられるのも魅力です。

一方、公的なサービスに比べると、高額な費用が発生する可能性があります。

マッチングサイト

M&Aに気軽に取り組みたい場合は、マッチングサイトの活用がおすすめです。オンライン上で、効率よくマッチング相手を探せます。サイトによっては、M&Aの専門家が成約までサポートしてくれるものもあり、はじめてのM&Aでも安心です。

マッチングサイトの中には、完全無料で利用できるものや、成約時のみ費用が発生するものもあります。M&A仲介会社に依頼する場合に比べて、低コストでM&Aに取り組めるでしょう。

サイトによって料金体系やサービス、案件数はさまざまです。信頼できるサイトを選びましょう。

金融機関

銀行などの金融機関が、M&Aや事業承継の案件を紹介してくれるケースもあります。

金融機関は、地域のネットワークを活かして相手や後継者候補を探してくれる可能性が高いです。

日頃から取引がある金融機関であれば、自社の経営状況を理解したうえでアドバイスをくれるでしょう。

一方、対応エリアが限られていることが多く、M&A仲介会社やマッチングサイトを利用する場合よりも相手探しの範囲が狭まってしまうのが難点です。また、融資を前提にしたプランを提案される可能性もあり、提案内容が本当に必要かを見極めることが大切です。

商工会・商工会議所

商工会や商工会議所は、地域のネットワークを活用して事業承継やM&Aの相談に乗ってくれます。
商工会や商工会議所に入会している場合は、多くのサービスを無料で利用できるのも魅力です。

一方、M&Aのすべてのプロセスを依頼できるわけではない点に注意が必要です。あくまでも、はじめの相談先として活用しましょう。また、専門家に手続きを依頼する際は、別途報酬を支払う必要があります。

弁護士・公認会計士・税理士

弁護士・公認会計士・税理士は、それぞれが持つ専門的な知見を活かして事業承継やM&Aをサポートしてくれるのが特徴です。もともと付き合いがある方に相談すれば、自社のことをよく理解したうえで、経営者の目線から適切なアドバイスをくれるでしょう。

ただし、M&Aの専門家というわけではないため、希望するサポートを受けられない可能性もあります。また、紹介してくれる相手先の選択肢が少なく、理想的なM&Aを実現できない恐れがある点にも注意が必要です。

事業承継・引継ぎ支援センター

事業承継・引継ぎ支援センターは、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する相談窓口です。中小企業の事業承継のサポートに特化しており、無料で相談に対応してくれます。後継者を紹介してくれるサービスもあるため、後継者不在で悩んでいる方にもおすすめです。公的な窓口であるため、安心して相談できるのも魅力です。

一方、専門家のサポートを受ける場合は、別途費用が発生することがあります。

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動物病院のM&A事例5選 

最後に、動物病院のM&A事例を5つ紹介します。M&Aによる事業承継を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

1.FORPETS

株式会社FORPETS(以下、FORPETS)は、2017年10月にJVCC株式会社(以下、JVCC)とM&Aを実行しました。

売り手のFORPETSは、動物病院とペットサロンを展開する企業です。2名の獣医師によって設立されました。

買い手のJVCCは、日本の獣医師にとって働きやすく、かつ飼い主に信頼される動物病院グループを確立するという事業構想のもと、獣医師が経営を担っています。

JVCCがFORPETSの発行済全株式を取得したことで、JVCCは12か所の動物病院と7か所のペットサロンを運営するグループとなりました。今後も、グループを拡大して企業組織による病院経営モデルの構築を目指す方針です。

参照元:J-STAR株式会社「JVCCによるFORPETSの株式取得について」

2.東京イースト獣医協会動物医療センター

株式会社東京イースト獣医協会動物医療センター(以下、東京イースト獣医協会動物医療センター)は、2022年6月にイオンペット株式会社(以下、イオンペット)の子会社となりました。

売り手の東京イースト獣医協会動物医療センターは、ひがし東京夜間救急動物医療センターを運営している企業です。ひがし東京夜間救急動物医療センターは、夜間救急診療を年中無休で提供しており、300以上の動物病院とのネットワークを構築しています。

