このページのまとめ
- プロラタ方式とは、借入金額に応じた返済金額を設定し、各金融機関に返済を行う方法
- プロラタ方式には「残高プロラタ」と「信用プロラタ」の2種類がある
- プロラタ方式のメリットは「融資が受けやすい」「新規取引を受け入れてくれやすい」
- プロラタ方式を利用するには、公平な条件を立てて、全金融機関の同意を得る必要がある
- プロラタ方式を利用する際は、専門家にサポートを依頼すると有利に進められる
「プロラタ方式とはどのような返済方法?」と疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
プロラタ方式は、返済計画を見直したい方や資金調達に困っている方にとって有効な返済方法です。
本コラムでは、プロラタ方式の意味や活用するメリット、種類ごとの詳細・計算方法などを紹介します。また、プロラタ方式を利用する際の注意点や手順・流れについても解説します。
目次
プロラタ方式とは
「プロラタ方式」とは、会社が複数の金融機関からお金を借りているケースにおいて、借入金額に比例した返済金額を設定し、返済を行う方法のことです。
プロラタ方式は、借入条件の変更を意味する「リスケジュール(リスケ)」を行う際に採られる方式の一つです。
プロラタ方式を採用することによって、借入をしているすべての金融機関に対して平等に返済を進めていくことができます。
プロラタの語源・由来
プロラタは、「the same rate」を意味するラテン語の「Pro Rata」が語源だといわれています。
「Pro Rata」は「比例する」「按分する」という意味を持つ言葉です。
また、英語の「Proratable」が由来であるという説もあります。
「Proratable」は「比例配分可能な」という意味の言葉です。
プロラタ方式の種類と各計算方法
プロラタ方式には主に「残高プロラタ」と「信用プロラタ」の2種類の方法があります。
担保付き融資をしている金融機関にとっては、残高プロラタのほうが有利です。
無担保融資を行っている金融機関にとっては、信用プロラタのほうが有利になります。
ここでは、それぞれの方式の概要と計算方法について解説します。
残高プロラタ
残高プロラタとは、お金を借りている各金融機関ごとの借入残高をベースにして返済金額を決定するプロラタ方式です。
借入残高が多額であるほど返済金額の比率も高くなります。
そのため、融資している金額が最も高い金融機関が、最も高い比率で返済を受けられます。
【計算例:借入金額が合計3,000万円、月々の返済可能金額が50万円のケース】
金融機関A | 金融機関B | 金融機関C | |
借入残高の合計 | 1,500万円 | 1,000万円 | 500万円 |
借入残高の比率 | 50% | 34% | 16% |
毎月の返済金額 | 25万円 (50万円×50%) | 17万円 (50万円×34%) | 8万円 (50万円×16%) |
残高プロラタを適用している場合、上記のケースでは、借入残高の合計が最も多い「金融機関A」の返済金額が最も高くなります。
信用プロラタ
信用プロラタとは、お金を借りている各金融機関ごとの借入残高のうち、無担保部分の借入残高をベースにして返済金額を決定するプロラタ方式です。
債権回収の保証がない、信用度が低い無担保部分の返済を優先します。
【計算例:借入金額が合計3,000万円、月々の返済可能金額が50万円のケース】
金融機関A | 金融機関B | 金融機関C | |
借入残高の合計 | 1,500万円 | 1,000万円 | 500万円 |
担保付き部分の借入残高 | 1,400万円 | 500万円 | 300万円 |
無担保部分の借入残高 | 100万円 | 500万円 | 200万円 |
無担保部分の借入残高の比率 | 12.5% | 62.5% | 25% |
毎月の返済金額 | 6万2,500円 (50万円×12.5%) | 31万2,500円 (50万円×62.5%) | 12万5,000円 (50万円×25%) |
信用プロラタを適用している場合、上記のケースでは、無担保部分の借入残高が最も多い「金融機関B」の返済金額が最も高くなります。
借入残高の合計は「金融機関A」が最も多いですが、無担保部分の借入残高は最も低いため、毎月の返済金額は最低額となっています。
プロラタ方式の2つのメリット
プロラタ方式を採用するメリットは主に下記の2つです。
- 融資が受けやすくなる
- 新規取引する金融機関から借入できる
それぞれのメリットについて、詳しく解説します。
融資が受けやすくなる
プロラタ方式のメリットは、金融機関からお金を借りやすくなることです。
プロラタ方式では、借入をしているすべての金融機関に公平に返済が行われるため、後回しにされて返済がストップすることはありません。
金融機関にとって、プロラタ方式は融資を行うリスクを減らしてくれる方法です。
そのため、プロラタ方式であれば金融機関が融資を行ってくれる可能性が高くなります。
新規取引する金融機関から借入できる
プロラタ方式のメリットは、今まで融資を受けた実績がない金融機関から借入できる可能性が高まることです。
プロラタ方式を採用している場合、すべての金融機関に対して平等に返済することがすでに約束された状態です。
そのため、新規で取引を始める金融機関からの信用を得られやすくなります。
資金調達のために借入先を新規開拓したい場合は、プロラタ方式の採用を検討してみましょう。
プロラタ方式を利用する際の2つの注意点
プロラタ方式を利用する際に注意するべきポイントは、下記の2点です。
- すべての金融機関の同意が必要となる
- 返済条件が不公平だとトラブルになる
それぞれの注意点について詳しく解説します。
すべての金融機関の同意が必要となる
リスケジュール(借入条件の変更)を行ってプロラタ方式を採用するためには、借入を受けているすべての金融機関から同意を得ることが必要です。
全会一致で承認されず、反対する金融機関が1社でも出た場合は、リスケジュールの手続きが頓挫してしまいます。
返済条件が不公平だとトラブルになる
プロラタ方式を利用する際は、返済条件が公平になるようにする必要があります。
もし提示した返済条件が金融機関にとって不公平に感じる内容だった場合、金融機関との間でトラブルになるおそれがあります。返済条件の再度の見直しが求められるでしょう。
すべての金融機関に納得してもらえるよう、平等性が保たれる返済条件にしてください。
プロラタ方式で返済するときの手順・流れ
プロラタ方式に変更して返済を行いたいときの手順・流れは下記のとおりです。
- 専門家に支援を依頼する
- 各金融機関の借入残高を確認する
- 各金融機関にプロラタ方式への変更を打診する
- 各金融機関と協議をして返済計画を調整する
- すべての金融機関から同意を得る
- すべての金融機関に公平な返済をスタートする
リスケジュール(借入条件の変更)をしてプロラタ方式での返済を行うときは、まず税理士や公認会計士などの専門家にサポートを依頼することがおすすめです。
専門家は、借入残高の確認や返済計画の策定などを支援してくれます。
また、金融機関との協議の際に同席してもらえれば、安心して交渉を進めることが可能です。
まとめ
プロラタ方式とは、返済金額を按分して融資を受けている各金融機関に返済を行う方式のことです。
プロラタ方式には、借入残高を基準にして返済金額を決定する「残高プロラタ」と、担保なしの部分の借入残高を基準にして返済金額を決定する「信用プロラタ」の2つがあります。
プロラタ方式で返済を行うメリットは、融資が受けやすくなること・新規取引の金融機関から借入しやすくなることです。
一方で、すべての金融機関から同意を得なければならないこと・返済条件が不公平であってはならない点には注意する必要があります。
トラブル防止のためには、税理士や公認会計士をはじめとする専門家のサポートを受けることがおすすめです。
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