M&Aに必要な書類一覧!M&Aの流れと段階ごとの必要書類を簡単に解説
2023年11月15日
このページのまとめ
- M&A仲介会社とのやり取りに、秘密保持契約書やアドバイザリー契約書の締結が必要
- M&Aの相手先を選定する際、ロングリスト・ショートリストやノンネームシートを使う
- M&Aの最終段階に、売り手と買い手の間で最終契約書の締結が必要
M&Aを検討した際に、「そもそもどのような書類が必要なの?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。M&Aの段階や、売り手か買い手かによって使う書類や必要な書類が異なります。
本コラムでは、M&Aの段階ごとに使う書類を紹介します。大まかな流れについても解説しているため、これからM&Aを実施予定の方はぜひ参考にしてください。
目次
M&Aの大まかな流れ
M&Aの大まかな流れは、以下のとおりです。
- M&A仲介会社との相談・契約
- M&Aの相手を選定しトップ面談の場を設ける
- 基本合意を取り結ぶ
- デューデリジェンス(DD)を実施する
- 最終契約を行う
まずは、M&Aで必要な手順を確認していきましょう。
1.M&A仲介会社との相談・契約
M&Aを進めるにあたって専門知識が必要な場面がいくつもあるため、まずM&A仲介会社などの専門家に相談します。M&A仲介会社とは、M&Aの交渉の仲介や助言を行う会社のことです。
相談した際に信頼できる会社と感じたら、契約を締結します。契約締結後、買い手は社名を伏せた状態で売り手に関する情報を入手できるでしょう。
なお、仲介会社との契約は必須ではありません。場合によっては、公認会計士や弁護士などの専門家に相談したり、M&Aアドバイザリーと契約を交わしたりすることもあります。
2.M&Aの相手を選定しトップ面談の場を設ける
買い手は売り手を選定し、興味を持った会社に対してM&A仲介会社やM&Aアドバイザリーなどを通じて意思表示をします。また、売り手は、意思表示してきた買い手候補が売却先としてふさわしいか確認したうえで、トップ面談の場を設けるか判断します。
トップ面談とは、売り手と買い手の経営者同士が直接対面して相互の理解を深めることです。トップ面談の場では、経営者のM&Aに対する想いや今後のビジョンなど、資料だけでは伝えきれない情報を共有します。
3.基本合意契約を取り結ぶ
トップ面談の結果、双方が前向きにM&Aを検討することになれば、基本合意契約を取り結びます。基本合意契約とは、売り手側と買い手側が協力し合ってM&Aを完了させることを約束する、仮契約にあたるものです。
そのため、一般的に基本合意を取り結んだだけでは、法的拘束力は生じません。ただし、一部条項について、法的拘束力がかかる場合もあるため注意が必要です。
4.デューデリジェンス(DD)を実施する
基本合意を取り結んだ後に、買い手はデューデリジェンスを実施します。デューデリジェンスとは、売り手側が提供した情報が本当に正しいのかどうか、虚偽の報告や間違いがないか、保有資産が実在するかなどを買い手から依頼された専門家が確認することです。
デューデリジェンスを実施することで、買い手は売り手が有するリスクを確認できます。また、財務状況や成長性を調査することで正当な企業価値を判断したり、新たなビジネスチャンスがないかチェックしたりすることもデューデリジェンスの目的です。
なお、デューデリジェンスには、法務DD・税務DD・財務DD・ビジネスDDなどさまざまな種類があります。買い手は、M&A実施後にリスクを抱えたりトラブルに発展したりすることを防ぐため、できるだけ多くのデューデリジェンスを実施することが望ましいです。
5.最終契約を行う
デューデリジェンスの結果を踏まえ、最終的な条件の調整が完了したら最終契約を締結します。基本合意契約と異なり、最終契約では法的拘束力が発生する点が重要です。
最終契約は、株式譲渡契約や事業譲渡契約など、M&Aの種類によって異なります。締結した内容に基づき、代金振込(対価の授受)や株券の引き渡し(経営権の移転)などが済めば、M&Aの完了です。
なお、M&Aが完了することをクロージングと呼びます。
M&A仲介会社とのやりとりに使用する書類
M&A実施に当たって仲介会社を利用する場合、やり取りに使用する書類は、以下のとおりです。
- 秘密保持契約書(NDA)
- アドバイザリー契約書
各書類の概要を解説します。
秘密保持契約書(NDA)
仲介会社にM&Aのサポートを依頼する際に、秘密保持契約書(NDA)を締結します。秘密保持契約とは、自社の秘密情報を漏えいさせないために締結する契約のことです。
財務内容や株式の売却を検討していることなど、さまざまな情報が秘密保持契約の対象となりえます。また、開示した情報をM&Aの目的以外に使用しないことや、漏洩した場合の損害賠償についてなどが秘密保持契約書に盛り込まれる内容です。
なお、関心を持った買い手に売り手が具体的な情報を開示する際も、秘密保持契約書を締結します。
アドバイザリー契約書
アドバイザリー契約書とは、M&Aのサポートを依頼する際に取り交わす契約書のことです。一般的に、M&A仲介会社の業務範囲・費用・責任の範囲などが契約書に盛り込まれます。会社によって料金体系が異なるため、自社に不利な条項がないかを確認することがポイントです。