買い手のイオンペットは、動物病院やグルーミングサロン、物販店舗を全国的に展開している企業です。

このM&Aは、地域での動物病院間の連携を深め、エリア全体の動物医療水準を向上させるために実施されました。今後も、首都圏エリアを中心により充実した動物医療の提供を目指す方針です。

参照元:イオンペット株式会社「株式会社東京イースト獣医協会動物医療センターの全株式の取得および子会社化のお知らせ」

3.アニマルメディカ

株式会社アニマルメディカ(以下、アニマルメディカ)とライフメイト動物救急センターは、2022年7月に会社分割を実施しました。ライフメイト動物救急センターを承継会社、アニマルメディカを分割会社とする吸収分割です。

ライフメイト動物救急センターは、株式会社YCP Lifemate(以下、ライフメイト)が設立した会社です。

また、アニマルメディカは動物病院を展開しており、動物向けの高度医療を担う二次診療および夜間救急診療を実施しています。

この会社分割は、ライフメイトが持つペットケア領域における知見やノウハウと、アニマルメディカが持つ診療技術力や顧客基盤を融合させ、事業をさらに成長させることを目的としています。

参照元:YCPホールディングス(グローバル)リミテッド「子会社(孫会社)の設立及び当該子会社(孫会社)による吸収分割に関するお知らせ 」

4.高度医療CTセンター林宝どうぶつ病院

株式会社高度医療CTセンター林宝どうぶつ病院(以下、高度医療CTセンター林宝どうぶつ病院)と株式会社ANCHORS(以下、ANCHORS)は、2022年6月にM&Aを実施しました。

ANCHORSは、投資事業有限責任組合キャス・キャピタル・ファンド七号の出資先である持ち株会社です。動物医療の発展に大きく貢献することを目的に設立され、アジアを代表する専門的総合動物医療グループを形成する構想を掲げています。

また、高度医療CTセンター林宝どうぶつ病院は、二次診療を中心とした動物医療を提供する埼玉動物医療センターを運営しています。

ANCHORSは、今後も構想に賛同する動物病院のグループ参画を促す方針です。

参照元:キャス・キャピタル株式会社「アジアを代表する動物病院グループの形成に向けた取り組み(第 3 弾)株式会社 ANCHORS(旧 CCH7b 株式会社)による株式会社高度医療 CT センター林宝どうぶつ病院の株式取得に関するお知らせ」

5.ベトリード

有限会社ベトリード(以下、ベトリード)は、2022年1月にCCH7b株式会社(以下、CCH7b)とM&Aを実施しました。CCH7が、ベトリードの株式を取得しています。

ベトリードは、奈良県と京都府南部を中心とする関西地域において動物病院を運営している企業です。地域における中核病院として、長年にわたって高度医療を提供してきました。

CCH7bは、ANCHORSと同様に投資事業有限責任組合キャス・キャピタル・ファンド七号の出資先である持ち株会社です。アジアを代表する専門的総合動物医療グループを形成し、動物医療の発展に貢献することを目的に設立されました。

CCH7bは、M&Aによってグループ体制を強化し、質の高いサービスを効率的に提供するための連携基盤整備や、獣医師・看護師が長期的にスキルアップできる環境整備などを目指す方針です。

参照元:キャス・キャピタル株式会社「アジアを代表する動物病院グループの形成に向けた取り組み(第 2 弾)CCH7b 株式会社による有限会社ベトリードの株式取得に関するお知らせ」

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まとめ

動物病院業界では、少子高齢化により事業承継を検討するケースが増えると予想されます。事業承継に成功するためには、適切な後継者を見つけ、後継者育成に注力することが大切です。また、企業価値の向上や株価対策、組織化の推進など、事業承継に向けて準備すべきことは多々あります。余裕のあるスケジュールで事業承継を進め、万全の体制で引き継げるようにしましょう。

事業承継を成功させるためには、M&A仲介会社や金融機関、弁護士や税理士などの専門家に相談すると安心です。特に、M&Aによる承継を検討している場合は、M&Aを一気通貫でサポートしてくれるM&A仲介会社に相談するとよいでしょう。

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