また、アドバイザリー契約には、専任契約と非専任契約があります。専任契約が1社にだけサポートを依頼する契約に対し、非専任契約は複数の仲介会社を利用する場合に結ぶ契約です。
M&Aの相手先を選定する段階に使用する書類
M&Aの相手先を選定する段階で使用する書類は、以下のとおりです。
- ロングリスト・ショートリスト
- ノンネームシート(ティーザー)
- 企業概要書(IM)
各書類の概要を解説します。
1.ロングリスト・ショートリスト
M&Aの仲介会社によって、相手先を選定する際にロングリストやショートリストを作成することがあります。
ロングリストとは、候補を一定条件に基づきリストアップしたものです。ショートリストは、ロングリストをさらに細かな条件で絞り込んだリストを指します。
ロングリストは100社ほどリスト化することもあるのに対し、ショートリストでは数社程度にまで絞ることが一般的です。ショートリストを作成することで、膨大な候補の中から自社のM&Aの目的にあった会社を選択できます。
2.ノンネームシート(ティーザー)
売り手を買い手に紹介する際に、ノンネームシート(ティーザー)を使います。ノンネームシートとは、M&Aの交渉時に会社を特定しない範囲の情報を簡易的にまとめた資料です。
ノンネームシートには、主に以下の事項が記載されます。
- 事業内容
- およその所在地
- 従業員数
- 売上高
- 特徴
- 譲渡を予定している理由
ノンネームシートを作ることで、売り手は自社が売却を検討していることを外部に知られずに、買い手候補を探し出せます。
3.企業概要書(IM)
売り手は買い手と秘密保持契約を取り交わした後に、企業概要書(IM)で自社の詳細な情報を開示します。企業概要書とは、ノンネームシートよりも詳細な情報をまとめた資料です。
企業概要書には、主に以下の内容がまとめられています。
- 企業概要
- 事業内容
- 組織体制
- 財務状況
- 譲渡する理由
- 許認可
- 法規制
- 資産や設備の状況
- 事業計画
企業概要書には、対象会社の価値を評価する際の判断材料としての役割があります。
M&Aの交渉や契約を行う段階で使用する書類
M&Aの交渉や契約を行う段階で使用する書類は、以下のとおりです。
- 意向表明書(LOI)
- 基本合意書(MOU)
- デューデリジェンス(DD)の関連書類
- 最終契約書(DA)
各書類の概要を解説します。
1.意向表明書(LOI)
秘密保持契約を締結して対象会社の情報を確認した結果、買い手がM&Aを前向きに検討したいと考えた場合、売り手に対して意向表明書(LOI)を提出します。意向表明書とは、買い手が事業を譲り受け、会社を買収する意向を示した書面のことです。
意向表明書の提出自体は、必須ではありません。ただし、意向表明書を提出することで、売り手に対してM&Aの意向を明確にできるため、その後の交渉がスムーズに進みやすいです。
なお、買い手候補が1社のみの場合、意向表明書の提出を省き、具体的な交渉に進むこともあります。
2.基本合意書(MOU)
トップ面談後に、買い手と売り手の間で合意している範囲で基本合意書を締結します。基本合意書に記載される主な内容は、以下のとおりです。
- M&Aで利用するスキーム
- 対象の範囲
- 譲渡日
- 譲渡価額
- M&Aのスケジュール
- 独占交渉権
- 秘密保持
独占交渉権や秘密保持などの条項を除き、基本合意書は法的拘束力を持たない点がポイントです。
3.デューディリジェンス(DD)の関連書類
買い手がデューデリジェンスを実施するにあたって、売り手は自社に関するさまざまな書類を提出しなければなりません。デューデリジェンスで確認する主な資料は、以下のとおりです。
- 決算書や確定申告書
- 定款
- 会社案内
- 議事録
- 組織図
- 雇用契約書
- 社内規定
- 月次試算表
- 経営計画書
- 固定資産台帳
- 取引先との契約書一式
- 許認可証一式
紹介した書類は一部です。買い手からの依頼で、上記以外の書類を求められることもあります。
最終契約書(DA)
デューデリジェンス実施後に、売り手と買い手の間で最終契約書(DA)を締結します。最終契約書は、お互いの権利や義務を規定した法的効力のある契約書です。
最終契約書の種類は、M&Aのスキームによって異なります。株式売買で経営権を移動させる株式譲渡でM&Aを実施する場合に締結するのが株式譲渡契約書、事業の全部または一部を指定して譲受する事業譲渡を実施する場合に締結するのが事業譲渡契約書です。
まとめ
M&Aでは、売り手も買い手も段階ごとに提出する書類や使う書類があります。たとえば、M&A仲介会社とやり取りする際や、買い手が売り手から具体的な情報を入手する際には、秘密保持契約書の締結が必要です。また、M&A実施後のリスクを軽減するために買い手がデューデリジェンスを実施する際に、売り手へ資料提出を依頼することがあります。必要な種類はいくつもあるため、M&Aの手続きをスムーズに進めるために、あらかじめ専門家へ相談すると良いでしょう。
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